IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 興和株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097148
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】医薬品
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20250623BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20250623BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250623BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20250623BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250623BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20250623BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250623BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20250623BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61P37/08
A61P17/04
A61P17/00
A61P11/02
A61K47/12
A61K47/44
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213267
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 泉樹
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC03
4C076CC10
4C076CC18
4C076DD29
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE38
4C076EE58
4C076FF02
4C076FF68
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086NA10
4C086NA20
4C086ZA34
4C086ZA89
4C086ZB13
(57)【要約】
【課題】ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とグリチルレチン酸類を配合し、保存した際に発生する容器壁面への付着性の増加を抑制する技術の提供。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)グリチルレチン酸類;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に包装されてなる医薬品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)グリチルレチン酸類;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に包装されてなる医薬品。
【請求項2】
成分(B)が、グリチルリチン酸及びその塩、並びに、カンゾウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の医薬品。
【請求項3】
医薬組成物が、固形製剤である、請求項1又は2に記載の医薬品。
【請求項4】
医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、請求項1又は2に記載の医薬品。
【請求項5】
気密包装体が、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品等に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒の治療薬として、ヒスタミンH受容体拮抗作用を有するビラスチンが知られている(非特許文献1)。
ビラスチン(化学名:2-[4-(2-{4-[1-(2-Ethoxyethyl)-1H-benzimidazol-2-yl]piperidin-1-yl}ethyl)phenyl]-2-methylpropanoic acid)は、下記式
【0003】
【化1】
【0004】
で表される化合物である。
【0005】
一方、グリチルリチン酸二カリウムやカンゾウエキス末に代表されるグリチルレチン酸類は、抗炎症作用を有することから、湿疹、皮膚そう痒症、風邪症状等の治療に用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】添付文書「ビラノア錠20mg」 大鵬薬品工業株式会社,2021年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を含有する医薬組成物に、さらにグリチルレチン酸類を含有せしめて保存すると容器壁面への付着性が増加することを発見した。付着性が増加すると、医薬品製造時に製造設備に付着することで収率の低下を招いたり、杵に付着することで打錠障害を招いたり洗浄が必要になったりする可能性がある。そこで、本発明の課題は、ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とグリチルレチン酸類を配合して保存した時の容器壁面への付着性の増加を抑制する新たな手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とグリチルレチン酸類を含む医薬組成物を気密包装体に封入することにより、封入しない場合と比較して、保存時の付着性の増加を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)グリチルレチン酸類;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に包装されてなる医薬品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とグリチルレチン酸類を配合して保存した時の容器壁面への付着性の増加を抑制できる。従って、保存安定性に優れた医薬を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<成分(A)>
