(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009823
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20250109BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B60K35/23
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066539
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2023105971
(32)【優先日】2023-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
(72)【発明者】
【氏名】飯田 泰行
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 舞
(72)【発明者】
【氏名】高橋 彰宏
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
3D344AA12
3D344AA14
3D344AA17
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】組み立て性を向上させることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置は、光源と、光源からの照明光を受けて表示光Lを射出する液晶表示パネル12Aと、Z方向に対して傾斜した状態で液晶表示パネル12Aを保持するライトボックス70と、を備える。ライトボックス70は、液晶表示パネル12Aに接触する第1突き当て部73A,73Bと、液晶表示パネル12Aを第1突き当て部73A,73Bへ押し付けるように液晶表示パネル12Aを押す接触面71sを有する第1弾性部71A,71Bと、を備える。第1弾性部71A,71Bは、表示光Lの光進行方向に対して傾斜する液晶表示パネル12Aの光源11aに近い端部側に位置する。接触面71sは、ライトボックス70単体としては光進行方向に露出するように形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被投射部材に表示光を投影することで投影像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光源と、
前記光源からの照明光を受けて前記表示光を射出する表示パネルと、
前記表示光の光進行方向に対して傾斜した状態で前記表示パネルを保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、
前記表示パネルに接触する第1突き当て部と、
前記表示パネルを前記第1突き当て部へ押し付けるように前記表示パネルを押す接触面を有する第1弾性部と、を備え、
前記第1弾性部は、前記光進行方向に対して傾斜する前記表示パネルの前記光源に近い端部側に位置し、
前記接触面は、前記ホルダ単体としては前記光進行方向に露出するように形成されている、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ヘッドアップディスプレイ装置は、
前記表示パネルに接触する第2突き当て部と、
前記表示パネルを前記第2突き当て部へ押し付ける第2弾性部と、を備え、
前記第2弾性部と前記第2突き当て部は、それぞれ前記表示パネルの側面と上面に対向する形状をなし、前記第1弾性部と前記第1突き当て部が並ぶ第1方向に直交する第2方向に並べられる、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ヘッドアップディスプレイ装置は、前記ホルダに装着され、前記表示パネルを覆うカバーを備え、
前記カバーは、前記カバーが前記ホルダに装着された状態で前記表示パネルを前記ホルダへ押し付ける第3弾性部を備え、
前記表示パネルは、前記ホルダ単体で、前記第1弾性部及び前記第1突き当て部によって保持される、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記接触面は、
前記表示パネルの前記端部側の側面を前記表示パネルの面方向に沿って前記第1突き当て部に向けて押圧する第1接触面と、
前記表示パネルの前記側面と前記表示光が出射する側の上面とがなすエッジ部を前記面方向に交差する方向に押圧する第2接触面と、で形成される、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2接触面は、前記第1接触面に対して前記表示パネルの前記端部が延びる方向にズレた位置に形成される、
