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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009828
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】デリックバラストを持つクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/74 20060101AFI20250109BHJP
   B66C 23/76 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B66C23/74 B
B66C23/76 D
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068247
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】10 2023 117 808.3
(32)【優先日】2023-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501190549
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク ネンツィング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーゲレ リヒャート
(72)【発明者】
【氏名】バーゲア ロバート
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205DA01
3F205GA01
3F205GA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な、早いかつ柔軟な方法においてデリックバラストの重量を変更する。
【解決手段】デリックバラスト20は、互いに積み重ねられ得る少なくとも2つのバラスト要素群25と、バラストブレーシング19によってデリックブーム18に接続され、ガイド11によって上部旋回体に接続されるクロスメンバ30とを備える。本発明によれば、クロスメンバは、少なくとも1つの保持要素によってバラスト要素群の積層物に接続され得る。保持要素は、保持要素を、積層物を構成するバラスト要素群の第2接続手段に取り外し可能に接続するための第1接続手段を備え、保持要素及び/又はクロスメンバを連結されていない積層物に対して動かすことによって、積層物を構成するバラスト要素群の積層物の一部に接続され得るように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体(12)と、前記下部走行体(12)に回転可能に設けられた上部旋回体(14)と、前記上部旋回体(14)に起伏するように接続されたブーム(16)と、前記上部旋回体(14)に関節接続され、前記ブーム(16)が支持されるデリックブーム(18)と、前記上部旋回体(14)に接続されたガイド(11)と、特に懸垂バラストとして構成されたデリックバラスト(20)とを備えるクレーン(10)であって、
前記デリックバラスト(20)は、互いに積み重ねられ得る少なくとも2つのバラスト要素群(21)と、バラストブレーシング(19)によって前記デリックブーム(18)に接続され、前記ガイド(11)によって前記上部旋回体(14)に接続されるクロスメンバ(30)とを備え、
前記クロスメンバ(30)は、少なくとも1つの保持要素(32)によって前記バラスト要素群(21)の積層物に接続され得て、
前記保持要素(32)は、前記保持要素(32)を、前記積層物を構成する前記バラスト要素群(21)の第2接続手段(23)に取り外し可能に接続するための第1接続手段(33)を備え、
前記保持要素(32)は、前記保持要素(32)及び/又は前記クロスメンバ(30)を連結されていない前記積層物に対して動かすことによって、前記積層物を構成する前記バラスト要素群(21)の積層物の一部に接続され得るように構成されている、
クレーン(10)。
【請求項2】
前記デリックバラスト(20)は、好ましくは、前記バラスト要素群(21)の側部にある前記第2接続手段(23)に接続され得る少なくとも4つの前記保持要素(32)を備え、
前記保持要素(32)は、好ましくは、平面視において、前記クロスメンバ(30)の4つの角の領域に配置されている、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記保持要素(32)は、前記クロスメンバ(30)に、調節可能に、特に垂直方向に移動可能に設けられ、好ましくは、固定手段(26)によって、前記クロスメンバ(30)にある少なくとも2つの異なる位置に固定され得て、
前記保持要素(32)は、特に前記クロスメンバ(30)から下向きに突出している、
請求項1又は2に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
前記保持要素(32)は、タイロッドとして構成され、又は特に垂直方向に向けられたタイロッドを備え、
前記第1接続手段(33)は、好ましくは、前記タイロッド(32)に沿って縦に並べて配置されている、
請求項3に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
前記保持要素(32)を前記クロスメンバ(30)に取り外し可能に固定するために、前記固定手段(26)は、前記保持要素(32)の前記第1接続手段(33)と係合する状態にされ得て、
好ましくは、前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)への、前記保持要素(32)の接続が、同一の前記固定手段(26)でなされる、
請求項3又は4に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
前記固定手段(26)は、ボルト又はねじとして構成され、
前記第1接続手段(33)及び/又は前記第2接続手段(23)は、前記ボルト又は前記ねじを受けるための孔を備える、
請求項3-5のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記保持要素(32)は、鎖又はロープとして構成されているか、又は鎖又はロープを備える、
請求項1-6のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
前記デリックバラスト(20)は、前記クロスメンバ(30)に取り付けられた前記バラスト要素群(21)が前記クロスメンバ(30)の下方に位置するように構成され、
前記クロスメンバ(30)は、好ましくは、平面視において、実質的に四角形である、
