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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097341
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】経路提案システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20250624BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250624BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250624BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20250624BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213474
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 穣作
(72)【発明者】
【氏名】大参 吉恭
(72)【発明者】
【氏名】鄒 梦テイ
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD34
2F129DD40
2F129DD63
2F129DD64
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE83
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129HH02
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】複数のユーザの出発地と目的地が共通である場合に、ユーザの歩行ペースに応じて異なる経路を提案する技術の提供。
【解決手段】複数のユーザのそれぞれの徒歩移動速度を含むユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、複数の前記ユーザに共通の出発地および目的地を取得する出発地目的地取得部と、前記出発地から前記目的地まで徒歩移動する第1経路と、複数の前記ユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に遅い第1速度で前記第1経路を徒歩移動する場合の所要時間を取得する第1経路取得部と、複数の前記ユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に速い第2速度で前記所要時間を費やして前記出発地から前記目的地まで徒歩移動する第2経路を取得する第2経路取得部と、前記第1経路と前記第2経路を出力する経路出力部と、を備える経路提案システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれの徒歩移動速度を含むユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、
複数の前記ユーザに共通の出発地および目的地を取得する出発地目的地取得部と、
前記出発地から前記目的地まで徒歩移動する第1経路と、複数の前記ユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に遅い第1速度で前記第1経路を徒歩移動する場合の所要時間を取得する第1経路取得部と、
複数の前記ユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に速い第2速度で前記所要時間を費やして前記出発地から前記目的地まで徒歩移動する第2経路を取得する第2経路取得部と、
前記第1経路と前記第2経路を出力する経路出力部と、
を備える経路提案システム。
【請求項2】
前記第1経路取得部においては、
前記出発地から前記目的地の間に経由地が取得され、
前記第1速度で前記出発地から前記経由地まで移動する場合の第1経由前経路と経由前所要時間が取得され、
前記第1速度で前記経由地から前記目的地まで移動する場合の第1経由後経路と経由後所要時間とが算出され、
前記第2経路取得部においては、
前記経由前所要時間を費やして前記第2速度で前記出発地から前記経由地まで移動する第2経由前経路と、前記経由後所要時間を費やして前記第2速度で前記経由地から前記目的地まで移動する第2経由後経路とが取得される、
