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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097291
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250623BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201D
H01G4/30 201Z
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024207719
(22)【出願日】2024-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0183996
(32)【優先日】2023-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、エウン キュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュン エウン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH07
5E001AJ03
5E001AJ04
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG26
5E082GG28
5E082HH12
5E082HH44
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】めっき層と本体との間に浸透した水分によって積層型電子部品の耐湿信頼性が低下する問題を緩和する。
【解決手段】本発明に係る積層型電子部品は、めっき部と本体との間にシーリング部を配置し、シーリング部の成分または形態を調節することで、積層型電子部品の耐湿信頼性を確保することができる。本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層、及び上記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、上記めっき部と上記本体との間に配置され、Snを含み、上記本体と直接的に接触するシーリング部と、を含むことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される電極層、及び前記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、
前記めっき部と前記本体との間に配置され、Snを含み、前記本体と直接的に接触するシーリング部と、を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記シーリング部は、前記電極層の端と接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記シーリング部は、前記めっき部のうち最外側に配置されためっき層の端から外れないように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記めっき部は、前記電極層及び前記シーリング部を完全に覆う、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記シーリング部は、前記めっき部のうち最外側に配置されためっき層の端から外れるように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記内部電極はNiを含み、
前記電極層はCu及びガラスを含み、
前記めっき部は、前記電極層上に配置されるCuめっき層、前記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層、及び前記Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記シーリング部はSnめっき層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記シーリング部の平均厚さは、1μm以上8μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される電極層、及び前記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、
前記電極層の端部と前記めっき部の端部との間に配置され、前記電極層側に凹んだ溝部を有するシーリング部と、を含む、積層型電子部品。
【請求項10】
前記電極層の端部は、前記電極層が前記めっき部と離隔した領域であり、前記めっき部の端部は、前記めっき部が前記電極層と離隔した領域であり、
前記シーリング部は前記電極層の端部を覆う、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記シーリング部は、前記電極層の端部から前記電極層に隣接する前記本体の表面の一部上に延びて配置される、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記誘電体層及び前記内部電極が交互に配置される方向を第1方向、前記第1方向と垂直な方向を第2方向とするとき、
前記電極層と前記めっき部との間に、前記電極層の端から前記第2方向に凹んだ溝部が配置され、
前記シーリング部は、前記溝部を満たすように配置される、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記誘電体層及び前記内部電極が交互に配置される方向を第1方向、前記第1方向と垂直な方向を第2方向とするとき、
前記電極層、前記めっき部及び前記シーリング部が同時に接する地点から前記シーリング部の表面までの前記第2方向への最小大きさは10nm以上である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記シーリング部は、フルオリン化炭素(Fluorocarbon)を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記シーリング部は、CF2-、CF3-、CF-系列のフルオリン化炭素(fluorocarbon)のうち1つ以上を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記めっき部は、前記電極層上に配置される第1めっき層、前記第1めっき層上に配置される第2めっき層、及び前記第2めっき層上に配置される第3めっき層を含み、
