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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097619
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】顔の印象調整方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250624BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20250624BHJP
   A45D 44/00 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06T7/60 150S
A45D44/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213909
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】魚住 陽子
(72)【発明者】
【氏名】石黒 陽平
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096DA02
5L096FA03
5L096FA06
5L096FA10
5L096FA32
5L096FA62
5L096FA66
5L096FA67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】客観的な眉形状の指標を採用した顔の印象評価方法を提供する。
【解決手段】メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法であって、眉の形状を特定する形状特定ステップと、顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップとを備える。形状特定ステップは、小鼻の付け根から真上へ延びる第1基準直線α1と、付け根及び眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線との離間程度を求める第1ステップと、口角及び目尻を結ぶ第2基準直線とα2、口角及び眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線との離間程度を求める第2ステップと、眉における左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線と、左右方向に延びる眉の下縁との離間程度を求める第3ステップと、を含む。印象確認ステップでは、顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目及び顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を評価項目として採用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法であって、
前記眉の形状を特定する形状特定ステップと、
前記眉の形状が特定された前記顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップとを備え、
前記形状特定ステップは、少なくとも、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を求める第1ステップと、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を求める第2ステップと、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を求める第3ステップと、を含み、
前記印象確認ステップでは、
前記顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、前記顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を前記評価項目として採用する、顔の印象評価方法。
【請求項2】
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔の画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記画像の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含み、
前記画像準備工程は、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程、及び、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程、のうち少なくとも1つを含み、
前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第3変更工程の少なくともいずれかによって前記眉の形状を変化させた顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認する、顔の印象調整方法。
【請求項3】
眉のメイクアップ方法であって、少なくとも、
顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線と、左右の自眉における各眉頭の下端ラインとの交点部分に第1の印を付ける第1手順と、
顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線と、前記自眉における各眉尻の下端ラインとの交点部分に第2の印を付ける第2手順と、
前記第1の印及び前記第2の印のうち高さが低い一方の印から他方の印の方へ水平方向に延びる仮想直線を設定し、左右方向に延びる前記自眉の下縁と前記仮想直線との間の皮膚における少なくとも前記下縁側に眉を描く第3手順と、を含む、眉のメイクアップ方法。
【請求項4】
前記第3手順では、前記仮想直線に重なるように線状の印を付け、該線状の印と前記自眉の下端との間の皮膚に眉を描く、請求項3に記載の眉のメイクアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法、及び、眉のメイクアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップされた顔、又は、目元の外観上の印象を評価するための様々な評価方法が知られている。例えば、まつ毛の状態を数値化し、まつ毛の状態を示す数値を指標として利用して目元の印象を評価する方法が知られている。
【0003】
この種の評価方法としては、例えば、複数の被験者の側面目元画像においてまつ毛について算出した、まつ毛の付け根Bと先端Hとを結ぶ線分BHが水平線HLと成す角度θの不偏分散V(θ)、及び/又は、まつ毛の付け根Bと先端Hとを結ぶ線分BHとまつ毛の付け根Bから先端Hまでをなぞる線とに囲まれる領域の面積Sを、まつ毛の付け根Bから先端Hまでをなぞる線の長さLeで除したカール値S/Le、を指標として採用し、目元の印象を評価する方法が知られている(特許文献1など)。
【0004】
特許文献1に記載の評価方法によれば、簡便且つ精度よく特定したまつ毛のカール度合いやばらつき度合いを指標として、目元の印象を評価できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-191105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、顔の印象を特徴付ける眉形状に基づいて顔の印象を評価する方法は、いまだ十分に検討されていない、特に、顔における特定の印象と高い相関関係を有する、客観的な眉形状の指標を採用した顔の印象評価方法については、未だ十分に検討されているとはいえない。
