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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097588
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】栗収穫作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 51/00 20060101AFI20250624BHJP
【FI】
A01D51/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213845
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(57)【要約】
【課題】 本発明者は、ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が栗園などで利用される作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。しかしながら、栗園などで利用される従来の作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。より具体的には、栗などを拾い集める従来の拾集機については、栗のイガを除去しながら十分に良好な作業性で栗の実を回収することができる栗収穫作業が必ずしも実現されていないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 走行しながら栗を収穫する栗収穫作業車両であって、地表の栗を拾上げる栗拾上げ部100と、栗拾上げ部100により拾上げられた栗の実を覆う栗のイガを栗の実から剥くイガ剥き部200と、を備えている栗収穫作業車両である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら栗を収穫する栗収穫作業車両であって、
地表の前記栗を拾上げる栗拾上げ部と、
前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗の実を覆う前記栗のイガを前記栗の実から剥くイガ剥き部と、
を備えていることを特徴とする栗収穫作業車両。
【請求項2】
前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗を前記栗拾上げ部から前記イガ剥き部へ向かって持上げるエレベーター部と、
前記イガ剥き部により前記栗の実から前記剥かれた栗のイガを飛ばす風選部と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の栗収穫作業車両。
【請求項3】
前記栗拾上げ部は、複数のロッド材が所定のロッド材間隔で円筒状に配設されている回転円筒状部材と、プレート上面が前記回転円筒状部材の形状に沿うように湾曲する、前記回転円筒状部材の下方へ設けられたプレート部材と、を有し、
前記複数のロッド材の長手方向は、前記回転円筒状部材の回転軸の方向と一致し、
前記回転円筒状部材の回転により、前記複数のロッド材と前記プレート部材との間のスペースへ入込んだ前記栗は拾上げられることを特徴とする請求項2に記載の栗収穫作業車両。
【請求項4】
前記回転円筒状部材は、円筒体と、前記円筒体の外表面へ配設された複数の凸条材としての前記複数のロッド材を有することを特徴とする請求項3に記載の栗収穫作業車両。
【請求項5】
前記イガ剥き部は、二つのローラー部材を有し、
前記二つのローラー部材の回転軸は、互いに平行であり、
前記二つのローラー部材が互いに相異なる周速で回転することにより、前記二つのローラー部材の間のギャップへ挟込まれた前記栗のイガは前記栗の実から剥かれることを特徴とする請求項4に記載の栗収穫作業車両。
【請求項6】
前記プレート部材の前端の位置は、前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む鉛直面の前方であって前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む水平面の下方の位置であり、
前記プレート部材の後端の位置は、前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む前記鉛直面の後方であって前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む前記水平面の下方の位置であることを特徴とする請求項5に記載の栗収穫作業車両。
【請求項7】
前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗を前記エレベーター部の下端へ向かって搬送する集積部をさらに備えており、
前記集積部は、長手方向が車体左右方向である搬送スクリュー部材を有し、
前記エレベーター部の前記下端の位置を基準として、前記搬送スクリュー部材の車体左側のスクリュー向きは、前記搬送スクリュー部材の車体右側のスクリュー向きと反対であることを特徴とする請求項6に記載の栗収穫作業車両。
【請求項8】
前記風選部により前記飛ばされた栗のイガが通過する、後方へ向かって延びる第一ガイド風路部と、
前記第一ガイド風路部を通過した前記栗のイガが通過する、前記車体左右方向において延びる第二ガイド風路部と、
前記第二ガイド風路部を通過した前記栗のイガが通過する、前方へ向かって延びる第三ガイド風路部と、
前記第三ガイド風路部を通過した前記栗のイガを収容するイガ溜め部と、
前記第二ガイド風路部近傍へ設けられた操縦操作部と、
をさらに備えており、
前記第一ガイド風路部の床面は、前記栗のイガが転がって上る上り傾斜面であり、
前記第二ガイド風路部の床面は、前記栗のイガが転がって下る下り傾斜面であることを特徴とする請求項7に記載の栗収穫作業車両。
【請求項9】
前記操縦操作部の後方へ設けられた作業者ステップ部をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の栗収穫作業車両。
【請求項10】