請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1弾性部は、前記表示パネルが前記ホルダに装着される際に前記表示パネルとの接触により前記第1突き当て部から離れる方向に弾性的に変形可能に形成されている、
請求項1から5の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、LED(Light Emitting Diode)と、LEDからの光を受けて表示光を出射するTFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルと、LEDを収容し、液晶パネルが設置されるバックライトケース(ライトボックス)と、ライトボックスに装着されて液晶パネルをライトボックスとの間で挟み込む液晶カバーと、を備える(特許文献1の
図1C等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、ヘッドアップディスプレイ装置の組み立て性に改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、組み立て性を向上させることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
被投射部材に表示光を投影することで投影像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光源と、
前記光源からの照明光を受けて前記表示光を射出する表示パネルと、
前記表示光の光進行方向に対して傾斜した状態で前記表示パネルを保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、
前記表示パネルに接触する第1突き当て部と、
前記表示パネルを前記第1突き当て部へ押し付けるように前記表示パネルを押す接触面を有する第1弾性部と、を備え、
前記第1弾性部は、前記光進行方向に対して傾斜する前記表示パネルの前記光源に近い端部側に位置し、
前記接触面は、前記ホルダ単体としては前記光進行方向に露出するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、組み立て性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る表示装置の概略断面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るライトボックスと表示パネルユニットの分解斜視図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る表示パネルユニットが装着されたライトボックスとカバーとの分解斜視図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る表示装置の正面図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る表示装置の側面図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る液晶表示パネルが組み付けられる途中のライトボックスの斜視図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図10】本開示の第2実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【
図11】本開示の第2実施形態に係る表示パネルが装着されたライトボックスの斜視図である。
【
図12】本開示の第2実施形態に係るライトボックスの一部を拡大した斜視図である。
【
図14】本開示の第2実施形態の変形例に係る表示パネルが装着されたライトボックスの一部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のフロントガラスであるウインドシールド201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはウインドシールド201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、路面に平行な虚像表示面Kに虚像Vが表示される。
【0010】
ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、折り返しミラー20と、凹面ミラー30と、筐体60と、を備える。
【0011】