また、眉形状を表す客観的な指標を採用して顔を特定の印象へと調整できる顔の印象調整方法についても、未だ十分に検討されているとはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、顔における特定の印象と高い相関関係を有する、客観的な眉形状の指標を採用した顔の印象評価方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、眉の形状を表す客観的な指標を利用して顔を特定の印象へと調整できる顔の印象調整方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、顔を特定の印象に見せることができる、自眉に対するメイクアップ方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る顔の印象評価方法は、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法であって、
前記眉の形状を特定する形状特定ステップと、
前記眉の形状が特定された前記顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップとを備え、
前記形状特定ステップは、少なくとも、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を求める第1ステップと、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を求める第2ステップと、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を求める第3ステップと、を含み、
前記印象確認ステップでは、
前記顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、前記顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を前記評価項目として採用する。
【0009】
本発明に係る顔の印象調整方法は、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔の画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記画像の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含み、
前記画像準備工程は、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程、及び、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程、のうち少なくとも1つを含み、
前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第3変更工程の少なくともいずれかによって前記眉の形状を変化させた顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認する。
【0010】
本発明に係る眉のメイクアップ方法は、少なくとも、
顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線と、左右の自眉における各眉頭の下端ラインとの交点部分に第1の印を付ける第1手順と、
顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線と、前記自眉における各眉尻の下端ラインとの交点部分に第2の印を付ける第2手順と、
前記第1の印及び前記第2の印のうち高さが低い一方の印から他方の印の方へ水平方向に延びる仮想直線を設定し、左右方向に延びる前記自眉の下縁と前記仮想直線との間の皮膚における少なくとも前記下縁側に眉を描く第3手順と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の顔の印象評価方法では、眉の形状を表す客観的な指標と、顔における特定の印象とが高い相関関係を有する。よって、指標に沿って眉を所定形状にすることによって、顔を特定の印象に見せることができる。
本発明の顔の印象調整方法によれば、眉の形状を表す客観的な指標を利用して顔を特定の印象へと調整できる。
本発明のメイクアップ方法によれば、顔を特定の印象に見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1基準直線、第2基準直線、及び第3基準直線をそれぞれ表す概略図。
図2】第1基準直線及び眉頭線をそれぞれ表すための写真。
図3】第2基準直線及び眉尻線をそれぞれ表すための写真。
図4】第3基準直線に垂直な方向で第3基準直線と下縁とが最も離れている下縁における部位(最離間部位)と、眉の下縁の左右両端とをそれぞれ結んでなる折れ線を表すための写真。
図5A】口角から下まぶたの最下端までの高さに対する、下まぶたの最下端から眉の下縁までの高さの比(眉高さ比)を測定するための例を表す写真。
図5B】下まぶたの最下端から眉の下縁までの高さに対する、眉の下縁から上縁までの高さの比(眉の上縁高さ比)を測定するための例を表す写真。
図6】眉頭の太さと眉山の太さとの比(眉山の太さ比)を測定するための例を表す写真。
図7A】本実施形態の眉のメイクアップ方法の各手順を説明するための写真。
図7B】本実施形態の眉のメイクアップ方法の各手順を説明するための写真。
図8A】従来の一般的な方法で眉をメイクアップした顔(I)と、本実施形態のメイクアップ方法で眉をメイクアップした顔(II)とを比較するための一例のイラスト。
図8B】従来の一般的な方法で眉をメイクアップした顔(I)と、本実施形態のメイクアップ方法で眉をメイクアップした顔(II)とを比較するための他例のイラスト。
図9】錯視が生じる要因を説明するためのイラスト。
図10】錯視が生じる要因を説明するためのイラスト。
図11】錯視が生じる要因を説明するためのイラスト。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る顔の印象評価方法の一実施形態について以下に説明する。
【0014】
<顔の印象評価方法(眉形状の特定方法)>
本実施形態の顔の印象評価方法は、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法である。
上記の顔の印象評価方法は、眉の形状を特定する形状特定ステップと、
前記眉の形状が特定された顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップとを備える。
形状特定ステップは、少なくとも、
顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、付け根及び眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と第1基準直線との離間程度を求める第1ステップと、
顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、口角及び眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と第2基準直線との離間程度を求める第2ステップと、
顔における左右両側の眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる眉の下縁と第3基準直線との離間程度を求める第3ステップと、を含む。
また、印象確認ステップでは、
顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、
顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を上記顔の印象の評価項目として採用する。
【0015】
本実施形態の顔の印象評価方法では、第1基準直線、第2基準直線、及び第3基準直線からの各離間程度を指標にして、これら指標によって、メイクアップされた眉の形状を特定できる。眉の形状に密接に関連したこれらの指標は、顔の印象のうち上述した特定の印象と高い相関関係を有する。具体的には、顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる印象、又は、顔の大きさ又は縦横比に関わる印象などの特定の印象と、高い相関関係を有する。よって、上記の各離間程度という指標を採用するからこそ、斯かる指標が、顔の印象のうち上記の特定の印象に大きく影響する。換言すると、眉の形状を表す上記のごとき客観的な指標と、顔における上記のごとき特定の印象とが高い相関関係を有する。
