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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096924
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】穿孔装置及びシート後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/14 20060101AFI20250623BHJP
   B26F 1/34 20060101ALI20250623BHJP
   B26D 5/16 20060101ALI20250623BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250623BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20250623BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250623BHJP
【FI】
B26F1/14 C
B26F1/34
B26D5/16
G03G21/00 370
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212922
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 里菜
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3C024
3C060
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA02
2H270KA57
2H270LC17
3C024BB06
3C060AA01
3C060AB01
3C060BA01
3C060BB12
3C060BB15
3C060BC22
3C060BD01
3C060BE08
3C060BF09
3C060BG02
3C060BG03
3C060BG16
3C060BG17
3F108GA01
3F108GB07
(57)【要約】
【課題】小型化が図られた穿孔装置を提供する。
【解決手段】穿孔装置2は、穿孔刃31と、ホルダー33と、付勢部材34と、偏心カム35と、穿孔ガイド32と、を備える。穿孔刃31は、シートに孔を形成する。ホルダー33は、穿孔刃31を保持する。付勢部材34は、穿孔刃31がシートに対して離間する退避方向にホルダー33を付勢する。偏心カム35は、ホルダー33に接触し、付勢部材34の付勢力に抗して回転して穿孔刃31がシートに接近する穿孔方向にホルダー33を移動させる。穿孔ガイド32は、穿孔刃31のシートに対する移動方向に延びて穿孔刃31の移動をガイドする。偏心カム35は、穿孔方向にホルダー33を移動させるときに、偏心カム35の回転軸線方向から見て穿孔ガイド32と重なるように穿孔ガイド32の側方を通過する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに孔を形成する穿孔刃と、
前記穿孔刃を保持するホルダーと、
前記穿孔刃が前記シートに対して離間する退避方向に前記ホルダーを付勢する付勢部材と、
前記ホルダーに接触し、前記付勢部材の付勢力に抗して回転して前記穿孔刃が前記シートに接近する穿孔方向に前記ホルダーを移動させる偏心カムと、
前記穿孔刃の前記シートに対する移動方向に延びて前記穿孔刃の移動をガイドする穿孔ガイドと、
を備え、
前記偏心カムは、前記穿孔方向に前記ホルダーを移動させるときに、前記偏心カムの回転軸線方向から見て前記穿孔ガイドと重なるように前記穿孔ガイドの側方を通過することを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記穿孔刃と前記ホルダーとを接続する接続ピンを備え、
前記穿孔ガイドは、前記穿孔刃の前記移動方向に延びて前記接続ピンが挿入される長穴を有することを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記偏心カムは、
前記回転軸線方向に間隔を空けて平行配置され、互いの回転時に同じ外周端で前記ホルダーに接触する同一形状の2つのカム部と、
2つの前記カム部を接続する軸部と、
を有し、
前記穿孔ガイドは、前記回転軸線方向において2つの前記カム部の間に位置するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の穿孔装置を備えることを特徴とするシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに穿孔処理を施す穿孔装置及びシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置によって画像形成された後のシートに対して所定の後処理を施すシート後処理装置が知られている。シート後処理装置には、シートに穿孔処理を施して孔(パンチ穴)を形成する穿孔装置が搭載されていることがある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された従来のパンチ処理装置は、シートにパンチ穴を形成するパンチ刃と、当該パンチ刃に接触し、回転することでパンチ刃をシートに向けて移動させる偏心カムと、パンチ刃の移動を案内する案内部材と、を備える。