前記複数のロッド材と前記プレート部材との間の隙間は、車体前側から車体後側へ向かって狭くなることを特徴とする請求項9に記載の栗収穫作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栗園などで利用される栗収穫作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
回転可能なドラムと、ドラムの一部周面を覆うようにドラムとの間に間隔をあけて配設され、ドラムの下部との間に被拾集物を受入れる受入部を形成するとともに、受入部より上方においてドラムとの間に被拾集物を排出する排出部を形成するカバーと、ドラムの周囲に突設され、ドラムの回転に伴って受入部から受入れた被拾集物をカバーの内周に沿って押上げ排出部から排出する押上部材と、を備えた、栗などを拾い集める拾集機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-66300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が栗園などで利用される作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、栗園などで利用される従来の作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
より具体的には、栗などを拾い集める従来の拾集機については、栗のイガを除去しながら十分に良好な作業性で栗の実を回収することができる栗収穫作業が必ずしも実現されていないことに本発明者は気付いた。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる栗収穫作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、走行しながら栗を収穫する栗収穫作業車両であって、
地表の前記栗を拾上げる栗拾上げ部と、
前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗の実を覆う前記栗のイガを前記栗の実から剥くイガ剥き部と、
を備えていることを特徴とする栗収穫作業車両である。
【0009】
第2の本発明は、前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗を前記栗拾上げ部から前記イガ剥き部へ向かって持上げるエレベーター部と、
前記イガ剥き部により前記栗の実から前記剥かれた栗のイガを飛ばす風選部と、
をさらに備えていることを特徴とする第1の本発明の栗収穫作業車両である。
【0010】
第3の本発明は、前記栗拾上げ部は、複数のロッド材が所定のロッド材間隔で円筒状に配設されている回転円筒状部材と、プレート上面が前記回転円筒状部材の形状に沿うように湾曲する、前記回転円筒状部材の下方へ設けられたプレート部材と、を有し、
前記複数のロッド材の長手方向は、前記回転円筒状部材の回転軸の方向と一致し、
前記回転円筒状部材の回転により、前記複数のロッド材と前記プレート部材との間のスペースへ入込んだ前記栗は拾上げられることを特徴とする第2の本発明の栗収穫作業車両である。
【0011】
第4の本発明は、前記回転円筒状部材は、円筒体と、前記円筒体の外表面へ配設された複数の凸条材としての前記複数のロッド材を有することを特徴とする第3の本発明の栗収穫作業車両である。
【0012】
第5の本発明は、前記イガ剥き部は、二つのローラー部材を有し、
前記二つのローラー部材の回転軸は、互いに平行であり、
前記二つのローラー部材が互いに相異なる周速で回転することにより、前記二つのローラー部材の間のギャップへ挟込まれた前記栗のイガは前記栗の実から剥かれることを特徴とする第4の本発明の栗収穫作業車両である。
【0013】
第6の本発明は、前記プレート部材の前端の位置は、前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む鉛直面の前方であって前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む水平面の下方の位置であり、
前記プレート部材の後端の位置は、前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む前記鉛直面の後方であって前記回転円筒状部材の前記回転軸を含む前記水平面の下方の位置であることを特徴とする第5の本発明の栗収穫作業車両である。
【0014】
第7の本発明は、前記栗拾上げ部により前記拾上げられた栗を前記エレベーター部の下端へ向かって搬送する集積部をさらに備えており、
前記集積部は、長手方向が車体左右方向である搬送スクリュー部材を有し、
前記エレベーター部の前記下端の位置を基準として、前記搬送スクリュー部材の車体左側のスクリュー向きは、前記搬送スクリュー部材の車体右側のスクリュー向きと反対であることを特徴とする第6の本発明の栗収穫作業車両である。
【0015】
第8の本発明は、前記風選部により前記飛ばされた栗のイガが通過する、後方へ向かって延びる第一ガイド風路部と、
前記第一ガイド風路部を通過した前記栗のイガが通過する、前記車体左右方向において延びる第二ガイド風路部と、
前記第二ガイド風路部を通過した前記栗のイガが通過する、前方へ向かって延びる第三ガイド風路部と、
前記第三ガイド風路部を通過した前記栗のイガを収容するイガ溜め部と、
前記第二ガイド風路部近傍へ設けられた操縦操作部と、
をさらに備えており、
前記第一ガイド風路部の床面は、前記栗のイガが転がって上る上り傾斜面であり、
前記第二ガイド風路部の床面は、前記栗のイガが転がって下る下り傾斜面であることを特徴とする第7の本発明の栗収穫作業車両である。
【0016】
第9の本発明は、前記操縦操作部の後方へ設けられた作業者ステップ部をさらに備えていることを特徴とする第8の本発明の栗収穫作業車両である。
【0017】
第10の本発明は、前記複数のロッド材と前記プレート部材との間の隙間は、車体前側から車体後側へ向かって狭くなることを特徴とする第9の本発明の栗収穫作業車両である。
【発明の効果】
【0018】
第1の本発明により、使い勝手を向上することが可能である。