請求項1-7のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記保持要素(32)及び/又は前記クロスメンバ(30)は、鋼製構造体、特に板金、及び/又は筒状構造体、及び/又は少なくとも1つの鋳造物、及び/又は積層造形法によって製造された少なくとも1つの要素、及び/又は繊維複合材料から製造された少なくとも1つの要素を備える、
請求項1-8のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記デリックバラスト(20)は、更なるバラスト要素群(25)が設けられ得るバラストベースプレート(22)を備え、
前記クロスメンバ(30)に前記バラスト要素群(21)が取り付けられているか否かにかかわらず、前記クロスメンバ(30)は、前記バラストベースプレート(22)に、特にボルト結合によって取り外し可能に接続され得る、
請求項1-9のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
前記デリックバラスト(20)は連結部(40)を備え、
前記連結部(40)は、前記クロスメンバ(30)に接続されるか、又は接続可能であり、前記バラストブレーシング(19)が固定され得る止め具(42)を備え、
前記連結部(40)は、好ましくは前記ガイド(11)に接続され、特に、水平旋回軸の周りを旋回できるように前記ガイドに接続される、
請求項1-10のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記クロスメンバ(30)又は前記連結部(40)は、前記バラストベースプレート(22)の第2固定手段(24)に取り外し可能に接続され得る第1固定手段(34)を備える、
請求項1-11のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
前記バラストベースプレート(22)は、前記クロスメンバ(30)が固定され得て、好ましくは、前記クロスメンバ(30)に接続された前記バラスト要素群(21)の前記積層物が配置され得る中央収容領域(27)を備え、
前記バラストベースプレート(22)は、好ましくは、前記中央収容領域(27)の両側に、前記更なるバラスト要素群(25)が配置され得る配置表面を備える、
請求項11又は12に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記保持要素(32)の前記第1接続手段(33)に接続され得る、前記積層物の前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)は、前記保持要素(32)の長手方向軸に平行に、特に、接続された状態において前記保持要素(32)の長手方向軸と同軸に延びる共通の直線の上に配置され、
特に、前記第2接続手段(23)に対する前記保持要素(32)の平行移動によって、前記積層物の第1個数の前記バラスト要素群(21)にあらかじめ関連付けられた、前記第1接続手段(33)の部分が、前記積層物の第2個数の前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)と、重なり合うか、又は係合する状態にされ得る、
請求項1-13のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか1項に記載のクレーン(10)のためのデリックバラスト(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に係るクレーンと、そのようなクレーンのためのデリックバラストに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクレーンは、デリッククレーンとしても知られ、典型的に、クローラシャーシを有する。追加のデリックバラストにより、これらのクレーンは、特に重荷重を持ち上げ、移動させるように構成されている。これらのクレーンでは、メインブーム(以下で「ブーム」と呼ばれる、典型的にラティスブーム)とデリックブームとが、調節可能な起伏ブームによって互いに接続される。このデリックブームは、典型的には、デリックブレーシングによって、上部旋回体の調節可能なAフレームに接続される。Aフレームを調節することによって、上部旋回体に対するデリックブームの傾きが、デリックを組み立てるため、及び解体するために調節され得る。クレーンの運転中、デリックブームの角度は、一般に変化しない。メインブームの起伏動作は、ブームとデリックブームとの間の起伏ロープを調節することによって達成される。
【0003】
ブームが、運搬する荷物によりブームシステムに加えるモーメントは、デリックブームによって吸収されなければならない。加えて、「クレーン」システム全体は、安定した状態のままでなければならない。これは、全体の重心が、傾斜している端部に存在しなければならないことを意味する。重荷重を持ち上げているとき、このことは、上部旋回体バラストだけでは不可能である。このため、デリックバラストが、追加バラストとして必要とされる。これは、長さが可変であるバラストブレーシングによって、デリックブームの自由端に接続される。このバラストブレーシングの長さは、例えば油圧テンションシリンダを用いて調節され得る。
【0004】
懸垂バラスト形式の、又は積層されたバラスト要素群を持って床の上を移動させられ得るバラスト運搬車形式のデリックバラストが、先行技術から知られている。懸垂バラストは、一般に、床に置かれ得るか、又は長さが可変であるバラストブレーシングに吊り下げられ得る、2つの運用モードを想定し得る。これら2つの状態は、通常、吸収されるべき荷重モーメントに依存している。
【0005】
上部構造の回転軸つまり上部旋回体の回転軸と、デリックバラストの重心との間の水平距離は、バラスト半径と呼ばれる。懸垂バラストを持つことで、バラスト半径は、デリックブームの傾きによって、又は上部旋回体の後部と懸垂バラストとの間のガイドによって、のいずれかにより調節され得る。
【0006】
多くのバラストを積むことが、長いブーム設備を起こすために必要とされる。一度、起こされると、一般にクレーンは、想定された荷重について、必要とされるバラストがより少なくてすむ。懸垂バラストの欠点は、デリックバラストが地面から持ち上げられているときにしか、クレーン又は上部旋回体は、回転させられ、移動させられ得ない、又は懸垂バラストは変更され得ないことである。しかし、この状態は、システムが、フックに掛けられたある荷重によってバランスがとれている場合にしか、達成され得ない。懸垂バラストが大きければ大きいほど、又は重ければ重いほど、フックに掛けられる最小荷重もより大きくなければならない。構成に応じて、懸垂バラストが地面に落ちることを防ぐためにフックに掛けられる一定の最小荷重が、必然的に決まる。必要とされるフックに掛けられる最小荷重が、揚重機を含むフック重量よりも大きい限り、懸垂バラストは、フックからこの荷重が取り除かれたときには、降ろされなければならない。クレーンを回転させ、移動させること、又は懸垂バラストを変更することは、もはや不可能である。この状況は、揚重計画を厳しく限定し、又は困難にし得る。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、そのようなデリックバラストを、容易に、早くかつ柔軟に、揚重作業が実施されるように適合させるための解決策を提供する目的に基づく。特に、簡単な、早いかつ柔軟な方法においてデリックバラストの重量を変更することが可能であるべきである。
