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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097796
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】検証システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250624BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20250624BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214209
(22)【出願日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 祐介
【テーマコード(参考)】
5G064
5H770
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA05
5H770AA29
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA02Y
(57)【要約】
【課題】電力変換装置の導入による省消費電力効果を検証することができる技術を提供する。
【解決手段】システム800に接続される検証装置600と、クラウドサーバー200と、演算サーバー100とを備える検証システムにおいて、検証装置600は、電力を変換してシステム800に出力する電力変換部と、電力変換部に流れる電流値を検出する電流検出部と、電流値、出力電力、出力電圧、出力時間を含む出力情報を出力する出力指令部と、システムのセンサ情報を出力する入出力部と、を備え、クラウドサーバー200は、出力情報及びセンサ情報を含むデータを格納し、演算サーバー100は、クラウドサーバー200に格納されたデータに基づいて電力変換部の出力パターンを調整して検証装置600に送信するデータ最適化演算部と、データをグラフ化して表示するデータ表示演算部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムに接続される検証装置と、クラウドサーバーと、演算サーバーとを備える検証システムにおいて、
前記検証装置は、
電力を変換して前記システムに出力する電力変換部と、
前記電力変換部に流れる電流値を検出する電流検出部と、
前記電流値、出力電力、出力電圧、出力時間を含む出力情報を出力する出力指令部と、
前記システムのセンサ情報を出力する入出力部と、を備え、
前記クラウドサーバーは、前記出力情報及び前記センサ情報を含むデータを格納し、
前記演算サーバーは、
前記クラウドサーバーに格納された前記データに基づいて前記電力変換部の出力パターンを調整して前記検証装置に送信するデータ最適化演算部と、
前記データをグラフ化して表示するデータ表示演算部と、を備える検証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検証システムにおいて、
前記データは、
前記電力変換部が既存の駆動条件で前記システムに前記電力を出力した際に出力される第1のデータと、
前記電力変換部が前記調整された前記出力パターンで前記システムに前記電力を出力した際に出力された第2のデータと、を含む検証システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記データ表示演算部は、前記第1のデータ及び前記第2のデータを時系列にグラフ化してそれぞれ表示する検証システム。
【請求項4】
請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記データ表示演算部は、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを比較し、比較結果を表示する検証システム。
【請求項5】
請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記電力変換部は、予め設定した期間に前記既存の駆動条件で前記システムに前記電力を出力した後、予め設定した期間に前記調整された前記出力パターンで前記システムに前記電力を出力する検証システム。
【請求項6】
請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記検証システムは複数の前記システムにそれぞれ接続される複数の前記検証装置を備え、
一の前記検証装置の前記電力変換部は、予め設定した期間に前記調整された前記出力パターンで前記システムに前記電力を出力し、
他の前記検証装置の前記電力変換部は、当該期間に前記既存の駆動条件で前記システムに前記電力を出力する検証システム。
【請求項7】
請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記検証システムは契約が有効であるかを示す契約情報を格納する契約データサーバーを備え、
