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特開2025-9731構造物の製造方法、推定方法、推定装置、プログラム、構造物、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009731
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】構造物の製造方法、推定方法、推定装置、プログラム、構造物、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20250109BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250109BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250109BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20250109BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20250109BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y80/00
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214413
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2023111223
(32)【優先日】2023-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023146690
(32)【優先日】2023-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520332793
【氏名又は名称】株式会社Polyuse
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太陽
(72)【発明者】
【氏名】佃 真吾
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】状態を適切に管理することのできる構造物の製造方法等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、構造物の製造方法が提供される。この製造方法は、形成工程と、設置工程と、を備える。形成工程では、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成する。設置工程では、形成工程の過程で、造形物中にセンサを設置し、センサが造形物の硬化体と一体化された構造物を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の製造方法であって、
形成工程と、設置工程と、を備え、
前記形成工程では、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成し、
前記設置工程では、前記形成工程の過程で、前記造形物中にセンサを設置し、前記センサが前記造形物の硬化体と一体化された構造物を得る、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記形成工程は、前記硬化材料を積層させることで行われ、
前記設置工程は、積層される前記硬化材料の層間に前記センサを配置することで行われる、製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法において、
前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、
前記給電ユニットは、無線による給電を受けて前記センサに電力を供給するように構成される、製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の製造方法において、
前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、
前記給電ユニットは、発電を行うことが可能に構成され、前記給電ユニットが発電した電力を前記センサに供給するように構成される、製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法において、
前記センサは、無線通信ユニットに接続されたものであり、
前記無線通信ユニットは、前記センサの取得した情報を、前記構造物の外部に送信するように構成される、製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法において、
前記構造物は、強化材を含むものであり、
前記無線通信ユニットと、前記構造物との表層とを直線で結んだ際に、当該直線上に前記強化材が存在しないように、前記無線通信ユニットが配置される、製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法において、
前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、
前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、
前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の製造方法において、
前記形成工程は、事前に設計されたコードによって3Dプリンタが制御されることで行われ、
前記コードには、前記センサの位置情報がインプットされているものである、製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法において、
前記設置工程は、前記コードにインプットされた前記位置情報に前記センサを配置するように所定の機器が制御されることで行われる、製造方法。
【請求項10】
構造物の状態を推定する推定方法であって、
取得工程と、推定工程と、を備え、
前記取得工程では、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の製造方法で製造される前記構造物に備えられる前記センサからの信号を取得し、
前記推定工程では、取得した前記信号に基づき、前記構造物の状態を推定する、推定方法。
【請求項11】
請求項10に記載の推定方法において、
さらに警告工程を備え、
前記推定工程は、前記信号に基づいて前記構造物の状態が所定の値として表されるように演算し、
前記警告工程では、演算した前記所定の値と、予め設定した閾値と、の関係に基づき警告を発する、推定方法。
【請求項12】
推定装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、請求項10に記載の各工程を実行するように構成される、推定装置。
【請求項13】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項10に記載の各工程を実行させる、プログラム。
【請求項14】
構造物であって、
水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、
前記硬化体中に設けられるセンサと、
を備え、
前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、
前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、
前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、構造物。
【請求項15】
情報処理装置の実行する情報処理方法であって、
取得工程と、出力工程と、を備え、
前記取得工程では、構造物に関するパラメータを取得し、
ここで、前記構造物は、
水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、
前記硬化体中に設けられるセンサと、を備え、
前記構造物に関するパラメータは、前記センサから発せられる信号に基づくものであり、
前記出力工程では、少なくとも取得した前記構造物に関するパラメータに基づき、前記構造物の状態及び/又は前記構造物の状態に関連する出力情報を出力する、情報処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、
前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、
前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、情報処理方法。
【請求項17】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記出力工程は、取得した前記構造物に関するパラメータと第1参照情報とを突合することで、前記構造物の状態を推定して前記出力情報を出力し、
前記第1参照情報は、過去に製造された構造物のパラメータと、前記過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である、情報処理方法。
【請求項18】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記取得工程では、さらに前記構造物を製造する際の製造条件を取得し、
前記出力工程では、さらに取得した前記製造条件に基づき、前記出力情報を出力する、情報処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の情報処理方法において、
前記出力工程は、取得した前記製造条件に対応するパラメータと第2参照情報とを突合することで、前記構造物の状態を推定して前記出力情報を出力し、
前記第2参照情報は、過去に製造された構造物の製造条件に関するパラメータと、前記過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である、情報処理方法。