前記第2めっき層及び前記第3めっき層は、前記シーリング部上には配置されない、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記シーリング部の溝部は、前記電極層の端を超えないように配置される、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記内部電極はNiを含み、
前記電極層はCu及びガラスを含み、
前記めっき部は、前記電極層上に配置されるCuめっき層、前記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層、及び前記Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される電極層、及び前記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、
前記めっき部の端部と前記本体との間に配置されるシーリング部と、を含み、
前記シーリング部は、前記めっき部のうち最外側に配置されためっき層の端から外れないように配置される、積層型電子部品。
【請求項20】
前記電極層の端部は、前記電極層が前記めっき部と離隔した領域であり、前記めっき部の端部は、前記めっき部が前記電極層と離隔した領域であり、
前記シーリング部は、前記電極層の端部を覆う、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項21】
前記シーリング部は、前記電極層の端部から前記電極層に隣接する前記本体の表面の一部上に延びて配置される、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項22】
前記誘電体層及び前記内部電極が交互に配置される方向を第1方向、前記第1方向と垂直な方向を第2方向とするとき、
前記電極層と前記めっき部との間に、前記電極層の端から前記第2方向に凹んだ溝部が配置され、
前記シーリング部は、前記溝部を満たすように配置される、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項23】
前記誘電体層及び前記内部電極が交互に配置される方向を第1方向、前記第1方向と垂直な方向を第2方向とするとき、
前記電極層、前記めっき部及び前記シーリング部が同時に接する地点から前記シーリング部の表面までの前記第2方向への最小大きさは10nm以上である、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項24】
前記シーリング部は、フルオリン化炭素(Fluorocarbon)を含む、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項25】
前記シーリング部は、CF2-、CF3-、CF-系列のフルオリン化炭素(fluorocarbon)のうち1つ以上を含む、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項26】
前記めっき部は、前記電極層上に配置される第1めっき層、前記第1めっき層上に配置される第2めっき層、及び前記第2めっき層上に配置される第3めっき層を含み、
前記第2めっき層及び前記第3めっき層は、前記シーリング部上には配置されない、請求項19に記載の積層型電子部品。
【請求項27】
前記内部電極はNiを含み、
前記電極層はCu及びガラスを含み、
前記めっき部は、前記電極層上に配置されるCuめっき層、前記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層、及び前記Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含む、請求項19に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができ、コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化されながら積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化、高容量化、高集積化が加速化しつつ、耐湿信頼性低下を防止しようとする要求が増大している。特に、外部電極がめっき層を含む場合、めっき層と本体は成分の違いにより結合力が弱いことがあるため、めっき層と本体との間は外部からの水分の浸透の主な経路となり得る。特に、外部電極の下地電極層が焼結電極層である場合、めっき層と本体との間に浸透した水分によって基礎電極層が酸化することがあるため、積層型電子部品の耐湿信頼性が低下するという問題が深化することがある。
【0005】
したがって、外部電極のめっき層と本体との間の水分の浸透経路を効果的に遮断することができる構造的改善が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の一つは、めっき層と本体との間に浸透した水分によって積層型電子部品の耐湿信頼性が低下する問題を緩和することである。
【0007】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層、及び上記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、上記めっき部と上記本体との間に配置され、Snを含み、上記本体と直接的に接触するシーリング部と、を含むことができる。
【0009】
本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層、及び上記電極層上に配置され、2層以上のめっき層を含むめっき部を含む外部電極と、上記電極層の端部と上記めっき部の端部との間に配置され、上記電極層側に凹んだ溝部を有するシーリング部と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果のうち1つは、2層以上のめっき層と本体との間にシーリング部を形成し、その形状を調節して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0011】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図3図2のA領域拡大図を概略的に示したものである。
図4】一実施形態に係る積層型電子部品において、図2のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものである。
図5】一実施形態に係る積層型電子部品において、図2のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものである。
図6】一実施形態に係るシーリング部の形成方法を概略的に示したものである。
図7図1のII-II'線に沿った断面図である。
