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  • 特開-コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097419
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20250624BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
H01R13/56
H01R13/46 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213606
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】西澤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】西 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】田代 伸治
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC02
5E021GA05
5E021GB06
5E087MM05
5E087RR27
(57)【要約】
【課題】多様な電線径の電線を収容室の外で保持すること。
【解決手段】コネクタカバー30の電線保持体32は、電線11の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第1弧状片32aと、電線の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第2弧状片32bと、第1弧状片における周方向の一端と第2弧状片における周方向の一端を繋ぐヒンジ部32cと、第1弧状片における周方向の他端から延在させた可撓性を持つバンド部32dと、バンド部からその延在方向に沿って等間隔で突出させた複数の突起部32eと、第2弧状片における周方向の他端でバンド部を先端から差し入れさせ且つ突起部を通過させる可撓性を持つ環状に形成され、収容室の外の電線に対する締付完了位置で環内を通過している突起部を係止する係止部32fと、を有すること。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末に端子金具が接続された端子付き電線と、
前記端子金具が挿入口から収容室に収容され且つ前記電線が前記収容室の外に引き出されるコネクタハウジングと、
前記挿入口を塞ぐコネクタカバーと、
を備え、
前記コネクタカバーは、前記コネクタハウジングに組み付けて前記挿入口を塞ぐカバー本体と、前記収容室の外に引き出された前記電線に締め付けて当該電線を保持する電線保持体と、前記カバー本体と前記電線保持体を繋ぐ連結体と、を有し、
前記電線保持体は、前記電線の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第1弧状片と、前記電線の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第2弧状片と、前記第1弧状片における周方向の一端と前記第2弧状片における周方向の一端を繋ぐヒンジ部と、前記第1弧状片における周方向の他端から延在させた可撓性を持つバンド部と、前記バンド部から前記バンド部の延在方向に沿って等間隔で突出させた複数の突起部と、前記第2弧状片における周方向の他端で前記バンド部を先端から差し入れさせ且つ前記突起部を通過させる可撓性を持つ環状に形成され、前記収容室の外の前記電線に対する締付完了位置で環内を通過している前記突起部を係止する係止部と、を有することを特徴としたコネクタ。
【請求項2】
前記電線保持体は、前記第1弧状片と前記第2弧状片を前記ヒンジ部の回転軸周りに相対回転させながら、前記第1弧状片と前記第2弧状片と前記係止部の環内に差し入れた前記バンド部とが成す環形状を前記電線の電線径に合わせて変化させ、前記収容室の外の前記電線に前記第1弧状片と前記第2弧状片と前記バンド部を締め付ける締付構造を有することを特徴とした請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、可撓性を持つリビングヒンジであることを特徴とした請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
複数本の前記端子付き電線を備え、
前記コネクタカバーには、前記端子付き電線毎の前記電線保持体を設けることを特徴とした請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、端子付き電線と、端子付き電線の端子金具が挿入口から収容室に収容され且つ端子付き電線の電線を収容室の外に引き出させるコネクタハウジングと、コネクタハウジングの挿入口を塞ぐコネクタカバーと、を備え、収容室の外に引き出された電線をコネクタカバーに保持させるものが知られている。例えば、下記の特許文献1には、電線を挟持する一対のクランプ片が設けられたコネクタカバーについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-055850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のコネクタカバーは、挟持対象の電線の電線径に合わせて一対のクランプ片を形作る必要があり、それとは電線径の異なる電線を保持することができない。