(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096968
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/54 20230101AFI20250623BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250623BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20250623BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20250623BHJP
H10F 39/12 20250101ALI20250623BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250623BHJP
【FI】
H04N23/54
G03B15/00 V
G03B30/00
G02B7/02 Z
H01L27/146 D
H05K1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213001
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功二
(72)【発明者】
【氏名】深代 優希
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 正太郎
【テーマコード(参考)】
2H044
4M118
5C122
5E338
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
4M118AA08
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA01
4M118FA33
4M118GD02
4M118HA22
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA01
5C122FB03
5C122FC01
5C122FC02
5C122FC06
5C122GE18
5E338AA05
5E338AA16
5E338BB12
5E338BB54
5E338BB75
5E338CD01
5E338CD11
5E338EE13
5E338EE27
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】撮像センサにおける回路の破損を抑制する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、湾曲状の凹部を有する台座と、凹部に沿った湾曲状とされて凹部に固定されている撮像センサ30と、レンズと、を備え、撮像センサは、長辺312と、短辺314とを含む基板304と、素子領域306と、回路領域310と、を有し、素子領域306は、長辺312に沿う方向に延びている第1領域辺321を含み、長辺312の中心からの距離が長辺312の長さの8分の1となる長辺312上の点Psを通るとともに、短辺314に沿う方向に延びる直線を第1分割線Ls1とし、長辺312および第1領域辺321の間の中心を通るとともに、長辺312に沿う方向に延びる直線を第2分割線Ls2とすると、回路領域310は、第1分割線Ls1と第2分割線Ls2と基板の厚み方向に延びる辺Tとで区画される区画領域308および素子領域306の外側に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
湾曲状の凹部(200)を有する台座(20)と、
前記凹部に沿った湾曲状とされて前記凹部に固定されている撮像センサ(30)と、
前記撮像センサに撮像光を導くレンズ(28)と、
を備え、
前記撮像センサは、
相対する2つの第1辺(312)と、前記第1辺と接続されて前記第1辺が延びている方向と交差する方向に延びており、長さが前記第1辺の長さよりも短くされている、相対する2つの第2辺(314)と、を含む基板(304)と、
撮像素子が配置されている領域である素子領域(306)と、
前記撮像素子と接続された回路が配置されている領域である回路領域(310)と、
を有し、
前記素子領域は、前記第1辺に沿う方向に延びている、相対する2つの領域辺(321)を含み、
前記第1辺の中心からの距離が前記第1辺の長さの8分の1となる前記第1辺上の点(Ps)を通るとともに、前記第2辺に沿う方向に延びる直線を第1分割線(Ls1)とし、
前記第1辺および前記領域辺の間の中心を通るとともに、前記第1辺に沿う方向に延びる直線を第2分割線(Ls2)とすると、
前記回路領域は、前記第1分割線と前記第2分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(308)および前記素子領域の外側に位置している撮像装置。
【請求項2】
前記基板の厚さは、10μm以上、100μm以下とされており、
前記基板の曲率中心(Ob)と、相対する前記基板の両端部(305)とを結んだ直線でなす角度である湾曲角(θ)は、41°以上とされている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像装置であって、
