(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097024
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20250623BHJP
【FI】
H01R13/533 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213072
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鶴 正秀
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】水野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】寺内 健人
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF03
5E087GG12
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR04
5E087RR07
(57)【要約】
【課題】配索材全体の大型化及び重量化を招くことなく配索材の板状導体が接続される端子における温度上昇を抑制することができるコネクタを提供する。
【解決手段】充電インレット1は、導電性の第1バスバー11を有する配索材3と、第1バスバー11に接続されるインレット端子5と、第1バスバー11とインレット端子5との接続部43を収容するハウジング7とを備える。インレット端子5の近傍の第1バスバー11には、導電性を有する第2バスバー21が重ね合わされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の板状導体を有する配索材と、
前記板状導体に接続される端子と、
前記板状導体と前記端子との接続部を収容するハウジングと、を備え、
前記端子の近傍の前記板状導体には、導電性を有する金属板が重ね合わされている、
コネクタ。
【請求項2】
前記金属板は、前記ハウジングの内部に収まるように配置されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記金属板は、前記板状導体と共に前記端子に対して締結部材を用いて共締めされている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記金属板は、銅又は銅合金から形成されている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車等の車両に搭載されたバッテリパックに車両外部から電力を供給(充電)するために、充電コネクタ及び充電ポート(充電インレット)を含む充電システムが利用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている充電ポートには、電気自動車内で充電及び配電を行うために使用される高電力シールドバスバー(配索材)が接続される。この高電力シールドバスバーは、例えば充電ポートからバッテリパックに電力を送る。高電力シールドバスバーの導体は、例えばアルミニウム及び銅等の導電性材料から形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両では、車両の電動化に伴って電力を送るための配索材の板状導体(バスバー)にはより大きな電流が流れるようになっており、この大電流化に伴い、特に板状導体が接続される端子において発生する熱が増加し得る。このため、端子の温度上昇を抑制する必要がある場合には、一般的に、板状導体の熱容量を大きくするために1本の配索材全体を太くする(板状導体の断面積を配索材のほぼ全長にわたって大きくする)、サイズアップの必要があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、配索材全体の大型化及び重量化を招くことなく配索材の板状導体が接続される端子における温度上昇を抑制することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るコネクタは、導電性の板状導体を有する配索材と、板状導体に接続される端子と、板状導体と端子との接続部を収容するハウジングと、を備え、端子の近傍の板状導体には、導電性を有する金属板が重ね合わされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配索材全体の大型化及び重量化を招くことなく配索材の板状導体が接続される端子における温度上昇を抑制することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るコネクタの一例を示す概略的な分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るコネクタの一例を示す概略的な断面図である。
【
図3】インレット端子の近傍の第1バスバーに重ね合わされた第2バスバーを示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