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するクレーン、及び請求項15の特徴を有するデリックバラストによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0009】
したがって、下部走行体と、下部走行体に回転可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体に起伏するように接続されたブームと、上部旋回体に関節で接続されたデリックブームと、上部旋回体に接続されたガイドと、デリックバラストとを備えるクレーンが提案される。下部走行体は、特に移動可能であり、クローラシャーシを有し得る。ブームは、デリックブームによって、好ましくは、上述の長さが可変である起伏ブームによって支持される。デリックブームは、好ましくは、デリックリギングシステムによって、上部旋回体の調節可能なAフレームに接続される。デリックリギングシステム、特に長さが可変である起伏ケーブルによって上部旋回体に常に接続されるAフレームに、デリックブームは接続されてもよい。デリックバラストは、特にフロートバラストとして構成されている。
【0010】
デリックバラストは、好ましくは板状の、少なくとも2つの積層可能なバラスト要素群と、バラストブレーシングによってデリックブームに接続され、前述のガイドによって上部旋回体に接続されるクロスメンバとを備える。デリックバラストを上部旋回体に接続するガイドは長さが可変であり、これは、例えばアクチュエータによって変更され得る。このことは、同様にバラストを積んだ状態でも、バラスト半径、よって最大許容荷重を変更することを可能にする。
【0011】
本発明によれば、クロスメンバは、少なくとも1つの保持要素によって、好ましくは複数の保持要素によって、バラスト要素群の積層物に接続され得る。例えば、デリックバラストの部分的なバラストを運び得るバラストフレームを、クロスメンバは、このように表し得る。「保持要素」という用語が以下で用いられるとき、これは、少なくとも1つの保持要素を指しており、すなわち、それは、複数の保持要素群の場合を常に含んでいる。
【0012】
本発明によれば、保持要素は、保持要素を、積層物のバラスト要素群の第2接続手段に取り外し可能に接続するための第1接続手段を備え、保持要素及び/又はクロスメンバを、例えば、地面に配置されている連結されていない積層物に対して動かすことによって、保持要素が、積層物のバラスト要素群の積層物の一部に接続され得るように構成されている。
【0013】
言い換えれば、クロスメンバ又は保持要素(群)は、バラスト要素群の積層物から分離可能であり得て、例えば、それが地面に配置された後に、その後に保持要素(群)は、積層物のいくつかのバラスト要素群に、又は積層物の最も下のバラスト要素に、再び接続され得るので、今、クロスメンバによって保持されている積層物は、以前の積層物よりも小さくなる(よって積層物の一部を表す)。これにより、クロスメンバによって持ち上げられたバラストの重量を減らすことが可能である。当然、その逆もあり得る。持ち上げられた積層物の一部が、バラスト要素群の別の積層物の一部の上に配置され、保持要素(群)との接続が解除され、以前よりも大きな積層物との接続が確立され得る。これにより、クロスメンバによって持ち上げられたバラストの重量を増加させることが可能である。
【0014】
このことは、いつでも、追加の補助の機械(例えば補助クレーン)なしに、懸垂バラストを、実施された又は計画されたリフトに最適化することを可能にする。導入部において記述された既知の懸垂バラストの制限は、本発明に係る解決策により著しく抑えられ、リフトのプロジェクト計画における計画範囲は、著しく増大される。
【0015】
本発明に係る解決策は、自律的に可変的に搭載可能な懸垂バラストをこのように提供し、ここで特に「自律的に」という用語は「補助装置なしで使用できる」と理解され、「可変的に搭載可能」という語句は「所定のバラストユニットの範囲での任意の搭載」と理解される。
【0016】
積層物の一部は、元の積層物からの、任意の数のバラスト要素群で構成されてもよい。1つのバラスト要素でさえ積層物の一部とみなされ得るので、最も簡単な場合において、積層物の最も上のバラスト要素のみが保持要素に接続され得る。
【0017】
少なくとも1つの保持要素は、例えば、ボルト接続、ねじ接続、フック接続、保持爪、固定クランプ、スライドボルト、接続くさび、固定シリンダ及び/又は接続チューブによって、取り外し可能に、バラスト要素に接続され得る。上述の接続手段の任意の組み合わせも考えられる。特に簡単な解決策は、ボルト接続を使用することから得られる。
【0018】
可能な実施形態において、デリックバラストは、少なくとも4つの保持要素を備える。好ましくは、構造の複雑さを最小化し、バラストを変えることに影響される労力を抑えるために、クロスメンバは、ちょうど4つの保持要素を有する。しかし、4つよりも多くの保持要素を持つ装置も考えられる。好ましくは、第2接続手段は、バラスト要素の側部に配置される。ある好ましい実施形態では、保持要素は、平面視において、クロスメンバの4つの角の領域又は4つの角に配置され、バラスト要素の側部に配置された第2接続手段に接続され得る。
【0019】
更なる可能な実施形態において、保持要素が、調節可能に、クロスメンバに設けられることが提供される。好ましくは、保持要素は、垂直方向に移動させられ得るように、クロスメンバに設けられる。「垂直」という用語は、平坦な水平な表面にクレーンが立っている場合を基準とする。好ましくは、保持要素は、固定手段によって、クロスメンバにある少なくとも2つの異なる位置に固定され得る。この固定要素はボルトであり得る。
【0020】
この解決策は、例えば、クロスメンバに対する、及び/又はクロスメンバにあるバラストブレーシング及びガイドの取付点に対する第1接続手段の位置を変更することを可能にする。このことは、バラスト要素群の異なる組み合わせ、又は異なる大きさの積層物の一部が、デリックバラストの重量を変更するために、保持要素を調節することによって、保持要素に接続され得るという効果を有し得る。この保持要素は、クロスメンバから、例えば下方へぶらさがるように(保持要素は鎖であるか、鎖を備える場合のように)、下向きに突出し得る。