図8】本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図9図1のIII-III'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図10図9のA'領域拡大図を概略的に示したものである。
図11】一実施形態に係る積層型電子部品において、図9のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものである。
図12】一実施形態に係るシーリング部の形成方法を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図7は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、図8は、本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【0017】
以下では、図1図2図7及び図8を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100及び本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'に共通的に含まれる構成について詳細に説明する。積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0019】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に配置されることができる。
【0020】
誘電体層111及び内部電極121、122は交互に積層されることができ、本明細書では、誘電体層111と内部電極121、122が積層される方向を第1方向と定義することができる。
【0021】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0022】
本体110は、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を有することができる。
【0023】
一方、誘電体層111上に内部電極121、122が配置されていないマージン領域が重なることによって、内部電極121、122の厚さによる段差が発生して、第1面と第3~第5面を連結するコーナー及び/または第2面と第3~第5面を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、本体の焼結過程での収縮挙動によって第1面1と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナー及び/または第2面2と第3~第6面3、4、5、6を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、チッピング不良などを防止するために本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することで、第1面と第3~第6面を連結するコーナー及び/または第2面と第3~第6面を連結するコーナーは、ラウンド形態を有することができる。
【0024】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、積層型電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0025】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BaTiO)系粉末を用いることができる。より具体的な例を挙げると、チタン酸バリウム(BaTiO)系粉末は、BaTiO、(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)のうち一つ以上であることができ、CaZrO基盤の常誘電性粉末は(Ca1-xSr)(Zr1-yTi)O(0<x<1、0<y<1)であることができる。
【0026】
したがって、誘電体層111は、BaTiO、(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)のうち一つ以上を含むことができる。
【0027】
誘電体層111の平均厚さtdは特に制限されない。
【0028】
積層型電子部品100の小型化及び高容量化を目的とする場合、誘電体層111の平均厚さtdは0.35μm以下であることができ、積層型電子部品100の高温高圧下での信頼性を向上させるために、誘電体層111の平均厚さtdは3μm以上であることができる。
【0029】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の第3及び第1方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。
【0030】
例えば、誘電体層111の平均厚さtdは、上記本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてスキャンしたイメージから抽出された誘電体層のうち、本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点の誘電体層の1層を基準として上部に2層と下部に2層の合計5層の誘電体層について、上記本体の長さ方向の中央線と、厚さ方向の中央線が接する地点を基準として、上記基準点1つを中心に左側に2つ及び右側に2つの5つの地点を等間隔に定めた後、各地点の厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0031】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111と互いに配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0032】
容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができ、第1及び第2内部電極121、122が第1方向に重なる領域を意味することができる。また、容量形成部Acの第1方向の最上端には第1内部電極121が配置され、上記第1方向の最下端には第2内部電極122が配置されることができる。
【0033】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0034】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極130が配置されて、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極140が配置されて、第2内部電極122と連結されることができる。