請求項1に記載の経路提案システム。
【請求項3】
前記第1速度は、複数の前記ユーザのうち徒歩移動速度が最も遅い最遅ユーザの徒歩移動速度である、
請求項2に記載の経路提案システム。
【請求項4】
前記ユーザ情報取得部においては、複数の前記ユーザのそれぞれの連続歩行可能距離が取得され、
前記第1経路取得部においては、前記第1経由前経路の経路長が前記最遅ユーザの前記連続歩行可能距離以下となる地点が前記経由地として取得される、
請求項3に記載の経路提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観光地に向けて歩行者用のナビゲーションを行うことが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-10877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数人で徒歩移動する場合、長距離を歩くことが困難な人にとっては、他の人と同じペースで歩き続けることは困難である。無理をすると体調を崩す可能性があり、途中で諦めてしまうと本人は楽しめない可能性がある。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、複数のユーザの出発地と目的地が共通である場合に、ユーザの歩行ペースに応じて異なる経路を提案する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、経路提案システムは、複数のユーザのそれぞれの徒歩移動速度を含むユーザ情報を取得するユーザ情報取得部と、複数のユーザに共通の出発地および目的地を取得する出発地目的地取得部と、出発地から目的地まで徒歩移動する第1経路と、複数のユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に遅い第1速度で第1経路を徒歩移動する場合の所要時間を取得する第1経路取得部と、複数のユーザの徒歩移動速度から導出された相対的に速い第2速度で所要時間を費やして出発地から目的地まで徒歩移動する第2経路を取得する第2経路取得部と、第1経路と第2経路を出力する経路出力部と、を備える。
【0006】
すなわち、経路提案システムでは、出発地から目的地までの徒歩移動する第1経路を、相対的に遅い徒歩移動速度である第1速度で移動する場合の所要時間を取得し、当該所要時間分歩行することで相対的に速い徒歩移動速度である第2速度で出発地から目的地まで移動するための第2経路と、を取得する。そのため、相対的に速い第2速度で歩行するユーザも、相対的に遅い第1速度で歩行するユーザが出発地から目的地まで第1経路を徒歩移動するのに要する所要時間分、第2経路で出発地から目的地まで徒歩移動できる。このように、経路提案システムによれば、複数のユーザの出発地と目的地が共通である場合に、ユーザの歩行ペースに応じた異なる経路を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】経路提案システムの構成を示すブロック図。
図2図2Aは経由地がない場合の第1経路と第2経路の例を示す図、図2Bは経由地がある場合の第1経路と第2経路の例を示す図。
図3図3Aは経路提案処理のフローチャート、図3Bは第1経路取得処理のフローチャート、図3Cは第2経路取得処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)全体構成:
(1-1)ユーザ端末の構成:
(1-2)経路提案システムの構成:
(2)経路提案処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)全体構成:
図1は、本発明にかかる経路提案システム10を含む全体の構成を示すブロック図である。本実施形態において、経路提案システム10は、同じ出発地から同じ目的地に向かう複数のユーザに対して、ユーザの歩行ペースに応じた異なる経路を提案する機能を有する。複数のユーザは、例えば団体旅行に参加しているメンバーであることを想定してよい。このような団体旅行において、参加ユーザが同じ出発地から一斉に出発して同程度の時間をかけて徒歩で移動し、最終的に同じ目的地に到達するという、複数人での徒歩移動のニーズがある。しかし歩行ペースはユーザによって異なるため、全員が同じ経路を歩行すると、ペースの速いユーザには待ち時間が発生し、ペースの遅いユーザは無理をして速く歩くこと等が起きうる。同じ出発地から出発し同程度の時間をかけて同じ目的地に到達する経路であって、ユーザのペースに応じた異なる経路を提案することが望まれていた。このような経路を提案できれば、参加ユーザが物足りなさを感じたり、あるいは無理をしたりする可能性を低減できる。
