(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025097964
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】体外診断システムの較正管理
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20250624BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024221987
(22)【出願日】2024-12-18
(31)【優先権主張番号】23218045.5
(32)【優先日】2023-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ブルックナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アイヒャー
(72)【発明者】
【氏名】リー ガン
(72)【発明者】
【氏名】フランツ コルビニアン シュヴェージヒ-シュテルツァー
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GA03
2G058GD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体外診断(IVD)システムの較正を自動的に管理する。
【解決手段】各較正サイクルについて、較正有効期間が満了する前のバッファ期間の開始時に最も早く較正手順の繰り返しを開始することと、試料IVD検査を実行する命令を受け取ると較正手順を中断することと、較正手順の繰り返しがバッファ期間内に再始動または再開され得る限り、試料IVD検査を実行した後に較正手順を再始動または再開することと、を含む。較正手順を中断することは、較正溶液の組における第1の較正溶液または後続の較正溶液を使用している間に、試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうか、および、第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップ、あるいは、第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定する第2のステップの間に、試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうか、に応じて異なるステップを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断(IVD)システム(200)の較正を自動的に管理するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
較正サイクル(10,20,30)を実行することを含み、前記較正サイクル(10,20,30)が、試料IVD検査結果を評価する際に使用される検査固有の較正パラメータ(12,22,32)を決定するために較正手順(11,21,31)を実行することと、それぞれの較正有効期間の満了(50)前に前記検査固有の較正パラメータ(12,22,32)を更新するために前記較正手順(11,21,31)を繰り返すことと、を含み、
異なる較正手順(11,21,31)/サイクル(10,20,30)が、それぞれ異なる較正有効期間を有する可能性があり、
異なる較正手順(11,21,31)/サイクル(10,20,30)を実行することが、異なる組(40)の較正溶液(A,X)であって、少なくとも2つの異なる較正溶液(A,X)を含む組をそれぞれ使用することを含み、
較正溶液(A,X)を使用することが、較正溶液(A,X)を測定ユニット(210)に移送する第1のステップ(t:A,t:X)と、前記較正溶液(A,X)を前記測定ユニット(210)によって測定する第2のステップ(m:A、m:X)と、を含み、
各較正サイクル(10,20,30)について、前記方法が、
前記それぞれの較正有効期間の満了(50)前のバッファ期間(49)の開始(48)において、最も早く前記較正手順(11,21,31)の繰り返しを開始すること(41)と、
試料IVD検査(spl)を実行するための命令(60)を受け取ると前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42、42’、42’’、42’’’)と、前記較正手順(11,21,31)の繰り返しが前記バッファ期間(49)内に再始動(43)または再開(44)され得る限り、前記試料IVD検査(spl)を実行した後に前記較正手順(11,21,31)を再始動すること(43)または再開すること(44)と、
を含み、
前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42、42’、42’’、42’’’)が、較正溶液(A,X)の組(40)における第1の較正溶液(A)または後続の較正溶液(X)を使用している間に、試料IVD検査(spl)を実行する前記命令(60)が受け取られたかどうか、および、前記第1の較正溶液または後続の較正溶液(A,X)を前記測定ユニット(210)に移送する前記第1のステップ(t:A,t:X)の間に、あるいは、前記第1の較正溶液または後続の較正溶液(A,X)を測定する前記第2のステップ(m:A、m:X)の間に、試料IVD検査(spl)を実行する前記命令(60)が受け取られたかどうか、に応じて異なるステップを含む、方法。
【請求項2】
較正溶液(A,X)の組(40)が、単一の対または複数の対の較正溶液(A,X)を含み、各対が、第1の較正溶液として共通の較正溶液(A)、および、前記後続の較正溶液として任意の他の異なる較正溶液(X、B、C、D)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料IVD検査(spl)を実行するための前記命令(60)が、組(40)における前記第1の較正溶液(A)、および/または対における前記第1の較正溶液(A)を前記測定ユニット(210)に移送する前記第1のステップ(t:A)の間に受け取られると、前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42)が、前記第1の較正溶液(A)を前記測定ユニット(210)に移送する前記第1のステップ(t:A)を完了することと、測定時間を短縮して前記第1の較正溶液(A)の測定ステップ(m’:A)を実行することと、前記試料IVD検査(spl)を実行するために前記較正手順(11,21,31)の次に続くステップのいずれかを中止することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
試料IVD検査(spl)を実行するための前記命令(60)が、組(40)における前記第1の較正溶液(A)、および/または対における前記第1の較正溶液(A)を測定する前記第2のステップ(m:A)の間に受け取られると、前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42’)が、前記第1の較正溶液(A)を測定する前記第2のステップ(m:A)を完了することと、前記試料IVD検査(spl)を実行するために前記較正手順(11,21,31)の次に続くステップのいずれかを中止することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
試料IVD検査(spl)を実行するための前記命令(60)が、組(40)における後続の較正溶液(X)、および/または対における前記後続の較正溶液(X)を前記測定ユニット(210)に移送する前記第1のステップ(t:X)の間に受け取られると、前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42’’)が、前記試料IVD検査(spl)を実行するために、前記後続の較正溶液(X)を前記測定ユニット(210)に移送する前記第1のステップ(t:X)、および前記較正手順(11,21,31)の次に続くステップのいずれかを中止することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