湾曲状の凹部(200)を有する台座(20)と、
前記凹部に沿った湾曲状とされて前記凹部に固定されている撮像センサ(30)と、
前記撮像センサに撮像光を導くレンズ(28)と、
を備え、
前記撮像センサは、
相対する2つの第1辺(331)と、前記第1辺と接続されて前記第1辺が延びている方向と交差する方向に延びており、長さが前記第1辺の長さと同じとされている、相対する2つの第2辺(332)と、を含む基板(304)と、
撮像素子が配置されている領域である素子領域(306)と、
前記撮像素子と接続された回路が配置されている領域である回路領域(310)と、
を有し、
前記第1辺の中心からの距離が第1距離(X1)の半分となる前記第1辺上の点(Ps1)を通るとともに、前記第2辺に沿う方向に延びる直線を第1分割線(Ls1)とし、
前記第2辺に沿う方向における前記第1辺からの距離が第2距離(Y1)となる直線であって、前記基板上を通り、前記第1辺に沿う方向に延びる直線を第2分割線(Ls2)とし、
前記第1辺および前記第2辺の長さをHとし、
前記第1距離をX1とし、
前記第2距離をY1とし、
前記基板の曲率中心(Ob)と、相対する前記基板の両端部(305)とを結んだ直線でなす角度をθとすると、
前記θは、41°以上とされており、
前記第1分割線と前記第2分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(341)は、
0.0405×θ-1.4563<X1/H
0.0034×θ-0.1164<Y1/H
が成立するように形成されており、
前記回路領域は、前記第1分割線と前記第2分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(341)および前記素子領域の外側に位置している撮像装置。
【請求項4】
前記第2辺の中心からの距離が第3距離(X2)の半分となる前記第2辺上の点(Ps3)を通るとともに、前記第1辺に沿う方向に延びる直線を第3分割線(Ls3)とし、
前記第1辺に沿う方向における前記第2辺からの距離が第4距離(Y2)となる直線であって、前記基板上を通り、前記第2辺に沿う方向に延びる直線を第4分割線(Ls4)とし、
前記第3距離をX2とし、
前記第4距離をY2とすると、
前記第3分割線と前記第4分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(342)は、
0.0405×θ-1.4563<X2/H
0.0034×θ-0.1164<Y2/H
が成立するように形成されており、
前記回路領域は、前記第3分割線と前記第4分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(342)の外側に位置している請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1分割線と前記第2分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域にかかる圧縮応力は、前記撮像センサにかかる圧縮応力のうち最大とされている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1分割線と前記第2分割線と前記基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域にかかる圧縮応力は、1800MPa以上とされている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、支持部材に設けられた凹面湾曲部に湾曲して固定されている撮像センサを備える撮像装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような撮像装置では、撮像センサの曲率半径を小さくすることに伴って、レンズの枚数を少なくできるとともに、周辺画角まで鮮明な画像を生成できる。しかし、撮像センサの曲率半径が小さくなることに伴って、撮像センサに発生する応力が大きくなる。これにより、撮像センサ内における配線、ビア等のコンタクト部、パッド等の回路に発生する応力が大きくなる。このため、撮像センサ内の回路が破損する。回路が破損すると、配線、コンタクト部やパッドの抵抗が高くなる等の回路異常が発生する。この回路異常により、生成された画像にノイズが発生する等の表示異常が発生する。
【0005】
