(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009708
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法及び適用
(51)【国際特許分類】
C01B 25/45 20060101AFI20250109BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20250109BHJP
【FI】
C01B25/45 Z
H01M4/58
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198880
(22)【出願日】2023-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-20
(31)【優先権主張番号】202310823764.X
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310821159.9
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310824556.1
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310823771.X
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310824566.5
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523124740
【氏名又は名称】湖北融通高科先進材料集団股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】孫 傑
(72)【発明者】
【氏名】楊 吉
(72)【発明者】
【氏名】魏 義華
(72)【発明者】
【氏名】何 中林
(72)【発明者】
【氏名】何 健豪
(72)【発明者】
【氏名】許 中柱
(72)【発明者】
【氏名】梅 京
(72)【発明者】
【氏名】程 光春
(72)【発明者】
【氏名】林 碩
(72)【発明者】
【氏名】徐 成
(72)【発明者】
【氏名】林 平均
(72)【発明者】
【氏名】余 孟華
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】王 小▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 超
(72)【発明者】
【氏名】姚 遠
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造効率が高く、製造コストが低く、大規模な工業的製造への適用に適するリン酸鉄リチウムの製法を提供すること。
【解決手段】精製した硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えて、混合スラリーを形成後、一定時間保温し、水洗、加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。次にフラッシュ蒸発乾燥と高温焼結粉砕を経て、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を得て、それらを粉砕、混合し、ヒドロキシリン酸鉄の製品を得る。鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合後、リチウム源と、鉄源と所定の割合で配合し、炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成後、ボールミリング、サンドミリング、噴霧乾燥、焼結、粉砕、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経るリン酸鉄リチウムの製法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、
硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、
硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、
焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得るステップS5と、
鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リチウム源と、鉄源と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、
上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、
上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、
上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む、
ことを特徴とするヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、質量比で、前記硫酸第一鉄:前記リン源:前記沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hであり、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムのうちの一種又は複数種であり、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水のうちの一種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項3】
前記ステップS2では、前記リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15であり、前記ステップS3では、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項4】
前記ステップS3では、水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄の元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とし、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%であり、前記混合スラリーの常温での保温時間は、3hである、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項5】
前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS311と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS312と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS313と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項6】
前記ステップS4では、前記フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御し、焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃とし、焼結時間を4~5hとし、前記ステップS5では、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御し、ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとする、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項7】
前記ステップS5では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項8】
前記ステップS6では、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]であり、前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とし、前記リチウム源は、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸鉄リチウム電極シート材料、リン酸鉄リチウム低炭素製品材料のうちの一種又は複数種であり、前記鉄源は、リン酸鉄、酸化鉄のうちの一種又は複数種であり、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化二ニオブから選ばれる一種又は複数種であり、ドープ量が300~3000ppmの間に制御され、前記ステップS7では、前記サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御し、噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃とし、排気温度を80~110℃とし、送風周波数を80Hzとし、前記噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御し、前記ステップS8では、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、前記焼結材料を得ることができ、粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとし、前記粉砕材料の粒径をD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たすようにする、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項9】
チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、
硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、
硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、
焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得るステップS5と、
鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、
上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、
上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、
上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項10】
前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS321と、
リン酸溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、酸化後の硫酸第一鉄溶液に加えるステップS322と、
硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS323と、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項11】
チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、
硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、
硫酸第一鉄溶液にリン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液、過酸化水素水及びアンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、
焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得るステップS5と、
鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、酸化鉄、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、
