(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097471
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/279 20200101AFI20250624BHJP
G06Q 50/00 20240101ALI20250624BHJP
【FI】
G06F40/279
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213684
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄文
(57)【要約】
【課題】ネガティブワードを含む投稿文について表示対象から除外することを可能にした情報提供システムを提供する。
【解決手段】ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報とともに取得し、取得された投稿文を分析することにより投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測するとともに、予測された投稿感情を分析元となる投稿文に紐づけられた地点毎に区分して集計し、地点毎に投稿感情を特定する。更に特定された投稿感情に加えて投稿文の少なくとも一部を画面上に表示する一方で、投稿文の表示ではネガティブワードを含む投稿文については除外して表示するように構成する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報とともに取得する投稿文情報取得手段と、
前記投稿文情報取得手段により取得された前記投稿文を分析することにより前記投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測する感情予測手段と、
前記感情予測手段により予測された前記投稿感情を分析元となる前記投稿文に紐づけられた地点毎に区分して集計し、地点毎に前記投稿感情を特定する地点感情特定手段と、
指定された地点における前記投稿感情に加えて前記指定された地点を紐づけた投稿文の少なくとも一部を画面上に表示する投稿感情表示手段と、を有し、
前記投稿感情表示手段は、前記指定された地点を紐づけた投稿文の内、ネガティブワードを含む投稿文は除外して表示する情報提供システム。
【請求項2】
前記地点感情特定手段は、前記投稿感情表示手段において表示対象から除外される前記ネガティブワードを含む投稿文についても用いて前記投稿感情を特定する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記投稿文情報取得手段により取得された前記投稿文の前記投稿感情が、複数種類に区分された基本感情のいずれに属するかを特定する感情分類手段と、
前記投稿感情が基本感情の内、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒りのいずれかに属すると特定された投稿文について前記ネガティブワードを含む投稿文に該当するか否かを判定する感情判定手段と、を有し、
前記投稿感情表示手段は、前記指定された地点を紐づけた投稿文の内、前記感情判定手段により前記ネガティブワードを含むと判定された投稿文を除外して表示する請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記感情判定手段は、
前記基本感情とは別にネガティブな感情を示す感情カテゴリを複数種類設定し、
前記投稿感情が基本感情の内、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒りのいずれかに属すると特定された投稿文について、更に学習モデルを用いて前記投稿感情が前記複数種類の感情カテゴリに属するか否かを分析することによって、前記ネガティブワードを含むか否かを判定し、
前記ネガティブワードを含むと判定された投稿文については、前記学習モデルを用いた分析の結果に基づいて更にどの感情カテゴリに属するネガティブワードを含む投稿文であるかについても特定する請求項3に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上に投稿された投稿文に基づく情報提供を行う情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、端末を介してコンピュータネットワーク上にユーザが投稿文を投稿するとともに、他のユーザから投稿された投稿文を閲覧することが可能なシステムが提供されている。例えば、ブログ、SNS(Social Network Service)、X(登録商標)、チャット等(以下、SNS等という)がある。また、これらの投稿文の中には、投稿者が訪れた施設等の地点に関する情報を投稿した投稿文も多数含まれている。
【0003】
ここで、上記SNS等では実際に現地を訪れたユーザが体験或いは感じた最新の情報をいち早く取得できるメリットがあり、SNS等で投稿された投稿文に基づいた情報提供を行う各種システムについて提案されている。例えば特開2019-20784号公報にはSNS上に投稿された投稿文と投稿位置を特定する情報を収集し、同じ地点において投稿された投稿文を分析することによってその地点に対する投稿文を投稿した投稿者が全体としてポジティブ感情及びネガティブ感情のいずれが支配的であるかを判定し、その判定結果を地図画像において感情マークとして表示するとともに、投稿文のコメントについても併せて表示する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-20784号公報(段落0071-0074、0146、
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1ではSNS等で投稿された投稿文について投稿者の感情に加えてその感情の分析元になった投稿文自体についても表示しているが、特にネガティブ感情を伴う投稿文については否定的、攻撃的、差別的表現が含まれることがあり、倫理的にそれらを表示対象とするのを避けるのが望ましい。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、投稿文や投稿文を分析することにより得られる投稿感情について表示対象とする一方で、ネガティブワードを含む投稿文について表示対象から除外することを可能にした情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る情報提供システムは、ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報とともに取得する投稿文情報取得手段と、前記投稿文情報取得手段により取得された前記投稿文を分析することにより前記投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測する感情予測手段と、前記感情予測手段により予測された前記投稿感情を分析元となる前記投稿文に紐づけられた地点毎に区分して集計し、地点毎に前記投稿感情を特定する地点感情特定手段と、指定された地点における前記投稿感情に加えて前記指定された地点を紐づけた投稿文の少なくとも一部を画面上に表示する投稿感情表示手段と、を有し、前記投稿感情表示手段は、前記指定された地点を紐づけた投稿文の内、ネガティブワードを含む投稿文は除外して表示する。
尚、「ネガティブワード」は、否定的な印象を与えるワードに限定されず、第3者が閲覧した際に不快感や憤りや悲しみを与えるようなその他ワードについても含む。例えば攻撃的な表現や差別的な表現のワードやスラング等についても含む。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る情報提供システムによれば、投稿文や投稿文を分析することにより得られる投稿感情について表示対象とする一方で、第3者が閲覧するのが望ましくないネガティブワードを含む投稿文について表示対象から除外することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報提供サーバの制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図3】投稿文情報DBに格納される投稿文情報の一例を示した図である。