筐体60は、非透光性の樹脂又は金属で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60には、ウインドシールド201に対向する位置に開口部が形成されている。筐体60は、開口部を塞ぐ窓部62を備える。窓部62は、表示光Lが透過するアクリル等の透光性の樹脂からなる。筐体60内には、表示装置10、凹面ミラー30及び折り返しミラー20が収容されている。
【0012】
折り返しミラー20及び凹面ミラー30は、表示装置10からの表示光Lをウインドシールド201に導く光学リレーを構成する。
折り返しミラー20は、表示装置10からの表示光Lを凹面ミラー30に向けて反射する。折り返しミラー20は平面ミラーである。なお、折り返しミラー20は、平面ミラーに限らず、凹面ミラーであってもよい。
凹面ミラー30は、表示装置10からの表示光Lをウインドシールド201に向けて拡大させつつ反射させる。
【0013】
次に、表示装置10の具体的な構成について説明する。
図2に示すように、表示装置10は、複数の光源11aを有する光源基板11と、表示パネルユニット12と、照明光学系18と、ライトボックス70と、カバー80と、を備える。
【0014】
照明光学系18は、光源11aからの照明光ILを調整する。照明光ILの調整とは、照明光ILの平行化、照明光ILの拡散、散乱又は収束を言う。照明光学系18は、第1レンズ13と、第2レンズ14と、拡散板15と、を備える。
以下の説明では、光源11aから放射される照明光ILの進行方向をZ方向と規定し、それぞれZ方向に直交し、かつ互いに直交する方向をXとY方向と規定する。本例では、X方向は液晶表示パネル12Aの長手方向であり、Y方向は液晶表示パネル12Aの短手方向である。
【0015】
第1レンズ13、第2レンズ14及び拡散板15は、互いに平行をなすように、Z方向に並べられる。
【0016】
複数の光源11aは、光源基板11の第1レンズ13に対向する面に実装されている。光源11aはLEDである。
第1レンズ13は、コンデンサレンズであり、透光性の樹脂又はガラスにより板状に形成されている。第1レンズ13は、各光源11aから射出された照明光ILの各光線をZ方向に略平行化する機能を有する。
第1レンズ13は、X方向及びY方向に並べられる複数の凸レンズ部13aを備える。各凸レンズ部13aは、両凸レンズ状に形成される。複数の凸レンズ部13aは、それぞれ複数の光源11aに一対一で対応してマトリックス状に配置されている。
【0017】
第2レンズ14は、第1レンズ13により略平行化された照明光ILを表示パネルユニット12の表示領域に合うように拡げる配光レンズであり、透光性の樹脂又はガラスにより板状に形成されている。
【0018】
拡散板15は、光強度のムラの発生を抑制するため、第2レンズ14からの照明光ILを拡散させたうえで表示パネルユニット12に向けて放射する。拡散板15は、第2レンズ14の光射出面に対面している。
【0019】
図3に示すように、表示パネルユニット12は、TFT型の液晶表示パネル12Aと、中継基板12Bと、フレキシブルフラットケーブル12Fと、を備える。中継基板12Bは、フレキシブルフラットケーブル12Fを介して液晶表示パネル12Aに接続されている。中継基板12Bは、図示しないフレキシブルフラットケーブルを介して図示しない制御基板に接続されている。液晶表示パネル12Aは、図示しない制御基板による制御のもと、照明光ILを受けて表示光Lを放射する。液晶表示パネル12Aは、照明光ILの進行方向(Z方向)に対して非直角であり、かつ、拡散板15に対して非平行となる向きに設けられている。
【0020】
ライトボックス70は、第1レンズ13、第2レンズ14及び拡散板15の周囲を囲み、ライトボックス70の内部空間内に第1レンズ13、第2レンズ14及び拡散板15を保持する。ライトボックス70は、遮光性の樹脂又は金属により形成されている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、ライトボックス70は、筒部75と、複数の第1弾性部71A,71Bと、第2弾性部72と、複数の第1突き当て部73A,73Bと、複数の第2突き当て部74A,74Bと、複数のカバー被係止部76と、を備える。
【0022】
筒部75は、Z方向に貫通する矩形筒状をなし、第1レンズ13、第2レンズ14及び拡散板15を周囲から囲むように形成されている。筒部75の上端面は、液晶表示パネル12Aの外周が設置されるパネル設置面75aである。パネル設置面75aは、Z方向に対して傾斜しており、詳しくは、Y方向において、第1突き当て部73A,73Bから第1弾性部71A,71Bに向かうにつれて、Z方向の高さが低くなる、言い換えると光源11aに近づくように形成されている。
【0023】
複数の第1弾性部71A,71B、第2弾性部72、複数の第1突き当て部73A,73B及び複数の第2突き当て部74A,74Bは、液晶表示パネル12Aを周囲から保持するように機能する。