本開示は、撮像センサにおける回路の破損を抑制する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮像装置であって、湾曲状の凹部(200)を有する台座(20)と、凹部に沿った湾曲状とされて凹部に固定されている撮像センサ(30)と、撮像センサに撮像光を導くレンズ(28)と、を備え、撮像センサは、相対する2つの第1辺(312)と、第1辺と接続されて第1辺が延びている方向と交差する方向に延びており、長さが第1辺の長さよりも短くされている、相対する2つの第2辺(314)と、を含む基板(304)と、撮像素子が配置されている領域である素子領域(306)と、撮像素子と接続された回路が配置されている領域である回路領域(310)と、を有し、素子領域は、第1辺に沿う方向に延びている、相対する2つの領域辺(321)を含み、第1辺の中心からの距離が第1辺の長さの8分の1となる第1辺上の点(Ps)を通るとともに、第2辺に沿う方向に延びる直線を第1分割線(Ls1)とし、第1辺および領域辺の間の中心を通るとともに、第1辺に沿う方向に延びる直線を第2分割線(Ls2)とすると、回路領域は、第1分割線と第2分割線と基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(308)および素子領域の外側に位置している撮像装置である。
また、請求項3に記載の発明は、撮像装置であって、湾曲状の凹部(200)を有する台座(20)と、凹部に沿った湾曲状とされて凹部に固定されている撮像センサ(30)と、撮像センサに撮像光を導くレンズ(28)と、を備え、撮像センサは、相対する2つの第1辺(331)と、第1辺と接続されて第1辺が延びている方向と交差する方向に延びており、長さが第1辺の長さと同じとされている、相対する2つの第2辺(332)と、を含む基板(304)と、撮像素子が配置されている領域である素子領域(306)と、撮像素子と接続された回路が配置されている領域である回路領域(310)と、を有し、第1辺の中心からの距離が第1距離(X1)の半分となる第1辺上の点(Ps1)を通るとともに、第2辺に沿う方向に延びる直線を第1分割線(Ls1)とし、第2辺に沿う方向における第1辺からの距離が第2距離(Y1)となる直線であって、基板上を通り、第1辺に沿う方向に延びる直線を第2分割線(Ls2)とし、第1辺および第2辺の長さをHとし、第1距離をX1とし、第2距離をY1とし、基板の曲率中心(Ob)と、相対する基板の両端部(305)とを結んだ直線でなす角度をθとすると、θは、41°以上とされており、第1分割線と第2分割線と基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(341)は、
0.0405×θ-1.4563<X1/H
0.0034×θ-0.1164<Y1/H
が成立するように形成されており、回路領域は、第1分割線と第2分割線と基板の厚み方向に延びる辺(T)とで区画される領域(341)および素子領域の外側に位置している撮像装置である。
【0007】
これにより、応力が比較的小さい領域にて、回路が配置される。このため、撮像センサにおける回路の破損が抑制される。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】撮像装置における撮像センサの側面図および断面図。
【
図4】撮像センサにおける応力分布を示すシミュレーション結果を表す図。
【
図5】撮像センサにおける湾曲角および圧縮応力の関係を示す図。
【
図6】第2実施形態の撮像装置における撮像センサの側面図および断面図。
【
図7】撮像センサにかかる圧縮応力が1800MPa以上となるときの湾曲角および第1基板辺の長さに対する第1基板辺に沿う方向の第1領域の長さの比の関係を示す図。
【
図8】撮像センサにかかる圧縮応力が1800MPa以上となるときの湾曲角および第2基板辺の長さに対する第2基板辺に沿う方向の第1領域の長さの比の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の撮像装置では、撮像センサにおける回路の破損が抑制される。また、本実施形態の撮像装置は、車両に搭載され、車両の周囲に位置する対象物を撮像するための撮像光を取り込む。
【0012】
具体的には、
図1に示すように、撮像装置5は、支持部材10、台座20、鏡筒25、レンズ28、撮像センサ30および凹部用接合部材40を備える。
【0013】
支持部材10は、プリント基板を有する。また、支持部材10は、そのプリント基板上に、図示しない増幅回路や信号処理回路等、または、コンデンサや抵抗等の電子部品を有する。
【0014】
台座20は、ガラス、セラミックス、アルミニウム等で形成されている。さらに、台座20は、支持部材10の一面100上に図示しない接着剤等の接合部材を介して固定されている。また、台座20は、凹部200を有する。
【0015】
凹部200は、台座20のうち支持部材10側とは反対側の面である台座面202から凹んでいる。さらに、凹部200は、所定の曲率半径を有する湾曲状とされている。
【0016】
鏡筒25は、円筒状に形成されている。また、鏡筒25は、支持部材10の一面100上に図示しない接着剤等の接合部材を介して固定されている。さらに、鏡筒25の内部には、台座20が配置されている。また、鏡筒25は、保持部250を有する。保持部250は、鏡筒25の内壁面から突出している複数の凸部を含む。さらに、凸部は、鏡筒25の軸方向に並んでいる。
【0017】
レンズ28は、ガラス等で形成されている。また、レンズ28の両端は、保持部250の凸部に挟まれている。これにより、レンズ28は、保持部250に保持されている。さらに、レンズ28を介して、撮像光が後述の撮像センサ30に取り込まれる。なお、撮像光が撮像センサ30に取り込まれるように、レンズ28および鏡筒25の位置が調整されている。