ユーザ端末100は、参加ユーザである複数のユーザがそれぞれ利用する端末であり、参加登録やユーザ情報の入力を行い、経路提案システム10から提案された経路を閲覧するために使用する。
【0010】
(1-1)ユーザ端末の構成:
ユーザ端末100は、経路提案システム10のユーザが操作する端末であり、本実施形態においては、スマートフォンやタブレット等の可搬型の端末である。ユーザ端末100は、通信部140と、GNSS受信部141と、UI部142と、制御部120を備えている。通信部140は、他の装置と通信するための回路を含む。ユーザ端末100は、通信部140により経路提案システム10と通信することができる。
【0011】
GNSS受信部141は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部141は、航法衛星からの電波を受信し、ユーザ端末100の位置を算出するための信号を出力する。制御部120は、この信号を取得してユーザ端末100の位置を取得する。
【0012】
UI部142は、ユーザからの指示を受け付け、また、ユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、タッチパネルディスプレイやスイッチ、スピーカ、マイク等を備えている。制御部120は、CPU,RAM,ROMを備え、記録媒体やROMに記録された各種のプログラムを実行することができる。本実施形態において、制御部120は、GNSS受信部141の出力に基づいて定期的に現在地と時刻を特定する。制御部120は、現在地と時刻の履歴をユーザIDと対応付けて、既定のタイミングで経路提案システム10に送信する。
【0013】
また、制御部120は、UI部142のディスプレイに複数人での徒歩移動の参加登録画面を表示させ、参加ユーザの徒歩移動に関する情報の入力や、出発地や目的地の入力を受け付けて経路提案システム10に送信する。なお出発地や目的地の入力は、参加ユーザの少なくとも1人が行えばよい。また、制御部120は、経路提案システム10から返信された経路を含む地図をUI部142のディスプレイに表示させる。
【0014】
(1-2)経路提案システムの構成:
経路提案システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部40を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして経路提案プログラム21を実行可能である。通信部40は、他の装置と通信するための回路を備えており、経路提案システム10は通信部40を介して、ユーザ端末100と通信を行うことができる。
【0015】
記録媒体30には、地図情報30aと、ユーザ情報30bが記録されている。本実施形態において、地図情報30aは歩行者用である。地図情報30aは、歩行者が通行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する施設の位置等を示す施設データ等を含んでいる。本実施形態においては、歩行の合間に休憩を取ることができる施設、例えば道路脇のベンチや、東屋やベンチのある公園や、喫茶店等の位置が、施設データに含まれている。また施設データには、観光スポット等の位置が含まれている。
【0016】
ユーザ情報30bは、ユーザに応じた徒歩移動用経路を生成するために参照される各ユーザの情報である。ユーザ情報30bには、ユーザIDに対応付けて、連続歩行可能距離、徒歩移動速度を示す情報が記録される。記録媒体30には、各ユーザの移動履歴30cが記録されていてもよい。移動履歴30cは、ユーザIDに対応付けて記録された、当該ユーザのユーザ端末100の位置と時刻の履歴である。移動履歴30cは、経路提案システム10の運用過程で随時更新される。ユーザ情報30bの詳細については後述する。
【0017】
制御部20は、複数のユーザの出発地と目的地が共通である場合に、ユーザの歩行ペースに応じて異なる経路を提案する機能を実現するために、経路提案プログラム21を実行する。経路提案プログラム21を実行することにより、制御部20は、ユーザ情報取得部21a、出発地目的地取得部21b、第1経路取得部21c、第2経路取得部21d、経路出力部21eとして機能する。