試料IVD検査(spl)を実行するための前記命令(60)が、組(40)における後続の較正溶液(X)、および/または対における前記後続の較正溶液(X)を測定する前記第2のステップ(m:X)の間に受け取られると、前記較正手順(11,21,31)を中断すること(42’’’)が、前記後続の較正溶液(X)を測定する前記第2のステップ(m:X)を完了することと、前記試料IVD検査(spl)を実行するために、前記較正手順(11,21,31)の次に続くステップのいずれかを中止することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記試料IVD検査(spl)を実行する前に、前記第1の較正溶液(A)で洗浄するステップを実行することを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記試料IVD検査(spl)を実行する前に、測定時間を短縮して前記第1の較正溶液(A)の測定ステップ(m’:A)を実行することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の較正溶液(A)の前記測定、または一対の較正溶液(A,X)の測定完了に続いて、前記検査固有の較正パラメータ(12,22,32)の少なくとも一部を更新することを含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料IVD検査(spl)を実行した後に、前記方法が、
単一の対の較正溶液(A,X)を使用する較正手順(11)、または、第1の前記対の較正溶液(A,X)を使用している間に中断された(42、42’、42’’)較正手順(11)のために、前記較正手順(11,21,31)を再始動すること(43)と、
複数の対の較正溶液(A,X)を使用する較正手順(21,31)のために、前記測定が中断または中止された前記対の較正溶液から始めて、中断された(42’’’)較正手順(11,21,31)を再開すること(44)と、
を含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記較正手順(11,21,31)を再始動すること(43)または再開すること(44)は、前記較正手順(11,21,31)の繰り返しが前記バッファ期間(49)内に再始動(43)または再開(44)され得る限り、前記試料IVD検査を実行した後に所定の時間(47)待機することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
異なる較正手順(11,21,31)が同じまたは類似の較正有効期間を共有する場合、および/あるいは、それぞれの有効期間が同じ失効を有する場合、それぞれの較正溶液および/または対の較正溶液を同じ組(40)に追加することによって、前記異なる較正手順(11,21,31)を単一の較正サイクル(20,30)に組み合わせることを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの測定ユニット(210)と、
少なくとも較正溶液(A、B、C、D)および試料(2)を前記少なくとも1つの測定ユニット(210)に移送するための流体システム(213)と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の較正を管理する方法に関連する動作を実行する命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するコントローラ(250)と、
を備える、試料IVD検査(spl)を実行するための体外診断(IVD)システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体外診断システムの較正を自動的に管理するコンピュータ実装方法、および較正を自動的に管理する方法に関連する動作を実行する体外診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医学の分野では、医師の診断および患者の治療は、多くの場合、体外診断(IVD)検査を実行することによる患者試料中の分析物の濃度または他のパラメータの測定に依存する。これらの測定は、典型的には、特定種類の試料を分析し、様々な検出技術を使用して特定の種類の分析物を検出するように構成され得る体外診断システムによって実行される。患者の寿命は、そのような測定の精度および信頼性に依存し得るので、システムが正しく機能することが重要である。
【0003】
体外診断システムが正しく動作し続けていることを確認するために、一連の品質管理(QC)手順を実施することが、体外診断システムの一般的な要件である。
【0004】
これらの手順のうちの1つは、較正である。ほとんどの場合、較正は、既知の濃度の標準溶液を使用して実行される。このようにして、測定された信号を定量的な結果に関連付けることができる。較正は、システムに応じて、また性能に影響を与える可能性のある他の変動要因に応じて、ある程度の頻度で、実行される必要がある。これらの要因の1つは、使用される試薬および/または他の溶液のエージングであり得、試薬および/または他の溶液が環境条件に曝露されてから所定時間後に失効する。特に、例えばバイオセンサを含むいくつかのタイプの測定ユニットについての測定ユニットの信号安定性は、別の要因であり得る。特に、分析物濃度を測定するために使用されるいくつかの検出器およびセンサは、例えば特定の検査試料中の干渉物質の存在および/または高濃度に起因して干渉を受ける可能性があり、少なくとも一時的な信号不安定性を受ける可能性がある。特に、いくつかのセンサは、場合によっては気付かれないままであり得る信号ドリフトを経験する可能性がある。これは、測定誤差につながる可能性があり、したがって、連続した較正間でより頻繁な較正、ならびに、いわゆるQC測定を必要とし得る。これは、較正された機器が実際に仕様または許容範囲内にあることをさらに確認するために、検査試料が測定されるのと同じ方法で、対象の分析物またはパラメータの既知の値を有するQC試料とも呼ばれる1つまたは複数の基準試料を測定することによって行われる。したがって、一般に、較正の有効性には時間制限がある。
【0005】
典型的には、較正手順の間に、分析装置またはその構成要素が使用に利用できない、例えば新しい試料を受け入れるために利用できない場合がある。したがって、有効なスループットおよび有用性、ならびに体外診断システムを実行するコストは、かなりの時間を較正手順の実行および繰り返しに費やさなければならない場合があるという事実によって影響され得る。さらに、オペレータは、新しい試料を分析装置に入力することができるようになる前に、例えば較正手順が完了するまで、分析装置が再び利用可能になるのを待たなければならない状況になり得るが、特にポイントオブケア環境、例えば緊急事態、集中治療室などでは、信頼性も高い迅速な結果を得ることが最も重要であり得、遅延は生命に関わる可能性がある。また、例えばpO2などの血液ガスパラメータを決定することを含むいくつかのIVD検査では、血液試料が患者から採取された直後に試料が処理されることが重要であり、そうでなければ、IVD検査の信頼性は周囲条件への曝露の結果として影響を受ける。さらに、オペレータの時間が浪費される可能性があり、そうでなければより効率的に使用することができる。もし、オペレータが他の緊急な作業のために待つことができない場合、通常、後で再試行することになるが、その間にもっと早く分析装置が利用できるようになっている可能性が高く、不必要に試料分析が遅れることになる。
【発明の概要】
【0006】
体外診断(IVD)システムの較正を自動的に管理するコンピュータ実装方法およびIVDシステムは、試料を処理してIVD検査結果を可能な限り迅速に提供するために、常にIVDシステムの可用性を保証しながら、IVDシステムの分析性能、すなわちIVD検査結果の信頼性を保証する較正を管理する方法に関連する動作を実行する命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行する較正管理システムを備える。別の利点は、オペレータの時間が不必要に浪費されることを防止することによって、および/あるいは、例えば、別の利用可能なIVDシステムを探す必要があるか、または、IVDシステムが利用可能になるまで待つ必要があることにより、既に非常に要求の厳しい状況におけるさらなるストレスを防止することによって、検査室ワークフローにおける効率が得られることである。
【0007】