第1弾性部71A,71Bと第1突き当て部73A,73Bは、それぞれ液晶表示パネル12AのY方向の両側に位置し、液晶表示パネル12AをY方向に保持するように形成されている。第1弾性部71A,71Bは、液晶表示パネル12Aの下端側の側面を押すように形成されている。2つの第1弾性部71A,71Bは、X方向に離れて位置し、液晶表示パネル12AのX方向の両端部に位置する。第1弾性部71A,71Bは、筒部75の外側に位置し、Z方向に延び、Y方向に弾性変形可能な板バネとして形成されている。
【0024】
図6の下部に拡大して示すように、第1弾性部71A,71Bは、その先端側に位置する接触面71sを備える。第1弾性部71A,71BはX方向から見て略直角三角形をなし、この略直角三角形の傾斜面が接触面71sである。接触面71sは、液晶表示パネル12Aの下側の側面に接触、本例では面接触する。接触面71sは、第1突き当て部73A,73Bを向くように斜め上を向き、さらに、液晶表示パネル12Aの面方向に対して垂直をなす向きに形成されている。接触面71sは、液晶表示パネル12Aの端部を挿入可能に、Z方向の上方向に露出している。すなわち、接触面71sの上方向にはライトボックス70の他の部位が存在していない。よって、第1弾性部71A,71Bは、液晶表示パネル12Aの上側への動きを規制する部位を持たない。
【0025】
図3及び
図4に示すように、第1突き当て部73A,73Bは、液晶表示パネル12Aの上端側の側面に接触、本例では面接触する凸状をなす。2つの第1突き当て部73A,73Bは、パネル設置面75aの上側の両角部に位置し、それぞれY方向に第1弾性部71A,71Bに対向するように位置する。
【0026】
第2弾性部72と第2突き当て部74A,74Bは、それぞれ液晶表示パネル12AのX方向の両側に位置し、液晶表示パネル12AをX方向に保持するように形成されている。
第2弾性部72は、液晶表示パネル12AのYZ平面に延びる側面(正確には、この側面の上側のエッジ部)を押すようにフック状に形成されている。第2弾性部72は、液晶表示パネル12Aの側面と上面の両面に対向するように形成されている。第2弾性部72は、筒部75の外側であって、YとZ方向において第1弾性部71Bと第1突き当て部73Bの中間に位置する。第2弾性部72は、Z方向に延び、X方向に弾性変形可能な板バネとして形成されている。
図5に示すように、第2弾性部72は、液晶表示パネル12Aのエッジ部に引っ掛かる爪部72tを有する。爪部72tは、液晶表示パネル12Aの上面の一部に張り出すように形成されている。よって、爪部72tは、液晶表示パネル12AをZ方向にライトボックス70から離れないように保持する。
【0027】
第2突き当て部74A,74Bは、X方向において液晶表示パネル12Aを挟んで第2弾性部72の反対側に位置する。2つの第2突き当て部74A,74Bは、Y方向において第2弾性部72の両側に位置する。第2突き当て部74A,74Bは、液晶表示パネル12Aの側面と上面の両面に対向するように形成されている。詳しくは、第2突き当て部74A,74Bは、Z方向に延び、第2突き当て部74A,74Bの先端部が液晶表示パネル12Aのエッジ部に接触するように折り曲げ形成されている。よって、第2突き当て部74A,74Bの先端部は、液晶表示パネル12AをZ方向にライトボックス70から離れないように保持する。
【0028】
複数のカバー被係止部76は、筒部75の外側面に位置し、カバー80の後述する係止爪部86が嵌まる。カバー被係止部76は、Z方向に貫通する筒状をなす。
【0029】
図4及び
図8に示すように、カバー80は、液晶表示パネル12Aの外周側を覆い、ライトボックス70に装着される。カバー80は、遮光性の樹脂又は金属により形成されている。
カバー80は、枠部85と、側壁部87と、複数の係止爪部86と、中継基板保持部82と、第3弾性部83と、を備える。枠部85は、液晶表示パネル12Aの外周側のベゼルを覆うように枠状をなす。枠部85は、表示光Lが通過する光通過孔85hを有する。光通過孔85hは、X方向に長い長方形状をなす。側壁部87は、枠部85の外周縁部に立設しており、筒部75の外面に対向する。
【0030】
複数の係止爪部86は、側壁部87に設けられ、Z方向の下側に向けて延びる。係止爪部86は、それぞれカバー被係止部76内に挿入された状態で、カバー被係止部76の下端面に引っ掛かる。これにより、カバー80がライトボックス70に固定される。
中継基板保持部82は、枠部85の下端部に位置し、上方向に延び、XZ平面上に形成される。中継基板保持部82は中継基板12Bを保持する。
【0031】
図8及び