【0018】
撮像センサ30は、凹部200に沿った湾曲状とされて凹部200に固定されている。また、撮像センサ30は、図示しないボンディングワイヤ等によって支持部材10と電気的に接続されている。さらに、撮像センサ30は、
図1および
図2に示すように、固定面300、センサ面302、基板304、素子領域306、区画領域308および回路領域310を有する。
【0019】
固定面300は、凹部用接合部材40を介して、凹部200と固定されている面である。凹部用接合部材40は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。センサ面302は、固定面300とは反対側の面であって、レンズ28を通った撮像光が当たる面である。
【0020】
基板304は、シリコン等で形成されている。また、基板304は、凹部200に配置される前では平面矩形状とされており、凹部200に配置される際に、凹部200に沿った湾曲状とされている。基板304の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下とされている。さらに、基板304は、相対する2つの長辺312および相対する2つの短辺314を含む。
【0021】
長辺312は、第1辺に相当している。短辺314は、第2辺に相当している。また、長辺312と短辺314とは、接続されている。さらに、短辺314は、長辺312が延びている方向と交差する方向、ここでは、長辺312と直交する方向に延びている。また、短辺314の長さは、長辺312の長さよりも短くされている。このため、短辺314の長さに対する長辺312の長さの比であるアスペクト比は、1.0よりも大きくされている。
【0022】
ここで、
図3に示すように、基板304の曲率中心Obと、相対する基板304の両端部305とを結んだ直線でなす角度を湾曲角θとする。相対する基板304の両端部305の長さを基板長さAとする。基板長さは、ここでは、基板304の厚み方向における両端部305の中心間の円弧長である。さらに、曲率中心Obから基板304の厚み方向における両端部305の中心までの距離をセンサ曲率半径Rbとする。なお、基板長さAは、基板304の厚み方向における両端部305の中心間の円弧長であることに限定されない。また、センサ曲率半径Rbは、曲率中心Obから基板304の厚み方向における両端部305の中心までの長さであることに限定されない。例えば、基板長さAは、長辺312の長さであってもよい。すなわち、基板長さAは、両端部305のうち曲率中心Obとは反対側の端間の円弧長とされてもよい。この場合、センサ曲率半径Rbは、曲率中心Obから、両端部305のうち曲率中心Ob側または曲率中心Obとは反対側の端までの長さとされる。
【0023】
そして、湾曲角θは、基板長さAおよびセンサ曲率半径Rbを用いて、下記関係式(1)のように表される。また、湾曲角θは、41°以上、180°以下とされていることが好ましい。
【0024】
θ=(180×A)÷(π×Rb) ・・・(1)
【0025】
図2に戻って、素子領域306は、CCD素子やCMOS素子等の撮像素子が2次元配置されている領域である。なお、CCDは、Charge Coupled Deviceの略である。CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略である。
【0026】
また、素子領域306は、相対する2つの第1領域辺321および相対する2つの第2領域辺322を含む。第1領域辺321は、長辺312に沿う方向に延びている。第2領域辺322は、第1領域辺321と接続されているとともに短辺314に沿う方向に延びている。なお、ここでは、第1領域辺321の長さは、第2領域辺322の長さよりも長くなっているところ、これに限定されない。第1領域辺321の長さは、第2領域辺322の長さ以下であってもよい。
【0027】
また、ここで、長辺312の中心からの距離が長辺312の長さの8分の1となる長辺312上の点を分割点Psとする。分割点Psを通るとともに、短辺314に沿う方向に延びる直線を第1分割線Ls1とする。長辺312および第1領域辺321の間の中心を通るとともに、長辺312に沿う方向に延びる直線を第2分割線Ls2とする。基板304の厚み方向に延びる辺を厚み辺Tとする。
【0028】
そして、区画領域308は、第1分割線Ls1と、第2分割線Ls2と、厚み辺Tとで区画される領域である。区画領域308では、撮像素子や後述の回路が配置されない。
【0029】
回路領域310は、撮像素子と接続された回路が配置されている領域である。撮像素子と接続された回路は、例えば、撮像センサ30内における配線、ビア等のコンタクト部、パッド等である。また、回路領域310は、素子領域306および区画領域308の外側に位置している。
【0030】