【請求項20】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記出力工程では、前記構造物の将来の状態及び/又は前記構造物の将来の状態に関連する情報を出力する、情報処理方法。
【請求項21】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記出力工程では、前記構造物の状態に関連する情報として、前記構造物の状態に応じた修繕に関する情報を出力する、情報処理方法。
【請求項22】
情報処理装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、請求項15ないし請求項21のいずれか1項に記載の情報処理方法の各工程を実行するように構成される、情報処理装置。
【請求項23】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項15ないし請求項21のいずれか1項に記載の情報処理方法の各工程を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の製造方法、推定方法、推定装置、プログラム、構造物、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セメントや石膏等の水硬化性材料と、付加製造装置を用いて造形を行う方法が提案されている。たとえば、特許文献1には、「セメント質混練物の水和が進行して該混練物の流動性が低下しても、繊細かつ多様なデザインを有する造形物を安定的に製造できる付加製造方法」が示されている。
【0003】
一方、コンクリート構造物等の劣化を推定する方法が知られている。例えば、特許文献2にはRC構造物に埋設された腐食センサを用いて、鉄筋コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度を推定する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-122539号公報
【特許文献2】特開2019-74410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるような付加製造プロセスで得られる構造物についても、長期にわたって安定的に使用されることが望ましい。このような観点から、構造物について状態を適切に管理するニーズがある。
【0006】
本発明では上記事情に鑑み、状態を適切に管理することのできる構造物の製造方法等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、構造物の製造方法が提供される。この製造方法は、形成工程と、設置工程と、を備える。形成工程では、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成する。設置工程では、形成工程の過程で、造形物中にセンサを設置し、センサが造形物の硬化体と一体化された構造物を得る。
【0008】
上記態様によれば、状態を適切に管理することのできる構造物の製造方法等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】推定システム100の全体構成を示す図である。
図2】推定装置1のハードウェア構成を示す図である。
図3】推定装置1の機能を示す機能ブロック図である。
図4】構造物2を説明するための概念図である。
図5】構造物2を製造するプロセスを説明するための概念図である。
図6】情報処理システムの全体を示す図である。
図7】サーバ6のハードウェア構成を示す図である。
図8】サーバ6の機能を示す機能ブロック図である。
図9】端末装置7Aが取得し得る製造条件を説明するための概念図である。
図10】第2実施形態の情報処理の流れを表すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について各実施形態に基づいて説明する。なお、以下に示す各実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0012】
[構造物の製造方法]
すなわち、本実施形態にかかる製造方法は以下に示すものである。なお、このような製造方法で製造される構造物は、後述する推定システムの一部を構成し得る。
構造物の製造方法であって、
形成工程と、設置工程と、を備え、
前記形成工程では、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成し、
前記設置工程では、前記造形物形成工程の過程で、前記造形物中にセンサを設置し、前記センサが前記造形物の硬化体と一体化された構造物を得る、製造方法。
【0013】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0014】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集団体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0015】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0016】
1.1.全体構成
本節では、本実施形態の推定システム100の全体構成について説明する。図1は、推定システム100の全体構成を示す図である。
【0017】
本実施形態の推定システム100は、構造物2の状態を推定するために用いられるシステムである。なお、本明細書では、便宜上、推定システム100が構造物2を含むものとして取り扱う。
【0018】
本実施形態の推定システム100には、推定装置1と、構造物2と、が備えられる。なお、推定装置1は所定の情報処理を実行する装置であることから「情報処理装置」と称してもよい。第1実施形態では、この推定装置1(情報処理装置)がスタンドアロン型のコンピュータとして示されているが、「推定装置」や「情報処理装置」は単一の装置やコンピュータに制限されるものでなく、複数の装置やコンピュータの組み合わせであってもよい。また、構造物2の中には、後述するセンサ31を含む計測モジュール3が存在する。この計測モジュール3は、推定装置1と通信可能に構成されている。なお、この通信における通信回線は、インターネットや無線等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介するものである。なお、推定システム100に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。
【0019】
[推定装置1]
図2は、推定装置1のハードウェア構成を示す図である。推定装置1は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15とを有しており、これらの各部を通信バス10が電気的に接続することで構成される。以下、推定装置1に備えられる各部について説明を行う。
【0020】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、推定装置1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、追って詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0021】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される推定装置1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される推定装置1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0022】
(入力部13)
入力部13は、推定装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部13は、表示部14と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部13がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス10を介して制御部11に転送され、制御部11が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0023】
(表示部14)
表示部14は、例えば、推定装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部14は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、推定装置1の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0024】
(通信部15)
通信部15は、推定装置1から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部15は、外部の構成要素から推定装置1への種々の電気信号を受信可能に構成される。なお、通信部15がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線を介して、推定装置1と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0025】
[推定装置1の機能構成]
ここでは、推定装置1の機能構成について説明する。図3は、推定装置1の機能を示す機能ブロック図である。前述の通り、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理がハードウェア(制御部11)によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。
【0026】
具体的には、推定装置1の制御部11は、各機能部として取得部111と、推定部112と、出力部113と、警告部114と、記憶管理部115と、を備えうる。なお、このような各機能部については、推定装置1を適用する用途等に応じて適宜増加又は省略されていてもよい。