特に、本方法は、試料IVD検査結果を評価する際に使用される検査固有の較正パラメータを決定するために較正手順を実行すること含む較正サイクルを実行することと、それぞれの較正有効期間が満了する前に検査固有の較正パラメータを更新するために較正手順を繰り返すことと、を含み、異なる較正手順/サイクルが、それぞれ異なる較正有効期間を有する可能性があり、異なる較正手順/サイクルを実行することが、異なる組の較正溶液であって少なくとも2つの異なる較正溶液を含む組をそれぞれ使用することを含み、較正溶液を使用することが、較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップと、測定ユニットによって較正溶液を測定する第2のステップとを備える。較正サイクルごとに、本方法は、それぞれの較正有効期間が満了する前のバッファ期間の開始時に最も早く較正手順の繰り返しを開始することと、試料IVD検査を実行する命令を受け取ったときに較正手順を中断することと、較正手順の繰り返しがバッファ期間内に再始動または再開され得る限り、試料IVD検査を実行した後に較正手順を再始動または再開することと、をさらに含む。特に、較正手順を中断することは、較正溶液の組における第1の較正溶液または後続の較正溶液を使用している間に試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうか、および、第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップ、あるいは第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定する第2のステップ、の間に試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうかに応じて、異なるステップを備える。
【0008】
本明細書で使用される「較正手順(calibration procedure)」という用語は、既知の規格をIVDシステムによって届けられる測定結果と比較することによって、IVDシステムが正確に動作しているかどうかをチェックするプロセスを指す。これにより、実測条件下における試料中の分析物の実測値と実際の濃度との間の有効な関係を決定できる。信号の種類、および特に異なる濃度での信号の線形性または非線形性に応じて、これは特定の試料IVD検査、例えば特定の試料、試料中の関心のある特定の分析物、特定のワークフローおよび測定条件に応じて異なり得る。較正手順は、IVDシステムの検出範囲(ダイナミックレンジ)に含まれる較正材料または標準の異なる濃度範囲および/または試料中に見出され得る分析物の濃度の典型的な範囲に対応する、1つまたは複数のレベルの標準物質を測定することを含んでもよい。1つの標準物質レベルのみが測定される場合、較正手順は1点較正手順である。2つのレベルの標準物質が測定される場合、較正手順は2点較正手順などである。「多点較正手順(multi-point calibration procedure)」は、複数の標準物質レベル、すなわち少なくとも2つ、典型的には3つ以上を測定することと、特に複数の較正点のそれぞれについてそれぞれの標準物質レベルを測定することとを備え、それによって複数のそれぞれの較正点を得る較正手順である。
【0009】
他の実施形態によれば、「較正手順(calibration procedure)」はまた、測定された試料信号を定性的結果、すなわち分析物の単なる存在または非存在に相関させることを可能にする手順であり得る。そのような場合、通常、例えば正常な健康な試料を異常な病原性試料から分離する閾値またはカットオフなどの基準が定義される。定性的較正のために、2つの標準物質、1つは分析物が存在しない(負の標準物質)、1つは検出可能な量の分析物を有する(正の標準物質)、が使用されることが多い。
【0010】
特定の試料IVD検査に応じて、異なる較正手順を実行しなければならない場合があり、各々が場合によっては異なる1つまたは複数の標準物質、および最終的には異なるレベルの標準物質および/または異なる数のレベルを含む。
【0011】
較正手順は、測定された較正点に最も適合する線もしくは曲線を構築するプロセスである較正結果または数学関数を計算することと、測定された較正点の変動量または分散量(標準偏差)を計算することによって、プロセスで発生した未知のおよび/またはランダムな誤差による測定誤差のために構築された線もしくは曲線にどの程度の不確実性が存在するかなどの統計的推論を考慮する回帰分析を含むこと、とを含んでもよい。プロセスは、構築された線もしくは曲線を、同じ条件下でそれぞれ基準線もしくは基準曲線もしくは以前に構築された線もしくは曲線と比較すること、および/または、個々の較正点を基準値もしくは以前に測定された値と比較することを含んでもよい。特に、較正手順は、試料IVD検査結果を評価する際に使用される検査固有の較正パラメータを決定することを含む。検査固有の較正パラメータは、例えば、較正線または較正曲線の勾配、線形性の程度、ゼロ点、オフセット、変曲点などであり得る。
【0012】
「標準物質(calibrator)」とは、較正に用いられる1つまたは複数の較正物質または標準の既知の値を含み、試料と同じ条件で測定される較正溶液である。標準物質は、ゼロ濃度、すなわちブランク溶液を含む、較正材料の異なる濃度範囲に対応する異なるレベルで提供され得る。典型的には、1つまたは2つのレベルの同じ標準物質が、分析物濃度に対する線形応答の場合、それぞれ1点または2点較正に使用される。較正曲線が非線形である場合、3つ以上の標準物質レベル、例えば最大5つ、6つ以上のレベルが使用されてもよい。
【0013】
「較正物質(calibration material)」は、その濃度もしくは値が既知である、または、反応もしくは誘導体化、例えば断片化によって、既知である濃度もしくは値を生成する、関心のある分析物と同一の分析物であり得るか、あるいは、関心のある分析物を模倣するか、そうでなければ関心のある特定の分析物もしくは試料パラメータと相関させることができる、任意の他の等価な物質もしくは標準であり得る。
【0014】
「較正有効期間(calibration validity period)」は、必要な検査固有の較正パラメータを決定することによって較正手順が正常に完了した時刻から始まる所定の時間長を有する時間窓であり、その時間窓内で、決定された検査固有の較正パラメータは有効である、すなわち試料IVD検査結果を評価するために適用可能である、と考えられる。したがって、較正有効期間は、所定の時間の後に満了するように設定され、所定の時間は、例えば、1または2時間、6時間、12時間、24時間またはそれ以上と短くても長くてもよく、異なる較正手順ごとにそれぞれ異なり得るが、いくつかの異なる較正手順は、同じ長さの較正有効期間を有してもよい。
【0015】
特に、検査固有の較正パラメータが無効になる前にそれらを更新し、IVDシステムの継続的な分析性能およびIVD検査結果の信頼性を保証するために、それぞれの較正期間が満了する前に較正手順を繰り返すことが重要である。
【0016】
したがって、本明細書で使用される「較正サイクル(calibration cycle)」という用語は、それぞれの較正有効期間が満了する前に検査固有の較正パラメータを更新することを目的とした、規則的な所定の間隔で、すなわち所定の頻度で、較正手順が繰り返されることを指す。特に、正常に完了した較正手順と後続の正常に完了した同じ較正手順の繰り返しとの間の、時間および任意の動作または手順は、以前に決定された検査固有の較正パラメータを新たに決定された検査固有の較正パラメータで置き換えることを含み、較正サイクルと呼ばれる。
【0017】
特に、較正サイクルごとに、本方法は、それぞれの較正有効期間が満了する前のバッファ期間の開始時に最も早く較正手順の繰り返しを開始することと、試料IVD検査を実行する命令を受け取ると較正手順を中断することと、較正手順の繰り返しがバッファ期間内に再始動または再開され得る限り、試料IVD検査を実行した後に較正手順を再始動または再開することと、を含む。
【0018】
