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特開2025-96971コネクタハウジングに対する端子の挿入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096971
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】コネクタハウジングに対する端子の挿入方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20250623BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213005
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 友美
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CH01
5G352CH02
(57)【要約】
【課題】電線の端末の誤挿入をの可能性を低減する。
【解決手段】メスコネクタハウジング10の端子収容室11に挿入する端子1付き電線2を第1~第4の複線F1~F4ごとにグループ分けし、端子収容室も同様にグループ分けする。各端子収容室グループTG1~TG4の端子収容室をX方向に一列に並ぶ配列とし、配列の順に優先順位N1~N3を付ける。各複線グループFG1~FG4のそれぞれにおいて、複数の電線2に、端子収容室の配列に対応させた優先順位N1~N3を付ける。優先順位第1位は白電線W、第2位は黒電線B、第3位は赤電線Rとし、各グループに含まれる電線の端子を優先順位に従い端子収容室11に挿入する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1の方向と第2の方向に沿って複数の端子収容室が配列されたコネクタハウジングの前記各端子収容室に対して端子付き電線の端子を挿入する方法において、
前記各端子収容室にそれぞれ1本ずつ挿入すべき複数の端子付き電線を含む複線グループに対応させて、前記各端子収容室を、前記第1の方向または第2の方向のうちの一方の方向に一列に並ぶ配列とすると共に、配列の順に列の端から優先順位を付け、
前記複線グループに含まれる前記複数の端子付き電線に、挿入すべき端子収容室の配列に対応させた優先順位を付けて、
前記優先順位に従って、前記複線グループに含まれる端子付き電線の前記端子を、対応する各端子収容室に挿入する、
コネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【請求項2】
前記電線に、前記優先順位に対応した識別のための属性が付与されている、
請求項1に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【請求項3】
前記属性として、前記電線に、視覚による区別が可能な配色が施されている、
請求項2に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【請求項4】
前記属性として、前記電線に、視覚による区別が可能な記号または模様が付与されている、
請求項2に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングに対する端子の挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に使用される電気接続用のコネクタは、一般的に、コネクタハウジングに設けられた複数の端子収容室のそれぞれに、コネクタハウジングの後方から、電線の端末に接続された端子を挿入して係止することで構成されている。コネクタハウジングには、後面から見て横方向と縦方向に複数の端子収容室が配列されており、どの端子収容室にどの電線の端末の端子を挿入するかが、設計段階で予め決められている。
【0003】
作業者が手作業で、複数の電線の端子をそれぞれコネクタハウジングの端子収容室に挿入する場合には、電線の色(絶縁被覆の色)で電線を区別できるようにし、電線色と端子収容室の配列の対応表を見ながら、端子の挿入作業を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-281949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記一般的な端子挿入作業においては、作業者は注意深く電線色と端子収容室の対応表を確認しながら作業しないと、適正な端子収容室に適正な電線の端子を挿入できない恐れがあった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタハウジングに対する電線の端末の端子の誤挿入の可能性を低減できる、コネクタハウジングに対する端子の挿入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタハウジングに対する端子の挿入方法は、下記を特徴としている。
