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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097407
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】営農管理システムおよび営農管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20250624BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213581
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 伸明
(72)【発明者】
【氏名】今井 征典
(72)【発明者】
【氏名】小山 浩二
(57)【要約】
【課題】営農者と情報の報知が必要な人々との間でコミュニケーションを図ることができる営農管理システムおよび営農管理方法を提供すること。
【解決手段】実施形態の一態様に係る営農管理システムは、作業登録部と、報知部と、報知先登録部と、を備える。作業登録部は、農作業の内容と日付が登録される。報知部は、農作業が行われることを報知先に報知する。報知先登録部は、報知先が登録される。報知部は、農作業の日付の所定時間前に農作業の内容を報知先に報知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業の内容と日付が登録される作業登録部と、
前記農作業が行われることを報知先に報知する報知部と、
前記報知先が登録される報知先登録部と、を備え、
前記報知部は、前記農作業の日付の所定時間前に前記農作業の内容を前記報知先に報知する営農管理システム。
【請求項2】
前記報知先は、前記農作業が行われる圃場の近隣の所定範囲に住む住民を対象とする請求項1に記載の営農管理システム。
【請求項3】
前記農作業の内容と日付は、前記農作業が行われる圃場毎に登録され、
前記報知先は、報知の対象となる対象圃場と紐づけて登録され、
前記報知部は、前記対象圃場と紐づけて登録された前記報知先に前記農作業の内容を報知する請求項1または請求項2に記載の営農管理システム。
【請求項4】
前記対象圃場は、地図情報に重ねて表示された圃場から選択される請求項3に記載の営農管理システム。
【請求項5】
前記報知部は、前記農作業の内容を前記報知先に報知してから前記農作業の日付までに前記農作業の内容が追加または変更された場合は、直ちに前記農作業の内容の追加または変更があった旨を前記報知先に報知する請求項1または請求項2に記載の営農管理システム。
【請求項6】
報知先が登録される報知先登録工程と、
農作業の内容と日付が登録される作業登録工程と、
前記農作業の日付の所定時間前に前記農作業の内容を前記報知先に報知する報知工程と、を備える営農管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営農管理システムおよび営農管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作地を農作区画毎に管理し、農作業イベントの内容と当該農作業イベントのコストを農作業実績として記録する営農管理システムが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5956374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農地の中には住宅街が隣接する場所があり、周囲の環境に影響を与える作業を行う場合、圃場の近隣に住む人々に配慮が必要なことがある。このため、かかる人々とのコミュニケーションが必要な場合があるが、上記の技術においては、農作業の内容が実績として記録されるものの、情報を報知する手段を備えておらず、様々な生活スタイルの人々とコミュニケーションを図ることは容易ではなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、営農者と情報の報知が必要な人々との間でコミュニケーションを図ることができる営農管理システムおよび営農管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る営農管理システム(1)は、農作業の内容と日付が登録される作業登録部(11)と、前記農作業が行われることを報知先に報知する報知部(12)と、前記報知先が登録される報知先登録部(13)と、を備え、前記報知部(12)は、前記農作業の日付の所定時間前に前記農作業の内容を前記報知先に報知する。
【0007】
また、実施形態に係る営農管理方法は、報知先が登録される報知先登録工程と、農作業の内容と日付が登録される作業登録工程と、前記農作業の日付の所定時間前に前記農作業の内容を前記報知先に報知する報知工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
実施形態に係る営農管理システムおよび営農管理方法によれば、営農者と情報の報知が必要な人々との間でコミュニケーションを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る営農管理システムの概要を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る営農管理システムの機能を示すブロック図である。
図3図3は、地図情報に重ねて表示された圃場を示す図である。
図4図4は、報知部による報知先への報知を説明する図である。
図5図5は、報知部による報知先への報知を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る営農管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、第1変形例に係る報知部による報知先への報知を説明する図である。
図8図8は、第2変形例に係る報知部による報知先への報知を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る営農管理システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能なもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0011】