上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、
上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、
上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項12】
前記ステップS3は、
リン酸溶液を硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、硫酸第一鉄溶液に加えるステップS331と、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS332と、
硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS333と、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項13】
チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、
硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、
硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、
焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得るステップS5と、
鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム電極シート材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、
上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、
上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、
上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項14】
前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS341と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS342と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS343と、を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項15】
前記ステップS6では、前記リン酸鉄リチウム電極シート材料の製造方法は、廃棄リン酸鉄リチウム正極シートを粉砕して篩にかけ、箔材とリン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を分離するステップと、リン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を不活性雰囲気で焼結し、焼結温度を400~500℃とし、焼結時間を1~4時間とし、その後、粒度が1~5μmになるまで粉砕して、前記リン酸鉄リチウム電極シート材料を得るステップとを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項16】
チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、
硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、
硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、
焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、
鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、
上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、
上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、
上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項17】
前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS351と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS352と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS353と、を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項18】
前記ステップS6は、
酸化鉄をリン源、リチウム源、一次炭素源及びドーパントと混合した後、水を加えて撹拌し、スラリーを得るステップS61と、
スラリーを湿式研磨、噴霧乾燥、窒素ガス雰囲気下での焼結及び気流粉砕を順に行い、粉砕後のリン酸鉄リチウム低炭素製品材料を得るステップS62と、
鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の二次炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS63と、を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項19】
前記ステップS61では、前記リン源は、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムのうちの一種又は複数種であり、前記リチウム源は、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであり、前記一次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記酸化鉄における鉄と前記リン源におけるリンとのモル比は、n(Fe):n(P)=(0.96~1):1であり、前記リチウム源におけるリチウムと前記酸化鉄における鉄とのモル比は、n(Li):n(Fe)=(1.02~1.05):1であり、前記ドーパントは、金属酸化物であり、前記金属は、Ti、V、Nb及びMgのうちの少なくとも一種であり、前記ステップS63では、前記リン酸鉄リチウム低炭素製品材料における炭素含有量は、0.2%~0.5%の間にあり、前記混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]であり、前記二次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記一次炭素源及び二次炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とし、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化二ニオブから選ばれる一種又は複数種であり、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される、
ことを特徴とする請求項18に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を適用する、
ことを特徴とするリチウムイオン電池正極材料。
【請求項21】
請求項20に記載のリチウムイオン電池正極材料を含む、
ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池正極材料の製造方法の技術分野に関し、特に、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法及び適用に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸鉄リチウム正極材料は、中国で最も急速に発展しているリチウム電池正極材料であり、その原料の供給源が広く、安価であり、中国国内の電池業界において、自動車、電動工具、エネルギー貯蔵装置、非常用電源装置及びモバイル電源などの分野に広く適用されている。新エネルギー電気自動車は、主な適用分野であり、リン酸鉄リチウムは、リチウム電池の正極材料の約45%以上を占める。リン酸鉄リチウムは、他の正極材料と比較して、安全、環境にやさしく、安価、サイクル寿命が長く、高温性能が良いなどの利点を有し、最も有望なリチウムイオン電池正極材料の1つである。現在、リン酸鉄リチウムを製造する方法は、主に固相法、炭素熱還元法、ゾル-ゲルテンプレート法などがある。
【0003】
例えば、CN105024073Aには、リチウムイオン電池正極材料であるヒドロキシリン酸鉄及びその製造方法が開示されており、前記リチウムイオン電池正極材料の分子式は、Fe2.95(PO4)2(OH)2であり、その製造方法は、H3PO4溶液、FeCl3固体粉末を水を加えて均一に混合した後、塩化メチルトリエチルアンモニウムを加えてpHを2.0~3.5に調整し、温度を150~200℃に制御して、30h水熱合成反応させて、反応液を得て、反応液を遠心分離し、洗浄し、乾燥させて、Fe2.95(PO4)2(OH)2を得ることである。
【0004】
ジャーナル《ヒドロキシリン酸鉄から製造されたリン酸鉄リチウムのリチウムイオン電池正極材料としての性能に関する研究》において、リンの化学工業副生成物であるリン鉄廃棄物、リン酸、過酸化水素を原料としてヒドロキシリン酸鉄を合成してリン酸鉄リチウムを製造した。
【0005】
しかしながら、上記方法に必要な反応温度が高く、反応時間が長く、反応条件が厳しく、製造設備に対する要求が高く、かつ生成効率が低く、現在の市場におけるリン酸鉄リチウムのコスト削減ニーズを満たしていない。また、上記方法は、原材料のコストが高く、後の製品における不純物が多くて除去しにくく、後続にヒドロキシリン酸鉄の製品性能に影響を与え、リン酸鉄リチウムの製品性能にも影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の内容に鑑み、本発明は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。そのため、本発明は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法及び適用を提供する。本方法は、硫酸第一鉄を材料とし、過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びアンモニア水を加えてヒドロキシリン酸鉄を合成し、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造する。また、当該方法は、製造効率が高く、製造コストが低く、大規模な工業的製造への適用に適する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、第1態様では、本発明の第1実施例は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。前記方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液、アンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リチウム源と、鉄源と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップS1では、質量比で、前記硫酸第一鉄:前記リン源:前記沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hであり、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムのうちの一種又は複数種であり、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水のうちの一種又は複数種である。
【0009】
好ましくは、前記ステップS2では、前記リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。前記ステップS3では、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0010】