【
図4】配信情報DBに格納される情報の一例を示した図である。
【
図5】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る感情分析処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】投稿文に対する感情分析の分析結果について示した図である。
【
図8】ネガティブ感情をより詳細に分析する学習モデルについて示した図である。
【
図9】感情分類の1型~3型の各例を示した図である。
【
図10】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図11】投稿感情の出力態様の一例を示した図である。
【
図12】投稿感情に加えてより詳細な情報を出力する際の出力態様の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供センタ2が備える情報提供サーバ3と、ユーザ4が所持する通信端末5と、を基本的に有する。また、情報提供サーバ3と通信端末5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。
【0012】
ここで、情報提供サーバ3は、通信端末5(即ち通信端末5を所持するユーザ)に対して提供する情報を管理するサーバ装置である。情報提供サーバ3は、通信端末5に対して提供する対象となる全国各地の情報提供地点に関する情報を配信情報DB7に記憶する。尚、情報提供地点については特にジャンルや規模は限定されることなく、例えば飲食店や小売店などの商業施設、駅や病院などの公共施設、その他に宿泊施設、駐車場等が挙げられる。また、施設に限られることなく例えば観光スポット等であっても良い。また、後述のように配信情報DB7に記憶される情報提供地点に関する情報としては、情報提供地点の名称、住所、位置座標、電話番号、営業時間等に加えて、本実施形態では特にネットワーク上でその情報提供地点に対して投稿された“投稿文”やその投稿文を分析することにより特定された“投稿感情”に関する情報を含む。投稿文や投稿感情に関する詳細については後述する。そして、情報提供サーバ3は通信ネットワーク網6を介してDBに記憶された情報提供地点に関する情報を通信端末5に対して提供(配信)する。
【0013】
また、通信端末5は、ユーザが所持し、通信機能やナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末5がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとしてユーザにより指定されたエリアの地図画像を表示するとともに、表示された地図画像に含まれる上記情報提供地点の位置に対して投稿感情を示すアイコンを表示可能なアプリケーションプログラムがインストールされている。更に、上記アプリケーションプログラムでは、地図画像上に表示されたアイコンを選択することで、選択したアイコンに対応する情報提供地点に関するより詳細な情報を情報提供サーバ3から取得して案内可能となっている。尚、案内対象とする情報提供地点の選択は上記のような地図画像を用いての選択も可能であるし、検索条件を入力した検索結果からの選択も可能である。また、これらの情報提供地点に関する案内を行う機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0014】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末5の通信を情報提供サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0015】
一方で、上記情報提供システム1に含まれる情報提供サーバ3は、ネットワーク上に存在するソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNSという)を提供するSNSサーバ8から、ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報及び投稿された時刻を特定する時刻情報(以上併せて投稿文情報という)とともに取得可能となっている。尚、投稿文情報の取得の方法は、ネットワークを介して取得しても良いし、フラッシュメモリ等の記憶媒体を介して取得しても良い。
【0016】
ここで、SNSサーバ8は、ネットワーク上でSNSを構築するサーバ装置である。SNSは他者(個人のみでなく法人であっても良い)との繋がりを構築する為のコミュニティ型のサービスであり、サービス利用者はクライアントであるスマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等からアクセスし、メッセージや画像などを投稿することによって、他のサービス使用者からその内容を閲覧可能とする。また、メッセージや画像を閲覧した他のサービス利用者は、投稿に対してコメントをすることが可能である他、内容を引用してリツイート(再投稿)したり、フォロー機能により投稿者をフォローしたり、投稿内容に共感した場合に肯定的なリアクション(例えば『いいね』、『Like』)を行ったりすることが可能である。尚、本実施形態では特に利用するユーザの制限なく登録されたユーザであれば誰でも利用可能なオープン型のSNSとする。また、SNSサーバ8は保存DB9を備えており、サービス利用者から投稿されたメッセージや画像データ、投稿が行われた日時、ハッシュタグ、投稿が行われた場所(施設名でも位置座標でも良い)、投稿毎に他のサービス利用者から肯定的なリアクションをされた回数やリツイートされた数、サービス利用者毎のフォロワー数等が保存DB9に保存される。
【0017】
そして、本実施形態では情報提供サーバ3は、保存DB9に保存される上記データの内、特に投稿文の内容(メッセージのみでも良いし、画像が添付されている場合には画像も含めても良い)と、その投稿文が投稿された日時と、その投稿文が投稿された場所の組み合わせについて、投稿文情報としてSNSサーバ8から取得する。
【0018】
続いて、情報提供システム1における情報提供サーバ3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。情報提供サーバ3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての投稿文情報DB13と、配信情報DB7と、地図情報DB14と、辞書DB15と、サーバ側通信装置16とを備える。
【0019】
サーバ制御部11は、情報提供サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の感情分析処理プログラム(
図6)や情報提供処理プログラム(
図10)が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、投稿文情報取得手段は、ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報とともに取得する。感情予測手段は、投稿文情報取得手段により取得された投稿文を分析することにより投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測する。地点感情特定手段は、感情予測手段により予測された投稿感情を分析元となる投稿文に紐づけられた地点毎に区分して集計し、地点毎に投稿感情を特定する。
【0020】
また、投稿文情報DB13は、SNSサーバ8から取得された投稿文情報が格納される記憶手段である。ここで、投稿文情報には、前述したようにネットワーク上に投稿された投稿文と、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報及び投稿された時刻を特定する時刻情報を含む。また、特に本実施形態では後述のようにSNSサーバ8から取得された投稿文情報について投稿文にネガティブワードを含むか否かが判定され、ネガティブワードを含むと判定された投稿文についてはユーザへの表示対象から除外される。従って、投稿文情報DB13には投稿文情報毎に投稿文を表示対象から除外するか否かを識別するフラグである表示対象フラグについても格納されている。尚、“投稿文に紐づけられた地点”とは、本実施形態では投稿文を投稿した場所(投稿文を投稿した投稿者が位置する場所)とするが、例えば投稿文に地名が含まれている場合、ハッシュタグとして地名が紐づけられていた場合には、その地名を投稿文に紐づけられた地点としても良い。