【0021】
代替的に又は追加的に、異なる数のバラスト要素が保持要素に接続され得るように、地面に降ろされているであろう、取り外されたバラスト要素に対する第1接続手段の位置を、ガイドを用いるクロスメンバを持ち上げることによって変更することが可能かもしれない。この場合、保持要素は、クロスメンバに固定され得る、つまり調節不可能である。
【0022】
更なる可能な実施形態において、保持要素が、タイロッドとして構成されていること、又はタイロッドを備えることが提供される。このことは、引張力を伝えるための構成、例えば、チューブ、ロッド、又はバーである任意の要素を意味すると理解され得て、これらは、例えば、鋼、又は繊維複合材料で形成され得る。好ましくは、このタイロッドは垂直方向に向けられている。好ましくは、第1接続手段は、タイロッドに沿って縦に並べて配置されており、すなわち、それらは、例えば線形の配置を形成し得る。
【0023】
保持要素を調節することによって、第1接続手段は、したがってバラストプレート又はそれらの第2接続手段に対して移動するので、異なる第1接続手段が異なる第2接続手段に接続され得て、クロスメンバに接続された積層物の一部のバラスト要素群の数が変更され得る。代替的に、1つのバラスト要素(特に、収容された積層物の最も下のバラスト要素)のみが保持要素に接続され得るので、保持要素を調節することによって、第1接続手段は、別のバラスト要素の第2接続手段と重なりあう状態、又は係合する状態にさせられ得る。
【0024】
更なる可能な実施形態において、保持要素を取り外し可能にクロスメンバに固定するために、好ましくは、保持要素を、同様の(すなわち、同一に構成された)固定手段を用いてバラスト要素群の第2接続手段に接続するために、前述の固定手段が保持要素の第1接続手段に係合する状態にさせられ得ることが提供される。
【0025】
更なる可能な実施形態において、固定手段がボルト又はねじとして構成され、第1接続手段及び/又は第2接続手段が、このボルト又はねじを受けるための孔を備えることが提供される。最も簡単な場合では、第1接続手段及び第2接続手段はボルト孔であり、固定手段はボルトである。ここで、このようなボルトは、保持要素を、積層物の一部のバラスト要素群にボルトで締結するためにも用いられる。しかし、ボルトの代わりに、スライドボルト、ねじ、又はこれら手段の組み合わせのような他の固定手段も用いられ得る。
【0026】
更なる可能な実施形態において、保持要素が鎖又はロープとして構成されること、又は保持要素がそのような鎖又はロープを備えることが提供される。保持要素は、タイロッド及び/又は鎖又は及び/又はロープの組み合わせであり得る。代替的に又は追加的に、保持要素は、少なくとも1つの繊維複合材料製の要素を備えてもよく、又はそのように構成されていてもよい。さらに、保持要素はプルタブであるか、又はプルタブを備え得る。
【0027】
更なる可能な実施形態において、クロスメンバは、好ましくは、平面視において実質的に四角形であり、クロスメンバに取り付けられたバラスト要素群が、クロスメンバの下方に位置するように、デリックバラストが構成されることが提供される。バラスト要素群も、好ましくは、上方から見て実質的に四角形であり、ここで、好ましくは、4つの保持要素は、クロスメンバの角に配置され、よってバラスト要素群は、クロスメンバにある4つの点において保持される。このことが、クロスメンバへのバラスト要素群の安定かつ安全な取り付けをもたらす。
【0028】
更なる可能な実施形態において、保持要素及び/又はクロスメンバは、鋼製構造体、特に板金、及び/又は筒状構造体、又は板金の及び/又は筒状のフレームワーク構造であること、又はこれらを備えることが提供される。同様に、鋳造物としての、及び/又は積層造形法又は3Dプリントによって製造された要素としての、保持要素及び/又はクロスメンバ(又は少なくともその一部)の実施形態が考えられる。クロスメンバは、完全に、又は部分的に繊維複合材料で形成され得る。これにより、自重が抑制されると同時に、高い安定性が得られる。
【0029】
更なる可能な実施形態において、更なるバラスト要素群が格納される及び/又は積み重ねられるバラストベースプレートをデリックバラストが備えることが提供される。少なくとも1つの保持要素によって、それに取り付けられたバラスト要素群を持つクロスメンバは、特に、デリックバラスト全体のバラストの一部を表し、バラストの一部は、残りのデリックバラストから、特に前記バラストベースプレートから分離され、好ましくは、懸垂バラストとして分離するように用いられ得る。クロスメンバは、バラスト要素群がそれに取り付けられているか否か(すなわち、荷重又は無荷重)にかかわらず、特にボルト接続によって、取り外し可能に、バラストベースプレートに接続され得る。
【0030】
これにより、「使用中」のデリックバラストの大きさは柔軟に変更されることが可能である。例えば、ブームを組み立てるとき、特に大きなバラストモーメントが必要とされる場合、又は特に大きな荷重での揚重作業のために、デリックバラスト全体が用いられ得る(すなわち、それに取り付けられたバラスト要素群を持つクロスメンバは、バラストベースプレートに接続され、更なるバラスト要素群はバラストベースプレートに格納される)。より小さな荷重での揚重作業において、クロスメンバは、バラストベースプレートから分離され、より小さな懸垂バラストとして、バラスト要素群の完全な積層物又は積層物の一部と共に用いられ得る。残りのデリックバラスト(すなわち、他のバラスト要素群を持つバラストベースプレート)は、揚重作業の間、地面に配置されたままである。もし必要ならば、クロスメンバを持つバラストの一部は、バラストベースプレートに再び接続され得る。
【0031】
支援システム及び/又はセンサによって記録されたデータは、接続プロセスを容易にするために用いられ得て、これは、バラストベースプレートに対するクロスメンバの正確な位置を必要とする。例えば、クレーンの移動及びギヤの回転から記録された移動データを用いて、及び/又は1つ以上のGPSモジュールからのGPSデータを用いて、バラストベースプレートにあるクロスメンバの正確な位置は得られ得る。このようなGPSモジュールは、例えば、上部旋回体、クロスメンバ及び/又はバラストベースプレートに配置され得る。
【0032】
更なる可能な実施形態において、デリックバラストが、クロスメンバに接続された、又は接続可能である連結部を備え、かつバラストブレーシングが取り付けられ得る取付手段を備えることが提供される。ガイドは、好ましくは、特に水平旋回軸の周りを旋回できるように、連結部にも接続される。この連結部は、デリックバラストの一部でもあり得る。クロスメンバは、例えば溶接されて、連結部に一体化されるか、又は固く接続され得る。代替的に、クロスメンバは、固定要素によって、取り外し可能に、連結部に接続され得る。後者の場合には、クロスメンバを連結部に対して動かすことによって、第1接続手段は、連結されていないバラスト要素群に対して調節もされ得る。