従って、上記の各離間程度を所定範囲に設定することによって、顔を特定の印象に見せることができる。
【0016】
好ましくは、本実施形態の顔の印象評価方法において、形状特定ステップは、さらに、
前記顔における左右両側の口角から下まぶたの最下端までの各高さを基準にして、前記最下端から前記眉までの高さを求める第4ステップ、を含む。
なお、形状特定ステップは、眉頭の太さに対する眉山の太さの比を求める第5ステップ、をさらに含んでもよい。
【0017】
本実施形態の顔の印象評価方法において、上記の形状特定ステップにおける第1ステップ乃至第4ステップを実施する順序は、特に限定されない。なお、以下では、顔の左右両側において2つの第1基準直線、2つの第2基準直線、及び、2つの第3基準直線などをそれぞれ設定するときの様子について、左右の片側のみを図示しつつ説明する場合がある。本明細書において、以下同様である。
【0018】
上記の形状特定ステップの実施者は、メイクアップされた眉を有する自分自身であってもよく、メイクアップされた眉を有する人以外の他人であってもよい。
上記の形状特定ステップが実施される対象は、メイクアップされた眉を有する人の顔であってもよく、メイクアップされた眉を有する人の顔が写し出された画像であってもよい。なお、眉をメイクアップしたヒトの顔をイラスト化した画像であってもよい。
【0019】
第1ステップでは、図1及び図2に示すように、顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線α1を設定する。
小鼻とは、鼻翼(びよく)とも称され、鼻の先における左右両側へふくれている部分である。小鼻の付け根とは、鼻背(びはい)とも称される鼻筋と小鼻とが接する左右両方の部位である。
また、第1ステップでは、図2に示すように、小鼻の付け根及びメイクアップされた眉の眉頭を互いに結ぶ直線(以下、「眉頭線」β1とも称する)を設定する。より具体的には、小鼻の付け根、及び、眉頭の先端を互いに結ぶ直線(眉頭線)を左右でそれぞれ設定する。
眉頭とは、左右の各眉のうち、顔の左右中心線に最も近い部分である。
【0020】
次に、第1ステップでは、第1基準直線と眉頭線との離間程度を求める。例えば、第1基準直線と眉頭線とが成す角度を求める。斯かる角度が小さいほど、第1基準直線と眉頭線との離間程度が小さい。なお、顔の左右の各一方側において、通常、第1基準直線よりも眉頭線の方が耳側に配置される。
第1基準直線と眉頭線とが成す角度は、眉をメイクアップした実際の顔で測定されてもよく、眉をメイクアップした顔の画像上で測定されてもよい。
【0021】
第1基準直線と眉頭線との離間程度(例えば、第1基準直線と眉頭線とが成す角度)を小さくするためには、眉頭の先端が第1基準直線にできるだけ近づくように、眉をメイクアップする。
【0022】
第2ステップでは、図1及び図3に示すように、顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ上下方向に結ぶ第2基準直線α2を設定する。具体的には、左右両側の口角の端と、目尻とをそれぞれ上下方向に結ぶ第2基準直線を設定する。
口角とは、上唇と下唇の接合部分である。目尻とは、目における耳に近い方の端である。
また、第2ステップでは、図3に示すように、口角及びメイクアップされた眉の眉尻を左右でそれぞれ上下方向に結ぶ直線(以下、「眉尻線」β2とも称する)を設定する。より具体的には、口角の端、及び、眉尻の先端を互いに結ぶ直線(眉尻線)を左右でそれぞれ設定する。
眉尻とは、左右の各眉のうち耳に最も近い部分である。
【0023】
次に、第2ステップでは、第2基準直線と眉尻線とが成す角度を求める。斯かる角度が小さいほど、第2基準直線と眉尻線との離間程度が小さい。なお、顔の左右の各一方側において、通常、第2基準直線よりも眉尻線の方が耳側に配置される。
第2基準直線と眉尻線とが成す角度は、眉をメイクアップした実際の顔で測定されてもよく、眉をメイクアップした顔の画像上で測定されてもよい。
【0024】
第2基準直線と眉尻線との離間程度(例えば、第2基準直線と眉尻線とが成す角度)を小さくするためには、眉尻の先端が第2基準直線にできるだけ近づくように、眉をメイクアップする。
【0025】
第3ステップでは、図1及び図4に示すように、顔における左右両側の各眉の左右両端部の下端を互いに結ぶ第3基準直線α3を設定する。
また、第3ステップでは、メイクアップされた眉において左右方向に延びる下縁を確認する。斯かる下縁は、通常、上へ向けてゆるやかに湾曲する曲線を描く。
【0026】
次に、第3ステップでは、第3基準直線α3と眉の下縁との離間程度を求める。斯かる離間程度を求めるために、例えば、第3基準直線α3と下縁とが、第3基準直線α3に垂直な方向で最も離れている箇所の距離(長さ)を測定してもよい。
又は、上記の離間程度を求めるために、図4に示すように、第3基準直線α3に垂直な方向で第3基準直線α3と下縁とが最も離れている眉の下縁部位Y(最離間部位 以下、眉山下端とも称する)と、眉の下縁の左右両端とをそれぞれ結んでなる折れ線β3を設定し、斯かる折れ線における最離間部位の角度(以下、「眉山角度」とも称する)を測定してもよい。斯かる角度が大きいほど(180°に近づくほど)、第3基準直線α3と眉の下縁との離間程度が小さい。なお、眉の下縁は、通常、第3基準直線α3よりも上側に配置されるが、眉の下縁と第3基準直線α3とが一致する場合もあり得る。
【0027】
第4ステップでは、図5Aに示すように、顔における左右両側の口角から下まぶたの最下端Lまでの各高さα4を設定する。下まぶたの最下端Lとは、下へ向けてゆるやかに湾曲する曲線を描く下まぶたの縁のうち、最も下に位置する部位である。
また、第4ステップでは、図5A及び図5Bに示すように、下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4(上下方向距離)求める。具体的には、眉における眉頭下端Xと、眉山下端Y(第3基準直線に垂直な方向で第3基準直線と眉の下縁とが最も離れている下縁の一部位)との平均高さ(中間高さ)Mから、下まぶたの最下端Lまでの上下方向距離β4を測定する。
そして、例えば、口角から下まぶたの最下端Lまでの高さα4に対する、下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4の比(β4/α4 以下、「眉高さ比」とも称する)を算出する。
下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4は、眉をメイクアップした実際の顔で測定されてもよく、眉をメイクアップした顔の画像上で測定されてもよい。
【0028】
第4ステップでは、眉の高さをより正確に決めるために、下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4(上下方向距離)に対する、眉の上縁高さβ4’の比(β4’/β4 以下、「眉の上縁高さ比」とも称する)を求めてもよい。詳しくは、図5Bに示すように、眉頭において最も鼻に近い部分の眉頭上縁Dを設定する。斯かる眉頭上縁Dと、眉尻の先端Eとを結ぶ直線を設定し、眉山部分において斯かる直線から最も離れた眉の上縁部位(眉山点F)を設定する。上記の眉頭上縁Dと眉山点Fとの中間高さ位置Nを決める。斯かる中間高さ位置Nと、上述した眉下縁の平均高さMとの間の上下方向距離を眉の上縁高さβ4’とする。
【0029】
下まぶたの最下端から眉までの高さの高低は、メイクアップ時の眉の描き方によって適宜調整できる。
【0030】
第5ステップでは、眉頭の太さ及び眉山の太さをそれぞれ測定する。具体的には、図6に示すように、上述した眉頭上縁Dと、眉頭において最も鼻に近い部分の眉頭下縁Xとの間の上下方向距離を眉頭の太さ(β5)として設定する。また、上記の眉山点Fと、上記の眉山下端Yとの間の上下方向距離を眉山の太さβ5’として設定する。なお、上述したように、眉山下端Yは、眉頭の下端と眉尻の下端とを結ぶ直線から、眉の下端(下側輪郭)が最も離れた部位である。そして、上記のごとく設定した眉頭及び眉山の各太さの測定値から、眉頭の太さに対する眉山の太さの比((β5’/β5 以下、「眉山の太さ比」とも称する)を求める。
【0031】
本実施形態の顔の印象評価方法では、さらに、顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップを実施する。