【0021】
ここで、
図3は投稿文情報DB13に格納される投稿文情報の一例を示した図である。投稿文情報DB13には、
図3に示すように投稿文の内容(メッセージのテキストデータ)が、投稿文に紐づけられた地点を示す地点名称と、投稿された日時と、表示対象フラグと紐づけて格納されている。尚、表示対象フラグは、投稿文を表示対象から除外するか否かに加えて、その投稿文がより具体的にどのような感情のネガティブワードを含む投稿文であるか、即ちネガティブワードの種類を識別する情報についても付加される。尚、
図3に示す例では投稿文に紐づけられた地点名称毎に区分されて格納されているが、どのように区分して格納するかについては適宜変更可能である。また、
図3に示す例では投稿文の内容はテキスト情報のみとしているが、画像が添付されている場合には画像も含めても良い。また、投稿文に紐づけられた地点を示す情報として地点名称が記憶されているが、地点名称ではなく位置座標であっても良い。尚、SNSサーバ8がサービス利用者(投稿者)によりネットワーク上に投稿された投稿文を受信する際には、サービス利用者が投稿に用いた端末の位置座標(端末が備えるGPS等によって特定される)についても投稿文を投稿した場所として併せて取得される。従って、
図3に示すように投稿文情報として投稿文を投稿した具体的な地点名称を記憶する場合には、地図情報を参照し、取得した位置座標からサービス利用者が位置すると予測される地点の地点名称を特定する必要があるが、その処理はSNSサーバ8で行っても良いし、情報提供サーバ3で行っても良い。また、投稿された日時については時刻のみを記憶しても良いし、一方で曜日なども含めるようにしても良い。
【0022】
また、配信情報DB7は、前述したように全国各地の情報提供の対象となる情報提供地点に関する各種情報が記憶される記憶手段である。ここで、
図4は配信情報DB7に格納される情報の一例を示した図である。
【0023】
図4に示すように配信情報DB7には、全国各地にある情報提供地点について、地点ID、地点名称、地点の位置座標、地点の詳細な情報、現在の混雑状況、投稿感情、投稿文等が格納されている。但し、配信情報DB7には必ずしもこれらの全ての情報を格納する必要はない。尚、“投稿感情”については、具体的にはその地点に関する投稿文を投稿した投稿者(正確にはその地点で投稿文を投稿した投稿者)の感情が全体としてどの感情にあるかを特定したものであり、後述するように投稿文情報DB13に格納された投稿文情報を分析することによりサーバ制御部11により特定される。尚、人の感情としては様々なものがあるが、特に本実施形態では大きく8種類に区分された基本感情で投稿感情を特定する。更に、ポジティブ感情(正の感情)とネガティブ感情(負の感情)の2種類を判断要素として、投稿者の感情がポジティブ感情とネガティブ感情のどちら寄りにあるか、或いはどちらでもないニュートラル(中立)にあるかについても特定することとする。一方、“投稿文”については投稿文全体を格納しても良いが、本実施形態では特に情報提供地点に対して投稿された投稿文の内、情報提供地点の評価や状況を示すキーワードのみが抜き出されて格納される。但し、ネガティブワードを含むと判定された投稿文については表示対象から除外される。
【0024】
例えば、
図4に示す配信情報DB7では位置座標(x1,y1)にある“××駅”について施設情報や現在の混雑状況、並びに投稿感情と投稿文について記憶されている。同様にして他の情報提供地点に関する情報も格納されている。
【0025】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0026】
そして、サーバ制御部11は、地図情報DB14を用いて、通信端末5からの要求に応じて例えば通信端末5において地図画像を表示する為の地図表示データを送信したり、入力された検索条件に該当する地点を検索したり、経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。
【0027】
但し、通信端末5が地図情報を有する場合には通信端末5は自らが有する地図情報を用いて上記の処理を行うことができるので、その場合には情報提供サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0028】
また、辞書DB15は、事前に用意されたネガティブワードが登録された記憶手段である。尚、ネガティブワードは、否定的な印象を与えるワードに限定されず、第3者が閲覧した際に不快感や憤りや悲しみを与えるようなその他ワードについても含む。例えば攻撃的な表現や差別的な表現のワードやスラング等についても含む。更に、意味のある文字列に限定されず、顔文字、絵文字、アスキーアートなども含む。また、名詞に限られず、副詞、形容詞なども含み、ネガティブワードはそのワードの品詞とともに記憶されている。
【0029】
そして、サーバ制御部11は、辞書DB15を用いてSNSサーバ8から取得された投稿文情報について投稿文にネガティブワードを含むか否か、即ち他のユーザへの表示対象から除外するか否かを判定する。また、本実施形態では辞書DB15を用いた判定に加えて機械学習を用いた判定についても更に行う。詳細については後述する。
【0030】
一方、サーバ側通信装置16は情報の送受信対象となる通信端末5と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末5以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。更に、交通情報以外に、外部のサーバと通信を行うことによって、全国各地域の天候情報、全国各地で開催されるイベントに関するイベント情報、各地のニュース、地点の混雑情報等についても受信可能とする。
【0031】
次に、ユーザが所有する通信端末5の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係る通信端末5の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末5がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図5に示すように通信端末5はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末5を所持するユーザに関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)やアプリケーションプログラム等が記憶されたメモリ32と、マイクロホン33やスピーカ34等のインターフェイスである入出力部35と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ36と、タッチパネルやキーボード等から構成される入力操作部37と、GPS38と、通信ネットワーク網6の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)39と、が接続されることにより構成されている。
【0033】
ここで、通信端末5に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末5の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末制御部41を構成する。また、通信端末制御部41の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ36に表示される。尚、通信端末制御部41は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、投稿感情表示手段は、指定された地点における投稿感情に加えて指定された地点を紐づけた投稿文の少なくとも一部を画面上に表示する。
【0034】
また、通信端末5は、送受信回路部39を介して通信を行うことにより、通話以外に、インターネット通信や、情報提供サーバ3からの充電施設に関する情報の受信、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0035】