パンチ刃は、偏心カムの回転とともに、案内部材に案内されてシートに向かって移動し、当該シートにパンチ穴を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-249348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、偏心カムが、パンチ刃先端によるシートの穿孔位置に対して案内部材の配置領域を隔てた反対側の領域に、回転時にわたって常時位置しており、パンチ刃の移動方向に沿ったパンチ処理装置の長さが長くなることに課題があった。これにより、パンチ処理装置の大型化が懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、小型化が図られた穿孔装置及びシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の穿孔装置は、穿孔刃と、ホルダーと、付勢部材と、偏心カムと、穿孔ガイドと、を備える。前記穿孔刃は、シートに孔を形成する。前記ホルダーは、前記穿孔刃を保持する。前記付勢部材は、前記穿孔刃が前記シートに対して離間する退避方向に前記ホルダーを付勢する。前記偏心カムは、前記ホルダーに接触し、前記付勢部材の付勢力に抗して回転して前記穿孔刃が前記シートに接近する穿孔方向に前記ホルダーを移動させる。前記穿孔ガイドは、前記穿孔刃の前記シートに対する移動方向に延びて前記穿孔刃の移動をガイドする。前記偏心カムは、前記穿孔方向に前記ホルダーを移動させるときに、前記偏心カムの回転軸線方向から見て前記穿孔ガイドと重なるように前記穿孔ガイドの側方を通過する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、偏心カムは、回転時に穿孔ガイドの側方を通過する。すなわち、偏心カムは、穿孔刃先端によるシートの穿孔位置に対して穿孔ガイドの配置領域を隔てた反対側の領域に、回転時にわたって常時位置するわけではない。これにより、穿孔刃の移動方向に沿った穿孔装置の長さを短くすることができる。したがって、穿孔装置の小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のシート後処理装置を備える画像形成装置の概略断面正面図である。
図2図1のシート後処理装置の穿孔装置の斜視図である。
図3図2の穿孔装置の部分拡大斜視図である。
図4図2の穿孔装置の垂直断面正面図である。
図5図2の穿孔装置の垂直断面側面図である。
図6図2の穿孔装置の穿孔ガイドの垂直断面正面図である。
図7図2の穿孔装置の穿孔状態を示す垂直断面正面図である。
図8図2の穿孔装置の穿孔状態を示す垂直断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態のシート後処理装置1を備える画像形成装置200の概略断面正面図である。本実施形態の画像形成装置200の一例としては、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたモノクロ印刷対応のいわゆる複合機であって良い。なお、画像形成装置200は、例えば複写機、プリンター等の装置であって良く、カラー印刷対応機であっても良い。
【0012】
画像形成装置200は、図1に示すように、原稿搬送部202と、画像読取部203と、を備える。原稿搬送部202は、画像形成装置200の本体201の上面に載置される。画像読取部203は、原稿搬送部202の下方の、本体201の内部に配置される。原稿搬送部202に積載した原稿の画像が、或いは画像読取部203の上面のコンタクトガラス(不図示)上に載置した原稿の画像が、画像読取部203によって読み取られる。
【0013】
画像形成装置200は、さらにその本体201に設けられた、シート給送部204と、シート搬送部205と、露光部206と、画像形成部207と、転写部208と、定着部209と、シート後処理装置1と、シート排出部210と、制御部211と、を備える。
【0014】
シート給送部204は、本体201の底部に配置される。シート給送部204は、画像が印刷される前の複数枚のシートSを収容し、印刷時にシートSを1枚ずつ分離して送り出す。シート搬送部205は、本体201の側壁に沿って上下方向に延びる。シート搬送部205は、シート給送部204から送り出されたシートSを転写部208及び定着部209へと搬送し、さらに定着後のシートSをシート後処理装置1まで搬送する。露光部206は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部207に向かって照射する。
【0015】
画像形成部207は、シート給送部204の上方に配置される。画像形成部207は、感光体ドラム2071と、現像部2072と、を備える。画像形成部207では、露光部206から照射されたレーザー光によって感光体ドラム2071の外周面に原稿画像の静電潜像が形成される。現像部2072は、感光体ドラム2071の外周面の静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。転写部208は、感光体ドラム2071の外周面に形成されたトナー像をシートSに転写する。
【0016】
定着部209は、転写部208の上方に配置される。定着部209は、トナー像が転写されたシートSを加熱、加圧することで、トナー像をシートSに定着させる。
【0017】