図9に示すように、第3弾性部83は、枠部85に位置し、液晶表示パネル12Aをライトボックス70(正確には、そのパネル設置面75a)に向けて押す。第3弾性部83は、Z方向に沿う方向である液晶表示パネル12Aの面垂直方向に弾性変形可能に形成されている。第3弾性部83は、略L字の棒状に形成され、第3弾性部83の屈曲先端部は液晶表示パネル12Aの上面(特に、ベゼルの上面)に接触している。第3弾性部83により液晶表示パネル12AはZ方向に保持される。
【0032】
次に、表示装置10の組み立て方法について説明する。この組み立て作業は、人又はロボットにより行われる。
まず、ライトボックス70内に照明光学系18(第1レンズ13等)を収容する。そして、液晶表示パネル12Aをライトボックス70に装着する。具体的には、まず、
図7に示すように、第1弾性部71AをX方向の外側に広げつつ、液晶表示パネル12Aの第1端部E1を第2突き当て部74A,74B内に位置させる。第1端部E1は、液晶表示パネル12Aの短手方向に延びる端部である。このとき、液晶表示パネル12Aの第1端部E1と反対側の第2端部E2は、第1突き当て部73B、第1弾性部71B及び第2弾性部72の上方に位置する。液晶表示パネル12Aの第2端部E2は、第1端部E1を中心として、第1突き当て部73B、第1弾性部71B及び第2弾性部72に近づくようにZ方向に押し込まれる。この際、この押し込みに伴い、液晶表示パネル12Aの第3端部E3は第1弾性部71Aの接触面71sとの接触により第1弾性部71AをX方向の外側に押し広げ、第1弾性部71Bの上端と第2弾性部72の上端に接触する。第3端部E3は液晶表示パネル12Aの長手方向に延びる下端部である。さらに、この押し込みが進行すると、第3端部E3と第1弾性部71Bの接触面71sとの接触により第1弾性部71BがY方向の外側に退避しつつ、第2端部E2との接触により第2弾性部72がX方向の外側に退避する。この際、第3端部E3は、第1弾性部71A,71Bそれぞれの接触面71sに接触する前にライトボックス70の何れの部材にも接触せずに凸部を乗り越えることもない。よって、液晶表示パネル12Aがライトボックス70にスムーズに装着可能となる。
そして、第2端部E2が第2弾性部72の爪部72tを乗り越えると、
図4に示すように、液晶表示パネル12Aは、パネル設置面75aに設置され、第1弾性部71A,71B、第2弾性部72、各第1突き当て部73A,73B及び各第2突き当て部74A,74BによりXとY方向から保持された状態となる。この保持された状態では、第1弾性部71A,71Bは液晶表示パネル12Aを第1突き当て部73A,73Bに向けて押し付け、第2弾性部72は表示パネル12Aを第2突き当て部74A,74Bに向けて押し付ける。この時点で、液晶表示パネル12Aがライトボックス70から脱落不能にライトボックス70に保持される。
【0033】
次に、カバー80をライトボックス70に装着する。具体的には、カバー80の各係止爪部86をライトボックス70のカバー被係止部76に係止させる。これにより、カバー80の第3弾性部83が液晶表示パネル12Aをパネル設置面75aに押し付けた状態となる。
以上により、表示装置10の組み立てが完了する。
【0034】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)被投射部材の一例であるウインドシールド201に表示光Lを投影することで投影像としての虚像Vを表示するヘッドアップディスプレイ装置100は、光源11aと、光源11aからの照明光ILを受けて表示光Lを射出する表示パネルの一例である液晶表示パネル12Aと、表示光Lの光進行方向(Z方向)に対して傾斜した状態で液晶表示パネル12Aを保持するホルダの一例であるライトボックス70と、を備える。ライトボックス70は、液晶表示パネル12Aの側面に接触する第1突き当て部73A,73Bと、液晶表示パネル12Aを第1突き当て部73A,73Bへ押し付けるように液晶表示パネル12Aを押す接触面71sを有する第1弾性部71A,71Bと、を備える。第1弾性部71A,71Bは、表示光Lの光進行方向に対して傾斜する液晶表示パネル12Aの光源11aに近い端部側(下端側)に位置する。接触面71sは、接触面71sの表示光Lの光進行方向にライトボックス70の他部材が存在しないように、ライトボックス70単体としては光進行方向に露出して形成されている。第1弾性部71A,71Bは、液晶表示パネル12Aが第1突き当て部73A,73Bと第1弾性部71A,71Bの間に装着される際に液晶表示パネル12Aが接触面71s以外の部材に干渉しないように、突起部なしで形成される。
この構成によれば、液晶表示パネル12Aを第1弾性部71A,71Bと第1突き当て部73A,73Bの間に組み付ける際に、第1弾性部71A,71Bの接触面71s以外の部材に干渉しない。このため、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て性を向上させることができる。