【0018】
経路提案プログラム21を実行すると、制御部20は、参加ユーザの登録を受け付ける。ユーザ情報取得部21aの機能により、制御部20は、参加ユーザである複数のユーザのそれぞれの徒歩移動速度と、複数のユーザのそれぞれの連続歩行可能距離と、を含むユーザ情報を取得する。徒歩移動速度や連続歩行可能距離は、ユーザが直接入力した値を取得する構成でもよいし、ユーザの徒歩による移動履歴30cに基づいて導出する構成でもよい。
【0019】
後者の場合、例えば制御部20は、移動履歴30cに含まれるユーザ端末の位置および時刻の履歴と、地図情報30aとに基づいて、利用者が所定時間以上滞在した滞在地点や、利用者が移動したリンクを特定する。また制御部20は、ユーザ端末100の位置と時刻の履歴から、ユーザの移動速度を算出する。移動速度が歩行を示す閾値以下の速度である場合に、制御部20は、ユーザが徒歩で移動した履歴であることを特定する。制御部20は、徒歩で移動した複数の履歴からユーザの移動速度を算出し、当該ユーザの移動速度の統計値を当該ユーザの徒歩移動速度として取得する。また、制御部20は、徒歩による移動の始点および終点の位置と始点から終点までの通過リンクの長さに基づいて1回の徒歩による移動距離を算出し、徒歩による移動距離の統計値からユーザの連続歩行可能距離を取得する。
【0020】
出発地目的地取得部21bの機能により、制御部20は、参加ユーザである複数のユーザに共通の出発地および目的地を取得する。例えば、制御部20は、参加ユーザのいずれかがユーザ端末100を操作して入力した出発地および目的地を、通信部40を介して取得する。なお、出発地や目的地は、参加ユーザ以外(例えば徒歩移動の計画者)が入力したものを取得する構成でもよい。
【0021】
第1経路取得部21cの機能により、制御部20は、出発地から目的地まで徒歩移動する第1経路を取得する。図2Aの模式図を参照しながら説明する。制御部20は、地図情報30aに基づいて、出発地Sから目的地Gに向かう歩行者用の経路である第1経路Rを、ダイクストラ法等の公知の探索アルゴリズムを用いて探索する。
【0022】
さらに、制御部20は第1経路取得部21cの機能により、参加ユーザである複数のユーザの徒歩移動速度から相対的に遅い第1速度を導出する。第1速度と後述する第2速度は、参加ユーザの徒歩移動速度から導出される速度であり、前者が後者より遅いという関係にある。第1速度と第2速度には、参加ユーザである複数のユーザのうちのいずれかの徒歩移動速度そのものが採用されてもよいし、当該複数のユーザの徒歩移動速度の統計値が採用されてもよい。
【0023】
本実施形態においては、制御部20は、参加ユーザである複数のユーザのそれぞれの徒歩移動速度を比較し、そのうち最も遅い徒歩移動速度を第1速度として採用する。また、参加ユーザのうち徒歩移動速度が最も遅いユーザを最遅ユーザと呼ぶ。本実施形態では、最遅ユーザの移動速度を基準として、徒歩移動速度が速いユーザ用の第2経路を取得することができる(詳細は後述する)。制御部20は、第1経路取得部21cの機能により、第1速度で第1経路Rを徒歩移動する場合の所要時間Tを取得する。すなわち制御部20は、第1経路Rの経路長を算出し、当該経路長と第1速度から、所要時間Tを算出する。
【0024】
第2経路取得部21dの機能により、制御部20は、複数のユーザの徒歩移動速度から相対的に速い第2速度を導出する。例えば制御部20は、最遅ユーザを除いた残りのユーザの徒歩移動速度の統計値を第2速度として算出する。あるいは制御部20は、参加ユーザの徒歩移動速度の度数分布が2以上のピークを有している場合、分布の谷を境にグループ分けし、最も徒歩移動速度が遅いグループに属さないユーザの徒歩移動速度の統計値を第2速度として採用してもよい。いずれにしても本実施形態では、最遅ユーザを含むグループ(最遅ユーザのみ属す態様でもよい)と、最遅ユーザを含まないグループの2グループに分けて、最遅ユーザを含むグループ向けの経路(上述した第1経路R)と、最遅ユーザを含まないグループ向けの経路(後述する第2経路R)を生成する。制御部20は、最遅ユーザを含むグループは第1速度で移動すると想定し、最遅ユーザを含まないグループは第2速度で移動すると想定して、次のようにして第2経路Rを取得する。
【0025】
制御部20は、第2経路取得部21dの機能により、第2速度で所要時間Tを費やして出発地から目的地まで徒歩移動する第2経路Rを取得する。制御部20は、第2速度で所要時間T、移動した場合に移動できる距離Kを算出し、出発地Sから目的地Gまでの経路で距離Kに近い長さ(距離K±αの範囲内)を有する経路を取得する。