【0035】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極140とは連結されず、第1外部電極130と連結され、第2内部電極122は第1外部電極130とは連結されず、第2外部電極140と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。また、第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第5及び第6面と離隔して配置されることができる。
【0036】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、In、Sn、Al、Ti及びこれらの合金のうち1つ以上であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
内部電極121、122の平均厚さteは特に制限されず、目的に応じて異なることができる。積層型電子部品100を小型化するために、内部電極121、122の平均厚さteは0.35μm以下であることができ、積層型電子部品100の高温高圧下での信頼性を向上させるために、内部電極121、122の平均厚さteは3μm以上であることができる。
【0038】
内部電極121、122の平均厚さteは、上記本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてスキャンしたイメージから抽出された内部電極層のうち、本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点の内部電極層の1層を基準として上部に2層と下部に2層の合計5層の内部電極層について、上記本体の長さ方向の中央線と厚さ方向の中央線が接する地点を基準として、上記基準点1つを中心に左側に2つ及び右側に2つの5つの地点を等間隔に定めた後、各地点の厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0039】
容量形成部Acの第1方向の上面及び下面には、カバー部112、113が配置されることができる。
【0040】
カバー部112、113は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0041】
カバー部112、113は誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、カバー部112、113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0042】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。例えば、カバー部112、113の厚さtc1はそれぞれ20μm以下であることができる。
【0043】
カバー部112、113の平均厚さtc1は、第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0044】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0045】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0046】
マージン部114、115は、図7に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)で第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0047】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0048】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除き、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0049】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。例えば、マージン部114、115の平均幅は、それぞれ20μm以下であることができる。
【0050】
マージン部114、115の平均幅は、内部電極が第5面と離隔した領域の第3方向の平均大きさ及び内部電極が第6面と離隔した領域の第3方向の平均大きさを意味することができ、容量形成部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0051】
外部電極130、140は、本体110上に配置されることができ、具体的に、本体110の第3面3及び第4面4上に配置されることができる。
【0052】
外部電極130、140は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置されて、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極130、140を含むことができる。
【0053】
一方、外部電極130、140が本体の第3面3及び第4面4上にのみ配置されたものに制限する必要はない。図1及び図2を参照すると、第1外部電極130は、本体110の第3面3上から第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6上の一部に延びて配置されることができ、第2外部電極140は、第4面4上から第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6上の一部に延びて配置されることができる。
【0054】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極130、140を有する構造について説明しているが、外部電極130、140の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0055】
外部電極130、140、130'、140'は、本体110上に配置されて、内部電極121、122と連結される電極層131、141、131'、141'を含むことができる。
【0056】
具体的には、第1内部電極130'、140'は、本体110上に配置されて、第1内部電極121と連結される第1電極層131、131'を含むことができ、第2内部電極140'は、本体110上に配置されて、第2内部電極122と連結される第2電極層141、141'を含むことができる。
【0057】
第1及び第2電極層131、141、131'、141'は、それぞれ内部電極121、122に連結されて、外部電極130、140と内部電極121、122との電気的連結性を確保する役割を果たすことができる。