また、ライトボックス70は、単体で、第1弾性部71A,71Bと第1突き当て部73A,73Bの間に液晶表示パネル12Aを保持可能に構成される。よって、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て時の液晶表示パネル12Aのライトボックス70からの脱落を抑制することができる。
さらに、液晶表示パネル12Aをライトボックス70に固定するための両面テープ等の接着材が不要となる。
【0035】
(3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、液晶表示パネル12Aの側面に接触する第2突き当て部74A,74Bと、液晶表示パネル12Aを第2突き当て部74A,74Bへ押し付ける第2弾性部72と、を備える。第2弾性部72と第2突き当て部74A,74Bは、それぞれ液晶表示パネル12Aの側面と上面に対向する形状をなし、第1弾性部71A,71Bと第1突き当て部73A,73Bが並ぶ第1方向(Y方向)に直交する第2方向(X方向)に並べられる。
この構成によれば、ライトボックス70は、XとY方向に液晶表示パネル12Aを保持することができる。
【0036】
(4)ヘッドアップディスプレイ装置100は、ライトボックス70に装着され、液晶表示パネル12Aを覆うカバー80を備える。カバー80は、カバー80がライトボックス70に装着された状態で液晶表示パネル12Aをライトボックス70へ押し付ける第3弾性部83を備える。液晶表示パネル12Aは、ライトボックス70単体で、第1弾性部71A,71B及び第1突き当て部73A,73Bによって保持される。
この構成によれば、カバー80は、第3弾性部83を介してZ方向に液晶表示パネル12Aをライトボックス70との間で保持することができる。
ライトボックス70が単体で液晶表示パネル12Aを保持した状態で、カバー80をライトボックス70に装着可能となる。このため、カバー80の装着前に、液晶表示パネル12Aがライトボックス70から脱落することが抑制され、ヘッドアップディスプレイ装置100の組み立て性を向上させることができる。
【0037】
(5)第1弾性部71A,71Bは、液晶表示パネル12Aがライトボックス70に装着される際に液晶表示パネル12Aとの接触により第1突き当て部73A,73Bから離れる方向に弾性的に変形可能に形成される。
この構成によれば、簡単に、液晶表示パネル12Aを第1突き当て部73A,73Bと第1弾性部71A,71Bの間に保持させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
本開示の第2実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について、
図10~
図13を参照して説明する。本実施形態では、第1弾性部がY方向のみならず、Z方向において液晶表示パネルを保持する可能に構成されている点が上記第1実施形態と相違する。以下、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
図10に示すように、表示装置10aは、ライトボックス70aと、カバー80aと、を備える。
カバー80aの中継基板保持部82aは、枠部85の下部から液晶表示パネル12Aに沿う方向に延びる。上記第1実施形態では、
図4に示すように、カバー被係止部76はライトボックス70に設けられ、係止爪部86はカバー80に設けられている。本実施形態では、被係止部86aはカバー80aに設けられ、係止爪部76aはライトボックス70aに設けられている。被係止部86aは、側壁部87のY方向に延びる両外側面のY方向の両端部に設けられる。各係止爪部76aは、各被係止部86aに係止するように形成されている。
カバー80aの枠部85には、上記第1実施形態の第3弾性部83(
図8と
図9参照)が設けられていない。
【0040】
図11に示すように、ライトボックス70aは、複数の第1弾性部41,42と、複数の保持部172,174と、複数の第1突き当て部173A,173Bと、を備える。
2つの保持部172,174は、上記第1実施形態の第2弾性部72と第2突き当て部74A,74Bに代えて設けられる。2つの保持部172,174は、液晶表示パネル12AのX方向の両側に位置し、YZ平面上に延びる板状をなす。2つの保持部172,174は、自身に対向する液晶表示パネル12Aの側面に沿う矩形板状をなす。2つの保持部172,174の互いに対向する内面は、表示光Lの光進行方向に進むにつれて互いに離れるように傾斜している。この内面間に液晶表示パネル12Aが挟持される。