【0026】
例えば、制御部20は、出発地Sと目的地Gを含む領域Zを設定し、出発地Sを出発して、領域Z内に両端が含まれるリンクを経て目的地Gに到着する経路を1以上取得し、そのうち経路長が距離K±αの範囲内の経路を第2経路Rとして取得する。制御部20は距離K±αの範囲内であって距離Kに最も近い経路を第2経路Rとして取得してもよいし、当該範囲内の経路が複数ある場合は全て第2経路Rとして取得してもよい。経路長が距離K±αの範囲内となる経路がない場合は、制御部20は、領域Zの大きさや形状を変化させて、上述の処理を行って経路長が距離K±αの範囲内となる第2経路Rを取得する。
【0027】
なお、第2経路は次のように取得されてもよい。制御部20は、第1経路Rを含む所定の範囲内の観光スポットを、地図情報30aを参照して検索する。観光スポットは、例えば写真映えする場所等である。制御部20は、検索で得られた観光スポットのうちの1個の観光スポットを立ち寄り地点として選択して、出発地Sから観光スポットまでの経路と観光スポットから目的地Gまでの経路を公知の探索アルゴリズムで探索し、得られた2つの経路の経路長の和が距離K±αの範囲内となるか否かを判定する。経路長の和が距離K±αの範囲内とならなければ、制御部20は別の観光スポットで同様の処理を行う。制御部20は立ち寄る観光スポットの個数を増加していってもよい。2以上の観光スポットの立ち寄り順は例えばVRPの手法を用いて決定されてもよい。出発地Sを出発し1以上の観光スポットを経由して目的地Gに至る経路の経路長が距離K±αの範囲内となる経路が取得できた場合、制御部20は、この経路を第2経路Rとして取得する。
【0028】
経路出力部21eの機能により、制御部20は、第1経路Rと第2経路Rを出力する。具体的に、制御部20は、第1経路Rと第2経路Rを参加ユーザの各ユーザ端末100に送信する。さらに、最遅ユーザを含むグループに属するユーザのユーザ端末100においては、2つの経路のうちの第1経路Rをお勧めする旨を通知し、最遅ユーザを含まないグループに属するユーザのユーザ端末100においては、第2経路Rをお勧めする旨を通知するように構成されてもよい。
【0029】
このようにすることで、制御部20は、第2速度で歩行することが想定されたユーザも、第1速度で歩行することが想定されたユーザが出発地Sから目的地Gまで第1経路Rを徒歩移動するのに要する所要時間T分、第2経路Rで出発地Sから目的地Gまで徒歩移動できる。そのため、本実施形態によれば、複数のユーザが同じ出発地から同じ目的地に向かう場合に、ユーザの歩行ペースに応じた異なる経路を提案することができる。
【0030】
なお、出発地から目的地の間に、経由地が設定されてもよい。経由地は、出発地から目的地に向かう途中で参加ユーザの全員が合流する地点であり、参加ユーザが顔を合わせ、休憩等をすることを想定する地点である。本実施形態において、制御部20は、第1経路取得部21cの機能により、第1経路Rの経路長Lが最遅ユーザの連続歩行可能距離Dより大きい場合、連続歩行距離が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下となるように1個以上の経由地を設定する。本実施形態では、図2Bに示すように1個の経由地が設定される例を説明する。
【0031】
制御部20は、第1経路取得部21cの機能により、第1速度で出発地Sから経由地まで移動する場合の経路(第1経由前経路R1Aと呼ぶ)を取得する。制御部20は、第1速度で移動する場合の出発地Sから経由地までの第1経由前経路の経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下となる地点を経由地Pとして取得する。制御部20は、地図情報30aの施設データに基づいて、第1経路R沿い(あるいは第1経路R沿いの既定範囲内)に、ベンチや公園、喫茶店等の休憩可能な地点が存在するか否かを検索する。存在する場合、制御部20は出発地Sから当該地点までの経路を探索し、そのうち、出発地Sからの経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下であって、最も出発地Sからの経路長が長い地点を経由地Pとして選択する。ベンチ等の休憩設備がある地点が存在しない場合、第1経路R上の、出発地Sからの経路長が連続歩行可能距離Dの地点を経由地Pとするように構成されてもよい。