本明細書で使用される「バッファ期間(buffer time period)」という用語は、較正有効期間の終了または失効に最も近い較正有効期間内の期間を指し、これは、較正手順の繰り返しの開始および必要に応じて中断、再始動または再開することにおいて十分な柔軟性を可能にし、較正手順の繰り返しを開始した後に試料IVD検査の命令が受け取られた場合に、中断の間に少なくとも1つの試料IVD検査を実行するのに十分な時間を有する。なお、較正手順の繰り返しは、較正有効期間の失効前のバッファ期間内に再始動または再開され得る限り、必ずしも較正有効期間の失効前に完了しなくてもよい。試料IVD検査を完了し、較正手順の繰り返しを再始動または再開するのに十分な時間が依然として利用可能である限り、中断は複数回起こり得る。連続的な中断を回避するために、一実施形態によれば、本方法は、較正手順の繰り返しがバッファ期間内に再始動または再開され得る限り、較正手順を再始動または再開する前に、試料IVD検査を実行した後に所定の時間待機することを含む。これは、オペレータが連続した順序で複数の試料IVD検査を実行するために複数の試料を有するIVDシステムに接近することが起こり得るためである。
【0019】
特定の順序でIVDシステムの測定ユニットに移送されなければならず、その中で測定されなければならない2つ以上の較正溶液を、較正手順を実行するために使用される較正溶液の組は備え得る。
【0020】
特に、較正手順を中断することは、較正溶液の組における第1の較正溶液または後続の較正溶液を使用している間に試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうか、および、第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップ、あるいは第1の較正溶液または後続の較正溶液を測定する第2のステップ、の間に試料IVD検査を実行するための命令が受け取られるかどうかに応じて、異なるステップを備える。
【0021】
一実施形態によれば、較正溶液の組は、単一の対または複数の対の較正溶液を備え、各対は、第1の較正溶液として共通の較正溶液を備え、後続の較正溶液として任意の他の異なる較正溶液を備える。
【0022】
したがって、「第1の較正溶液(first calibration solution)」という用語は、2つ以上の較正溶液の組における第1の較正溶液を指してもよいし、または組が複数の対の較正溶液を含む場合には、各対の較正溶液における第1の較正溶液を指してもよい。
【0023】
第1の較正溶液は、特に、所定のレベルの較正材料を有する溶液であってもよく、例えば、少なくともいくつかの較正材料の最低またはゼロレベルを有する、および/または、より頻繁な更新を必要とし、したがって他の較正溶液よりも頻繁に測定される検査固有の較正パラメータに関連する最も適切なレベルの少なくともいくつかの較正材料を有してもよい。
【0024】
同様に、「後続の較正溶液(subsequent calibration solution)」という用語は、2つ以上の較正溶液の組における第2、第3、第4などの較正溶液を指してもよいし、または組が複数の対の較正溶液を含む場合には、各対の較正溶液における第2の較正溶液を指してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、組における第1の較正溶液を、および/または、対における第1の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップの間に、試料IVD検査を実行する命令が受け取られると、較正手順を中断することは、第1の較正溶液を測定ユニットに移送し、測定時間を短縮して第1の較正溶液の測定ステップを実行する第1のステップを完了することと、試料IVD検査を実行するために較正手順の次に続くステップのいずれかを中止すること、とを備える。
【0026】
本明細書で使用される「測定時間を短縮して(with a reduced measurement time)」という用語は、第1の較正溶液を測定するために費やされる時間が、較正手順が中断されないときに同じ較正溶液を測定するために費やされる通常の時間よりも短い、例えば約半分の時間以下の所定の時間であることを示すことを意味する相対的な用語である。
【0027】
一実施形態によれば、組における第1の較正溶液および/または対における第1の較正溶液を測定する第2のステップの間に、試料IVD検査を実行する命令が受け取られると、較正手順を中断することは、第1の較正溶液を測定する第2のステップを完了することと、試料IVD検査を実行するために較正手順の次に続くステップのいずれかを中止することと、を備える。
【0028】
一実施形態によれば、組における後続の較正溶液および/または対における後続の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップの間に、試料IVD検査を実行する命令が受け取られると、較正手順を中断することは、後続の較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップ、および試料IVD検査を実行するための較正手順の次に続くステップのいずれかを中止することを含む。
【0029】
一実施形態によれば、組における後続の較正溶液および/または対における後続の較正溶液を測定する第2のステップの間に、試料IVD検査を実行する命令が受け取られると、較正手順を中断することは、後続の較正溶液を測定する第2のステップを完了することと、試料IVD検査を実行するために較正手順の次に続くステップのいずれかを中止することと、を備える。
【0030】
一実施形態によれば、本方法は、試料IVD検査を実行する前に第1の較正溶液で洗浄ステップを実行することを含む。そうすることによって、試料測定前の同じ条件を保証でき、同時に、第1の較正溶液を測定することによって決定され得る最新の検査固有の較正パラメータを得るために、第1の較正溶液をもう一度測定する機会を提供する。
【0031】
一実施形態によれば、本方法は、第1の較正溶液の測定または一対の較正溶液の完了した測定の後に、検査固有の較正パラメータの少なくとも一部を更新することを含む。そうすることによって、較正手順がまだ完了していない場合があり、および/または依然として中断されている場合があるが、任意の検査固有の較正パラメータが既に測定された較正溶液に基づいて決定され得るとすぐに、これらもまた、較正手順が中断された場合に次の試料IVD検査結果を評価する際に既に使用され得るように更新されることが、保証され得る。
【0032】
一実施形態によれば、試料IVD検査を実行した後、較正手順の中断に続いて、本方法は、単一の対の較正溶液を使用して較正手順の較正手順を再始動することと、複数の対の較正溶液を使用する較正手順のために、測定が中断または中止された対の較正溶液から始めて、中断された較正手順を再開することとを含む。したがって、複数の較正溶液を含む組における1つまたは複数の対の較正溶液の測定が既に完了している場合、較正手順を中断する前に、そのまたはそれらの対の測定を繰り返す必要はなく、検査固有の較正パラメータは、それらが決定されているときに更新され得る。
【0033】
一実施形態によれば、本方法は、異なる較正手順が同じまたは類似の較正有効期間を共有する場合、および/あるいは、それぞれの有効期間が同じ失効を有する場合、それぞれの較正溶液および/または対の較正溶液を同じ組に追加することによって、異なる較正手順を単一の較正サイクルに組み合わせることを含む。
【0034】
「試料(sample)」という用語は、関心のある1つまたは複数の分析物を含む可能性があり、その検出または分析(定性的および/または定量的測定)が臨床状態に関連し得る生物学的物質を意味する。試料は、血液、唾液、眼球水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、細胞などを含む生理学的液体などの、任意の生物由来のものであり得る。血液から血漿や血清を調製する、粘性液を希釈する、溶解するなど、使用前に検査試料が前処理され得る。処理の方法は、ろ過、遠心分離、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、試薬の添加を含むことができる。試料を、いくつかの場合にはソースから得たままで直接使用してもよく、あるいは、例えば1つまたは複数の体外診断検査の実施を可能にし、関心のある分析対象物を豊富に(抽出/分離/濃縮)し、かつ/または関心のある分析物の検出を妨げかねないマトリクス成分を除去するために、例えば内部標準を添加した後、別の溶液で希釈した後、または試薬と混合した後など、試料の性質を変えるための前処理および/または試料準備ワークフローの後に使用してもよい。
【0035】
一態様によれば、試料は、血液、または血漿や血清などの血液由来物である。
【0036】