【0032】
印象確認ステップでは、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、さらに必要に応じて実施する第4ステップなどの各結果で特定された顔の印象について、顔の印象に関わる特定の評価項目ごとに確認する。
印象確認ステップは、通常、目視による官能評価によって実施する。
【0033】
上記の印象確認ステップの実施者は、メイクアップされた眉を有する自分自身であってもよく、メイクアップされた眉を有する人以外の他人であってもよい。
上記の印象確認ステップが実施される対象は、メイクアップされた眉を有する人の顔であってもよく、メイクアップされた眉を有する人の顔が写し出された画像であってもよい。なお、眉をメイクアップしたヒトの顔をイラスト化した画像であってもよい。
【0034】
具体的には、印象確認ステップでは、
顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、
顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を評価項目として採用する。
【0035】
例えば、顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目としては、以下のような評価項目が挙げられる。
・「顔において目、鼻、口などが中心に寄ったように見える」
・「目、鼻、口などが大きく見える、又は、濃く見える」
・「顔の印象がはっきりする」
また、顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目としては、例えば、以下のような評価項目が挙げられる。
・「顔が小さく見える」
・「顔が細く見える」
・「顔が引き締まって見える」
【0036】
上述した特定の評価項目の例示内容は、すべて「良好」な状態を表すものとして記載している。「顔において目、鼻、口などが中心に寄ったように見える」場合は良好な結果であり、また、「顔が小さく見える」場合は良好な結果であるという一般常識に基づいて、以下、良好な結果を導く指標(要因)について説明する。
【0037】
例えば、第1ステップにおける上記の離間程度について、第1基準直線α1と眉頭線β1とが成す角度は、好ましくは5.0°以下であり、より好ましくは4.0°以下であり、さらに好ましくは3.0°以下である。
第1基準直線と眉頭線とが成す角度が上記ごとく所定角度以下であることにより、顔の印象に関わる上記特定の評価項目の評価結果がより良好になり得る。
【0038】
例えば、第2ステップにおける上記の離間程度について、第2基準直線α2と眉尻線β2とが成す角度は、好ましくは4.0°以下であり、より好ましくは3.0°以下であり、さらに好ましくは1.5°以下である。
第2基準直線と眉尻線とが成す角度が上記ごとく所定角度以下であることにより、顔の印象に関わる上記特定の評価項目の評価結果がより良好になり得る。
【0039】
例えば、第3ステップにおける上記の離間程度について、上述した折れ線β3における最離間部位の角度(眉山角度)は、好ましくは156.0°以上174.0°以下であり、より好ましくは160.5°以上169.5°以下である。
上述した折れ線における最離間部位の角度が上記ごとく所定範囲内であることにより、顔の印象に関わる上記特定の評価項目の評価結果がより良好になり得る。
なお、上記の角度は、ほぼ180°であってもよい。換言すると、上述したような折れ線がなく、メイクアップ後の眉の下縁が直線状であってもよい。
【0040】
例えば、第4ステップにおける上述した眉高さ比(β4/α4)は、好ましくは0.27以上0.35以下であり、より好ましくは0.29以上0.33以下である。
また、上述した眉の上縁高さ比(β4’/β4)は、好ましくは0.30以上0.50以下であり、より好ましくは0.35以上0.45以下である。
上述した眉高さ比及び眉の上縁高さ比がそれぞれ上記ごとく所定範囲内であることにより、顔の印象に関わる上記特定の評価項目の評価結果がより良好になり得る。
【0041】
例えば、第5ステップにおける上述した眉山の太さ比(β5’/β5)は、好ましくは0.66以上1.10以下であり、より好ましくは0.77以上0.99以下である。
上述した眉山の太さ比が上記ごとく所定範囲内であることにより、顔の印象に関わる上記特定の評価項目の評価結果がより良好になり得る。
【0042】
本実施形態の顔の印象評価方法は、例えば、顔を特定の印象に見せるべく眉をメイクアップするときの理論的技術を広く知らしめるために使用される。
【0043】
次に、本発明に係る顔の印象調整方法の一実施形態について以下に説明する。
【0044】
<顔の印象を調整する顔の印象調整方法>
本実施形態の顔の印象調整方法は、メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔の画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記画像の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含む。
前記画像準備工程は、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程、及び、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程、のうち少なくとも1つを含む。
また、前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第3変更工程での各変更を反映させた顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認する。
【0045】
本実施形態の顔の印象調整方法は、画像準備工程として、顔における左右両側の口角から下まぶたの最下端までの各高さを基準にした、前記最下端から前記眉までの高さを変えることで前記眉の形状を変化させる第4変更工程をさらに含んでもよい。第4変更工程では、上述した眉の上縁高さを変化させてもよい。
また、本実施形態の顔の印象調整方法は、画像準備工程として、眉頭の太さに対する眉山の太さの比を変化させる第5変更工程をさらに含んでもよい。
【0046】
本実施形態の顔の印象調整方法では、上述した顔の印象評価方法で採用した方法と同様の方法を採用できる。以下の顔の印象調整方法の説明は、特に言及しない限り、上述した顔の印象評価方法で説明した内容と同様である。
【0047】
画像準備工程では、メイクアップされた眉の形状が互いに異なる複数の顔画像を用意する。顔画像は、ヒトが実際に自眉をメイクアップした後の顔写真であってもよく、眉、目、鼻、口などを描いた顔のイラストであってもよい。
【0048】
画像準備工程では、第1変更工程、第2変更工程、第3変更工程、第4変更工程、及び第5変更工程のうち少なくとも1工程を実施する。いずれか複数の工程を実施してもよく、すべての工程を実施してもよい。なお、上記複数の工程を実施する順序は、特に限定されない。
【0049】
例えば、画像準備工程の第1変更工程では、上述した第1基準直線α1を設定する。そして、第1基準直線α1と上記の眉頭線β1とが成す角度が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
第1基準直線α1と上記の眉頭線β1とが成す角度は、例えば0°以上10°以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0050】
例えば、画像準備工程の第2変更工程では、上述した第2基準直線α2を設定する。そして、第2基準直線α2と上記の眉尻線β2とが成す角度が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
第2基準直線α2と上記の眉尻線β2とが成す角度は、例えば0°以上10°以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0051】
例えば、画像準備工程の第3変更工程では、上述した第3基準直線α3を設定する。そして、上述した折れ線β3における最離間部位の角度(眉山角度)が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