また、メモリ32は、通信端末5を所持するユーザに関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報の他、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS38やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述の情報提供処理プログラム(
図10)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0036】
また、スピーカ34は、通話の音声出力以外に、ナビ機能の実行時においては通信端末制御部41からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。
【0037】
また、ディスプレイ36は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末5にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。特に本実施形態ではユーザにより指定されたエリアの地図画像を表示するとともに、表示された地図画像に含まれる情報提供地点の位置に対して投稿感情を示すアイコンを表示する。更に、地図画像上に表示されたアイコンが選択されると、選択されたアイコンに対する情報提供地点に関するより詳細な情報について表示される。
【0038】
また、入力操作部37は、ディスプレイ36の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末制御部41は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、入力操作部37は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0039】
また、GPS38は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末5(即ちユーザ)の現在位置及び現在時刻を検出可能とする。また、GPS38以外にも通信端末5の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0040】
また、送受信回路部39は、3G、4G、LTE等の通信規格により通信ネットワーク網6の基地局との間で信号の送受信を行う為の回路部である。
【0041】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3が実行する感情分析処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る感情分析処理プログラムのフローチャートである。ここで、感情分析処理プログラムは、前回実行されてから所定時間(例えば24時間)経過後に実行され、投稿文情報DB13に格納された投稿文情報を分析することにより、ネガティブワードを含む投稿文の判定を行ったり、情報提供地点毎に“投稿感情”を特定するプログラムである。尚、以下の
図6及び
図10にフローチャートで示されるプログラムは、情報提供サーバ3が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0042】
ここで、感情分析処理プログラムは全国にある情報提供地点を対象に処理を実行し、情報提供地点毎に“投稿感情”が特定されることとする。但し、必ずしも全国にある全ての情報提供地点に対して処理を実行する必要はなく、例えば特定のジャンルや所定規模以上の地点のみを対象として実行することも可能である。また、地点毎に感情分析処理プログラムを実行する間隔を変えるようにしても良い。
【0043】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU21は、投稿文情報DB13に今回の評価対象となる情報提供地点に紐づけられた投稿文情報があるか否かを判定する。尚、正確な感情分析を行う為に古い投稿文は分析対象から除外するのが望ましく、基本的には3か月以内或いは半年以内に投稿された投稿文情報があるか否かを判定する。また、少なくとも一以上の投稿文情報があるか否かを判定しても良いが、サンプル数が少ないと正確な分析が困難であるので、所定数(例えば3)以上の投稿文情報があるか否かを判定するようにしても良い。
【0044】
ここで、
図3に示すように投稿文情報DB13は、予め外部のSNSサーバ8から取得された投稿文情報が格納されており、特に投稿文の内容(メッセージのテキストデータ)が、投稿文に紐づけられた地点(投稿文を投稿した場所)を示す地点名称と、投稿された日時と紐づけて格納されている。従って、前記S1では評価対象となる情報提供地点の地点名称に紐づけられた投稿文情報があるか否かを判定することとなる。
【0045】
そして、投稿文情報DB13に今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文情報があると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、投稿文情報DB13に今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文情報がないと判定された場合(S1:NO)には、評価対象となる情報提供地点感情には分析する対象となる投稿文が投稿されていないので当該感情分析処理プログラムを終了する。
【0046】
S2においてCPU21は、投稿文情報DB13から今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文情報を抽出して取得する。尚、正確な感情分析を行う為に古い投稿文は分析対象から除外するのが望ましく、基本的には3か月以内或いは半年以内に投稿された投稿文情報を対象として取得する。
【0047】
そして、以下のS3~S10の処理については前記S2で取得した投稿文情報毎に行い、取得した全ての投稿文情報に対してS3~S10の処理を実行した後にS11へと移行する。
【0048】
先ず、S3においてCPU21は、処理対象の投稿文情報について感情分析(センチメント分析)を行うことにより、特に投稿内容を示すテキストデータから投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測する。ここで、感情分析には機械学習、ルールベース、それらの組み合わせ等の各種手法が存在するが、一例として深層学習等の機械学習を適用した感情分析では、投稿文のテキストデータを入力することで、そのテキストデータから投稿感情の“感情カテゴリ”を特定した情報を出力することが可能である(S4)。機械学習を適用した感情分析では、自然言語処理技術によって単語単体の分析ではなく、文章内に出現する単語の意味や、使用している言葉の文脈、表現方法などの要素を基にテキストデータから感情を分析することが可能となる。
【0049】
特に本実施形態では
図7に示すように投稿感情として“感情カテゴリ毎の感情の比率(感情比)”を推定して出力する。出力される感情比は、
図7に示すように分析対象となるテキストデータごとに、喜び、嫌悪、怒り、恐れ、悲しみ、期待、驚き、信頼の8種類の基本感情毎に感情の比率を示したものである。各感情の比率を合計すると1となり、1に近い程、分析対象となったテキストデータにおいてその感情が強く表れていることを示す。例えばtext1に対する感情分析結果は『恐れ』と『期待』の2種類の感情が夫々強く表れた文章であることを示している。text2に対する感情分析結果は『期待』の感情のみが強く表れた文章であることを示している。text3に対する感情分析結果は突出した感情がなく感情があまり表れていない文章であることを示している。
【0050】
その後、S5においてCPU21は、前記S4の感情の分析結果に基づいて、処理対象の投稿文情報における投稿感情が『ネガティブ』であるか否かを判定する。具体的には、前記S4で出力された感情比(