特定の態様によれば、関心のある分析物は、典型的には光学検出ユニットで測定される、ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン(HHb)、オキシヘモグロビン(O2Hb)、カルボキシヘモグロビン(COHb)、メトヘモグロビン(MetHb)、ビリルビン、尿素、クレアチニンなどのヘモグロビン誘導体である。次に、酸素飽和度(SO2=O2Hb /(O2Hb+HHb))および総ヘモグロビン(tHb=全ヘモグロビンの合計)などの以前の測定値に基づいて、追加の試料パラメータを推定され得る。関心のある他の分析物は、pO2およびpCO2などのガス、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、塩化物(Cl-)、カルシウム(Ca++)などの血液電解質、pHに関連するプロトン(H+)、グルコースおよび乳酸などの代謝産物などであり、典型的にはフロースルーセンサ経路で測定される。しかしながら、この列挙はすべてを網羅したものではない。
【0037】
患者試料に対してIVD検査を実行するための体外診断(IVD)システムも本明細書に開示されており、本IVDシステムは、少なくとも1つの測定ユニットと、少なくとも1つの較正溶液および試料を少なくとも1つの測定ユニットに移送するための流体システムと、開示された実施形態のいずれかによる較正を管理する方法に関連する動作を実行する命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するコントローラと、を備える。
【0038】
本明細書で使用される「体外診断システム(in-vitro diagnostic system)」という用語は、スクリーニング、診断または治療監視目的のための情報を提供するために体外で試料を分析するように構成された自動または半自動分析装置を指す。IVDシステムは、適用の医療分野、決定されるべきパラメータ、および対応する検査室ワークフローに従って設計および構成され得る。例えば、ポイントオブケア検査環境では、IVDシステムは、スループットが低く、所用時間が短く、測定可能なパラメータの数が限られているハンドヘルドデバイスから、スループットが高く、測定可能なパラメータの数が多いコンパクトなベンチトップ機器まで様々であり得る。そのようなIVDシステムは、特定のタイプのパラメータ、例えば、ガス、電解質、代謝産物、臨床化学分析物、免疫化学分析物、凝固パラメータ、血液学パラメータなどを検出するように設計される。関心のあるパラメータに応じて、異なる分析方法および異なる検出技術を含む様々な異なる試料IVD検査を適用され得る。例えば、血液ガスおよび電解質の検査の分野において、電気化学的な測定原理、および/または伝導率の測定原理、および/または光学検出方法が典型的には使用される。IVDシステムは、典型的には、各々が特定のタスクに専用であり、自動化された試料処理および分析を可能にするために互いに協働する複数の機能ユニットを備える。そのような機能ユニットは、例えば、試料を受け取るための試料入力インターフェース、流体システム、少なくとも1つの測定ユニットまたは検出ユニット、流体供給ユニットなどを含んでもよい。1つまたは複数の機能ユニットは、IVDシステムの動作を単純化するために、より大きなユニットまたはモジュールに統合されてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、少なくとも1つの測定ユニットは、光源と光検出器との間に配置されたキュベットを備える光学検出ユニットであり、試料またはその中に配置された較正溶液中に存在する分析物または較正材料などの特定の物質によって透過または放出される、スペクトルの一部の光の強度を測定することを可能にする。光学検出ユニットは、試料および較正溶液などの流体、および場合によっては例えば空気を含む他の流体が流入および流出することを可能にするフロースルーキュベットまたはフロースルー光路を備えるフロースルー光学検出ユニットとして具現化されてもよい。
【0040】
一実施形態によれば、IVDシステムは、代替的にまたは追加的に、測定ユニットとして 「フロースルーセンサ経路(flow-through sensor path)」 を備えてもよく、これは、センサ経路を通って流れる試料または較正溶液が接触することができる、例えば経路に沿って順次配置され得る1つまたは複数のセンサ、例えば検出されるべき異なるパラメータ/分析物ごとのセンサを備える流体導管であり、場合によっては複数のセンサ経路にわたって分散された複数のセンサを備える、交換可能なカートリッジ状構造で具体化されてもよい。あるいは、IVDシステムは、各々が1つのパラメータ/分析物専用のセンサを備えるセンサ経路を有する複数の測定ユニットを備えてもよく、これもまた交換可能であってもなくてもよい。したがって、試料または較正溶液が1つまたは複数のセンサ経路に流されてもよく、異なるパラメータ/分析物がそれぞれのセンサによって決定されてもよい。用語「センサ(sensor)」は、本明細書では、定量化およびデジタル化され得る、相関する信号出力を生成することにより、試料パラメータを検出するように構成されている検出器を示すように一般的に使用される。センサは、例えば、バイオセンサ、化学センサまたは物理センサであり得る。センサは、関心のある1つの試料パラメータに関して選択的または特異的であり得るか、または関心のある複数の異なる試料パラメータを検出および定量化するように構成され得る。センサのタイプに応じて、センサは、複数のセンサ要素を備えることができる。用語「センサ要素(sensory element)」は、したがって、1つまたは複数の他のセンサ要素と組み合わせて、完全に機能するセンサを形成する、センサの一部(例えば、作用電極、基準電極、対向電極)を指す。一実施形態によれば、フロースルーセンサ経路は、pO2センサ、pCO2センサ、pHセンサ、Na+、K+、Ca2+、およびCl-などの電解質値を決定するための1つまたは複数のイオン選択電極(ISE)センサ、乳酸およびグルコースなどのパラメータを決定するための1つまたは複数の代謝産物センサのいずれか1つまたは複数を備える。センサは、例えば、それぞれ電流測定、電位差測定または電気伝導度測定の原理に基づくものであってもよい。
【0041】
IVDシステムは、流体システムを介して試料および較正溶液を含む流体を移送するための少なくとも1つのポンプ、例えば蠕動ポンプ、シリンジポンプ、膜ポンプまたは任意の他の適切なポンプをさらに備えてもよい。
【0042】
測定ユニットおよび流体システムの少なくとも一部は、較正溶液を移送および測定するために使用されるものと同じであるため、このことが、較正手順が実行されている間に試料IVD検査を実行することができない理由である。
【0043】
IVDシステムは、試料をIVDシステムに導入するための専用の試料入力インターフェースを備えてもよい。試料入力インターフェースは、オペレータが便利にアクセスできる位置に配置され、オペレータによって持ち上げられた試料容器から体外診断システムに試料を移送するように構成されてもよい。これは、例えば、例えば毛細管型または注射器型の試料容器を結合、取り付け、接続、着座、導入またはプラグインするように構成された外側入力ポート側と、試料入力導管の一端に結合されるまたは結合するための内側入力ポート側と、を備える試料入力ポートを備えてもよく、試料入力導管は、測定ユニットに流体接続または接続可能である。IVDシステムは、品質管理(QC)試料などの可能な他の流体の中でも、較正溶液を含む1つまたは複数の流体リザーバを備えるIVDシステムのモジュールまたは構成要素などの流体供給ユニットを備えてもよく、場合によっては、流体システムを循環する流体がプロセスの終わりに廃棄され得る1つまたは複数の廃棄物容器も備えてもよい。
【0044】