前記電力変換部は、前記契約データサーバーに格納された前記契約情報を参照し、前記契約情報が有効に更新された場合は、前記調整された前記出力パターンで前記システムに前記電力を出力し、前記契約情報が無効に更新された場合は、前記電力の出力を停止する検証システム。
【請求項8】
請求項7に記載の検証システムにおいて、
前記契約情報は契約内容の情報を含み、
前記検証装置は、前記契約データサーバーに格納された前記契約情報を参照し、前記契約情報が有効に更新された場合は、前記契約内容に応じて動作する検証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の電力状況を実際の出力状況から検証し、検証システムによって、省エネルギー化を具体的にどの程度実現できるかを検証する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポンプを駆動するポンプシステムなどのシステムに省消費電力のためにインバータを導入することが行われている。インバータを導入するかを判断する際に、インバータを導入した場合の省消費電力効果がわからないという課題がある。
【0003】
特許文献1には、インバータを導入した場合の省消費電力を求める方法として、インバータの運転時消費電力と周波数を基に、商用周波数に換算してインバータのインバータ入力電力を算出し、インバータ入力電力にインバータ装置の効率を乗算して交流電動機への電動機入力電力を算出し、電動機入力電力に周波数に相当する機器制御のときの軸動力低減率を乗算してインバータ導入前の基準電力を算出し、基準電力から運転時消費電力を減算することにより省消費電力を求める方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-14503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、計算によりインバータ導入による省消費電力量を求めるものである。しかしながら、顧客のシステムの運転状況、設置環境、配線などにより消費電力は異なるため、特許文献1の方法で省消費電力量を求めた場合、実際に顧客のシステムにインバータを導入した場合の省消費電力量とはずれが生じるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、電力変換装置の導入による省消費電力効果を検証することができる検証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の情報処理装置の一つは、システムに接続される検証装置と、クラウドサーバーと、演算サーバーとを備える検証システムにおいて、検証装置は、電力を変換してシステムに出力する電力変換部と、電力変換部に流れる電流値を検出する電流検出部と、電流値、出力電力、出力電圧、出力時間を含む出力情報を出力する出力指令部と、システムのセンサ情報を出力する入出力部と、を備え、クラウドサーバーは、出力情報及びセンサ情報を含むデータを格納し、演算サーバーは、クラウドサーバーに格納されたデータに基づいて電力変換部の出力パターンを調整して検証装置に送信するデータ最適化演算部と、データをグラフ化して表示するデータ表示演算部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力変換装置の導入による省消費電力効果を検証することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例の検証システムの構成の一例を示す例である。
図2】本実施例の演算サーバーの構成の一例を示すブロック図である。
図3A】本実施例の検証装置の既存のシステムへの接続を説明する図である。
図3B】本実施例の検証装置の既存のシステムへの接続を説明する図である。
図4】本実施例の検証装置の構成の一例を示す図である。
図5】本実施例の検証システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6A】本実施例のクラウドサーバーに格納される初期検証プロセス取得情報の一例を示す図である。
図6B】本実施例のクラウドサーバーに格納される導入検証プロセス取得情報の一例を示す図である。
図7A】本実施例の初期検証プロセス取得情報に含まれるセンサ情報の一例を示す図である。
図7B】本実施例の導入検証プロセス取得情報に含まれるセンサ情報の一例を示す図である。
図8A】本実施例の初期検証プロセス取得情報の可視化の一例を示す図である。
図8B】本実施例の導入検証プロセス取得情報の可視化の一例を示す図である。
図9A】本実施例のユーザ端末に出力される第1レポートの一例を示す図である。
図9B】本実施例のユーザ端末に出力される第2レポートの一例を示す図である。
図10】本実施のユーザ端末に出力される比較結果レポートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【0012】