図7)を参照し、最も比率の高い感情カテゴリが、8種類の基本感情の内でネガティブな感情を示す『恐れ』、『悲しみ』、『嫌悪』、『怒り』のいずれかであると判定された場合、即ち投稿感情が『恐れ』、『悲しみ』、『嫌悪』、『怒り』のいずれかに属すると判定された場合に、処理対象の投稿文情報における投稿感情が『ネガティブ』であると判定される。但し、最も比率の高い感情カテゴリが、『恐れ』、『悲しみ』、『嫌悪』、『怒り』のいずれかであることに加えて、最も比率の高い感情カテゴリと2番目に高い感情カテゴリの比率の差が閾値以上(例えば0.2以上)、即ちネガティブな感情が突出していることを条件に追加しても良い。
【0051】
そして、処理対象の投稿文情報における投稿感情が『ネガティブ』であると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、処理対象の投稿文情報における投稿感情が『ネガティブ』でないと判定された場合(S5:NO)には、処理対象の投稿文情報にはネガティブワードは含まないと推定し、投稿文の非表示設定を行うことなく終了する。その後、処理対象となる投稿文情報を切り替えた後に再度S3以降の処理を実行する。
【0052】
S6においてCPU21は、投稿感情が『ネガティブ』であると判定された投稿文について、辞書DB15を用いて特にネガティブワードを含む投稿文であるか否かを判定する。ここで、辞書DB15には事前にネガティブワードに該当するワードが品詞とともに登録されている。CPU21は例えば形態素解析により投稿文のテキストデータを細分化し、夫々の品詞を判別した上で辞書DB15に登録されたネガティブワードに該当するワードがあるか否かを判定する。
【0053】
そして、辞書DB15に登録されたネガティブワードに該当するワードがあると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、辞書DB15に登録されたネガティブワードに該当するワードがないと判定された場合(S7:NO)には、処理対象の投稿文情報にはネガティブワードは含まないと推定し、投稿文の非表示設定を行うことなく(即ち表示対象として)終了する。その後、処理対象となる投稿文情報を切り替えた後に再度S3以降の処理を実行する。
【0054】
ここで、辞書DB15に登録されたネガティブワードに該当するワードがあると判定された場合(S7:YES)であっても、投稿文にネガティブワードを含むとは確定できない。形態素解析と辞書を用いた判定では例えば否定の否定を伴う文章等のような複雑な表現の文章に対して正確な判定を行うことが困難であり、仮に辞書DB15に登録されたネガティブワードと一致するワードを文章内に含んでいたとしてもそれが実際にはネガティブワードでない場合も多々ある。特に、SNSで投稿されるような文章は正しい文法を用いた文章でないことが多く、そのような文章に対する正確な判定は困難である。
【0055】
そこで、本実施形態においてS8でCPU21は、機械学習を用いて処理対象の投稿文情報がネガティブワードを含む投稿文であるか否かを再度判定する。特に本実施形態では深層学習等の機械学習を適用し、上記基本感情とは別にネガティブな感情を示す特別な感情カテゴリ(以下、NGカテゴリという)を複数種類新たに設定し、投稿感情が複数種類のNGカテゴリに属するか否かを分析することによって、実際にネガティブワードを含むか否かを判定する。NGカテゴリは、ネガティブな感情の中でも特に第3者が閲覧した際に不快感や憤りや悲しみを与えるような投稿文を伴うと予想される感情であり、本実施形態では『反感・嫌悪』、『攻撃的』、『差別』、『主観(独自の視点や感情による否定)』の4種類を設定する。但し、NGカテゴリはネガティブな感情を示す感情カテゴリであれば上記4種類に限られることはなく、その他の感情を含めることも可能である。
【0056】
ここで、情報提供サーバ3が有するROM23やフラッシュメモリ24等の記憶媒体には、上記NGカテゴリに属するか否かの分析に用いる学習済みの学習モデル45が記録されている。学習モデル45としては、例えばニューラルネットワークが用いられる。特に本実施形態の学習モデル45は、
図8に示すように投稿文のテキストデータを入力することで、そのテキストデータから投稿文が“NGカテゴリ毎にそのカテゴリに属する比率(分析比)”を推定して出力するように予め学習された学習モデルである。ここで、ニューラルネットワークを用いた学習モデル45では、
図8に示すように入力層に入力されたテキストデータについて入力層での処理を行った後の出力データである各ニューロンにウェイト(重み係数)を乗じたデータを次の中間層に対して入力する。そして、中間層においても同様に中間層での処理を行った後の出力データである各ニューロンにウェイト(重み係数)を乗じたデータを次の出力層に対して入力する。そして、出力層から最終的に分析比が出力される。尚、学習モデル45の学習では、学習が進むことによって上記ウェイト(重み係数)がより適した値に適宜変更され、設定されることとなる。
【0057】
また、本実施形態では事前に教師データ等を用いて十分に学習が行われた学習モデル45を情報提供サーバ3が有するとしているが、分析比の出力と並行して学習モデルの学習も行うようにしても良い。また、教師無しで学習することも可能である。更に、学習モデル45は必ずしも1のニューラルネットワークのみからなる必要はなく、複数のニューラルネットワークを含むようにしても良い。
【0058】
また、上記学習モデル45によって出力される分析比は、
図8に示すように入力されたテキストデータごとに、『反感・嫌悪』、『攻撃的』、『差別』、『主観』の4種類のNGカテゴリとそれらのNGカテゴリ以外の感情『悪くない(Good)』に属する比率を予測したものである。各感情の比率を合計すると1となり、1に近い程、分析対象となったテキストデータにおいてその感情が強く表れていることを示す。例えばtext1、text3、text4に対する感情分析結果は『主観』によるネガティブの感情が強く表れた文章であることを示している。text2に対する感情分析結果は『反感・嫌悪』と『主観』によるネガティブの感情が夫々強く表れた文章であることを示している。text5、text6に対する感情分析結果はいずれのNGカテゴリの感情もあまり表れていない文章であることを示している。尚、
図8に示す分析結果ではネガティブワードを含む投稿文であるか否かに加えて、より具体的にどのような感情のネガティブワードを含む投稿文であるか、即ちネガティブワードの種類についても把握可能となっている。
【0059】
以下同様にして形態素解析と辞書によりネガティブワードに該当するワードがあると判定された投稿文情報毎に機械学習を用いた分析を行い(S8)、分析比を出力した後にS9へと移行する。
【0060】
S9でCPU21は、上記機械学習を用いた分析結果により処理対象の投稿文情報がネガティブワードを含む投稿文であるか否かを再度判定する。例えば、『悪くない』に属する比率が閾値(例えば0.5)以下の場合にネガティブワードを含む投稿文であると判定する。或いは表示対象とする基準を緩く設定すれば『主観』によるネガティブ感情を伴う文章についてはネガティブワードから除いても良く、その場合には『主観』と『悪くない』に属する比率の合計が閾値(例えば0.5)以下の場合にネガティブワードを含む投稿文であると判定する。
【0061】
そして、機械学習による分析結果でも処理対象の投稿文情報がネガティブワードを含む投稿文であると判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、機械学習による分析結果では処理対象の投稿文情報がネガティブワードを含む投稿文でないと判定された場合(S9:NO)には、処理対象の投稿文情報にはネガティブワードは含まないと推定し、投稿文の非表示設定を行うことなく(即ち表示対象として)終了する。その後、処理対象となる投稿文情報を切り替えた後に再度S3以降の処理を実行する。
【0062】
S10においてCPU21は、処理対象の投稿文情報についてネガティブワードを含むと確定し、該当する投稿文についてはユーザへの表示対象から除外設定する。尚、投稿文情報DB13(