【0058】
第1電極層131、131'及び第2電極層141、141'は、導電性金属を含むことができる。導電性金属としては、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0059】
一方、内部電極121、122がNiを含み、第1及び第2電極層131、141、131'、141'がCuを含む場合、内部電極121、122と第1及び第2電極層131、141、131'、141'の間にNi-Cu合金が形成されることができ、これによって内部電極121、122と外部電極130、140、130'、140'との間の電気的連結性が向上することができる。
【0060】
一実施形態において、第1及び第2電極層131、141、131'、141'に対するより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、または導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0061】
また、第1及び第2電極層131、141、131'、141'は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0062】
積層型電子部品100、100'のサイズは、特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品100の長さは0.85mm以上1.15mm以下であることができ、積層型電子部品100の厚さは0.35mm以上0.65mm以下であることができ、積層型電子部品100の幅は0.35mm以上0.65mm以下であることができる。
【0063】
ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大大きさを意味し、積層型電子部品100の厚さは、積層型電子部品100の第1方向の最大大きさを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大大きさを意味することができる。
【0064】
図2は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図3は、図2のA領域拡大図を概略的に示したものであり、図4は、一実施形態に係る積層型電子部品において、図2のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものであり、図5は、一実施形態に係る積層型電子部品において、図2のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものであり、図6は、一実施形態に係るシーリング部の形成方法を概略的に示したものである。
【0065】
以下では、図2図6を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の構成について詳細に説明する。
【0066】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の外部電極130、140は、電極層131、141上に配置され、2層以上のめっき層132、133、134、142、143、144を含むめっき部を含むことができる。上記2層以上のめっき層のそれぞれの種類は特に限定されず、上記2層以上のめっき層のそれぞれは、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができる。
【0067】
めっき部は、具体的には、第1電極層131上に配置される2層以上のめっき層132、133、134を含む第1めっき部及び第2電極層141上に配置される2層以上のめっき層142、143、144を含む第2めっき部を含むことができる。
【0068】
本発明の図面では、2層以上のめっき層が3層から構成されたものとして表現されているが、本発明のめっき部を3層のめっき層から構成されたものに限定するものではない。
【0069】
一実施形態において、めっき部は、電極層131、141上に配置されるCuめっき層132、142、上記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層133、143、上記Niめっき層上に配置されるSnめっき層134、144を含むことができる。
【0070】
Cuめっき層132、142はめっき部と電極層131、141との間の応力を緩和する役割を果たすことができ、Niめっき層133、143は外部電極130、140の密閉性及び機械的強度を向上させる役割を果たすことができ、Snめっき層134、144は、積層型電子部品100の実装性を向上させる役割を果たすことができる。
【0071】
したがって、一実施形態により、めっき部が電極層131、141上に配置されるCuめっき層132、142、上記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層133、143、上記Niめっき層上に配置されるSnめっき層134、144を含む場合、積層型電子部品100の機械的強度、耐湿信頼性及び実装性を向上させることができる。
【0072】
図2及び3を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、めっき部132、133、134と本体110との間に配置され、Snを含み、本体110と直接的に接触するシーリング部151、152を含むことができる。
【0073】
めっき部132、133、134と本体110は、その成分の違いにより接着力が弱くなることがあり、これによりめっき部の端と本体110との間には隙間が生じることがある。このような隙間は、外部からの水分やめっき液の主な浸透経路になることがあり、積層型電子部品110の耐湿信頼性を低下させる原因となり得る。
【0074】
そこで、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、めっき部132、133、134、142、143、144と本体110との間にSnを含み、本体110と直接的に接触するシーリング部151、152を含むことで、めっき部132、133、134、142、143、144の端と本体110との間の隙間を塞ぐことにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。特に、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100のめっき部は、2層以上のめっき層を含み、このようなめっき部132、133、134、142、143、144と本体との間にSnを含むシーリング部151、152が配置されるため、積層型電子部品100の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0075】