好ましくは、前記ステップS3では、水洗回数は、少なくとも複数回であり、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄の元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%であり、前記混合スラリーの常温での保温時間は、3hである。
【0011】
好ましくは、前記ステップS3は、硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップと、リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップと、リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、常温で一定時間保温した後、混合スラリーを形成し、混合スラリーを複数回水洗して加圧濾過した後、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記ステップS4では、前記フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御し、焼結雰囲気を空気とし、前記焼結温度を535~560℃とし、前記焼結時間を4~5hとし、前記ステップS5では、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように前記粒径を制御し、前記ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、前記混合時間を1~2hとする。
【0013】
好ましくは、前記ステップS5では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0014】
好ましくは、前記ステップS6では、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]であり、前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とし、前記リチウム源は、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸鉄リチウム電極シート材料、リン酸鉄リチウム低炭素製品材料のうちの一種又は複数種であり、前記鉄源は、リン酸鉄、酸化鉄のうちの一種又は複数種であり、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化二ニオブから選ばれる一種又は複数種であり、ドープ量が300~3000ppmの間に制御され、前記ステップS7では、前記サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御し、噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃とし、排気温度を80~110℃とし、送風周波数を80Hzとし、前記噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御し、前記ステップS8では、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、前記焼結材料を得ることができ、粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとし、前記粉砕材料の粒径をD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たすようにする。
【0015】
好ましくは、本発明の第2実施例は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。前記方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む。
【0016】
好ましくは、前記ステップS3は、硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップと、リン酸溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、酸化後の硫酸第一鉄溶液に加えるステップと、硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップと、を含む。
【0017】
好ましくは、本発明の第3実施例は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。前記方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、硫酸第一鉄溶液にリン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液、過酸化水素水及びアンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、酸化鉄、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む。
【0018】
好ましくは、前記ステップS3は、リン酸溶液を硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、硫酸第一鉄溶液に加えるステップと、硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップと、硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップと、を含む。
【0019】
好ましくは、本発明の第4実施例は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。前記方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム電極シート材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む。
【0020】
好ましくは、前記ステップS3は、硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップと、リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップと、リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップと、を含む。
【0021】
好ましくは、前記ステップS6では、前記リン酸鉄リチウム電極シート材料の製造方法は、廃棄リン酸鉄リチウム正極シートを粉砕して篩にかけ、箔材とリン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を分離するステップと、リン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を不活性雰囲気で焼結し、焼結温度を400~500℃とし、焼結時間を1~4時間とし、その後、粒度が1~5μmになるまで粉砕して、前記リン酸鉄リチウム電極シート材料を得るステップとを含む。
【0022】
好ましくは、本発明の第5実施例は、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。前記方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得るステップS1と、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させるステップS2と、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS3と、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得るステップS4と、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができるステップS5と、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップS6と、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得るステップS7と、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得るステップS8と、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができるステップS9と、を含む。
【0023】
好ましくは、前記ステップS3は、硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップと、リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップと、リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップと、を含む。
【0024】
好ましくは、前記ステップS6は、酸化鉄をリン源、リチウム源、一次炭素源及びドーパントと混合した後、水を加えて撹拌し、スラリーを得るステップと、スラリーを湿式研磨、噴霧乾燥、窒素ガス雰囲気下での焼結及び気流粉砕を順に行い、粉砕後のリン酸鉄リチウム低炭素製品材料を得るステップと、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の二次炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成するステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、前記リン源は、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムのうちの一種又は複数種であり、前記リチウム源は、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであり、前記一次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記酸化鉄における鉄と前記リン源におけるリンとのモル比は、n(Fe):n(P)=(0.96~1):1であり、前記リチウム源におけるリチウムと前記酸化鉄における鉄とのモル比は、n(Li):n(Fe)=(1.02~1.05):1であり、前記ドーパントは、金属酸化物であり、前記金属は、Ti、V、Nb及びMgのうちの少なくとも一種であり、前記リン酸鉄リチウム低炭素製品材料における炭素含有量は、0.2%~0.5%の間にあり、前記混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]であり、前記二次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であり、前記一次炭素源及び二次炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とし、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化二ニオブから選ばれる一種又は複数種であり、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0026】
第2態様では、本発明の実施例は、上記第1態様で提供されたヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法で処理されたリチウムイオン電池正極材料を提供する。
【0027】