本実施形態に係るコネクタは、車両に搭載されるバッテリーを充電する際に用いられる充電コネクタ又は車両の充電ポートに配置される充電インレット等に適用することが可能である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るコネクタ(充電インレット1)は、配索材3と、端子としてのインレット端子5と、ハウジング7とを備える。
【0012】
配索材3は、複数(本実施形態では2本)用いられ、導電性材料から構成される板状導体(第1バスバー11)を有している。この第1バスバー11は、例えば銅系材料(銅又は銅合金)又はアルミニウム系材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)等の金属材料から構成されている。第1バスバー11を銅又は銅合金から構成することにより、銅はアルミニウムよりも導電率が高いため、アルミニウムを用いた場合と比較して第1バスバー11の大きさ(断面積)を小さくすることができる。また、第1バスバー11の端部には、後述するボルト9を挿通するための第1ボルト挿通孔13が形成されている。
【0013】
インレット端子5は、複数(本実施形態では2つ)用いられている。このインレット端子5は、例えば銅系材料(銅又は銅合金)又はアルミニウム系材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)等の金属材料から構成されている。
【0014】
本実施形態では、インレット端子5は、小径部31と、小径部31の後方側に位置する中径部33と、中径部33の後方側に位置する大径部35と、を有して構成されている。小径部31と中径部33との境界部には環状の第1段差部37が形成され、中径部33と大径部35との境界部には環状の第2段差部39が形成されている(
図2参照)。また、インレット端子5の大径部35の後端面には、ボルト9を締結(螺合)するためのボルト締結孔41が形成されている。
【0015】
これら複数のインレット端子5にはそれぞれ、配索材3の第1バスバー11がボルト9等の締結部材を用いて締結(接続)されている。このボルト9による締結により、第1バスバー11とインレット端子5とが電気的に接続される。第1バスバー11の端部及びインレット端子5の大径部35が、第1バスバー11とインレット端子5との接続部43を構成している。
【0016】
ハウジング7は、内側ハウジング本体51と、インレット端子5を保持する端子ホルダ53と、充電コネクタ(図示せず)が挿入可能に開口形成されたインレット間口55を有する外側ハウジング本体57とを有して構成される。このハウジング7は、合成樹脂材料から構成されていてもよく、金属材料から構成されていてもよい。
【0017】
内側ハウジング本体51は、第1バスバー11とインレット端子5との接続部43を収容する収容空間部59を内部に有している。また、端子ホルダ53は、インレット端子5の大径部35を挿通するための第1端子挿通孔61を有している。さらに、外側ハウジング本体57は、底壁部63と、筒状の側壁部65とを有しており、底壁部63には、インレット端子5の中径部33を挿通するための第2端子挿通孔67が形成されている。
【0018】
図1から
図3に示すように、インレット端子5の近傍の配索材3の導体断面積を増やすために、インレット端子5の近傍の第1バスバー11には、導電性を有する金属板としての第2バスバー21が重ね合わされている。第2バスバー21は、複数(本実施形態では2枚)用いられ、これら複数の第2バスバー21がそれぞれ、配索材3の第1バスバー11に重ね合わされている。この第2バスバー21は、例えば銅系材料(銅又は銅合金)又はアルミニウム系材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)等の金属材料から構成されている。第2バスバー21を銅又は銅合金から構成することにより、銅はアルミニウムよりも導電率が高いため、アルミニウムを用いた場合と比較して第2バスバー21の大きさ(断面積)を小さくすることができる。また、第2バスバー21の端部には、ボルト9を挿通するための第2ボルト挿通孔23が形成されている。
【0019】
なお、配索材3の第1バスバー11と第2バスバー21とは基本的に同じ構造(形状)を持っているため、第1バスバー11としては使用できない端材を第2バスバー21として使用することが可能である。
【0020】
ところで、第1バスバー11及び第2バスバー21が共に銅系材料(銅又は銅合金)から構成されていてもよく、第1バスバー11及び第2バスバー21が共にアルミニウム系材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)から構成されていてもよい。また、第1バスバー11及び第2バスバー21の一方は、銅系材料(銅又は銅合金)から構成され、第1バスバー11及び第2バスバー21の他方が、アルミニウム系材料(アルミニウム又はアルミニウム合金)から構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、第1バスバー11に部分的に重ね合わせた第2バスバー21は、第1バスバー11と共にインレット端子5に対してボルト9を用いて共締めされている。しかしながら、これに限定はされず、第2バスバー21は、ボルト9による共締め固定箇所以外の箇所でボルト等の締結部材によって締結されることにより第1バスバー11に固定されていてもよい。また、第2バスバー21は、溶接等により第1バスバー11に接合されていてもよく、クリップ等の挟持部材によって第1バスバー11と共に挟持されていてもよい。
