(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009806
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】熱処理炉のヒーターユニット
(51)【国際特許分類】
H05B 3/66 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H05B3/66
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056496
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2023-0084589
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520252033
【氏名又は名称】株式会社韓国ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ナカニシ サトル
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン クォン
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA07
3K092UB01
3K092VV22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱処理炉のヒーターユニットを提供する。
【解決手段】本発明の熱処理炉のヒーターユニット300aは、電気抵抗により発熱する発熱体301を内蔵型で配置して基板を加熱する上板302と、前記上板から所定の間隔を置いて対面する位置に隔設され、前記上板と共に熱膨張および収縮するように発熱体が内蔵型で配置された下板303と、前記上板と下板との間に配置され、プロセスガスを供給し排気する給排気ダクト部304と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗により発熱する発熱体を内蔵型で配置して基板を加熱する上板と、
前記上板から所定の間隔を置いて対面する位置に隔設され、前記上板と共に熱膨張および収縮するように発熱体が内蔵型で配置された下板と、
前記上板と前記下板との間に配置され、プロセスガスを供給し排気する給排気ダクト部と、を含む、熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項2】
前記上板と下板は、それぞれ発熱体を内蔵型で実装する収容空間を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項3】
前記上板と下板に実装される前記発熱体は、前記上板と下板を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、前記発熱体の基準容量を同じ容量に設定して配置された、請求項1に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項4】
前記上板と下板に実装される前記発熱体は、前記上板と下板を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、上板と下板に位置する各発熱体を対称に配置して構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項5】
前記ヒーターユニットは、上板と下板とを一体的に組み合わせるケーシングを含み、前記ケーシングは、上板と下板との間にプロセスガスの流動を誘導する誘導路を備え、前記誘導路に給排気ダクト部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項6】
前記給排気ダクト部は、上板と下板の昇温速度を高めるとともに、上板と下板の熱膨張および収縮に伴って発生するパーティクルを排出するために、前記ケーシング内の一側に配置され、外部から供給されるプロセスガスを前記ケーシングの内部に導入して誘導路を介して給気する給気ダクトと、前記ケーシング内の給気ダクトの他側に対向するように配置され、誘導路に沿って流動するプロセスガスを排気する排気ダクトとから構成されたことを特徴とする、請求項5に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【請求項7】
前記ケーシングの一端には、昇温に伴って発生する摩擦を抑制するためにケーシングを自由端で支持するように転がり性能を有する転がり軸受ユニットが設置されたことを特徴とする、請求項5に記載の熱処理炉のヒーターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉のチャンバーに実装されて熱処理対象基板を高温に到達させ、輻射熱によって均一に加熱処理する熱処理炉のヒーターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置を構成するガラス基板(特に、有機発光表示装置及びLCDなど)は、熱処理炉(又は熱処理オーブン)を介して製造している。熱処理炉によって基板を熱処理する際に、工程ごとに要求される条件を満たすために、熱処理炉は、外気の影響を防ぎ、チャンバー内の熱が外に排出されるのを最小限に抑えて性能低下を防止し、製品不良率を下げるように設計されている。また、完成品の歩留まりを向上させるためには、熱処理の際に基板の面内偏差が少ないほど歩留まりの向上が期待できるため、熱処理炉の性能改善が継続的に行われている実情である。一方、熱処理炉を介した基板製造工程では、基板の表面に有機物層が形成されて一定量の水分を含むことができるため、ヒーターの熱気を用いて水分を蒸発させる加熱及び乾燥工程を行って基板を製造している。