【0027】
(取得部111)
取得部111は、取得工程を実行可能に構成される。取得工程において、取得部111は、推定装置1の外部から種々の情報を取得する。本実施形態においては、取得部111は、構造物2に備えられるセンサ(センサ31)からの信号を取得する。詳細については追って説明することとする。
【0028】
(推定部112)
推定部112は、推定工程を実行可能に構成される。推定工程において、推定部112は、取得部111が取得した信号やパラメータに基づき、構造物2の状態を推定する。詳細については追って説明することとする。
【0029】
(出力部113)
出力部113は、出力工程を実行可能に構成される。出力工程において、出力部113は、種々の出力物を生成する。典型的な態様では、この出力物は、ユーザ等に認識可能なものとして構成される。一例として、出力部113は、表示情報を作成し、これを、ユーザ等に視認可能となるように制御する。なお、表示情報とは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものでもよいし、例えば各種装置や端末に画面、画像、アイコン、テキスト等の視覚情報を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。また、出力部113は、聴覚情報を出力したり、印刷装置を駆動させたり、所定の装置を駆動させたりする信号を出力するように構成されてもよい。
【0030】
(警告部114)
警告部114は、警告工程を実行可能に構成される。警告工程において、警告部114は、推定部112が推定した(典型的には演算した)結果に基づき、所定の警告を発する。詳細については追って説明することとする。
【0031】
(記憶管理部115)
記憶管理部115は、記憶管理工程を実行可能に構成される。記憶管理工程において、記憶管理部115は、本実施形態の推定システム100に関連する、記憶すべき種々の情報について管理するように構成される。典型的には、記憶管理部115は、推定装置1が取り扱った情報等を記憶領域に記憶させるように構成される。この記憶領域は、たとえば推定装置1の記憶部12や各種装置や端末の記憶部が例示されるが、この記憶領域は必ずしも推定システム100のシステム内である必要はなく、記憶管理部115は、種々の情報を外部記憶装置などに記憶するように管理することもできる。
【0032】
[構造物2]
構造物2は、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の硬化体により構成されるものであり、その種類は問わない。このような構造物2は、まず、3Dプリンタから吐出される硬化材料によって造形物を得て、その後、硬化材料を硬化させることで得られる。すなわち、本実施形態の構造物は、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、硬化体中に設けられるセンサ31と、を備えるものであるといえる。
【0033】
なお、「鉱物化」とは、主成分(質量ベースで最も多く含有される成分)が無機材である硬化物に変化することを意味する。典型的には、造形物は、コンクリート、モルタル又はセラミックスで構成される。典型的な例において、硬化材料はコンクリート又はモルタルである。
【0034】
このような構造物2の典型的な態様について、図4を示しながら説明する。図4は、構造物2を説明するための概念図である。前述の通り、構造物2は、コンクリート又はモルタルで構成される硬化材料の硬化体により構成され得るが、典型的には硬化体層20が積層されてなるものである。また、複数存在する構造物2の硬化体層20の間には溝が存在する。また、図4に示される構造物2の中には、計測モジュール3が組み込まれており、この計測モジュール3にはセンサ31が含まれる。
【0035】
このようなセンサ31は、構造物2の状態を検知することのできる種々のセンサの中から選択して用いればよい。
【0036】
センサ31のより具体的な例としては、加速度センサ;ひずみゲージ;温度センサ;湿度センサ;圧力センサ;光センサなどの放射センサ;光ファイバー(光ファイバーケーブル);振動センサ;AE(Acoustic Emission)センサ;塩分センサ;圧電センサ;ロードセル;ガスセンサ(二酸化炭素センサ)などがある。勿論、これらには限定されず、管理すべき項目等に応じて適宜センサ31の種類を設定すればよい。
【0037】
なお、センサ31は、通常、構造物2の状態量を検知するように用いられる。ここでの状態量についても適宜設定することができるが、例えば、以下のような状態量を検知すればよい。すなわち、センサ31の検知することのできる状態量としては、変位、変形、振動、荷重、温度、湿度(水分量)、水分浸透度、塩化物イオン濃度、二酸化炭素濃度等であってよい。その他、使用者のニーズ等に応じて、適宜、検知する状態量の種類を変更してもよい。
【0038】
なお、センサ31は構造物2の任意の箇所に設置してよく、また、構造物2の中に含まれるセンサ31の数は2以上であってよい。より具体的には、センサ31は、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置されてもよい。ここで態様(i)は、センサが構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、センサが構造物の表層付近に配置される態様である。また、態様(ii)は、センサが構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、センサが構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である。すなわち、上記のセンサの中でも温度センサや湿度センサ、塩分センサ等の構造物2の耐候性を評価するためのセンサを構造物2に配置することを想定すると、これらのセンサは構造物2の表層付近に配置されることが望ましい。このようにセンサ31を構造物2の表層付近に配置することで、構造物2の変化を早期に察知することができる。なお、本明細書における「表層付近」は、センサ31が存在する箇所における構造物2の厚みをTとした際に次のように定義される。すなわち、「表層付近」とは、表層からの距離が(1/3)T以内の位置であってよく、(1/4)T以内の位置であってよく、(1/5)T以内の位置であってよい。また、上記のセンサの中でもひずみゲージや圧力センサ等の構造物2における力学的環境を評価するためのセンサを複数個、構造物2に配置することを想定すると、これらのセンサを構造物2の内部で偏在させることなく、分散させて配置することが好ましい。なお、「分散させて配置」とは、センサ31が、構造物2内で所定の間隔を空けて配置されることであり、ここでの、所定の間隔は、硬化体層20の厚みに対して2倍以上の長さでよく、5倍以上の長さでよく、8倍以上の長さでよく、10倍以上の長さでよい。その他、構造物2の存在する箇所(地中、大気中、水中)に応じて、センサ31の種類や配置箇所を設定することが好ましい。
【0039】
また、構造物2の内部に含まれるセンサ31の種類は、構造物2の種類に応じて設定されてもよい。例えば、後述されるような構造物2が鉄筋等の強化材を含む構造物である場合は、この鉄筋等の強化材を脆化させ得る湿度(水分量)、塩化物イオン濃度を検知するセンサを配置することが好ましい。勿論、他の状態量の検知が可能なセンサをこれらに加えて組み合わせることもできる。
【0040】
また、センサ31は、給電ユニット32に接続されたものであってもよい。ここで、給電ユニット32は、センサ31に電力を供給するように構成される。このような給電ユニット32は公知の給電機構の中から適宜選択されればよい。より典型的な例では、センサ31は、給電ユニット32として、無線による給電を受けてセンサ31に電力を供給するように構成されるユニットに接続されていてもよい。計測モジュール3は、そのモジュールの一部が構造物2の表面から露出してもよいが、一方で、モジュール全体が構造物2の中に封入されていてもよい。後者のような場合、センサ31に対する給電を行うために、給電ユニット32が構造物2の外部から無線による給電を受け、センサ31に電力を供給するように構成されてもよい。なお、このような無線による給電を受ける給電ユニット32は、外部からの通信のしやすさから、構造物2の表層付近に存在していることが好ましい。
【0041】
また、給電ユニット32は、発電を行うことが可能に構成され、給電ユニット32が発電した電力をセンサ31に供給するように構成されるユニットであってもよい。ここでの発電は、例えば、構造物2内における温度差を利用するものや、構造物2に対する振動のエネルギーを利用するものであってよい。なお、前者のような温度差を利用する発電は、構造物2の存在する環境における地熱や太陽熱に起因する温度差を利用してよい。そのような場合、給電ユニット32は、構造物2の表層付近に存在してもよい。また、構造物2に対する振動のエネルギーを利用する発電は、構造物2が振動に晒される用途(例えば、高速道路に設けられる床版等)である場合に適用され得る。
【0042】
また、センサ31は、無線通信ユニット33に接続されたものであってもよい。ここで、無線通信ユニット33は、センサ31の取得した情報を、構造物2の外部(典型的には推定装置1)に送信するように構成される。なお、計測モジュール3は、そのモジュールの一部が構造物2の表面から露出してもよいが、その場合は、無線通信ユニット33に替えて、ケーブル等の有線の通信ユニットを採用してもよい。
【0043】
なお、このような無線通信ユニット33を構造物2に設置する際には、その配置場所が構造物2の種類に応じて設定されてもよい。例えば、後述されるような構造物2が鉄筋等の強化材を含む構造物である場合は、この鉄筋等の強化材が通信の妨げにならないように無線通信ユニット33が配置されることが好ましい。具体的には、無線通信ユニット33と、構造物2との表層とを直線で結んだ際に、当該直線上に鉄筋等の強化材が存在しないように、無線通信ユニット33が配置されることが好ましい。
【0044】
