(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009795
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】医療機器システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20250109BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024045996
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】2310335.1
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】アンデルソン, シモン フォークト
(72)【発明者】
【氏名】パズ, アドリア ホドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】モーク, ティナ
(72)【発明者】
【氏名】ニールスン, クリスティナ ブリクス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097CC19
(57)【要約】
【課題】 医療機器システムを提供する。
【解決手段】 医療機器システムは、管状医療機器と小径化機構を含む。管状医療機器は、近位端と遠位端を有する管状グラフト本体を含む。小径化機構は、医療機器を収縮するように構成され、第一及び第二の端を有し、第一の端と第二の端において医療機器に動かないように固定されるストランド片を含む。第二の端は、ストランド片に沿った経路によって第一の端から第一の円周方向の距離にある。医療機器の収縮構成において、ストランド片の第一の部分は折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、第一の尾部はグラフト本体に沿って円周方向に延び、ストランド片がストランド片の第一及び第二の端間の第一の円周方向の距離を制限することによって、医療機器を収集させる。
【選択図】
図1A-1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器システムにおいて、
近位端と遠位端を有する管状グラフト本体を含む管状医療機器と、
前記医療機器の直径を収縮させるように構成された小径化機構であって、ストランド片を含み、前記ストランド片の第一の長さは前記ストランド片の第一の地点から前記ストランド片の第二の地点まで延び、前記ストランド片の前記第二の地点は、前記ストランド片の前記第一の長さに沿った経路によって前記ストランド片の前記第一の地点から第一の円周方向の距離にある小径化機構と、
を含み、
前記医療機器の収縮構成で、前記ストランド片の前記第一の長さの第一の部分は折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、前記第一の二重線尾部は前記グラフト本体に沿って円周方向に延びて、前記ストランド片が前記ストランド片の前記第一及び第二の地点間の前記第一の円周方向の距離を制限することによって前記医療機器を収縮させる医療機システム。
【請求項2】
前記ストランド片の前記第一の地点は前記ストランド片の第一の端であり、前記ストランド片の前記第二の地点は前記ストランド片の第二の端であり、前記ストランド片の前記第一及び第二の端は任意選択により、前記第一の端及び前記第二の端において前記医療機器に保持される、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項3】
前記ストランド片の前記第一及び第二の端は前記医療機器に動かないように固定される、請求項2に記載の医療機器システム。
【請求項4】
前記収縮構成で、前記第一の尾部は前記グラフト本体の外側の一部に沿って二重線で円周方向に延びる、請求項1~3の何れか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ストランド片の前記第一の部分は前記第一の地点を通過してそれを円周方向に超えて二重線となり、前記第一の尾部及び第一のループを形成する、請求項1~4の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項6】
前記第一の円周方向の距離は横断方向であり、前記医療機器の第一の円周方向領域を画定し、前記医療機器の拡張構成において、前記ストランド片の少なくとも大部分が前記医療機器の前記第一の円周方向領域内に配置される、請求項1~5の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項7】
前記第一の円周方向の距離は横断方向であり、前記医療機器の第一の円周方向領域を画定し、前記医療機器の拡張構成において、前記第一の部分の少なくとも大部分が前記医療機器の前記第一の円周方向領域内に配置される、請求項1~6の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項8】
前記第一の円周方向の距離は横断方向であり、前記医療機器の第一の円周方向領域を画定し、前記収縮構成において、前記第一の部分は前記第一の円周方向領域の外に延びる、請求項1~7の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項9】
前記第一のループは、前記収縮構成で前記医療機器を保持するためにリリースメカニズムによって保持される、請求項1~8の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項10】
前記医療機器は、任意選択的に前記管状グラフト本体の前記近位端に取り付けられた少なくとも1つのステントを含むステントグラフトである、請求項1~9の何れか1項に記載の医療機器システム。
【請求項11】
前記第一の尾部は前記グラフト本体の壁を貫通し、前記第一のループはリリースメカニズムによって前記グラフト本体の内部に保持される、請求項1~10の何れか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記医療機器の収縮構成において、前記ストランド片の第二の部分は折り返されて第二のループにつながる第二の二重線尾部を形成し、前記第二の二重線尾部は前記グラフト本体に沿って円周方向に延び、前記ストランド片の前記第一及び第二の地点間で前記第一の円周方向の距離を制限することによって前記医療機器を収縮させる、請求項1~11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項13】
管状医療機器を収縮させる方法において、
前記医療機器は近位端と遠位端を有する管状グラフト本体を含み、
ストランド片を含む小径化機構を使用し、前記ストランド片の第一の長さは前記ストランド片の第一の地点から前記ストランド片の第二の地点まで延び、前記ストランド片の第二の地点は前記ストランド片の前記第一の長さに沿った経路によって前記医療機器の周囲で前記ストランド片の前記第一の地点から第一の円周方向の距離にあり、
前記ストランド片の前記第一の長さの第一の部分を引っ張り、第一のループと、前記第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成することと、前記第一の尾部を前記グラフト本体に沿って円周方向に延ばし、前記ストランド片の前記第一及び第二の地点間の前記第一の円周方向の距離を制限することによって前記医療機器を収縮させることを含む方法。
【請求項14】
前記ストランド片の前記第一の長さの第二の部分を引っ張って第二のループと前記第二のループにつながる第二の二重線尾部を形成することと、前記第二の尾部を前記グラフト本体に沿って円周方向に延ばし、前記ストランド片の前記第一及び第二の地点間の前記第一の円周方向の距離を制限することによって前記医療機器を収縮させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の尾部及び/又は前記第二の尾部を前記グラフト本体の外側の一部に沿って、その後、前記グラフト本体の壁を通って前記グラフト本体の内部へと延ばすことと、前記第一のループ及び/又は前記第二のループを前記グラフト本体の前記内部でトリガワイヤの周囲でループにすることと、を含む、請求項13~14の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管状グラフト本体を含む医療機器、任意選択的にステントを小径化するためのシステム及び小径化機構に関する。