「コントローラ(controller)」という用語は、任意の物理的または仮想的な処理デバイス、特に、開示された実施形態のいずれかによる較正を管理する方法に関連する動作を実行するための命令が提供されるコンピュータ可読プログラムを実行するプロセッサを有するプログラマブル論理コンピュータを包含する。コントローラは、体外診断システムに統合されてもよく、または体外診断システムと通信する別個の論理エンティティであってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、データ管理ユニットと一体であってもよく、サーバコンピュータによって構成されてもよく、および/または複数の体外診断システムにわたって/それらの間で分散/共有されてもよい。コントローラはまた、ワークフローおよびワークフロー工程が体外診断システムによって実行されるように体外診断システムを制御するように構成可能であってもよい。特に、コントローラは、入ってくる試料IVD検査順序および/または受け取られた試料IVD検査順序、ならびに、較正手順の実行をいつ開始し、いつ中断するか、および較正手順をいつ再始動または再開するかを計画するために、試料IVD検査順序の実行に関連するスケジュールされたプロセス動作の数、を考慮に入れるために、スケジューラおよび/またはデータマネージャおよび/またはユーザ入力インターフェースおよび/または試料入力インターフェースと、通信および/または協働してもよい。特に、コントローラは、上述の実施形態のいずれかによる方法ステップのいずれかを実行するように構成されてもよい。
【0045】
その他およびさらなる目的、特徴および利点は、原理をより詳細に説明する例示の実施形態の以下の説明おおび添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】いくつかの試料IVD検査に関連する較正手順で使用される一般的な較正溶液を任意に選択した表を示す。
【
図2】
図1から選択された異なる組の較正溶液を使用して検査固有の較正パラメータを決定するための較正手順を実行することを含む、較正サイクルの例を示す。
【
図3】較正サイクルを実行する概略例を示し、較正手順の繰り返しが完了し、したがって、この例ではグルコース検査結果を評価するために使用されるすべての検査固有の較正パラメータを更新することが可能である。
【
図4】
図3の変形であり、較正手順(実線)の反復が中断され、したがって、グルコース特異的較正パラメータを部分的にのみ更新することが可能である。
【
図5】較正サイクルを実行する別の概略例を示し、較正手順の繰り返しが完了し、したがって、この例でCa
++検査結果を評価するために使用されるすべての検査固有の較正パラメータを更新することが可能である。
【
図6】
図5の変形であり、較正手順の繰り返しが中断され、したがって、Ca
++-固有の較正パラメータを部分的にのみ更新することが可能である。
【
図7】較正溶液の組を使用する較正手順の実行中のサブステップを概略的に示す。
【
図8】
図1~
図7の態様を含む、IVDシステムの較正を自動的に管理するより包括的なコンピュータ実装方法を概略的に示す。
【
図9】
図8による較正を管理する方法を実行するように構成されたコントローラを備える、試料IVD検査を実行するためのIVDシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
当業者は、図中の要素が簡略化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解する。例えば、図中の一部の要素の寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある一方で、他の要素は、明瞭性を高め、本開示の態様の理解を向上させるために、省かれているか、または数が減らされて表されている場合がある。
図1は、一般的な較正溶液の任意の選択を含む表を示し、試料中に存在する可能性がある関心のある分析物の異なるレベルに対応する較正材料または標準の既知の値を備える、一般に「高(high)」、「中(mid)」、「低(low)」として示される。これは、検査固有の較正パラメータを決定するために1つまたは複数の較正手順で使用され得、例えば試料中のそれぞれの分析物の存在および量を決定するために試料IVD検査結果を評価するために使用され得る。この例では、それぞれの試料IVD検査に関連する関心のある分析物または試料パラメータは、イオン選択電極(ISE)によって検出することができるNa
+、K
+、Cl
-、およびCa
++などの電解質、ならびに、それぞれの代謝産物センサ(MSS)によって検出され得るグルコースおよび乳酸などの代謝産物である。較正溶液は、代替的または追加的に、関心のある他の分析物または試料パラメータに関連する他の較正材料または標準を備えてもよく、特定の試料IVD検査、例えばダイナミックレンジ、感度などを含む、それぞれの測定原理およびIVDシステムに応じて、より少ないまたはより多い較正溶液が使用されてもよい。したがって、この例では具体的な値は示されていない。
【0048】
ISEセンサは、通常、電位差測定原理に従って機能する。それらの違いは、それぞれの電解質に対する感度を可能にする膜材料の違いだけである。
【0049】
グルコースセンサは、グルコースを空気からの酸素で酸化してグルコノラクトンにするグルコースオキシダーゼ酵素を、一般に利用する。このプロセスで生成されたH2O2が、二酸化マンガン/カーボン電極によって電流測定で測定される。センサは、酵素反応によるグルコースの酸化に必要な酸素を復元するので、検査試料中の酸素濃度に依存せず、グルコース値が測定される。
【0050】
乳酸センサは、典型的には、乳酸が空気からの酸素によってピルビン酸に酸化される乳酸オキシダーゼ酵素を利用する。このプロセスで生成されたH2O2が、グルコースセンサと同様に電流測定で測定される。
【0051】
表に列挙された較正溶液Aは、典型的には、他の較正溶液よりも頻繁に、例えば常に第1の較正溶液として、および/または異なる較正溶液間で使用および測定され、例えば試料の導入前および/または導入後に洗浄液としても使用されてもよい。
【0052】
図2は、試料IVD検査結果を評価する際にそれぞれ使用される検査固有の較正パラメータ12、22、32を決定するためにそれぞれ較正手順11、21、31を実行することと、それぞれの較正有効期間が満了する前、すなわち新しいサイクル10、20、30を開始する前に、検査固有の較正パラメータ12、22、32を更新するために較正手順11、21、31を繰り返すことと、を含む較正サイクル10、20、30の例を示し、異なる較正手順11、21、31はそれぞれ異なる較正有効期間を有し、異なる較正手順11、21、31/サイクル10、20、30を実行することは、例えば
図1のものから選択された異なる較正溶液の組を使用することを含む、較正溶液の組は、少なくとも2つ、例えば、2つ、4つ、場合によっては例えば6つ(図示せず)以上の異なる較正溶液を含む。特に、この例では、較正溶液の組は、較正溶液A、B、C、Dの単一対A-Bまたは複数の対A-B-A-C、A-B-A-Dを備え、各対A-B、A-C、A-Dは、第1の較正溶液として共通の較正溶液Aを備え、第2または後続の較正溶液として任意の他の異なる較正溶液B、C、Dを備える。A-C、A-D、A-B-A-C-A-Dなどの他の組み合わせ(図示せず)も可能であり、一般に、特定の試料IVD検査および較正溶液の含有量に応じて、必ずしも対ではなく、任意の数の較正溶液との任意の組み合わせが可能である。
【0053】
特定の較正手順11、21、31およびA-B、A-B-A-C、A-B-A-Dで使用されるそれぞれの較正溶液の組に応じて、それぞれの検査固有の較正パラメータ12、22、32が決定され得る。例示的な検査固有の較正パラメータ12、22、32は、例えば
図1に示されるように関心のある分析物または試料パラメータを参照して、それぞれの較正線または較正曲線に関して決定され得、例によって
図3~
図6でより詳細に説明される勾配(SL)、オフセット(OS)、線形性(LN)、ゼロ点(ZP)を含む。各較正パラメータは、それぞれの関心のある分析物または試料パラメータを指すその隣の下付き文字と共に示される。電解質Na
+、K
+、Cl
-、およびCa
++は、簡単にするために、一般に同じグループISEで示される。代謝産物であるグルコースおよび乳酸は、一般に、それぞれ同じグループMSSで示される。略語CK(Check)は、指定されていない場合、較正パラメータOSまたはSLのいずれかを指すことができる。使用される各較正溶液の後に、検査固有の較正パラメータ12、22、32のサブセットを決定し得ることにも留意されたい。
【0054】