また、図4には示さないが、構造物2の中には中継機が備えられていてもよい。この中継機は無線通信ユニット33が構造物2の外部と通信する際の中継を行うように構成され得る。例えば、センサ31や無線通信ユニット33を構造物2の中心部付近(一例としては「表層付近」に該当しない箇所)に配置する際に、通信環境を確保するために、このような中継機が構造物2の中に備えられていてもよい。このような場合の中継機の設置箇所は、構造物2の表層付近であってよい。
【0045】
また、図4には示さないが、センサ31は蓄電ユニットに接続されたものであってもよい。センサ31は、前述のような給電ユニット32によって電力が供給されてもよいが、この給電ユニット32からの電力供給の量が安定しない場合等に備え、予め蓄電ユニットに電力を蓄え、適宜、蓄えられた電力がセンサ31に供給されてもよい。このように蓄電ユニットを設けることによって、例えば、センサ31が各種状態量を連続的に検知する際に、安定的にセンサ31を駆動させることができる。なお、このような蓄電ユニットは、コンデンサや二次電池であってよく、構造物2の内部及び/又は外部に設けられてよい。
【0046】
1.2.構造物2の製造方法
前述した構造物2は、例えば以下のような各工程を行うことで製造することができる。図5は、構造物2を製造するプロセスを説明するための概念図である。
【0047】
(形成工程)
すなわち、本実施形態の構造物2の製造方法は、形成工程として、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成する工程を含む。すなわち、図5(a)に示されるように、3Dプリンタの備えるノズル41から、硬化材料を吐出することによって硬化材料層21を形成する。また、図5(b)に示すように、硬化材料(硬化材料層21)を積層させていき、所定の造形物を得ることができる。
【0048】
このような造形は、付加製造装置(3Dプリンタ)を使用して行うことができる。なお、付加製造装置は、コンピュータにより作成した3Dデータを設計図に用いて、断面形状を積層することにより立体物を作製する産業用ロボットの一種である。ここで、付加製造装置は市販品や、公知の装置を使用することができる。より具体的には、付加製造装置に備えられたタンクにコンクリートやモルタルを充填し、付加製造装置に備えられたノズル41からモルタル材料を押し出すことにより、上述のような造形を行うことができる。なお、造形物を得るにあたって、ノズル41を移動させることで所望の形状を実現してもよいし、造形物又は造形物を載置するステージを移動させることで、所望の形状を実現してもよい。
【0049】
なお、造形物は硬化材料とは異なる材を組み合わせたものであってもよい。たとえば、鉄筋等の強化材が硬化材料と組み合わされたものを造形物としてもよく、その場合、構造物2としても鉄筋等の強化材を含むこととなる。なお、本明細書にて説明する強化材は補強材と称してもよく、構造物2としての強度(引張強度、せん断強度等)を補強し得る材料である。また、造形物の構造についても、図4等に示される構造に限らず、付加造形が可能な形状の範囲で任意に設定してよい。
【0050】
なお、上述のような硬化材料は、例えば、以下に示すような結合材(A)、細骨材(B)、混和剤(C)、繊維材料(D)等から選択される材料を組み合わせて含むもの(モルタル)であってよい。
【0051】
・結合材(A)
本実施形態の硬化材料は、結合材(A)を含んでよい。ここで、結合材(A)は、モルタルやコンクリートの強度発現に寄与する無機材料の総称である。
【0052】
ここで、結合材(A)は、セメント成分(A1)を含んでよい。このセメント成分(A1)としては、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメントおよびフライアッシュセメントからなる群から選択される成分を含みうる。
【0053】
その他、結合材(A)は、混和材(A2)を含んでよい。この混和材(A2)としては、フライアッシュ、高炉スラグ(微)粉末、石灰石(微)粉末、石粉、シリカフュームおよび膨張材(石灰複合系膨張材)からなる群から選択される成分を含みうる。これら混和材(A2)は、典型的には、前述のセメント成分(A1)と併用して配合されうるが、これら混和材(A2)のみで結合材(A)を構成してもよい。
【0054】
なお、これらの結合材(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用して用いる場合には、粒径の異なる結合材を混合してもよい。
【0055】
・細骨材(B)
本実施形態の硬化材料は、細骨材(B)を含んでよい。本実施形態において、細骨材(B)とは、10mm網ふるいを全部通過し、5mm網ふるいを質量で85%以上通過する骨材のことをいう(JIS A 0203:2014)。
【0056】
細骨材(B)の種類は、適用用途等に応じて適宜設定してよい。一例として、細骨材(B)は、砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、スラグ細骨材からなる群から選択される1以上の成分を含んでもよい。なお、これらの細骨材(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用して用いる場合には、粒径の異なる細骨材を混合してもよい。
【0057】
・チキソトロピー性を付与する混和剤(C)
本実施形態の硬化材料粉体組成物は、チキソトロピー性を付与する混和剤(C)を含んでよい。この混和剤(C)は、コンクリートやモルタルについてのチキソトロピー性の向上に寄与しうる。なお、ここでの混和剤(C)は、前述の結合材(A)および細骨材(B)に該当せず、得られるコンクリートやモルタルに対してのチキソトロピー性の向上に寄与するいずれかの剤を指す。
【0058】
この混和剤(C)は前述の特性を付与することが可能な公知の材料の中から適宜選択すればよい。一例としては、チキソトロピー性を付与する混和剤(C)は、セルロース、変性セルロース、鉱物、ナノファイバー、ウレタン、キサンタンガム、ダイユータンガム、スターチエーテル、グアガム、ポリアクリルアミド、カラギーナンガム、寒天、蛋白質及びラテックスからなる群から選択される1以上の成分を含んでもよい。
【0059】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできる変性セルロースとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。なお、セルロースや、上述のような変性セルロースは、通常、繊維状の形態をしているが、チキソトロピーを付与する効果が高いことから、本明細書においては混和剤(C)として扱うこととする。
【0060】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできる鉱物としては、アタパルジャイト、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、セピオライト等の粘土鉱物が挙げられる。
【0061】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできるナノファイバーとしては、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー等が挙げられる。なお、これらナノファイバーは、通常、繊維状の形態をしているが、チキソトロピーを付与する効果が高いことから、本明細書においては混和剤(C)として扱うこととする。
【0062】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできる合成繊維としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン化合物、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
【0063】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできるウレタンとしては、ウレタン系会合型増粘剤として用いられる各種ウレタン系増粘剤等が挙げられる。ここで、このウレタン系会合型増粘剤としては、日本材料技研株式会社製「チキソスター」や、株式会社ADEKA製「アデカノール」シリーズ、サンノプコ株式会社製「SN シックナー」シリーズ等が挙げられる。
【0064】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできる蛋白質としては、所定の分子量を有したアミノ酸縮合体等が挙げられる。
【0065】
本実施形態の混和剤(C)として用いることのできるラテックスとしては、クロロプレンゴムラテックス、アクリル系ラテックス等が挙げられる。
【0066】
・繊維材料(D)
また、本実施形態の硬化材料には、繊維材料(D)が含まれていてもよい。この繊維材料(D)を適切に含有させることにより、得られる造形物の強度の向上に寄与することができるとともに、積層性と、圧送性のバランスを図ることができる。なお、本明細書における繊維材料(D)は、増粘剤(C)として列挙した成分に該当しないものである。
【0067】
繊維材料(D)の種類は適宜設定することができる。一例としては、繊維材料(D)は、金属繊維、炭素繊維、アラミド繊維、PP(ポリプロピレン)繊維、PVA(ポリ酢酸ビニル)繊維、PE(ポリエチレン)繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維及びPBO(ポリベンゾオキサゾール)繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維材料を含んでよい。
【0068】
その他、繊維材料(D)は、天然由来の繊維材料を含んでもよい。この天然由来の繊維材料としては、植物に由来する繊維材料や、動物に由来する繊維材料等が挙げられる。ここで、植物に由来する繊維材料における「植物」とは、工業的に繊維材料を与えうる笹、竹、麻、稲、麦等が挙げられる。また、動物に由来する繊維材料における「動物」とは、典型的には羊等が挙げられる。
【0069】