【0019】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【0020】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、実用性を向上することが可能である。
【0021】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0022】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、実用性をさらに向上することが可能である。
【0023】
第6の本発明により、第5の本発明の効果に加えて、構成をさらに簡素化することが可能である。
【0024】
第7の本発明により、第6の本発明の効果に加えて、信頼性を向上することが可能である。
【0025】
第8の本発明により、第7の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0026】
第9の本発明により、第8の本発明の効果に加えて、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0027】
第10の本発明により、第9の本発明の効果に加えて、作業者の負担をさらに軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その一)
図2】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その二)
図3】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その三)
図4】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その四)
図5】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その五)
図6】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その六)
図7】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その七)
図8】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その八)
図9】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その九)
図10】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その十)
図11】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の平面図
図12】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の正面図
図13】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の左側面図
図14】本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の右側面図
図15】(a)本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の模式的な部分左側面図、(b)本発明における別の実施の形態の栗収穫作業車両の模式的な部分左側面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0031】
本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の動作について説明しながら、コントローラーなどにより実現される、本発明に関連した発明の栗収穫作業車両動作制御方法についても説明する。
【0032】
このような栗収穫作業車両は、走行しながら栗を収穫する栗収穫作業車両であって、本発明における栗収穫作業車両の具体的な例である。
【0033】
(1)はじめに、図1から3を主として参照しながら、本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の構成および動作について具体的に説明する。
【0034】
ここに、図1から3は、本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その一から三)である。
【0035】
栗拾上げ部100は、地表の栗を拾上げるユニットである。イガ剥き部200は、栗拾上げ部100により拾上げられた栗の実を覆う栗のイガを栗の実から剥くユニットである。
【0036】
エレベーター部300の後方へ設けられている、いわゆる脱穀機構としてのイガ剥き部200は、エレベーター終端から落下する栗のイガをエレベーター部300の下方でつぎつぎと剥く。
【0037】
栗のイガは剥かれて栗の実から分離されるので、栗の実コンテナー1001のような栗の実を収容するための容器が満杯になるまでの時間は十分に長くなるように確保される。
【0038】
栗収穫機械としての栗収穫作業車両は、地面に落ちている栗を回収する機構としての栗拾上げ部100のみならず、栗のイガを剥く機構としてのイガ剥き部200をも有する。栗のイガをその場で分別することができるので、作業効率が向上する。
【0039】
エレベーター部300は、栗拾上げ部100により拾上げられた栗を栗拾上げ部100からイガ剥き部200へ向かって持上げるユニットである。
【0040】
栗を上方へ向かって持上げるエレベーター機構としてのエレベーター部300は、集積部500の後方へ設けられている。
【0041】
上下方向におけるエレベーター移動のための油圧シリンダー機構がエレベーター部300へ設けられており、このようなエレベーター移動により、栗拾上げ部100および集積部500も上下方向において移動させられる。
【0042】
エレベーター部300で栗を持上げて上下方向における十分な距離で風選スペースを確保することにより、不要な剥かれた栗のイガは風選部400で確実に飛ばされて選択的に除去される。