【0033】
更なる可能な実施形態において、クロスメンバが、バラストベースプレートの第2固定手段に取り外し可能に接続され得る第1固定手段を備えることが提供される。第1固定手段と第2固定手段とは、互いに直接的に接続可能、特にボルトで締結可能であり得る。代替的に、クロスメンバとバラストベースプレートとは、連結要素(例えば、連結片又はロッド)によって互いに接続可能であり、連結要素は、第1固定手段及び第2固定手段に、接続され、特にボルトで締結される。代替的に、第1固定手段は、前記連結部に配置され得る。
【0034】
更なる可能な実施形態において、バラストベースプレートが、クロスメンバを備えるバラストの一部が取り付けられ得る中央収容領域を備えることが提供される。クロスメンバに接続されたバラスト要素群の積層物は、この収容領域に配置され得る。バラストベースプレートは、好ましくは、中央収容領域の両側に配置表面を有し、そこには更なるバラスト要素群が配置され得る。この場合、接続された状態(すなわち、デリックバラスト全体が「使用中」である)において、クロスメンバと、それに接続されたバラスト要素群の積層物又は積層物の一部とは、少なくとも2つの更なるバラスト要素群のタワーの間に配置され、更なるバラスト要素群はバラストベースプレートに設けられる。
【0035】
更なる可能な実施形態において、保持要素の第1接続手段に接続され得る、積層物のバラスト要素群の第2接続手段が共通の直線の上に配置されることが提供される。この直線は、保持要素の長手方向軸に平行に、接続された状態において、特に同軸に延びている。もし複数の保持要素が存在するなら、それぞれの保持要素に関連付けられた第2接続手段は、それぞれこのような直線の上に配置され、ここでこの直線は、好ましくは互いに平行である。
【0036】
第2接続手段に対する保持要素の平行移動、特に保持要素の垂直方向の移動は、特に、積層物の第1個数のバラスト要素群があらかじめ割り当てられた第1接続手段の部分が、積層物の第2個数のバラスト要素群の第2接続手段と、重なり合うか、又は係合する状態にされることを可能にする。
【0037】
言い換えれば、保持要素の平行移動は、バラスト要素群の第2接続手段の特定の配置にあらかじめ接続された第1接続手段が、今、他のバラスト要素群の第2接続手段と、重なり合うか、又は係合する状態にされ得ることを意味するので、バラスト要素群の異なる個数の積層物、又は積層物の一部が、今度は、対応する接続を確立することによって、保持要素に接続される。このことが、クロスメンバを備える一部のバラストのバラスト搭載が変更されることを可能にする。保持要素に接続されていないバラスト要素群は、床に配置されたままである。
【0038】
代替的に、対応する第1接続手段が、保持要素を調節することによって、別のバラスト要素の第2接続手段と、重なり合うか、又は係合する状態にされ得るように、1つのバラスト要素(特に、収容された積層物の最も下のバラスト要素)のみが、保持要素に接続され得る。
【0039】
本発明は、本発明に関するクレーンのためのデリックバラストにも関する。これは、明らかに、本発明に係るクレーンと同一の特性及び有利な点を有する。デリックバラストの全ての実施形態及び構成オプション、及び/又はクレーンに対して記述されたその従属要素は、したがって、任意の組み合わせで、本発明に係るデリックバラストにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の更なる特徴、詳細及び有利な点が、図面を参照して、以下に説明された例示的な実施形態から理解され得る。
図1図1は、本発明に係るクレーンの実施形態の概略全体図(左側に図示)と、デリックバラストの拡大図(右側に図示)である。
図2図2は、デリックバラストのクロスメンバの第1例の斜視図である。
図3図3は、斜視図での、デリックバラストのクロスメンバの第2実施形態である。
図4図4は、第1部バラストを変換するときの、異なる位置での、クロスメンバの側面図である。
図5図5は、第1部バラストを変換するときの、異なる位置での、クロスメンバの側面図である。
図6図6は、第1部バラストを変換するときの、異なる位置での、クロスメンバの側面図である。
図7図7は、第1部バラストを変換するときの、異なる位置での、クロスメンバの側面図である。
図8図8は、第1部バラストを変換するときの、異なる位置での、クロスメンバの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、左側の図において、本発明に係るクレーン10の実施形態の全体的な概略斜視図を示す。これは、移動式の下部走行体12と、垂直な回転軸の周りを回転できるように下部走行体12に搭載された上部旋回体14とを備え、上部旋回体14の後部には、デリックバラスト20がある。右側の図は、左側の図において円によって示される、上部旋回体の後部の拡大図をデリックバラスト20と共に示す。
【0042】
ここに示される例示的な実施形態のクレーン10は、メインブーム16(以下で単に「ブーム」と呼ばれる)としてラティスブームを持つクローラクレーンであり、メインブーム16は、水平ラフィング軸の周りで上部旋回体14に関節接続される。下部走行体12は、クローラシャーシを備え、クローラシャーシの2つの側方クローラキャリアによって地面に支持される。ブーム16に加えて、クレーン10はデリックブーム18を有し、デリックブーム18もまた、水平旋回軸の周りを旋回できるように上部旋回体14に関節接続される。複数のバラスト要素群(ここに示される例示的な実施形態では、2つの側方バラスト積層物を形成するために互いに積み重ねられている)を持つ上部旋回体バラスト15が、上部旋回体の後部に配置されている。このデリックブーム18は、ブームブレーシング17、特に長さが可変である起伏ブームによってブーム16に接続される。デリックブーム18は、今度は、デリックブレーシングによって上部旋回体の旋回するAフレームに接続される。デリックブーム18は、ブームブレーシングシステム17、特に長さが可変である起伏ケーブルによって上部旋回体に接続される固定されたAフレーム17によっても接続され得る。
【0043】