シート後処理装置1は、画像形成装置200の本体201の胴内に着脱可能に取り付けられる。定着部209においてトナー像が定着されて印刷が完了したシートSは、シート搬入口1eを通ってシート後処理装置1内に搬入される。シート後処理装置1は、穿孔装置2と、処理トレイ3と、ステープル装置4と、を備える。
【0018】
穿孔装置2は、シート搬入口1eのシート搬送方向下流側に配置される。穿孔装置2は、搬送されるシートSに対して穿孔処理を施し、孔(パンチ穴)を形成する。処理トレイ3は、穿孔装置2のシート搬送方向下流側に配置される。処理トレイ3上では、複数枚のシートSが積載されてシート束が形成され、当該シート束の整合が行われる。ステープル装置4は、処理トレイ3のシート搬送方向上流側に配置される。ステープル装置4は、処理トレイ3に積載されたシート束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じる。
【0019】
シート排出部210は、シート搬送部205が隣接する本体201の側壁とは反対側の側壁であって、シート後処理装置1のシート搬送方向の下流側に配置される。シート後処理装置1を通過したシートSは、シート排出部210まで搬送され、トレイ上に排出される。
【0020】
制御部211は、CPU、記憶部、画像処理部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置200に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置200の機能に係る処理を行う。シート給送部204、シート搬送部205、露光部206、画像形成部207、転写部208、定着部209、及びシート後処理装置1のそれぞれは、制御部211から個別に指令を受け、連動してシートSへの印刷を行う。
【0021】
なお、シート後処理装置1の制御に関して、上記制御部211が有する制御機能を、シート後処理装置1が有することにしても良い。
【0022】
続いて、シート後処理装置1の穿孔装置2の概略構成について、図2を用いて説明する。図2は、図1のシート後処理装置1の穿孔装置2の斜視図である。以下の図中には、シート搬送方向Dc、及びシート搬送方向Dcと直交するシート幅方向Dwのそれぞれを示す矢線を適宜描画した。
【0023】
穿孔装置2は、図2に示すように、穿孔モーター21と、回転検知部22と、シャフト23と、上ガイド部材24と、下ガイド部材25と、穿孔部30と、を備える。
【0024】
穿孔モーター21は、穿孔装置2のシート幅方向Dwの一端部に配置される。穿孔モーター21は、ギヤを介してシャフト23と連結され、シャフト23を回転させる。穿孔モーター21は、例えばDCブラシモーターを用いることができる。
【0025】
回転検知部22は、穿孔モーター21とシャフト23との連結箇所に隣接して配置される。回転検知部22は、シャフト23の回転を検知する。回転検知部22は、第1パルス板221と、第2パルス板222と、センサー部223と、を有する。
【0026】
第1パルス板221及び第2パルス板222は、シャフト23に固定され、シャフト23とともにシャフト23の軸線回りに回転する円板形状で構成される。第1パルス板221は、シート幅方向Dwに貫通し、周方向に等角度間隔で配置された複数のスリットを外周部に有する。第2パルス板222は、シート幅方向Dwに貫通し、径方向外縁部に配置された単一の切欠き部を有する。
【0027】
センサー部223は、第1センサー及び第2センサー(いずれも不図示)を有する。第1センサー及び第2センサーは、発光部と受光部とを有する透過型の光センサーである。第1センサー及び第2センサーは、それぞれの光路上をシャフト23に固定された第1パルス板221及び第2パルス板222それぞれの外周部が通過するように配置される。制御部211は、第1センサーの出力(パルス周期)に基づき、シャフト23の回転速度を検知する。制御部211は、第2センサーの出力に基づき、シャフト23回転角度が基準角度(ホームポジション)になったことを検知する。
【0028】
シャフト23は、穿孔装置2のシート幅方向Dwの両端部にわたって延びる。シャフト23は、ギヤを介して穿孔モーター21と連結されて当該穿孔モーター21から動力を得て、シート幅方向Dwに延びる軸線回りに回転する。シャフト23は、穿孔部30の後述する穿孔刃31を往復移動させる。
【0029】
上ガイド部材24及び下ガイド部材25は、シャフト23の下方に配置される。上ガイド部材24及び下ガイド部材25は、シート搬送方向Dc及びシート幅方向Dwに延びる板状部材で構成される。上ガイド部材24及び下ガイド部材25は、所定間隔の間隙を隔てて上下方向に対向配置される。上ガイド部材24と下ガイド部材25との間の当該間隙が、シート搬送経路Rsである。
【0030】
穿孔部30は、上ガイド部材24の上方に配置される。本実施形態において、穿孔装置2は、シャフト23に沿ってシート幅方向Dwの所定位置に並置された4つの穿孔部30を備える。穿孔部30は、シート幅方向Dwに貫通するシャフト23から動力を得て、上ガイド部材24と下ガイド部材25との間を通過するシートSに穿孔処理を施して孔(パンチ穴)を形成する。
【0031】
続いて、穿孔装置2の穿孔部30の詳細な構成について、図2に加えて図3から図8を用いて説明する。図3図4及び図5は、図2の穿孔装置2の部分拡大斜視図、垂直断面正面図及び垂直断面側面図である。図6は、図2の穿孔装置2の穿孔ガイド32の垂直断面正面図である。図7及び図8は、図2の穿孔装置2の穿孔状態を示す垂直断面正面図及び垂直断面側面図である。なお、図3では、カムカバー36の描画を省略している。