上述した折れ線β3における眉山角度は、例えば140°以上180°以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0052】
例えば、画像準備工程の第4変更工程では、口角から下まぶたの最下端Lまでの高さα4を設定する。また、該高さα4に対する、下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4の比(β4/α4 眉高さ比)が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
上記の眉高さ比(β4/α4)は、例えば0.2以上0.4以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0053】
例えば、画像準備工程の第4変更工程では、さらに、上述した眉の上縁高さβ4’を設定する。また、下まぶたの最下端Lから眉下縁の平均高さMまでの高さβ4(上下方向距離)に対する、眉の上縁高さβ4’の比(β4’/β4 眉の上縁高さ比)が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
斯かる眉の上縁高さ比は、例えば0.3以上0.5以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0054】
例えば、画像準備工程の第5変更工程では、上述した眉頭の太さβ5及び上述した眉山の太さβ5’を設定する。また、眉頭の太さβ5に対する眉山の太さβ5’の比(β5’/β5 眉山の太さ比)が互いに異なる複数の眉がそれぞれ描かれた顔画像を用意する。
斯かる眉山の太さ比は、例えば0.6以上1.2以下の範囲の所定値にしてもよい。
【0055】
画像準備工程では、実際にメイクアップした顔を写真撮影した顔画像を用意してもよく、手書きで作成したイラストなどの顔画像を用意してもよく、コンピュータソフトウェアなどを用いて画像加工処理された顔画像を用意してもよい。
画像準備工程では、第1変更工程乃至第4変更工程のすべてを実施して、様々な形状の眉を有する顔の画像を多数用意してもよい。
【0056】
本実施形態において、印象確認工程では、第1変更工程乃至第3変更工程の少なくとも1工程の変更を反映させた顔の印象を目視で確認する。さらに、第4変更工程の変更又は第5変更工程の変更を顔に反映させてもよい。
印象確認工程では、自分の顔の印象を自分が確認してもよく、他人が確認してもよい。また、顔の印象を1人が確認してもよく、複数人がそれぞれ確認してもよい。また、1人の顔の印象を確認してもよく、複数の顔の印象をそれぞれ確認してもよい。
なお、眉がメイクアップされたヒトの顔を直接目視で確認してもよく、ヒトの顔画像を見て確認してもよい。
【0057】
印象確認工程では、顔の印象に関わる評価項目ごとに顔の印象を目視で確認する。評価項目としては、例えば上記の通り例示した項目が挙げられる。
【0058】
本実施形態の顔の印象調整方法によれば、上記の画像準備工程と上記の印象確認工程とを繰り返して、客観的な指標を利用した特定形状の眉を設定することによって、斯かる特定形状の眉を有する顔が特定の印象を与えることができる。
【0059】
具体的には、顔が下記のような印象を与えることができるように、メイクアップされた眉を所定形状に特定できる。
・顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさが好ましい印象となる。
・顔の大きさ又は縦横比が好ましい印象となる。
より具体的には、顔が下記のような印象を与えることができるように、メイクアップされた眉を所定形状に特定できる。
・「顔において目、鼻、口などが中心に寄ったように見える」
・「目、鼻、口などが大きく見える、又は、濃く見える」
・「顔が小さく見える」
・「顔が細く見える」
【0060】
上記のような印象を顔が有するためには、例えば、上記の顔の印象評価方法において説明した、第1基準直線と上記の眉頭線とが成す好ましい角度、第2基準直線と上記の眉尻線とが成す好ましい角度、上述した折れ線における最離間部位の好ましい角度、又は、上記の好ましい「眉高さ比」若しくは上記の好ましい「眉の上縁高さ比」となるように、メイクアップされた眉形状を設定する。
【0061】
なお、上記の画像準備工程を繰り返すときに、上記の第1乃至第3変更工程などで行うような眉のメイクアップを実際の人の顔で実施すると長時間を要する。従って、画像準備工程を短時間で繰り返して実施できるという点では、デジタル顔画像(写真やイラスト)における眉形状をソフトウェアによる画像加工によって変えることが好ましい。
【0062】
本実施形態の顔の印象調整方法は、例えば、メイクアップコンサルタント業務において使用される。具体的には、眉のメイクアップに関わるメイクアップカウンセリングなどの用途で使用される。
【0063】
続いて、本発明に係る眉のメイクアップ方法の一実施形態について以下に説明する。
【0064】
<眉のメイクアップ方法>
本実施形態の眉のメイクアップ方法(自眉に対するメイクアップ方法)は、少なくとも、
顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線と、左右の自眉における各眉頭の下端ラインとの交点部分に第1の印を付ける第1手順と、
顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線と、前記自眉における各眉尻の下端ラインとの交点部分に第2の印を付ける第2手順と、
前記第1の印及び前記第2の印のうち高さが低い一方の印から他方の印の方へ水平方向に延びる仮想直線を設定し、左右方向に延びる前記自眉の下縁と前記仮想直線との間の皮膚における少なくとも前記下縁側に眉を描く第3手順と、を含む。
【0065】
本実施形態の眉のメイクアップ方法は、好ましくは、前記顔における左右両側の口角から下まぶたの最下端までの各高さを基準にして、前記最下端から前記眉の下縁までの高さ位置を決める第4手順をさらに含む。第4手順では、上述した「眉の上縁高さ比」を設定して眉の上端の位置を決めてもよい。
本実施形態の眉のメイクアップ方法は、例えば、上述した「眉山の太さ比」(眉頭の太さに対する眉山の太さの比)を決める第5手順を含んでもよい。
本実施形態の眉のメイクアップ方法では、上記のようにして決めた位置が輪郭となるように眉を描くことができる。なお、第4手順及び第5手順は、それぞれ、上述した第4ステップ及び第5ステップについて説明した手法に沿って実施できる。
【0066】
本実施形態の眉のメイクアップ方法における第1基準直線及び第2基準直線などは、上述した通りである。なお、自眉は、上に向けてゆるやかに湾曲する湾曲棒状である場合、上に向けて一部が折れ曲がったような屈曲棒状である場合、又は、直線的な棒状である場合などがある。従って、左右方向に延びる自眉の下縁は、上に向けてゆるやかに湾曲する曲線である場合、上に向けて途中で折曲したような折れ線形状である場合、又は、直線状である場合などがある。また、自眉は、眉頭の方が眉尻よりも高い形状を有する場合、又は、眉頭の方が眉尻よりも低い形状を有する場合などがある。
【0067】
第1手順では、第1基準直線と、自眉の各眉頭の下端ラインとの交点部分に第1の印を付ける。例えばコンシーラーなどのベージュ系の色を有する一般的なメイクアップ製剤によって、目印として第1の印を付ける。第1の印は、例えば図7Aの(a)におけるIで示すように、自眉の長手方向に垂直な方向に短い線を描くように付ける。
なお、上記の「下端ライン」は、自眉自体の下端線、及び、自眉自体の下端線から左右方向へはみ出して延びる仮想下端線の両方を包含する。以下の第2手順における「下端ライン」も同様である。
【0068】
第2手順では、第2基準直線と、自眉の各眉尻の下端ラインとの交点部分に第2の印を付ける。例えば、上記と同様にベージュ系の色を有する一般的なメイクアップ製剤によって、目印として第2の印を付ける。第2の印は、例えば図7Aの(b)におけるIIで示すように、自眉の長手方向に垂直な方向に短い線を描くように付ける。
【0069】
第3手順では、まず、第1の印及び第2の印のうち、高さ位置が低い印から高い印へ向けて、水平方向に仮想直線を設定する。なお、仮想直線は、上述した第3基準直線と重なる場合があり得る。