第3態様では、本発明の実施例は、上記第2態様に記載のリチウムイオン電池正極材料を含むリチウムイオン電池を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄を利用して硫酸鉄を生成し、他の材料を加えて反応させた後、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄を生成し、次に異なる焼結プロセスを経て、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄の製品と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄の製品とを得る。鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、リチウム源及び鉄源と所定の割合で混合した後、炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成し、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせ、2種類のヒドロキシリン酸鉄を混合して組み合わせることにより、大粒子と小粒子との組み合わせを形成し、リン酸鉄リチウム材料のプレス密度を向上させるとともに、電気化学的性能を向上させるのに役立つ。また、本方法に必要な反応温度が低く、反応時間が短く、設備に対する要求が低く、プロセスフローが簡単であり、製造効率を向上させ、大規模な工業的製造への適用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の第1実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のステップS3の実施例のフローチャートである。
【
図3】本発明の第2実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のステップS3の実施例のフローチャートである。
【
図5】本発明の第3実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の第3実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のステップS3の実施例のフローチャートである。
【
図7】本発明の第4実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の第4実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のステップS3の実施例のフローチャートである。
【
図9】本発明の第5実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の第5実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法のステップS3の実施例のフローチャートである。
【
図11】本発明の第5実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造するステップS6のフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例1で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図である。
【
図13】本発明の実施例1で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図である。
【
図14】本発明の実施例1で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図である。
【
図15】本発明の実施例1で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図である。
【
図16】本発明の実施例2で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図である。
【
図17】本発明の実施例2で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図である。
【
図18】本発明の実施例2で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図である。
【
図19】本発明の実施例2で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図である。
【
図20】本発明の実施例3で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図である。
【
図21】本発明の実施例3で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図である。
【
図22】本発明の実施例3で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図である。
【
図23】本発明の実施例3で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図である。
【
図24】本発明の実施例4で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図である。
【
図25】本発明の実施例4で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図である。
【
図26】本発明の実施例4で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図である。
【
図27】本発明の実施例4で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図である。
【
図28】本発明の実施例5で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図である。
【
図29】本発明の実施例5で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図である。
【
図30】本発明の実施例5で製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図である。
【
図31】本発明の実施例5で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図である。
【
図32】本発明の実施例1で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料で組み立てられたボタン型半電池の充放電曲線(0.1C)である。
【
図33】本発明の実施例1で製造されたリン酸鉄リチウム正極材料で組み立てられたボタン型半電池の充放電曲線(1C)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して、同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本発明を解釈するものであり、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0031】
以下の開示は、本発明の異なる構造を実現するために、多くの異なる実施例又は例を提供する。本発明の開示を簡単にするために、以下、特定の例の部材及び設置を説明する。当然のことながら、これらは、例示的なものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。また、本発明は、異なる例において参照数字及び/又は参照アルファベットを繰り返して用いることができる。また、本発明は、異なる例において同じ参照数字及び/又は参照アルファベットを繰り返して用いることができ、このような繰り返しは、簡略化及び明確を目的とし、その自体は説明される様々な実施形態及び/又は設置の間の関係を示すものではない。また、本発明は、様々な特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者であれば、他のプロセスの適用可能性及び/又は他の材料の使用を認識することができる。
【0032】
本発明の第1実施例は、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造するために、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。
図1に示すように、本方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0033】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0034】
質量比で、硫酸第一鉄:リン源:沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hである。
【0035】
本実施例では、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのうちの一種又は複数種であってもよく、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0036】
ステップS2では、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0037】
リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。
【0038】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0039】
混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0040】
本実施例では、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%の間にあり、混合スラリーの常温での保温時間は、3hである。水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄などの元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。具体的には、水洗回数は、3回であってもよく、そのうち、1、2回目の水洗は、主に、不純物であるマンガン、マグネシウム、硫黄などの元素を洗い落とし、3回目の水洗時に、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。
【0041】
具体的には、本実施例では、
図2に示すように、前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS311と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS312と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS313と、を含む。
【0042】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得る。
【0043】
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発して乾燥させるのは、自由水を除去するためであり、フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御する。焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃としてもよく、焼結時間を4~5hとしてもよい。
【0044】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得る。
【0045】
粉砕過程において、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御する。ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとしてもよい。
【0046】
本実施例では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0047】
ステップS6では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リチウム源と、鉄源と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0048】
本実施例では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、2:8と8:2との間にあり、好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、3:7を満たす。また、混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]である。前記リチウム源は、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸鉄リチウム電極シート材料、リン酸鉄リチウム低炭素製品材料のうちの一種又は複数種であってもよく、前記鉄源は、リン酸鉄、酸化鉄のうちの一種又は複数種であってもよく、前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とする。