なお、繊維材料(D)の繊維長(平均繊維長)は、1~30mmであることが好ましく、3~25mmであることが更に好ましく、5~20mmであることが最も好ましい。
【0070】
・その他の成分
その他、本実施形態の硬化材料には、所望の特性が付与されることを目的として、上述の成分(A)~(D)以外のその他の成分を含ませてもよい。その他の成分としては、レオロジー改質剤、消泡剤、減水剤、凝結遅延剤、ガス発泡物質、凝結調整剤、AE剤、吸水性ポリマー、防錆剤、撥水剤、抗菌剤、着色剤、防凍剤、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体、各種骨材等が挙げられる。これらの成分の配合量は任意である。
【0071】
なお、モルタルを得るにあたっては、通常、上述の成分(A)~(D)に加え、水が配合される。その他、硬化材料としてコンクリートを用いる場合は、さらに粗骨材等を含ませてよい。なお、必ずしも以下のように構成されなくてもよいが、センサ31と構造物2の外部との通信を促すために、硬化材料は金属材料(金属繊維等)の含有量が制限されていることが好ましい。
【0072】
(設置工程)
また、本実施形態の構造物2の製造方法は、設置工程として、形成工程の過程で、造形物中にセンサ31を設置し、センサ31が造形物の硬化物と一体化された構造物2を得る工程を含む。このセンサ31の設置方法は任意である。例えば、センサ31を含む計測モジュール3が、硬化材料とともにノズル41から押し出し可能であれば、所定のタイミングでノズル41からの吐出物の内容を制御することで構造物2の中にセンサ31を配置することができる。また、より簡便な方法としては、図5(c)~図5(d)に示すように、積層される硬化材料層21の間にセンサ31を配置する態様が例示される。すなわち、典型的な態様においては、このセンサ31は位置決めされた上で、造形物中に配置されることとなる。
【0073】
さらに、図5(d)に示されるようなセンサ31が包含された造形物を得た後に、硬化材料が硬化する条件に付すことで、センサ31と、造形物(硬化材料)が一体化された構造物2とすることができる(図5(e)参照)。なお、ここでの硬化条件は、用いる硬化材料に応じて適宜設定すればよい。
【0074】
なお、このような構造物2を3Dプリンタで製造するにあたっては例えば以下のようなプロセスが行われる。すなわち、まず、事前に造形物の全体形状が設計される。また、設計した造形物を造形するための、3Dプリンタを制御するコードが事前に設計される。コードの形式としては、例えば、STL、Gコード、OBJ、3MF、VRML、3DS、AMF等が例示される。なお、本実施形態においては、このように設計されるコードに、センサ31や計測モジュール3等の構造物2に配置される各種部材の位置情報がインプットされていてもよい。また、設計されるコードとしては、硬化材料に関する情報(組成、比重、硬化速度等)等が含まれていてもよい。このような材料に関する情報が含まれるコードの形式としては3MFやAMFが例示され、いったん設計されたコードによって造形される造形物をシミュレートしながら、実際に作製する造形物の形状の精度を向上させることができる。
【0075】
続いて、上記のコードに基づき3Dプリンタによる造形が行われる。構造物2に対するセンサ31や計測モジュール3の配置は、この造形過程で所定の位置にセンサ31等を配置することで行われる。この配置は作業者によって行われてもよいし、所定のロボット(ロボットアーム等)によって行われてもよい。なお、このセンサ31等の配置は、前述のような部材の位置情報がインプットされたコードに基づいてなされてもよい。すなわち、本実施形態の設置工程は、コードにインプットされた位置情報にセンサを配置するように所定の機器が制御されることで行われてもよい。具体的な例として、所定のロボットによってセンサ31等を配置する場合に、前述のようなセンサ31の位置情報がインプットされたコードに基づいてロボットが制御されてもよい。また、3Dプリンタのノズルからセンサ31等を吐出する場合については、この位置情報がインプットされたコードに基づいて3Dプリンタが制御されてもよい。
【0076】
なお、造形現場の環境又は条件に合わせて、コードの追加、コードの編集等を後工程で行うことができる。また、造形時にリアルタイムでコード(例えば経路以外の造形速度等の入力情報)の調整が行われてもよい。
【0077】
以上のようにして、所定の構造物2を得ることができる。
【0078】
1.3.推定方法の詳細
続いて、推定装置1等が実行する情報処理方法(推定方法)について説明する。本実施形態の推定方法は、以下の各工程を備えるものである。
【0079】
(取得工程)
取得工程では、前述の製造方法で製造される構造物2に備えられるセンサ31からの信号を取得する。前述の通り、センサ31は、構造物2内に備えられていることから、構造物2に関する状態量を検知することができる。推定装置1の取得部111は、このセンサ31の検知した状態量を信号として取得する。なお、この取得は、計測モジュール3における無線通信ユニット33を介して実行されてもよいし、他の情報手段を用いて達成されてもよい。
【0080】
また、この取得は、所定の間隔で定期的に行われるものであってもよいし、ユーザの要求に応じて行われるものであってもよい。さらに、取得部111は、所定の期間にわたって連続的にセンサ31からの信号を取得するように構成されてもよい。
【0081】
(推定工程)
取得工程では、取得した信号に基づき、構造物2の状態を推定する。この推定は、推定装置1の推定部112の機能によって実現される。ここでの推定は、構造物2の状態を、定量的に見積もるものであってもよいし、定性的に見積もるものであってもよい。また、センサ31に検知する状態量そのものを、推定結果としてもよい。一態様においては、推定部112は、前述した信号に基づいて構造物2の状態が所定の値として表されるように演算してもよい。
【0082】
なお、このような推定は、所定の関係性モデルに基づいて行われてもよい。このような関係性モデルは、典型的には、構造物2の状態と、センサ31の検知する状態量を予め関連付けて解析し、記憶されたものである。関係性モデルを作成する際に用いられる解析手法は公知のものであってよい。例えば、回帰分析法(線形モデル、一般化線形モデル、一般化線形混合モデル、リッジ回帰、ラッソ回帰、エラスティックネット、サポートベクター回帰、射影追跡回帰等)、時系列分析(VARモデル、SVARモデル、ARIMAXモデル、SARIMAXモデル、状態空間モデル等)、決定木(決定木、回帰木、ランダムフォレスト、XGBoost等)、ニューラルネットワーク(単純パーセプトロン、多層パーセプトロン、Transformer、DNN、CNN、RNN、LSTM等)、ベイズ(ナイーブベイズ等)、クラスタリング(k-means、k-means++等)、アンサンブル学習(Boosting、Adaboost等)等を用いてデータを解析し、所望のモデルを作成すればよい。
【0083】
また別の観点では、推定部112は、取得部111が取得した信号を人工知能に入力することによって、構造物2の状態を出力物として得てもよく、これによって推定工程が実行されてもよい。
【0084】
(警告工程)
警告工程では、推定工程で推定した構造物2の状態が、所定の状態にあるときに警告を発する。この警告に関し、一例としては、警告部114は、推定部112が演算した所定の値と、予め設定した閾値と、の関係に基づき警告を発する。なお、警告の出力態様も適宜選択することができる。例えば、出力部113の機能に基づき、構造物2の状態が芳しくないことを、推定装置1の表示部14を介して視覚情報として表示させたりすることもできる。その他、出力部113の機能に基づき、構造物2の状態が芳しくないことを、音声として出力したりすることもできる。
【0085】
なお、取得部111がセンサ31からの信号を連続的に取得する場合は、連続して取得している状態量について突発的な変化があったことを警告部114が警告を行う契機としてもよい。その他、使用者のニーズにあわせて警告条件は適宜設定される。
【0086】
以上、本実施形態における構造物2は、内部にセンサ31を備えているものである。また、本実施形態によれば、このセンサ31によって構造物2の状態を適切に管理することができる。
【0087】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態との差異点を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分についての説明は割愛することとする。
【0088】
すなわち、第2実施形態に係る情報処理方法は以下に示すものである。
情報処理装置の実行する情報処理方法であって、
取得工程と、出力工程と、を備え、
前記取得工程では、構造物に関するパラメータを取得し、
ここで、前記構造物は、
水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、
前記硬化体中に設けられるセンサと、を備え、
前記構造物に関するパラメータは、前記センサから発せられる信号に基づくものであり、
前記出力工程では、少なくとも取得した前記構造物に関するパラメータに基づき、前記構造物の状態及び/又は前記構造物の状態に関連する出力情報を出力する、情報処理方法。
【0089】
2.1.全体構成
このような情報処理方法が関係する第2実施形態の情報処理システムの概要について図6を用いて説明する。図6は、情報処理システムの全体を示す図である。第2実施形態の情報処理システム200は、サーバ6(情報処理装置)を備えたものであり、このサーバ6が各種端末装置(端末装置7A、7B、7C、8)と通信可能に構成されている。
【0090】
図7は、サーバ6のハードウェア構成を示す図である。サーバ6は、典型的には、制御部61、記憶部62、通信部65を備える。なお、これらの機能は、推定装置1の制御部11、記憶部12、通信部15のそれぞれと同様である。なお、サーバ6の制御部61は、図8に示す各種機能を有する。図8は、サーバ6の機能を示す機能ブロック図である。図8に示す通り、サーバ6の制御部61は、取得部611、推定部612、出力部613、警告部614、記憶管理部615の各種機能を備え得る。これら機能は推定装置1における各種機能とほぼ同様であるので、ここでの説明は割愛する。