本明細書において「ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上」には、ビラスチンそのもののほか、ビラスチンの薬学上許容される塩、さらにはビラスチンそのものやその薬学上許容される塩と、水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。ここで、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミン塩;リシン、アルギニン等の有機塩基塩等が挙げられる。
なお、これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
【0012】
成分(A)としては、ビラスチンが好ましい。
なお、成分(A)は公知の成分であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを使用してもよい。市販品としては例えば、「ビラスチン」(住友化学株式会社)が挙げられる。
【0013】
医薬組成物における成分(A)の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、成分(A)をフリー体換算で0.1~300mg、より好適には0.5~200mg、特に好適には1~150mg服用できる量を含有せしめることができる。
【0014】
本発明においては、成分(A)をフリー体換算で医薬組成物全質量に対して合計で0.1~75質量%含有するのが好ましく、0.5~65質量%含有するのがより好ましく、1~55質量%含有するのが特に好ましい。
【0015】
<成分(B)>
本発明において、「グリチルレチン酸類」とは、グリチルレチン酸及びその誘導体(例えば、グリチルレチン酸や、グリチルリチン酸等のグリチルレチン酸の糖付加誘導体等)並びにそれらの薬学上許容される塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等)よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。
本発明においてグリチルレチン酸類としては、アレルギーや風邪症状の治療又は緩和効果の観点から、グリチルリチン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二ナトリウム及びグリチルリチン酸三ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、グリチルリチン酸及びグリチルリチン酸二カリウムよりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、グリチルリチン酸二カリウムが特に好ましい。
【0016】
また、グリチルレチン酸類としては、グリチルレチン酸類を含有するカンゾウ(甘草)やその抽出物を用いてもよい。ここで「カンゾウ」(甘草)とは、Glycyrrhiza uralensis Fischer又はGlycyrrhiza glabra Linne(Leguminosae)の根及びストロンを意味し、その周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)も包含する概念である(第十八改正日本薬局方)。カンゾウは必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは破砕、又は粉末に粉砕することができ、例えば、カンゾウを粉末とした「カンゾウ末」も用いることができる。また、医薬組成物の製造時の取扱の便宜等を考慮して、カンゾウに何らかの抽出処理を施した「カンゾウの抽出物」を用いてもよい。ここで、当該「カンゾウの抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、カンゾウを必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)なども「カンゾウの抽出物」に包含される。また、カンゾウやその抽出物としては、カッコントウ(葛根湯)、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、ショウセイリュウトウ(小青竜湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、マオウトウ(麻黄湯)等の漢方処方に含まれているものでもよい。
本発明において、カンゾウ又はその抽出物としては、第十八改正日本薬局方に記載のカンゾウ、カンゾウ末、カンゾウエキス、カンゾウ粗エキスが好ましい。
【0017】
カンゾウの抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば第十八改正日本薬局方 製剤総則の「エキス剤」、「浸剤・煎剤」、「チンキ剤」、「流エキス剤」の項の記載など、公知の植物抽出物の製造方法を参考にして製造できる。例えば、カンゾウを必要に応じて切断、加熱、乾燥、粉砕等したうえ、適当な抽出溶媒を加えて抽出を行うことで、製造することができる。得られた抽出物は、必要に応じさらに濃縮、乾燥等させてもよい。
【0018】
上記抽出溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の低級多価アルコール;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水(熱水を含む)等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、水、エタノール等の低級一価アルコール、又は水/低級一価アルコールの混液が好ましく、水、エタノール又は水/エタノールの混液が特に好ましい。
抽出操作は特に限定されず、植物からの抽出操作に利用される公知の方法を採用することができ、例えば、抽出溶媒への浸漬(冷浸、温浸、パーコレーション等)、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出等が挙げられる。なお、抽出効率を上げるため、攪拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。
抽出温度は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
抽出時間は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、1時間~14日間程度とするのが好ましい。
【0019】