互いに交差する第1の方向と第2の方向に沿って複数の端子収容室が配列されたコネクタハウジングの前記各端子収容室に対して端子付き電線の端子を挿入する方法において、
前記各端子収容室にそれぞれ1本ずつ挿入すべき複数の端子付き電線を含む複線グループに対応させて、前記各端子収容室を、前記第1の方向または第2の方向のうちの一方の方向に一列に並ぶ配列とすると共に、配列の順に列の端から優先順位を付け、
前記複線グループに含まれる前記複数の端子付き電線に、挿入すべき端子収容室の配列に対応させた優先順位を付けて、
前記優先順位に従って、前記複線グループに含まれる端子付き電線の前記端子を、対応する各端子収容室に挿入する、
コネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタハウジングに対する電線の端末の端子の誤挿入の可能性を低減できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態としてのコネクタハウジングの端子収容室に対する電線の端末の端子の挿入方法の要領の説明図である。
図2図2は、図1に示す要領で端子の挿入を行ったメスコネクタの後面図である。
図3図3は、図2のメスコネクタと嵌合するオスコネクタの後面図である。
図4図4は、従来のメスコネクタの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態の説明に先立って、本発明が解決しようとする課題の詳細を説明する。
【0012】
コネクタハウジングに挿入する電線は、1本1本が単線状態で作業者の手元に提供される場合もあるが、複線の形で提供される場合もある。複線とは、複数の電線のまとまりであり、例えば、ツイスト線、シールド線、あるいは、複数本の単線がテープ等で束ねられて一纏まりとなったものなどを指す。複線で提供される場合は、複線に含まれる複数の電線を一纏まりとして扱うのが一般的である。
【0013】
このような複線に含まれる電線の端末の端子をコネクタハウジングに挿入する場合は、例えば、図4に示すように、複線F1~F4ごとに端子収容室11を端子収容室グループTG1~TG4にグループ分けする。そして端子収容室グループTG1~TG4内の各端子収容室11に、対応する各複線F1~F4に含まれる電線の端子を挿入するようにしている。
【0014】
図4に示すメスコネクタハウジング10では、後面から見て横方向(第1の方向=X方向)および縦方向(第2の方向=Y方向)に複数の端子収容室11が配列されており、第1~第4の複線F1~F4ごとに、挿入すべき端子収容室グループTG1~TG4が設定されている。第1~第3の複線F1~F3は、それぞれ2本の電線のみを含むタイプであり、2本の電線を区別できるように電線色が決められている。つまり、第1の複線F1は、赤電線Rと、青電線Lの組み合わせとなっている。また、第2、第3の複線F2、F3は、白電線Wと、黒電線Bの組み合わせとなっている。また、第4の複線F4は、5本の電線を含むものであり、5本の電線を区別できるように、黒電線Bと、白電線Wと、赤電線Rと、青電線Lと、黄電線Yeの組み合わせとなっている。
【0015】
これら各複線F1~F4を構成する各電線2の端子1は、それぞれに、図示するように、対応する端子収容室グループTG1~TG4の各端子収容室11に、例えば、電線色と端子収容室の対応表に基づいて挿入される。
【0016】
ところで、図4に示した例では、各複線F1~F4の電線を挿入する端子収容室11の配列の方向がまちまちであり(横方向と縦方向が混在している)、統一性が無かった。また、各端子収容室グループに対する電線色の配列も特にルールがなく任意であり、作業者は注意深く電線色と端子収容室の対応表を見ながら作業しないと、適正な端子収容室に適正な電線の端子を挿入できない恐れがあった。従って、誤挿入の発生が起こりやすかった。
【0017】
本発明の一実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本発明の一実施形態として、メスコネクタハウジングに電線の端末の端子を挿入する方法の要領の説明図、図2は、図1に示す要領で端子の挿入を行ったメスコネクタの後面図である。
【0018】
図1に示すように、挿入の対象であるメスコネクタハウジング10には、互いに交差する第1の方向X(図1の横方向)と第2の方向Y(図1の縦方向)に沿って複数の端子収容室11が配列されている。図示例においては、上・中・下の三段に各7個ずつ、合計21個の端子収容室11が配列されている。本実施形態に係る方法は、このメスコネクタハウジング10の各端子収容室11に対して各電線2の端末に設けられた各端子1を挿入する方法である。
【0019】