【0091】
続いて、サーバ6に通信可能に構成される各種端末装置について説明する。これには限定されないが、端末装置7A、7B、7Cは、典型的には構造物(構造物2A、2B、2C)を製造・管理する事業体の有する端末装置である。なお、これら構造物は、第1実施形態の構造物2と同様のものであり、その内部に計測モジュール(計測モジュール3A、3B、3C)を備えている。また、端末装置8は、例えば各種構造物の修繕を行う事業体の有する端末装置である。なお、図6に示した各種端末装置は第1実施形態に示す推定装置1と同様に、制御部、記憶部、入力部、表示部、通信部の各種要素を備えていてよい。
【0092】
図6に示されるように、端末装置7A、7B、7Cは、構造物に備えられた計測モジュールから各種信号を取得可能に構成されており、また、当該信号に基づく情報をサーバ6に送信可能に構成されている。別の言い方をすれば、サーバ6は複数種の構造物に関するパラメータを取得することが可能に構成されている。また、このようにしてサーバ6が各種情報を取得した際、典型的にはサーバ6は記憶部62に当該情報を記憶するように構成される。すなわち、構造物に関する各種情報をサーバ6に集約させることができることから、サーバ6は各種端末装置に対するプラットフォームを提供することができる。
【0093】
図6に示される構造物(構造物2A、2B、2C)は、所定の硬化材料の付加造形物の硬化体と、硬化体中に設けられるセンサ(計測モジュール)と、を備えるものである。この硬化材料の詳細や、センサ(計測モジュール)の詳細は第1実施形態に示したものと同様である。
【0094】
なお、端末装置7A、7B、7Cは、構造物内の各種情報を取得可能に構成されるだけでなく、3D印刷プロセスにおける製造条件を取得可能に構成されていてもよい。図9は、端末装置7Aが取得し得る製造条件を説明するための概念図である。
【0095】
図9に示されるように、端末装置7Aは、3Dプリンタ4や印刷材料製造装置5と通信可能に構成されており、これら3Dプリンタ4や印刷材料製造装置5の発する信号に基づき、3D印刷プロセスにおける各種製造条件を取得可能に構成される。なお、図示はしないが、3D印刷物の養生工程や、搬送工程等、3D印刷に関する各種工程に用いられる機器が端末装置7Aに通信可能に構成されてもよい。各種機器の信号に基づく情報は、端末装置7Aに送信された後、さらにサーバ6に送信されてもよい。なお、図9には端末装置7Aを例に挙げて説明を行ったが、他の端末装置(端末装置7B、7C)についても同様に製造条件を取得可能に構成されていてよい。
【0096】
第1実施形態においても説明したように、3Dプリンタ4は、コンピュータにより作成した3Dデータを設計図に用いて、3D印刷材料を積層することにより立体物を作製する産業用ロボットの一種である。ここで、3Dプリンタ4は市販品や、公知の装置を使用することができる。図9には詳細が示されていないが、3Dプリンタ4には前述したノズル41が備え付けられる(図5等参照)。すなわち、3Dプリンタ4に備えられたノズル41から3D印刷材料(造形材料)を押し出すことにより、各種造形を行うことができる。
【0097】
印刷材料製造装置5は、3D印刷材料の製造システムの一部を構成し得る装置である。この印刷材料製造装置5は種々の要素を有してよいが、本実施形態では、所定の混合槽51が備えられた装置であるものとして説明する。この混合槽51は、混合槽51の内容物を撹拌可能に構成された撹拌翼511と、撹拌翼511を回転させるモータ512と、混合槽51に原料を投入可能に構成された投入部(投入部513、514)と、を備え得る。ここで、投入部513からは、他の原料(第2の原料)と混合することで3D印刷材料を与え得る第1の原料が投入可能に構成されている。具体的に、図9に示される印刷材料製造装置5においては、貯蔵部52に貯蔵された第1の原料がバルブV2の開閉に応じて混合槽51に投入されるよう構成されている。この第1の原料は、一例としては粉体であるが、それ以外の種々の形態の原料であってよい。また、投入部514からは、混合することで3D印刷材料を与える第2の原料が投入可能に構成されている。本実施形態では、この第2の原料が水Wであるものとして示しており、バルブV1の開閉に応じて当該水Wが混合槽51に投入されるように構成されている。
【0098】
また、印刷材料製造装置5は、混合槽51の内容物(混合槽51で混合された3D印刷材料)を取出可能に構成された取出部53を備えてもよい。この取出操作は、バルブV3の開閉によって達成され得る。また、印刷材料製造装置5は、製造された3D印刷材料を外部に送るためのポンプP1が備えられる。図9に示されるように、典型的には、製造された3D印刷材料は3Dプリンタ4に送られ、印刷プロセスに供される。
【0099】
なお、印刷材料製造装置5は、用いられる原料や、製造される3D印刷材料の性状等に応じて、図9に示すものとは異なる構成や、付加的な構成を有していてもよい。例えば、原料として粉体を用いる場合は、混合槽51に当該粉体を送るために、スクリューが用いられてもよい。その他、印刷材料製造装置5には、装置内の温度や圧力を管理するための各種センサ等が設けられていてもよい。これら付加的な構成に関する信号も端末装置7Aやサーバ6に送信され得る。
【0100】
2.2.情報処理方法の詳細
続いて、第2実施形態に係る情報処理方法について説明する。図10は、第2実施形態の情報処理の流れを表すアクティビティ図である。この各種情報処理は、典型的にはサーバ6の制御部61によって実行される。
【0101】
(取得工程)
すなわち、第2実施形態の情報処理方法においては、まず、サーバ6の取得部611が取得工程として、構造物に関するパラメータを取得する(アクティビティA101)。
【0102】
この取得工程は、サーバ6の取得部611が、構造物に設けられたセンサから発せられる信号を取得することで実現し得る。なお、この取得工程は、図6に示すような各種端末装置(端末装置7A、7B、7C)を介して、構造物に関するパラメータを取得する態様(つまり、各種端末装置が情報の送信を中継する態様)と、サーバ6の取得部611が直接(端末装置を介さず)構造物に関するパラメータを取得する態様の双方を含む。第1実施形態の取得工程として示したように、構造物の状態量(パラメータ)を情報処理装置として取得することにより、本アクティビティは達成される。なお、構造物中に備えられるセンサは第1実施形態として示したものが例示される。
【0103】
なお、本取得工程では、上述の構造物に関するパラメータに加え、さらに構造物を製造する際の製造条件を取得してもよい。図9に示した通り、端末装置7Aは3D印刷工程に関する各種製造条件を取得することができることから、サーバ6の取得部611としてこの製造条件を取得することができる(この場合、端末装置7Aが中継してサーバ6に製造条件に関する情報を取得させる)。なお、この製造条件の取得についても、サーバ6の取得部611が直接(端末装置を介さず)取得することで達成されてもよい。
【0104】
なお、ここでの製造条件としては、例えば以下の内容を包含し得る。
(i)硬化材料の原料配合(使用材料)に関する情報
(ii)硬化材料を配合する際の環境(温度、湿度、天候、位置情報等)に関する情報
(iii)硬化材料を配合する際の条件(撹拌速度、撹拌強度、撹拌時間等)に関する情報
(iv)配合された硬化材料の物性(粘度、降伏値、硬化性等)に関する情報
(v)付加造形を行う際の出力条件(圧送の圧力、ポンプ負荷等)に関する情報
(vi)付加造形を行う際の形状(全体構造、パターン寸法、パターン間の間隔等)に関する情報
(vii)付加造形を行う際の時間条件(フィラメントを積層させる際の時間等)に関する情報
(viii)付加造形された硬化材料を硬化(養生)させる際の環境(温度、湿度、天候、位置情報等)に関する情報
(ix)付加造形された硬化材料を硬化(養生)させる際の条件(時間)に関する情報
(x)構造物が強化材(補強材)を含む場合における強化材(補強材)の設置条件(位置、補強材の大きさ等)に関する情報
もちろん上記には限られず、付加造形プロセスに関与する種々の製造条件をサーバ6が取得するように構成されてよい。
【0105】
(出力工程)
上記のようにしてサーバ6の取得部611が構造物に関するパラメータを取得すると、サーバ6の出力部613が少なくとも取得したパラメータに基づき、構造物の状態及び/又は構造物の状態に関連する出力情報を出力する(アクティビティA102)。
【0106】
この出力工程は取得部611が取得した情報について所定の演算処理を行うことで出力情報を生成することで達成される。より典型的な態様としては、出力工程は、取得した構造物に関するパラメータと第1参照情報とを突合することで、構造物の状態を推定して出力情報を出力する場合が例示される。ここで、第1参照情報は、過去に製造された構造物のパラメータと、過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である。
【0107】
すなわち、サーバ6が備える推定部612の機能により、取得したパラメータから構造物の状態を推定し得、これによって出力部613が所定の出力情報を出力し得る。典型的には、推定部612は、過去に製造された構造物のパラメータと、過去に製造された構造物の状態とを関連付けて記述された参照情報(便宜上、「第1参照情報」と称する)によって、構造物の状態を推定し得る。
【0108】
図6の構造物2Aの状態を推定し、所定の出力情報を出力する場合を例として挙げて説明する。構造物2Aに関する取得工程や出力工程が実行されるに先立って、サーバ6は他の構造物(構造物2B、2C等)のパラメータと、当該パラメータに対応する構造物の状態とを取得し得る。また、取得した情報に基づいて、参照情報を作成し、これをサーバ6の記憶部62に記憶し得る。なお、この参照情報は、適宜モデル化されたものであってよい。すなわち、この参照情報(第1参照情報)は、第1実施形態に示した「関係性モデル」と同様に、所定の手法で解析・作成されたモデルであってよい。構造物2Aの状態を推定する際は、この記憶部62に記憶された参照情報を、構造物2Aのパラメータと突合させることにより、所定の演算がなされることとなる。