この例では、サイクル10を実行することは、1.5時間ごとに較正溶液A~Bを使用することを含む較正手順11を実行することを含み、これは、較正手順11の較正有効期間が1.5時間であり、この較正有効期間の失効前に較正手順の繰り返しが実行されなければならないことを意味する。較正サイクル20を実行することは、較正手順21を実行することを含み、12時間ごとに較正溶液Cを使用することを含み、これは、較正手順21の較正有効期間が12時間であり、この較正有効期間の失効前に較正手順の繰り返しが実行されなければならないことを意味する。特に、較正手順21は、較正手順11の対の較正溶液A-Bと組み合わされた対の較正溶液A-Cを、単一の較正サイクル20に使用することを含む。これは、異なる較正有効期間1.5時間および12時間をそれぞれ有する2つの較正手順11、21の一例であるが、これらは同時に満了し、したがって、それぞれの較正溶液および/または対の較正溶液を同じ組に追加することによって組み合わされる。同様に、較正サイクル30を実行することは、12時間ごとに較正溶液Dを使用することを含む較正手順31を実行することを含み、これは、較正手順31の較正有効期間が12時間であり、この較正有効期間の失効前に較正手順の繰り返しが実行されなければならないことを意味する。特に、較正手順31は、較正手順11の対の較正溶液A-Bと組み合わされた対の較正溶液A-Dを、単一の較正サイクル30に使用することを含む。これは、異なる較正有効期間1.5時間および12時間をそれぞれ有する2つの較正手順11、21の別の例であるが、これらは同時に満了し、したがって、それぞれの較正溶液および/または対の較正溶液を同じ組に追加することによって組み合わされる。一方、較正手順21および31は両方とも12時間の較正有効期間を有するが、それらは間に6時間の期間で交互に配置されているため、それぞれ異なる時間に満了になる。
【0055】
図3と
図4を合わせて、測定された較正点に最も適合する線もしくは曲線、または数学関数を構築するプロセスである較正手順の結果を計算する具体例を示す。この場合、較正曲線は、
図2の較正手順21を実行して較正溶液A、BおよびCを測定することにより決定され得るグルコース検査結果の評価に用いられる較正曲線である。これは、グルコース較正曲線が3つのレベルの較正溶液を用いる必要がある非線形曲線であるためである。
図3および
図4の破線曲線は、
図2のサイクル20の開始時に、3つのレベルの較正溶液A old、B old、およびC oldのすべてを使用して完了した較正手順を指し、それによって、グルコース検査固有の較正パラメータZP、SL old、およびLN oldが決定され、新しいグルコース検査固有の較正パラメータZP、SL new、およびLN newを決定し、古いグルコース検査固有の較正パラメータZP、SL old、およびLN oldを更新するために、較正有効期間の失効前に較正手順21を繰り返すことによって更新される必要がある。
図3と
図4との違いは、
図3では、較正手順21(実線の曲線)の繰り返しが完了しており、したがって、3つの新しいグルコース検査固有の較正パラメータZP、SL newおよびLN newのすべてを決定することが可能であるのに対して、
図4では、較正手順21(実線の曲線)の繰り返しは、A newおよびB newを測定した後に中断されているため、まだC newを測定していないので、新しい曲線の線形性(LN new)を決定することができないことである。しかしながら、少なくとも一時的に、ZPおよびSL newを決定し、それによって、較正手順が再始動または再開されるまで、グルコース検査固有の較正パラメータの少なくとも一部を更新することが可能である。しばらくの間、LN oldは使用され続ける。
【0056】
図5および
図6は、合わせて、較正手順の結果を計算する別の具体例を示す。この場合、較正曲線は、
図2の較正手順31を実行して較正溶液AおよびDを測定することにより決定され得る、Ca
++検査結果の評価に用いられる較正曲線である。これは、Ca
++較正曲線が直線であるため、2つのレベルの較正溶液を用いれば十分だからである。
図5および
図6の破線は、
図2のサイクル30の開始時に、較正溶液A oldおよびD oldの両方のレベルを使用して完了した較正手順を指し、それによって、新しいCa
++検査固有の較正パラメータOS newおよびSL newを決定し、古いCa
++検査固有の較正パラメータOS old(図示せず)およびSL oldを更新するために、前のサイクル30およびSL oldに対するCa
++検査固有の較正パラメータOS old(図示せず)が決定され、較正有効期間の失効前に較正手順31を繰り返すことによって更新される必要がある。
図5と
図6との違いは、
図5では、較正手順31(実線)の繰り返しが完了しており、したがって、新しいCa
++検査固有の較正パラメータOS newとSL newの両方を決定することが可能であるのに対して、
図6では、較正手順31(実線)の繰り返しは、A newを測定した後に中断されており、したがって、まだD newを測定していないので、新しい線の新しい勾配(SL new)を決定することは不可能であることである。しかしながら、較正手順が再始動または再開されるまで、少なくとも一時的なOS newを決定し、それによってCa
++検査固有の較正パラメータの少なくとも一部を更新することが可能である。しばらくの間、SL oldは使用され続ける。
【0057】
図7は、較正溶液の組40であって、少なくとも2つの異なる較正溶液A、Xを備える組40を使用して較正手順を実行することに関するさらなる態様を示し、Xは任意の較正溶液、例えばB、C、Dであり得、較正溶液A、Xを使用することは、較正溶液A、Xをそれぞれ測定ユニットに移送する第1のステップt:A、t:Xと、較正溶液A、Xをそれぞれ測定ユニットによって測定する第2のステップm:A、m:Xと、を備える。特に、各ステップt:A、t:X、m:A、m:Xは同じ持続時間、例えばこの例では30秒を有し、これは較正溶液の移送および測定に60秒かかることを意味する。これは一例にすぎず、使用される特定のIVDシステムおよび較正溶液に従って適合され得る。
【0058】
図8は、IVDシステムの較正を自動的に管理するより包括的なコンピュータ実装方法を概略的に示し、本方法は、較正サイクル10、20、30を実行することを含み、較正サイクル10、20、30は、試料IVD検査結果(IVD TR)を評価する際に使用される検査固有の較正パラメータ12、22、32を決定するために較正手順11、21、31を実行することと、それぞれの較正有効期間の満了50前に検査固有の較正パラメータ12、22、32を更新するために較正手順を繰り返すこととを含み、異なる較正手順11、21、31/サイクル10、20、30は、それぞれ異なる較正有効期間を有する可能性があり、異なる較正手順11、21、31/サイクル10、20、30を実行することは、異なる組40の較正溶液A、Xであって、少なくとも2つの異なる較正溶液A、Xを備える組40を使用することを含み、較正溶液A、Xを使用することは、
図7にも示すように、較正溶液を測定ユニットに移送する第1のステップt:A、t:Xと、測定ユニットによって較正溶液を測定する第2のステップm:A、m:Xとを、備える。特に、各較正サイクル10、20、30について、本方法は、それぞれの較正有効期間の満了50前のバッファ期間49の開始48おいて、最も早く較正手順11、21、31の繰り返しを開始すること41と、試料IVD検査(spl)を実行する命令60を受け取ると較正手順11、21、31を中断すること42、42’、42’’、42’’’’と、較正手順11、21、31の繰り返しが、バッファ期間49内に再始動43または再開44され得る限り、試料IVD検査(spl)を実行した後に較正手順11、21、31を再始動すること43または再開すること44と、を備える。さらに、較正手順11、21、31を中断すること42、42’、42’’、42’’’は、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が、較正溶液A、Xの組40における第1の較正溶液Aまたは後続の較正溶液Xの使用する間に受け取られるかどうか、および、第1のまたは後続の較正溶液A、Xをそれぞれ測定ユニットに移送する第1のステップt:A、t:X、あるいは、第1のまたは後続の較正溶液A、Xをそれぞれ測定する第2のステップm:A、m:Xの間に、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が受け取られるかどうかに応じて、異なるステップを備える。
【0059】