以上のように、第1実施形態の撮像装置5は、構成されている。この撮像装置5では、対象物を撮像するための撮像光がレンズ28を通って素子領域306に当たる。このとき、素子領域306に配置されている撮像素子からの信号が、支持部材10のプリント基板上の増幅回路や信号処理回路によって信号処理される。信号処理された信号は、例えば、図示しないディスプレイに出力される。これにより、撮像された対象物がディスプレイに画面表示される。次に、撮像装置5では、撮像センサ30における回路の破損が抑制されることについて説明する。
【0031】
ここで、撮像センサ30を、センサ面302側が凹となるとともに固定面300側が凸となるように湾曲させた状態の撮像センサ30にかかる応力を調査し、
図4に示される結果を得た。なお、
図4は、撮像センサ30における固定面300側の応力に関するシミュレーション結果である。
【0032】
図4に示されるように、固定面300では、区画領域308において、比較的大きな圧縮応力が発生していることが確認された。さらに、区画領域308にかかる圧縮応力は、撮像センサ30にかかる圧縮応力のうち最大とされている。その最大圧縮応力は、1900MPaであった。
【0033】
また、ここで、回路異常が発生した撮像装置5を解析したところ、回路に座屈等の破損が生じるときの圧縮応力は1800MPaであることがわかった。したがって、回路にかかる圧縮応力が1800MPa以上になると、回路が破損する。回路が破損すると、配線、コンタクト部やパッドの抵抗が高くなる等の回路異常が発生する。この回路異常により、生成された画像にノイズが発生する等の表示異常が発生する。さらに、区画領域308にかかる圧縮応力は、1800MPa以上であった。
【0034】
これに対して、本実施形態の撮像装置5では、回路領域310は、素子領域306および区画領域308の外側に位置している。
【0035】
これにより、圧縮応力が比較的小さい領域にて、回路が配置される。このため、撮像センサ30における回路の破損が抑制される。
【0036】
また、第1実施形態の撮像装置5では、以下に記載する効果も奏する。
【0037】
[1]ここで、上記したように、センサ曲率半径Rbが小さくなることに伴って、撮像センサ30に発生する応力が大きくなる。また、センサ曲率半径Rbが小さくなることに伴って、湾曲角θは、大きくなる。したがって、
図5に示すように、湾曲角θが大きくなることに伴って、撮像センサ30に発生する圧縮応力が大きくなる。
図5は、基板304の厚さを固定した場合の湾曲角θおよび撮像センサ30にかかる圧縮応力の関係図である。さらに、
図5では、基板304の厚さは、10μm以上、100μm以下とされている。そして、湾曲角θが41°以上であるとき、区画領域308にかかる圧縮応力が、回路を破損させやすい1800MPa以上となりやすい。
【0038】
これに対して、撮像装置5では、湾曲角θが41°以上であっても、回路領域310は、素子領域306および区画領域308の外側に位置している。
【0039】
これにより、湾曲角θが比較的大きい、すなわち、センサ曲率半径Rbが比較的小さい場合でも、圧縮応力が比較的小さい領域にて、回路が配置される。このため、撮像センサ30における回路の破損が抑制される。また、湾曲角θを比較的大きくできることから、センサ曲率半径Rbを比較的小さくすることができる。このため、レンズ28の枚数を少なくできるとともに、周辺画角まで鮮明な画像を生成することができる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態では、撮像センサ30の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0041】
具体的には、
図6に示すように、撮像センサ30の基板304は、長辺312および短辺314に代えて、相対する2つの第1基板辺331および相対する2つの第2基板辺332を有する。
【0042】
第1基板辺331は、第1辺に相当している。第2基板辺332は、第2辺に相当している。また、第1基板辺331と第2基板辺332とは、接続されている。さらに、第2基板辺332は、第1基板辺331が延びている方向と交差する方向、ここでは、第1基板辺331と直交する方向に延びている。第1基板辺331の長さと、第2基板辺332の長さとは同じとされている。このため、基板304は、凹部200に配置される前では正方形の板状とされている。また、第2基板辺332の長さに対する第1基板辺331の長さの比であるアスペクト比は、1.0とされている。なお、ここでは、「同じ」は、製造誤差範囲を含むものとする。
【0043】
さらに、撮像センサ30の素子領域306における第1領域辺321の長さと、第2領域辺322の長さとは同じとされている。さらに、第1領域辺321および第2領域辺322の長さは、例えば、4.0mm以上、8.0mm以下とされている。なお、第1領域辺321の長さと、第2領域辺322の長さとは同じとされていることに限定されないで、異なっていてもよい。
【0044】
また、撮像センサ30は、区画領域308に代えて、第1領域341および第2領域342を有する。
【0045】