まず、図1を参照して営農管理システム1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る営農管理システム1の概要を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、営農管理システム1は、農作業の内容と日付が登録される作業登録部11と、農作業が行われることを報知先に報知する報知部12と、報知先が登録される報知先登録部13と、を備える。
【0013】
営農管理システム1は、営農者と報知先の住民とが情報を共有するためのシステムである。営農管理システム1の報知先は、例えば、営農者により農作業が行われる圃場の近隣の所定範囲に住む住民(近隣住民K)を対象とする。所定範囲は、例えば、圃場に隣接する場所や、圃場から一定距離の範囲内の場所などであり、営農者によって任意に設定可能である。なお、本実施形態では、報知先の住民を近隣住民Kとして説明する。
【0014】
作業登録部11は、圃場で行われる農作業の内容や日付が登録される。圃場で行われる農作業は、例えば、防除や野焼きである。作業登録部11は、パーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末から営農者が入力したデータが作業登録部11に送信され、登録されるように構成される。作業登録部11では、登録された農作業の内容や日付である営農スケジュールに基づいて、営農者の農作業のスケジュール管理などが行われる。作業登録部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理装置やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、さらには入出力装置が設けられたコンピュータなどである。なお、営農者がデータの入力を行うパーソナルコンピュータや携帯端末を作業登録部11として構成してもよい。
【0015】
報知部12は、農作業が行われる旨が記載された電子メールを報知先に送信する。報知部12は、作業登録部11に接続して、営農スケジュールを取得可能に構成される。報知部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理装置やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、さらには入出力装置が設けられたコンピュータなどである。なお、報知部12は、作業登録部11と同一のコンピュータ上で動作するように構成されてもよい。また、報知部12は、電子メールによる報知に限定されず、例えば、いわゆるSMS(Short Message Service)や、アプリケーションソフトウェアが有する通知機能を用いて報知を行ってもよい。
【0016】
報知先登録部13は、報知先のメールアドレスなどが登録される。報知先登録部13は、パーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末から近隣住民Kが入力したデータが登録される。報知先登録部13は、報知部12に接続して、登録されたデータを報知部12へ送信可能に構成される。報知先登録部13は、例えば、近隣住民Kがパーソナルコンピュータや携帯端末からアクセス可能なWEBサイトである。
【0017】
次に、図2図5を用いて、営農管理システム1の処理内容について説明する。図2は、実施形態に係る営農管理システム1の機能を示すブロック図である。図3は、地図情報Mに重ねて表示された圃場を示す図である。図4および図5は、報知部12による報知先への報知を説明する図である。
【0018】
図2に示すように、近隣住民Kは、営農者Hの依頼により、報知先登録部13から自身のメールアドレスを任意に登録する。登録されたメールアドレスは、報知部12に送信される。以下では、メールアドレスの登録を行った近隣住民Kを登録者Rと呼び、登録されたメールアドレスを登録メールアドレスと呼ぶ。なお、報知先登録部13は、1人の登録者Rに対して、複数のメールアドレスを登録可能に構成される。
【0019】
営農者Hは、作業対象の圃場における農作業の内容と日付を作業登録部11に登録する。作業登録部11は、登録された情報を営農スケジュールとして管理する。
【0020】
報知部12は、作業登録部11にアクセスし、作業登録部11の営農スケジュールに基づいて、農作業が行われる所定日前(例えば3日前)に、農作業が行われる旨が記載された電子メールを登録メールアドレスに自動的に送信する。このとき、報知部12は、農作業の内容に応じて注意事項を電子メールに記載する。注意事項とは、例えば、農作業が防除である場合は、「窓を閉める旨」、「洗濯物は外に干さない旨」などである。所定日は、メールアドレスを登録する際に、登録者Rが個別に設定可能である。そして、報知部12は、農作業の完了後にも、農作業が完了した旨が記載された電子メールを登録メールアドレスに自動的に送信する。
【0021】
登録者Rは、自身のメールアドレスを登録する際に、情報の連絡を希望する圃場を登録することが可能である。すなわち、報知先は、報知の対象となる対象圃場と紐づけて登録可能になっている。
【0022】
図3に示すように、例えば、報知先登録部13は、地図情報Mと圃場を重ねて表示する。これにより、対象圃場は、地図情報Mに重ねて表示された圃場から選択される。例えば、登録者Rは、自宅の位置が位置Pである場合、圃場A~圃場Gのうち、自宅に道路を介して隣接する圃場Fを選択している。選択された圃場Fは、対象圃場として設定される。
【0023】
図4に示すように、報知部12は、対象圃場と紐づけて登録された報知先に農作業の内容を報知する。例えば、登録者R1~登録者R3のうち、圃場Fを対象圃場として選択していた登録者Rが登録者R3のみである場合を想定する。圃場Fで農作業が行われる所定日前になった場合、登録者R3にのみ報知の電子メールが送信される。
【0024】
図5に示すように、報知部12は、農作業の内容を報知先に報知してから農作業の日付までに農作業の内容が追加または変更された場合は、直ちに農作業の内容の追加または変更があった旨を報知先に報知することが可能である。例えば、農作業の内容を登録者R3に報知してから農作業の日付までに、圃場Fにおける農作業の内容の変更がある場合、営農者Hは、作業登録部11における圃場Fの農作業の内容を変更する。報知部12は、作業登録部11を監視して、農作業の内容が変更されたと判断した場合、農作業の内容の変更が生じた旨が記載された電子メールを直ちに送信する。