本発明において、医薬組成物中の成分(B)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、アレルギーや風邪症状の治療又は緩和効果の観点から、成分(B)をフリー体換算で医薬組成物全質量に対して0.5~75質量%含有するのが好ましく、1~70質量%含有するのがより好ましく、3~60質量%含有するのが特に好ましい。
中でも、成分(B)としてグリチルリチン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を用いる場合においては、アレルギーや風邪症状の治療又は緩和効果の観点から、グリチルリチン酸換算で医薬組成物全質量に対して合計で0.01~50質量%含有するのが好ましく、0.05~40質量%含有するのがより好ましく、0.1~35質量%含有するのが特に好ましい。
また、成分(B)としてカンゾウやその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上を用いる場合において、原生薬換算で医薬組成物全質量に対して合計で0.05~200質量%含有するのが好ましく、0.25~150質量%含有するのがより好ましく、0.5~100質量%含有するのが特に好ましい。
【0020】
また、本発明において、医薬組成物に含まれる成分(A)と成分(B)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、アレルギーや風邪症状の治療又は緩和効果の観点から、成分(A)をそのフリー体換算で合計して1質量部に対し、成分(B)をそのフリー体換算して合計で0.001~150質量部含有するのが好ましく、0.005~70質量部含有するのがより好ましく、0.01~30質量部含有するのが特に好ましい。
【0021】
医薬組成物は、薬効成分として、上記以外の成分、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、、アミノカルボン酸類、ステロール類、カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類、グルクロン酸類、コンドロイチン類、糖アルコール類、配糖体類、チオクト酸類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、制酸剤、抗コリン剤、カフェイン類、キサンチン系成分、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。
【0022】
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、ロキソプロフェン、サリチル酸ナトリウム等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、シプロへプタジン塩酸塩水和物、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩等が挙げられる。
【0023】
鎮咳剤としては、例えば、コデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインリン酸塩等のコデイン類の他、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩等が挙げられる。
【0024】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、l-メチルエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、l-メチルエフェドリンサッカリン塩、dl-メチルエフェドリンサッカリン塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0025】
去痰剤としては、例えば、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、メチルシステイン塩酸塩、l-メントール、リゾチーム塩酸塩等が挙げられる。
【0026】
催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0027】
アミノカルボン酸類としては、例えば、L-アルギニン塩酸塩、L-イソロイシン、カルニチン塩化物、グリシン、L-グルタミン酸、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、重酒石酸コリン、タウリン、L-トレオニン、L-バリン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、DL-メチオニン、ヨークレシチン、L-リシン塩酸塩、L-ロイシン、L-システイン、L-システイン塩酸塩水和物、オロチン酸、オロチン酸コリン等が挙げられる。
ステロール類としては、例えば、ウルソデオキシコール酸、ガンマオリザノール、デヒドロコール酸等が挙げられる。
カルシウム塩・マグネシウム塩・鉄塩類としては、例えば、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム水和物、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0028】
グルクロン酸類としては、例えば、グルクロノラクトン、グルクロン酸、グルクロン酸アミド等が挙げられる。
コンドロイチン類としては、例えば、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
糖アルコール類としては、例えば、イノシトール、グルコン酸及びその塩等が挙げられる。
配糖体類としては、例えば、ルチン水和物等が挙げられる。
チオクト酸類としては、例えば、チオクト酸、チオクト酸アミド等が挙げられる。
【0029】
抗炎症剤としては、例えば、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、トラネキサム酸、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0030】
胃粘膜保護剤としては、例えば、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
制酸剤としては、例えば、アミノ酢酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等が挙げられる。
【0031】
抗コリン剤としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル-l-ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