一実施形態によれば、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が、組40における第1の較正溶液A、および/または対A,Xにおける第1の較正溶液Aを測定ユニットに移送する第1のステップt:Aの間に受け取られると、較正手順11、21、31を中断すること42は、第1の較正溶液Aを測定ユニットに移送する第1のステップt:Aを完了することと、測定時間を短縮して第1の較正溶液Aを測定するステップm’:Aを実行することと、試料IVD検査(spl)を実行するために、較正手順11、21、31の次に続くステップのいずれか(破線の十字でマークされている)を中止することと、を備える。
【0060】
一実施形態によれば、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が、組40における第1の較正溶液A、および/または対A、Xにおける第1の較正溶液Aを、測定する第2のステップm:Aの間に受け取られると、較正手順を中断すること42’は、第1の較正溶液Aを測定する第2のステップm:Aを完了することと、試料IVD検査(spl)を実行するために較正手順の次に続くステップのいずれか(破線の十字でマークされている)を中止することと、を備える。
【0061】
一実施形態によれば、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が、組40における後続の較正溶液X、および/または対A、Xにおける後続の較正溶液Xを測定ユニットに移送する第1のステップt:Xの間に受け取られると、較正手順11、21、31を中断すること42’’は、試料IVD検査(spl)を実行するために、後続の較正溶液Xを測定ユニットに移送する第1のステップt:X、および較正手順11、21、31の次に続くステップのいずれか(破線の十字でマークされている)を中止することを含む。本方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に洗浄ステップ(wash)を実行することをさらに備え、洗浄ステップ(wash)は、任意の中断されたステップよりも短い持続時間を有する。特に、本方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に、第1の較正溶液Aで洗浄ステップ(wash)を実行することを含んでもよい。本方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に、測定時間を短縮して第1の較正溶液Aの測定ステップm’:Aを実行するステップをさらに備えてもよい。
【0062】
一実施形態によれば、試料IVD検査(spl)を実行するための命令60が、組40における後続の較正溶液Xおよび/または対A、Xにおける後続の較正溶液Xを測定する第2のステップm:Xの間に受け取られると、較正手順11、21、31を中断すること42’’’は、後続の較正溶液Xを測定する第2のステップm:Xを完了することと、試料IVD検査(spl)を実行するために較正手順11、21、31の後続のステップのいずれかを(破線の十字でマークされている)中止することと、を備える。この方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に洗浄ステップ(洗浄)を実行することをさらに備え、洗浄ステップ(洗浄)は、中断されたステップよりも短い持続時間を有する。特に、この方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に、第1の較正溶液Aで洗浄ステップ(洗浄)を実行することを含んでもよい。本方法は、試料IVD検査(spl)を実行する前に、測定時間を短縮して第1の較正溶液Aの測定ステップm’:Aを実行することをさらに備えてもよい。
【0063】
引き続き
図8を参照すると、本方法は、第1の較正溶液Aの測定または対の較正溶液A、Xの完了した測定後に、検査固有の較正パラメータ12、22、32の少なくとも一部を更新するステップをさらに備える。
【0064】
また、試料IVD検査(spl)を実行した後、本方法は、単一の較正溶液対A、Xを使用するか、または、第1の較正溶液対A、Xを使用している間に中断された42、42’、42’’、較正手順のために、較正手順11、21、31を再始動すること43と、複数の較正溶液対を使用して較正手順のために測定が中断または中止された42’’’較正溶液対から開始して、中断された較正手順11、21、31を再開すること44と、を備える。
【0065】
さらに、較正手順11、21、31を再始動すること43または再開すること44は、較正手順の繰り返しがバッファ期間49内に再始動43または再開44され得る限り、試料IVD検査(spl)を実行した後に所定の時間47待機することを含む。
【0066】
図9は、少なくとも1つの測定ユニット210と、少なくとも較正溶液A、B、C、Dおよび試料2を少なくとも1つの測定ユニット210に移送するための流体システム213と、上述の実施形態のいずれかによる較正を管理する方法に関連する動作を実行する命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するコントローラ250とを備える、試料IVD検査を実行するためのIVDシステム200を概略的に示す。
【0067】
測定ユニット210は、ISEセンサおよび代謝産物センサなどの複数のセンサ212を備えるフロースルーセンサ経路211を備える。IVDシステム200は、流体システム213の下流に配置された蠕動ポンプなどのポンプ240と、較正溶液A、B、C、Dを含む複数の流体を備える流体供給ユニット220と、ポンプ240の動作によって流体システム213を循環する流体を廃棄し得る廃棄物容器224とをさらに備える。IVDシステム200は、流体A、B、C、Dおよび/または空気232を選択するための流体選択バルブ230をさらに備える。
【0068】
IVDシステム200は、試料容器1の開放端部を差し込むように構成された外側入力ポート側11および内側入力ポート側12を備える試料入力ポート10を備える試料入力インターフェース201をさらに備える。試料入力インターフェース201は、上流端31および下流端32を備える吸引針30をさらに備える。吸引針30の下流端32は流体システム213に流体接続されているが、外側入力ポート側11に差し込まれた試料容器1から試料2を吸引するための内側入力ポート側12と、流体選択バルブ230の共通出口ポート231に流体接続された流体供給ユニットポート40とに、交互に結合するために、上流端31が構成されている。しかしながら、流体システム213は、流体選択バルブ230の出口ポート231に直接接続されてもよく、一方、試料は、例えば、流体選択バルブ230に別々に接続された異なる流体ラインを介して導入されてもよい。
【0069】
開示された態様の変更および変形もまた、上記の説明に照らしてもちろん可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、上記の例で具体的に考案されたものとは別の方法で実施され得ることを理解されたい。
【0070】
特に、図面または部品の少なくともいくつかは、概略的なものであり、例示としてのみ提供されることを理解されたい。また、各要素の関係は、図示したもの以外でもよく、本開示の趣旨に関係のない部品は、省略されている。
【0071】
また、前述の明細書全体を通して、「一態様(one aspect)」、「態様(an aspect)」、「一例(one example)」または「例(an example)」、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、態様または例または実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの態様、例または実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一態様では(in one aspect)」、「一態様では(in one aspect)」、「一例(one example)」または「例(an example)」、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ態様または例または実施形態を指しているわけではない。
【0072】
さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の態様または例または実施形態において、任意の適切な組み合わせおよび/またはサブ組み合わせで組み合わせられ得る。
【外国語明細書】