図3を参照すると、電極層131、141の端は本体110の表面と接することができ、電極層131、141が本体110の第1面、第2面、第5面、及び第6面1、2、5、6のうち少なくともいずれか一面上の一部に延びて配置される場合、電極層131、141の端は本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6のうち少なくともいずれか一面上の一部に接することができる。
【0076】
一実施形態において、シーリング部151、152は電極層131、141の端と接することができる。これにより、浸透した外部からの水分やめっき液によって電極層131、141が損傷することを防止することができる。
【0077】
図3を参照すると、シーリング部151は、めっき部のうち最外側に配置されためっき層134の端から外れないように配置されることができる。このとき、最外側に配置されためっき層134は、シーリング部151の一側面と接することができる。
【0078】
一実施形態において、シーリング部151、152は、めっき部のうち最外側に配置されためっき層の端から外れないように配置されることができる。これにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を確保しながらも、外部電極130、140が部品全体で占める比重を減らすことができる。
【0079】
また、図3を参照すると、一実施形態に係るめっき部はシーリング部151を完全に覆うことができる。これにより、外部電極の固着強度が向上することができる。
【0080】
図4を参照すると、シーリング部151は、電極層131の端からめっき部のうち最外側に配置されためっき層134の端と本体110の第2面2との間にも配置されることができる。
【0081】
すなわち、一実施形態に係るシーリング部151、152は、めっき部のうち最外側に配置されためっき層134、144と本体110との間に配置されることができる。これにより、めっき層132、133、134、142、143、144全体の端と本体との間にシーリング部151、152を形成することで、外部電極の固着強度の向上効果はさらに向上することができる。
【0082】
図5を参照すると、シーリング部151は、めっき部のうち最外側に配置されためっき層134の端から外れるように延びて配置されることができる。この場合、外部からの水分の浸透経路を遮断または延長する効果がさらに向上することができる。
【0083】
すなわち、一実施形態に係るシーリング部151、152は、めっき部のうち最外側に配置されためっき層134、144の端から外れるように配置されることができる。これにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0084】
図4及び図5を参照すると、第1シーリング部151は、2層以上のめっき層132、133、134と本体110の第2面2との間の領域のうち、どの領域に配置されるかによって、第1領域151a、第2領域151b、及び第3領域151cに分けることができ、これは第2シーリング部152の場合にも同様であり得る。
【0085】
具体的には、第1領域151aは第1めっき層132と本体110との間に配置されるシーリング部の領域を、第2領域151bは第2めっき層133と本体110との間に配置されるシーリング部の領域を、第3領域151cは、第3めっき層134と本体110との間に配置されるシーリング部の領域を意味することができる。
【0086】
図4及び図5では、第1領域151a、第2領域151b及び第3領域151cが互いに連続して配置された場合を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、第1領域151a、第2領域151b、及び第3領域151cのうち少なくとも2つ以上は、互いに第2方向に離隔して配置されることができる。
【0087】
一方、図3を参照すると、シーリング部151の平均厚さをtpで示した。図3では、第1シーリング部151を基準として平均厚さtpを示したが、第2シーリング部152の平均厚さもtpで示されることができる。
【0088】
シーリング部151、152の平均厚さtpの下限値を特に制限する必要はない。例えば、シーリング部151、152の平均厚さtpが1μm以上である場合、積層型電子部品100の耐湿信頼性を十分に向上させることができる。一方、シーリング部151、152の平均厚さtpの上限値を特に制限する必要はない。例えば、シーリング部151、152の平均厚さtpは8μm以下であることができる。
【0089】
一方、電極層131、141の端は、電極層131、141と電極層が形成されない本体110の表面の境界線を意味することができ、めっき層の端は、本体の表面を見るめっき層の端面(end surface)を意味することができる。
【0090】
シーリング部151、152を形成する方法は特に制限されない。例えば、シーリング部151、152はSnめっき層であることができる。図6を参照すると、シーリング部151、152を形成する方法の具体的な一例示として、本体上に電極層131を形成し、Snが溶解した溶液に浸漬させた後、アルカリ溶液又は酸性溶液で第1領域151aが形成される領域を除いた領域を除去し、第1めっき層132を形成し、再びSnが溶解した溶液に浸漬させた後、アルカリ溶液または酸性溶液で第2領域151bが形成される領域を除いた領域を除去した後、これと同様の方法で第2めっき層133、第3領域151c、及び第3めっき層134を形成する方法が挙げられる。このとき、シーリング部151の形成領域は、めっき部を成す各めっき層の厚さや各領域151a、151b、151cの形状に応じて変わることができる。
【0091】
図8は、本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図9は、図1のIII-III'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図10は、図9のA'領域拡大図を概略的に示したものであり、図11は、一実施形態に係る積層型電子部品において、図9のA領域に対応する拡大図を概略的に示したものであり、図12は、一実施形態に係るシーリング部の形成方法を概略的に示したものである。
【0092】
以下では、図8図12を参照して本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'について詳細に説明するが、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100と重複する内容は省略する。
