(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097668
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】パターン形成方法、レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20250624BHJP
C08G 59/14 20060101ALI20250624BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G59/14
G03F7/20 504
G03F7/20 503
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213998
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(72)【発明者】
【氏名】水落 龍太
(72)【発明者】
【氏名】井形 航維
(72)【発明者】
【氏名】田村 護
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J036
【Fターム(参考)】
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
2H225AC02
2H225AE04N
2H225AF18N
2H225AF64N
2H225AM39N
2H225AM62N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN56P
2H225AN80P
2H225BA01N
2H225BA21N
2H225CA12
2H225CB14
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC15
2H225CD05
4J036AJ18
4J036AK11
4J036DB18
4J036DB20
4J036DC38
4J036GA04
4J036JA09
4J036KA01
(57)【要約】
【課題】EB露光法又はEUV露光法において、従来よりも感度を向上できるパターン形成方法を提供する。また、上記パターン形成方法に好適に用いられるレジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜を提供する。
【解決手段】半導体基板の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜にUVを照射する工程と、
UVが照射された前記レジスト膜に選択的にEB又はEUVを照射し、次いで、前記レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
を含む、パターン形成方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜にUVを照射する工程と、
UVが照射された前記レジスト膜に選択的にEB又はEUVを照射し、次いで、前記レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
を含む、パターン形成方法。
【請求項2】
前記UVを照射する工程は、1mJ/cm2~100mJ/cm2でUVを照射する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記レジストパターンを得る工程において、ベークを行う、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記レジスト下層膜形成用組成物が、少なくとも一種がヘテロ環である環構造を主鎖に有するポリマー(A)、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、および炭素-窒素三重結合からなる群より選択される一種若しくは二種以上の重合性多重結合を側鎖に有するポリマー(B)、多環芳香族炭化水素構造を側鎖に有するポリマー(C)、炭素原子数6~40の芳香族炭化水素構造を主鎖に有するポリマー(D)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ポリマー(A)が、下記式(Y)で表される繰り返し単位を有するポリマー(Y)である、請求項4に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式(X)中、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
X
1は、下記式(Y2)、下記式(Y3)、下記式(Y4)、又は下記式(Y0)を表す。
Qは、下記式(Y5)、又は下記式(Y6)を表す。)
【化2】
(式(Y2)、式(Y3)、式(Y4)及び式(Y0)中、R
1及びR
2は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記炭素原子数1~6のアルキル基、前記炭素原子数3~6のアルケニル基、前記ベンジル基及び前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。また、R
1とR
2は、互いに結合して炭素原子数3~6の環を形成していてもよい。
R
3は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。
*は、結合手を表す。*1は、炭素原子と結合する結合手を表す。*2は、窒素原子と結合する結合手を表す。)
【化3】
(式(Y5)及び式(Y6)中、Q
1は、炭素原子数1~10のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基を表し、そして、前記アルキレン基、前記フェニレン基、前記ナフチレン基、及び前記アントリレン基は、それぞれ、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数2~7のカルボニルオキシアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1~6のアルキルチオ基、ジスルフィド基を有する基、カルボキシ基又はそれらの組み合わせからなる基で置換されていてもよい。
n
1及びn
2は、それぞれ、0又は1を表す。
X
2は、前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
*は、結合手を表す。)
【請求項6】
前記ポリマー(Y)が、下記式(Y7)で表される化合物と下記式(Y8)で表される化合物との反応により製造されるポリマーである、請求項5に記載のパターン形成方法。
【化4】
(式(Y7)中、X
1は前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
式(8)中、Qは、前記式(Y5)、又は前記式(Y6)を表す。
A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
【請求項7】
前記ポリマー(B)において、
前記重合性多重結合が、エポキシ基と、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上である求核性官能基と、が反応して得られる構造を有する連結基を介して、前記ポリマー(B)の主鎖に結合している、又は、
前記重合性多重結合が、イソシアネート基と、ヒドロキシ基、アミノ基、及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上である求核性官能基と、が反応して得られる構造を有する連結基を介して、前記ポリマー(B)の主鎖に結合している、
、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記ポリマー(B)が、下記式(Z)で表される構造単位を有し、
前記式(Z)で表される構造単位中のL
1-L
2が、下記式(Za)、(Zb)又は(Zc)で表される構造を有する、請求項7に記載のパターン形成方法。
【化5】
(式(Z)中、R
1は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。L
1は、単結合又は連結基を表す。L
2は、前記重合性多重結合を有する1価の基を表す。)
【化6】
(式(Za)~(Zc)中、R
2は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。*a及び*bは、結合手を表し、*aがポリマー(B)の主鎖側であり、*bがポリマー(B)側鎖の末端側である。)
【請求項9】
前記ポリマー(C)における前記多環芳香族炭化水素構造が、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、カルバゾール、ピレン、トリフェニレン、クリセン、ナフタセン、ビフェニレン、及びフルオレンからなる群から選択される少なくとも1種の構造を含む、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記ポリマー(D)が、下記式(Q):
【化7】
(式(Q)中、
Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環基を表し、
L
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
T
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
但し、L
0とT
0とは異なり、
n個のR
0は独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、又は1価の有機基を表し、
nは0~5の整数を表し、
*は、結合手を表す。)で表される構造を含む、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記ポリマー(D)が、下記式(Q-1):
【化8】
(式(Q-1)中、Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環を表し、L
1は単結合、エステル結合、エーテル結合、炭素原子数1~10のアルキレン基又は炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、nは1~3の整数を表し、
*は、結合手を表す。)で表される構造を末端に含む請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のパターン形成方法に用いられるレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のレジスト下層膜形成用組成物の塗布膜の焼成物である、レジスト下層膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(半導体集積回路)などの半導体装置においては、集積度の向上に伴い、微細パターンの形成が要求されており、近年の最小パターンサイズは、100nm以下に達している。
こうした半導体装置における微細パターンの形成は、露光装置における光源の短波長化、及びレジスト材料の改良によって実現してきた。現在では、深紫外線である波長193nmのArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザ光を光源に、水を介して露光を行う液浸露光法が行われており、レジスト材料についても、アクリル樹脂をベースとした様々なArF対応レジスト材料が開発されている。
【0003】
更には、次世代の露光技術として、電子線(EB:Electron beam)によるEB露光法、又は波長13.5nmの軟X線を光源とするEUV(極端紫外線)露光法の検討が進んでおり、パターンサイズは30nm以下と、より一層の微細化が進んでいる。
しかしながら、このようなパターンサイズの微細化に伴い、レジストパターン側壁のがたつき(LER;Line edge roughness)及びレジストパターン幅の不均一さ(LWR:Line width roughness)が大きくなり、デバイス性能に悪影響を及ぼす懸念が高まっている。露光装置、レジスト材料、プロセス条件の最適化などで、これらを抑制する検討はなされているものの、十分な結果は得られていない。なお、LWRとLERは関連があり、LWRを改善することにより、LERも改善される。
【0004】
上記問題を解決すべく、多環芳香族炭化水素構造を有する単位構造、及びマレイミド構造を有する単位構造の少なくともいずれかを有するポリマーを含有するレジスト下層膜形成用組成物の塗布膜の焼成物であるレジスト下層膜に関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2023/106364号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
EB露光法又はEUV露光法におけるパターン形成においては、上記のようにLWRやLERを改善しつつ、更に、露光エネルギーを低いものとした場合にもパターン形成可能な高感度化も求められている。
【0007】