【0049】
本実施例では、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化ニオブから選ばれる一種又は複数種であってもよく、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0050】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得る。
【0051】
サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御する。噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃としてもよく、排気温度を80~110℃としてもよく、送風周波数を80Hzとしてもよく、最終的に形成された噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御する。
【0052】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得る。
【0053】
焼結過程において、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、焼結材料を得ることができる。粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとすることにより、最終的に得られた粉砕材料の粒径がD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たす。
【0054】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0055】
本発明の第1実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄を利用して硫酸鉄を生成し、他の材料を加えて反応させた後、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を生成し、次に異なる焼結プロセスを経て、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄の製品と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄の製品とを得る。本方法で製造されたヒドロキシリン酸鉄は、従来の方法で製造されたリン酸鉄と比較して、80~90℃の結晶転移合成ステップがなく、球状の小粒子非晶質前駆体に属する。水洗分離精製段階では、不純物が結晶内部に吸蔵されにくく、複数回の水洗を経た後、主に、不純物であるMn、Mg、SO4
2-イオンなどの不純物を洗い落とすため、ヒドロキシリン酸鉄製品の不純物含有量が低く、製品の純度が高い。また、本方法によって生成されたヒドロキシリン酸鉄の鉄リン比は、調整可能であり、比表面積は、調整可能であり、必要に応じて異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄は、粒子が小さく、材料の放電容量を向上させることができる。鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄は、粒子が大きく、材料のプレス密度を向上させることができることにより、後続のリン酸鉄リチウムの結晶構造の構築により役立つ。
【0056】
本方法は、後続のステップでは、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、リチウム源及び鉄源と所定の割合で混合した後、炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成し、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせることにより、大粒子と小粒子との組み合わせを形成し、リン酸鉄リチウム材料のプレス密度を向上させるとともに、電気化学的性能を向上させるのに役立つ。また、本方法に必要な反応温度が低く、反応時間が短く、設備に対する要求が低く、プロセスフローが簡単であり、製造効率を向上させ、大規模な工業的製造への適用に適する。
【0057】
本発明の第2実施例は、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造するために、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。
図3に示すように、本方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0058】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0059】
質量比で、硫酸第一鉄:リン源:沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hである。
【0060】
本実施例では、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのうちの一種又は複数種であってもよく、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0061】
ステップS2では、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0062】
リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。
【0063】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液、アンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過した後、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0064】
本実施例では、まず、過酸化水素水を加えて二価鉄イオンを十分に酸化させて完全に三価鉄イオンにしてから、リン酸とリン酸二水素アンモニウムを加え、溶液イオンを適切な鉄リンのモル比に調整することにより、生成されたヒドロキシリン酸鉄前駆体をより安定させることができるとともに、生成されたヒドロキシリン酸鉄前駆体の粒子をより大きくし、より容易に加圧濾過して洗浄することができる。
【0065】
混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0066】
本実施例では、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%の間にあり、前記混合スラリーを60~80℃に加熱した後の保温時間は、3hである。水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄などの元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。具体的には、水洗回数は、3回であってもよく、そのうち、1、2回目の水洗は、主に、不純物であるマンガン、マグネシウム、硫黄などの元素を洗い落とし、3回目の水洗時に、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。
【0067】
具体的には、本実施例では、
図4に示すように、前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS321と、
リン酸溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、酸化後の硫酸第一鉄溶液に加えるステップS322と、
硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS323と、を含む。
【0068】
前記混合スラリーの加熱温度は、60~80℃であり、保温時間は、3hである。
【0069】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得る。
【0070】
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発して乾燥させるのは、自由水を除去するためであり、フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御する。焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃としてもよく、焼結時間を4~5hとしてもよい。
【0071】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができる。
【0072】
粉砕過程において、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御する。ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとしてもよい。
【0073】
本実施例では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0074】
ステップS6では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0075】
本実施例では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、2:8と8:2との間にあり、好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、3:7を満たす。また、混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]である。前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とする。
【0076】
本実施例では、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化ニオブから選ばれる一種又は複数種であってもよく、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0077】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得る。
【0078】
サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御する。噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃としてもよく、排気温度を80~110℃としてもよく、送風周波数を80Hzとしてもよく、最終的に形成された噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御する。
【0079】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得る。
【0080】
焼結過程において、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、焼結材料を得ることができる。粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとすることにより、最終的に得られた粉砕材料の粒径がD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たす。
【0081】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0082】