好ましくは、上記の仮想直線に重なるように、上記のごときメイクアップ製剤によって線状の印を付ける。例えば図7Aの(c)におけるIIIで示すように、上記と同様にベージュ系の色を有する一般的なメイクアップ製剤によって、目印としての線を引いてもよい。線状の目印は、第1の印及び第2の印のうち高さが低い一方から他方へ向けて水平方向に引く。例えば第1の印の方が低い場合、線状の目印を第1の印から第2の印へ向けて引き、例えば第2の印の方が低い場合、第2の印から第1の印へ向けて引く。
【0070】
第3手順では、次に、上記の仮想直線と自眉の下縁(左右方向に延びる自眉の下側輪郭線)との間の少なくとも一部(下縁側)に眉を描く。例えば、図7Bの(d)及び(e)に示すように、上記の仮想直線と重なる線状の印と、自眉の下縁との間における皮膚の上側半分(又はすべて)をアイブロウペンシルなどで塗ってもよい。図7Bの(e)及び(f)に示すように、描いた眉の下縁をアイブロウパウダーなどによって少しぼかしてもよい。さらに、第1の印と第2の印との間の線状の印を目立たせなくするように、ベージュ系のメイクアップ製剤をブラシ等で皮膚になじませてもよい。
【0071】
第3手順では、上述した折れ線における最離間部位の角度が所定範囲内となるように、眉を描く(メイクアップする)ことが好ましい。一方、簡便にメイクアップを完了させるという点では、上記の仮想直線と自眉の下縁との間におけるすべてに眉を描いてもよい。
【0072】
第4手順では、メイクアップされた眉の高さ位置を決めることができる。具体的には、メイクアップされた眉の左右方向に延びる上縁(上ライン)又は下縁(下ライン)などの位置を決めることができる。具体的には、上述した「眉高さ比」(下まぶたの最下端から眉下縁の平均高さまでの高さの比)、及び、上述した「眉の上縁高さ比」などを基にして、眉の位置を決めることができる。眉の上縁及び下縁は、それぞれ、左右方向に延びるほぼ直線状であってもよく、わずかに上方へ突出(湾曲)した曲線状であってもよい。
【0073】
第5手順では、眉頭の太さ及び眉山の太さを決めることができる。具体的には、上述した「眉山の太さ比」(眉頭の太さに対する眉山の太さの比)などを基にして、眉頭の太さ、眉山の太さ、及び「眉山の太さ比」などを決めることができる。
【0074】
本実施形態の眉のメイクアップ方法は、例えば、美容部員が顧客の顔における眉のメイクアップを業として実施する場合に使用される。なお、自分の顔の眉のメイクアップのために自分自身が上記のメイクアップ方法を実施してもよい。
換言すると、上記のメイクアップ方法は、自分自身で自分の顔に対して実施してもよく、施術者が被施術者の顔に対して実施してもよい。
【0075】
上述したメイクアップのために使用されるメイクアップ製剤としては、一般的な製品が使用される。例えば、アイブロウペンシル、アイブロウパウダー、アイブロウリキッド、又は眉マスカラなどが用いられる。
【0076】
眉のメイクアップを行うときに、例えば化粧筆などの塗布具を用いることができる。なお、指によってメイクアップ製剤を塗布してもよい。メイクアップ製剤が塗布される対象は、自眉、及び、自眉周囲の皮膚などである。
【0077】
本実施形態の眉のメイクアップ方法によれば、第1基準直線、第2基準直線、及び上記の仮想直線などを基準にして自眉をメイクアップできるため、比較的簡便に実施できる。しかも、自眉をメイクアップすることで、上述した顔の印象評価方法で述べたような良好な印象へと顔を近づけることができる。よって、顔を特定の印象に見せることができる。
【0078】
本実施形態の眉のメイクアップ方法は、顔の外観を改善させる美容上の目的で、非治療的に実施できる。美容上の目的としては、例えば、若々しく見せる目的、又は、顔を小さく見せる目的などが挙げられる。
具体的には、以下のような目的で実施できる。
・「顔において目、鼻、口などが中心に寄ったように見せる」
・「目、鼻、口などを大きく見せる、又は、濃く見せる」
・「顔を小さく見せる」
・「顔を細く見せる」
【0079】
上記の顔の印象評価方法、顔の印象調整方法、及び、眉のメイクアップ方法は、例えば、加齢が進んだ中年以上の女性又は男性の顔に好適に適用される。一方、30代前半または20代などの若年層の女性又は男性の顔に適用されてもよい。
【0080】
ここで、従来知られていた一般的な眉のメイクアップ方法について説明する。例えば、下記の3つの部分を結ぶように眉を描く一般的手法が知られている。
・小鼻の両端と左右の目頭とをそれぞれ結ぶ直線と、自眉との交点部分
・小鼻の両端と左右の目尻とをそれぞれ結ぶ直線と、自眉との交点よりやや内側部分
・左右の黒目の耳側の縁から上方へ引いた直線と、自眉との交点部分(眉山部分)
斯かる手法を図示した概略図を図8A及び図8Bの各(I)に示す。
【0081】
なお、特に加齢が進んだ女性に関しては、従来の一般的な眉のメイクアップ方法として、以下のような手法も知られている。具体的には、加齢が進むことで老けて見える部分を若々しく見えるようにメイクアップしたうえで、上述した一般的手法を適用する手法が知られている。
斯かる手法では、加齢の進行に伴ってそれぞれ耳側へ移動した左右の各目が内側へ戻ったように見せるために、ノーズシャドーを塗る。
加齢の進行に伴って耳側且つ下方へ移動した左右の上まぶたが内側且つ上方へ戻ったように見せるために、例えばアイシャドウ及びアイラインを上まぶたの縁に塗る。
加齢の進行に伴って下方へ移動した左右の目尻部分が引き上がったように見せるために、例えばマスカラを上まぶたの目尻付近に塗る。
【0082】
一般的に、加齢が進むと顔が変化することが知られている。詳しくは、皮膚がたるむだけでなく、顔を形作っている骨格(頭蓋骨)も加齢に伴って変化することが知られている。
具体的には、頭蓋骨の側頭部が内側にへこみ、これに伴ってこめかみに窪みができる。また、眼窩(がんか 眼球を収容するくぼみ)が外側下方へ拡大し、これに伴い目も同様に移動する。また、梨状口(鼻腔の入口)が左右方向に拡大し、これに伴い鼻も同様に広がる。また、あご部分の突起が減少若しくは短縮し、これに伴いあご周囲の皮膚に余りが生じてフェイスラインにたるみが生じる。他にも、前頭部が内側にへこみ、上あごが内側にへこむ。
このように骨格が変わり、付随して目、鼻、口などが移動すると、例えば20代のときの目、鼻、口の位置と、加齢が進んだ後の目、鼻、口の位置とは異なっている。従って、加齢が進んだ後の顔に対して、上述した一般的な眉のメイクアップ方法を適用しても、意図した通りの仕上がりにはなりにくい。例えば、メイクアップ後に顔が大きく見えてしまうこととなり得る。
よって、上述したように、老けて見える部分を若々しく見えるようにメイクアップしたうえで、さらに上記の一般的なメイクアップ方法を適用する場合もあり得る。
しかしながら、このようなメイクアップ方法は、非常に煩雑であり、日常的に行う眉のメイクアップ方法としては、必ずしも好ましくない。
【0083】
これに対して、本実施形態のメイクアップ方法では、図8A及び図8Bの各(II)に概略的に示すように、第1基準直線、第2基準直線、及び上記の仮想直線などを基準にして上述したように自眉をメイクアップする。具体的には、上述した第1手順(S1)、第2手順(S2)、第3手順(S3)、及び、必要に応じてさらなる手順などに沿って自眉をメイクアップする。
自眉の形状は個人差があるためさまざまである。例えば眉尻の下端が眉頭の下端よりも低い場合もあれば、眉尻の下端が眉頭の下端よりも高い場合もある。
本実施形態のメイクアップ方法は、比較的単純なメイクアップ方法であり、簡便に行うことができ、自然な眉に仕上げることができる。特に、上記の仮想直線に重なるように水平方向に線状の印を付けることにより、眉を描きやすくなる。本実施形態のメイクアップ方法は、上記のごとく様々な形状の自眉に対して比較的簡便に実施できる。
【0084】
本明細書によって開示される事項は、以下のものを含む。
(1)
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を評価する顔の印象評価方法であって、
前記眉の形状を特定する形状特定ステップと、
前記眉の形状が特定された前記顔の印象を評価項目ごとに確認する印象確認ステップとを備え、