ここで使用されている熱処理炉のヒーターユニットは、電気抵抗により発熱する発熱線(発熱コイル)を内蔵し、上下部には板状のヒーティングプレートを設置することで、熱処理炉内のチャンバー内で基板に対する加熱及び乾燥工程を行うように構成されているが、良品の熱処理基板の品質を維持するためには、高い温度性能だけでなく、速い昇温と降温における温度均一度を精密に維持することを必要としているが、構造的に対応し難い限界がある。すなわち、従来の熱処理炉のヒーターユニットは、機能的に常時昇温及び降温ではなく、常温状態にセットして使用するように構成されており、構造的には、熱処理のためのターゲット温度を常時維持管理することに満足するように設計されており、最近の様々な基板製造工程のトレンド変化に十分に対応することができないという問題がある。これにより、本発明では、工程温度を急速に処理するために必要とされる昇温を素早く行い、工程ターゲット温度への昇温時の熱膨張に備える一方、工程降温能力を増大して生産能力を向上させ、昇温及び降温時の熱膨張と収縮に伴うパーティクル(particle)の発生に備え、ヒーターの交換及びメンテナンスの利便性を提供し、単一形状の標準ヒーターに作って最小限のスペースのみを保有することにより様々な基板製造工程に効率よく対応することが可能な熱処理炉のヒーターユニットを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1238560号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0722154号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10-2013-0028322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、熱処理炉のチャンバーに実装されて熱処理対象基板を高温に到達させ、輻射熱によって均一に加熱処理する熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【0005】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、基板の熱処理工程の温度を急速に処理するために必要とされる昇温を迅速に行う熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【0006】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、基板の熱処理工程ターゲット温度への昇温時の熱膨張に備える熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【0007】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、基板の熱処理工程における降温能力を増大して生産能力を向上させる熱処理炉へのヒーターユニットを提供することにある。
【0008】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、基板の熱処理工程中の昇温及び降温時の熱膨張と収縮に伴うパーティクルの発生に備える熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【0009】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、ヒーターの交換及びメンテナンスの利便性を提供することができる熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【0010】
本発明で解決しようとする技術的課題の一つは、単一形状の標準ヒーターに作って最小限のスペースのみを保有することにより様々な工程に対応することが可能な熱処理炉のヒーターユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明によれば、電気抵抗により発熱する発熱体を内蔵型で配置して基板を加熱する上板と、前記上板から所定の間隔を置いて対面する位置に隔設され、前記上板と共に熱膨張および収縮するように発熱体が内蔵型で配置された下板と、前記上板と下板との間に配置され、プロセスガスを供給し排気する給排気ダクト部と、を含む、熱処理炉のヒーターユニットから達成できる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記上板と下板は、それぞれ発熱体を内蔵型で実装する収容空間を備えて構成できる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記上板と下板に実装される前記発熱体は、前記上板と下板を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、前記発熱体の基準容量を同じ容量に設定して配置できる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記上板と下板に実装される前記発熱体は、前記上板と下板を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、上板と下板に位置する各発熱体を対称に配置して構成できる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、前記ヒーターユニットは、上板と下板とを一体的に組み合わせるケーシングを含み、前記ケーシングは、上板と下板との間にプロセスガスの流動を誘導する誘導路を備え、前記誘導路に給排気ダクト部を備えることができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記給排気ダクト部は、上板と下板の昇温速度を高めるとともに、上板と下板の熱膨張および収縮に伴って発生するパーティクルを排出するために、前記ケーシング内の一側に配置され、外部から供給されるプロセスガスを前記ケーシングの内部に導入して誘導路を介して給気する給気ダクトと、前記ケーシング内の給気ダクトの他側に対向するように配置され、誘導路に沿って流動するプロセスガスを排気する排気ダクトとから構成できる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記ケーシングの一端には、昇温に伴って発生する摩擦を抑制するためにケーシングを自由端で支持するように転がり性能を有する転がり軸受ユニットを設置して構成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、熱処理炉のチャンバーに実装されて熱処理対象基板を高温に到達させ、輻射熱によって基板を均一に加熱処理する熱処理炉のヒーターユニットを提供するという効果がある。