【0025】
なお、作業登録部11は、登録者Rが、パーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末を用いて、作業登録部11にアクセスして能動的に農作業の予定を確認可能に構成される。また、報知部12は、農作業が行われる所定日前に加えて作業当日の朝に報知の電子メールを送信してもよい。
【0026】
次に、図6を用いて、営農管理システム1が実行する処理の処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る営農管理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
図6に示すように、報知先登録部13は、報知先登録工程として、登録者Rにより報知先が登録される(ステップS101)。
【0028】
つづいて、作業登録部11は、作業登録工程として、営農者Hにより農作業の内容と日付が登録される(ステップS102)。
【0029】
つづいて、報知部12は、報知工程として、農作業の日付の所定時間前に農作業の内容を報知先に報知する(ステップS103)。
【0030】
次に、図7を用いて,本発明の実施形態の第1変形例について説明する。図7は、第1変形例に係る報知部12による報知先への報知を説明する図である。
【0031】
営農者Hは、予定外の作業が発生した場合、作業登録部11に当該作業を登録する。予定外の作業とは、例えば、「作物の病気が発生したために行われる緊急の防除」などである。報知部12は、予定外の作業が発生した旨が記載された電子メールを直ちに送信する。報知部12は、予定外の作業が発生した旨の連絡には、圃場毎に登録者Rの了承の返信を確認する。営農者Hは、登録者Rの了承の返信が揃った圃場から、緊急の作業を開始する。或いは、営農者Hは、緊急の作業を開始できるよう作業計画を作成する。なお、報知部12は、所定時間までに了承の返信が揃わない(或いは、了承しない旨の返信があった)場合、作業可能な日時の問い合わせの電子メールを、未返信のメールアドレスおよび了承しない旨の返信があったメールアドレスに送信する。
【0032】
次に、図8を用いて、本発明の実施形態の第2変形例について説明する。図8は、第2変形例に係る報知部12による報知先への報知を説明する図である。なお、本変形例において、登録者Rは、報知先登録部13に2つのメールアドレスを登録している。2つのメールアドレスは、第1メールアドレスと第2メールアドレスであり、第1メールアドレスには、登録者Rのメールアドレスが登録され、第2メールアドレスには、任意の送信先のメールアドレスが登録される。
【0033】
報知部12は、毎日定時(例えば、朝の時間)に、第1メールアドレスに電子メールを送信する。報知部12は、報知先登録部13の営農スケジュールにアクセスし、当日に農作業が行われる予定がある場合、農作業が行われる旨を第1メールアドレスに記載する。報知部12は、例えば、登録者Rがメールを開いた場合、自動的に電子メールが返信されるようにすることで、既読の確認ができるようにする。報知部12は、送付したメールが既読となったか否かを確認し、一定時間以上未読である場合は、一定時間未読である旨を記載した電子メールを第2メールアドレスに送信する。例えば、第2メールアドレスに登録者Rと別居する親族Sなどのメールアドレスを登録しておくことで、営農管理システム1を独居高齢者見守りシステムとしても利用できる。
【0034】
上述したように、実施形態に係る営農管理システム1は、農作業の内容と日付が登録される作業登録部11と、農作業が行われることを報知先に報知する報知部12と、報知先が登録される報知先登録部13と、を備え、報知部12は、農作業の日付の所定時間前に農作業の内容を報知先に報知する。これにより、営農管理システム1は、営農者Hと情報の報知が必要な人々との間でコミュニケーションを図ることができる。
【0035】
また、上述したように、実施形態に係る営農管理システム1において、報知先は、近隣住民Kを対象とする。これにより、営農管理システム1は、営農者Hと近隣住民Kとの間でコミュニケーションを図ることができる。
【0036】
また、上述したように、実施形態に係る営農管理システム1において、農作業の内容と日付は、農作業が行われる圃場毎に登録され、報知先は、報知の対象となる対象圃場と紐づけて登録され、報知部12は、対象圃場と紐づけて登録された報知先に農作業の内容を報知する。これにより、営農管理システム1は、登録者Rが報知を希望する圃場以外で農作業が行われる場合は報知を行わないことにより、不要な報知を防止できる。
【0037】
また、上述したように、実施形態に係る営農管理システム1において、対象圃場は、地図情報Mに重ねて表示された圃場から選択される。これにより、これにより、営農管理システム1は、地図情報Mと重ねて圃場が選択可能に表示されることで、登録者Rが自宅の位置と見比べながら対象圃場を選択できる。
【0038】
また、上述したように、実施形態に係る営農管理システム1において、報知部12は、農作業の内容を報知先に報知してから農作業の日付までに農作業の内容が追加または変更された場合は、直ちに農作業の内容の追加または変更があった旨を報知先に報知する。これにより、営農管理システム1は、予定外の作業が必要な場合に、直ちに報知することで、可及的速やかに登録者Rに情報を通知できる。
【0039】
また、上述したように、実施形態に係る営農管理方法において、報知先が登録される報知先登録工程と、農作業の内容と日付が登録される作業登録工程と、農作業の日付の所定時間前に農作業の内容を報知先に報知する報知工程と、を備える。これにより、営農管理方法は、営農者Hと情報の報知が必要な人々との間でコミュニケーションを図ることができる。
【0040】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 営農管理システム
11 作業登録部
12 報知部
13 報知先登録部
A 圃場
B 圃場
C 圃場
D 圃場
E 圃場
F 圃場(作業対象圃場)
G 圃場
K 近隣住民
M 地図情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8