【0032】
さらに、制御部20は、第1経路取得部21cの機能により、第1速度で経由地Pから目的地Gまで移動する場合の経路(第1経由後経路R1Bと呼ぶ)を取得する。制御部20は経由地Pから目的地Gまでの経路を探索し、その経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下であれば、当該経路を第1経由後経路R1Bとして取得する。出発地Sと目的地Gの間に1つの経由地Pが設定された場合、第1経由前経路R1Aと第1経由後経路R1Bとを連結した経路が第1経路に相当する。なお、1つ目の経由地Pから目的地Gまでの経路の経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離Dより大きい場合は、上述と同様にして、1つ目の経由地Pから目的地Gまでの間に2つ目の経由地が設定される。このようにして制御部20は、出発地Sから目的地Gまでの間に最遅ユーザが連続歩行可能距離を超えて休憩なしに連続で歩行しなくて済むように経由地を設定し経路を生成する。
【0033】
経由地が1つである場合について説明を続ける。制御部20は、第1速度で出発地Sから経由地Pまでを第1経由前経路R1Aで移動する場合の所要時間である経由前所要時間Tと、第1速度で経由地Pから目的地Gまでを第1経由後経路R1Bで移動する場合の所要時間である経由後所要時間Tを取得する。すなわち、制御部20は、第1経由前経路R1Aの経路長と第1速度から経由前所要時間Tを算出し、第1経由後経路R1Bの経路長と第1速度から経由後所要時間Tを算出する。
【0034】
経由地Pに同時間帯に参加ユーザが到着できるように、制御部20は第2経路を生成する。すなわち、制御部20は、第2経路取得部21dの機能により、経由前所要時間Tを費やして第2速度で出発地Sから経由地Pまで移動する第2経由前経路R2Aを取得する。また、制御部20は、経由後所要時間Tを費やして第2速度で経由地Pから目的地Gまで移動する第2経由後経路R2Bを取得する。すなわち、図2Aを用いて説明した上述の第2経路Rの生成方法と同様にして、制御部20は、第2経由前経路R2Aと第2経由後経路R2Bを取得する。
【0035】
このように、経由地が設定されている場合、制御部20は、経由前所要時間の略同一時間を費やして第2速度で出発地から経由地まで移動する経路と、経由後所要時間の略同一時間を費やして第2速度で経由地から目的地まで移動する経路と、を含む第2経路を取得する。そのため、第1速度で徒歩移動するユーザと第2速度で徒歩移動するユーザが、出発地、経由地、目的地でそれぞれ会うことが可能な第1経路および第2経路を取得できる。第2経路Rを移動するユーザと第1経路Rを移動するユーザが出発地と目的地以外にも途中の経由地で顔を合わせることができるような第1経路と第2経路が生成されるため、各ユーザが一体感を感じることができる可能性を高めることができる。
【0036】
また、経由地を設定することで、最遅ユーザに連続歩行可能距離を超える距離を休憩なしに歩行させることを防止できる。
【0037】
(2)経路提案処理:
次に、制御部20が実行する経路提案処理を、図3を参照しながら説明する。経路提案処理は、ユーザ端末100から経路提案の要求を受信した場合に実行される。経路提案処理が開始されると、制御部20は、ユーザ情報取得部21aの機能により、ユーザの参加登録を受け付ける(ステップS100)。すなわち、制御部20は、参加ユーザのユーザIDを、ユーザ端末100から受信する。
【0038】
続いて、制御部20は、ユーザ情報取得部21aの機能により、参加ユーザのユーザ情報を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、ユーザが入力した徒歩移動速度や連続歩行可能距離をユーザ端末100から取得する。あるいは制御部20は、ユーザIDに対応する移動履歴30cから各ユーザの徒歩移動速度や連続歩行可能距離を取得する。
【0039】
続いて、制御部20は、出発地目的地取得部21bの機能により、出発地と目的地を取得する(ステップS110)。すなわち制御部20は、ユーザ端末100から、参加ユーザに共通の出発地と目的地を取得する。
【0040】