【0019】
また、基板製造工程中に温度を急速に昇温処理するために必要とされる昇温を素早く行い、工程ターゲット温度への昇温時の熱膨張に備える一方、工程降温能力を増大して生産能力を向上させ、昇温及び降温時の熱膨張と収縮に伴うパーティクル(particie)の発生に備え、ヒーターの交換及びメンテナンスの利便性を提供し、単一形状の標準ヒーターに作って最小限のスペースのみ保有することにより様々な基板製造工程に効率よく対応することが可能な熱処理炉のヒーターユニットを提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】従来の熱処理炉のチャンバー内に配置されるヒーターユニットの平面を示す例示である。
【
図4】本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットを示す例示である。
【
図5】本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットにおけるプロセスガスの流動状態を示す例示である。
【
図6】本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットを組み合わせて配置した平面構造を図式的に示す例であって、プロセスガスの流動状態を示す例示である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態による「熱処理炉のヒーターユニット」を説明する。
【0022】
本発明の説明に先立ち、まず、熱処理炉のヒーターユニットについて
図1~
図3を参照して説明する。
【0023】
図1は、熱処理炉の全体構成を示す例示である。
図2は、熱処理炉の正面を示す例示である。
図3は、熱処理炉のチャンバーの内部に配置されるヒーターユニットの平面を示す例示である。
【0024】
図1~
図3は、熱処理炉100の全体構造を示すものであって、複数のヒーターユニット300を多層状にチャンバー200の内部に設置して構成された例示である。
【0025】
熱処理炉100は、
図1~
図3に示すように、基板を熱処理するために、熱処理対象となる基板(図示せず)を、チャンバー200に設けられた各段に入れたり、熱処理工程済みの基板をチャンバー200から搬出したりするために、背面部にはドア部110を、前面部にはシャッター部120をそれぞれ備える形式で構成できる。
【0026】
また、熱処理炉100は、チャンバー200の一側にプロセスガスを含む流体を流入させる給気口(図示せず)と、チャンバー200内の流体を排気させる排気口(図示せず)とを備えて構成されている。
【0027】
また、熱処理炉100は、加熱又は乾燥を必要とする基板を収容するチャンバー200を備え、チャンバー200内には、発熱体からなる複数のヒーターユニット300を実装することにより、そのヒーターユニット300から発生する熱で基板を加熱するか或いは水分を蒸発乾燥させるように構成されている。
【0028】
また、仕様によって異なるが、通常の場合、ヒーターユニット300を構成する発熱体(図示せず)を包み込むように上板310を設置することで、チャンバー200内での基板加熱工程を行うように構成されている。
【0029】
図1~
図3において、未説明符号「210」及び「220」は、チャンバー200の「内・外部ケーシング」である。そして、未説明符号「230」は、チャンバー200に冷却気流を形成し、チャンバー200の内部に構成された冷却気流誘導路を介してチャンバーを均一な温度分布に冷却する「冷却ジャケット」である。
【0030】
一方、ヒーターユニット300に電源を供給するために、
図3に示すように、ヒーター電源装置240が構成される。ヒーター電源供給装置240は、チャンバー200の外部に多数のフィードスルー241を突出させ、これによりチャンバー内200に電源を供給するように構成されている。
【0031】
また、チャンバー200の一端に多数のバスバー242を設け、ヒーターユニット300を構成する上板310に電気を通電させるように構成されている。
【0032】
すなわち、バスバー242に導電プレートを設置し、フィードスルー241から通電する電流をバスバー242にパスさせた後、導電プレートを介して電気を供給するように構成されている。
【0033】
参考までに、
図1~
図3に示すような、熱処理炉を構成する基本的な通常の公知の構成、例えば、チャンバーの構造やプロセスガスの給気及び排気系統などの構成は、本発明と直接的な関連がない。そして、熱処理炉の基本的な当該構成は、本発明の要旨とは無関係であり、公知の構成であるので、本発明の構成及び動作説明から省略するものとする。
【0034】
一方、熱処理炉のチャンバー内に設置されて使用される通常のヒーターユニット300は、発熱体を板状のヒーティング板に内蔵型で設置して熱処理炉内のチャンバー内で基板に対する加熱及び乾燥工程を行うように構成されている。
【0035】
また、ヒーターユニットは、性能面で良品の熱処理基板の品質を維持するためには、高い温度性能だけでなく、速い昇温と降温における温度均一度を精密に維持することを必要としているが、従来のヒーターユニットは、これに対応し難い限界がある。