【背景技術】
【0002】
胸部大動脈又は大動脈弓の動脈瘤や潰瘍は、ステントグラフト等の人工補綴物を適切な位置に挿入することによって治療できる。大動脈は湾曲していることから、ステントグラフト、特にステントグラフトの近位端を大動脈の湾曲に合わせることが望ましい。近位端を湾曲に沿わせるための1つの既知のステントグラフトシステムは、その内容は参照によってその全体が本明細書に援用される(特許文献1)において開示されているように、近位側アラインメントステントと、アラインメントステントの遠位側にあるシーリングステントを含み、小径化ループの第一の端がシーリングステントの遠位端に取り付けられ、ループはステントグラフトの円周方向に延び、ループの第二の端はトリガワイヤと係合する。特に、対向するループの2つの第一の端はステントに取り付けられ得て、ループはステントグラフトの周囲で反対方向に延び、これらのループの第二の端は相互に近付いて接触し、リリースワイヤと係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0211482号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0171437号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
管状の医療機器を含む医療機器を少なくとも部分的に圧縮する医療機器システムが開示され、この医療機器は、近位端と遠位端を有する管状グラフト本体と、医療機器の直径を圧縮するように構成された小径化機構と、を含み、小径化機構は、第一及び第二の端を有し、第一の端及び第二の端において医療機器に固定されるストランド片を含み、第二の端はストランド片に沿った経路によって第一の端から第一の円周方向の距離にあり、医療機器の収縮構成では、ストランド片の第一の部分が折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、第一の二重線尾部はグラフト本体に対して円周方向に延びて、ストランド片がストランド片の第一及び第二の端間の第一の円周方向の距離を制限することによって医療機器を収縮させる。
【0005】
ストランド片の第一及び第二の端は医療機器に動かないように固定され、ストランド片の第一の部分は第一の端を通過して、円周方向にそれを超えて二重線で延び、第一の尾部及び第一のループを形成する。第一の円周方向の距離は横断方向であり、医療機器の第一の円周方向領域を画定し、医療機器の拡張構成では、ストランド片の少なくとも大部分が医療機器の第一の円周領域内に配置される。さらに、医療機器の拡張構成では、第一の部分の少なくとも大部分は医療機器の第一の円周方向領域内に配置される。収縮構成では、第一の円周方向の距離は横断方向であり、医療機器の第一の円周方向領域を画定し、収縮構成では、第一の部分は第一の円周方向領域の外へと延びる。第一のループはリリースメカニズムによって保持され、これは医療機器を収縮構成に保つ1つ又は複数のトリガワイヤであり得る。
【0006】
拡張構成では、ストランド片の第一及び第二の端は、ステントグラフトの相互に排他的な第一及び第二の円周方向領域を画定し、ステントグラフトの第一の円周方向領域はストランド片の第一の端から第二の端へと延びる。さらに、医療機器の拡張構成では、第一の円周方向領域は医療機器の円周の少なくとも1/7、好ましくは医療機器の円周の少なくとも1/2、最も好ましくは1/2~5/6の範囲にわたって延びる。
【0007】
医療機器は、管状グラフト本体に取り付けられた少なくとも1つのステントを含むステントグラフトであり得る。ステントは、最も近位側の本体ステントであり得、ストランド片はステントの遠位端において管状グラフト本体に取り付けられ得る。ストランド片はステントの遠位側頂点と係合してステントの遠位端を収縮させる。
【0008】
さらに、近位端と遠位端を有する管状グラフト本体を有する医療機器のための小径化システムが開示され、これは、管状グラフト本体の周囲の、管状グラフト本体の近位端の付近に配置されて管状グラフト本体と少なくとも部分的に重なるステントと、ステントの直径を収縮させるように構成された小径化機構と、を含み、小径化機構は、第一及び第二の端を有するストランド片を含む。第一の端はステントに、ステント上の第一の地点で取り付けられ、第二の端はステントに、第一の地点から円周方向に離間された第二の地点で取り付けられて、ストランド片に沿った第二の端までの経路によって第一の端から第一の円周方向の距離を画定する。拡張構成では、第一の円周方向の距離は横方向で、管状グラフト本体の第一の円周方向領域を画定し、その中にストランド片の大部分が配置され、医療機器の収縮構成では、ストランド片の第一の部分は折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、ストランド片の第二の部分は折り返されて、第二のループにつながる第二の二重線尾部を形成する。さらに、収縮構成では、第一の二重線尾部と第二の二重線尾部はグラフト本体の表面付近で円周方向に反対方向に延びて、ステントを収縮させ、ストランド片の第一及び第二の端間の円周方向の距離を短縮する。第一及び第二のループは少なくとも1つの解放可能ワイヤと係合し、これはトリガワイヤであり得る。
【0009】
収縮構成では、ストランド片は管状グラフトを完全に取り囲み、拡張構成では、グラフトを一部のみ取り囲む。ストランド片は、管状グラフト本体になみ縫いの状態で取り付けられ、第一の端は第一の頂点に永久的に動かないようにノットで固定され、第二の端は第二の頂点に永久的に動かないようにノットで固定される。拡張構成では、ステントは第一の円周方向領域内の第一の遠位側頂点と、第一の円周方向領域内の第二の遠位側頂点と、第一及び第二の遠位側頂点間の、第一の円周方向領域の外に配置された第三の遠位側頂点を有し、第一の端は第一の遠位側頂点に固定され、第二の頂点は第二の遠位側頂点に固定される。
【0010】
ストランド片は小径化ストランド、例えばある長さの縫合糸等であり得、これは管状本体に管状本体上の1つの点で動かないように取り付けられた第一の末端と、管状本体の、第一の点から円周方向に離間された点に動かないように取り付けられて、第一及び第二の点間にある長さの小径化ストランドを画定する第二の末端を有する。収縮構成で、小径化ストランドの第一の端における第一の部分が折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、小径化ストランドは管状本体の周囲に円周全体に沿って配置され、解放可能ワイヤは第一のループと係合し、拡張構成では、小径化ストランドは本体の周囲に円周の一部のみに沿って配置され、解放可能ワイヤが解放されると、第一のループはそのループ構成から解かれる。収縮構成では、小径化ストランドの第二の端における第二の部分が折り返されて、解放可能ワイヤと係合する第二のループにつながる第二の二重線尾部を形成し、解放可能ワイヤが解放されると、第二のループはそのループ構成から解かれる。
【0011】
また、近位端と遠位端を有する管状グラフト本体を含む管状医療機器と、医療機器の直径を収縮させるように構成された小径化機構と、を含む医療機器も記載され、小径化機構はストランド片を含む。医療機器の収縮構成では、ストランド片の第一の部分は折り返されて、第一のループにつながる第一の二重線尾部を形成し、第一の二重線尾部はグラフト本体に対して円周方向に延びて、医療機器の直径を収縮させる。
【0012】
本発明の選択された実施形態を、添付の図面を参照しながら、あくまでも例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A-1D】各々、小径化機構を有するステントグラフトの、ステントグラフトが拡張構成にあるときのステントグラフトの様々な面からの部分図である。
【
図2】
図1の小径化機構を有するステントグラフトの近位端のシステムの、拡張構成での断面図である。
【
図3】