本実施例では、電力変換装置の導入前の消費電力のデータを取得して可視化する初期検証プロセスと電力変換装置の導入後の消費電力のデータを取得して可視化する導入検証プロセスとを通じて、実態に沿った電力変換装置の省消費電力効果を算出し、電力変換装置の導入に移行する方法を説明する。
【0013】
図1は、本実施例の検証システムの構成の一例を示す例である。
【0014】
本実施例の検証システムは、演算サーバー100、クラウドサーバー200、契約データサーバー300、通信端末400、外部ネットワーク500、検証装置600、及びユーザ端末700を有する。
【0015】
検証装置600は、ユーザが所有する電力を使用する既存のシステム800に接続される。検証装置600は、電源からの交流電圧を変換してシステム800に出力する電力変換装置である。また、検証装置600は、システム800に出力する電流値を検出して通信端末400を介して演算サーバー100に送信する。
【0016】
演算サーバー100は、クラウドサーバー200に格納された既存のシステム800の情報から検証装置600により周波数及び出力電圧を低減する率を演算し、検証装置600に送信する。システム800の情報は、システム800を特定する情報、接続されている検証装置600を特定する情報、システム800がポンプシステムであれば流量センサなどのセンサ情報を含む。
【0017】
クラウドサーバー200は、既存のシステム800の情報、検証システムの契約状態、検証システムの種別、検証しようとしている時点よりも前に格納された類似システムの情報、などの検証を最適に行うための各種データを格納する。
【0018】
契約データサーバー300は、ユーザ毎の契約状態を示す契約情報を格納する。契約とは、例えば、検証装置600で省エネルギー効果の検証を行う契約、検証を行った後に検証装置600を継続して使用する契約などである。
【0019】
通信端末400は、検証装置600と外部ネットワーク500との通信を行う。
【0020】
ユーザ端末700は、ユーザに検証システムの検証結果などの情報を提示する表示部701を備える。
【0021】
なお、図1に示すように複数のシステム800に複数の検証装置600がそれぞれ接続されていてもよい。
【0022】
図2は、本実施例の演算サーバー100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
演算サーバー100は、データ取得部101、データ最適化演算部102、データ表示演算部103、データ管理部104を有する。
【0024】
データ取得部101は、クラウドサーバー200に格納された各種データを取得する。
【0025】
データ最適化演算部102は、データ取得部101により取得したデータを用い、検証装置600の出力電力に応じて出力周波数及び出力電圧を求め、該検証装置600に送信する。また、複数の検証装置600が同時にオンラインになっている場合、データ最適化演算部102は、それぞれの検証装置600毎に別々の演算を行う。
【0026】
データ表示演算部103は、入力されたデータをグラフ化するためのデータに変換する。変換されたデータは、ユーザ端末700に送信され、表示部701に表示される。
【0027】
データ管理部104は、データ取得部101が取得したシステム800の情報を参照し、当該システム800に接続された検証装置600にデータを伝送する。
【0028】
図3A及び図3Bは、本実施例の検証装置600の既存のシステム800への接続を説明する図である。
【0029】
図3Aにおいて、ユーザが所有する既存のシステム800は、3相交流電源900に接続されている。
【0030】
システム800において検証装置600を用いて電力変換装置の省消費電力効果を検証する場合、図3Bに示すように、3相交流電源900とシステム800の間に検証装置600が接続される。
【0031】
検証装置600は、無償あるいは低費用でユーザのシステム800における省消費電力効果を検証するため、中古品を診断用に使用してもよい。この場合、検証装置600はソフトウェア更新機能を有し、中古品の検証装置600をソフトウェア更新により改造することによりトライアルを行うことが可能である。
【0032】
図4は、検証装置600の構成の一例を示す図である。
【0033】
検証装置600は、直流変換部612、平滑コンデンサ613、交流変換部614、電流検出器616、電流検出部617、出力指令部619、通信部618、入出力部620を有する。
【0034】
3相交流電源900は、例えば電力会社から供給される3相交流電圧や発電機から供給される交流電圧であり、直流変換部612に出力する。
【0035】
直流変換部612は、例えばダイオードで構成された直流変換回路やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とフライホイールダイオードを用いた直流変換回路で構成され、3相交流電源900から入力された交流電圧を、直流電圧に変換し、平滑コンデンサ613に出力する。