本発明の第2実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、本方法で製造されたヒドロキシリン酸鉄に、まず、過酸化水素水を加えて二価鉄イオンを十分に酸化させて完全に三価鉄イオンにしてから、リン酸とリン酸二水素アンモニウムを加えて、溶液イオンを適切な鉄リンのモル比に調整することにより、生成したヒドロキシリン酸鉄前駆体をより安定させることができるとともに、混合スラリーを加熱した後に保温することにより、生成されたヒドロキシリン酸鉄前駆体の粒子をより大きくし、より容易に加圧濾過して洗浄することができる。また、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムと所定の割合で混合し、添加剤を加えて混合材料を形成した後、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせ、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムの3種類の材料を導入し、リン酸鉄及び炭酸リチウムを導入することにより、リン酸鉄リチウム粒子の凝集を低減し、リン酸鉄リチウム粒子の円形度を向上させることが容易となることにより、リン酸鉄リチウム材料のプレス密度及び電気化学的性能を向上させる。
【0083】
本発明の第3実施例は、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造するために、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。
図5に示すように、本方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0084】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0085】
質量比で、硫酸第一鉄:リン源:沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hである。
【0086】
本実施例では、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのうちの一種又は複数種であってもよく、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0087】
ステップS2では、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0088】
リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。
【0089】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液にリン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液、過酸化水素水及びアンモニア水を順に加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0090】
本実施例では、まず、リン酸とリン酸二水素アンモニウムを加えて、溶液イオンを適切な鉄リンのモル比に調整してから、過酸化水素水を加えて二価鉄イオンを十分に酸化させて完全に三価鉄イオンにすることにより、生成されたヒドロキシリン酸鉄前駆体をより安定させることができるとともに、生成されたヒドロキシリン酸鉄前駆体の粒子をより大きくし、より容易に加圧濾過して洗浄することができる。混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0091】
本実施例では、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%の間にあり、前記混合スラリーを60~80℃に加熱した後の保温時間は、3hである。水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄などの元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。具体的には、水洗回数は、3回であってもよく、そのうち、1、2回目の水洗は、主に、不純物であるマンガン、マグネシウム、硫黄などの元素を洗い落とし、3回目の水洗時に、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。
【0092】
具体的には、本実施例では、
図6に示すように、前記ステップS3は、
リン酸溶液を硫酸第一鉄溶液に加え、次にリン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製して、溶解温度を30~40℃とし、硫酸第一鉄溶液に加えるステップS331と、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS332と、
硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを一定時間加熱保温した後に複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS333と、を含む。
【0093】
前記混合スラリーの加熱温度は、60~80℃であり、保温時間は、3hである。
【0094】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得る。
【0095】
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発して乾燥させるのは、自由水を除去するためであり、フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御する。焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃としてもよく、焼結時間を4~5hとしてもよい。
【0096】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができる。
【0097】
粉砕過程において、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御する。ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとしてもよい。
【0098】
本実施例では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0099】
ステップS6では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、酸化鉄、リン酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムと所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0100】
本実施例では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、2:8と8:2との間にあり、好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、3:7を満たす。また、混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]である。前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とする。
【0101】
本実施例では、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化ニオブから選ばれる一種又は複数種であってもよく、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0102】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得る。
【0103】
サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御する。噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃としてもよく、排気温度を80~110℃としてもよく、送風周波数を80Hzとしてもよく、最終的に形成された噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御する。
【0104】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得る。
【0105】
焼結過程において、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、焼結材料を得ることができる。粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとすることにより、最終的に得られた粉砕材料の粒径がD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たす。
【0106】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0107】
本発明の第3実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、酸化鉄、リン酸リチウム、炭酸リチウム及びリン酸二水素アンモニウムと所定の割合で混合し、添加剤を加えて混合材料を形成した後、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせ、かつ酸化鉄、リン酸リチウム、炭酸リチウム及びリン酸二水素アンモニウムの4種類の材料を導入する。酸化鉄及びリン酸二水素アンモニウムの添加は、材料のコストを効果的に低減し、後続のサンドミリングスラリーの粘度を向上させ、スラリーの安定性を向上させることができる。また、酸化鉄原材料の一次粒子が小さく、製品のリン酸鉄リチウムの粒子が小さく、レート性能を効果的に向上させる。リン酸二水素アンモニウムは、リン源として、ガス発生量を増加させ、粒子の凝集を低減しやすい。
【0108】
本発明の第4実施例は、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造するために、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。
図7に示すように、本方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0109】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0110】
質量比で、硫酸第一鉄:リン源:沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hである。
【0111】
本実施例では、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのうちの一種又は複数種であってもよく、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0112】
ステップS2では、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0113】
リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。
【0114】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0115】
混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0116】
本実施例では、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%の間にあり、混合スラリーの常温での保温時間は、3hである。水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄などの元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。具体的には、水洗回数は、3回であってもよく、そのうち、1、2回目の水洗は、主に、不純物であるマンガン、マグネシウム、硫黄などの元素を洗い落とし、3回目の水洗時に、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。
【0117】
具体的には、本実施例では、
図8に示すように、前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS341と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS342と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS343と、を含む。