ここで、第1基板辺331の中心からの距離が第1距離X1の半分となる第1基板辺331上の点を第1分割点Ps1とする。第1分割点Ps1を通るとともに、第2基板辺332に沿う方向に延びる直線を第1分割線Ls1とする。第2基板辺332に沿う方向における第1基板辺331からの距離が第2距離Y1となる直線であって、基板304上を通り、第1基板辺331に沿う方向に延びる直線を第2分割線Ls2とする。第2基板辺332の中心からの距離が第3距離X2の半分となる第2基板辺332上の点を第2分割点Ps2とする。第2分割点Ps2を通るとともに、第1基板辺331に沿う方向に延びる直線を第3分割線Ls3とする。第1基板辺331に沿う方向における第2基板辺332からの距離が第4距離Y2となる直線であって、基板304上を通り、第2基板辺332に沿う方向に延びる直線を第4分割線Ls4とする。
【0046】
そして、第1領域341は、第1分割線Ls1と、第2分割線Ls2と、厚み辺Tとで区画される領域である。また、第2領域342は、第3分割線Ls3と、第4分割線Ls4と、厚み辺Tとで区画される領域である。
【0047】
さらに、回路領域310は、素子領域306、第1領域341および第2領域342の外側に位置している。このため、第1領域341および第2領域342には、撮像センサ30内における配線、ビア等のコンタクト部、パッド等である回路が配置されない。
【0048】
また、ここで、第1基板辺331の長さをHとする。第2基板辺332の長さをVとする。第1基板辺331の長さと第2基板辺332の長さとが同じであることから、H=Vとされている。Hに対する第1距離X1の比をX1/Hとする。Vに対する第2距離Y1の比をY1/Vとする。
【0049】
さらに、ここで、基板304の大きさを固定した場合の湾曲角θが41°以上未満において、回路を破損させやすい1800MPaとなるX1/HおよびY1/Vを調査し、
図7および
図8に示される結果を得た。
図7は、湾曲角θおよびX1/Hの関係図である。
図8は、湾曲角θおよびY1/Vの関係図である。
図7および
図8では、HおよびVは、5.0mm以上、10.0mm以下とされている。基板304の厚さは、10μm以上、100μm以下とされている。
【0050】
そして、回路を破損させやすい1800MPaとなる、湾曲角θおよびX1/Hの関係、ならびに、湾曲角θおよびY1/Vの関係は、以下関係式(2-1)および(2-2)の左辺のように表された。これに基づき、第1領域341は、上記関係式(2-1)および(2-2)が成立するように形成されている。なお、上記したように、Vが5.0mm以上、10.0mm以下とされており、第1領域辺321および第2領域辺322の長さが4.0mm以上、8.0mm以下とされている。このことから、第1領域辺321および第1基板辺331の間の距離は、1.0mm以上、2.0mm以下とされている。また、第1領域辺321および第1基板辺331の間の距離の半分は、0.5mm以上、1.0mm以下とされている。したがって、Y1/Vの最大値は、例えば、0.5÷5=0.10、または、1.0÷10=0.10とされている。
【0051】
0.0405×θ-1.4563<X1/H≦0.25 ・・・(2-1)
0.0034×θ-0.1164<Y1/V≦0.10 ・・・(2-2)
【0052】
これにより、第1領域341は、回路を破損させやすい1800MPa以上の圧縮応力となる領域とされる。また、上記したように、回路領域310が第1領域341の外側に位置していることから、回路領域310にかかる圧縮応力は、回路を破損させやすい1800MPa未満とされやすくなる。したがって、撮像センサ30における回路の破損が抑制される。
【0053】
さらに、ここで、第2基板辺332に沿う方向における第2領域342の長さをX2とする。第1基板辺331に沿う方向における第2領域342の長さをY2とする。Vに対する第3距離X2の比をX2/Vとする。Hに対する第4距離Y2の比をY2/Hとする。
【0054】
そして、上記と同様に、第2領域342は、下記関係式(2-3)および(2-4)が成立するように形成されている。これにより、第2領域342は、回路を破損させやすい1800MPa以上の圧縮応力となる領域とされる。また、上記したように、回路領域310が第2領域342の外側に位置していることから、回路領域310にかかる圧縮応力は、回路を破損させやすい1800MPa未満とされやすくなる。よって、撮像センサ30における回路の破損が抑制される。
【0055】
0.0405×θ-1.4563<X2/V≦0.25 ・・・(2-3)
0.0034×θ-0.1164<Y2/H≦0.10 ・・・(2-4)
【0056】
以上のように、第2実施形態の撮像装置5は、構成されている。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0058】
上記各実施形態では、撮像装置5は、車両に用いられる。これに対して、撮像装置5は、車両に用いられることに限定されないで、例えば、建物や設備等に用いられてもよい。
【0059】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0060】
20 台座
28 レンズ
30 撮像センサ
200 凹部
304 基板
306 素子領域
308 区画領域
310 回路領域