【0032】
穿孔部30は、図3図4及び図5に示すように、穿孔刃31と、穿孔ガイド32と、ホルダー33と、付勢部材34と、偏心カム35と、カムカバー36と、接続ピン37と、を備える。
【0033】
穿孔刃31は、上ガイド部材24の上方であって、シャフト23の鉛直下方に配置される。穿孔刃31は、上ガイド部材24と下ガイド部材25との間のシート搬送経路Rsを搬送されるシートSの一面の法線方向(上方向)に延びる円柱形状または円筒形状の部材である。本実施形態において、穿孔刃31は、金属製のパイプであり、下端部に刃先31eが形成されている。穿孔刃31は、シート搬送経路Rsを搬送されるシートSに孔を形成する。
【0034】
上ガイド部材24及び下ガイド部材25は、貫通孔24h、25hを有する。貫通孔24h、25hは、上下方向において穿孔刃31と対向する位置に配置される。貫通孔24h、25hは、図7及び図8に示すように、シート搬送経路Rsを搬送されるシートSに対する穿孔、退避の際に上下方向に移動する穿孔刃31が通過する。
【0035】
穿孔ガイド32は、上ガイド部材24の上側に固定される。また、穿孔ガイド32は、シャフト23の下方に位置する。穿孔ガイド32は、穿孔刃31のシートSに対する移動方向、すなわち上下方向に延びる円筒形状で構成される。穿孔刃31は、穿孔ガイド32内を上下方向に移動する。穿孔ガイド32は、穿孔刃31の移動をガイドする。
【0036】
ホルダー33は、穿孔刃31の上部であって、円柱形状または円筒形状である穿孔刃31及び穿孔ガイド32の径方向外側に配置される。ホルダー33は、上下方向から見た中央部に配置され、上下方向に貫通して穿孔刃31及び穿孔ガイド32が通過する孔部33hを有する。また、ホルダー33は、シャフト23の下方に位置する。
【0037】
ホルダー33は、接続ピン37を介して穿孔刃31の上部に接続される。ホルダー33は、穿孔刃31を保持する。穿孔刃31が上下方向に移動する際、ホルダー33は、穿孔ガイド32の径方向外側を上下方向に移動する。
【0038】
付勢部材34は、穿孔ガイド32の径方向外側であって、上下方向においてホルダー33と上ガイド部材24との間に配置される。付勢部材34は、圧縮コイルばねで構成され、コイル部の内側に穿孔刃31及び穿孔ガイド32が位置する。付勢部材34は、上ガイド部材24に対し、ホルダー33を上方に向かって付勢している。言い換えれば、付勢部材34は、穿孔刃31がシート搬送経路Rsを搬送されるシートSに対して離間する退避方向にホルダー33を付勢している。
【0039】
偏心カム35は、ホルダー33の上側に配置される。偏心カム35は、シャフト23に固定される。偏心カム35は、カム部35aと、軸部35bと、を有する。
【0040】
カム部35aは、ホルダー33の上面に上方から接触する。カム部35aは、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)から見て円形の円板形状に形成される。ホルダー33は、円板形状であるカム部35aの外周部に接触する。軸部35bは、円形であるカム部35aの中心より偏心した位置に配置され、シャフト23の軸線方向に沿って延びる円筒形状に形成される。シャフト23は、軸部35b内に挿入され、固定される。
【0041】
偏心カム35は、穿孔モーター21から動力を得て、シャフト23とともにシャフト23の軸線回りに回転する。このとき、偏心カム35は、ホルダー33に接触し、付勢部材34の付勢力に抗して回転する。そして、偏心カム35は、穿孔刃31がシート搬送経路Rsを搬送されるシートSに接近する穿孔方向にホルダー33を移動させる。
【0042】
カムカバー36は、ホルダー33の上側に取り付けられ、偏心カム35を覆う。カムカバー36は、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)から見て弧形状に形成される。カムカバー36の内周の上端部は、カム部35aの外周部に隣接する。
【0043】
穿孔処理の終了後に穿孔刃31を引き上げる際、偏心カム35は、外周部がカムカバー36の内周面に沿って摺動しながら、長径部が上方へ移動するように回転する。すなわち、カムカバー36は、付勢部材34の付勢力によってホルダー33(穿孔刃31)を押し上げる際の偏心カム35の移動を補助する。
【0044】
図4及び図5に示すように、偏心カム35の長径部35cがシャフト23よりも上方に位置するとき、ホルダー33は、付勢部材34の作用によってシート搬送経路Rsを搬送されるシートSに対して離間する退避方向(上方向)に付勢され、穿孔刃31が退避位置に配置される。
【0045】
図4及び図5に示す状態から偏心カム35が回転する場合、偏心カム35は、付勢部材34の付勢力に抗してホルダー33を押し下げるように回転する。偏心カム35は、穿孔刃31がシート搬送経路Rsを搬送されるシートSに接近する穿孔方向にホルダー33を移動させる。穿孔刃31は、シートSに接触し、さらに押し下げられることでシートSに孔を形成する。
【0046】
そして、図7及び図8に示すように、偏心カム35の長径部35cが最も低い位置に到達すると、穿孔刃31が穿孔完了位置に配置されて、シートSに対する穿孔処理が完了する。
【0047】