カフェイン類としては、例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン水和物、無水カフェイン等が挙げられる。
キサンチン系成分としては、例えば、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリン等が挙げられる。
【0032】
生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、インチンコウ(茵ちん蒿)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カッコン(葛根)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サイコ(柴胡)、サンショウ(山椒)、サンシシ(山梔子)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、ダイオウ(大黄)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、ドクカツ(独活)、トコン(吐根)、トシシ、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハマボウフウ(浜防風)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、ヨクイニン、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0033】
漢方処方としては、例えば、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)、インチンコウトウ(茵ちん蒿湯)等が挙げられる。
【0034】
本明細書において「医薬組成物」の剤形は特に限定されず、固形状、半固形状、又は液状製剤のいずれであってもよく、その利用目的等に応じて選択することができる。医薬組成物の剤形としては、例えば、第十八改正日本薬局方製剤総則等に記載の剤形が挙げられる。例えば、経口投与用の剤形としては、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊型錠剤、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠等を含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤等を含む)、散剤、丸剤等の固形製剤;経口ゼリー剤等の半固形状製剤;経口液剤(例えば、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤等を含む)等の液状製剤等が挙げられる。また、非経口投与用の剤形としては、注射剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、座剤、外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。
【0035】
医薬組成物の剤形としては、服用のし易さ等の観点から、固形製剤であるのが好ましく、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊型錠剤、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠等を含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤等を含む)、散剤及び丸剤から選ばれる固形製剤であるのが特に好ましい。
【0036】
医薬組成物は、その剤形に応じ、例えば第十八改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。この場合において、医薬組成物には、製薬上許容される担体(製剤添加物)を加えてもよい。こうした製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可塑剤、フィルム形成剤、粉体、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、pH調整剤、矯味剤、甘味剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの製剤添加物としては、例えば、医薬品添加物辞典2021(株式会社薬事日報社発行)、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh Edition(Pharmaceutical Press社発行)等に収載されたものが挙げられる。
【0037】
賦形剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、無水硫酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;アメ粉、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、パラフィン、結晶セルロース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、プルラン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マルチトール、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、トレハロース、還元パラチノース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
崩壊剤としては、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等のスーパー崩壊剤やカルメロース、カルメロースカルシウム、デンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ゼラチン、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
結合剤としては、例えば、牛脂硬化油、硬化油、水素添加植物油、ダイズ硬化油、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ミツロウ、モクロウ等の油脂類の他、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、グリセリン、ゴマ油、ソルビトール、ヒマシ油、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