【0022】
また、本実施形態では、第1バスバー11に部分的に重ね合わせる第2バスバー21の枚数は1枚である。しかしながら、これに限定はされず、第1バスバー11に部分的に重ね合わせる第2バスバー21の枚数は複数枚(2枚以上)であってもよい。
【0023】
さらに、本実施形態では、第2バスバー21の厚さT及び幅Wはそれぞれ、第1バスバー11の厚さ及び幅と同等である。しかしながら、これに限定はされず、第2バスバー21の厚さT及び幅Wがそれぞれ、第1バスバー11の厚さ及び幅とは異なっていてもよい。すなわち、第2バスバー21の厚さTが第1バスバー11の厚さよりも厚くてもよく、第2バスバー21の厚さTが第1バスバー11の厚さよりも薄くてもよい。また、第2バスバー21の幅Wが第1バスバー11の幅よりも大きくてもよく、第2バスバー21の幅Wが第1バスバー11の幅よりも小さくてもよい。
【0024】
さらにまた、本実施形態では、第2バスバー21は、ハウジング7の収容空間部59の内部に収まる長さLに形成されている。すなわち、第2バスバー21は、ハウジング7の収容空間部59の内部に収まるように配置されている。第2バスバー21の長さLは長ければ長いほどインレット端子5の温度上昇の抑制に対しては有利ではあるが、インレット端子5の近傍の配索材3の導体断面積を増やすことによって、インレット端子5における温度上昇を十分に抑制することができる。
【0025】
このように、本実施形態の態様に係るコネクタ(充電インレット1)は、導電性の板状導体(第1バスバー11)を有する配索材3と、板状導体(第1バスバー11)に接続される端子(インレット端子5)とを備える。コネクタ(充電インレット1)は、板状導体(第1バスバー11)と端子(インレット端子5)との接続部43を収容するハウジング7を備える。端子(インレット端子5)の近傍の板状導体(第1バスバー11)には、導電性を有する金属板(第2バスバー21)が重ね合わされている。
【0026】
本実施形態では、インレット端子5の近傍において第2バスバー21を第1バスバー11に重ね合わせることにより、インレット端子5の近傍の配索材3の導体断面積を増やすことができ、インレット端子5の近傍の配索材3の熱容量を増やすことができる。このため、配索材3の蓄熱効果により、配索材3の第1バスバー11が接続されるインレット端子5における温度上昇を効果的に抑制することが可能になる。また、インレット端子5の近傍において第2バスバー21を第1バスバー11に重ね合わせることにより、配索材3全体の大型化及び重量化を抑制することができる。
【0027】
以上、本実施形態によれば、配索材3全体の大型化及び重量化を招くことなく配索材3の板状導体(第1バスバー11)が接続される端子(インレット端子5)における温度上昇を抑制することができるコネクタ(充電インレット1)を提供することができる。
【0028】
コネクタ(充電インレット1)において、金属板(第2バスバー21)は、ハウジング7の内部(収容空間部59)に収まるように配置されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、第2バスバー21は充電インレット1の中に収まるように配置されている。第2バスバー21の長さLは長ければ長いほどインレット端子5の温度上昇の抑制に対しては有利ではあるが、インレット端子5の近傍の配索材3の導体断面積を増やすことによって、インレット端子5における温度上昇を十分に抑制することができる。
【0030】
コネクタ(充電インレット1)において、金属板(第2バスバー21)は、板状導体(第1バスバー11)と共に端子(インレット端子5)に対して締結部材(ボルト9)を用いて共締めされていてもよい。
【0031】
第1バスバー11と第2バスバー21とを共にインレット端子5に共締めすることにより、インレット端子5の近傍の位置において、第1バスバー11と第2バスバー21とが接触し、インレット端子5の近傍の配索材3の導体断面積を増やすことができる。
【0032】
コネクタ(充電インレット1)において、金属板(第2バスバー21)は、銅又は銅合金から形成されていてもよい。
【0033】
第2バスバー21を銅又は銅合金から構成することにより、銅はアルミニウムよりも導電率が高いため、アルミニウムを用いた場合と比較して第2バスバー21の大きさ(断面積)を小さくすることができる。
【0034】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 充電インレット
3 配索材
5 インレット端子
7 ハウジング
11 第1バスバー
21 第2バスバー
43 接続部
59 収容空間部