【0041】
2つの第1突き当て部173A,173Bは、上記第1実施形態の第1突き当て部73A,73Bと同様の構成であり、液晶表示パネル12AのX方向の両側の角部12CよりもX方向の内側に位置する。
【0042】
2つの第1弾性部41,42は、上記第1実施形態の第1弾性部71A,71Bに代えて設けられ、それぞれ、2つの第1突き当て部173A,173BにY方向に対向するように位置する。
図12に示すように、2つの第1弾性部41,42は、それぞれ、第1接触面41a,42aと、第2接触面41b,42bと、指掛け面41c,42cと、を備える。
第1接触面41a,42aは、上記第1実施形態の接触面71s(
図6参照)と同様に、第1突き当て部73A,73Bを向くように斜め上を向き、さらに、液晶表示パネル12Aの面方向に対して垂直をなす向きに形成されている。第1接触面41a,42aは、
図13に示すように、液晶表示パネル12Aの下側側面に接触しつつ、液晶表示パネル12Aに沿う方向の力F1で第1突き当て部73A,73Bに向けて液晶表示パネル12Aを押すように形成されている。
【0043】
第2接触面41b,42bは、第1接触面41a,42aの上端に位置し、Z方向(表示光Lの光進行方向)に延びる。第2接触面41b,42bは、X方向に長い長方形の平面をなす。第2接触面41b,42bのZ方向の長さは、第1接触面41a,42aのZ方向の長さよりも短く、例えば、第1接触面41a,42aの5分の1~7分の1程度の長さに設定されている。また、第2接触面41b,42bは、ライトボックス70aを射出成型する一対の金型の抜き方向に沿うように形成される。
第2接触面41b,42bは、
図13に示すように、液晶表示パネル12Aの下端部のうち上側のエッジ部12Pに接触することにより、Z方向の成分を含む力F2で液晶表示パネル12Aを押す。力F2のうちZ方向の成分により、液晶表示パネル12Aは、筒部75に向けて押し付けられる。よって、液晶表示パネル12Aは、第2接触面41b,42bによりZ方向に保持される。
以上により、液晶表示パネル12Aは、ライトボックス70a単体で、XYZの3方向に保持される。
【0044】
指掛け面41c,42cは、第2接触面41b,42bの上部に位置し、液晶表示パネル12Aをライトボックス70aに組み付けるにあたって、第1弾性部41,42を表示光Lの光軸中心から離れる方向に弾性変形させる際に、組み立て作業者の指が引っ掛けられる部位である。指掛け面41cは、第2接触面41bと第1弾性部41の上面の間に、上側に向かうにつれて表示光Lの光軸中心から離れる方向に進む傾斜面として形成される。指掛け面42cは、第2接触面42bと第1弾性部42の上面の間に、X方向から見て略L字状をなす面として形成されている。
【0045】
(効果)
以上、説明した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第1弾性部41,42は、接触面として、液晶表示パネル12Aの下端部の側面を液晶表示パネル12Aの面方向に沿って第1突き当て部173A,173Bに向けて押圧する第1接触面41a,42aと、液晶表示パネル12Aの側面と表示光Lが出射する上面とがなすエッジ部12Pを面方向に交差するZ方向に押圧する第2接触面41b,42bと、を有する。
この構成によれば、ライトボックス70aにより液晶表示パネル12Aをその面方向と面方向に交わる方向に保持することが可能となる。よって、1部品(ライトボックス70a)で液晶表示パネル12Aを保持することが可能となる。
また、組み立て途中で、ライトボックス70aが液晶表示パネル12Aから外れることが抑制されるため、表示装置10aの組み立てがしやすくなる。
【0046】
なお、本開示は以上実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0047】
(変形例)
上記第2実施形態において、第1弾性部41,42の構成は適宜変更可能である。
例えば、
図14に示すように、ライトボックス70bが有する第1弾性部51は、上述した第1弾性部41(
図12参照)に代えて設けられ、第2接触面41b(
図12参照)を有していない。第1弾性部51は、パネル方向押さえ部52と、パネル交差方向押さえ部53と、を備える。
パネル方向押さえ部52は、第1接触面41a(
図12参照)と同じ構成と作用を有し、
図15に示す力F1で液晶表示パネル12Aの側面を押す第1接触面52aを有する。
パネル交差方向押さえ部53は、パネル方向押さえ部52のZ方向に延びる側面(本例では、Z方向に延びる2つの側面のうち液晶表示パネル12Aの角部から遠い側面)の上端部に位置する。パネル交差方向押さえ部53は、第2接触面41b(