フィルム形成剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩;カラギーナン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;キサンタンガム;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のヒドロキシアルキルセルロースフタレート;プルラン;ポリ酢酸ビニル;ポリ酢酸ビニルフタレート;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
粉体としては、例えば、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、法定色素等の有機粉体又は無機粉体が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
難水溶性高分子物質としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸等の有機酸又はその塩;塩酸、硫酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸又はその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化アルカリ;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0047】
矯味剤としては、例えば、リモネン、ピネン、カンフェン、サイメン、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノール、シンゼイラノール等のテルペン;トウヒ油、オレンジ油、ハッカ油、樟脳白油、ユーカリ油、テレピン油、レモン油、ショウキョウ油、チョウジ油、ケイヒ油、ラベンダー油、ウイキョウ油、カミツレ油、シソ油、スペアミント油等のテルペンを含有する精油;アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0049】
医薬組成物は、その剤形に応じて公知の方法により製造することができる。
例えば、医薬組成物が固形製剤である場合には、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、分級、充填、打錠、コーティング等の単位操作を適宜組み合わせることにより製造することができる。
より具体的には、医薬組成物の剤形が顆粒剤、散剤、丸剤等の粒状の製剤の場合、成分(A)及び成分(B)、必要に応じ他の薬効成分、賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤添加物を用い、これらの成分の全部又は一部を混合した後、押出造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒して造粒物を得、さらに必要に応じて分級、整粒等することで製造することができる。なお、得られた造粒物は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
また、医薬組成物の剤形が錠剤の場合、成分(A)及び成分(B)、必要に応じ他の薬効成分、賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の適当な製剤添加物を用い、これらの成分の全部又は一部を混合して混合物を得、これを直接圧縮(打錠)すること(直接粉末圧縮法)や、上記の造粒物を必要に応じて分級、整粒等したあと圧縮(打錠)すること(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法等)により製造することができる。なお、得られた圧縮物(錠剤)は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
さらに、医薬組成物の剤形がカプセル剤の場合、上記の造粒物や圧縮物等を、カプセルに充填すればよい。
【0050】
本発明の医薬組成物はさらに気密包装体に収容される(なお、以下、本明細書において、医薬組成物を気密包装体に収容してなるものを「医薬品」と称する。)。なお、本発明において、医薬品は気密包装体以外に、さらに下記「気密包装体」に該当しない包装を備えていてもよく、また、医薬組成物は、気密包装体に直接的あるいは間接的に収容されていればよい。
本明細書において「気密包装体」とは、通常の取扱い、運搬又は保存等の状態において、固形又は液状の異物の侵入を抑制し得る包装を意味し、第十八改正日本薬局方 通則に定義される「気密容器」及び「密封容器」を包含する概念である。気密包装体としては、定形、不定形のいずれのものも用いることができ、例えば、ビン包装、SP(Strip Package)包装、PTP(Press Through Package)包装、ピロー包装、スティック包装等が挙げられる。気密包装体としては、これらを複数組み合わせたものであってもよく、例えば、医薬組成物をまずPTP包装にて包装し、これをさらにピロー包装にて包装する態様等が挙げられる。
気密包装体としては、医薬組成物の容器壁面への付着を抑制する観点から、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、少なくともPTP包装を備えるもの(PTP包装と、さらに必要に応じてビン包装、SP包装、ピロー包装、スティック包装等の他の包装を組み合わせたもの)、少なくともビン包装を備えるものであるのが特に好ましい。
【0051】
気密包装体の包装材料(素材)は特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン(低密度(LDPE)、中密度(MDPE)、高密度(HDPE)を含む)、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;ポリスチレン等)、金属(アルミニウム等)などの、医薬品や食品等の分野で用いられる材料を、1種単独で又は2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。
【0052】
例えば、ビン包装に用いられる包装材料は特に限定されるものではなく、ガラス、プラスチック、金属等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせることができる。ビン包装の材料としては、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ガラス、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましく、ガラス、高密度ポリエチレン(HDPE)が特に好ましい。