【0043】
風選部400は、イガ剥き部200により栗の実から剥かれた栗のイガを飛ばすユニットである。
【0044】
イガ剥き部200の前方の風選部400は、送風ファン機構で吸入風または吐出風を発生させることにより、剥かれた栗のイガをエレベーター部300の下方でつぎつぎと飛ばす。
【0045】
(2)つぎに、図4から10,11、12,13、14、15(a)および15(b)を主として参照しながら、本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0046】
ここに、図4から10は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の斜視図(その四から十)であり、図11は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の平面図であり、図12は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の正面図であり、図13は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の左側面図であり、図14は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の右側面図であり、図15(a)は本発明における実施の形態の栗収穫作業車両の模式的な部分左側面図であり、図15(b)は本発明における別の実施の形態の栗収穫作業車両の模式的な部分左側面図である。
【0047】
栗拾上げ部100は、複数のロッド材111が所定のロッド材間隔で円筒状に配設されている回転円筒状部材110と、プレート上面が回転円筒状部材110の形状に沿うように湾曲する、回転円筒状部材110の下方へ設けられたプレート部材120と、を有する。複数のロッド材111の長手方向は、回転円筒状部材110の回転軸の方向と一致する。回転円筒状部材110の回転により、複数のロッド材111とプレート部材120との間のスペースへ入込んだ栗は拾上げられる。
【0048】
栗拾上げ部100による栗拾上げ回収動作をより確実に行うために、接地圧を検知する感圧センサーなどが回転部としての回転円筒状部材110へ取付けられており、栗拾上げ部100が感圧センサーの検知結果に基づいて地表へ自動的に追従させられることが望ましい。
【0049】
回転円筒状部材110は、円筒体112と、円筒体112の外表面へ配設された複数の凸条材としての複数のロッド材111を有する。
【0050】
ロッド材111は、たとえば、両端が略90度で折曲げられてボルト締結などにより回転円筒状部材110の両端面の周縁へ取付けられている、帯形状のプレート材である。窓状スリット開口部が、栗の実および栗のイガが回転円筒状部材110の回転にともなって挟込まれる、互いに相等しいロッド材間隔で配設されたロッド材111の間の隙間へ形成されていてもよい。このような窓状スリット開口部は形成されておらず、ロッド材111の間の隙間は塞がれていてもよいし、ロッド材111の間の隙間そのものが存在しなくてもよい。
【0051】
イガ剥き部200は、二つのローラー部材210を有する。
【0052】
栗のイガはいわゆる脱穀ローラー回転比が互いに相異なる二つのローラー部材210でしっかりと挟込まれるので、栗のイガを栗の実から確実に剥くことができる。
【0053】
二つのローラー部材210の回転軸は、互いに平行である。二つのローラー部材210が互いに相異なる周速で回転することにより、二つのローラー部材210の間のギャップへ挟込まれた栗のイガは栗の実から剥かれる。
【0054】
スプリング付勢などを利用することにより、二つのローラー部材210が栗のイガを挟込む圧力は一定に保たれることが望ましい。
【0055】
プレート部材120の前端の位置は、回転円筒状部材110の回転軸を含む鉛直面の前方であって回転円筒状部材110の回転軸を含む水平面の下方の位置である。プレート部材120の後端の位置は、回転円筒状部材110の回転軸を含む鉛直面の後方であって回転円筒状部材110の回転軸を含む水平面の下方の位置である。
【0056】
プレート部材120は、回転円筒状部材110の下部から後方へ向かって栗を掬上げるための大きな爪のような部材である。プレート部材120の前端の下側先端は回転円筒状部材110の回転中心の前方に位置し、プレート部材120の後端の上側先端は回転円筒状部材110の回転中心の下方に位置するので、栗は、掬上げられるとき、零れにくく、後方の集積部500へスムーズに落下させられる。
【0057】
集積部500は、栗拾上げ部100により拾上げられた栗をエレベーター部300の下端へ向かって搬送するユニットである。集積部500は、長手方向が車体左右方向である搬送スクリュー部材510を有する。
【0058】
集積部500へ設けられた搬送スクリュー部材510の回転駆動により、拾上げられた栗はつぎの搬送機構としてのエレベーター部300の下端の一部分へ確実に集積させられる。
【0059】
エレベーター部300の下端の位置を基準として、搬送スクリュー部材510の車体左側のスクリュー向きは、搬送スクリュー部材510の車体右側のスクリュー向きと反対である。
【0060】
螺旋体である搬送スクリュー部材510の左右の螺旋向きは互いに相異なるので、栗の逆流はほとんど発生せず、拾上げられた栗は確実に集積させられる。
【0061】
エレベーター部300の下端近傍においては、丸棒が螺旋体の代わりに溶接されており、このような丸棒により叩かれた栗はエレベーター部300のエレベーター入口へ確実に落込まれる。
【0062】
第一ガイド風路部610は、風選部400により飛ばされた栗のイガが通過する、後方へ向かって延びるユニットである。
【0063】
カバー部材を有する、イガ剥き部200の下方の第一ガイド風路部610は、良好な栗の実を粗悪な栗の実および栗のイガから風選部400の送風ファンの後方でつぎつぎと分別するためのユニットである。
【0064】
第二ガイド風路部620は、第一ガイド風路部610を通過した栗のイガが通過する、車体左右方向において延びるユニットである。
【0065】