上部旋回体バラスト15に加えて、クレーン10はデリックバラスト20を有しており、デリックバラスト20は懸垂バラストとして構成されている。このデリックバラスト20はバラストベースプレート22を備え、バラストベースプレートプレート22には、複数のバラスト要素群21,25が配置される。デリックバラスト20は、好ましくは長さが調節可能なガイド11によって、上部旋回体の後部に接続され、長さが調節可能なバラストブレーシング19によってデリックブーム18の先端、つまり自由端に接続される。ここに示される例示的な実施形態において、バラストブレーシング19は、2つの平行なブレーシングワイヤを備え、ブレーシングワイヤの長さは、例えば、いずれの場合にも油圧テンションシリンダによって調節され得るが、少なくとも1つのシリンダは調節可能であり得て、よって、デリックバラスト20により能動的に作用する重量は、高さを調節可能であり得る。
【0044】
デリックバラスト20だけでなく、起伏ブーム、デリックブレーシング、及びバラストブレーシング19の機能に関して、導入部の記述が参照されており、これは、ここに示される例示的な実施形態に係るクレーン10にも当てはまる。したがって、繰り返しの説明が概ね省かれている。
【0045】
ここに示される例示的な実施形態において、デリックバラスト20は分割できるように構成されている。デリックバラスト20は、中央に配置されたバラスト要素群21の積層物、及びクロスメンバ30を備える第1部バラストと、バラストベースプレート22、及び2つの側方の更なるバラスト要素群25の積層物を備える第2部バラストとを備える。接続された状態において、第1部バラストは、デリックバラスト20の中央収容領域27に配置される。このデリックバラスト20は、クロスメンバ30によって、ガイド11及びバラストブレーシング19に接続され、したがって、接続されたときに、クロスメンバを越えて持ち上げられ得る。
【0046】
第1部バラストは、第1固定手段34を備えるが、一方でバラストベースプレート22は、中央収容領域27の範囲に第2固定手段24を備える。この第1部バラストは、第1固定手段34及び第2固定手段24によって、バラストベースプレート22に、よって第2部バラストに、取り外し可能に接続され、特にボルトで締結され得て、その結果、デリックバラスト20は、共に持ち上げられ、フロート状態にされ得る。この第1固定手段34及び第2固定手段24は、直接的に、又は連結要素によって、互いに接続され得る。図1の例示的な実施形態において、連結ロッドが、第1固定手段34と第2固定手段24との間に配置される。
【0047】
ガイド11は、好ましくは、水平旋回軸の周りを旋回できるように上部旋回体14に接続され、好ましくは、アクチュエータ、例えば1つ以上の油圧シリンダによって、前記旋回軸の周りを旋回させられ得る。このことは、デリックバラスト20が垂直に調節されること、例えば、地面に置かれること、又は地面から持ち上げられることを可能にする。同時に、バラストブレーシング19は、特に前述のテンションシリンダによって調節され得る。特に、ガイド11は、水平旋回軸の周りを旋回できるようにデリックバラスト20にも接続される。
【0048】
困難な揚重作業のために、大きな荷重を動かさなければならない場合には、又はブーム16を起こすときには、大きなバラストモーメントが必要とされるので、第1部バラストと第2部バラストとが互いに接続され、デリックバラスト20の全体が懸垂バラストとして用いられ得る。しかしながら、揚重作業の多くの場合、より小さなバラストモーメントしか必要とされない。この場合、クロスメンバ30とバラスト積層物21とを持つ第1部バラストは、バラストベースプレート22から、つまり第2部バラストから分離され、より小さな懸垂バラストとして用いられ得る。第2部バラストは、したがって、地面に置かれたままであり、後に第1部バラストに再接続され得る。例えば、降ろされた第2部バラストの位置と、クレーン10及び/又は第1部バラストの位置とを検出することによって、この連結プロセスは、第1部バラストが正確に降ろされることを確実にするための位置調整システムによって支援され得る。これは、例えば、ギヤの移動及び回転の記録された運動データの支援によって、又はGPSシステムによって、実現され得る。
【0049】
図2は、第1部バラストのクロスメンバ30の第1例示的実施形態の斜視図を示す。これは、図1に示される実施形態の変形例に対応する。クロスメンバ30は、側面から見たときに実質的に三角形であり、互いに平行に並べられた2つの側面部36を備える。他の形状、例えば、側面から見たときに矩形の形状も、当然に考えられる。この側面部36は、接続片37によって互いに接続される。この例示的な実施形態において、2つの連結ロッド37があり、連結ロッド37は三角形の側面部36の下方の角を接続する。
【0050】
例えば、2つのフォーククランプ38が連結ロッド37のそれぞれに取り付けられ、保持要素32がフォーククランプ38のそれぞれに収容される。ここに示される例示的な実施形態において、保持要素32は、垂直方向に向けられ、延ばされた保持ロッドとして構成され、保持ロッドは、例えば、鋼又は繊維複合材料から製造され得る。保持要素32の別の形式、例えば鎖(図3参照)、ロープ、プルストラップ等も考えられる。
【0051】
4つの保持要素32は、第1接続手段33として機能する複数の孔を有する。これらは、特に、対応するボルト26とボルト接続を形成するためのボルト孔として構成されるだけでなく、別の形状、例えばフック要素を有することもあり得る。ここに示される例示的な実施形態において、第1接続手段33は、保持要素32に沿って縦に並べて配置され、同時に、バラスト要素群21を保持要素32に取り外し可能に固定するように、かつ保持要素32をフォーク38に固定するように機能する。この目的のために、バラスト要素群21は、対応する第2接続手段23を側面に有し、第2接続手段23は、側方に突出する接続部(図6参照)にあるボルト孔として構成され得る。フォーク38も、対応する接続手段を有する。保持要素32とバラスト要素群21との間だけでなく、保持要素32とフォーク38との間は、特に固定ボルト26によって接続される。代替的に、ねじ接続が考えられるだろう。
【0052】
保持要素32は、フォーク38に取り外し可能に固定され得るので、固定手段26として機能する固定ボルト26を引き抜くことによって、保持要素32はクロスメンバ30に対して移動させられ、特に垂直方向に調節させられ得る。そして、例えば他の第1接続手段33を用いることによって、それらは、フォーク38の異なる位置にボルトで締結され得る。このことは、保持要素の長さが、バラスト要素21の方向において下方に変更されることを可能にし、その刻み幅は、第1接続手段33と第1接続手段33との間の距離に依存する。
【0053】
この構成は、保持要素32に取り付けられ、よってクロスメンバ30によって持ち上げられるバラスト要素群21の個数が、柔軟に、かつ容易に変更されることを可能にする。例えば、バラスト積層物を床に配置すること、保持要素32への接続を解除すること、保持要素32及び/又はクロスメンバ30を持ち上げること、及び積層物の一部(すなわち、以前に配置されていた積層物よりも、互いに積み重ねられたバラスト要素群21がより少ない積層物)を保持要素32に接続することが可能である。このことは、第1部バラストの重量が、早く、かつ容易に変更されることを可能にする。クロスメンバの側面図における図4-7に、このプロセスが一例として示されており、図2のクロスメンバの第1例示的実施形態はこの目的のために用いられる。