ビン包装するに際しては例えば、医薬組成物を、ビン内に適当な数量格納し、次いで、適当な栓や蓋で封をすればよい。なお、ビンは、格納する医薬組成物の数量等に応じた大きさのものを適宜選択すればよく、ビンの容量としては例えば、10~500mL程度であり、14~400mLが好ましく、24~350mLがより好ましい。
【0053】
また、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装等に用いられる包装材料は特に限定されるものではなく、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエステル(PET)、グリコール変性PET(PET-G)、二軸延伸ナイロン(ONy、PA)、セロハン、紙、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、無延伸ポリプロピレン(CPP、IPP)、アイオノマー樹脂(IO)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、二軸延伸ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、環状ポリオレフィン(COC)、無延伸ナイロン(CNy)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、硬質塩化ビニル(VSC)等の樹脂や、アルミニウム箔(AL)のような金属箔等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせることができる。
【0054】
SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装等するに際しては、上記したような包装材料の1種以上を用いたシートを用いて、公知の方法で製造すればよく、この場合において、当該包装材料は適宜組合せた多層構造とすることもできる。シートとして、2種以上の包装材料を用いた多層構造とする方法としては、当該包装材料をラミネートして積層シートを製造する方法が挙げられる。積層シートは、押出しラミネート、ドライラミネート、共押出しラミネート、サーマルラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネート、ヒートラミネート等の公知の方法で製造することができる。また、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装用のシートは、公知の市販品を用いることもできる。
【0055】
上記シートにおいて、1種の包装材料を用いた単層シートとしては、PVCシートやCPPシート等が挙げられ、また2種以上の包装材料を用いた積層シートとしては、そのシート構成が、例えば、PVCとPVDCを積層したもの(PVC/PVDC。以下、同様に略する。)、PVC/PVDC/PE/PVC、PVC/PVDC/PE/PVDC/PVC、CPP/COC/CPP、PVC/PCTFE、CPP/PCTFE、PVC/AL/PA、PVC/AL、CPP/AL、CPP/CPP/CPP(左記シートは、CPPとして、2種以上を用いるものである。)等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0056】
PTP包装の形態としては、公知の方法で樹脂シート等に所望数形成したポケットに、医薬組成物を1個又は1投与単位ずつ格納し、次いでアルミニウム箔等の金属箔を構成材料とするシートをフタ材として用いて蓋をすることが挙げられる。なお、ポケットを形成するシートとしてもアルミニウム箔を構成材料とするシートを用いた、いわゆる両面アルミPTP包装としてもよい。本発明においては、医薬組成物の容器壁面への付着を抑制する観点から、PTP包装をさらにピロー包装(例えば、アルミピロー包装等)により包装するのが好ましい。
SP包装やピロー包装、スティック包装の形態としては、公知の方法で樹脂シートやアルミニウム箔を構成材料とするシート等を用いて、医薬組成物を1個又は1投与単位ずつ包装することが挙げられる。本発明においては、医薬組成物の容器壁面への付着を抑制する観点から、アルミニウム箔を構成材料とするシートを用いるのが好ましい。
【0057】
なお、本明細書において、医薬品における医薬組成物の包装体内部での占有率(容積率)は、包装体がビン包装の場合、通常、25~90%であり、28~75%が好ましく、30~50%がより好ましい。また、包装体がSP包装、PTP包装、ピロー包装、スティック包装の場合、通常、30~98%であり、40~95%が好ましく、45~93%がより好ましく、50~90%が特に好ましい。なお、この場合において、占有率とは、包装体内部の全容積に対する医薬組成物の占有率を意味するものであり、包装体内部に格納した医薬組成物の破損防止のための詰め物や中栓等は、空間占有率を算出するに際して考慮されるものではない。
【0058】
気密包装体としては、市販の包装体をそのまま用いてもよく、また市販の包装材料を加工して用いてもよい。市販品のビン包装の包装体としては、例えば、ガラス瓶(磯矢硝子工業(株)製)、錠剤ビン(東京硝子(株)製)、Z-シリーズ(阪神化成工業(株)製)等が挙げられる。また、市販品のピロー包装の包装体としては、ラミジップ(登録商標)((株)生産日本社製)等が挙げられる。さらに、SP包装、PTP包装、ピロー包装やスティック包装用の包装材料としては、スミライトVSS、スミライトVSL、スミライトNS、スミライトFCL(以上、住友ベークライト(株)製)、TASシリーズ(大成化工(株)製)、PTP用ビニホイル、PTP用スーパーホイル(以上、三菱樹脂(株)製)、ニッパクアルミ箔(日本製箔(株)製)、アルミ箔銀無地(大和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0059】
医薬組成物を気密包装体に収容する方法は特に限定されるものではなく、包装体内への医薬組成物の投入等の適当な手段により、医薬組成物を包装体内に配置することで達成できる。この場合において、包装体内に医薬組成物とともに乾燥剤(例えば、円柱状(錠剤型)のものやシート状のもの)を投入する手段を用いてもよい。
【0060】