ここでは、第1~第4の複線F1~F4の形で挿入すべき電線2が提供されている。各複線F1~F4は、少なくとも2本の電線2を含む。第1~第3の複線F1~F3は、2本の電線2のみを含み、第4の複線F4は、5本の電線2を含んでいる。第1~第4の複線F1~F4に含まれる全ての電線2は、複線F1~F4ごとに1つのグループとして、複数の複線グループFG1~FG4にグループ分けされていると言える。
【0020】
一方、各複線グループFG1~FG4に対応させて、メスコネクタハウジング10の端子収容室11が複数の端子収容室グループTG1~TG4にグループ分けされている。この場合、各端子収容室グループTG1~TG4に含まれる端子収容室11は、第1の方向または第2の方向のうちの一方の方向であるX方向に一列に並ぶ配列とされている。つまり、各複線グループFG1~FG4に含まれる電線を挿入する端子収容室11は、X方向に一列に配列されている。
【0021】
具体的には、第1の端子収容室グループTG1は、下段の端子収容室11の配列の左端(X方向の配列の先頭側)にその位置が設定されている。また、第2の端子収容室グループTG2は、下段の端子収容室11の配列のうち、第1の端子収容室グループTG1の隣にその位置が設定されている。また、第3の端子収容室グループTG3は、中段の端子収容室11の配列の左端(X方向の配列の先頭側)、即ち、第1の端子収容室グループTG1の上側にその位置が設定されている。また、第4の端子収容室グループTG4は、上段の端子収容室11の配列の右端(X方向の配列の終端側)にその位置が設定されている。
【0022】
そして、各端子収容室グループTG1~TG4に含まれる端子収容室11には、配列の順に列の先頭から優先順位第1位N1~優先順位第3位N3が仮想的に付けられている。端子収容室11の優先順位は、左端から右端に向かうX方向に沿った順に設定されている。即ち、第1~第3の各端子収容室グループTG1~TG3は、それぞれ2つしか端子収容室11を含まず、左端の端子収容室11のみが、優先順位第1位N1として設定されている。また、第4の端子収容室グループTG4は、5個の端子収容室11を含み、その5個の端子収容室11の配列の左端が優先順位第1位N1、そのX方向の隣(右隣)が優先順位第2位N2、更にそのX方向の隣(右隣)が優先順位第3位N3として設定されている。
【0023】
また、各複線グループFG1~FG4に含まれる端子付き電線2は、挿入すべき端子収容室11の配列に対応させた優先順位が付けられており、その優先順位の順に端子1付き電線2がX方向に一列に配列されている。ここでは、電線2に、優先順位に対応した識別のための属性として、視覚による区別が可能な配色(基準色)が施されている。つまり、優先順位の識別は、作業者が一見して分かるように、電線色で行えるようになっている。
【0024】
具体的には、優先順位第1位N1の電線色は「白W」、優先順位第2位N2の電線色は「黒B」、優先順位第3位N3の電線色は「赤R」に設定されている。即ち、優先順位第1位N1の白電線Wは、優先順位第1位N1の端子収容室11(X方向の先頭)に挿入すべきもの、優先順位第2位N2の黒電線Bは、優先順位第2位N2の端子収容室11(X方向の先頭の次)に挿入すべきもの、優先順位第3位N3の赤電線Rは、優先順位第3位N3の端子収容室11(X方向の先頭の次の次)に挿入すべきもの、として区別できるようになっている。
【0025】
いずれの複線の場合も、必ず「基準色」である「白」か「黒」か「赤」の電線を含むように電線色が決められており、複線に含まれる電線の組み合わせが2本の場合は、そのうちの1本が白電線に固定されている。また、複線に含まれる電線の組み合わせが3本の場合は、そのうちの1本目が白電線、2本目が黒電線に固定されている。また、複線に含まれる電線の組み合わせが4本以上の場合は、そのうちの1本目が白電線、2本目が黒電線、3本目が赤電線に固定されている。
【0026】
図示例の第1~第3の複線F1~F3は、それぞれ2本の電線2を含むものであるから、2本の電線2を区別できるように電線色が決められている。つまり、第1の電線は、共通色として第1の基準色である白電線とされている。また、残りの第2の電線は、第1~第3の複線F1~F3で異なる任意の色の電線とされている。この第2の電線の配色の意義については後述する。
【0027】
また、第4の複線F4は、5本の電線2を含むものであるから、5本の電線2を区別できるように電線色が決められいる。つまり、1本目は白、2本目は黒、3本目は赤とされ、4本目と5本目は、任意の色である緑と黄に設定されている。なお、5本の電線2を含む第4の複線F4については、4本目の電線2の電線色を緑に固定してもよい。
【0028】
以上の対応関係を設定した上で実際の挿入を行う。即ち、第1~第4の複線F1~F4と端子収容室11の各グループFG1~FG、TG1~TG4ごとの対応関係を保った状態で、各複線グループFG1~FG4に含まれる電線2の端末の端子1を、対応する端子収容室グループTG1~TG4のそれぞれにおける優先順位の対応する端子収容室11に挿入する。
【0029】