本発明は、EB露光法又はEUV露光法において、従来よりも感度を向上できるパターン形成方法を提供する。また、上記パターン形成方法に好適に用いられるレジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決する為、鋭意検討を行った結果、上記の課題を解決出来ることを見出し、以下の要旨を有する本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] 半導体基板の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜にUVを照射する工程と、
UVが照射された前記レジスト膜に選択的にEB又はEUVを照射し、次いで、前記レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
を含む、パターン形成方法。
[2] 前記UVを照射する工程は、1mJ/cm
2~100mJ/cm
2でUVを照射する、[1]に記載のパターン形成方法。
[3] 前記レジストパターンを得る工程において、ベークを行う、[1]または[2]に記載のパターン形成方法。
[4] 前記レジスト下層膜形成用組成物が、少なくとも一種がヘテロ環である環構造を主鎖に有するポリマー(A)、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、および炭素-窒素三重結合からなる群より選択される一種若しくは二種以上の重合性多重結合を側鎖に有するポリマー(B)、多環芳香族炭化水素構造を側鎖に有するポリマー(C)、炭素原子数6~40の芳香族炭化水素構造を主鎖に有するポリマー(D)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、[1]から[3]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[5] 前記ポリマー(A)が、下記式(Y)で表される繰り返し単位を有するポリマー(Y)である、[4]に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式(X)中、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
X
1は、下記式(Y2)、下記式(Y3)、下記式(Y4)、又は下記式(Y0)を表す。
Qは、下記式(Y5)、又は下記式(Y6)を表す。)
【化2】
(式(Y2)、式(Y3)、式(Y4)及び式(Y0)中、R
1及びR
2は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記炭素原子数1~6のアルキル基、前記炭素原子数3~6のアルケニル基、前記ベンジル基及び前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。また、R
1とR
2は、互いに結合して炭素原子数3~6の環を形成していてもよい。
R
3は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。
*は、結合手を表す。*1は、炭素原子と結合する結合手を表す。*2は、窒素原子と結合する結合手を表す。)
【化3】
(式(Y5)及び式(Y6)中、Q
1は、炭素原子数1~10のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基を表し、そして、前記アルキレン基、前記フェニレン基、前記ナフチレン基、及び前記アントリレン基は、それぞれ、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数2~7のカルボニルオキシアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1~6のアルキルチオ基、ジスルフィド基を有する基、カルボキシ基又はそれらの組み合わせからなる基で置換されていてもよい。
n
1及びn
2は、それぞれ、0又は1を表す。
X
2は、前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
*は、結合手を表す。)
[6] 前記ポリマー(Y)が、下記式(Y7)で表される化合物と下記式(Y8)で表される化合物との反応により製造されるポリマーである、[5]に記載のパターン形成方法。
【化4】
(式(Y7)中、X
1は前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
式(8)中、Qは、前記式(Y5)、又は前記式(Y6)を表す。
A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
[7] 前記ポリマー(B)において、
前記重合性多重結合が、エポキシ基と、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上である求核性官能基と、が反応して得られる構造を有する連結基を介して、前記ポリマー(B)の主鎖に結合している、又は、
前記重合性多重結合が、イソシアネート基と、ヒドロキシ基、アミノ基、及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上である求核性官能基と、が反応して得られる構造を有する連結基を介して、前記ポリマー(B)の主鎖に結合している、
[4]に記載のパターン形成方法。
[8] 前記ポリマー(B)が、下記式(Z)で表される構造単位を有し、
前記式(Z)で表される構造単位中のL
1-L
2が、下記式(Za)、(Zb)又は(Zc)で表される構造を有する、[7]に記載のパターン形成方法。
【化5】
(式(Z)中、R
1は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。L
1は、単結合又は連結基を表す。L
2は、前記重合性多重結合を有する1価の基を表す。)
【化6】
(式(Za)~(Zc)中、R
2は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。*a及び*bは、結合手を表し、*aがポリマー(B)の主鎖側であり、*bがポリマー(B)側鎖の末端側である。)
[9] 前記ポリマー(C)における前記多環芳香族炭化水素構造が、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、カルバゾール、ピレン、トリフェニレン、クリセン、ナフタセン、ビフェニレン、及びフルオレンからなる群から選択される少なくとも1種の構造を含む、[4]に記載のパターン形成方法。
[10] 前記ポリマー(D)が、下記式(Q):
【化7】
(式(Q)中、
Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環基を表し、
L
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
T
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
但し、L
0とT
0とは異なり、
n個のR
0は独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、又は1価の有機基を表し、
nは0~5の整数を表し、
*は、結合手を表す。)で表される構造を含む、[4]に記載のパターン形成方法。
[11] 前記ポリマー(D)が、下記式(Q-1):
【化8】
(式(Q-1)中、Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環を表し、L
1は単結合、エステル結合、エーテル結合、炭素原子数1~10のアルキレン基又は炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、nは1~3の整数を表す。)で表される構造を末端に含む[10]に記載のパターン形成方法。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載のパターン形成方法に用いられるレジスト下層膜形成用組成物。
[13] [12]に記載のレジスト下層膜形成用組成物の塗布膜の焼成物である、レジスト下層膜。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、EB露光法又はEUV露光法において、従来よりも感度を向上できるパターン形成方法を提供できる。また、上記パターン形成方法に好適に用いられるレジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1において形成したレジストパターンの観察写真
【
図2】比較例2において形成したレジストパターンの観察写真
【発明を実施するための形態】
【0011】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、少なくとも以下の工程を含む。
・半導体基板の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成する工程(以下、工程Aとする。)、
・レジスト下層膜の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト膜を形成する工程(以下、工程Bとする。)、
・レジスト膜にUVを照射する工程(以下、工程Cとする。)、及び
・UVが照射されたレジスト膜に選択的にEB又はEUVを照射し、次いで、レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程(以下、工程Dとする。)。
本発明のパターン形成方法は、さらに以下の工程を含んでいてもよい。
・レジストパターンをマスクに用い、レジスト下層膜をエッチングする工程(以下、工程Eとする。)
【0012】
本発明のパターン形成方法は、工程CにおいてUV照射されたレジスト膜に、EB又はEUVを照射してレジストパターンを得る工程Dを含む。すなわち、パターン形成のためのEB又はEUV照射する工程Dよりも前に、レジスト下層膜上のレジスト膜にUVを照射する工程Cを含む。本発明のように、工程Dに加え、工程CのUVを照射する工程を有するパターン形成方法によれば、工程Dにおけるパターン形成の低露光量化(高感度化)を実現できる。
以下、工程A~工程Eについて、順に説明する。
【0013】
<工程A:レジスト下層膜を形成する工程>
工程Aでは、半導体基板の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成する
レジスト膜の膜厚としては、特に制限されないが、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、80nm以下が特に好ましい。また、レジスト膜の膜厚としては、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。
【0014】
レジスト下層膜用組成物は、少なくとも一種がヘテロ環である環構造を主鎖に有するポリマー(A)、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、および炭素-窒素三重結合からなる群より選択される一種若しくは二種以上の重合性多重結合を側鎖に有するポリマー(B)、多環芳香族炭化水素構造を側鎖に有するポリマー(C)、炭素原子数6~40の芳香族炭化水素構造を主鎖に有するポリマー(D)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、ことが好ましい。
本発明において、好適なレジスト下層膜用組成物については、以下で詳述する。
【0015】
<工程B:レジスト膜を形成する工程>
工程Bでは、レジスト下層膜の上に、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト膜を形成する。
通常、レジスト下層膜の上にレジスト膜が形成される。レジスト下層膜の上に公知の方法で塗布、焼成して形成されるレジストとしては照射に使用されるEB又はEUVに応答するものであれば特に限定はない。ネガ型フォトレジスト及びポジ型フォトレジストのいずれも使用できる。
なお、本明細書においてはEBに応答するレジストもフォトレジストと称する。
フォトレジストとしては、有機レジスト又は金属レジストのいずれであってもよく、金属レジストが好ましい。金属レジストは、有機レジストと比較して解像度がよく、小さなパターンも作製しやすく、エッチング転写性(下地への転写時における耐性)が良いためである。例えば、フォトレジストとしては、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、及び酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、メタル元素を含有するレジストなどがある。例えば、JSR(株)製商品名V146G、シプレー社製商品名APEX-E、住友化学(株)製商品名PAR710、及び信越化学工業(株)製商品名AR2772、SEPR430等が挙げられる。また、例えば、Proc.SPIE,Vol.3999,330-334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357-364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365-374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系フォトレジストを挙げることができる。