【0054】
図4は、バラストが積まれた状態における第1部バラストを示す(この例示的な実施形態において、これらは上下に配置された4つのバラスト要素群21である)。ここで、最も下のバラスト要素21のみが、固定ボルト26によって保持要素32に接続され得るが、一方で他のバラスト要素群21は、互いに重なるように位置し、例えば他の接続要素(例えば、かみ合う突出部及び凹部)によって互いに接続されるので、それらは滑らない。代替的に、複数の第1接続手段33により、全てのバラスト要素群21が保持要素32に接続されることが提供されてもよい。
【0055】
図5に示されるように、この部分的なバラストの重量を減らすために、これは、ガイド11を降ろすことによって床に配置される。この降ろされた状態において、バラスト要素群21(すなわち、示される例においては最も下のバラスト要素21)と保持要素32との間の接続が解除される。その後に、クロスメンバ30が、よってさらに保持要素32が、降ろされた積層物21に対して垂直方向に動くように、このガイドは持ち上げられる。重量が減らされた状態において、保持要素32の第1接続手段33が、クロスメンバ30に再接続される、これら上方のバラスト要素群21の第2接続手段23の高さになるまで、クロスメンバ30は持ち上げられる。図6の例示的な実施形態において、最も上のバラスト要素21のみがクロスメンバ30に接続され、そして、このバラスト要素21は、4つのバラスト要素群21の元の積層物の部分的な積層物を形成する。最も上のバラスト要素21の第2接続手段23は、保持要素32の一致する(この例示的な実施形態では、最も下の)第1接続手段33にボルトで締結される(図6参照)。
【0056】
その後、クロスメンバ30は再び持ち上げられ、ここで、元の積層物の解除された、又は連結されていないバラスト要素群21(図7において、これらは下方の3つのバラスト要素群21)は床に置かれたままであり、保持要素32に接続された部分的な積層物21’(図7において、最も上のバラスト要素21’)のみが持ち上げられる。これにより、今度は、重量が減らされた懸垂バラストを提供する。
【0057】
再び、バラスト搭載を変更するために、部分的なバラスト要素21’は、置かれているバラスト要素群21の上に再び置かれ、保持要素32の接続が解除され、クロスメンバ30は、適切な距離だけ降ろされ、そして必要な部分的なバラストの第2接続手段23(又は必要な部分的なバラストの最も下のバラスト要素21の第2接続手段23)は、保持要素32に再接続される。
【0058】
代替的に、保持要素32とフォーク38との間の接続は解除され得て、保持要素32は、再度のバラスト搭載のために、クロスメンバ30に対して移動させられ得る。このオプションは、部分的な積層物21’が、再びバラストが積まれ、持ち上げられた後に、図8に示される。
【0059】
上述のように、(図4-8に示されるように)持ち上げられた積層物の最も下のバラスト要素21のみが保持要素32に接続されること、又は持ち上げられた積層物の全てのバラスト要素群21が保持要素32に接続されることが可能である。前者の場合、クロスメンバ30に対して、異なる位置において、保持要素32をフォーク38に接続することを可能にするために、第1接続手段33は、保持要素32の上部領域にのみ配置されてもよい。
【0060】
図2に示されるように、第1部バラストは連結部40を備えてもよく、連結部40は、バラストブレーシング19と、ガイド11のための対応する接続点とを固定するための止め具42(特にボルト孔)を有する。クロスメンバ30は、取り外し可能に、連結部40に接続され得る。図2は、側面部36が、それぞれ間隙を持つ金属板の構造を有する構成を示し、この間隙には、連結部40の連結具44が挿入され得る。この連結具44は、例えばボルトである固定要素39によって、取り外し可能に、側面部36に接続され得る。
【0061】
図1図4-8にも見られ得るように、ある例示的な実施形態において、第1部バラストをバラストベースプレート22に接続する第1固定手段34は、連結部40に、例えば前述の連結具44の延長部に配置され得る結果、クロスメンバ30は、ガイド11及びバラストブレーシング19にも、バラストベースプレート22にも直接的には接続されない。
【0062】
図3は、本発明に係るクロスメンバ30の別の例示的な実施形態を示す。ここで、連結部40も異なるように設計されており、第1固定手段34を持つタブを有さない。代わりに、第1固定手段34は、クロスメンバ30に形成される。この例示的な実施形態において、これは4つの側面部36を備え、ここで2つの側面部36は、一方側において、連結片31(すなわち、図3に示されるように、連結片又はロッドの形式であり、ここで連結片31は、管状の、又は適合させられた輪郭構造として構成されてもよい)によって、特に取り外し可能に、互いに接続される。また、保持要素32が接続片37に配置された状態で、それぞれの側部の側面部36は、接続片37によって互いに接続される。さらに、クロスメンバ30は、連結部40に、取り外し可能に接続され得るか、又は固定され得る。
【0063】
図2の実施形態のように、保持要素32はタイロッドとして構成され得る。図3は別の実施形態を示しており、ここで保持要素32は、接続片37から下方へ垂れ下がる鎖として構成されており、それぞれは、持ち上げられる積層物のそれぞれの最も下のバラスト要素21に接続されるために、下側に第1接続手段33を有する。この例示的な実施形態において、第1接続手段33は、アイレット、カラビナ、又はプルストラップとして構成されているが、代替的に、ボルト又はねじを受けるための1つ以上の孔を持つ接続部が設けられてもよい。再度のバラスト搭載プロセスは、図4-7に示されるプロセスに類似している。
【0064】
好ましくは、示された実施形態とは独立して、クロスメンバ30は、バラスト搭載の変形例に応じて、連結部40だけに取り付けられたままであり得るか、又は完全に取り外され得る。
【0065】
クロスメンバ30は、本発明に係るデリックバラスト20の第1部バラストの支持構造物、すなわち、このようにして実現される「自律的に可変的に分割可能な懸垂バラスト」の支持構造物を表す。クロスメンバ30は鉄骨構造であり得て、鉄骨構造は、例えば、板金又は管状のトラス構造の形式で、鋳造又は3Dプリントプロセスにより製造され得る。加えて、クロスメンバ30は、繊維複合材料、高力アルミニウム等のような代替材料で形成され得る。
【0066】