【0036】
平滑コンデンサ613は、直流変換部612から入力された直流電圧を平滑化し、交流変換部614に直流電圧を出力する。例えば、発電機の出力が直流電圧の場合、平滑コンデンサ613は、直流変換部612を介さず、直接発電機から直流電圧を入力されても構わない。
【0037】
交流変換部614は、例えばIGBTとフライホイールダイオードを用いた交流変換回路で構成され、平滑コンデンサ613の直流電圧を入力とし、出力指令部619から入力されたPWM出力波形により、直流電圧を交流電圧に変換し、検証装置600が接続されるシステム800に出力する。
【0038】
電流検出器616は、例えばホールCTやシャント抵抗で構成され、電力変換装置の出力部に配置されることにより流れる出力電流を検出し、電流検出部617に電流検出値として出力する。電流検出部617は、電流検出器616から入力された電流検出値を、電流値に換算し、出力指令部619に出力する。
【0039】
通信部618は、出力指令部619が出力した出力電流、出力周波数、出力電圧、出力時間のデータを、通信端末400を介して演算サーバー100に出力する。また、通信部618は、入出力部620から入力された各種センサ入力情報を、検証装置600のID情報と共に通信端末400を介して演算サーバー100に出力する。
【0040】
出力指令部619は、通信部618から入力された指令値を元に、出力電圧を演算し、交流変換部614に出力する。また、出力指令部619は、電流検出部617から入力した出力電流を、出力周波数、出力電圧、出力時間と共に通信部618に出力する。
【0041】
入出力部620は、外部とのインターフェースであって、システム800の温度センサや流量センサなどの外部環境のセンサ入力を受け付けることができる。また、入出力部620は検証装置600上にある必要はなく、センサ自体が通信機能を持っていれば、データを演算サーバー100にセンサから直接送っても良い。
【0042】
図5は、本実施例の検証システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
システム800に設置された検証装置600は、通信端末400を介して契約データサーバー300と接続されたことを確認する(S601)。
【0044】
契約データサーバー300は、接続された検証装置600について検証契約がなされていることを確認し(S301)、検証契約が確認された場合は、演算サーバー100に検証契約が確認されたことを示す確認情報を伝送する。検証契約は、検証装置600を用いて電力変換装置による省消費電力効果の検証を行う契約である。
【0045】
演算サーバー100は、契約データサーバー300から確認情報を受信すると、初期検証プロセスの開始指令を検証装置600に送信する(S101)。
【0046】
検証装置600は、初期検証プロセスの開始指令を受信すると、初期検証プロセス用のデータの出力を開始してクラウドサーバー200に格納する(S602)。
【0047】
ここで、検証装置600は、例えば、1か月程度の期間を設定し、システム800の既存の駆動条件に合わせてシステム800に出力し、通信端末400を通じて、出力周波数、出力電圧、出力時間、出力電流、及びシステム800の各種センサ情報を初期検証プロセス用のデータとしてクラウドサーバー200に送信し、図6Aに示す初期検証プロセス取得情報としてクラウドサーバー200に格納する。
【0048】
図6Aは、本実施例のクラウドサーバー200に格納される初期検証プロセス取得情報の一例を示す図である。
【0049】
初期検証プロセス取得情報は、データを識別するデータID,データを取得した時間、出力周波数、出力電力などの情報を含み、時系列に蓄積されている。
【0050】
この時、検証装置600が伝送する初期検証プロセス用のデータに含まれるセンサ情報は、図7Aに示すような、キーとなる基本指標とその基本指標と同期した指令指標とを含む。
【0051】
図7Aは、本実施例の初期検証プロセス取得情報に含まれるセンサ情報の一例を示す図である。
【0052】
ここでは、システム800がポンプを駆動するポンプシステムである場合を例に説明する。システム800では、アナログの電圧指令0~10Vのダンパ制御信号に応じて流量を制御している。また、システム800は、流量を検知する流量センサを備える。
【0053】
流量に関わるデータとしてシステム800のセンサにより取得した流量もしくは水圧を基本指標とし、サポートデータとして流量を制御するダンパ制御信号を指令指標とする。
【0054】
検証装置600により出力電力を低減させた場合に、基本指標及び指令指標の関係は変化しないことが好ましい。そのため、システム800の基本指標及び指令指標の関係を示す情報を初期検証プロセス取得情報に含めることにより、検証装置600の出力周波数または出力電圧、あるいは出力電力そのものを制御指標として調整し、基本指標と指令指標の関係が変化しないように出力電力を低減させる。