【0016】
また、WO2019/188595、WO2019/187881、WO2019/187803、WO2019/167737、WO2019/167725、WO2019/187445、WO2019/167419、WO2019/123842、WO2019/054282、WO2019/058945、WO2019/058890、WO2019/039290、WO2019/044259、WO2019/044231、WO2019/026549、WO2018/193954、WO2019/172054、WO2019/021975、WO2018/230334、WO2018/194123、特開2018-180525、WO2018/190088、特開2018-070596、特開2018-028090、特開2016-153409、特開2016-130240、特開2016-108325、特開2016-047920、特開2016-035570、特開2016-035567、特開2016-035565、特開2019-101417、特開2019-117373、特開2019-052294、特開2019-008280、特開2019-008279、特開2019-003176、特開2019-003175、特開2018-197853、特開2019-191298、特開2019-061217、特開2018-045152、特開2018-022039、特開2016-090441、特開2015-10878、特開2012-168279、特開2012-022261、特開2012-022258、特開2011-043749、特開2010-181857、特開2010-128369、WO2018/031896、特開2019-113855、WO2017/156388、WO2017/066319、特開2018-41099、WO2016/065120、WO2015/026482、特開2016-29498、特開2011-253185等に記載のレジスト組成物、感放射性樹脂組成物、有機金属溶液に基づいた高解像度パターニング組成物等のいわゆるレジスト組成物、金属含有レジスト組成物が使用できるが、これらに限定されない。
【0017】
レジスト組成物としては、例えば、以下の組成物が挙げられる。
【0018】
酸の作用により脱離する保護基で極性基が保護された酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂A、及び、下記一般式(21)で表される化合物を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【0019】
【化9】
一般式(21)中、mは、1~6の整数を表す。
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
L
1は、-O-、-S-、-COO-、-SO
2-、又は、-SO
3-を表す。
L
2は、置換基を有していてもよいアルキレン基又は単結合を表す。
W
1は、置換基を有していてもよい環状有機基を表す。
M
+は、カチオンを表す。
【0020】
金属-酸素共有結合を有する化合物と、溶媒とを含有し、上記化合物を構成する金属元素が、周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する、極端紫外線又は電子線リソグラフィー用金属含有膜形成組成物。
【0021】
下記式(31)で表される第1構造単位及び下記式(32)で表され酸解離性基を含む第2構造単位を有する重合体と、酸発生剤とを含有する、感放射線性樹脂組成物。
【0022】
【化10】
(式(31)中、Arは、炭素原子数6~20のアレーンから(n+1)個の水素原子を除いた基である。R
1は、ヒドロキシ基、スルファニル基又は炭素原子数1~20の1価の有機基である。nは、0~11の整数である。nが2以上の場合、複数のR
1は同一又は異なる。R
2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。式(32)中、R
3は、上記酸解離性基を含む炭素原子数1~20の1価の基である。Zは、単結合、酸素原子又は硫黄原子である。R
4は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。)
【0023】
環状炭酸エステル構造を有する構造単位、下記式で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)と、酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
【0024】
【化11】
[式中、
R
2は、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1~6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、X
1は、単結合、-CO-O-*又は-CO-NR
4-*を表し、*は-Arとの結合手を表し、R
4は、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、Arは、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる1以上の基を有していてもよい炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
【0025】
レジスト膜としては、例えば、以下が挙げられる。
【0026】
下記式(a1)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(a2)で表される繰り返し単位と、露光によりポリマー主鎖に結合した酸を発生する繰り返し単位とを含むベース樹脂を含むレジスト膜。
【0027】
【化12】
(式(a1)及び式(a2)中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数4~6の3級アルキル基である。R
3は、それぞれ独立に、フッ素原子又はメチル基である。mは、0~4の整数である。X
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、ラクトン環、フェニレン基及びナフチレン基から選ばれる少なくとも1種を含む炭素原子数1~12の連結基である。X
2は、単結合、エステル結合又はアミド結合である。)
【0028】
レジスト材料としては、例えば、以下が挙げられる。
【0029】
下記式(b1)又は式(b2)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含むレジスト材料。
【0030】
【化13】
(式(b1)及び式(b2)中、R
Aは、水素原子又はメチル基である。X
1は、単結合又はエステル基である。X
2は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素原子数1~12のアルキレン基又は炭素原子数6~10のアリーレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はラクトン環含有基で置換されていてもよく、また、X
2に含まれる少なくとも1つの水素原子が臭素原子で置換されている。X
3は、単結合、エーテル基、エステル基、又は炭素原子数1~12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル基又はエステル基で置換されていてもよい。Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf
1及びRf
2が合わさってカルボニル基を形成してもよい。R
1~R
5は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素原子数1~12のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素原子数2~12のアルケニル基、炭素原子数2~12のアルキニル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~12のアラルキル基、又は炭素原子数7~12のアリールオキシアルキル基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、アミド基、ニトロ基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、これらの基を構成するメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基又はスルホン酸エステル基で置換されていてもよい。また、R
1とR
2とが結合して、これらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【0031】
下記式(a)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含むベース樹脂を含むレジスト材料。
【0032】
【化14】
(式(a)中、R
Aは、水素原子又はメチル基である。R
1は、水素原子又は酸不安定基である。R
2は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素原子数1~6のアルキル基、又は臭素以外のハロゲン原子である。X
1は、単結合若しくはフェニレン基、又はエステル基若しくはラクトン環を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素原子数1~12のアルキレン基である。X
2は、-O-、-O-CH
2-又は-NH-である。mは、1~4の整数である。uは、0~3の整数である。ただし、m+uは、1~4の整数である。)
【0033】
露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)及びアルカリ現像液に対して分解性を示すフッ素添加剤成分(F)を含有し、
上記フッ素添加剤成分(F)は、塩基解離性基を含む構成単位(f1)と、下記一般式(f2-r-1)で表される基を含む構成単位(f2)と、を有するフッ素樹脂成分(F1)を含有する、レジスト組成物。
【0034】
【化15】
[式(f2-r-1)中、Rf
21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。n”は、0~2の整数である。*は結合手である。]
【0035】
上記構成単位(f1)は、下記一般式(f1-1)で表される構成単位、又は下記一般式(f1-2)で表される構成単位を含む。
【0036】
【化16】
[式(f1-1)、(f1-2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Xは、酸解離性部位を有さない2価の連結基である。A
arylは、置換基を有していてもよい2価の芳香族環式基である。X
01は、単結合又は2価の連結基である。R
2は、それぞれ独立に、フッ素原子を有する有機基である。]
【0037】
コーティング、コーティング溶液、及びコーティング組成物としては、例えば、以下が挙げられる。
【0038】
金属炭素結合および/または金属カルボキシラート結合により有機配位子を有する金属オキソ-ヒドロキソネットワークを含むコーティング。
【0039】
無機オキソ/ヒドロキソベースの組成物。
【0040】
コーティング溶液であって、有機溶媒;第一の有機金属組成物であって、式RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x(ここで、0<z≦2および0<(z+x)≦4である)、式R’nSnX4-n(ここで、n=1または2である)、またはそれらの混合物によって表され、ここで、RおよびR’が、独立して、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、およびXが、Snに対する加水分解性結合を有する配位子またはそれらの組合せである、第一の有機金属組成物;および加水分解性の金属化合物であって、式MX’v(ここで、Mが、元素周期表の第2~16族から選択される金属であり、v=2~6の数であり、およびX’が、加水分解性のM-X結合を有する配位子またはそれらの組合せである)によって表される、加水分解性の金属化合物を含む、コーティング溶液。
【0041】
有機溶媒と、式RSnO(3/2-x/2)(OH)x(式中、0<x<3)で表される第1の有機金属化合物とを含むコーティング溶液であって、上記溶液中に約0.0025M~約1.5Mのスズが含まれ、Rが3~31個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基であり、上記アルキル基またはシクロアルキル基が第2級または第3級炭素原子においてスズに結合された、コーティング溶液。
【0042】
水と、金属亜酸化物陽イオンと、多原子無機陰イオンと、過酸化物基を含んで成る感放射線リガンドとの混合物を含んで成る無機パターン形成前駆体水溶液。
【0043】
<工程C:レジスト膜にUVを照射する工程>
工程Cでは、レジスト膜に、UVを照射する。