図1の小径化機構を有するステントグラフトの近位端の、収縮構成での断面図である。
【
図4】トリガワイヤと
図1の小径化機構との結合を示す。
【
図5】トリガワイヤと小径化機構との結合の他の例の図である。
【
図6】
図1の小径化機構の、ステントグラフトが収縮構成にあり、送達装置に取り付けられたときの図である。
【
図8】ステントグラフトの他の小径化機構の、収縮構成にあり、送達装置に取り付けられたときの端面図である。
【
図9A】ステントグラフトの他の小径化機構の、収縮構成にあり、送達装置に取り付けられたときの端面図である。
【
図9B】
図9Aの実施形態によるステントグラフの近位端の、収縮構成での断面図である。
【
図10A-10D】各々、本発明の他の実施形態による小径化機構を有するステントグラフトを示す。
【
図11】
図10のステントグラフトの近位端の、拡張構成での断面図を示す。
【
図12】
図10のステントグラフトの近位端の、収縮構成での断面図を示す。
【
図13】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図14】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図15】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図16】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図17】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図18】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図19】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【
図20】本発明による小径化機構を有するステントグラフトの近位端の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面及び現時点で好ましい実施形態の照明な説明
本発明の各種の実施形態は、後で詳しく説明するように、大動脈弓の湾曲部におけるバードビーク構成(ステントグラフトの留置不全)の防止に役立ち、それゆえ処置の成功率が上がる。また、本発明の小径化機構はステントグラフトの一部又は全部を収縮させるために使用され得て、ステントグラフトを回転させ、正しく位置決めし、位置を再調整することが可能となる。
【0015】
図1A、1B、1C、1Dの各々は、医療機器の直径を縮小するための小径化システムを示す。図のように、システム10は、ステントグラフト12の形態の管状の医療機器を含む。ステントグラフト12は、人の血管、例えば胸部大動脈及び/又は大動脈弓に移植されるためのものである。
図1A、1B、1C、1Dの各々はステントグラフトを、ステントグラフトが完全に拡張した状態で、ステントグラフトの様々な面から示している。ステントグラフト12は、近位側開放端16と遠位側開放端(図示せず)を含む管状グラフト本体14と、近位及び遠位端間の内部ルーメンと、グラフト壁と、を含む。図のように、ステントグラフト12は、グラフト本体14に取り付けられてそれを支持する複数の本体ステント18を含む。本体ステント18の各々は、グラフト本体14のルーメンの開存性を支持するためのリング状又は中空のシリンダを形成する。図のように、本体ステント18はZ型ステントであり、それぞれ近位端と遠位端を有し、ストラットはステントの近位端の複数の近位側頂点とステントの遠位端の複数の遠位側頂点とをつなぐ円周に沿ったジグザグパターンである。しかしながら、その他の種類の本体ステントも使用できる。本体ステントは、ステントグラフトの内側にあっても、ステントグラフトの外側にあっても、それらの組み合わせであってもよい。代替的に、本体ステント18は全くなくすこともできる。
【0016】
ステントグラフトは、グラフト本体14の近位端16にあってそれを支持するシーリングステント20を含む。シーリングステント20は、近位端においてグラフト本体14のルーメンの開存性を支持するためのリング状又は中空のシリンダを形成する。シーリングステントの少なくとも大部分がグラフト本体14と重複する。図のように、シーリングステント20はグラフト本体14と全体が重複する。シーリングステント20は近位端と遠位端を有するZ型ステントであり、ストラットはステント20の近位端の複数の近位側頂点とステント20の遠位端の複数の遠位側頂点とをつなぐ円周に沿ったジグザグパターンである。それでも、他の実施形態では、他の種類のステントをシーリングステントに使用できる。図のように、シーリングステントは内側ステントであるが、他の実施形態では外側ステントとすることもできる。シーリングステント20は、グラフト本体14に1つ又は複数の縫合糸により取り付けられるが、他の実施形態では、他の種類の取付も使用できる。
【0017】
ステントグラフト12はまた、図に示されるように露出ステント22も含み得るが、これは全ての実施形態で必要というわけではない。露出ステント22は近位端と遠位端を有し、ジグザグパターンのストラットがステント22の近位端の複数の近位側頂点とステント22の遠位端の複数の遠位側頂点とをつなぐ。遠位側頂点はグラフト本体14の近位端16においてグラフト本体14に取り付けられ、露出ステント22はグラフト本体14の近位側に延びる。図のように、露出ステント22の近位側頂点は、その遠位側頂点より丸みを帯び、より大きい曲率半径を有して、展開された時に血管壁にかかる圧力を軽減させる。近位側及び遠位側頂点が異なる曲率半径を有するステントは(特許文献2)において開示されており、この開示の全体を参照によって本明細書に援用する。例えば、近位側頂点の曲率半径は約3.0mm~約10.0mmであり得、遠位側頂点の曲率半径は約0.5mm~約1.75mmの範囲であり得る。ステントグラフト12のステントは自己拡張型、バルーン拡張型、又は自己拡張型及びバルーン拡張型ステントの組み合わせであり得る。
【0018】
システム10は、グラフト、特にシーリングステント20を収縮させるための小径化機構を含むが、この機構はステントの何れにも適用可能である。小径化機構はストランド片24、例えばここで示されるようにある長さの縫合糸を含む。ストランド片24は、第一の末端26と第二の末端28を有し、これらは図のように長さ方向に同じ高さにあり得る。換言すれば、第一及び第二の端26、28は、ステントグラフトの近位縁から長さ方向に同じ距離に配置された縫合糸のストランド長さ方向に同じ高さの端である。ストランド片24は好ましくは、第一の端26及び第二の端28において、それぞれシーリングステント20にノットで結合されることによって、好ましくは動かないように固定されるが、第一及び第二の端はステントグラフトに他の方法で動かないように固定することもできる。第一及び第二の端26、28はまた、グラフト材料のみに、又はグラフトとステントの両方に固定され得る。理解されるように、ストランド片24がステントグラフトに第一の端26及び第二の端28において動かないように固定されることにより、本明細書に記載されているように、機器の使用中にストランド片が引っ張られたときに、第一及び第二の端26、28がステントグラフトに関して移動することが防止されるが、これらの端がステントグラフトから外的手段によって取り外し可能であることも必ずしも排除されない。ストランド片24がステントグラフトに第一の端26及び第二の端28において動かないように固定されることは、ストランド片が引っ張られたときに端をステントグラフトに保持する役割を果たす。
【0019】
図2に示されるように、ステントグラフトが拡張構成にあるとき、第二の端28はステントグラフトに、ステントグラフト上の、ストランド片に沿った経路によって第一の端26における取付点25から第一の円周方向の距離だけ離れた1つの地点27において固定される。換言すれば、第一の端26から第二の端28へとストランド片24に沿って進むと、第一の端26からの第一の円周方向の距離だけ離れて終了することになる。それによって第一の円周方向の距離は横断方向であり、ステントグラフトの第一の円周方向領域30を画定し、ストランド片は、第一の端26と第二の端28との間で円周方向にステントグラフトの第一の円周方向領域30を取り囲む。このようにして、ステントグラフトが拡張構成にあるとき、ストランド片24の第一及び第二の端26、28は、それらの間のステントグラフトの相互に排他的な第一及び第二の円周方向領域30及び30’を画定し、ステントグラフトの第一の円周方向領域30はストランド片の第一の端26から第二の端28までであり、第二の円周方向領域30’はステントグラフトの円周の残りの部分である。