【0109】
なお、推定部612が実行する推定は、構造物の状態を、定量的に見積もるものであってもよいし、定性的に見積もるものであってもよい。また、センサに検知する状態量そのものを、推定結果としてもよい。また、推定部612は、構造物の品質管理として用いられる各種管理項目を推定するように構成されてよい。この管理項目としては、例えば、圧縮強度、縦弾性係数、中性化深さ、中性化速度係数、透水係数、透水深さ、表層透気係数、塩化物イオン拡散係数、出来高寸法、残留ひずみ、ひび割れ、表面の色等であってよい。
【0110】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様に構造物中のセンサの数は複数であってよく、また、センサの配置場所は付加造形プロセスの中で制御されてよい。すなわち、付加造形プロセスの中でセンサの配置場所を制御することができることから、より精度高く構造物の状態を推定することができる。
【0111】
また、本実施形態の情報処理方法は、以下の側面を有する。すなわち、構造物の状態を推定するにあたり、管理すべき項目に対応するセンサを構造物中の適切な位置に配置し得る。例えば、特許文献2に示されるような、通常のコンクリート構造物の状態を管理する技術においては、構造物中におけるセンサの位置を厳密に制御することは困難である。これに対して、本実施形態においてはセンサを付加造形の過程で構造物中に組み込むことができることから、狙いの位置にセンサを配しやすく、各種情報を取得・出力する際の精度を向上させることができる。より典型的な例に沿って説明すると、構造物中のセンサは、第1実施形態における態様(i)及び/又は態様(ii)で配置されてよく、これにより、推定すべき項目についての推定精度を向上させることができる。なお、本明細書に記載される通り、状態の推定にあたっては、各種参照情報が用いられ得るが、この参照情報においても、構造物中にセンサの位置と、構造物の状態とが関連付けられてもよい。すなわち、推定対象の構造物以外の構造物についても狙いの位置にセンサが配されやすくなっていることから、参照情報として安定的なデータを提供しやすくなるといえる。
【0112】
また、出力工程は、構造物のオンタイムでの情報を出力するものであってよい。一方、出力工程は、構造物の将来の状態及び/又は構造物の将来の状態に関連する情報を出力するものであってよい。すなわち、前述の参照情報は、構造物の状態の経時的変化に関する情報を含んでいてもよく、この状態の経時的変化に関する情報に基づいて、出力情報の対象となる構造物の状態の変化や、構造物の将来の状態を予測することもできる。
【0113】
さらに、出力工程は、さらに取得した製造条件に基づき、出力情報を出力するものであってよい。この場合、出力工程は、取得した製造条件に対応するパラメータと第2参照情報とを突合することで、構造物の状態を推定して出力情報を出力してもよい。ここで、第2参照情報は、過去に製造された構造物の製造条件に関するパラメータと、過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である。
【0114】
先に示した通り、サーバ6は各種構造物の製造条件を取得し得る。このことから、サーバ6が備える推定部612の機能により、取得した構造物に関するパラメータと、製造条件に対応するパラメータとから構造物の状態を推定し得、これによって出力部613が所定の出力情報を出力し得る。典型的には、推定部612は、過去に製造された構造物の製造条件に関するパラメータと、過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報(便宜上、「第2参照情報」と称する)によって、構造物の状態を推定し得る。なお、サーバ6が参照する情報は、前述の第1参照情報と第2参照情報の双方が含まれるものであってよく、先に示されたようなモデル化された情報であってよい。また、このような製造条件に基づいて出力情報を出力する場合においても、当該出力情報は、将来の状態に関するものであってよい。
【0115】
なお、出力工程は前述の各パラメータ以外の各種情報を取得し、この情報に基づいて所定の出力情報が出力されてもよい。このような情報としては外部環境に関する情報が挙げられる。外部環境に関する情報は、例えば、気温、湿度、風速、天候(日射量)等を含んでよい。また、出力情報に寄与することのできる情報として、構造物の状態を観測した撮像情報(静止画像や動画を含む)が含まれてもよい。
【0116】
なお、一態様においては、出力工程は、構造物の状態に関連する情報として、構造物の状態に応じた修繕に関する情報を出力するものであってよい。すなわち、構造物がその状態として、劣化してきている場合においては、当該構造物を修繕させることを通知する情報が出力されてもよい。図6には、端末装置8として各種構造物の修繕を行う事業体の有する端末装置を示したが、このような修繕に関する情報は、係る修繕を行う事業体が把握できるように出力されてよい。典型的には、端末装置8の表示部に、所定の構造物について修繕を行うことを促す表示内容が示されるように制御されてよい。
【0117】
なお、上述の修繕に関する情報は種々の情報を含んでよい。例えば、構造物の存在する場所に関する情報を含んでよく、構造物の状態を定量的又は定性的に示す情報を含んでよく、構造物の所有者を示す情報を含んでよく、構造物を修繕する時期に関する情報を含んでよく、構造物を修繕する箇所(構造物の所定の部位)を示す情報を含んでよく、構造物を修繕する際の修繕内容を含んでもよい。第1実施形態に示した通り、構造物は計測モジュール(センサ)を複数個備えてよいことから、サーバ6の推定部612は構造物のどの箇所(部位)を修繕すべきかを判定することができる。また、取得部611の取得した情報から修繕内容を出力するにあたっては、構造物に関するパラメータの種類とその値とを参照することができる。例えば、ある構造物について、内部の塩素濃度が高くなりやすい場合は、外部環境から塩素を取り入れなくするような工法(例えば、耐塩素性の高い塗料を用いた塗工方法)を提示することができる。同様に、ある構造物について、内部の水分が高くなりやすい場合は、外部環境から水分を取り入れなくするような工法(例えば、撥水性の高い塗料を用いた塗工方法)を提示することができる。
【0118】
<変形例>
本節では、前述した各実施形態の変形例について説明する。
【0119】
前述の実施形態は、推定装置1の構成として説明したが、コンピュータに、前述の各工程を実行させるプログラムが提供されてもよい。同様に、コンピュータに、サーバ6(情報処理装置)の実行する各工程を実行させるプログラムが提供されてもよい。
【0120】
前述の実施形態では、推定装置1が種々の記憶・制御を行ったが、推定装置1に替えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、ブロックチェーン技術等を用いて、取得した構造物2に関する情報等を分散して複数の外部装置に記憶させてもよい。
【0121】
前述の実施形態では、無線通信を介して、推定装置1が計測モジュール3からデータ(信号)を受信する態様を示したが、データ(信号)の受信は推定装置1とは異なる装置が行ってもよい。例えば、推定装置1とは異なり、各種データを格納可能な機器が、計測モジュール3から受信した信号を受け取り、別途、推定装置1にデータを転送する態様等を採用してもよい。
【0122】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0123】
(1)構造物の製造方法であって、形成工程と、設置工程と、を備え、前記形成工程では、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成し、前記設置工程では、前記形成工程の過程で、前記造形物中にセンサを設置し、前記センサが前記造形物の硬化体と一体化された構造物を得る、製造方法。
【0124】
(2)上記(1)に記載の製造方法において、前記形成工程は、前記硬化材料を積層させることで行われ、前記設置工程は、積層される前記硬化材料の層間に前記センサを配置することで行われる、製造方法。
【0125】
(3)上記(1)に記載の製造方法において、前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、前記給電ユニットは、無線による給電を受けて前記センサに電力を供給するように構成される、製造方法。
【0126】
(4)上記(1)に記載の製造方法において、前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、前記給電ユニットは、発電を行うことが可能に構成され、前記給電ユニットが発電した電力を前記センサに供給するように構成される、製造方法。
【0127】
(5)上記(1)に記載の製造方法において、前記センサは、無線通信ユニットに接続されたものであり、前記無線通信ユニットは、前記センサの取得した情報を、前記構造物の外部に送信するように構成される、製造方法。
【0128】
(6)上記(5)に記載の製造方法において、前記構造物は、強化材を含むものであり、前記無線通信ユニットと、前記構造物との表層とを直線で結んだ際に、当該直線上に前記強化材が存在しないように、前記無線通信ユニットが配置される、製造方法。
【0129】
(7)上記(1)に記載の製造方法において、前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、製造方法。
【0130】
(8)上記(1)に記載の製造方法において、前記形成工程は、事前に設計されたコードによって3Dプリンタが制御されることで行われ、前記コードには、前記センサの位置情報がインプットされているものである、製造方法。
【0131】
(9)上記(8)に記載の製造方法において、前記設置工程は、前記コードにインプットされた前記位置情報に前記センサを配置するように所定の機器が制御されることで行われる、製造方法。
【0132】