UVの照射は、レジスト膜の一部に対して行ってもよく、レジスト膜の全面に対して行うことが好ましい。
UVを照射する工程は、1mJ/cm2~100mJ/cm2でUVを照射することが好ましい。3mJ/cm2以上UVを照射することが特に好ましく、5mJ/cm2以上UVを照射することが更に好ましい。また、30mJ/cm2以下でUVを照射することが特に好ましく、20mJ/cm2以上UVを照射することが更に好ましい。
UVの照射エネルギーが下限値以上であると、工程Dにおけるパターン形成の低露光量化(高感度化)を実現しやすい。UVの照射エネルギーは上限値を超えても問題ないが、エネルギー削減の考慮から、上限値以下であることが好ましい。
【0044】
<工程D:レジストパターンを得る工程>
工程Dでは、UVが照射された前記レジスト膜に選択的にEB又はEUVを照射し、次いで、前記レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る。
EB又はEUVの照射は、例えば、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われる。本発明のレジスト下層膜は、EB(電子線)又はEUV(極端紫外線:13.5nm)照射用に適用されるが、EUV(極端紫外線)露光用に適用されることが好ましい。
EB又はEUVの照射エネルギーは、特に制限されない。EBの照射エネルギーは、0.01mC/cm2~50mC/cm2が好ましく、0.01mC/cm2~10mC/cm2がさらに好ましい。EUVの照射エネルギーは、1mJ/cm2~500mJ/cm2が好ましく、10mJ/cm2~100mJ/cm2がさらに好ましい。工程Cを有する本発明のパターン形成方法によれば、EB又はEUVの照射エネルギーを4mC/cm2以下等の低エネルギーとした場合にも、良好にパターンを形成しやすい傾向になる。
【0045】
工程Dでは、ベーク(PEB:Post Exposure Bake)を行うことが好ましい。ベークは、EB又はEUVの照射後であって現像の前に行ってよい。
ベークは、例えば、加熱温度70℃~280℃、加熱時間0.3分間~10分間から適宜選択された条件で行われる。
【0046】
有機レジストの現像には、例えば、アルカリ現像液が用いられる。
現像温度としては、例えば、5℃~50℃が挙げられる。
現像時間としては、例えば、10秒間~300秒間が挙げられる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩の水溶液、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液及びコリンの水溶液である。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0047】
金属レジストの現像液として有機溶剤を用いることができ、光又は電子線の照射後に現像液(溶剤)によって現像が行われる。これにより、例えばネガ型金属含有レジスト膜が使用された場合は、露光されていない部分の金属含有レジスト膜が除去され、金属含有レジスト膜のパターンが形成される。
現像液(有機溶剤)としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度は5℃~50℃、時間は10秒~600秒から適宜選択される。
【0048】
<工程E:レジスト下層膜をエッチングする工程>
本発明のパターン形成方法は、さらに以下の工程Eを含んでいてもよい。
本工程では、工程Dにおいて形成したレジストパターンをマスクとして、レジスト下層膜をエッチングする。エッチングは、ドライエッチングであってもよく、ウェットエッチングであってもよいが、ドライエッチングであることが好ましい。
用いた半導体基板の表面に上記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に上記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。その後半導体基板を公知の方法(ドライエッチング法等)により半導体基板を加工する工程を経て、半導体装置が製造できる。
【0049】
次に、上記で説明したパターン形成方法に用いられるレジスト下層膜形成用組成物、及び、レジスト下層膜形成用組成物の塗布膜の焼成物である、レジスト下層膜について、以下説明する。
【0050】
(レジスト下層膜形成用組成物)
本実施形態のレジスト下層膜形成用組成物は、少なくとも一種がヘテロ環である環構造を主鎖に有するポリマー(A)、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、および炭素-窒素三重結合からなる群より選択される一種若しくは二種以上の重合性多重結合を側鎖に有するポリマー(B)、多環芳香族炭化水素構造を側鎖に有するポリマー(C)、炭素原子数6~40の芳香族炭化水素構造を主鎖に有するポリマー(D)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、ことが好ましい。レジスト下層膜形成用組成物は、上記のうち2種以上の異なるポリマーを含んでいてもよい。
本実施形態のレジスト下層膜形成用組成物は、ポリマーに加えて、さらに、溶剤、架橋剤、及び硬化触媒を含有することができる。そして、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有することができる。
【0051】
<<ポリマー(A)>>
ポリマー(A)は、上述したように、少なくとも一種がヘテロ環である環構造を主鎖に有する。
なお、ポリマー(A)は、ポリマー(B)、ポリマー(C)、及びポリマー(D)とは異なる構造を有するポリマーである。
【0052】
ポリマー(A)は、下記式(Y)で表される繰り返し単位を有するポリマー(Y)であることが好ましい。
【0053】
【化17】
(式(Y)中、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
X
1は、下記式(Y2)、下記式(Y3)、下記式(Y4)、又は下記式(Y0)を表す。
Qは、下記式(Y5)、又は下記式(Y6)を表す。)
【0054】
【化18】
(式(Y2)、式(Y3)、式(Y4)及び式(Y0)中、R
1及びR
2は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記炭素原子数1~6のアルキル基、前記炭素原子数3~6のアルケニル基、前記ベンジル基及び前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。また、R
1とR
2は、互いに結合して炭素原子数3~6の環を形成していてもよい。
R
3は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数3~6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、そして、前記フェニル基は、炭素原子数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、及び炭素原子数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい。
*は、結合手を表す。*1は、炭素原子と結合する結合手を表す。*2は、窒素原子と結合する結合手を表す。)
【0055】
【化19】
(式(Y5)及び式(Y6)中、Q
1は、炭素原子数1~10のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基を表し、そして、前記アルキレン基、前記フェニレン基、前記ナフチレン基、及び前記アントリレン基は、それぞれ、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数2~7のカルボニルオキシアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1~6のアルキルチオ基、ジスルフィド基を有する基、カルボキシ基又はそれらの組み合わせからなる基で置換されていてもよい。
n
1及びn
2は、それぞれ、0又は1を表す。
X
2は、前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
*は、結合手を表す。)
【0056】
式(Y)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記式(Y-1)~(Y-20)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0057】
式(Y-20)において、Rは、アルコール残基(アルコールのヒドロキシ基以外の有機基)であり、このRはアルキル基、エーテル基、又はそれらの組み合わせを示す。上記Rとしては例えば、アルキル基、アルコキシアルキル基等が例示される。
【0058】
ポリマー(Y)としては、国際公開第2013/018802号パンフレットに記載のポリマーが挙げられる。国際公開第2013/018802号パンフレットの内容は、全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
【0059】
ポリマー(Y)は、下記式(Y7)で表される化合物と下記式(Y8)で表される化合物との反応により製造されることが好ましい。
【化25】
(式(Y7)中、X
1は前記式(Y2)、前記式(Y3)、前記式(Y4)、又は前記式(Y0)を表す。
式(8)中、Qは、前記式(Y5)、又は前記式(Y6)を表す。
A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、及びA
6は、それぞれ、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
【0060】
式(Y7)で表される化合物と式(Y8)で表される化合物との反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びN-メチルピロリドン等の有機溶剤に溶解させた溶液状態で行なうことが好ましい。そして、この反応においては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、及びテトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩を触媒として用いることも可能である。本反応の反応温度、反応時間は制限されず、使用する化合物、濃度等に応じて変更してよい。反応時間0.1~100時間、反応温度20℃~200℃の範囲から適宜選択してよい。触媒を用いる場合、使用する化合物の全質量に対して0.001~30質量%の範囲で用いることができる。
【0061】
また、反応に使用される式(Y7)及び式(Y8)で表される化合物の割合は、任意の割合としてよい。両化合物の割合は、モル比で[式(Y7)で表される化合物:式(Y8)で表される化合物]が3:1~1:3であると好ましく、3:2~2:3であるとさらに好ましい。
【0062】
ポリマー(Y)の重量平均分子量としては、特に制限されないが、1,000~30,000が好ましく、2,000~20,000がより好ましく、3,000~15,000が特に好ましい。
【0063】
<<ポリマー(B)>>
ポリマー(B)は、上述したように、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、および炭素-窒素三重結合からなる群より選択される一種若しくは二種以上の重合性多重結合を側鎖に有する。
【0064】
ポリマー(B)は、有機ポリマーである。
ポリマー(B)は、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
【0065】
ポリマー(B)は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基(例えば、スチリル基)、ビニルオキシ基、アリル基などを前記重合性多重結合を有する基として、側鎖に有する。
なお、ポリマー(B)は、ポリマー(A)、ポリマー(C)、及びポリマー(D)とは異なる構造を有するポリマーである。
【0066】
ポリマー(B)は、例えば、重合性不飽和結合を有する基を有する化合物の重合性不飽和結合が重合してなるポリマー(B-1)である。ポリマー(B-1)は、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
重合性不飽和結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基(例えば、スチリル基)、ビニルオキシ基、アリル基などが挙げられる。
【0067】
例えば、ポリマー(B)において、重合性多重結合は、エポキシ基と求核性官能基とが反応して得られる構造を有する連結基を介して、ポリマー(B)の主鎖に結合している。
求核性官能基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上が挙げられる。ヒドロキシ基は、フェノール性ヒドロキシ基であってもよいし、フェノール性ヒドロキシ基でなくてもよい。
エポキシ基とカルボキシ基とが反応すると、以下の様に反応して、以下の構造(S1)が形成される。
【化26】
(式中、*は、結合手を表す。)