粗悪な栗の実および栗のイガを車体右側へ向かって搬送するための傾斜させられたカバー部材を有する、第二ガイド風路部620は、第一ガイド風路部610のカバー部材の後方へ設けられている。
【0066】
第三ガイド風路部630は、第二ガイド風路部620を通過した栗のイガが通過する、前方へ向かって延びるユニットである。イガ溜め部700は、第三ガイド風路部630を通過した栗のイガを収容するユニットである。
【0067】
栗の実を一時的に保管するための栗の実コンテナー1001が載置されるフレーム部材が、栗のイガなどを回収するための袋が載置される、イガ溜め部700近傍の載置廃棄物回収台と並んで、第一ガイド風路部610のカバー部材の下方へ設けられている。
【0068】
操縦操作部800は、第二ガイド風路部620近傍へ設けられたユニットである。
【0069】
第二ガイド風路部620のカバー部材の上方の操縦操作部800は、操縦操作のためのジョイスティックなどを有する操作部である。
【0070】
操縦操作部800が第二ガイド風路部620近傍へ設けられているので、作業者は、操縦操作部800のマニュアル操作を行いながら、風選にもかかわらず、良好な栗の実と意図せず混じった粗悪な栗の実を第二ガイド風路部620で容易に分別することができる。
【0071】
第一ガイド風路部610の床面は、栗のイガが転がって上る上り傾斜面である。第二ガイド風路部620の床面は、栗のイガが転がって下る下り傾斜面である。
【0072】
第一ガイド風路部610のおよび第二ガイド風路部620を通過する風により、良好な栗の実が粗悪な栗の実および栗のイガから確実に分別されるように、第一ガイド風路部610の上り傾斜面および第二ガイド風路部620の下り傾斜面の傾斜角度は調節可能であり、状況に応じた自由な分別レベル調節が実現されることが望ましい。
【0073】
作業者ステップ部900は、操縦操作部800の後方へ設けられたユニットである。
【0074】
車体後側の中央部近傍へ設けられた作業者ステップ部900のステップへ立っている作業者は、操縦操作部800のマニュアル操作を容易に行うことができる。
【0075】
作業者の負担が作業者ステップ部900の実装で大きく軽減されるので、作業疲れが発生しにくいユーザーフレンドリーな仕様が実現される。
【0076】
なお、複数のロッド材111とプレート部材120との間の隙間は、車体前側から車体後側へ向かって狭くなってもよい。
【0077】
図15(b)において示されているように、栗のイガはこのような狭い隙間で押潰されて細かく破断されるので、栗のイガの後段での処理は容易であり、風選部400により飛ばされた栗のイガが通過する、第一ガイド風路部610、第二ガイド風路部620および第三ガイド風路部630などから構成された略L字形状の風路ユニットにおける風路詰まりは発生しにくい。
【0078】
駆動動力の供給および変速などを行う、エンジンまたはモーターおよびトランスミッションケースなどで構成された動力部1002は、下方の車体右側へ形成されたエレベーター部300近傍のスペースへ収納されている。
【0079】
動力部1002からの駆動動力の伝達などを行う、動力プーリおよび動力ベルトならびに動力テンションアームなどは、車体中央へ形成されたスペースへ収納されている。
【0080】
栗園の地形はしばしば起伏および傾斜が大きい地形であるので、地面に落ちている栗を安全に拾上げることができるように、動力部1002が下方へ配置されている、重量バランス性の良好なレイアウトが採用されており、作業者が作業者ステップ部900のステップへ立つことにより、このような重量バランス性はさらに良化する。
【0081】
栗および栗のイガが回転円筒状部材110から離脱して後方へ向かって送出されるように、回転円筒状部材110の回転にともなう栗および栗のイガのつれ回りを阻止するストッパー部材Sが回転円筒状部材110の後面近傍へ取付けられている。
【0082】
栗および栗のイガは、たとえば、I字形状の係止材を有するストッパー部材Sで係止されて後方へ向かって確実に送出されるので、作業効率が向上する。
【0083】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の栗収穫作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0084】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の栗収穫作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0085】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0086】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0087】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0088】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0089】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0090】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明における栗収穫作業車両は、使い勝手を向上することができ、栗園などで利用される栗収穫作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0092】
100 栗拾上げ部
110 回転円筒状部材
111 ロッド材
112 円筒体
120 プレート部材
200 イガ剥き部
210 ローラー部材
300 エレベーター部
400 風選部
500 集積部
510 搬送スクリュー部材
610 第一ガイド風路部
620 第二ガイド風路部
630 第三ガイド風路部
700 イガ溜め部
800 操縦操作部
900 作業者ステップ部
1001 栗の実コンテナー
1002 動力部
S ストッパー部材
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