図3)には投稿文情報毎に投稿文を表示対象から除外するか否かを識別するフラグについても格納されており、具体的にはそのフラグによって除外設定を行う。上述したように本実施形態ではNGカテゴリ毎の分析比を参照することで、より具体的にどのような感情を伴うネガティブワードを含む投稿文であるか把握も可能となっており、表示対象フラグは、投稿文を表示対象から除外するか否かに加えて、その投稿文がより具体的にどのような感情(『反感・嫌悪』、『攻撃的』、『差別』、『主観』)を伴うネガティブワードを含む投稿文であるか、即ちネガティブワードの種別を識別する情報についても付加される。その結果、例えば感情の種類を指定して除外設定する仕様も可能である。『反感・嫌悪』の分析比が高い投稿文のみを除外設定することも可能であるし、『攻撃的』の分析比が高い投稿文のみを除外設定することも可能であるし、『差別』の分析比が高い投稿文のみを除外設定することも可能である。
【0063】
尚、前記S10で表示対象から除外設定された投稿文については、表示対象(第3者からの閲覧対象)とはならないが、情報提供地点の投稿感情を特定する為の情報としては用いられる。具体的には、後述のS11で感情値を算出する際に集計される投稿文の中には含まれる。
【0064】
以下同様にして前記S2で取得した投稿文情報毎に感情分析(S3)と形態素解析及び機械学習を用いた表示対象の除外設定を行い(S6~S10)、取得した全ての投稿文情報に対して処理を実行した後にS11へと移行する。
【0065】
S11においてCPU21は、前記S4で出力された感情比を集計して、基本感情となる8種類の感情毎に感情比の合計値である感情値を算出する。前記S11で算出される基本感情毎の感情値は、今回の評価対象となる情報提供地点を対象に投稿された全ての投稿文について、その投稿文の感情分析の結果を複数種類に区分された基本感情毎に分類して集計することで、どの基本感情の感情値が高いのかを示した結果となる。
【0066】
次に、S12においてCPU21は、前記S11において算出された感情値が示す傾向に基づいて、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類を判定する。ここで、本実施形態では感情分類として1型~3型を定義し、前記S12では今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が1型~3型のいずれに該当するかを判定する。
【0067】
図9に感情分類の1型~3型の各例を示す。
『1型』は1つの感情のみが突出する傾向を示す感情分類である。具体的な条件としては最も感情値が高い基本感情と2番目に感情値が高い基本感情との感情値の差が第1閾値以上とする。尚、第1閾値は例えば各感情の感情値を全て合計した合計値の40%とする。
『2型』は複数の感情が突出する傾向を示す感情分類である。具体的な条件としては最も感情値が高い基本感情と2番目に感情値が高い基本感情との感情値の差が第1閾値未満であって、且つ感情値が第2閾値以上となる基本感情が少なくとも一以上あることとする。尚、第1閾値は例えば各感情の感情値を全て合計した合計値の40%、第2閾値は例えば各感情の感情値を全て合計した合計値の25%とする。
『3型』は突出した感情のない、全体的に感情が弱い傾向を示す感情分類である。具体的な条件としては感情値が第2閾値以上となる基本感情がないこととする。尚、第2閾値は例えば各感情の感情値を全て合計した合計値の25%とする。
【0068】
その後、S13においてCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『1型』に該当するか否かを判定する。そして、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『1型』に該当すると判定された場合(S13:YES)には、S14へと移行する。それに対して、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『1型』に該当しないと判定された場合(S13:NO)には、S17へと移行する。
【0069】
続いて、S14でCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点について、前記S11で算出された基本感情毎の感情値を比較し、最も感情値の高い基本感情を今回の評価対象となる情報提供地点の投稿感情(が属する基本感情)として特定する。例えば、
図9に示す『1型』の例では、“嫌悪”が投稿感情(が属する基本感情)として特定されることとなる。
【0070】
その後、S15においてCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文、即ち前記S2で取得された投稿文について形態素解析を行い、それらの投稿文から情報提供地点の評価や状況を示すキーワードが抽出される。但し、前記S10で除外設定された投稿文についてはキーワードを抽出する対象から除く。尚、いずれかの投稿文内に一回でも含まれていればそのキーワードを抽出対象としても良いし、所定回数以上含まれていること(頻出ワード)を抽出の条件としても良い。また、投稿数が多い情報提供地点については抽出されるキーワードの数について上限を設定するのが望ましく、上限に到達した場合については抽出された数の多いキーワード(即ち投稿文に多く含まれるキーワード)を優先して残すようにする。
【0071】
次に、S16においてCPU21は、前記S14で特定された基本感情を今回の評価対象となる情報提供地点についての“投稿感情”として配信情報DB7に格納するとともに、前記S15で抽出されたキーワードについて今回の評価対象となる情報提供地点に対して投稿された“投稿文”として配信情報DB7に格納する。配信情報DB7には前述したように全国各地の情報提供の対象となる情報提供地点について“投稿感情”と“投稿文”に関する情報を含む各種情報が記憶される(
図4)。
【0072】
一方、S17においてCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『2型』に該当するか否かを判定する。そして、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『2型』に該当すると判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『2型』に該当しないと判定された場合、即ち『3型』に該当すると判定された場合(S17:NO)には、S19へと移行する。
【0073】
続いて、S18でCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点について、前記S11で算出された基本感情毎の感情値を比較し、感情値が第2閾値以上の基本感情を今回の評価対象となる情報提供地点の投稿感情(が属する基本感情)として特定する。尚、感情値が第2閾値以上の基本感情が複数あれば、該当する全てを今回の評価対象となる情報提供地点の投稿感情として特定する。但し、感情値が高い順に所定数(例えば上位2つ)までとしても良い。第2閾値は例えば各感情の感情値を全て合計した合計値の25%とする。例えば、
図9に示す『2型』の例では、“喜び”と“期待”が投稿感情(が属する基本感情)として特定されることとなる。
【0074】
その後、S15においてCPU21は、『1型』の場合と同じく今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文、即ち前記S2で取得された投稿文について形態素解析を行い、それらの投稿文から情報提供地点の評価や状況を示すキーワードが抽出される。更に、S16においてCPU21は、前記S18で特定された基本感情を今回の評価対象となる情報提供地点についての“投稿感情”として配信情報DB7に格納するとともに、前記S15で抽出されたキーワードについて今回の評価対象となる情報提供地点に対して投稿された“投稿文”として配信情報DB7に格納する。
【0075】
一方で、今回の評価対象となる情報提供地点の感情分類が『3型』であると判定された場合に実行されるS19においてCPU21は、今回の評価対象となる情報提供地点について突出した感情がない、即ち投稿文全体として特に強い感情が見られず感情に偏りもなく、感情を特定できないことから“無感情(感情無し)”を今回の評価対象となる情報提供地点の投稿感情(が属する基本感情)として特定する。
【0076】