【0068】
また、例えば、ポリマー(B)において、重合性多重結合は、イソシアネート基と求核性官能基とが反応して得られる構造を有する連結基を介して、ポリマー(B)の主鎖に結合している。この場合、求核性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基及びチオール基からなる群より選択される一種若しくは二種以上が挙げられる。ヒドロキシ基は、フェノール性ヒドロキシ基であってもよいし、フェノール性ヒドロキシ基でなくてもよい。
【0069】
ポリマー(B)は、下記式(Z)で表される構造単位を有することが好ましい。
【化27】
(式(Z)中、R
1は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。L
1は、単結合又は連結基を表す。L
2は、前記重合性多重結合を有する1価の基を表す。)
【0070】
炭素原子数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、n-オクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
【0071】
L1が連結基の場合、連結基の炭素原子数としては、特に制限されないが、例えば、1~10が挙げられる。
L1が連結基の場合、連結基としては、例えば、エポキシ基と求核性官能基とが反応して得られる構造を有する連結基、イソシアネート基と求核性官能基とが反応して得られる構造を有する連結基などが挙げられる。
【0072】
L
1としては、例えば、以下の連結基(L1-1)~(L1-11)が挙げられる。
【化28】
【化29】
(式中、*1は、式(1)中のR
1に結合する炭素原子に結合する結合手を表す。*2は、式(1)中のL
2に結合する結合手を表す。)
【0073】
L2は、重合性多重結合を有する1価の基である。当該1価の基は、重合性多重結合自体であってもよい。
当該1価の基の炭素原子数としては、特に制限されないが、例えば、1~20であってもよいし、1~10であってもよい。
【0074】
L
2としては、例えば、以下の1価の基(L2-1)~(L2-81)が挙げられる。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
(式中、*は結合手を表す。)
【0075】
連結基(L1-1)~(L1-9)と1価の基(L2-1)~(L2-7)との組み合わせとしては、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
・(L1-1)と(L2-1)との組み合わせ
・(L1-1)と(L2-2)との組み合わせ
・(L1-1)と(L2-7)との組み合わせ
・(L1-2)と(L2-3)との組み合わせ
・(L1-2)と(L2-4)との組み合わせ
・(L1-2)と(L2-7)との組み合わせ
・(L1-3)と(L2-3)との組み合わせ
・(L1-3)と(L2-4)との組み合わせ
・(L1-4)と(L2-7)との組み合わせ
・(L1-5)と(L2-1)との組み合わせ
・(L1-5)と(L2-2)との組み合わせ
・(L1-6)と(L2-1)との組み合わせ
・(L1-6)と(L2-2)との組み合わせ
・(L1-7)と(L2-5)との組み合わせ
・(L1-7)と(L2-6)との組み合わせ
・(L1-8)と(L2-7)との組み合わせ
・(L1-9)と(L2-7)との組み合わせ
なお、(L1-1)と(L2-1)との組み合わせと、(L1-2)と(L2-3)との組み合わせとは同義である。(L1-1)と(L2-2)との組み合わせと、(L1-2)と(L2-4)との組み合わせとは同義である。
【0076】
また、式(Z)で表される構造単位中のL
1-L
2は、下記式(Za)、(Zb)又は(Zc)で表される構造を有することが好ましい。
【化38】
(式(Za)~(Zc)中、R
2は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表す。*a及び*bは、結合手を表し、*aがポリマー(B)の主鎖側であり、*bがポリマー(B)側鎖の末端側である。)
なお、*bは水素原子との結合手であってもよい。
【0077】
式(Z)で表される構造単位としては、例えば、以下の構造単位が挙げられる。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【0078】
式(Z)で表される構造単位を含むポリマー(B)の一例は、例えば、下記のようにグリシジル(メタ)アクリレート系ポリマーに、重合性多重結合とカルボキシ基とを有する化合物(M1)を反応させて得ることができる。グリシジル(メタ)アクリレート系ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。コポリマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの共重合体及びグリシジル(メタ)アクリレートと2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの共重合体が挙げられる。
【0079】
【化43】
(式中、R
1、及びL
2は、それぞれ、式(Z)中のR
1、及びL
2と同義である。)
【0080】
反応は、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどの触媒存在下で行うことができる。
【0081】
重合性多重結合とカルボキシ基とを有する化合物(M1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、4-ビニル安息香酸、ソルビン酸、テトロル酸、チグリン酸、1-シクロヘキセン-1-カルボン酸、2-ベンジルアクリル酸、trans-けい皮酸、trans-4-メトキシけい皮酸、α-フェニルけい皮酸、フマル酸モノメチル、α-シアノけい皮酸、4-ニトロけい皮酸、3-ニトロけい皮酸などが挙げられる。
【0082】
式(Z)で表される構造単位を含むポリマー(B)の他の一例は、例えば、下記のようにヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系ポリマーに、重合性多重結合とイソシアネート基とを有する化合物(M2)を反応させて得ることができる。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
【化44】
(式中、R
1、及びL
2は、それぞれ、式(Z)中のR
1、及びL
2と同義である。R
11は、2価の有機基を表す。R
12は、単結合又は2価の有機基を表す。)
R
11は、例えば、炭素原子数1~4のアルキレン基である。
R
12は、例えば、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基である。
【0083】
式(Z)で表される構造単位を含むポリマー(B)の他の一例は、例えば、下記のようにヒドロキシ基又はアミノ基を有するスチレン系ポリマーに、重合性多重結合とイソシアネート基とを有する化合物(M2)を反応させて得ることができる。ヒドロキシ基又はアミノ基を有するスチレン系ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
【化45】
(式中、R
1、及びL
2は、それぞれ、式(Z)中のR
1、及びL
2と同義である。R
12は、単結合又は2価の有機基を表す。)
R
12は、例えば、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基である。
【0084】
重合性多重結合とイソシアネート基とを有する化合物(M2)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化46】
【0085】
ポリマー(B)は、式(Z)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。そのような構造単位としては、例えば、下記式(Z2)で表される構造単位、下記式(Z3)で表される構造単位などが挙げられる。
【化47】
(式(Z2)中、R
2は水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、L
3は炭素原子数1~20の1価の基を表す。
式(Z3)中、R
2は水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、Arは、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、L
4はヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基又はアミノ基(-NH
2)を表す。L
5はハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、又は炭素原子数1~6のアルコキシ基を表す。m1は0~3の整数を表す。m2は0~5の整数を表す。ただし、m1とm2との合計は0~5である。m1が2又は3の場合、複数のL
4は同じであってもよいし、異なっていてもよい。m2が2~5の場合、複数のL
5は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
式(Z4)中、R
2は水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、L
6は炭素原子数1~10のアルキル基、及び炭素原子数6~40のアリール基から選ばれる1価の有機基を表し、前記アルキル基、及び前記アリール基が有する少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基、又は炭素原子数1~6のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0086】
式(Z2)におけるL
3の炭素原子数1~20の1価の基は、例えば、炭素原子数1~10のアルキル基、及び炭素原子数6~40のアリール基から選ばれる1価の有機基を表し、前記アルキル基、及び前記アリール基が有する少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、前記アルキル基は、炭素原子-炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい。
また、L
3の炭素原子数1~20の1価の基としては、例えば、下記式(Z2-1)で表される基が挙げられる。
【化48】
(式(Z2-1)中、L
3aは、置換されていてもよい炭素原子数1~6のアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
L
3aにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
L
3aの置換されていてもよい炭素原子数1~6のアルキル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基などが挙げられる。置換基は1つであってもよいし、複数であってもよい。置換基が複数の時、複数の置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
L
3aの置換されていてもよい芳香族炭化水素基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~3のアルキル基などが挙げられる。置換基は1つであってもよいし、複数であってもよい。置換基が複数の時、複数の置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0087】
R2が示す炭素原子数1~10のアルキル基、並びにL3及びL6が示す炭素原子数1~10のアルキル基の具体例は、前述の通りである。
L5におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
L5における炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基などが挙げられる。
L5における炭素原子数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
m1は0~3の整数を表し、0であってもよいし、1であってもよいし、2であってもよいし、3であってもよい。
m2は0~5の整数を表し、0であってもよいし、1であってもよいし、2であってもよいし、3であってもよいし、4であってもよいし、5であってもよい。
【0088】
L3及びL6が示す炭素原子数6~40のアリール基としては、例えば、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基などが挙げられる。
L6における炭素原子数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
【0089】
式(Z2)を誘導するために使用されるモノマーとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【0090】
式(Z3)を誘導するために使用されるモノマーとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化55】