図7及び図8に示すように、偏心カム35は、穿孔方向にホルダー33を移動させるときに、偏心カム35の回転軸線方向(シート幅方向Dw)から見て穿孔ガイド32と重なるように穿孔ガイド32の側方を通過する。言い換えれば、図8に示すようにシート幅方向Dwから見て、偏心カム35のカム部35aは、穿孔ガイド32のシート幅方向Dwの外側に位置し、当該位置において偏心カム35の軸線回りに回転する。
【0048】
上記の構成によれば、偏心カム35は、穿孔刃31の先端によるシートSの穿孔位置(貫通孔24h、25hの間の箇所)に対して穿孔ガイド32の配置領域を隔てた反対側(穿孔ガイド32の上側)の領域に、回転時にわたって常時位置するわけではない。これにより、穿孔刃31の移動方向(上下方向)に沿った穿孔装置2の長さを短くすることができる。言い換えれば、穿孔装置2の高さを低くすることができる。したがって、穿孔装置2の小型化を図ることが可能になる。
【0049】
接続ピン37は、図5に示すように、ホルダー33に取り付けられる。これに関して、穿孔刃31は、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に貫通する接続穴31hを上部に有する。接続ピン37は、接続穴31hに挿入され、穿孔刃31とホルダー33とを接続する。なお、詳細に言えば、接続ピン37は、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に対し、接続穴31hの一方側及び他方側で穿孔刃31から突出し、それらの両端部でホルダー33に支持される。
【0050】
穿孔ガイド32は、図5及び図6に示すように、長穴32hを有する。長穴32hは、円筒形状で構成される穿孔ガイド32をシャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に貫通するとともに、その長手方向が穿孔刃31の移動方向(上下方向)に延びる。長穴32hは、接続ピン37が挿入される。
【0051】
なお、長穴32hは、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に互いに対向する2箇所に配置される。詳細に言えば、接続ピン37は、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に対し、穿孔刃31の一方側及び他方側のそれぞれにおいて長穴32hに挿入される。
【0052】
上記の構成によれば、円筒形状の穿孔ガイド32内に配置された穿孔刃31を、ホルダー33と一体として移動させることができる。これにより、穿孔刃31を容易に上下方向に往復移動させることができ、円滑な穿孔処理を実現することが可能になる。
【0053】
また、偏心カム35は、図3及び図5に示すように、2つのカム部35aを有する。2つのカム部35aのそれぞれは、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)から見て円形の同一形状で形成され、当該軸線方向に間隔を空けて平行配置されている。軸部35bは、2つのカム部35aを接続している。
【0054】
2つのカム部35aは、互いの回転時に同じ外周端でホルダー33に接触する。例えば、2つのカム部35aはともに、図4及び図5に示すようにホルダー33が最も高い位置にあるとき短径部35dでホルダー33に接触し、図7及び図8に示すようにホルダー33が最も低い位置にあるとき長径部35cでホルダー33に接触する。
【0055】
穿孔ガイド32は、図5及び図8に示すように、偏心カム35の回転軸線方向(シート幅方向Dw)において2つのカム部35aの間に位置するように配置される。ホルダー33が穿孔方向に移動するとき、2つのカム部35aは、偏心カム35の回転軸線方向(シート幅方向Dw)から見て穿孔ガイド32と重なるように穿孔ガイド32の側方を通過する。
【0056】
上記の構成によれば、シャフト23の軸線方向(シート幅方向Dw)に対して穿孔刃31の一方側及び他方側のそれぞれにおいて、ホルダー33を押し下げる力をホルダー33に加えることができる。これにより、穿孔ガイド32の延伸方向に沿って直線的に、穿孔刃31を上下方向に往復移動させることができる。したがって、穿孔刃31の移動時のガタツキを抑制することができ、円滑な穿孔処理を実現することが可能になる。
【0057】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0058】
例えば、上記実施形態において、画像形成装置200は、モノクロ印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、例えばカラー印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、穿孔装置及びシート後処理装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 シート後処理装置
2 穿孔装置
21 穿孔モーター
22 回転検知部
23 シャフト
24 上ガイド部材
25 下ガイド部材
30 穿孔部
31 穿孔刃
31e 刃先
31h 接続穴
32 穿孔ガイド
32h 長穴
33 ホルダー
34 付勢部材
35 偏心カム
35a カム部
35b 軸部
35c 長径部
36 カムカバー
37 接続ピン
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8