【0020】
図2において、ストランド片24は、拡張構成にあるステントグラフトの円周の約4/5を取り囲むように示されている。すなわち、第一の円周方向領域30がステントグラフトの円周の約4/5にわたって延びる。
【0021】
しかしながら、他の実施形態において、ストランド片24はステントグラフトの拡張構成で円周の異なる割合を取り囲み得て(、第一の円周方向領域は円周の異なる割合にわたって延び得て)、これは好ましくは円周の少なくとも1/7、より好ましくは少なくとも1/2、最も好ましくは1/2~5/6の範囲である。
【0022】
図1に示される拡張構成では、ストランド片は第一の端26から第二の端28へと円周方向に延びる。その場合、ステントグラフトの任意の半径とストランド片24上のある点までのステントグラフトの半径との間の角度は、その点がストランド片24に沿って第一の端26から第二の端28に移動するにつれて単調に増大すると考えることができる。換言すれば、拡張構成では第一の端から第二の端までのストランド片24の全体が第一の円周方向領域30内に配置される。
【0023】
第一の端と第二の端は長さ方向に同じ高さであるため、拡張構成ではストランド片24は第一の端26から第二の端28まで同一平面内に延びる。この平面は、ステントグラフトの長さ方向軸に垂直である。これによって機器のプロファイルが最小化され、ループのたるみが回避される。ストランド片24は、ステントグラフトの拡張構成で緩んだままであるが、グラフトの拡張時の直径と合うように縫い付けられている。換言すれば、ストランド片24の長さは、ステントグラフトが拡張構成にあるときのストランド片24の第一の端からストランド片24の第二の端までの円周方向の距離より若干長い(超過分は5%以下)。このようにして、ストランド片が拡張を阻止することはなく、しかも余分な縫合糸もない。
【0024】
ストランド片24は、その第一及び第二の端26、28を含めて、シーリングステント20の一部、好ましくはシーリングステント20の遠位端に配置され、それを収縮させるように構成される。特に、ストランド片24は、シーリングステント20の遠位側頂点に配置され、それを収縮させるように構成される。ストランド片はグラフトの周囲に、シーリングステント20の遠位側頂点の大部分を通じて配置される。例えば、ストランド片は、グラフト材料に遠位側頂点の大部分を通じてなみ縫い式に取り付けられる。
【0025】
図2は、
図1のステントグラフトシステム10の、遠位方向に見たストランド片24の領域における断面図を示す。
図1及び2に示されるように、第一の端26から第二の端28に、ストランド片24は概してグラフト本体14の外側に沿って延びるが、例外としてシーリングステント20の、それが通過する各遠位側頂点では第二のストラットの内側に沿って延び(第二の端28が取り付けられている頂点を除く)、ストラットの片側でグラフト本体14の内部へと貫通し、ストラットの反対側でグラフト本体14の外側に戻ってから、グラフト本体14の外側で次の頂点へと延びる。第二の端28が取り付けられている頂点に関しては、ストランド片は上述のように第一のストラットの内側に沿って通過し、その後、第二のストラットにノットで固定される。
【0026】
図1~2に示されるように、ステントグラフトの拡張構成では、第一の端26と第二の端28は円周方向に離間され、全ての実施形態で必要というわけではないが、ストランド片の第一の端26から第二の端28までの長さは拡張構成のステントグラフト12の円周より小さい。その結果、ステントグラフトの拡張構成で、幾つかの頂点と間隔部分にはストランド片がない。
図1のステントグラフトの拡張構成での直径は40~42mmであり、シーリングステント20には7つの遠位側頂点と7つの近位側頂点があるが、何れの拡張構成も使用でき、頂点の数は全ての実施形態で同じである必要はなく、これについては後で詳しく説明する。
【0027】
図のように、シーリングステント20の6つの遠位側頂点とそれらの間の5つの遠位側頂点間部分は縫い付けられている(本明細書において、縫い付けられた頂点/頂点間部分とは、ステントグラフの拡張構成で第一の円周方向領域30内にあってストランド片24がそこを通過するものであり、頂点の場合、
図2に示されるように、好ましくはストランド片がそのストラットの周囲に縫い付けられる)。同じく
図2に示されているように、シーリングステント20の1つの遠位側頂点31は、それに隣接する2つの遠位側頂点間部分23、25(及び2つの近位側頂点)と共に自由である(本明細書において、自由な頂点/頂点間部分とは、ステントグラフトの拡張構成において第一の円周方向領域30の外にあり、換言すれば、第二の円周方向領域内にあって、ストランド片がない、すなわちストランド片がそこを通過しないものである)。これによって、第一の円周方向領域の円周方向の範囲と第二の円周方向領域の円周方向の範囲と比は約5:2となる。
【0028】
図2に示されているように、ストランド片の第一及び第二の端26、28は、自由な遠位側頂点31に隣接し、その両側にある遠位側頂点に、特に自由な遠位側頂点31に隣接するそのストラットにノットで固定される。
【0029】
ステントグラフトの収縮構成が
図3に示されている。収縮構成では、ストランド片の第一の部分32は折り返されて、第二のループ36につながる第一の二重線尾部34を形成する。特に、第一の円周方向領域30から、第一の部分32は第一の端26を通って第一の円周方向領域30の外に出て第二の円周方向領域へと延び、そこで第一の端26を円周方向に超えて二重になり、第一の尾部34と第一のループ36を形成する。図のように、第一の尾部34はグラフト本体に沿って、すなわちグラフト本体の表面に沿って、この実施形態ではグラフト本体14の外側の一部に沿って二重線で円周方向に延び、ストランド片がストランド片24の第一及び第二の端26、28間の第一の円周方向の距離を制限することによってステントを収縮させる。特に、第一の部分32が第二の円周方向領域の中へと延び、二重線になることによって第一の円周方向領域30内に配置されるストランド片24の長さが短くなり、それによって第一の円周方向領域30が強制的に収縮させられる。
【0030】
同様に、
図3に示されるように、ストランド片24の第二の部分38は折り返されて、第二のループ42につながる第二の二重線尾部40を形成する。特に、第一の円周方向領域30から、第二の部分38は第二の端28を通過し、第一の円周方向領域30の外に出て第二の円周方向領域に入り、そこで第二の端28を円周方向に超えて二重になり、第二の尾部40と第二のループ42を形成する。第一の尾部34と同様に、第二の尾部40はグラフト本体14に沿って、すなわちグラフト本体の表面に沿って、この実施形態ではグラフト本体14の外側の一部に沿って二重線で円周方向に延び、ストランド片24がストランド片の第一及び第二の端26、28間の第一の円周方向の距離を制限することによってステントを収縮させる。特に、第二の部分38が第二の円周方向領域の中へと延び、二重線になることによって第一の円周方向領域30内に配置されるストランド片24の長さが短くなり、それによって第一の円周方向領域30が強制的に収縮させられる。図のように、第一及び第二の尾部34、40の各々の大部分はグラフト本体14の外面に沿っている。さらにわかるように、第一及び第二の尾部34、40はグラフト本体14に沿って円周の向きで反対方向に延び、これは、第一の尾部34に沿った第一のループ36に向かう遠位方向が、円周方向から第二の尾部40に沿った第二のループ42への円周方向とは反対の円周の向きであることを意味する。
【0031】