前記形状特定ステップは、少なくとも、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を求める第1ステップと、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を求める第2ステップと、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を求める第3ステップと、を含み、
前記印象確認ステップでは、
前記顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、
前記顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を前記評価項目として採用する。
(2)
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔の画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記画像の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含み、
前記画像準備工程は、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程、及び、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程、のうち少なくとも1つを含み、
前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第3変更工程の少なくともいずれかによって前記眉の形状を変化させた顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認する、顔の印象調整方法。
(3)
眉のメイクアップ方法であって、少なくとも、
顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線と、左右の自眉における各眉頭の下端ラインとの交点部分に第1の印を付ける第1手順と、
顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線と、前記自眉における各眉尻の下端ラインとの交点部分に第2の印を付ける第2手順と、
前記第1の印及び前記第2の印のうち高さが低い一方の印から他方の印の方へ水平方向に延びる仮想直線を設定し、左右方向に延びる前記自眉の下縁と前記仮想直線との間の皮膚における少なくとも前記下縁側に眉を描く第3手順と、を含む、メイクアップ方法。
(4)
前記第3手順では、前記仮想直線に重なるように線状の印を付け、該線状の印と前記自眉の下端との間の皮膚に眉を描く、上記(3)に記載のメイクアップ方法。
(5)
メイクアップされた眉の形状を特定する眉形状の特定方法であって、少なくとも、
前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度を求める第1ステップと、
前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度を求める第2ステップと、
前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度を求める第3ステップと、
を含む、眉形状の特定方法。
斯かる眉形状の特定方法によれば、第1基準直線、第2基準直線、及び第3基準直線からの各離間程度を指標にして、これら指標によって、メイクアップされた眉の形状をある程度特定できる。眉の形状に密接に関連したこれらの指標は、顔の印象のうち特定の印象と高い相関関係を有する。具体的には、顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる印象、又は、顔の大きさ又は縦横比に関わる印象などの特定の印象と、高い相関関係を有する。よって、上記の各離間程度という指標を採用するからこそ、斯かる指標が、顔の印象のうち特定の印象に大きく影響する。
従って、眉の形状を表す客観的な指標である上記の各離間程度を特定範囲に設定することにより、顔を特定の印象に見せることができる。
【0085】
本発明の顔の印象評価方法、顔の印象調整方法、及び眉のメイクアップ方法は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の実施形態に限定されるものではない。また、本発明では、一般の評価方法、又は、眉のメイクアップ方法などにおいて採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【実施例0086】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
<自眉に対するメイクアップ(試験例)>
複数人の女性の顔の自眉に対して、メイクアップをそれぞれ行った。メイクアップ後の眉については、上述した第1基準直線、第2基準直線、第3基準直線からの各離間程度などを指標にして形状(配置も含む)を数値化した。
(被験者)
・40才以上の5名(A群)
・40才未満の4名(B群)
(メイクアップ後の眉の形状)
メイクアップ後の眉形状については、上述した指標に沿って測定した。測定した結果は、表1A及び表1Bにそれぞれ示す通り。
【0088】
<比較のためのメイクアップ>
比較対象として、同一人物に対して、従来の眉メイクアップ方法を実施した。従来の眉メイクアップ方法については、上述した通り。メイクアップ後の眉形状を上記試験例と同様に測定して数値化した。
【0089】
(メイクアップ後の眉の形状および位置の特定)
表1A及び表1Bにそれぞれ記載された各用語を以下に説明する。
・眉頭位置
第1ステップで測定した第1基準直線と眉頭直線との成す角度
・眉尻位置
第2ステップで測定した第2基準直線と眉質直線との成す角度
・眉山角度
第3ステップで測定した、第3基準直線から最も離れている下縁の部位(最離間部位)と、眉の下縁の左右両端とをそれぞれ結んでなる折れ線における最離間部位の角度
・眉高さ比
第4ステップで測定した、口角から下まぶたの最下端までの高さに対する、下まぶたの最下端から眉までの高さの比
【0090】
【表1A】
【0091】
【表1B】
【0092】
<顔の印象に関する目視による印象確認>
試験例の方法で眉をメイクアップした顔と、比較のためのメイクアップ方法で眉をメイクアップした顔とについて、それぞれの顔の印象を自分自身によって目視で確認した。表2A及び表2Bにそれぞれ示す評価項目に従って、各顔の画像を見て印象を比較した。試験例の方法で眉をメイクアップした顔に対し、各評価項目について「そのように思う」場合、表2A及び表2BにおいてYesと記載している。なお、A群及びB群の各群における結果も表2A及び表2Bにそれぞれ示している。
【0093】
【表2A】
【0094】
【表2B】
【0095】
上記の結果から把握されるように、本実施形態の顔の印象評価方法は、特定の顔の印象と密接に関連する指標(第1基準直線乃至第3基準直線からの各離間程度など)を採用して、眉形状を特定することができた。さらには、眉形状を特定する上記の各離間程度が所定の範囲内であることにより、特定の印象で顔を見せることができた。
上記の結果から把握されるように、本実施形態の顔の印象調整方法では、眉形状を特定する指標(第1基準直線乃至第3基準直線からの各離間程度など)を所定の範囲内に設定することにより、顔を特定の印象に見せることができた。
上記の結果から把握されるように、本実施形態の眉のメイクアップ方法は、比較的簡便に自眉をメイクアップすることができ、しかも、顔を特定の印象に見せることができた。
【0096】
上記の眉のメイクアップ方法(試験例)によって、目、鼻、口などが中心に寄ったように見えたり、顔が小さく見えたり、顔が細く見えたりする要因は、錯視作用が関係していると考えられる。
例えば、図9の(A)及び(B)に示すように、円柱軸が横方向に延在する円柱の表面に、円柱軸方向に複数の線を引いた場合、複数の線を等間隔に引いた場合(A)よりも、複数の線を中央部分で密集させて引いた場合(B)の方が、上下方向の長さが短く見える錯視が起こる。
従って、(一般的な眉メイクアップ方法による眉よりも)眉を短めに描き、眉の位置をやや低めの適切な位置にすることにより、眉、目、鼻、及び口が顔の中心に寄ったような錯視作用により、顔の上下方向長さがより短く見えると考えられる。
【0097】