【化56】
【化57】
Meはメチル基を表す。
【0091】
式(Z4)を誘導するために使用されるモノマーとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化58】
【化59】
【0092】
ポリマー(B)における式(Z)で表される構造単位の割合としては、特に制限されないが、ポリマー(B)の全構造単位に対し、式(Z)で表される構造単位のモル比率は、例えば、20モル%~100モル%であってもよいし、20モル%以上100モル%未満であってもよい。
ポリマー(B)における式(Z2)で表される構造単位の割合としては、特に制限されないが、ポリマー(B)の全構造単位に対し、式(Z2)で表される構造単位のモル比率は、例えば、0モル%~80モル%であってもよいし、0モル%超80モル%以下であってもよい。
【0093】
ポリマー(B)は、式(Z)で表される構造単位及び式(Z2)で表される構造単位以外のその他の構造単位を含んでいてもよい。その場合、その他の構造単位がポリマー(B)の全構造単位に占めるモル比率は、例えば、0モル%超20モル%以下である。
【0094】
ポリマー(B)は、例えば、ポリシロキサンではない。
ポリマー(B)は、例えば、加水分解性シランの加水分解縮合物ではない。
ポリマー(B)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、2つのエポキシ基を有するジエポキシ化合物との反応生成物ではない。
ポリマー(B)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、2つのエポキシ基を有するジエポキシ化合物と、1つのヒドロキシ基を有するモノヒドロキシ化合物との反応生成物ではない。
ポリマー(B)は、例えば、アルケニル基を有するイソシアヌル酸骨格を有さない。アルケニル基としては、例えば、炭素原子数3~6のアルケニル基が挙げられる。炭素原子数3~6のアルケニル基としては、例えば、アリル基が挙げられる。
【0095】
ポリマー(B)としては、例えば、国際公開第2015/178235号パンフレットに記載のポリマーが挙げられる。国際公開第2015/178235号パンフレットの内容は、全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
【0096】
ポリマー(B)の分子量は特に限定されない。
ポリマー(B)の重量平均分子量の下限は、例えば、500、1,000、2,000、又は3,000である。
ポリマー(B)の重量平均分子量の上限は、例えば、100,000、50,000、30,000、20,000、又は10,000である。
【0097】
<<ポリマー(C)>>
ポリマー(C)は、上述したように、多環芳香族炭化水素構造を側鎖に有する。なお、ポリマー(C)は、ポリマー(A)、ポリマー(B)、及びポリマー(D)とは異なる構造を有するポリマーである。
以下、ポリマー(C)が有する多環芳香族炭化水素構造を有する単位構造(C1)について説明する。
【0098】
<<単位構造(C1)>>
単位構造(C1)は、上述したように、多環芳香族炭化水素構造を有する単位構造である。
多環芳香族炭化水素構造が、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、カルバゾール、ピレン、トリフェニレン、クリセン、ナフタセン、ビフェニレン、及びフルオレンからなる群から選択される少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。
【0099】
本明細書において多環芳香族炭化水素構造とは、芳香族性を示す2つ以上の芳香族環から構成される炭化水素を有する芳香族構造であり、縮合環を有する縮合多環芳香族炭化水素構造、及び複数の芳香族環が単結合で直接結合している炭化水素環集合構造を含む。
なお、本明細書において多環芳香族炭化水素構造は、芳香族環の一部の炭素が窒素で置換された複素環構造も含む。
【0100】
縮合多環芳香族炭化水素構造としては、特に制限されないが、例えば、ナフタレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、カルバゾール、ピレン構造、トリフェニレン構造、クリセン構造、ナフタセン構造、ビフェニレン構造、及びフルオレン構造等が挙げられる。
【0101】
炭化水素環集合構造としては、特に制限されないが、例えば、カルバゾール構造、ビフェニル構造、テルフェニル構造、クアテルフェニル構造、ビナフタレン構造、フェニルナフタレン構造、フェニルフルオレン構造、及びジフェニルフルオレン構造等が挙げられる。
【0102】
多環芳香族炭化水素構造は、置換基により置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基としては、特に制限されないが、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びハロゲン基(例えば、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基)等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基及び1-エチル-2-メチル-n-プロピル基等が挙げられる。また上記アルキル基として環状アルキル基を用いることもでき、例えば炭素原子数1~10の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0103】
多環芳香族炭化水素構造は、本発明の効果を好適に得る観点から、ナフタレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、クリセン構造、ナフタセン構造、ビフェニレン構造、フルオレン構造、又はカルバゾール構造であるのが好ましく、ナフタレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、ピレン構造、又はカルバゾール構造であるのがより好ましく、ナフレタン構造又はカルバゾール構造であるのがさらに好ましい。
多環芳香族炭化水素構造は、1種類又は2種以上でもよいが、好ましくは1種又は2種である。
【0104】
単位構造(C1)として、具体的には、特に制限されないが、以下の式(C1-1)で表される単位構造を好適に用いることができる。
【化60】
(式(C1-1)中、R
1は水素原子又はメチル基を表す。Xはエステル基又はアミド基を表す。Yは炭素原子数1~6のアルキレン基を表す。p及びqはそれぞれ独立して0又は1を表す。Arは、置換されていてもよい、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、クリセン、ナフタセン、ビフェニレン、フルオレン、又はカルバゾールから水素原子を除いた1価の基を表す。)
【0105】
また、単位構造(C1)として、特に制限されないが、以下の式(C1-2)で表される単位構造を好適に用いることができる。
【化61】
(式(C1-2)中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、Zはナフタレン環に置換したハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、チオール基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、又はチオアルキル基を表し、nは0~7の整数を表す。nが2以上のとき、2つ以上のZは同じであってもよいし、異なっていてもよい。)
【0106】
Zにおいて、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を用いることができる。アルキル基としては、例えば、直鎖又は分岐を有する炭素原子数1~6のアルキル基であり、これらはハロゲン原子等で置換されていても良い。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ヘキシル基、クロロメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1~6のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アミド基としては、例えば、炭素原子数1~12のアミド基であり、例えばホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、イソブチルアミド基、ベンズアミド基、ナフチルアミド基、アクリルアミド基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、炭素原子数1~12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。チオアルキル基としては、例えば、炭素原子数1~6のチオアルキル基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0107】
式(C1-2)で表される単位構造(C1)の具体例としては、以下が挙げられる。
【化62】
【化63】
【0108】
さらに、単位構造(C1)として、特に制限されないが、以下の式(C1-3)で表される単位構造を好適に用いることができる。
【化64】
(式(C1-3)中、Ar
1とAr
2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香族環を表し且つ、Ar
1及びAr
2の少なくとも1つはナフタレン、アントラセン、フェナントレン、又はピレンであり、Qは単結合又は2価の連結基を表す。)
【0109】
炭素原子数6~40の芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アセナフテン、フルオレン、トリフェニレン、フェナレン、フェナントレン、インデン、インダン、インダセン、ピレン、クリセン、ペリレン、ナフタセン、ペンタセン、コロネン、ヘプタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾフェナントレン、及びジベンゾ[a,j]アントラセン等が挙げられる。
【0110】
Qにおける2価の連結基としては、例えば、エーテル基、エステル基、及びイミノ基等が挙げられ、イミノ基であるのが好ましい。
【0111】
単位構造(C1)は1種類又は2種類以上でよいが、好ましくは1種又は2種である。
【0112】
ポリマーが単位構造(C1)を含む場合、単位構造(C1)のモル比率は、本発明の効果を好適に得る観点から、ポリマーの全単位構造に対して10~90モル%であるのが好ましく、30~85モル%であるのがより好ましく、40~80モル%であるのが更に好ましい。
【0113】
ポリマー(C)としては、国際公開第2023/106364号パンフレットに記載のポリマーが挙げられる。国際公開第2023/106364号パンフレットの内容は、全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
【0114】
ポリマー(C)の分子量は特に限定されない。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称することがある)による重量平均分子量が、1,500~100,000であることが好ましく、2,000~50,000であることがより好ましい。
【0115】
<<ポリマー(D)>>
ポリマー(D)は、上述したように、炭素原子数6~40の芳香族炭化水素構造を主鎖に有する。なお、ポリマー(D)は、ポリマー(A)、ポリマー(B)、及びポリマー(D)とは異なる構造を有するポリマーである。
【0116】
ポリマー(D)は、下記式(Q):
【化65】
(式(Q)中、
Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環基を表し、
L
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
T
0は単結合、エステル結合、エーテル結合、置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基又は置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、
但し、L
0とT
0とは異なり、
n個のR
0は独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、又は1価の有機基を表し、
nは0~5の整数を表し、
*は、ポリマー又は化合物残基との結合部分を表す。)で表される構造を含むことが好ましい。
【0117】
炭素原子数6~40の芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アセナフテン、フルオレン、トリフェニレン、フェナレン、フェナントレン、インデン、インダン、インダセン、ピレン、クリセン、ペリレン、ナフタセン、ペンタセン、コロネン、ヘプタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾ[a,j]アントラセン、またはこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でもベンゼン、ナフタレンまたはアントラセンが好ましい。