図3に示されるように、第一及び第二の尾部34、40はグラフト本体14の壁を貫通してグラフト本体の内部に入り、それによって第一及び第二のループ36、42はグラフト本体の内部にある。図のように、第一及び第二の尾部34、40は自由な遠位側頂点31のストラット間でグラフト本体14の壁を貫通し、この遠位側頂点31は保持頂点31と呼ぶことができ、これは、そこで尾部が壁を貫通して保持されるからである。保持頂点31は、この実施形態では、ステントグラフトが湾曲した人体の血管内に留置されるときに湾曲部の外側にあるように構成される。ステントグラフトの収縮構成で示されるように、シーリングステント20の遠位側頂点の各々は内側か外側かのいずれにせよストランド片と重なる。しかしながら、これは、好ましくはあるが全ての実施形態で不可欠というわけではない。
【0032】
展開させるために、イントロデューサアセンブリは、グラフト本体14のルーメンを通るトリガ又はリリースワイヤ44を含むリリースメカニズムを含む。ステントグラフトの収縮構成では、第一及び第二のループ36、42はトリガワイヤ44によってグラフト本体14の内部に保持されてロックされ、ステントグラフトを収縮構成に保つ。しかしながら、第一及び第二のループ36、42はトリガワイヤ44によってグラフト本体14の外部に保持されてロックされ、ステントグラフトを収縮構成に保ち得る。さらに、第一及び第二のループ36、42は、トリガワイヤ44によってグラフト本体14の内部と外部の両方に保持されてロックされ、ステントグラフトを収縮構成に保持し、例えばこの場合、トリガワイヤはグラフト本体のグラフト材料の中と外でその長さに沿って延びる。
図4に示されるように、トリガワイヤ44は両方のループ36、42を通る。しかしながら、他の実施形態では
図5に示されるように、一方のループ(ループA)をもう一方のループ(ループB)に通すことができ、トリガワイヤをループAに通すことができる。
【0033】
図5では、ループAは第一のループ36であり、ループBは第二のループ42であるが、これらは他の実施形態では逆とすることもできる。
図6~7及び9は、送達状態の
図1のシステムとイントロデューサアセンブリを含む機構を示し、イントロデューサアセンブリは送達装置を含み、その上にステントグラフトが収縮構成で取り付けられている。送達装置はウレタンチューブ(UAT)50と、UAT 50の、処置中に医師から最も遠い端に連結されたノーズコーン52を含む。UAT 50はグラフト本体14のルーメンを通り、ステントグラフト12はUAT 50の周囲で収縮している。
【0034】
例えば
図7に示されるように、露出ステント22はUATのその近位側頂点に従来の方法で露出ステントトリガワイヤ54を使って保持され、それはUATを通り、UATから出るように延びてUATの1つ又は複数の近位側頂点の周囲でループになり、UATに戻ってUATの中に延びてUATの中又はノーズコーン52の中に固定される。ここでは、トリガワイヤ44は露出ステントトリガワイヤ54とは別であるが、他の実施形態では、トリガワイヤ44はまた、露出ステントトリガワイヤの機能も果たすことができる。図のように、トリガワイヤ44はグラフトの内側でUATに取り付けられる。トリガワイヤ44は、操作部(図示せず)からUATを通って延び、上述のようにステントグラフトの領域内でUATから出てループ36、42を通過し、UATに戻ってUATの中に延びてUATの中又はノーズコーン52の中に固定される。
【0035】
しかしながら、他の実施形態では、トリガワイヤ44はUATの中に延びるのではなくその側面に固定でき、又はそれがUATに当てて、若しくはその中に保持されるのではなく、
図7の機構とそれ以外は同じである
図8に示されるようにUATとは独立していてノーズコーン52に固定されるという点で「浮動式」とすることができる。「浮動式」のトリガワイヤにより、トリガワイヤは任意選択的に第一及び第二のループ36、42をグラフト本体14の外側に保持でき、この場合、第一及び第二の尾部34、40はグラフト本体の壁を貫通する必要がない。図のように、トリガワイヤ44はループ36、42を、これらが大動脈に導入される際に湾曲部の外側に載るように保持する。
【0036】
第一及び/又は第二のループがトリガワイヤによってグラフト本体の外側に保持されてロックされる場合、第一及び/又は第二のループを保持するためのトリガワイヤはグラフト本体の外側に沿って延びることができる。このような実施形態によるシステムの一例が
図9Aに示されており、これは
図9の実施形態と同じであるが、第一及び第二のループ236、242がグラフト本体14の外にあり、第一及び第二のループ236、242を保持するためのトリガワイヤ44’がグラフト本体14の外側に沿って長さ方向に延びる点が異なる。
図9Aからわかるように、トリガワイヤ44’の大部分はグラフト本体14の外側にあるが、トリガワイヤ44’は各本体ステント18においてグラフト本体14の内部を通り、それによって本体ステント18の各々がグラフト本体の中を通り、本体ステント18がトリガワイヤ44’の障害となることが回避される。それに加えて、
図9Aの実施形態では、トリガワイヤ44’の端70が、UAT又はノーズコーン内ではなく、グラフト本体14の表面上で終わり、そこに固定される。代替的に、トリガワイヤ44’がUATの中に延びて、UAT内又はノーズコーン52内に固定されるようにすることもできる。
【0037】
図9Bは、
図9Aの実施形態のシステムの断面図を示し、この断面は、ステントグラフトが収縮構成であるときのステントグラフトシステムのストランド片の領域を通り、遠位方向から見たときのものである。ここでわかるように、第一及び第二のループ236、242はトリガワイヤ44’によってステントグラフトの外側に保持されてロックされる。
【0038】
ステントグラフトシステムの製作方法において、ステントグラフトは拡張構成で提供され、ストランド片は針又はその他の適切なツールを使ってステントグラフトに取り付けられて、
図1に示されるシステムが形成される。ステントグラフトシステムを製作し、ステントグラフトを収縮させるための材料及びツールは、ステントグラフトの製造のための標準的な材料及びツールとすることができる。この方法では、ステントグラフトが例えば
図1に示されるように拡張構成であるときに、ストランド片の全てが第一の円周方向領域30の中に配置される。この方法は、ストランド片24の第一の部分32を引っ張って第一のループ36と第一のループ36につながる第一の二重線尾部34を形成することを含む。この方法は、従来のスタイレット又はパート(pert)を使って(ただし、他の実施形態では他のツールも使用できる)第一の端26の付近のストランド片24をグラフト本体14の表面から持ち上げ、それによって第一の部分32と第一のループ36を形成する輪を作ることを含む。すると、第一のループ36はスタイレット又はパート(pert)によって引っ張られ、それによってストランド片24のより多くの部分が第一の部分32に引き込まれて、ステントグラフトが収縮し、第一の尾部34ができる。
【0039】
方法は、第一のループ36をさらに引っ張り、円周方向に第一の端26を超えて第一の円周方向領域30から出て第二の円周方向領域に入るようにすることと、第一の尾部34を第二の円周方向領域の中でグラフト本体に沿って円周方向に、この実施形態ではグラフト本体14の外側の一部に沿って延ばすことを含む。前述のように、これによってストランド片24の第一及び第二の端間の第一の円周方向の距離が制限されてステントが収縮する。この方法はまた、ストランド片24の第二の部分38を引っ張って、第二のループ42と、第二のループ42につながる第二の二重線尾部40を形成することも含む。
【0040】
方法は、スタイレット又はパート(pert)を使って第二の端28の付近のストランド片24をグラフト本体14の表面から持ち上げ、それによって第二の部分38と第二のループ42を形成する輪を形成することを含む。すると、第二のループ42はスタイレット又はパート(pert)によって引っ張られ、それによってストランド片24のより多くの部分が第二の部分38に引き込まれて、ステントグラフトが収縮し、第二の尾部40ができる。
【0041】
第一のループ36と同様に、方法は、第二のループ42をさらに引っ張り、円周方向に第二の端28を超えて第一の円周方向領域30から出て第二の円周方向領域に入るようにすることと、第二の尾部40を第二の円周方向領域の中でグラフト本体に沿って円周方向に、この実施形態ではグラフト本体14の外側の一部に沿って延ばすことを含む。前述のように、これによってストランド片24の第一及び第二の端間の第一の円周方向の距離が制限されてステントが収縮する。この方法は、第一の尾部34と第二の尾部40を、グラフト本体の壁を通ってグラフト本体の内部へと延ばすことと、前述のように第一のループ36と第二のループ42をグラフト本体の内部でトリガワイヤ44の周囲でループ状にすることを含む。