その後、S15においてCPU21は、『1型』の場合と同じく今回の評価対象となる情報提供地点が紐づけられた投稿文、即ち前記S2で取得された投稿文について形態素解析を行い、それらの投稿文から情報提供地点の評価や状況を示すキーワードが抽出される。更に、S16においてCPU21は、“無感情”を今回の評価対象となる情報提供地点についての“投稿感情”として配信情報DB7に格納するとともに、前記S15で抽出されたキーワードについて今回の評価対象となる情報提供地点に対して投稿された“投稿文”として配信情報DB7に格納する。
【0077】
続いて、情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端末5が実行する情報提供処理プログラムについて
図10に基づき説明する。
図10は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは、通信端末5において情報提供地点の情報を得るための所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、情報提供地点に関する情報をユーザへと提供するプログラムである。尚、以下の
図10にフローチャートで示されるプログラムは、情報提供サーバ3や通信端末5が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU31により実行される。
【0078】
先ず、
図10に基づいて通信端末5のCPU31が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。S21においてCPU31は、情報提供地点の情報を得るための所定のアプリケーションプログラム(以下、情報提供アプリという)を起動する。尚、情報提供アプリはナビゲーションアプリであっても良いし、ナビゲーションアプリとは異なる専用のアプリケーションプログラムであっても良い。情報提供アプリは予めウェブサーバ等からダウンロードされて通信端末5にインストールされていることを前提とする。
【0079】
ここで、通信端末5において情報提供アプリが起動されると、先ずディスプレイ36には現在位置周辺の地図画像が表示される(S22)。尚、地図画像51を表示する為の地図表示データについては情報提供サーバ3から取得する。ディスプレイ36に表示された地図画像51はユーザの操作に基づいて自由に縮尺を変更したり、表示対象となるエリアを変更可能となっている。
【0080】
次に、S23においてCPU31は、現時点でディスプレイ36に表示対象となっている地図画像に含まれる情報提供地点に関する情報を要求する要求信号を情報提供サーバ3に対して送信する。尚、要求信号には送信元の通信端末5を識別する端末IDと、現時点でディスプレイ36に表示対象となっている地図画像に含まれる情報提供地点を識別する地点ID(地点IDの代わりに地点名称や位置座標でも良い)を含む。
【0081】
その後、S24においてCPU31は、前記S23で送信した要求信号に応じて情報提供サーバ3から送信された情報を受信する。尚、前記S24で受信する情報は、現時点でディスプレイ36に表示対象となっている地図画像に含まれる情報提供地点に関する情報、特に前述した感情分析処理プログラム(
図6)によって特定された“投稿感情”の種類についての情報である。
【0082】
続いて、S25においてCPU31は、ディスプレイ36に表示されている現在位置周辺の地図画像において情報提供地点が存在する位置に、その位置に情報提供地点が存在することを示すアイコンが表示される。また、アイコンはその情報提供地点の投稿感情の種類ついても示す。
【0083】
ここで、
図11は前記S25で表示されるアイコンの一例を示した図である。
図11に示すようにディスプレイ36には地図画像51が表示され、更に地図画像51において情報提供地点が存在する位置にアイコン52が表示される。アイコン52の外観は顔を模しており、その表情が3種類あって表情の違いによってその情報提供地点の投稿感情の種類を示している。尚、本実施形態では前述した感情分析処理プログラム(
図6)において“投稿感情”が8種類の基本感情で特定されるが、アイコン52では具体的な感情の種類までは区分せずにポジティブ感情(正の感情)とネガティブ感情(負の感情)の2種類を判断要素として、投稿者の感情がポジティブ感情とネガティブ感情のどちら寄りにあるか、或いはどちらでもないニュートラル(中立)にあるかについて示すこととする。但し、アイコン52の種類を増やして具体的な感情の種類まで報知するようにしても良い。
【0084】
一例として、投稿感情として特定された基本感情に『喜び』、『信頼』のいずれかを含むのであればポジティブ、投稿感情として特定された基本感情に『嫌悪』、『怒り』、『恐れ』、『悲しみ』のいずれかを含むのであればネガティブ、投稿感情として特定された基本感情に『期待』、『驚き』のいずれかを含むか或いは『無感情』のであればニュートラルとする。尚、複数の感情カテゴリに該当する場合(例えばポジティブとニュートラル)には、最も感情値の高い基本感情に対応する感情カテゴリを選択することとする。
【0085】
尚、アイコン52の外観は『ポジティブ』であればにこやかな表情であり、『ネガティブ』であれば怒りの表示となり、『ニュートラル』は無表情となる。従って、ユーザはアイコン52を視認すれば視覚的にその情報提供地点の投稿感情を容易に把握可能となる。また、アイコン52については投稿感情の大きさに応じて表示サイズや表示色を変化させるようにしても良い。例えば、投稿感情の大きさが大きい程、より大きいサイズで表示する。尚、投稿感情が特定できなかった情報提供地点については、アイコン52を表示しないこととしても良いし、『ニュートラル』のアイコン52を表示することとしても良い。
【0086】
また、地図画像51上に表示されたアイコン52についてはユーザによる選択対象となっており、S26においてCPU31は、入力操作部37からの信号に基づいて、ユーザが地図画像51上に表示されたいずれかのアイコン52を選択する操作を受け付けたか否かを判定する。
【0087】
そして、ユーザが地図画像51上に表示されたいずれかのアイコン52を選択する操作を受け付けたかと判定された場合(S26:YES)には、S27へと移行する。それに対して、ユーザが地図画像51上に表示されたいずれかのアイコン52を選択する操作を受け付けていないと判定された場合(S26:NO)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。
【0088】
続いて、S27においてCPU31は、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点に関するより詳細な情報を要求する要求信号を情報提供サーバ3に対して送信する。尚、要求信号には送信元の通信端末5を識別する端末IDと、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点を識別する地点ID(地点IDの代わりに地点名称や位置座標でも良い)を含む。
【0089】
その後、S28においてCPU31は、前記S27で送信した要求信号に応じて情報提供サーバ3から送信された情報を受信する。尚、前記S28で受信する情報は、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点に関するより詳細な情報である。
【0090】
次に、S29においてCPU31は、前記S28で受信した情報に基づいて、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点に関するより詳細な情報をディスプレイ36に表示する。尚、表示対象となる情報には特に前述した感情分析処理プログラム(
図6)によって“投稿感情”として特定された基本感情に加えて、その投稿感情分析をするのに用いられた“投稿文”についても含む。但し、“投稿文”については全文ではなく情報提供地点の評価や状況を示すキーワードのみとする。
【0091】
ここで、
図12に前記S29においてディスプレイ36に表示される情報提供画面53の一例を示す。
図12に示す例では情報提供画面53には、例えば情報提供地点の名称と、外観写真と、営業時間や連絡先などの地点の詳細に関する情報と、“投稿感情”として特定された基本感情の種類に加えて、“投稿文”から抽出されたキーワードが表示される。
【0092】
具体的には“投稿感情”については前述した感情分析処理プログラム(