また、例えば、図10の(A)及び(B)に示すように、円柱軸が縦方向に延在する円柱の表面に、複数の線を引いた場合、複数の線を等間隔に引いた場合(A)よりも、複数の線を中央部分で密集させて引いた場合(B)の方が、横方向の長さ(幅)が短く見える錯視が起こる。
従って、(一般的な眉メイクアップ方法による眉よりも)眉を短めに描くことにより、顔の左右両端部に奥行きがあるような錯視作用により、顔の横幅が狭く見えると考えられる。
【0098】
なお、例えば、図11の(A)及び(B)に示すように、円全体を濃く塗った場合(A)よりも、円の中心部分をより濃く塗った場合(B)の方が、立体感が生まれて円の面積が小さく見える錯視が起こる。
従って、眉を濃く描くことによって、顔の中央部分が濃く見えて立体感が生まれるような錯視作用により、顔が小さく見えると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の顔の印象評価方法、顔の印象調整方法、又は、眉のメイクアップ方法は、例えば、必ずしも若々しく見えない主に中年以降の人の顔を若々しく見せるために使用される。
また、顔の印象評価方法、顔の印象調整方法、又は、眉のメイクアップ方法は、例えば、未だ加齢が進んでいない人の顔を小さく見せるため、引き締まった顔に見せるため、顔の印象をよりはっきりさせるために、使用される。
本発明の顔の印象評価方法及び顔の印象調整方法は、例えば美容サロン等において店員が客に対してメイクアップ方法をカウンセリングするために好適に使用される。
本発明の眉のメイクアップ方法は、例えば美容サロン等において施術者が客(被施術者)に対して実施するために好適に使用される。
【符号の説明】
【0100】
α1:第1基準直線、 α2:第2基準直線、 α3:第3基準直線、
β1:眉頭線、 β2:眉尻線、 β3:折れ線。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔のデジタル画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記デジタル画像における顔の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含み、
前記画像準備工程は、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程と、を含み、
前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第3変更工程によって前記眉の形状を変化させた前記デジタル画像の顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認
前記画像準備工程と前記印象確認工程とを繰り返す、顔の印象調整方法。
【請求項2】
前記第1変更工程では、前記離間程度として、前記顔における左右両側で前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線とが成す角度を採用し、該角度を0°以上10°以下の範囲で変更し、
前記第2変更工程では、前記離間程度として、前記顔における左右両側で前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線とが成す角度を採用し、該角度を0°以上10°以下の範囲で変更し、
前記第3変更工程では、前記離間程度として、前記顔の左右それぞれにおいて前記第3基準直線に垂直な方向で前記第3基準直線から最も離れている前記眉の下縁の最離間部位と、前記眉の下縁の左右両端とをそれぞれ結んでなる折れ線における前記最離間部位の角度を採用し、該角度を140°以上180°以下の範囲で変更する、請求項1に記載の顔の印象調整方法。
【請求項3】
前記印象確認工程では、前記評価項目として、
前記顔における目、鼻、及び口の各配置又は各大きさに関わる評価項目、及び、
前記顔の大きさ又は縦横比に関わる評価項目、のうち少なくとも1項目を採用する、請求項1又は2に記載の顔の印象調整方法。
【請求項4】
前記画像準備工程は、さらに、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の前記口角から下まぶたの最下端までの各高さを基準にした、前記最下端から前記眉までの高さをコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の高さを変化させる第4変更工程、又は、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の眉頭の太さに対する眉山の太さの比をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第5変更工程を含む、請求項1又は2に記載の顔の印象調整方法。

【手続補正書】
【提出日】2025-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイクアップされた眉の形状に基づいて顔の印象を調整する顔の印象調整方法であって、
前記眉の形状を変化させた少なくとも2つの顔のデジタル画像を準備する画像準備工程と、
準備した少なくとも2つの前記デジタル画像における顔の印象を目視で確認する印象確認工程と、を含み、
前記画像準備工程は、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の小鼻の付け根からそれぞれ真上へ延びる第1基準直線を設定し、前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第1変更工程と、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の口角及び目尻をそれぞれ結ぶ第2基準直線を設定し、前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第2変更工程と、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の前記眉それぞれにおける左右両端部の各下端を互いに結ぶ第3基準直線を設定し、左右方向に延びる前記眉の下縁と前記第3基準直線との離間程度をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第3変更工程と、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の前記口角から下まぶたの最下端までの各高さに対する、前記最下端から前記眉の下縁までの各高さの比である眉高さ比をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の高さを変化させる第4変更工程と、
前記デジタル画像の前記顔における左右両側の各眉頭の太さに対する各眉山の太さの比である眉山太さ比をコンピュータソフトウェアによる画像加工によって変えることで前記眉の形状を変化させる第5変更工程と、を含み、
前記印象確認工程では、
前記第1変更工程乃至前記第変更工程によって前記眉の形状を変化させた前記デジタル画像の顔に基づいて、前記顔の印象に関わる評価項目ごとに前記顔の印象を目視で確認し、前記評価項目として、
前記顔における目、鼻、及び口の各配置に関わる評価項目、及び、前記顔の大きさに関わる評価項目を採用し、
前記画像準備工程と前記印象確認工程とを繰り返す、顔の印象調整方法。
【請求項2】
前記第1変更工程では、前記離間程度として、前記顔における左右両側で前記付け根及び前記眉の眉頭をそれぞれ結ぶ直線と前記第1基準直線とが成す角度を採用し、該角度を0°以上10°以下の範囲で変更し、
前記第2変更工程では、前記離間程度として、前記顔における左右両側で前記口角及び前記眉の眉尻をそれぞれ結ぶ直線と前記第2基準直線とが成す角度を採用し、該角度を0°以上10°以下の範囲で変更し、
前記第3変更工程では、前記離間程度として、前記顔の左右それぞれにおいて前記第3基準直線に垂直な方向で前記第3基準直線から最も離れている前記眉の下縁の最離間部位と、前記眉の下縁の左右両端とをそれぞれ結んでなる折れ線における前記最離間部位の角度を採用し、該角度を140°以上180°以下の範囲で変更
前記第4変更工程では、前記眉高さ比を0.2以上0.4以下の範囲で変更し、
前記第5変更工程では、前記眉山太さ比を0.6以上1.2以下の範囲で変更する、請求項1に記載の顔の印象調整方法。