【0042】
使用時に、ステントグラフトシステムは血管内、この実施形態では大動脈内に、収縮構成のステントグラフトが管腔内的に従来の方法で導入される。ステントグラフトが所望の展開位置に到達したところで、ステントグラフトを、例えばシース(図示せず)を引き戻すことによって途中まで展開させることができる。その後、トリガワイヤ44を引き戻すことによってステントグラフトを血管内で完全に展開させて、留置できる。
【0043】
トリガワイヤがループ36、44から引き戻されると、シーリングステント20は自由に拡張でき、それによってステントグラフト12が拡張構成へと拡張し、血管壁と並置される。これは自動的に行われ、それはステントが自己拡張型ステントであるからであるが、他の実施形態では、シーリングステント20及び/又は他のステントは、例えばバルーンを使って拡張され得る。
【0044】
シーリングステント20が拡張すると、第一及び第二の尾部34、40はグラフト本体14の内部から引き出され、第一及び第二の部分32、38は第一の円周方向の領域30の中へと再び引っ張られる。この引き戻しによって、拡張中も、ループ36、42がステントグラフトの内部から回収されている間に機器がロープロファイルに保持され、それによってストランド片及びループと他のコンポーネントとの望ましくない接触の可能性が低くなる。
【0045】
図10A、10B、10C、10Dの各々は、本発明の他の実施形態によるシステムを示しており、ステントグラフトは拡張構成にある。
図10A~10Dの実施形態は製造及び使用の詳細事項も含めて
図1A~1Dの実施形態と同じであるが、ステントグラフトの拡張構成での直径が44~46mmであり、シーリングステントが8つの遠位側頂点と8つの近位側頂点を有することが異なる。
図1A~1Dの実施形態のシステムと同様に、ステントグラフトが拡張構成のときに自由な遠位側頂点は1つのみであり(それに隣接する2つの遠位側頂点間部分も自由である)、これは、この実施形態では縫い付けられた7つの遠位側頂点と縫い付けられた6つの遠位側頂点間部分があることを意味し、第二の円周方向領域の円周方向の範囲と第一の円周方向領域の円周方向の範囲との比率は1:3である。
図11は、拡張構成での
図10のシステムの断面図を示す。
図11は、
図10のステントグラフトシステムの、ストランド片の領域における断面であり、遠位方向に見ている。
【0046】
図12は、
図10A~10Dのシステムの、
図11と同じ視点からの断面を示すが、ステントグラフトは収縮構成にある。図のように、収縮構成は
図1A~1Dの実施形態と同様にして形成され、構成される。
【0047】
図13は、
図1A~1Dの実施形態によるシステムの断面図であり、この断面はステントグラフトシステムの、ストランド片の領域を通るもので、ステントグラフトが収縮構成にあり、遠位方向に見ている。
図13(及び
図14~18)に示されているように、シーリングステントの縫い付けられた遠位側頂点/頂点間部分の数は様々とすることができる。それに加えて、シーリングステントの自由な遠位側頂点/頂点間部分の数もまた様々とすることができる。例えば、シーリングステントの自由な遠位側頂点は1つより多いか1つ未満で、自由な遠位側頂点間部分は2つとすることもできる。ステントグラフトの拡張構成では、第二の円周方向領域内のシーリングステントの遠位側頂点(すなわち、自由な遠位側頂点)の数と第一の円周方向領域内の遠位側頂点(すなわち、縫い付けられた遠位側頂点)の数との比は用途に応じて決定され得る。しかしながら、好ましくはこの比は1:2~1:7の範囲であり、これはほとんどの用途をカバーする可能性があるからである。ステントグラフトが拡張構成にあるときの第二及び第一の円周方向領域の円周方向の範囲間の好ましい比は、1:2~1:5である。ステントグラフトが拡張構成であるときの第二の円周方向領域内のシーリングステントの遠位側頂点間部分の数と第一の円周方向領域内にあるシーリングステントの遠位側頂点間部分の数との好ましい比は、1:2~1:5である。この比は、添付の図面に描かれている構成の何れでも実現できる。
【0048】
遠位側頂点の総数の異なるシーリングステントのステントグラフトの拡張構成での自由な遠位側頂点間部分(第二の円周方向領域内)対縫い付けられた遠位側頂点間部分(第一の円周方向領域内)の数の例を下表に示す。
【0049】
【0050】
図のように、
図13の実施形態では、ステントグラフトの収縮構成において第一及び第二の尾部34、40が合わせて2つの遠位側頂点間部分にわたっている。好ましくは、第一及び第二の尾部34、40は、前述のシステムと同様に、ステントグラフトの収縮構成で、それらがグラフト本体14に沿って同じ距離だけ延び、シーリングステント20の同じ数の頂点と重複するという点で対称に配置される。しかしながら、他の実施形態では、これらを非対称にも配置できる。例えば、これらはグラフト本体14に沿って異なる長さだけ延ばすことができ、及び/又は尾部の一方がシーリングステント20の自由な遠位側頂点全体又は一部にわたるようにし、他方の尾部はそうでないようにすることができ、及び/又はシーリングステント20の自由な遠位側頂点が複数ある場合、一方の尾部が他方の尾部より多くの自由な遠位側頂点にわたるようにすることができる。一方の尾部がわたるシーリングステント20の自由な遠位側頂点間部分を他方の尾部より多くすることができる。
【0051】
さらに、上述の実施形態では第一及び第二の尾部34、40を形成する第一及び第二の部分32、38があるが、幾つかの実施形態では、1部分のみを使って1つの尾部及びループを形成することも可能である。また、他の実施形態では、各々が本明細書で説明するように構成されたステントグラフトの円周の異なる部分に沿った複数のストランド片を使用し、それによって何れの数の尾部及びループでも、ただし好ましくはステントグラフトの収縮構成でシーリングステントの全ての遠位側頂点とストランド片が重複するようにして作ることができる。
【0052】
1つの尾部と1つのループを使用するシステムの一例が
図14に示されている。
図14は、ステントが収縮構成にあるときの、ステントグラフトシステムのストランド片24’の領域を通る断面であり、遠位方向に見ている。
図14の実施形態は、製造及び使用の詳細事項も含めて
図1又は
図10の実施形態と同じであるが、以下の点が異なる。図のように、第二の部分、第二の尾部、及び第二のループはこの例にはない。第一の部分32、第一の尾部34、及び第一のループ36は
図1のシステムと同じであるが、この例では完全に自由な頂点がない。
【0053】
図14に示されるように、保持頂点31’は部分的に自由である(換言すれば、これは一部が第一の円周方向領域内にあり、一部が第二の円周方向領域内にある)。シーリングステントの遠位側頂点間部分のうちの1つのみが自由であり、これは保持頂点31’に隣接している。特に、ストランド片24’の第二の端28’は、保持頂点31’の一方のストラット上にあり、他方のストラットは自由である。
図14に示されるように、収縮構成において、第一の尾部34は保持頂点31’の自由なストラット上で自由な遠位側頂点間部分を通り、保持頂点31’のストラット間でグラフト本体14の壁を通過し、そこでこれはトリガワイヤ44(
図14では図示せず)によってグラフト本体14の内部に保持される。したがって、ステントグラフトの収縮構成では、第一の尾部は1つの遠位側頂点間部分にわたる。
【0054】
図15は、製造と使用の詳細事項を含めて
図14の実施形態と同じ実施形態によるシステムの図であるが、相違点は以下の通りである。
図15はステントグラフトが収縮構成にあるときのステントグラフトシステムのストランド片の領域を通る断面であり、遠位方向に見ている。
図15のシステムにおいて、部分的に自由である保持頂点31’に加えて、ストランド片の第一の端26と保持頂点31’との間に完全に自由な第二の遠位側頂点56もある。したがって、シーリングステントの自由な遠位側頂点間部分は2つあり、どちらも保持頂点31’と同じ側で、それぞれが第二の頂点56の各々の側にある。前述のように、自由な遠位側頂点/頂点間部分が意味するものは、シーリングステントの、第二の円周方向領域内にあり、したがってステントグラフト12の拡張構成でストランド片24が及ばない遠位側頂点/頂点間部分である。