図6)において8種類の基本感情の内から特定された感情の種類が表示される。また、“無感情(感情無し)”が特定された場合(S19)についてはその旨が表示される。
また、“投稿文”については抽出されたキーワードの一覧が並べて表示される。尚、キーワードの表示においてはすべて同じサイズ且つ同じ色の文字で表示しても良いし、キーワード毎に文字のサイズや色を変えても良い。例えば抽出された数の多いキーワード(即ち投稿文に多く含まれるキーワード)については、文字サイズを大きくしたり表示色を他と変更する等が可能である。また、キーワードの配置についても単に並べて表示するのではなく、例えば類似するキーワードが互いに近くなるように表示したり、重要なキーワードが中心に位置するように表示するなどが可能である。
【0093】
尚、
図12に示す情報提供画面53はあくまで一例であり、“投稿感情”として特定された基本感情と“投稿文”がユーザに把握可能に表示されるのであればどのような表示態様であっても良い。
図12に示す情報提供画面53をユーザが視認することによって、ユーザは指定した地点に対する投稿文に基づく正確な評価を得ることができる。
【0094】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。尚、以下のS31~S36の各処理は、通信端末5からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0095】
先ず、S31においてCPU21は、通信端末5から送信される情報の要求信号を受信する。尚、要求信号には、送信元の通信端末5を識別する端末IDと、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点を識別する地点ID(地点IDの代わりに地点名称や位置座標でも良い)を含む。
【0096】
その後、S32においてCPU21は、前記S31で受信した要求信号に基づいて、配信情報DB7から要求のあった情報提供地点に関する情報を抽出する。尚、配信情報DB7には前述したように全国各地の情報提供の対象となる情報提供地点について“投稿感情”に関する情報を含む各種情報が記憶されている(
図4)が、前記S32では特に“投稿感情”の種類のみを抽出する。
【0097】
続いて、S33においてCPU21は、前記S31で受信した要求信号の送信元の通信端末5に対して、前記S32で抽出した情報提供地点に関する情報として“投稿感情”の種類を送信する。その後、情報を受信した通信端末5では前述したように情報提供地点の投稿感情が地図画像51上にアイコン52で表示される(
図11)。
【0098】
次に、S34においてCPU21は、通信端末5から送信される詳細情報の要求信号を受信する。尚、要求信号には、送信元の通信端末5を識別する端末IDと、ユーザによって選択されたアイコン52に対応する情報提供地点を識別する地点ID(地点IDの代わりに地点名称や位置座標でも良い)を含む。
【0099】
その後、S35においてCPU21は、前記S34で受信した要求信号に基づいて、配信情報DB7から要求のあった情報提供地点に関する情報を抽出する。尚、配信情報DB7には前述したように全国各地の情報提供の対象となる情報提供地点について“投稿感情”として特定された基本感情に加えて、その投稿感情分析をするのに用いられた“投稿文”を含む各種情報が記憶されている(
図4)が、前記S35では基本的にそれら全ての情報を抽出する。
【0100】
続いて、S36においてCPU21は、前記S34で受信した要求信号の送信元の通信端末5に対して、前記S35で抽出した情報提供地点に関する詳細情報を送信する。その後、情報を受信した通信端末5では前述したように情報提供地点に関する情報が出力される(
図12)。
【0101】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1、情報提供サーバ3及び通信端末5では、ネットワーク上に投稿された投稿文を、該投稿文に紐づけられた地点を特定する地点情報とともに取得し(S2)、取得された投稿文を分析することにより投稿文を投稿した投稿者の感情である投稿感情を予測する(S3)とともに、予測された投稿感情を分析元となる投稿文に紐づけられた地点毎に区分して集計し、地点毎に投稿感情を特定する(S14、S18、S19)。更に特定された投稿感情に加えて投稿文の少なくとも一部を画面上に表示する一方で、投稿文の表示ではネガティブワードを含む投稿文については除外して表示する(S10)ので、第3者が閲覧するのが望ましくないネガティブワードを含む投稿文について表示対象から除外することが可能となる。
また、表示対象から除外されるネガティブワードを含む投稿文についても用いて投稿感情を特定するので、第3者が閲覧するのが望ましくないネガティブワードを含む投稿文について表示対象から除外する一方で、投稿感情の特定についてはそのようなネガティブワードを含む投稿文も考慮して正確な投稿感情の特定が可能となる。
また、投稿文の投稿感情が、複数種類に区分された基本感情のいずれに属するかを特定した上で(S5)、投稿感情が基本感情の内、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒りのいずれかに属すると特定された投稿文についてネガティブワードを含む投稿文に該当するか否かを判定し(S7、S9)、ネガティブワードを含むと判定された投稿文を除外して表示する(S10)ので、ネガティブな感情に属する投稿文の内、特にネガティブワードを含む投稿文を対象にして表示対象から除外することが可能となる。
また、基本感情とは別にネガティブな感情を示す感情カテゴリを複数種類設定し、投稿感情が基本感情の内、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒りのいずれかに属すると特定された投稿文について、更に学習モデルを用いて投稿感情が複数種類の感情カテゴリに属するか否かを分析することによって、ネガティブワードを含むか否かを判定し(S8)、ネガティブワードを含むと判定された投稿文については、学習モデルを用いた分析の結果に基づいて更にどの感情カテゴリに属するネガティブワードを含む投稿文であるかについても特定する(S10)ので、単にネガティブワードを含むか否かだけではなく、具体的にどのような感情を伴うネガティブワードであるか、即ちネガティブワードの種別についても特定することが可能となる。
【0102】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では、情報提供地点の詳細情報としてその情報提供地点に投稿された投稿文を表示する際に、投稿文の一部のキーワードのみを抽出して表示するようにしているが、投稿文の全文を表示するようにしても良い。尚、全文を表示する場合においても前記S10で除外設定された投稿文については表示対象から除く。
【0103】
また、本実施形態ではネガティブ感情を伴う投稿文について実際にネガティブワードを含む投稿文であるか否かを判定する(S5~S9)際に、先ず形態素解析と辞書を用いたネガティブワードの判定を行い(S6)、その後に機械学習を用いたネガティブワードの判定を行っている(S8)が、その順序は逆としても良い。
【0104】
また、本実施形態では情報提供地点の投稿感情を特定する為に行う投稿文の感情分析と、投稿文がネガティブワードを含むか否かを判定する為に行う投稿文の感情分析については共通の処理(S3)で行うとしているが、別々の処理で行っても良い。
【0105】
また、本実施形態では、通信端末5をスマートフォンに適用した例について説明したが、情報提供地点に関する情報を出力する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0106】
また、本実施形態では、感情分析処理プログラム(
図6)について情報提供サーバ3が行う構成としているが、処理の一部を通信端末5が実行しても良い。
【符号の説明】
【0107】
1…情報提供システム(投稿感情予測システム)、2…情報提供センタ、3…情報提供サーバ、4…ユーザ、5…通信端末、6…通信ネットワーク網、7…配信情報DB、8…SNSサーバ、9…保存DB、11…サーバ制御部、13…投稿文情報DB、36…ディスプレイ、41…通信端末制御部、51…地図画像、52…アイコン、53…情報提供画面