【0093】
また、図10図12では、第1外部電極130'及び第1シーリング部161を基準として本発明のまた他の一実施形態について説明しているが、第2外部電極140'及び第2シーリング部にも同様に適用され得る。
【0094】
本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'は、誘電体層111、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層131'、141'、上記電極層上に配置され、2層以上のめっき層132'、133'、134'、142'、143'、144'を含むめっき部を含む外部電極130'、140'及び上記電極層の端部EP1と上記めっき部の端部EP2との間に配置され、上記電極層側に凹んだ溝部R2を有するシーリング部161、162を含むことができる。
【0095】
本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'の外部電極130'、140'は、電極層131'、141'上に配置され、2層以上のめっき層132'、133'、134'、142'、143'、144'を含むめっき部を含むことができる。上記2層以上のめっき層のそれぞれの種類は特に限定されず、上記2層以上のめっき層のそれぞれは、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができる。
【0096】
めっき部は、具体的には、第1電極層131'上に配置される2層以上のめっき層132'、133'、134'を含む第1めっき部、及び第2電極層141'上に配置される2層以上のめっき層142'、143'、144'を含む第2めっき部を含むことができる。
【0097】
本発明の図面では、2層以上のめっき層が3層から構成されたものと表現されているが、本発明のめっき部を3層のめっき層から構成されたものに限定するものではない。
【0098】
一実施形態において、めっき部は、電極層131'、141'上に配置されるCuめっき層132'、142'、上記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層133'、143'、上記Niめっき層上に配置されるSnめっき層134'、144'を含むことができる。
【0099】
Cuめっき層132'、142'はめっき部と電極層131'、141'との間の応力を緩和する役割を果たすことができ、Niめっき層133'、143'は外部電極130'、140'の密閉性及び機械的強度を向上させる役割を果たすことができ、Snめっき層134'、144'は、積層型電子部品100の実装性を向上させる役割を果たすことができる。
【0100】
したがって、一実施形態により、めっき部が電極層131'、141'上に配置されるCuめっき層132'、142'、上記Cuめっき層上に配置されるNiめっき層133'、143'、上記Niめっき層上に配置されるSnめっき層134'、144'を含む場合、積層型電子部品100'の機械的強度、耐湿信頼性及び実装性を向上させることができる。
【0101】
図9及び図10を参照すると、電極層131'、141'及びめっき部はそれぞれ端部EP1、EP2を形成することができる。一方、電極層131'、141'の端部EP1とめっき部132'、133'、134'の端部EP2、めっき部132'、133'、134'の端部EP2と本体110は、その成分の違いにより接着力が弱くなることがあり、めっき部の端が本体110または電極層131'、141と接しないことによって、電極層131'、141'及びめっき部は、それぞれ端部EP1、EP2を形成することができる。一方、電極層131'、141'の端部EP1は外部からの水分の浸透に脆弱な部分であるため、電極層131'、141'及びめっき部がそれぞれ端部EP1、EP2を形成する場合、積層型電子部品100'の耐湿信頼性を確保することが難しいことがある。これによって、本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'は、電極層131'、141'の端部EP1とめっき部の端部EP2との間に配置され、電極層131'、141'側に凹んだ溝部R2を有するシーリング部を含むことで、積層型電子部品100'の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0102】
一方、本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'のシーリング部161、162は、電極層131'、141'側に凹んだ溝部を有することができる。シーリング部161、162が電極層131'、141'側に凹んだ溝部を有するとの意味は、シーリング部161、162が第2方向のうち電極層131'、141'に向かう方向に凹んだ溝部を有することを意味することができる。これにより、積層型電子部品100'の耐湿信頼性を確保しながらも、外部電極130'、140'とシーリング部161、162が部品全体で占める比重を最小化することができる。
【0103】
一実施形態において、シーリング部161、162は、めっき部132'、133'、134'のうち最外側に配置されためっき層の端から外れないように配置されることができる。これにより、積層型電子部品100'の耐湿信頼性を確保しながらも、外部電極130、140が部品全体で占める比重を減らすことができる。
【0104】
一実施形態において、電極層131'、141'の端部EP1は、電極層131'、141'がめっき部から離隔した領域を意味することができ、めっき部の端部EP2は、めっき部が電極層131'、141'と離隔した領域を意味することができる。上述したように、電極層131'、141'の端部EP1は、外部からの水分の浸透に脆弱な部分であることができる。したがって、一実施形態では、シーリング部161、162が電極層の端部EP1を覆うようにして積層型電子部品100'の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0105】
図10を参照すると、電極層131'とめっき部132'、133'、134'との間には、電極層131'の端Eから第2方向に凹んだ溝部R1が配置されることができる。
【0106】
溝部R1は、電極層131'がガラスを含む焼結電極である場合、成分の違いによりめっき部132'、133'、134'が電極層131'の端部EP1には形成されないことから形成されたものであり得る。
【0107】