ここで、従来のコネクタにおいては、外に引き出された電線に沿わせる弧状の片部をコネクタカバーに設け、その電線を片部と一緒に結束バンドで締め付ける等すれば、保持対象となる電線の電線径に幅を持たせることができる。しかしながら、この従来のコネクタにおいては、弧状の片部と電線との間に大きな隙間が発生する場合もあり、この場合、その片部に対する電線の固定状態が安定しないなどの理由により、収容室の外へと引き出された電線の配索経路に位置ずれを発生させてしまう可能性がある。これ故、従来のコネクタカバーは、電線径に幅を持たせた大小様々な電線に適応させることが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、多様な電線径の電線を収容室の外で保持し得るコネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線の端末に端子金具が接続された端子付き電線と、前記端子金具が挿入口から収容室に収容され且つ前記電線が前記収容室の外に引き出されるコネクタハウジングと、前記挿入口を塞ぐコネクタカバーと、を備え、前記コネクタカバーは、前記コネクタハウジングに組み付けて前記挿入口を塞ぐカバー本体と、前記収容室の外に引き出された前記電線に締め付けて当該電線を保持する電線保持体と、前記カバー本体と前記電線保持体を繋ぐ連結体と、を有し、前記電線保持体は、前記電線の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第1弧状片と、前記電線の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第2弧状片と、前記第1弧状片における周方向の一端と前記第2弧状片における周方向の一端を繋ぐヒンジ部と、前記第1弧状片における周方向の他端から延在させた可撓性を持つバンド部と、前記バンド部から前記バンド部の延在方向に沿って等間隔で突出させた複数の突起部と、前記第2弧状片における周方向の他端で前記バンド部を先端から差し入れさせ且つ前記突起部を通過させる可撓性を持つ環状に形成され、前記収容室の外の前記電線に対する締付完了位置で環内を通過している前記突起部を係止する係止部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
電線保持体においては、その係止部の中に先端から差し入れたバンド部を引っ張って、このバンド部と第1弧状片と第2弧状片を電線に対する締付完了位置まで締め付けていく。この電線保持体においては、その締付の過程で第1弧状片と第2弧状片をヒンジ部の軸周りに回動させることができるので、電線径に幅を持たせた大小様々な電線に対しても、締付完了位置で第1弧状片及び第2弧状片と電線との間の隙間を減らすことができる。係止部は、その締付完了位置に至るまでの間で最後に通過した突起部を係止する。よって、この電線保持体は、電線径に幅を持たせた大小様々な電線を収容室の外で保持することができる。そして、この電線保持体は、電線径に幅を持たせた大小様々な電線を用いたとして、その電線の配索経路の位置ずれを収容室の外で抑えることができる。このように、本発明に係るコネクタは、多様な電線径の電線に適応させることができるので、コネクタカバーに汎用性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態のコネクタについて示す模式図である。
図2図2は、実施形態のコネクタを図1の矢視Aの方向に見た模式図である。
図3図3は、図1のX-X線断面図である。
図4図4は、締付状態について説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るコネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るコネクタの実施形態の1つを図1から図4に基づいて説明する。
【0011】
図1から図4の符号1は、本実施形態のコネクタを示す。このコネクタ1は、端子付き電線10とコネクタハウジング20とコネクタカバー30とを備える。
【0012】
端子付き電線10は、電線11と、この電線11の端末に接続された端子金具(図示略)と、を備える(図1から図4)。
【0013】
コネクタハウジング20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このコネクタハウジング20においては、端子金具が挿入口から収容室に収容される。更に、このコネクタハウジング20においては、その端子金具と共に電線11が挿入口から収容室に収容されており、その電線11が収容室の外に引き出される(図1及び図2)。
【0014】
コネクタカバー30は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このコネクタカバー30は、コネクタハウジング20に組み付けて(図1及び図2)、このコネクタハウジング20の挿入口を塞ぐ。
【0015】
具体的に、このコネクタカバー30は、コネクタハウジング20に組み付けて挿入口を塞ぐカバー本体31と、収容室の外に引き出された電線11に締め付けて当該電線11を保持する電線保持体32と、カバー本体31と電線保持体32を繋ぐ連結体33と、を有している(図1及び図2)。このコネクタカバー30においては、収容室の外に引き出された電線11の引出方向(以下、「電線引出方向」という。)に向けてカバー本体31から連結体33を突出させ、この突出させた連結体33における電線引出方向側の端部に電線保持体32を設けている。
【0016】