【0118】
炭素原子数1~10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、シクロブチレン基、1-メチル-シクロプロピレン基、2-メチル-シクロプロピレン基、n-ペンチレン基、1-メチル-n-ブチレン基、2-メチル-n-ブチレン基、3-メチル-n-ブチレン基、1,1-ジメチル-n-プロピレン基、1,2-ジメチル-n-プロピレン基、2,2-ジメチル-n-プロピレン、1-エチル-n-プロピレン基、シクロペンチレン基、1-メチル-シクロブチレン基、2-メチル-シクロブチレン基、3-メチル-シクロブチレン基、1,2-ジメチル-シクロプロピレン基、2,3-ジメチル-シクロプロピレン基、1-エチル-シクロプロピレン基、2-エチル-シクロプロピレン基、n-ヘキシレン基、1-メチル-n-ペンチレン基、2-メチル-n-ペンチレン基、3-メチル-n-ペンチレン基、4-メチル-n-ペンチレン基、1,1-ジメチル-n-ブチレン基、1,2-ジメチル-n-ブチレン基、1,3-ジメチル-n-ブチレン基、2,2-ジメチル-n-ブチレン基、2,3-ジメチル-n-ブチレン基、3,3-ジメチル-n-ブチレン基、1-エチル-n-ブチレン基、2-エチル-n-ブチレン基、1,1,2-トリメチル-n-プロピレン基、1,2,2-トリメチル-n-プロピレン基、1-エチル-1-メチル-n-プロピレン基、1-エチル-2-メチル-n-プロピレン基、シクロヘキシレン基、1-メチル-シクロペンチレン基、2-メチル-シクロペンチレン基、3-メチル-シクロペンチレン基、1-エチル-シクロブチレン基、2-エチル-シクロブチレン基、3-エチル-シクロブチレン基、1,2-ジメチル-シクロブチレン基、1,3-ジメチル-シクロブチレン基、2,2-ジメチル-シクロブチレン基、2,3-ジメチル-シクロブチレン基、2,4-ジメチル-シクロブチレン基、3,3-ジメチル-シクロブチレン基、1-n-プロピル-シクロプロピレン基、2-n-プロピル-シクロプロピレン基、1-イソプロピル-シクロプロピレン基、2-イソプロピル-シクロプロピレン基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピレン基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピレン基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピレン基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピレン基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基又はn-デカニレン基が挙げられる。
【0119】
炭素原子数2~10のアルケニレン基としては、炭素原子数2~10のアルキレン基の内、隣り合う炭素原子から各々水素原子を取り去った2重結合を少なくとも1つ有する基が挙げられる。前記炭素原子数2~10のアルケニレン基の内、ビニレン基が好ましい。
【0120】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0121】
前記「置換されていてもよい」とは、上記炭素原子数6~40の芳香環、炭素原子数1~10のアルキレン基又は炭素原子数2~10のアルケニレン基中に存在する一部又は全部の水素原子が、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、メチレンジオキシ基、アセトキシ基、メチルチオ基、アミノ基、炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数1~10のアルコキシ基で置換されてもよいことを意味する。
【0122】
また、ポリマー(D)は、下記式(Q-1):
【化66】
(式(Q-1)中、Arは置換されていてもよい炭素原子数6~40の芳香環を表し、L
1は単結合、エステル結合、エーテル結合、炭素原子数1~10のアルキレン基又は炭素原子数2~10のアルケニレン基を表し、nは1~3の整数を表し、
*は、結合手を表す。)で表される構造を末端に含むことが好ましい。
【0123】
上記式(Q-1)で表される構造としては、以下が挙げられる。(なお、以下の例示では、結合手
*について水素原子の置換等により化合物として示された構造を示す。)
【化67】
【化68】
【0124】
ポリマー(D)は、上記例示化合物と、エポキシ基含有化合物との反応物であることが好ましい。また、エポキシ基含有化合物との反応物が、繰り返し単位を有していることも好ましい。
エポキシ基含有化合物としては、以下が例示される。
【0125】
【0126】
ポリマー(D)としては、国際公開第2022/196662号パンフレットに記載のポリマーが挙げられる。
ポリマー(D)としては、国際公開第2022/196662号パンフレットに記載された、レジスト下層膜形成組成物A、B、及びCから選択される縮なくとも1種の構造を含んでいるポリマーであってよい。例えば、ポリマー(D)として、国際公開第2022/196662号パンフレットにおいて、実施例A1~A19として記載されたポリマーが挙げられる。
国際公開第2022/196662号パンフレットの内容は、全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
【0127】
ポリマー(D)の分子量としては、特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称することがある)による重量平均分子量が、1,000~30,000であることが好ましく、2,000~20,000であることがより好ましい。
【0128】
上述のとおり、本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、以上説明したポリマー(A)、ポリマー(B)、ポリマー(C)、ポリマー(D)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましい。
このポリマーの分子量は特に限定されない。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称することがある)による重量平均分子量が、500~100,000であることが好ましく、1,000~50,000であることがより好ましく、2,000~20,000であることがさらに好ましい。
【0129】
レジスト下層膜形成用組成物における、以上説明したポリマーの含有量としては、特に制限されないが、溶解性の観点から、レジスト下層膜形成用組成物全体に対して、0.1質量%~50質量%が好ましく、0.1質量%~10質量%がより好ましい。
【0130】
<架橋剤>
レジスト下層膜形成用組成物に任意成分として含まれる架橋剤は、国際公開第2017/187969号公報に記載の、窒素原子と結合する下記式(1d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物であってもよい。
【0131】
【化72】
(式(1d)中、R
1はメチル基又はエチル基を表す。*は窒素原子と結合する結合手を表す。)
【0132】
上記式(1d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物は下記式(1E)で表されるグリコールウリル誘導体であってよい。
【0133】
【化73】
(式(1E)中、4つのR
1はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、又はフェニル基を表す。)
【0134】
上記式(1E)で表されるグリコールウリル誘導体として、例えば、下記式(1E-1)~式(1E-6)で表される化合物が挙げられる。
【0135】
【0136】
上記式(1d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物は、窒素原子と結合する下記式(2d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物と下記式(3d)で表される少なくとも1種の化合物とを反応させることで得られる。
【0137】
【化75】
(式(2d)及び式(3d)中、R
1はメチル基又はエチル基を表し、R
4は炭素原子数1~4のアルキル基を表す。*は窒素原子と結合する結合手を表す。)
【0138】
上記式(1E)で表されるグリコールウリル誘導体は、下記式(2E)で表されるグリコールウリル誘導体と上記式(3d)で表される少なくとも1種の化合物とを反応させることにより得られる。
【0139】
上記式(2d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物は、例えば、下記式(2E)で表されるグリコールウリル誘導体である。
【0140】
【化76】
(式(2E)中、R
2及びR
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、又はフェニル基を表し、R
4はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基を表す。)
【0141】
上記式(2E)で表されるグリコールウリル誘導体として、例えば、下記式(2E-1)~式(2E-4)で表される化合物が挙げられる。さらに上記式(3d)で表される化合物として、例えば下記式(3d-1)及び式(3d-2)で表される化合物が挙げられる。
【0142】
【0143】
上記窒素原子と結合する式(1d)で表される置換基を1分子中に2~6つ有する含窒素化合物に係る内容については、WO2017/187969号公報の全開示が本願に援用される。
【0144】
また、架橋剤は、下記式(21)によって表される化合物であってもよい。
【化79】
(式(21)中、R
1は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、R
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、又は総炭素原子数2~10のアルコキシアルキル基を表し、R
3は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。m1、及びm2は、それぞれ独立して、1~2の整数を表す。m1及びm2が1の時、Q
1は、単結合、酸素原子、又は炭素原子数1~20の2価の有機基を表し、それ以外の時、Q
1は、炭素原子数1~20の(m1+m2)価の有機基を表す。)
【0145】
Q1における炭素原子数1~20の(m1+m2)価の有機基としては、例えば、下記式(21-1)~式(21-5)のいずれかで表される基が挙げられる。
【0146】
【化80】
(式(21-1)中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1~4のアルキル基、又は-CF
3基を表す。
式(21-3)中、Xは、炭素原子数1~30の3価の基を表す。
式(21-4)中、Arは、2価の芳香族炭化水素基を表す。
*は、結合手を表す。)
【0147】
Arとしては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、及びアントラセンから選択される化合物の2価の残基を表す。
【0148】
式(21-1)で表される基は、2価の基である。
式(21-2)で表される基は、4価の基である。
式(21-3)で表される基は、3価の基である。
式(21-4)で表される基は、2価の基である。
式(21-5)で表される基は、3価の基である。
【0149】
上記架橋剤が使用される場合、当該架橋剤の含有割合は、単位構造(A)及び単位構造(B)の少なくともいずれかの単位構造を有するポリマーに対し、例えば1質量%~50質量%であり、好ましくは、5質量%~30質量%である。
【0150】
<<硬化触媒>>
レジスト下層膜形成用組成物に任意成分として含まれる硬化触媒は、熱酸発生剤、光酸発生剤何れも使用することができるが、熱酸発生剤を使用することが好ましい。
【0151】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート(ピリジニウム-p-トルエンスルホン酸)、ピリジニウムフェノールスルホン酸、ピリジニウム-p-ヒドロキシベンゼンスルホン酸(p-フェノールスルホン酸ピリジニウム塩)、ピリジニウム-トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物が挙げられる。
【0152】
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及びジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられる。
【0153】
オニウム塩化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物等が挙げられる。
【0154】
スルホンイミド化合物としては、例えばN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