(10)構造物の状態を推定する推定方法であって、取得工程と、推定工程と、を備え、前記取得工程では、上記(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の製造方法で製造される前記構造物に備えられる前記センサからの信号を取得し、前記推定工程では、取得した前記信号に基づき、前記構造物の状態を推定する、推定方法。
【0133】
(11)上記(10)に記載の推定方法において、さらに警告工程を備え、前記推定工程は、前記信号に基づいて前記構造物の状態が所定の値として表されるように演算し、前記警告工程では、演算した前記所定の値と、予め設定した閾値と、の関係に基づき警告を発する、推定方法。
【0134】
(12)推定装置であって、制御部を備え、前記制御部は、上記(10)に記載の各工程を実行するように構成される、推定装置。
【0135】
(13)プログラムであって、コンピュータに、上記(10)に記載の各工程を実行させる、プログラム。
【0136】
(14)構造物であって、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、前記硬化体中に設けられるセンサと、を備え、前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、構造物。
【0137】
(15)情報処理装置の実行する情報処理方法であって、取得工程と、出力工程と、を備え、前記取得工程では、構造物に関するパラメータを取得し、ここで、前記構造物は、水和反応、重合反応又は焼成を経由して鉱物化する、粉体又はペースト材料である硬化材料の付加造形物の硬化体と、前記硬化体中に設けられるセンサと、を備え、前記構造物に関するパラメータは、前記センサから発せられる信号に基づくものであり、前記出力工程では、少なくとも取得した前記構造物に関するパラメータに基づき、前記構造物の状態及び/又は前記構造物の状態に関連する出力情報を出力する、情報処理方法。
【0138】
(16)上記(15)に記載の情報処理方法において、前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、情報処理方法。
【0139】
(17)上記(15)又は(16)に記載の情報処理方法において、前記出力工程は、取得した前記構造物に関するパラメータと第1参照情報とを突合することで、前記構造物の状態を推定して前記出力情報を出力し、前記第1参照情報は、過去に製造された構造物のパラメータと、前記過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である、情報処理方法。
【0140】
(18)上記(15)ないし(17)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、前記取得工程では、さらに前記構造物を製造する際の製造条件を取得し、前記出力工程では、さらに取得した前記製造条件に基づき、前記出力情報を出力する、情報処理方法。
【0141】
(19)上記(18)に記載の情報処理方法において、前記出力工程は、取得した前記製造条件に対応するパラメータと第2参照情報とを突合することで、前記構造物の状態を推定して前記出力情報を出力し、前記第2参照情報は、過去に製造された構造物の製造条件に関するパラメータと、前記過去に製造された構造物の状態とが関連付けられて記述された情報である、情報処理方法。
【0142】
(20)上記(15)ないし(19)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、前記出力工程では、前記構造物の将来の状態及び/又は前記構造物の将来の状態に関連する情報を出力する、情報処理方法。
【0143】
(21)上記(15)ないし(20)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、前記出力工程では、前記構造物の状態に関連する情報として、前記構造物の状態に応じた修繕に関する情報を出力する、情報処理方法。
【0144】
(22)情報処理装置であって、制御部を備え、前記制御部は、上記(15)ないし(21)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各工程を実行するように構成される、情報処理装置。
【0145】
(23)プログラムであって、コンピュータに、上記(15)ないし(21)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各工程を実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0146】
また、以下に参考形態を付記する。
【0147】
[α1]
構造物の製造方法であって、
形成工程と、設置工程と、を備え、
前記形成工程では、コンクリート又はモルタルで構成される硬化材料を3Dプリンタから吐出することによって造形物を形成し、
前記設置工程では、前記形成工程の過程で、前記造形物中にセンサを設置し、前記センサが前記造形物の硬化体と一体化された構造物を得る、製造方法。
[α2]
[α1]に記載の製造方法において、
前記形成工程は、前記硬化材料を積層させることで行われ、
前記設置工程は、積層される前記硬化材料の層間に前記センサを配置することで行われる、製造方法。
[α3]
[α1]又は[α2]に記載の製造方法において、
前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、
前記給電ユニットは、無線による給電を受けて前記センサに電力を供給するように構成される、製造方法。
[α4]
[α1]又は[α2]に記載の製造方法において、
前記センサは、給電ユニットに接続されたものであり、
前記給電ユニットは、発電を行うことが可能に構成され、前記給電ユニットが発電した電力を前記センサに供給するように構成される、製造方法。
[α5]
[α1]ないし[α4]のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記センサは、無線通信ユニットに接続されたものであり、
前記無線通信ユニットは、前記センサの取得した情報を、前記構造物の外部に送信するように構成される、製造方法。
[α6]
[α5]に記載の製造方法において、
前記構造物は、強化材を含むものであり、
前記無線通信ユニットと、前記構造物との表層とを直線で結んだ際に、当該直線上に前記強化材が存在しないように、前記無線通信ユニットが配置される、製造方法。
[α7]
[α1]ないし[α6]のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記センサは、以下の態様(i)及び/又は態様(ii)で配置され、
前記態様(i)は、前記センサが前記構造物に関する耐候性の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の表層付近に配置される態様であり、
前記態様(ii)は、前記センサが前記構造物に関する力学的環境の状態量を評価するものであり、かつ、前記センサが前記構造物の内部に複数個分散されて配置される態様である、製造方法。
[α8]
[α1]ないし[α7]のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記形成工程は、事前に設計されたコードによって3Dプリンタが制御されることで行われ、
前記コードには、前記センサの位置情報がインプットされているものである、製造方法。
[α9]
[α8]に記載の製造方法において、
前記設置工程は、前記コードにインプットされた前記位置情報に前記センサを配置するように所定の機器が制御されることで行われる、製造方法。
[α10]
構造物の状態を推定する推定方法であって、
取得工程と、推定工程と、を備え、
前記取得工程では、[α1]ないし[α9]のいずれか1項に記載の製造方法で製造される前記構造物に備えられる前記センサからの信号を取得し、
前記推定工程では、取得した前記信号に基づき、前記構造物の状態を推定する、推定方法。
[α11]
[α10]に記載の推定方法において、
さらに警告工程を備え、
前記推定工程は、前記信号に基づいて前記構造物の状態が所定の値として表されるように演算し、
前記警告工程では、演算した前記所定の値と、予め設定した閾値と、の関係に基づき警告を発する、推定方法。
[α12]
推定装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、[α10]又は[α11]に記載の各工程を実行するように構成される、推定装置。
[α13]
プログラムであって、
コンピュータに、[α10]又は[α11]に記載の各工程を実行させる、プログラム。
[α14]
構造物であって、
コンクリート又はモルタルで構成される硬化材料の付加造形物の硬化体と、
前記硬化体中に設けられるセンサと、
を備える、構造物。
【0148】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
1 :推定装置
2、2A、2B、2C :構造物
3、3A、3B、3C :計測モジュール
4 :3Dプリンタ
5 :印刷材料製造装置
6 :サーバ
7A、7B、7C :端末装置
8 :端末装置
10 :通信バス
11 :制御部
12 :記憶部
13 :入力部
14 :表示部
15 :通信部
20 :硬化体層
21 :硬化材料層
31 :センサ
32 :給電ユニット
33 :無線通信ユニット
41 :ノズル
51 :混合槽
52 :貯蔵部
53 :取出部
61 :制御部
62 :記憶部
65 :通信部
100 :推定システム
111 :取得部
112 :推定部
113 :出力部
114 :警告部
115 :記憶管理部
200 :情報処理システム
511 :撹拌翼
512 :モータ
513 :投入部
514 :投入部
611 :取得部
612 :推定部
613 :出力部
614 :警告部
615 :記憶管理部
P1 :ポンプ
V1、V2、V3 :バルブ
W :水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10