図12参照)と同じ構成と作用を持つ第2接触面53aを有する。パネル交差方向押さえ部53は、X方向に延びる多角形(5角形)柱状をなし、この柱状の各側面のうち一つが第2接触面53aである。第2接触面53aは、上側に向かうにつれて表示光Lの光軸中心に近づくように傾斜した平面である。第2接触面53aは、第1接触面52aに対してX方向の側方で、かつ上側に位置する。第2接触面53aは、液晶表示パネル12Aの表示光Lの光出射面の下端部をZ方向の成分を含む力F3で液晶表示パネル12Aを押す。力F3のうちZ方向の成分により、液晶表示パネル12Aは、ライトボックス70bの筒部に向けて押し付けられる。
第1接触面52a及び第2接触面53aの上部には指掛け面52c,53cが形成されている。指掛け面52c,53cは、それぞれ、第1接触面52a及び第2接触面53aと第1弾性部51の上面との間に、Z方向に延びる平面として形成されている。
なお、上記第2実施形態の第1弾性部42も、第1弾性部51と同様に、パネル方向押さえ部52と、パネル交差方向押さえ部53と、を備える構成であってもよい。
上記した変形例によれば、以下の効果を奏する。
第2接触面53aは、第1接触面52aに対して液晶表示パネル12Aの下端部が延びるX方向にズレた位置に形成される。
この構成によれば、1部品(ライトボックス70b)で液晶表示パネル12Aを保持することが可能となる。
【0048】
上記各実施形態において、第1弾性部41,42,51,71A,71B、第2弾性部72、各第1突き当て部73A,73B,173A,173B、各第2突き当て部74A,74B、及び保持部172,174の数、位置及び形状は適宜変更可能である。
上記第1実施形態において第2弾性部72と各第2突き当て部74A,74Bは省略されてもよく、上記第2実施形態において保持部172,174は省略されてもよい。
上記第1実施形態においては、カバー80の第3弾性部83の数は1つであったが、2つ以上であってもよい。また、第3弾性部83は省略されてもよい。
上記各実施形態において、カバー80は省略されてもよい。この場合でも、ライトボックス70,70aは、単体で液晶表示パネル12Aを保持可能である。この構成では、表示装置10の部品点数を減らすことができる。特に、上記第2実施形態と上述した
図14等に示す変形例では、ライトボックス70a,70bによりZ方向にも液晶表示パネル12Aを保持可能であるため、カバー80を省略することに特に適している。
上記各実施形態において、折り返しミラー20が省略されてもよい。
上記各実施形態においては、照明光学系18は、2つのレンズ13,14を備えていたが、レンズの数は1つ又は3つ以上であってもよい。また、照明光学系18を構成するレンズの種類及び形状は適宜変更可能である。
上記各実施形態においては、虚像表示面Kは、路面に平行であったが、路面に平行でなくてもよい。すなわち、パネル設置面75aと液晶表示パネル12Aは、Z方向に直交する方向に延びていてもよい。
また、上記各実施形態では、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200以外の乗り物に搭載されていてもよい。
被投射部材は、ウインドシールド201に限らず、専用コンバイナであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 視認者
10,10a 表示装置
11 光源基板
11a 光源
12 表示パネルユニット
12A 液晶表示パネル
12B 中継基板
12C 角部
12F フレキシブルフラットケーブル
12P エッジ部
13 第1レンズ
13a 凸レンズ部
14 第2レンズ
15 拡散板
18 照明光学系
20 折り返しミラー
30 凹面ミラー
60 筐体
62 窓部
70,70a,70b ライトボックス
41,42,51,71A,71B 第1弾性部
41a,42a,52a 第1接触面
41b,42b,53a 第2接触面
41c,42c,52c,53c 指掛け面
52 パネル方向押さえ部
53 パネル交差方向押さえ部
71s 接触面
72 第2弾性部
72t 爪部
73A,73B,173A,173B 第1突き当て部
74A,74B 第2突き当て部
75 筒部
75a パネル設置面
76,86a 被係止部
80,80a カバー
82 中継基板保持部
83 第3弾性部
85 枠部
85h 光通過孔
86,76a 係止爪部
87 側壁部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
172,174 保持部
200 車両
201 ウインドシールド
E1 第1端部
E2 第2端部
E3 第3端部
F1~F3 力
K 虚像表示面
L 表示光
V 虚像
IL 照明光