具体的には、各複線グループFG1~FG4の白電線Wは、各端子収容室グループTG1~TG4の優先順位第1位N1の端子収容室11に挿入する。また、第1~第3の複線グループFG1~FG3のもう1本の電線(任意の色の電線)については、第1~第3の各端子収容室グループTG1~TG3の優先順位が定められていない(優先順位外の)端子収容室11に挿入する。
【0030】
また、第4の複線グループFG4の他の電線については、白電線Wの次の黒電線Bを、第4の端子収容室グループTG4の優先順位第2位N2の端子収容室11に挿入し、かつ、黒電線Bの次の赤電線Rを優先順位第3位N3の端子収容室11に挿入する。そして、残りの電線2本は他に設定されたルールに基づいて、優先順位外の端子収容室11に挿入する。
【0031】
以上の要領に従って端子挿入を行うことで、図2に示すような配列パターンで電線の端末が挿入されたコネクタを得ることができる。なお、実際に電線の端末をコネクタハウジングの端子収容室に挿入する順番は、電線と端子収容室の対応関係を守る限りにおいて、任意に決めてもよい。第1~第4の複線F1~複線F4をこの順に挿入すると、先に挿入した電線が後から挿入する電線の邪魔になりにくくなり、挿入作業がやりやすくなる利点が得られる。
【0032】
上述の実施形態の挿入方法によれば、予めグループ分けした第1~第4の複線F1~F4のグループFG1~FG4と端子収容室11のグループTG1~TG4とが互いに対応した関係にある。また、各複線グループFG1~FG4のX方向に一列に並んだ電線2の配列と、対応する端子収容室グループTG1~TG4のX方向に一列に並んだ端子収容室11の配列とが対応した関係にある。つまり、各グループFG1~FG4、TG1~TG4の電線2や端子収容室11の配列の方向がX方向に統一されている。言い換えれば、同一コネクタ内で「縦並び」と「横並び」が混在せず、横並びの場合には全部が横並び、縦並びなら全部が縦並びとなっている。さらに、配列の順番も決められている。
【0033】
従って、対応する電線2と端子収容室11とを位置合わせした上で、電線2の端子1を対応する端子収容室11に挿入することにより、電線の端子の端子収容室への誤挿入を防ぐことができる。
【0034】
また、少ない数に設定した優先色(例えば、白、黒、赤の三色)の電線を、各端子収容室グループTG1~TG4内のどの位置に挿入するかを予めルール化しておくことで、作業者が覚えやすくなり、挿入間違いが起こりにくくなる。
【0035】
ところで、同じ本数の電線よりなる複線グループが複数ある場合には、各端子収容室グループに対応する複線グループを、本数以外で区別する必要がある。そこで、その区別には、優先配列しない電線の色の違いを利用する。
【0036】
例えば、図1の例のように、2本の電線よりなる複線グループが3種類(FG1、FG2、FG3)あるとする。その場合、配列の第1番目は白電線で固定であるが、残りの電線の色は任意である。そこで、その残りの電線の色で、対応する端子収容室グループTG1、TG2、TG3のいずれかを特定できるようにすればよい。
【0037】
具体的には、例えば、残りの1本の電線の色が黒であれば、第1の端子収容室グループTG1を特定する、残りの1本の電線の色が赤であれば、第2の端子収容室グループTG2を特定する、残りの1本の電線の色が青であれば、第3の端子収容室グループTG3を特定する、のように、予め決めておけばよい。
【0038】
こうすることにより、同じ本数の電線よりなる複線が複数ある場合であっても、挿入すべき端子収容室グループを容易に特定できる。2本の電線よりなる複線の場合は、2本の電線のうちの1本は白電線であるから、残りの電線は何色あってもよい。
【0039】
以上は、メスコネクタハウジングに対する電線の端末の挿入方法の説明であったが、メスコネクタと嵌合するオスコネクタについても、同様の挿入方法を適用することができる。但し、互いに嵌合するメスコネクタとオスコネクタの配線パターンは左右を逆にした関係となる。このため、図3に示すように、オスコネクタハウジング20の端子収容室21に対しては、グループFG1~FG4、TG1~TG4の配列及び電線(白W、黒B、赤R、緑白G、黄Ye)の配列が逆となる。つまり、X方向が逆向きとなる。
【0040】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0041】
上記実施形態では、複線グループにおいて、複数色の電線色の組み合わせに、基準色を含み、基準色の優先順位を、「白」、「黒」、「赤」の順に定めた例を示したが、これらの色に限定されず、電線色と優先順位との対応をルール化しておけばよい。
【0042】
また、上記実施形態では、電線を識別するための属性として電線色を設定したが、電線色の違いに代えて、あるいは、電線色の違いに加えて、視覚による区別が可能な記号または模様を付してもよい。例えば、1から始まる自然数に準じた記号または模様を電線に付けると、優先順位を認識しやすくなる。