溝部R1が形成される場合、電極層131'の端部EP1は外部に露出することがあり、これにより電極層131'には外部からの水分によって損傷が加わるおそれがある。特に、溝部R1は、電極層131'の端部EP1とめっき部の端部EP2が接する界面に隣接して形成されるため、溝部R1に外部からの水分が浸透する場合、電極層131'とめっき部との間の接合力を減少させるおそれがある。
【0108】
したがって、本発明のまた他の一実施形態に係る積層型電子部品100'のシーリング部161、162を溝部R1を満たすように配置することで、外部からの水分による電極層131'、141'の損傷及び電極層131'、141'とめっき部の接合力減少を防止することができる。
【0109】
一方、積層型電子部品100'の耐湿信頼性をさらに向上させるために、シーリング部161、162は、水分の浸透に脆弱な部分に十分な厚さを有するように形成されることができる。
【0110】
図10を参照すると、電極層131'、めっき部及びシーリング部161が同時に接する地点Iからシーリング部161の表面までの第2方向の最小大きさをlpで示した。
【0111】
電極層131'及びめっき部が接する地点は、電極層131'及びめっき部が互いに離隔し始める地点であることから、外部からの水分の浸透に脆弱であるため、外部からの水分の浸透の主な経路になり得る。電極層131'及びめっき部が接する地点に水分が浸透しないように、図10のように、シーリング部161を第2方向に十分に厚く形成させることが好ましい。したがって、一実施形態では、電極層131'、141'、めっき部及びシーリング部161、162が同時に接する地点Iからシーリング部161、162の表面までの第2方向への最小大きさlpを10nm以上に調節することで、電極層131'、141'及びめっき部が接する地点に水分が浸透する現象を十分に防止することができる。
【0112】
図10を参照すると、シーリング部161は、電極層131'の端部EPから電極層131'の端Eに隣接する本体の表面である第2面2の一部上に延びて配置されることができる。すなわち、一実施形態に係るシーリング部161は、電極層131'、141'の端部EPから電極層131'、141'の端Eに隣接する本体の表面の一部上に延びて配置されることができる。これにより、電極層131'、141'と本体110との間の接合力を向上させることができる。
【0113】
図10を参照すると、シーリング部161の電極層131'側に凹んだ溝部R2は、電極層131'の端Eを越えるように表現されているが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0114】
図11を参照すると、シーリング部161の電極層131'側に凹んだ溝部R2は、電極層131'の端Eを超えないように配置されることができる。この場合、シーリング部161は外部からの水分の浸透に脆弱な電極層131'及びめっき部の間を十分に厚く覆うことができるため、積層型電子部品100'の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。すなわち、一実施形態では、シーリング部161、162の電極層131'、141'側に凹んだ溝部R2は、電極層131'、141'の端Eを越えないように配置されることで、積層型電子部品100'の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0115】
一実施形態において、めっき部のうち、第2めっき層133'、143'及び第3めっき層134'、144'は、それぞれシーリング部161、162上には配置されないことができる。電極層131'、141'及び第1めっき層132'、142を形成し、シーリング部161、162を形成した後、第2又は第3めっき層133'、134'、143'、144'を形成する場合、シーリング部161、162の成分に応じて、第2めっき層133'、143'及び第3めっき層134'、144'は、それぞれシーリング部161、162上には配置されないことができる。具体的には、シーリング部161、162が絶縁性物質を含み、第2めっき層133'、143'及び第3めっき層134'、144'が電解めっきとなる場合、第2めっき層133'、143'及び第3めっき層134'、144'のそれぞれは、成分の違いによりシーリング部161、162上には配置されないことができる。
【0116】
一実施形態において、シーリング部161、162はフルオリン化炭素(Fluorocarbon)を含むことができる。フルオリン化炭素(Fluorocarbon)は、耐化学性に優れ、緻密に形成できるため、外部からの水分の浸透を効果的に防止することができる。一方、緻密且つ均一なシーリング部161、162を形成することができれば、フルオリン化炭素(Fluorocarbon)の種類は特に制限されない。
【0117】
例えば、シーリング部161、162は、フルオリン化炭素(Fluorocarbon)として、CF2-、CF3-、CF-系列のフルオリン化炭素(Fluorocarbon)のうち1つ以上を含むことができる。
【0118】
CF2-、CF3-、CF-系列のフルオリン化炭素(Fluorocarbon)のうち1つ以上を含むシーリング部161、162は、常圧プラズマコーティング法により形成されることができる。
【0119】
図12を参照すると、一実施形態に係るシーリング部161は、電極層131'及び第1めっき層132'が形成された後、常圧プラズマコーティング法により形成されることができる。この後、第2めっき層133'又は第3めっき層134'が形成されることができ、シーリング部161がフルオリン化炭素(Fluorocarbon)を含む場合、シーリング部161の絶縁性によってシーリング部161上には、第2めっき層133'または第3めっき層134'が配置されないことができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0121】
また、本開示において用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0122】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0123】
100、100' 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
130、130'、140、140' 外部電極
131、131'、141、141' 電極層
132、132'、142、142' 第1めっき層
133、133'、143、143' 第2めっき層
134、134'、144、144' 第3めっき層
151、152、161、162 シーリング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12