【0036】
つまり、従来の熱処理炉のヒーターユニットは、機能的に常時昇温及び降温ではなく、常温状態にセットして使用するようになっており、構造的には、熱処理のためのターゲット温度を常に維持管理することに満足するように設計されているので、特に最近の様々な基板製造工程のトレンド変化に十分対応することができないという問題がある。
【0037】
これにより、本発明は、熱処理炉のチャンバーに実装されて熱処理対象基板を高温に到達させ、輻射熱によって基板を均一に加熱処理する熱処理炉のヒーターユニットを提示する。
【0038】
また、本発明は、基板製造工程の温度を急速に処理するために必要とする昇温を素早く行い、工程ターゲット温度への昇温時に熱膨張に備えることができる熱処理炉のヒーターユニットを提示する。
【0039】
また、本発明は、基板製造工程の降温能力を増大させて生産能力を向上させ、昇温及び降温時にヒーターユニットの熱膨張と収縮に伴って発生するパーティクルを効果的に排出してパーティクルによる基板の品質低下に備えることができる熱処理炉のヒーターユニットを提示する。
【0040】
また、本発明は、ヒーターの交換及びメンテナンスの利便性を提供し、単一形状の標準ヒーターに作って最小限のスペースのみ保有することにより様々な基板製造工程に効率よく対応することができる熱処理炉のヒーターユニットを提示する。
【0041】
以下、本発明の実施形態による熱処理炉のヒーターユニットを構成する主な構成について、
図4~
図6を参照して具体的に説明する。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットを示す例示である。
図5は、本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットにおけるプロセスガスの流動状態を示す例示である。
【0043】
本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニット300aは、
図4及び
図5に示すように、基板の加熱乾燥のために基板を収容するチャンバー200を備える熱処理炉100のチャンバー200内に実装して、ヒーターユニット300aから発生する熱によって基板を加熱または乾燥させるように構成できる。
【0044】
本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、電気抵抗により発熱する発熱体301を内蔵型で配置して基板を加熱する上板302を含んで構成できる。
【0045】
また、上板302から所定の間隔L1を置いて対面する位置に隔設され、上板302と共に熱膨張および収縮するように発熱体301が内蔵型で配置された下板303を含んで構成できる。
【0046】
また、上板302と下板303との間の間隔L1に配置され、プロセスガスを供給して排気する給排気ダクト部304を含んで構成できる。
【0047】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、上板302と下板303にそれぞれ発熱体301を内蔵型で実装する収容空間305、306を備えて構成できる。
【0048】
ここで、上板302と下板303にそれぞれ形成される収容空間305、306は、様々な発熱体301を内蔵型で収容することができる十分な空間で確保されるため、様々な形式の発熱体301を自由に受け入れて収納することができる。
【0049】
好ましくは、上板302と下板303との各収容空間305、306に内蔵型で装着されて実装される発熱体301としては、シースヒーター(sheathed heater)、MIヒーター(Mineral Insulated Heater)、 TFヒーター(Thick Film Heater)の中から様々な熱源を選択して適用できる。
【0050】
例えば、好ましくは、パイプ(金属保護管)に電気抵抗により発熱する発熱線(発熱コイル)を内蔵し、絶縁粉末である酸化マグネシウム(MgO)を入れて一緒に充填することで発熱線とパイプを絶縁した形態の発熱体が適している。この場合、細長く製作することができるので、本発明によるヒーターユニット300aに効果的に適用できる。
【0051】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、上板302と下板303に実装される発熱体301の基準容量を予めセットして構成できる。
【0052】
すなわち、上板302と下板303を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、発熱体301の基準容量を同じ容量に設定して配置することが好ましい。
【0053】
このように上板302と下板303に内蔵型で実装される発熱体301の基準容量を、同じ熱量を持つように予め調節して適用する場合、上板302と下板303との熱量差による不均一な熱収縮および膨張を効果的に制御することができるので、ヒーターの耐久性を強化させるとともにパーティクルの発生を最大限に抑えることができる。
【0054】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、上板302と下板303に実装される発熱体301が、上板302と下板303を同じ熱膨張および収縮に誘導するために、上板302と下板303に位置する各発熱体301を相互対応するように対称に配置して構成できる。
【0055】
このように、上板302と下板303に内蔵型で実装される発熱体301を相互対応するように対称に配置して適用する場合、上板302と下板303との熱量差による不均一な熱収縮および膨張を効果的に制御することができるので、ヒーターの耐久性を強化させるとともにパーティクルの発生を最大限に抑えることができる。
【0056】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、上板302と下板303とを一体的に組み合わせるケーシング307を含んで構成できる。