【0055】
図15に示されるように、ステントグラフト12の収縮構成において、第一の尾部34’は第二の頂点56を通るように縫い付けられる。換言すれば、第一の尾部34’の大部分がグラフト本体14の外側に沿ってストランド片24の第一の端26から保持頂点31’まで延びるが、これは第二の頂点56の第一のストラットの内側に沿って通り、ストラットの片側でグラフト本体14の内部へと貫通し、ストラットの反対側でグラフト本体14の外側に戻り、その後、グラフト本体14の外側の保持頂点31’へと延びる。換言すれば、第一の尾部34’は、ステントグラフトの収縮構成において1.5の遠位側頂点と2つの遠位側頂点間部分にわたる。
【0056】
図16は、製造と使用の詳細事項を含めて
図15の実施形態と同じ実施形態によるシステムの図であるが、相違点は以下の通りである。
図16はステントグラフトが収縮構成にあるときのステントグラフトシステムのストランド片の領域を通る断面であり、遠位方向に見ている。
【0057】
図15のシステムからさらに、
図16のシステムは追加的に
図1のシステムの第二の部分38、第二の尾部40、及び第二のループ42を含み、
図1にしたがって、ストランド片の第二の端28は保持頂点31に隣接する遠位側頂点の、第二の頂点56とは反対側にある。第一及び第二のループ36、42は、
図1のシステムに関して述べたように、トリガワイヤ(
図16では図示せず)により保持される。したがって、この実施形態では、ステントグラフトの収縮構成において第一及び第二の尾部がシーリングステントの合わせて3つの遠位側頂点間部分にわたる。
【0058】
図17は、製造と使用の詳細事項を含めて
図16の実施形態と同じ実施形態によるシステムの図であるが、相違点は以下の通りである。
図17はステントグラフトが収縮構成にあるときのステントグラフトシステムのストランド片の領域を通る断面であり、遠位方向に見ている。
【0059】
図17のシステムでは、完全に自由である保持頂点31’’と第二の頂点56に加えて、同じく完全に自由な第三の遠位側頂点58があり、これはストランド片の第二の端28と保持頂点31’との間で、保持頂点31’’の、第二の頂点56とは反対側にある。したがって、シーリングステントの自由な遠位側頂点間部分は4つで、保持頂点31’のそれぞれの側に2つあり、これらは第二の頂点56のそれぞれの側に1つ、第三の頂点58のそれぞれの側に1つの配置とされる。前述のように、自由な遠位側頂点/頂点間部分が意味するものは、シーリングステントの、第二の円周方向領域内にあり、したがってステントグラフト12の拡張構成でストランド片24が及ばない遠位側頂点/頂点間部分である。
【0060】
図17に示されるように、ステントグラフト12の収縮構成において、第二の尾部40’は第三の頂点58を通るように縫い付けられる。換言すれば、第二の尾部40’の大部分がグラフト本体14の外側に沿ってストランド片24の第二の端28から保持頂点31’’まで延びるが、これは第三の頂点58の第二のストラットの内側に沿って通り、ストラットの片側でグラフト本体14の内部へと貫通し、ストラットの反対側でグラフト本体14の外側に戻り、その後、グラフト本体14の外側の保持頂点31’へと延びる。換言すれば、第二の尾部40’は、ステントグラフトの収縮構成において1.5の遠位側頂点と2つの遠位側頂点間部分にわたり、これは、ステントグラフトの収縮構成で第一及び第二の尾部が合わせて4つの遠位側頂点間部分にわたることを意味する。
【0061】
図17に示されるように、このシステムでは第一の尾部は
図16のように第二の頂点56の第一のストラットの内側ではなく第二の頂点56の第二のストラットの内側に沿って延びる(ストラットの番号は、それぞれの尾部がそこから延びるストランド片24の端から円周方向に遠ざかる方向に付されている)。しかしながら、ストランド片24及び/又は尾部34、40が頂点の一方のストラットの内部に沿って通る場合何れのストラットを選択することもできる。上記に加えて、幾つかの実施形態では、尾部はグラフト本体の壁を相互に異なる位置で貫通することもできる。
【0062】
図18は、製造と使用の詳細事項を含めて
図1の実施形態と同じ実施形態によるシステムの図であるが、相違点は以下の通りである。
図18はステントグラフトが収縮構成にあるときのステントグラフトシステムのストランド片の領域を通る断面であり、遠位方向に見ている。
図18に示されるように、このシステムでは第二の円周方向領域内に第一の保持頂点31aと第二の保持頂点31bがある。この実施形態では、これらはシーリングステントの隣接する2つの遠位側頂点であるが、他の実施形態ではこれらはまた別の中間の遠位側頂点により分離することもできる。第一の尾部34’’は第一の保持頂点31aのストラット間でグラフト本体14の壁を貫通し、第二の尾部40’’は第二の保持頂点31bのストラット間でグラフト本体14の壁を貫通する。第一及び第二のループ36’’、42’’は前述のようにトリガワイヤにより保持される。したがって、この実施形態では、ステントグラフトの収縮構成において、第一及び第二の尾部は合わせて3つの遠位側頂点間部分にわたる。
【0063】
幾つかの実施形態において、第一及び第二のループが異なるトリガワイヤにより保持されるようにすることも可能である。しかしながら、これらは同じトリガワイヤにより保持されて、シーリングステント20が対称に拡張することが好ましい。上述の実施形態ではストランド片はシーリングステントを収縮させるように構成されているが、他の実施形態では、これはグラフト本体に沿った他のステントを収縮させるように構成することもできる。
【0064】
前述のように、第一及び/又は第二の尾部は、収縮構成でグラフト本体の外側の一部に沿って延びるが、幾つかの実施形態ではこれらがグラフト本体の内面に沿って延びて、例えば第一及び/又は第二の尾部の各々の大部分がグラフト本体の内面に沿って延びるようにすることも排除されない。
【0065】
第一及び第二の尾部はストランド片の第一及び第二の端から延びるように示されているが、他の実施形態では、第一及び第二の尾部はストランド片のステントグラフトへの取付の他の地点、例えばストランド片がシーリングステントの頂点におけるストラットの周囲でループになる地点から延びることもできる。これは例えば、ストランド片の輪を円周方向にこれらの地点を超えるように引っ張ることによって行うことができる。これらの実施形態では、ストランド片は尾部の領域で三重となる。第一又は第二の尾部がそこから延びるストランド片のステントグラフトへの取付地点は、ストランド片を医療機器のある点に保持するためのリテーナとしての役割を果たすことができ、それによって医療機器の収縮構成では、ストランド片の第一の部分は円周方向にリテーナの第一の側に延び、ストランド片の第二の部分は円周方向にリテーナの第二の側に延び、第一及び第二の側は円周方向に反対側であり、ストランド片の第二の部分は前述のような第一又は第二の尾部を提供する。
【0066】
図のようにストランド片は収縮されるべきステントの遠位端に配置されているが、他の実施形態では、これは収縮されるべきステントの何れの長さ方向の位置にも配置でき、さらには収縮されるべきステントから長さ方向にずらすこともできる。さらに、第一の端から第二の端へのストランド片の全てが拡張構成で第一の円周方向領域内に配置されるが、これは全ての実施形態で必要というわけではない。幾つかの実施形態において、第一及び/又は第二の部分が延びることは可能であるが望ましくなく、これは、ストランド片の全部が第一の円周方向領域内にあることで機器をロープロファイル化することができるからである。好ましくは、ストランド片の少なくとも大部分は、第一の部分及び/又は第二の部分の大部分を含め、拡張構成のステントグラフトの第一の円周方向領域内に配置される。
【0067】
ストランド片の端がステントグラフトに動かないように固定されることは全ての実施形態で必要というわけではなく、これらは、ストランド片が引っ張られたときに抜けないように保持することができる。幾つかの実施形態において、ストランド片はステントグラフトの円周に沿って連続するか、実質的に連続し得る。例えば、