電線保持体32は、電線11の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第1弧状片32aと、電線11の軸周りに沿う弧状に形成された可撓性を持つ第2弧状片32bと、を有する(図1から図4)。この電線保持体32においては、電線11の軸周りで、その第1弧状片32aにおける周方向の一端と第2弧状片32bにおける周方向の一端とが間隔を空けて配置される。この電線保持体32は、その第1弧状片32aの一端と第2弧状片32bの一端を繋ぐヒンジ部32cを有する(図1から図4)。
【0017】
ここで示す第1弧状片32aと第2弧状片32bは、例えば、中心角が90度の円弧形状に形成されている。また、ここで示すヒンジ部32cは、可撓性を持つリビングヒンジとして形成されている。
【0018】
この電線保持体32は、更に、第1弧状片32aにおける周方向の他端から延在させた可撓性を持つバンド部32dと、このバンド部32dから当該バンド部32dの延在方向に沿って等間隔で突出させた複数の突起部32eと、を有する(図1から図4)。突起部32eは、バンド部32dにおける第1弧状片32aの外周面の延長面上に設ける。ここでは、そのバンド部32dに3つの突起部32eを設けている。
【0019】
この電線保持体32は、その第1弧状片32aと第2弧状片32bとバンド部32dを収容室の外の電線11に締め付けていき、締付完了位置でこれらの締付完了状態を保たせる(図1から図4)。この電線保持体32は、複数の突起部32eの内の何れか1つを係止することによって、第1弧状片32aと第2弧状片32bとバンド部32dを締付完了位置に保持する。そこで、この電線保持体32は、バンド部32dを先端から環内に差し入れさせ且つその環内に突起部32eを通過させ、複数の突起部32eの内の環内通過後の何れか1つを係止する環状の係止部32fを有する(図1から図4)。この係止部32fは、第2弧状片32bにおける周方向の他端に、この第2弧状片32bの外周面から突出させた形で設ける。この係止部32fは、第2弧状片32bの他端でバンド部32dを先端から差し入れさせ且つ突起部32eを通過させる可撓性を持つ環状に形成される。そして、この係止部32fは、収容室の外の電線11に対する締付完了位置で環内を通過している突起部32eを係止することによって、第1弧状片32aと第2弧状片32bとバンド部32dによる収容室の外の電線11に対する締付完了状態を保たせる。ここで示す係止部32fは、角環状に形成されている。
【0020】
このように、この電線保持体32は、第1弧状片32aと第2弧状片32bをヒンジ部32cの回転軸周りに相対回転させながら、第1弧状片32aと第2弧状片32bと係止部32fの環内に差し入れたバンド部32dとが成す環形状を電線11の電線径に合わせて変化させ、収容室の外の電線11に第1弧状片32aと第2弧状片32bとバンド部32dを締め付ける締付構造を有している。そして、この電線保持体32は、収容室の外の電線11に対する締付完了位置で環内を通過している突起部32eを係止部32fに係止させることによって、第1弧状片32aと第2弧状片32bとバンド部32dによる収容室の外の電線11に対する締付完了状態を保つ保持構造を有している。
【0021】
電線保持体32においては、係止部32fの中に先端から差し入れたバンド部32dを引っ張って、このバンド部32dと第1弧状片32aと第2弧状片32bを電線11に対する締付完了位置まで締め付けていく。この電線保持体32においては、その締付の過程で第1弧状片32aと第2弧状片32bをヒンジ部32cの回転軸周りに相対回転させることができるので、電線径に幅を持たせた大小様々な電線11に対しても、締付完了位置で第1弧状片32a及び第2弧状片32bと電線11との間の隙間を減らすことができる。係止部32fは、その締付完了位置に至るまでの間で最後に通過した突起部32eを係止する。つまり、係止部32fは、収容室の外の電線11に対するバンド部32dと第1弧状片32aと第2弧状片32bの締付完了位置で通過している突起部32eを係止する。よって、この電線保持体32は、電線径に幅を持たせた大小様々な電線11を収容室の外で保持することができる。そして、この電線保持体32は、電線径に幅を持たせた大小様々な電線11を用いたとして、その電線11の配索経路の位置ずれを収容室の外で抑えることができる。従って、この電線保持体32は、その電線11等の耐久性を向上させることもできる。
【0022】
以上示したように、本実施形態のコネクタ1は、多様な電線径の電線11に適応させることができるので、コネクタカバー30に汎用性を持たせることができる。また、本実施形態のコネクタ1は、従来のような結束バンド等の別部品を用いる必要が無いので、この別部品の組付け作業工数の削減や部品点数の削減が可能になる。また、本実施形態のコネクタ1は、例えば、電線保持体32と電線11との間の隙間を埋めるクッションテープ等の別部品も必要としないので、この点でも、別部品の組付け作業工数の削減や部品点数の削減が可能になる。
【0023】
ところで、本実施形態のコネクタ1は、複数本の端子付き電線10を備える場合、例えば、その端子付き電線10毎の電線保持体32をコネクタカバー30に設ける。
【符号の説明】
【0024】
1 コネクタ
10 端子付き電線
11 電線
20 コネクタハウジング
30 コネクタカバー
31 カバー本体
32 電線保持体
32a 第1弧状片
32b 第2弧状片
32c ヒンジ部
32d バンド部
32e 突起部
32f 係止部
33 連結体
図1
図2
図3
図4