【0118】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得る。
【0119】
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発して乾燥させるのは、自由水を除去するためであり、フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御する。焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃としてもよく、焼結時間を4~5hとしてもよい。
【0120】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができる。
【0121】
粉砕過程において、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御する。ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとしてもよい。
【0122】
本実施例では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0123】
ステップS6では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム電極シート材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0124】
好ましくは、リン酸鉄リチウム電極シート材料は、材料コストを低減するために、回収された廃棄リン酸鉄リチウム正極シートを用いて製造することができる。具体的には、酸鉄リチウム電極シート材料は、以下の方法で製造することができる。廃棄リン酸鉄リチウム正極シートを粉砕して篩にかけ、箔材とリン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を分離し、リン酸鉄リチウム電極シート材料の原料を不活性雰囲気で焼結し、焼結温度を400~500℃とし、焼結時間を1~4時間とし、その後、粒度が1~5μmになるまで粉砕してリン酸鉄リチウム電極シート材料を得る。
【0125】
本実施例では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、2:8と8:2との間にあり、好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、3:7を満たす。また、混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]である。本実施例では、前記炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とする。
【0126】
本実施例では、前記炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化ニオブから選ばれる一種又は複数種であってもよく、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0127】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得る。
【0128】
サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御する。噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃としてもよく、排気温度を80~110℃としてもよく、送風周波数を80Hzとしてもよく、最終的に形成された噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御する。
【0129】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得る。
【0130】
焼結過程において、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、焼結材料を得ることができる。粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとすることにより、最終的に得られた粉砕材料の粒径がD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たす。
【0131】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0132】
本発明の第4実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム電極シート材料と所定の割合で混合し、炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成した後、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせ、かつリン酸リチウムと、回収された廃棄リン酸鉄リチウム正極シート材料から製造されたリン酸鉄リチウム電極シート材料とを導入することにより、回収されたリン酸鉄リチウム電極シート材料が材料のコストを大幅に低減し、かつ廃棄リン酸鉄リチウム電極シート材料を資源回収して再利用することができる。焼結過程において、リン酸鉄リチウム電極シート材料は、立体障害を提供し、リン酸鉄リチウム粒子の凝集を低減し、リン酸鉄リチウム粒子の円形度を向上させるのに役立つことにより、リン酸鉄リチウム材料のプレス密度及び電気化学的性能を向上させる。
【0133】
本発明の第5実施例は、高プレス密度、高容量のリン酸鉄リチウムを製造するために、ヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法を提供する。
図9に示すように、本方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0134】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄をリン源及び沈殿剤に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0135】
質量比で、硫酸第一鉄:リン源:沈殿剤=1:[0.001~0.005]:[0.005~0.007]であり、精製反応温度は、40℃であり、反応pH値は、2.2~2.5であり、反応時間は、1hである。
【0136】
本実施例では、前記リン源は、リン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのうちの一種又は複数種であってもよく、前記沈殿剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などのうちの一種又は複数種であってもよい。
【0137】
ステップS2では、硫酸第一鉄溶液に適量のリン酸を加えて、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0138】
リン酸の添加量は、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15である。
【0139】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過酸化水素水、リン酸、リン酸二水素アンモニウム溶液及びアンモニア水を加えた後、一定時間反応させて混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0140】
混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.475~1.490を満たす場合、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄を形成することができ、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.460~1.475を満たす場合、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄を生成することができる。
【0141】
本実施例では、前記過酸化水素水の濃度は、30%~60%の間にあり、保温時間は、3hである。水洗回数は、複数回であってもよく、1回目の水洗では、主に、不純物であるマグネシウム、マンガン、硫黄などの元素を洗い落とし、最後の水洗では、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。具体的には、水洗回数は、3回であってもよく、そのうち、1、2回目の水洗は、主に、不純物であるマンガン、マグネシウム、硫黄などの元素を洗い落とし、3回目の水洗時に、1:1に希釈したアンモニア水を加えてpH値を6.5~7.0に調整して、SO4
2-イオンを洗い落とす。
【0142】
具体的には、本実施例では、
図10に示すように、前記ステップS3は、
硫酸第一鉄溶液に過剰の過酸化水素水を加え、一定時間酸化し続けるステップS351と、
リン酸二水素アンモニウム粉体に水を加えて溶解して濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液に調製し、溶解温度を30~40℃とし、次にリン酸溶液及びアンモニア水をリン酸二水素アンモニウム溶液に加えて均一に撹拌して混合し、リン酸アンモニウム混合溶液を形成するステップS352と、
リン酸アンモニウム混合溶液を酸化後の硫酸第一鉄溶液に加え、溶液のpH値を3.00±0.02に調整し、一定時間反応させた後に混合スラリーを形成し、混合スラリーを常温で一定時間保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成するステップS353と、を含む。
【0143】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、一定時間高温焼結し、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体の製品を得る。
【0144】
ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発して乾燥させるのは、自由水を除去するためであり、フラッシュ蒸発器の吸気温度を220±20℃、排気温度を110±5℃に制御する。焼結雰囲気を空気とし、焼結温度を535~560℃としてもよく、焼結時間を4~5hとしてもよい。
【0145】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、かつリボンミキサーで混合すれば、異なる鉄リン比と異なる比表面積を有するヒドロキシリン酸鉄の製品を得ることができる。
【0146】
粉砕過程において、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御する。ミキサーの混合周波数を35±2Hzに制御し、混合時間を1~2hとしてもよい。
【0147】
本実施例では、前記鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄は、高い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.460~1.480を満たし、その比表面積がBET=15~20m2/gを満たし、前記鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄は、低い比表面積を有し、かつその鉄リンのモル比がFe/P=1.440~1.460を満たし、その比表面積がBET=5~10m2/gを満たす。
【0148】
ステップS6では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0149】
本実施例では、リン酸鉄リチウム低炭素製品材料における炭素含有量は、0.2%~0.5%の間にある。具体的には、本実施例では、
図11に示すように、前記ステップS6は、以下のステップS61~ステップS63を含む。
【0150】
ステップS61では、酸化鉄をリン源、リチウム源、一次炭素源及びドーパントと混合した後、混合材料を得て、次に水を加えて撹拌し、スラリーを得る。
【0151】