【0055】
次に、演算サーバー100において、データ取得部101はクラウドサーバー200に格納された初期検証プロセス取得情報を取得し、データ表示演算部103は図8Aのように初期検証プロセス用のデータをプロット後に可視化し、エネルギー消費の状況を時系列でグラフ化し、図9Aに示す第1レポートをユーザ端末700に出力する(S102)。
【0056】
図8Aは、本実施例の初期検証プロセス取得情報の可視化の一例を示す図である。
【0057】
図8Aでは、ダンパ制御信号により流量を制御しており、流量が少ない場合にもモータ回転速度は変わらないため、出力電力はあまり低下していない。
【0058】
図9Aは、本実施例のユーザ端末700に出力される第1レポートの一例を示す図である。
【0059】
第1レポートでは、初期検証プロセスでの消費電力を時系列でグラフ化して示している。
【0060】
次に、演算サーバー100は、初期検証プロセス取得情報に基づいて、上述した基本指標と指令指標の関係を変化させることなく出力電力が最小になるように、検証装置600の出力周波数または出力電圧、あるいは出力電力そのものを制御指標として調整した出力パターンを演算し、クラウドサーバー200に格納する(S103)。
【0061】
例えば、システム800がポンプシステムの場合、流量センサの情報をもとに、流量と電流値の状況から、流量に対し電流値が過剰に高い状況を検知し、出力を低減する。
【0062】
次に、演算サーバー100は、導入検証プロセスの開始指令を検証装置600に送信する(S104)。
【0063】
検証装置600は、導入検証プロセスの開始指令を受信すると、導入検証プロセス用のデータの出力を開始してクラウドサーバー200に格納する(S603)。
【0064】
ここで、検証装置600は、例えば、1か月程度の期間を設定し、S103でクラウドサーバー200に格納された出力パターンに従ってシステム800に出力し、通信端末400を通じて、出力周波数、出力電圧、出力時間、出力電流、及びシステム800の各種センサ情報を導入検証プロセス用のデータとしてクラウドサーバー200に送信し、図6Bに示す導入検証プロセス取得情報としてクラウドサーバー200に格納する。
【0065】
図6Bは、本実施例のクラウドサーバー200に格納される導入検証プロセス取得情報の一例を示す図である。
【0066】
導入検証プロセス取得情報は、データを識別するデータID,データを取得した時間、出力周波数、出力電力などの情報を含み、時系列に蓄積されている。
【0067】
この時、検証装置600が伝送する導入検証プロセス用のデータに含まれるセンサ情報は、図7Bに示すような、キーとなる基本指標とその基本指標と同期した指令指標とを含む。
【0068】
図7Bは、本実施例の導入検証プロセス取得情報に含まれるセンサ情報の一例を示す図である。
【0069】
図7Bに示すように、基本指標及び指令指標の関係は、図7Aで示した出力パターンの調整前と変化しないように制御される。
【0070】
次に、演算サーバー100において、データ取得部101はクラウドサーバー200に格納された導入検証プロセス取得情報を取得し、データ表示演算部103は図8Bのように導入検証プロセス用のデータをプロット後に可視化し、エネルギー消費の状況を時系列でグラフ化し、図9Bに示す第2レポートをユーザ端末700に出力する(S105)。
【0071】
図8Bは、本実施例の導入検証プロセス取得情報の可視化の一例を示す図である。
【0072】
図8Bでは、図8Aの初期検証プロセス取得情報と比較して、流量が少ない場合に出力電力が削減されていることを確認することができる。
【0073】
図9Bは、本実施例のユーザ端末700に出力される第2レポートの一例を示す図である。
【0074】
第2レポートでは、導入検証プロセスでの消費電力を時系列でグラフ化して示している。ユーザは、ユーザ端末700の表示部701に表示される図9Aの第1レポートと図9Bの第2レポートを比較することにより、電力変換装置の導入による省消費電力効果を確認することができる。
【0075】
次に、演算サーバー100のデータ表示演算部103は、初期検証プロセス情報及び導入検証プロセス情報に基づいて実際に生じる電力料金を計算し、比較結果をグラフ化し図10に示す比較結果レポートをユーザ端末700に出力する(S106)。
【0076】
図10は、本実施例のユーザ端末700に出力される比較結果レポートの一例を示す図である。
【0077】
比較結果レポートでは、出力パターンの調整前後の消費電力をグラフ化して表示している。また、図10に示すように、電力変換装置を導入して出力パターンを調整した場合の10年後の省エネルギー効果を予測演算し表示しても良い。省エネルギー効果は、電力料金または電力量で示してもよい。
【0078】
また、データ表示演算部103は、比較結果レポートを構築する際に、クラウドサーバー200から種々のデータ、例えば出力電力のほかに、出力周波数や取得時間などを読み出して、各々のデータの平均や合計などの算術演算結果を比較して表示してもよい。