【0155】
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
【0156】
硬化触媒は一種のみを使用することができ、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0157】
硬化触媒が使用される場合、当該硬化触媒の含有割合は、架橋剤に対し、例えば0.1質量%~50質量%であり、好ましくは、1質量%~30質量%である。
【0158】
<<その他の成分>>
レジスト下層膜形成用組成物には、ピンホールやストリエーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、さらに界面活性剤を添加することができる。
【0159】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製、商品名)、メガファックF171、F173、R-30(DIC(株)製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の配合量は、特に制限されないが、レジスト下層膜形成用組成物に対して通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0160】
<溶剤>
溶剤としては、一般的に半導体リソグラフィー工程用薬液に用いられる有機溶剤が好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0161】
これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンが好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
【0162】
レジスト下層膜形成用組成物は、好ましくは、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物として用いられる。また、上記EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物は、好ましくは、膜厚が10nm未満のEB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜の形成に用いられる。
【0163】
(レジスト下層膜)
本発明のレジスト下層膜は、上記レジスト下層膜形成用組成物の塗布膜の焼成物である。
【0164】
本発明のレジスト下層膜の膜厚は、10nm未満である。通常、レジスト下層膜の膜厚を薄くすると、表面が平坦な膜を得るのが困難となる。表面が平坦でない場合は、下層膜の上に成膜するレジスト層の膜厚変動が大きくなり、結果としてLWRが大きくなる。
本発明のレジスト下層膜は、上述したポリマーを含有することにより、基板との密着性及び成膜性に優れる傾向がある。このため、レジスト下層膜の膜厚が10nm未満であっても、表面が平坦な膜を形成することができ、レジストパターンのLWRを改善することができると推定される。特にEUV又はEB使用時に顕著な効果を奏する。
【0165】
なお、EUV又はEB使用時に膜厚20nm以上のレジスト下層膜を用いた場合、レジストパターン形成後のドライエッチング工程において、レジスト膜厚は薄いため、下層膜をエッチングする過程でレジストパターンがダメージを受けてレジスト膜厚減少やトップラウンディング形状になるなどの形状不良を起こし、実際の基板加工の際に目的の線幅のパターン形成が困難となる。
【0166】
本発明のレジスト下層膜は、レジスト下層膜形成用組成物を半導体基板上に塗布し、焼成することにより製造することができる。
【0167】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。
【0168】
表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。上記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、窒化酸化チタン膜、タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0169】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜形成用組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることによりレジスト下層膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃~400℃、ベーク時間0.3分~60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃~350℃、ベーク時間0.5分~30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃~300℃、ベーク時間0.8分~10分間である。
【0170】
レジスト下層膜の膜厚としては、10nm未満であり、9nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましく、7nm以下がさらに好ましい。また、レジスト下層膜の膜厚としては、1nm以上であってもよいし、2nm以上であってもよいし、3nm以上であってもよい。
【0171】
本明細書におけるレジスト下層膜の膜厚の測定方法は、以下のとおりである。
・測定装置名:エリプソ式膜厚測定装置RE-3100 ((株)SCREEN)
・SWE(単波長エリプソメータ)モード
・8点の算術平均(例えば、ウエハX方向に1cm間隔で8点測定)
【0172】
レジスト下層膜は、好ましくは、EB又はEUVリソグラフィー用レジスト下層膜として用いられる。
【実施例0173】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0174】
下記の合成例に示す重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)法による測定結果である。測定には東ソー株式会社製GPC装置を用い、測定条件は下記のとおりである。
測定装置:HLC-8020GPC〔商品名〕(東ソー株式会社製)
GPCカラム:TSKgel G2000HXL;2本、 G3000HXL:1本、G4000HXL;1本〔商品名〕(全て東ソー株式会社製)
カラム温度:40°C
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー株式会社製)
【0175】
<合成例1>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸8.00g、バルビタール5.45、及びテトラブチルホスホニウムブロマイド0.48gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル56.00gに加え溶解させた。反応容器を窒素置換後、還流加熱で24時間反応させ、ポリマー1溶液を得た。GPC分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量10000であった。
【0176】
<合成例2>
ポリグリシジルメタクリレート(丸善石油化学(株)製)6.00g、ソルビン酸4.88g、ヒドロキノン0.02g、及びテトラブチルホスホニウムブロマイド0.46gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル16.7gに加え溶解させた。反応容器を窒素置換後、100℃で24時間反応させ、ポリマー2溶液を得た。当該ポリマー溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶媒に対する溶解性は良好である。当該ポリマー溶液を室温に冷却後プロピレングリコールモノメチルエーテル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート混合溶媒を加え10質量%溶液とした。GPCにて分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量24300であった。
【0177】
(レジスト下層膜形成用組成物1の調製)
合成例1で得られたポリマー溶液(固形分18.45質量%)0.41gに、テトラメトキシメチルグリコールウリルの5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液0.38g、ピリジニウムフェノールスルホン酸の1質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液0.19g、プロピレングリコールモノメチルエーテル33g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成用組成物1とした。
【0178】
(レジスト下層膜形成用組成物2の調製)
合成例2で得られたポリマー溶液(固形分10質量%)1.54gに、テトラメトキシメチルグリコールウリルの5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液0.85g、ピリジニウムフェノールスルホン酸の1質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液0.38g、プロピレングリコールモノメチルエーテル87.9g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.3gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成用組成物2とした。
【0179】
<金属酸化物レジスト調製例>
(金属酸化物レジスト組成物の調製)
モノブチルすずオキシド(東京化成工業株式会社製)0.10gをプロピレングリコールモノメチルエーテル9.90gに溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、金属酸化物レジスト組成物1とした。
【0180】
<実施例1>
(レジストパターニング評価)
〔電子線描画装置による金属酸化物レジストパターンの形成〕
レジスト下層膜形成用組成物1を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布した。そのシリコンウェハーを、ホットプレート上で215℃、60秒間ベークし、膜厚5nmのレジスト下層膜を得た。そのレジスト下層膜上に、金属酸化物レジスト調製例で調製された金属酸化物レジスト組成物1をスピンコートし、100℃で60秒間加熱し、膜厚26nmの金属酸化物レジスト膜を形成した。このレジスト膜を塗布したウェハー上の全体を、ウシオ電機(株)製、172nm光照射装置SUS867を用いて窒素雰囲気下、波長172nm光を5mJ/cm
2のエネルギーで照射した。その後、ターゲットのパターンを形成させるため電子線描画装置(ELS-G130)を用い、所定の条件で露光した。露光後、180℃で60秒間ベーク(PEB)を行い、現像液(酢酸の5質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)で現像した後、250℃で60秒間ベーク(ハードベーク)を実施し、CDサイズ22nm、ピッチ44nmのライン・アンド・スペースパターンを形成した。レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、CG4100)を用いた。実施例1において形成したレジストパターンの観察写真を
図1に示す。
【0181】
<実施例2>
レジスト下層膜形成用組成物1の代わりにレジスト下層膜形成用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてCDサイズ22nm、ピッチ44nmのライン・アンド・スペースパターンを形成した。
【0182】
<比較例1>
ウシオ電機(株)製、172nm光照射装置SUS867を用いて窒素雰囲気下、波長172nm光を5mJ/cm2照射する工程を除いた以外は、実施例1と同様の方法にてCDサイズ22nm、ピッチ44nmのライン・アンド・スペースパターンを形成した。
【0183】
<比較例2>
レジスト下層膜形成用組成物1を塗布する工程を除いた以外は、実施例1と同様の方法にてCDサイズ22nm、ピッチ44nmのライン・アンド・スペースパターンを形成した。比較例2において形成したレジストパターンの観察写真を
図2に示す。
【0184】
実施例1、2および比較例1、2において得られたフォトレジストパターンについて、パターン上部からの観察を行い、22nmライン/44nmピッチ(ラインアンドスペース(L/S=1/1)を形成した電荷量を最適照射エネルギーとし、その時の照射エネルギー(mC/cm2)を確認した。結果を表1に示す。
【0185】
【0186】
表1より実施例1、2では、比較例1と比較してパターン形成必要な照射エネルギーを大幅に減少させることが可能となる。また、表1及び
図1、2より、下層膜形成用組成物を塗布していない比較例2と比較してパターン倒壊を防ぐことができていることから、本プロセスを適用した場合において下層膜形成用組成物がレジストパターン形成に有用である。