前記リン源は、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムのうちの一種又は複数種であってもよく、前記リチウム源は、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであってもよく、前記一次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記酸化鉄における鉄と前記リン源におけるリンとのモル比は、n(Fe):n(P)=(0.96~1):1であり、前記リチウム源におけるリチウムと前記酸化鉄における鉄とのモル比は、n(Li):n(Fe)=(1.02~1.05):1である。前記ドーパントは、金属酸化物であり、前記金属は、Ti、V、Nb及びMgのうちの少なくとも一種である。
【0152】
ステップS62では、スラリーを湿式研磨、噴霧乾燥、窒素ガス雰囲気下での焼結及び気流粉砕を順に行い、粉砕後のリン酸鉄リチウム低炭素製品材料を得る。
【0153】
焼結温度は、500~600℃であり、焼結時間は、6~10hであり、焼結圧力は、50~200Paである。
【0154】
ステップS63では、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを所定の割合で混合した後、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で配合し、かつ一定量の二次炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成する。
【0155】
好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、2:8と8:2との間にあり、好ましくは、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄との比は、3:7を満たす。また、混合材料において、モル比で、Li:Fe:P=[1.03~1.04]:1:[1.03~1.04]である。
【0156】
本実施例では、前記二次炭素源は、スクロース、グルコース、クエン酸、デンプン、ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種であってもよく、前記一次炭素源及び二次炭素源の添加量は、最終製品における炭素含有量が1.2%~1.6%の間にあることを基準とする。前記添加剤は、二酸化チタン、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化ニオブから選ばれる一種又は複数種であってもよく、ドープ量が300~3000ppmの間に制御される。
【0157】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させて、噴霧材料を得る。
【0158】
サンドミリングスラリーにおけるサンドミリング粒度を0.45~0.75μmの間に制御する。噴霧乾燥では、吸気温度を200~220℃としてもよく、排気温度を80~110℃としてもよく、送風周波数を80Hzとしてもよく、最終的に形成された噴霧材料における噴霧粒度をD50=20~40μmの間に制御する。
【0159】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて焼結して焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕して粉砕材料を得る。
【0160】
焼結過程において、焼結雰囲気を窒素ガスとし、焼結温度を750~780℃とし、昇温速度を3℃/minとし、焼結時間を8~12hとし、次に自然降温冷却を経て、焼結材料を得ることができる。粉砕過程において、気圧を0.2~0.4Mpaの間に制御し、分級周波数を80~200Hzとすることにより、最終的に得られた粉砕材料の粒径がD10>0.35μm、D50=0.7~2.0μm、D90<10μm、D100<30μmを満たす。
【0161】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0162】
本発明の第5実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合してから、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料と所定の割合で混合し、炭素源及び添加剤を加えて混合材料を形成した後、混合材料をサンドミリング、噴霧乾燥、焼結、篩分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。本方法は、鉄リン比が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低いヒドロキシリン酸鉄とを混合して組み合わせ、リン酸リチウム及びリン酸鉄リチウム低炭素製品材料を導入することにより、焼結過程において、リン酸鉄リチウム低炭素製品材料が二次成長しにくいとともに、立体障害を増加させ、リン酸鉄リチウム粒子の凝集を低減し、リン酸鉄リチウム粒子の円形度を向上させ、より多くのより小さい粒子を提供することにより、リン酸鉄リチウム材料のプレス密度と電気化学的性能を向上させることができる。
【0163】
以下、いくつかの具体的な実施例を参照して、本発明のヒドロキシリン酸鉄を用いてリン酸鉄リチウムを製造する方法の具体的な過程と効果を更に詳細に説明するが、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【実施例0164】
本実施例に係るヒドロキシリン酸鉄からリン酸鉄リチウムを製造する方法は、以下のステップS1~S9を含む。
【0165】
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄を4‰質量分率のリン酸と5‰質量分率の水酸化ナトリウム溶液に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
【0166】
ステップS2では、モル比で、n(Fe):n(リン酸)=1:0.15で硫酸第一鉄溶液にリン酸を加え、硫酸第一鉄溶液のpH値を低下させる。
【0167】
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過剰の濃度が40%の過酸化水素水を加え、次に硫酸第一鉄溶液にリン酸溶液及び濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液を加えることにより、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.490及びFe/P=1.460を相次いで満たすようにし、次に硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加えて混合スラリーを形成し、前記混合スラリーを常温で3h保温した後、水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
【0168】
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、フラッシュ蒸発器の吸気温度を200℃に制御し、空気の雰囲気及び535℃と560℃の高温で5h焼結する。
【0169】
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御し、かつリボンミキサーを用いて35Hzの周波数で1h混合し、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄の製品を得る。
【0170】
実施例1により製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のSEMスペクトル図を
図12に示す。
【0171】
実施例1により製造された鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄のXRDスペクトル図を
図14に示す。
【0172】
ステップS6では、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを3:7の割合で混合した後、リン酸リチウムとモル比で、Li:Fe:P=1.03:1:1.03の割合で配合し、かつ製品における炭素含有量が1.3%となるスクロースとポリエチレングリコールとからなる炭素源混合物及びドープ量が2500ppmである二酸化チタンを加えて、混合材料を形成する。
【0173】
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、サンドミリングの粒度を0.60μmに制御し、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させ、吸気温度を220℃、排気温度を100℃、送風周波数を80Hzに制御して、噴霧粒度D50=20~40μmの噴霧材料を得る。
【0174】
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて窒素ガスの雰囲気下で焼結し、昇温速度を3℃/minとし、焼結温度を760℃とし、焼結時間を10hとし、次に自然降温冷却を経て焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕し、気圧を0.3Mpa、分級周波数を130Hzに制御し、粒径がD10>0.35μm、D50=0.8~1.8μm、D90<10μm、D100<30μmの粉砕材料を得る。
【0175】
ステップS9では、上記粉砕材料を更に篩い分け、バッチ合成、包装などの工程を経てリン酸鉄リチウムの製品を得ることができる。
【0176】
実施例1により製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のSEMスペクトル図を
図13に示す。
【0177】
実施例1により製造されたリン酸鉄リチウム正極材料のXRDスペクトル図を
図15に示す。
ステップS1では、チタンホワイトの副生成物である硫酸第一鉄を4‰質量分率のリン酸と5‰質量分率の水酸化ナトリウム溶液に加えて精製し、加圧濾過して精製した後、硫酸第一鉄溶液を得る。
ステップS3では、硫酸第一鉄溶液に過剰の濃度が40%の過酸化水素水を加え、次に硫酸第一鉄溶液にリン酸溶液及び濃度が30%のリン酸二水素アンモニウム溶液を加えることにより、混合スラリーにおける鉄リンの供給配合比が鉄リンのモル比:Fe/P=1.490及びFe/P=1.460を相次いで満たすようにし、次に硫酸第一鉄溶液にアンモニア水を加えて混合スラリーを形成し、混合スラリーを60℃に加熱して3h保温した後、複数回水洗して加圧濾過し、異なる鉄リン比を有するヒドロキシリン酸鉄前駆体を形成する。
ステップS4では、ヒドロキシリン酸鉄前駆体をフラッシュ蒸発器でフラッシュ蒸発して乾燥させ、フラッシュ蒸発器の吸気温度を200℃に制御し、空気の雰囲気及び535℃と560℃の高温で5h焼結する。
ステップS5では、焼結された材料をメカノミルで粉砕し、D10≧1.0μm、D50:6~15μm、D90≦60μmとなるように粒径を制御し、かつリボンミキサーを用いて35Hzの周波数で1h混合し、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄を得る。
ステップS6では、鉄リン比が高く比表面積が高いヒドロキシリン酸鉄と、鉄リン比が低く比表面積が低いヒドロキシリン酸鉄とを3:7の割合で混合した後、リン酸鉄、リン酸リチウム及び炭酸リチウムとモル比で、Li:Fe:P=1.03:1:1.03の割合で配合し、かつ製品における炭素含有量が1.35%となるスクロースとポリエチレングリコールとからなる炭素源混合物及びドープ量が2200ppmである二酸化チタンを加えて、混合材料を形成する。
ステップS7では、上記混合材料をサンドミリングし、サンドミリングの粒度を0.62μmに制御し、ナノ化されたサンドミリングスラリーを得て、ナノ化されたサンドミリングスラリーを噴霧乾燥させ、吸気温度を220℃、排気温度を100℃、送風周波数を80Hzに制御して、噴霧粒度D50=20~40μmの噴霧材料を得る。
ステップS8では、上記噴霧材料をボックス炉に入れて窒素ガスの雰囲気下で焼結し、昇温速度を3℃/minとし、焼結温度を765℃とし、焼結時間を10hとし、次に自然降温冷却を経て焼結材料を得て、焼結材料をジェットミルで粉砕し、気圧を0.3Mpa、分級周波数を130Hzに制御し、粒径がD10>0.35μm、D50=0.8~1.8μm、D90<10μm、D100<30μmの粉砕材料を得る。