【0057】
ここで、ケーシング307は、上板302と下板303との間にプロセスガスの流動を誘導する誘導路308を備え、誘導路308には給排気ダクト部304を備えて構成できる。
【0058】
給排気ダクト部304は、上板302と下板303の昇温速度を高めるとともに、上板302と下板303の熱膨張および収縮により発生するパーティクルを排出するために、ケーシング307内の一側に配置され、外部から供給されるプロセスガスをケーシング307の内部に導入して誘導路308を介して給気する給気ダクト304aを配置して構成できる。
【0059】
また、ケーシング307内の給気ダクト304aの他側に対向するように配置され、誘導路308に沿って流れるプロセスガスを排気する排気ダクト304bを配置して構成できる。
【0060】
ここで、ケーシング307の内部に流入して誘導路308に沿って流動するプロセスガスは、発熱体301から発生する熱の温度をより速く目標温度帯まで加速させて昇温させることができる様々なプロセスガスであり得る。これにより、昇温速度をターゲット温度まで速く上げることができる。
【0061】
これにより、熱処理炉のチャンバーに実装して運用される場合、熱処理対象基板を高温に迅速に到達させ、プロセスガスによる輻射熱を用いて基板を均一かつ効果的に加熱処理することができる。
【0062】
そして、ケーシング307の内部に流入して誘導路308に沿って流動するプロセスガスは、発熱体301から発生する熱の温度をより速く目標温度帯まで加速させて昇温させることができるだけでなく、同時に上板302と下板303との間で熱収縮および膨張過程から発生する様々な塵や粉塵などのパーティクルを、プロセスガスが排気される排気ダクト304bを介して簡単に排出することができる。
【0063】
これにより、基板の歩留まり低下を効果的に制御することができ、高品質の基板を効果的に製造することができる。
【0064】
図5を参照すると、ケーシング307内のプロセスガスの誘導路308に沿って給気ダクト304aに流入したプロセスガスが矢印「a1」方向に流動して排気ダクト304bから排気される過程が図式的に示されている。
【0065】
一方、
図6は、本発明の一実施形態による熱処理炉のヒーターユニットを組み合わせて配置した平面構造を図式的に示す例であって、プロセスガスの流動状態を示す例示である。
【0066】
本発明による熱処理炉のヒーターユニット300aは、
図6に示すように、複数のヒーターユニット300aを組み合わせて配置する場合、プロセスガスを矢印「a1」方向に給気させて流動させ、矢印「a2」方向に排気されるようにプロセスガスの流動を制御することができる。
【0067】
また、本発明よる熱処理炉のヒーターユニット300aは、
図6に示すように、ケーシング307の一端には、昇温に伴って発生する摩擦を抑制するために自由端でケーシング307を支持するように転がり性能を有する転がり軸受ユニット309を設置して構成できる。
【0068】
このように、ケーシング307の一端に転がり軸受ユニット309を設置して構成する場合、これによりヒーターユニット300aの摩擦を抑制して摩擦過程におけるパーティクルの発生量を大幅に減らすことができるうえ、ヒーターユニット300a全体の形状変形を防止し、耐久性の低下を効果的に防止することができる。
【0069】
このように、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、熱処理炉のチャンバーに実装して運用される場合、熱処理対象基板を高温に素早く到達させ、プロセスガスによる輻射熱を用いて基板を均一かつ効果的に加熱処理するという利点がある。
【0070】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、基板の熱処理工程温度を急速に処理するために必要とされる昇温をプロセスガスの効果的な供給で迅速に行うように制御することができるという利点がある。
【0071】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、基板の熱処理工程ターゲット温度への昇温時の熱膨張に効果的に対応して変形や耐久性の低下を防止し、これにより従来のヒーターに比べて利用可能寿命を延ばすことができるという利点がある。
【0072】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、基板の熱処理工程における降温能力を増大して生産能力を向上させるという有利な利点がある。
【0073】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、基板の熱処理工程中の昇温及び降温時の熱膨張と収縮に伴うパーティクルの発生に効果的に備えることができるという利点がある。
【0074】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、ヒーターの交換及びメンテナンスの利便性を提供することができるという利点がある。
【0075】
また、本発明による熱処理炉のヒーターユニットは、単一形状の標準ヒーターに作って最小限のスペースのみ保有することにより様々な工程に対応することが可能なヒーターユニットを提供するという利点がある。
【0076】
以上、本発明は、図面に示されている一実施形態を参照して説明されたが、この実施形態に限定されず、本発明の要旨から逸脱することなく修正及び変形させて実施することができ、それらの修正及び変形実施も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
100 熱処理炉
200 チャンバー
300a ヒーターユニット
301 発熱体
302 上板
303 下板
304 給排気ダクト部
304a 給気ダクト
304b 排気ダクト
305、306 収容空間
307 ケーシング
308 誘導路
309 転がり軸受ユニット