本発明において、医薬組成物あるいは医薬品は、ヒスタミンH受容体拮抗作用及び抗アレルギー作用を有するビラスチンを含有し及び抗炎症剤であるグリチルレチン酸類を含有することから、特にアレルギーや風邪症状の治療又は緩和に有効である。従って、医薬組成物や医薬品は、アレルギーや風邪症状の治療又は緩和用として、より具体的には、じんましん、湿疹・かぶれ・皮膚そう痒症によるかゆみ・はれ、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎若しくは副鼻腔炎に起因する症状(くしゃみ、鼻みず(鼻汁過多)、鼻づまり、なみだ目、のどの痛み、頭重(頭が重い)等)、又は風邪の諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ等)の治療又は緩和用として好適に利用でき、例えば、アレルギー用内服薬、鼻炎用内服薬、かぜ薬(感冒薬)などとすることができる。
本発明においては、風邪によらない鼻炎症状の治療又は緩和、特に花粉やハウスダスト(室内塵)等に起因する鼻のアレルギー症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり)の緩和にも利用できる。
【0061】
医薬組成物の服用経路は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、服用の容易性の観点から、経口投与が好ましい。また、医薬組成物は、1日につき、1~4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0062】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1A]
次の成分(A)及び(B):
(A)ビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)グリチルレチン酸類;
を含有する医薬組成物が、気密包装体に包装されてなる医薬品。
[2A]
成分(B)が、グリチルリチン酸及びその塩、並びに、カンゾウ及びその抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]に記載の医薬品。
[3A]
医薬組成物が、固形製剤である、[1A]又は[2A]に記載の医薬品。
[4A]
医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1A]~[3A]のいずれかに記載の医薬品。
[5A] 気密包装体が、ビン包装、SP包装、PTP包装、ピロー包装及びスティック包装よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[4A]のいずれかに記載の医薬品。
【実施例0063】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の試験例において各成分の使用量は、換算量を特に断らない限り、表示した成分そのものの量を示す。
【0064】
[試験例]保存試験
以下に示すサンプル1~4をそれぞれ調製後、60℃の条件下で3日間保存し、1日後及び3日後におけるサンプルの保存容器壁面への付着性の増加の有無を確認した。
結果を表1に示す。
【0065】
〔サンプル1〕
ビラスチンを、蓋を開けた透明バイアル(Thermo Fisher Scientific製:スクリュー管瓶C5000-192W内容量1.5mL)の容器にとり、蓋をせずにサンプル1とした。
〔サンプル2〕
グリチルリチン酸二カリウムを、蓋を開けた透明バイアル(Thermo Fisher Scientific製:スクリュー管瓶C5000-192W内容量1.5mL)の容器にとり、蓋をせずにサンプル2とした。
〔サンプル3〕
ビラスチン1質量部及びグリチルリチン酸二カリウム1質量部を透明バイアル(Thermo Fisher Scientific製:スクリュー管瓶C5000-192W内容量1.5mL)に入れ、混合するとともに、蓋をせずにサンプル3とした。
〔サンプル4〕
ビラスチン1質量部及びグリチルリチン酸二カリウム1質量部を透明バイアル(Thermo Fisher Scientific製:スクリュー管瓶C5000-192W内容量1.5mL)に入れ、混合するとともに蓋をし、これをサンプル4とした。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示す試験結果から明らかなように、気密包装体に封入していないビラスチン又はグリチルリチン酸二カリウムのみのサンプル1、2においては60℃で3日間保存しても容器壁面への付着性の増加が生じなかった。一方、気密包装体に封入していないビラスチンとグリチルリチン酸二カリウムを混合したサンプル3においては60℃で3日間保存すると、容器壁面への付着性の増加が生じることが判明した。
これに対して、気密包装体に封入したサンプル4においては、3日間保存後も容器壁面への付着性の増加は見られなかった。
【0068】
以上の試験結果から、ビラスチンに代表される成分(A)とグリチルリチン酸二カリウムに代表される成分(B)を配合して保存することによって生じる容器壁面への付着性の増加が、気密包装体に封入することにより抑制されることが明らかとなった。
【0069】
製造例1(錠剤)
以下の成分及び分量を1日量中に含有する錠剤を、常法により製造し、PTP包装する。
ビラスチン 20mg
グリチルリチン酸二カリウム 25mg
リボフラビン 6mg
オロチン酸 20mg
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
【0070】
製造例2(錠剤)
以下の成分及び分量を1日量中に含有する錠剤を、常法により製造し、PTP包装する。
ビラスチン 20mg
グリチルリチン酸二カリウム 25mg
ピリドキシン塩酸塩 15mg
オロチン酸 20mg
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
【0071】
製造例3(錠剤)
以下の成分及び分量を1日量中に含有する錠剤を、常法により製造し、PTP包装する。
ビラスチン 20mg
グリチルリチン酸二カリウム 25mg
リボフラビン 6mg
ピリドキシン塩酸塩 15mg
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
【0072】
製造例4(錠剤)
以下の成分及び分量を1日量中に含有する錠剤を、常法により製造し、PTP包装する。
ビラスチン 20mg
リボフラビン 6mg
ピリドキシン塩酸塩 15mg
オロチン酸 20mg
結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、優れた薬理作用を有するビラスチン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とグリチルレチン酸類を含有し、容器壁面への付着性の増加が抑制された医薬品を提供できるため、例えば医薬品産業等において利用できる。