図19の実施形態において、ストランド片の第一及び第二の端は相互に取り付けられ、ストランド片はステントグラフトの円周の周囲で実質的に連続している。
【0068】
図19の実施形態では、特徴方法、製造方法、及び使用は
図14の実施形態について説明した通りであり、ストランド片が、第一及び第二の端においてステントグラフトに動かないように固定されているのではなくステントグラフトの円周に沿って実質的に連続していることを除き、同じ変更で変更できる。
【0069】
図19の実施形態では、ストランド片はストランド片の第一の地点126からストランド片の第二の地点128まで延びる第一の長さ124を含み、第一及び第二の地点126、128は第一の長さ124を画定し、その範囲を定める。これらの実施形態では、第一の長さ124はストランド片の一部にすぎない点に留意すべきである。第一の長さ124を画定することのほかに、第一及び第二の地点126及び128はまた、ストランド片の残りの部分60によって相互に結合され、それによってストランド片は前述のようにステントグラフトの円周に沿って実質的に連続する。ストランド片の第一の長さ124と残りの部分60はどちらも、
図14の実施形態のストランド片について説明したものと同じ方法でグラフト本体及びストラットをなみ縫い式に通過するように構成できる。
【0070】
小径化機構を説明するために、第一の長さ124は
図14の実施形態のストランド片24に対応すると考えることができ、第一及び第二の地点126、128は
図14の実施形態の第一及び第二の端26、28に対応すると考えることができ、収縮は同様に行われるが、もちろん相違点として、第一及び第二の地点126、128はステントグラフトに動かないように固定されず、ステントグラフトに関して円周方向に移動し得て、収縮はステントグラフトの円周に沿って連続的ストランド片を締めることによって行われる。
【0071】
ステントグラフトが拡張構成にあるとき、第二の地点128は、ストランド片の第一の長さ124に沿った経路によって第一の地点126から第一の円周方向の距離だけ離れている。換言すれば、ストランド片の第一の長さ124に沿って第一の地点126から第二の地点128に移動すると、これは第一の地点126から第一の円周方向の距離だけ離れて終わる。それによって第一の円周方向の距離は横断方向であり、ステントグラフトの第一の円周方向領域30を画定し、そこでストランド片の第一の長さ124は円周方向に第一の地点126と第二の地点128との間でステントグラフトの第一の円周方向領域30を取り囲む。このようにして、ステントグラフトが拡張構成にあるとき、ストランド片の第一の長さ124の第一及び第二の地点126、128は、それらの間にステントグラフトの相互に排他的な第一の円周方向領域30と第二の円周方向領域30’を画定し、ステントグラフトの第一の円周方向領域30はストランド片の第一の長さ124の第一の地点126から第二の地点128までであり、第二の円周方向領域30’はステントグラフトの円周の残りの部分である。もちろん、この実施形態では、第一及び/又は第二の地点126、128はステントグラフトに関して移動し得るため、第一及び第二の円周方向領域30、30’の相対的な円周方向の長さと位置はそれに応じて変化する可能性があると理解されたい。
【0072】
収縮構成にする際、ストランド片のステントグラフトへの取付地点、この場合はストランド片がシーリングステントの頂点においてストラットの周囲でループになる地点62は、ストランド片をステントグラフトのその地点に保持するためのリテーナの役割を果たし、それによってストランド片の第一の部分64はリテーナの第一の側で円周方向に延び、ストランド片の第二の部分66は、第二の部分が折り返されて、リテーナから円周方向に延びて第一のループ136につながる第一の二重線尾部134を形成し、第一の尾部134がグラフト本体に沿って円周方向に延びて医療機器を収縮させるような構成で、第一の側からリテーナを超えて引っ張られてリテーナの第二の側で円周方向に延びる。第一及び第一の側は円周方向に反対側である。第一の尾部と第一のループは、
図14の実施形態と同様に構成される。
【0073】
収縮構成はまた、以下のようにも説明できる。ストランド片の第一の長さ124の第一の部分132は折り返されて第一のループ136につながる第一の二重線尾部134を形成する。特に、第一の円周方向領域30から、第一の部分132は第一の地点126を通過し、第一の円周方向領域30から出て第二の円周方向領域へと延び、そこで第一の地点126を越えて円周方向に二重線となり、第一の尾部134と第一のループ136を形成する。図からわかるように、この実施形態では、第一の地点126は収縮構成でリテーナ62にあり、第一の尾部はリテーナ62から延びる。図のように、第一の尾部134は前述の実施形態で述べたようにグラフト本体に沿って円周方向に二重線で延び、ストランド片の第一の長さ124だけステントグラフトを収縮させ、ストランド片24の第一の長さ124の第一及び第二の地点126、128間の第一の円周方向の距離を制限する。この実施形態では、このことによって連続するストランド片がステントグラフトの円周に沿って絞られて、ステントグラフトを収縮させる。
【0074】
第一の尾部134は、グラフト本体の壁を貫通してグラフト本体の内部に入り、
図14の実施形態と同様に、第一のループ136をトリガワイヤによって保持し、ロックできる。
【0075】
図20の実施形態は
図19の実施形態に準じているが、小径化機構が第二のリテーナ68から、すなわちストランド片がシーリングステントの頂点においてストラットとの周囲でループになる他の地点から延び、第二のループ142につながる第二の尾部140も有する点が異なる。第二の尾部140は、第二の地点128及び第二のリテーナ68に関して構成され、第一の尾部134と反対の向きに延びること以外、第一の尾部134と同様に構成され、機能する。第一及び第二の尾部が反対方向にあることは
図13の実施形態の通りである。第二の尾部140は、
図13の実施形態と同様に、グラフト本体の壁を貫通して、トリガワイヤにより保持され、ロックされる。
【0076】
もちろん、
図19及び20の実施形態は、
図9A~9Bの実施形態について説明したように、トリガワイヤが第一及び/又は第二のループをグラフト本体の外側に保持し、ロックするように変更できる。
【0077】
収縮されるべき管状医療機器はステントを含むステントグラフトとして開示されているが、これは全ての実施形態で必須というわけではない。この小径化機構は、何れの管状医療機器を1つの直径からより小さい直径へと収縮さるためにも使用され得る。
【0078】
上述の実施形態及び従属特許請求項のあらゆる任意選択的及び好ましい特徴と変更は、本願で教示される本発明の全ての局面において使用可能である。さらに、従属請求項の個々の特徴及び上述の実施形態の全ての任意選択的及び好ましい特徴と変更は、相互に組み合わせ、相互に置き換えることが可能である。
【0079】
本願に添付される要約書中の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。実施形態は別々に記載されているが、ある実施形態の特徴を他の実施形態に含めてもよい。
【符号の説明】
【0080】
12 ステントグラフト
14 グラフト本体
16 グラフト本体の近位端
18 本体ステント
20 シーリングステント
22 露出ステント
23 遠位側頂点間部分
24 ストランド片
25 遠位側頂点間部分
26 ストランド片の第一の端
28 ストランド片の第二の端
30 第一の円周方向領域
30’ 第二の円周方向領域
31 遠位側頂点
32 第一の部分
34 第一の尾部
36 第一のループ
40 第二の尾部
42 第二のループ
44 トリガワイヤ
50 ウレタンチューブ
52 ノーズコーン
54 トリガワイヤ
56 第二の頂点
58 第三の頂点
60 ストランド片の残りの部分
62 リテーナ
124 ストランド片の第一の長さ
126 ストランド片の第一の地点
128 ストランド片の第二の地点
134 第一の尾部
136 第一のループ
140 第二の尾部
142 第二のループ
236 第一ループ
242 第二のループ
【外国語明細書】