続いて、制御部20は、第1経路取得部21cの機能により、第1経路取得処理を実行する(ステップS115)。第1経路取得処理は、徒歩移動速度が相対的に遅いユーザ向けの徒歩移動用の経路である第1経路を取得する処理であり、詳細は後述する。続いて、制御部20は、第2経路取得部21dの機能により、第2経路取得処理を実行する(ステップS120)。第2経路取得処理は、徒歩移動速度が相対的に速いユーザ向けの徒歩移動用の経路である第2経路を取得する処理であり、詳細は後述する。
【0041】
続いて、制御部20は、経路出力部21eの機能により、結果出力用UIを生成する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、第1経路と第2経路を地図上に示した画像データを生成し、ユーザ端末100に送信する。ユーザ端末100は画像データに基づいて第1経路と第2経路を示した地図をUI部142のディスプレイに表示する。
【0042】
図3Bは、第1経路取得処理を示すフローチャートである。図3Bに示す第1経路取得処理は、経由地を1個設けることを想定した処理である。第1経路取得処理が開始されると、制御部20は、最遅ユーザを特定する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、参加ユーザである複数のユーザのユーザ情報30bを参照し、徒歩移動速度が最も遅いユーザを特定する。制御部20は最遅ユーザの徒歩移動速度を第1速度として採用する。
【0043】
続いて、制御部20は、出発地Sから目的地Gまでの経路を探索する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、出発地Sから目的地Gまでの最短経路を、地図情報30aを参照して探索する。
【0044】
続いて、制御部20は、連続歩行距離が最遅ユーザの連続歩行可能距離以下となるような経由地Pを設定する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、ステップS205で取得した経路沿い(あるいは当該経路沿いの既定範囲内)に、休憩可能な地点が存在するか否かを検索する。存在する場合、制御部20は、出発地Sから当該地点までの経路を探索し、そのうち、出発地Sからの経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下であって、最も出発地Sからの経路長が長い地点を経由地Pとして選択する。ベンチ等の休憩設備がある地点が存在しない場合、第1経路R上の、出発地Sからの経路長が連続歩行可能距離Dの地点を経由地Pとするように構成されてもよい。本実施形態においては、経由地Pから目的地Gまでの経路の経路長が最遅ユーザの連続歩行可能距離D以下であるとして説明を続ける。
【0045】
続いて、制御部20は、出発地Sから経由地Pを経由し、目的地Gまで到達する第1経路を取得する(ステップS215)。すなわち制御部20は、第1経由前経路R1Aと第1経由後経路R1Bを連結して第1経路を取得する。
【0046】
続いて、制御部20は、第1速度による各所要時間を取得する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、経由前所要時間Tと経由後所要時間Tを取得する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、第1経由前経路R1Aの経路長と第1速度とに基づいて、経由前所要時間Tを算出する。また、制御部20は、第1経由後経路R1Bの経路長と第1速度から、経由後所要時間Tを算出する。
【0047】
図3Cは、第2経路取得処理のフローチャートである。図3Cに示す第2経路取得処理は、図3Bと同様に、経由地を1個設けることを想定した処理である。第2経路取得処理が開始されると、制御部20は、最遅ユーザのグループに属さないユーザの徒歩移動速度の統計値を算出する(ステップS300)。制御部20は算出した速度を第2速度とする。
【0048】
続いて、制御部20は、経由前所要時間Tに合わせて第2経由前経路R2Aを取得する(ステップS305)。すなわち制御部20は、第2速度で経由前所要時間T分移動した場合に移動できる距離Kを算出し、出発地Sから経由地Pに向かう経路であって経路長が距離Kに近い長さ(距離K±αの範囲内)である経路を取得する。
【0049】
続いて、制御部20は、経由後所要時間Tに合わせて第2経由後経路R2Bを取得する(ステップS310)。すなわち制御部20は、第2速度で経由後所要時間T分移動した場合に移動できる距離Kを算出し、経由地Pから目的地Gに向かう経路であって経路長が距離Kに近い長さ(距離K±αの範囲内)である経路を取得する。
【0050】