【0079】
その後、ユーザが契約の更新を行い、契約データサーバー300で継続契約が確認された場合は、契約データサーバー300に格納された契約情報を「有効」に更新する(S302)。
【0080】
次に、検証装置600は、導入検証プロセスで得た出力パターンのデータを記録し、定期的に出力電力、出力周波数、出力電圧、出力時間、センサ情報などのデータを契約データサーバー300に送信する(S604)。これにより、契約データサーバー300は、契約通りに検証装置600が使用されていることを確認する。
【0081】
なお、本実施例では、単一の検証装置600で、初期検証プロセスを実行後に導入検証プロセスを実行し、初期検証プロセスと導入検証プロセスでの出力電力を比較したが、導入検証プロセス実行時に、出力パターンを調整しない場合の出力電力を初期検証プロセスから予測により求めて比較しても良い。これにより、同一の駆動条件で出力パターンの調整前後の出力電力を比較することができる。
【0082】
また、図1に示したように、複数のシステム800に検証装置600がそれぞれ接続される場合、導入検証プロセスにおいて、一方の検証装置600では調整した出力パターンで出力し、他方の検証装置600では既存の駆動条件で出力して、出力電力を比較してもよい。この場合、他方の検証装置600は、電力変換装置である必要はなく、電流値を検出するセンサ単体でも良い。これにより、同一の駆動条件で出力パターンの調整前後の出力電力を比較することができる。
【0083】
ユーザが継続契約をする場合は、検証に使用した検証装置600をそのまま使用して定期診断でメンテナンスを行うサブスク契約、または検証装置600を新しいものに入れ替える新規買取り契約などの契約種別を選択して、契約データサーバー300に格納された契約情報を「有効」に更新する。
【0084】
ユーザが継続契約をしない場合は、検証装置600を取り外す。取り外した検証装置600は、オーバーホールを行い、別の案件用に使用することができる。
【0085】
また、契約更新をせずに契約期間を超過し検証装置600を取り外していない場合は、契約データサーバー300に格納された契約情報を「無効」に更新し、検証装置600の出力を停止する。
【0086】
ユーザがサブスク契約を選択した場合、演算サーバー100は、検証装置600を使用しない場合の動作との出力電力の違いを月次レポートとして毎月発行するなど、動作状況を見える化するレポートを作成し、ユーザ端末700に出力する。
【0087】
また、検証装置600は、定期メンテナンスのタイミングをユーザ端末700によりユーザに報知する。これにより、ユーザから別途費用を頂き、検証装置600の定期メンテナンスを行う。
【0088】
また、実運用時にその他のパラメータ設定は必要の場合は、一時的なサポート費用として別途費用を頂く。
【0089】
また、検証装置600から出力されるデータを常時モニタし、異常状況が発報された場合は、顧客及びサービスに連絡する。異常状況を発報する場合や、異常状況の詳細をユーザが取得する場合には、さらに+αで課金して頂くなどの契約をしてもよい。
【0090】
これらの契約内容は契約データサーバー300に契約情報として格納され、検証装置600は、契約データサーバー300の契約情報を監視しながら運用を継続する。
【0091】
本実施例によれば、ユーザの使用する既存のシステム800に検証装置600を接続し、消費電力をグラフ化して表示するので、システム800に電力変換装置を導入した場合の実際の省消費電力効果を検証することができる。
【0092】
また、初期検証プロセスと導入検証プロセスの消費電力をグラフ化して表示するので、電力変換装置の省消費電力効果をユーザが視覚的に確認することができる。
【0093】
また、検証に使用した検証装置600を継続契約後に使用し、検証装置600は契約データサーバー300に格納された契約情報を参照して動作するので、電力変換装置の導入時に費用を低減することができる。
【0094】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0095】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0096】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100…演算サーバー、200…クラウドサーバー、300…契約データサーバー、400…通信端末、500…外部ネットワーク、600…検証装置、800…システム、700…ユーザ端末、101…データ取得部、102…データ最適化演算部、103…データ表示演算部、104…データ管理部、900…3相交流電源、612…直流変換部、613…平滑コンデンサ、614…交流変換部、616…電流検出器、617…電流検出部、618…通信部、619…出力指令部、620…入出力部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10