【0043】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るコネクタハウジングに対する端子の挿入方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 互いに交差する第1の方向と第2の方向に沿って複数の端子収容室が配列されたコネクタハウジング(メスコネクタハウジング10、オスコネクタハウジング20)の前記各端子収容室(11、21)に対して端子付き電線(2)の端子(1)を挿入する方法において、
前記各端子収容室にそれぞれ1本ずつ挿入すべき複数の端子付き電線を含む複線グループ(FG1~FG4)に対応させて、前記各端子収容室を、前記第1の方向または第2の方向のうちの一方の方向に一列に並ぶ配列とすると共に、配列の順に列の端から優先順位(第1位N1~第3位N3)を付け、
前記複線グループに含まれる前記複数の端子付き電線に、挿入すべき端子収容室の配列に対応させた優先順位(第1位N1~第3位N3)を付けて、
前記優先順位に従って、前記複線グループに含まれる端子付き電線の端子を、対応する各端子収容室に挿入する、
コネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【0044】
上記[1]に記載の方法によれば、複線グループの電線(2)の優先順位と、対応する一列に並んだ端子収容室(11、21)の優先順位とが対応した関係にある。つまり、電線の優先順位に従って、端子挿入室の配列の方向が一方向に統一されており、配列の順番も決められている。従って、電線の端子を対応する端子収容室に挿入することにより、端子収容室への誤挿入の可能性を低減できる。
【0045】
[2] 前記電線(2)に、前記優先順位(第1位N1~第3位N3)に対応した識別のための属性が付与されている、
上記[1]に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【0046】
上記[2]に記載の方法によれば、電線(2)の属性を見て、優先順位(第1位N1~第3位N3)を把握できるので、各複線グループに含まれる端子付き電線の誤挿入の可能性を効果的に低減できる。
【0047】
[3] 前記属性として、前記電線(2)に、視覚による区別が可能な配色が施されている、
上記[2]に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【0048】
上記[3]に記載の方法によれば、電線(2)の色に基づいて、各複線グループ(FG1~FG4)に含まれる端子付き電線(2)の優先順位(第1位N1~第3位N3)を容易に把握できる。例えば、優先順位の第1位を白電線(W)として、2本の電線よりなる複線グループ(FG1~FG3)の電線を端子収容室に挿入する場合を想定する。この場合、その複線グループ(FG1~FG3)に対応する端子収容室グループ(TG1~TG3)に含まれる端子収容室の配列のうち第1番目の端子収容室に白電線(W)の端子(1)を挿入する。そして、残りの1本の電線の端子を、電線色に関係なく、残る端子収容室に挿入する。これにより、適正な挿入が完了する。
【0049】
また、優先順位の第1位を白電線(W)、第2位を黒電線(B)、第3位を赤電線(R)とした5本の電線よりなる複線グループ(FG4)の電線を端子収容室に挿入する場合を想定する。この場合、その複線グループ(FG4)に対応する端子収容室グループ(TG4)に含まれる端子収容室の配列のうちの第1番目の端子収容室に白電線(W)の端子(1)を挿入する。そして、第2番目の端子収容室に黒電線(B)の端子(1)を挿入し、第3番目の端子収容室に赤電線(R)の端子(1)を挿入し、残りの2本の電線を、電線色に関係なく、残る端子収容室に挿入する。これにより、適正な挿入が完了する。
【0050】
[4] 前記属性として、前記電線に、視覚による区別が可能な記号または模様が付与されている、
上記[2]に記載のコネクタハウジングに対する端子の挿入方法。
【0051】
上記[4]に記載の方法によれば、電線の配色の代わりに、記号や模様を電線に付与しても、上記[3]と同様に適正な端子挿入が可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10 メスコネクタハウジング
11 端子収容室
20 オスコネクタハウジング
21 端子収容室
F1 第1の複線
F2 第2の複線
F3 第3の複線
F4 第4の複線
FG1 第1の複線グループ
FG2 第2の複線グループ
FG3 第3の複線グループ
FG4 第4の複線グループ
TG1 第1の端子収容室グループ
TG2 第2の端子収容室グループ
TG3 第3の端子収容室グループ
TG4 第4の端子収容室グループ
N1 優先順位第1位
N2 優先順位第2位
N3 優先順位第3位
W 白電線(優先順位第1位)
B 黒電線(優先順位第2位)
R 赤電線(優先順位第3位)
L 青電線
G 緑白電線
Ye 黄電線
図1
図2
図3
図4