続いて、制御部20は、第2経由前経路R2Aと第2経由後経路R2Bを連結した第2経路を取得する(ステップS320)。すなわち制御部20は第2経由前経路R2Aの後に第2経由後経路R2Bを連結した第2経路を生成する。
【0051】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ユーザ情報に基づいて第1経路や第2経路を取得する装置と、取得された経路を閲覧する装置とは、同じであってもよいし、別であってもよい。別である場合、ユーザ端末は可搬型の端末であってもよいし、可搬型でなくてもよい。
【0052】
経路提案システムは、複数の装置(例えば、クライアントとサーバや、複数のサーバ)によって実現される装置であっても良い。経路提案システムを構成するユーザ情報取得部21a、出発地目的地取得部21b、第1経路取得部21c、第2経路取得部21d、経路出力部21eの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。例えば、ユーザ情報30bを蓄積する装置と、第1経路取得部21cの機能を実現する装置と、第2経路取得部21dの機能を実現する装置は、それぞれ別の装置であってもよい。経路提案システムは1台のユーザ端末においてスタンドアロンで実現されてもよい。上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0053】
ユーザ情報には、ユーザの歩行能力を示す情報が含まれていてよい。例えばユーザ情報には、ユーザが1日に歩行可能な最大距離を示す最大歩行可能距離が含まれていてもよい。最大移動可能距離は、連続歩行可能距離以上の値となる。最大歩行可能距離も、ユーザが自己申告した値を取得するように構成されてもよいし、ユーザの移動履歴から取得するように構成されてもよい。複数のユーザの最大移動可能距離に基づいて、出発地および目的地の少なくともいずれか一方が設定されてもよい。
【0054】
上記実施形態においては、出発地と目的地が異なる例を挙げたが、出発地と目的地は同じであってもよい。出発地と目的地が同じ場合、経由地を設定して経路探索することにより、出発地を出発して経由地を経由し出発地に戻る経路を取得できる。
【0055】
経由地は、最遅ユーザの連続歩行可能距離以下となる地点であることに限定されない。複数のユーザのうち、連続歩行可能距離が最も短いユーザの連続歩行可能距離以下となる地点を経由地とするように構成されてもよい。あるいは、参加ユーザの連続歩行可能距離に関係なく、出発地と目的地の間にある観光スポットが自動的に設定されてもよいし、参加ユーザが決定してもよい。
【0056】
第1速度は、徒歩移動速度から導出された相対的に遅い第1速度であればよい。第1速度は、複数のユーザのうち徒歩移動速度が最も遅い最遅ユーザの徒歩移動速度であることに限定されない。例えば、徒歩移動速度の度数分布における最も遅いグループの統計値を第1速度として採用してもよい。また、第1速度や第2速度は、参加ユーザが設定できるように構成されてもよい。
【0057】
また、経路提案システムが取得する経路は第1経路と第2経路の2種類であることに限定されない。3種類以上の経路が取得されてもよい。経路提案システムは、複数のユーザの徒歩移動速度から、異なる3以上の速度を導出し、導出した速度のうち最も遅い第1速度で出発地から目的地に向かう第1経路の所要時間を取得し、当該所要時間を費やして他の2以上の速度で出発地から目的地にそれぞれ向かう2以上の経路を取得するように構成されてもよい。取得する経路の個数は、ユーザ側が決定するように構成されてもよいし、参加ユーザの数や各ユーザの徒歩移動速度の分布状況に応じてシステム側が決定するように構成されてもよい。
【0058】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0059】
10…経路提案システム、20…制御部、21…経路提案プログラム、21a…ユーザ情報取得部、21b…出発地目的地取得部、21e…経路出力部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…ユーザ情報、30c…移動履歴、40…通信部、100…ユーザ端末、120…制御部、140…通信部、141…GNSS受信部、142…UI部、G…目的地、P…経由地、R1A…第1経由前経路、R1B…第1経由後経路、S…出発地、T…所要時間、T…経由前所要時間、T…経由後所要時間、Z…領域
図1
図2
図3