保持要素32を、クロスメンバ30及び/又はバラスト要素群21に接続するための接続要素として、ボルト、ねじ、保持爪、固定クランプ、スライドボルト、接続くさび、固定シリンダ及び/又は固定チューブが用いられ得る。
【符号の説明】
【0067】
10 クレーン
11 ガイド
12 下部走行体
13 引張フレーム/Aフレーム
14 上部旋回体
16 ブーム
17 ブームブレーシング
18 デリックブーム
19 バラストブレーシング
20 デリックバラスト
21 バラスト要素
21’ バラスト要素
22 バラストベースプレート
23 第2接続手段
24 第2固定手段
25 更なるバラスト要素群
26 固定手段
27 中央収容領域
30 クロスメンバ
31 連結片
32 保持要素
33 第1接続手段
34 第1固定手段
36 側面部
37 接続片
38 クランプ
39 固定要素
40 連結部
42 止め具
44 連結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体(12)と、前記下部走行体(12)に回転可能に設けられた上部旋回体(14)と、前記上部旋回体(14)に起伏するように接続されたブーム(16)と、前記上部旋回体(14)に関節接続され、前記ブーム(16)が支持されるデリックブーム(18)と、前記上部旋回体(14)に接続されたガイド(11)と、特に懸垂バラストとして構成されたデリックバラスト(20)とを備えるクレーン(10)であって、
前記デリックバラスト(20)は、互いに積み重ねられ得る少なくとも2つのバラスト要素群(21)と、バラストブレーシング(19)によって前記デリックブーム(18)に接続され、前記ガイド(11)によって前記上部旋回体(14)に接続されるクロスメンバ(30)とを備え、
前記クロスメンバ(30)は、少なくとも1つの保持要素(32)によって前記バラスト要素群(21)の積層物に接続され得て、
前記保持要素(32)は、前記保持要素(32)を、前記積層物を構成する前記バラスト要素群(21)の第2接続手段(23)に取り外し可能に接続するための第1接続手段(33)を備え、
前記保持要素(32)は、前記保持要素(32)及び/又は前記クロスメンバ(30)を連結されていない前記積層物に対して動かすことによって、前記積層物を構成する前記バラスト要素群(21)の積層物の一部に接続され得るように構成されている、
クレーン(10)。
【請求項2】
前記デリックバラスト(20)は、好ましくは、前記バラスト要素群(21)の側部にある前記第2接続手段(23)に接続され得る少なくとも4つの前記保持要素(32)を備え、
前記保持要素(32)は、好ましくは、平面視において、前記クロスメンバ(30)の4つの角の領域に配置されている、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記保持要素(32)は、前記クロスメンバ(30)に、調節可能に、特に垂直方向に移動可能に設けられ、好ましくは、固定手段(26)によって、前記クロスメンバ(30)にある少なくとも2つの異なる位置に固定され得て、
前記保持要素(32)は、特に前記クロスメンバ(30)から下向きに突出している、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
前記保持要素(32)は、タイロッドとして構成され、又は特に垂直方向に向けられたタイロッドを備え、
前記第1接続手段(33)は、好ましくは、前記タイロッド(32)に沿って縦に並べて配置されている、
請求項3に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
前記保持要素(32)を前記クロスメンバ(30)に取り外し可能に固定するために、前記固定手段(26)は、前記保持要素(32)の前記第1接続手段(33)と係合する状態にされ得て、
好ましくは、前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)への、前記保持要素(32)の接続が、同一の前記固定手段(26)でなされる、
請求項3に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
前記固定手段(26)は、ボルト又はねじとして構成され、
前記第1接続手段(33)及び/又は前記第2接続手段(23)は、前記ボルト又は前記ねじを受けるための孔を備える、
請求項3に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記保持要素(32)は、鎖又はロープとして構成されているか、又は鎖又はロープを備える、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
前記デリックバラスト(20)は、前記クロスメンバ(30)に取り付けられた前記バラスト要素群(21)が前記クロスメンバ(30)の下方に位置するように構成され、
前記クロスメンバ(30)は、好ましくは、平面視において、実質的に四角形である、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記保持要素(32)及び/又は前記クロスメンバ(30)は、鋼製構造体、特に板金、及び/又は筒状構造体、及び/又は少なくとも1つの鋳造物、及び/又は積層造形法によって製造された少なくとも1つの要素、及び/又は繊維複合材料から製造された少なくとも1つの要素を備える、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記デリックバラスト(20)は、更なるバラスト要素群(25)が設けられ得るバラストベースプレート(22)を備え、
前記クロスメンバ(30)に前記バラスト要素群(21)が取り付けられているか否かにかかわらず、前記クロスメンバ(30)は、前記バラストベースプレート(22)に、特にボルト結合によって取り外し可能に接続され得る、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
前記バラストベースプレート(22)は、前記クロスメンバ(30)が固定され得て、好ましくは、前記クロスメンバ(30)に接続された前記バラスト要素群(21)の前記積層物が配置され得る中央収容領域(27)を備え、
前記バラストベースプレート(22)は、好ましくは、前記中央収容領域(27)の両側に、前記更なるバラスト要素群(25)が配置され得る配置表面を備える、
請求項10に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記デリックバラスト(20)は連結部(40)を備え、
前記連結部(40)は、前記クロスメンバ(30)に接続されるか、又は接続可能であり、前記バラストブレーシング(19)が固定され得る止め具(42)を備え、
前記連結部(40)は、好ましくは前記ガイド(11)に接続され、特に、水平旋回軸の周りを旋回できるように前記ガイドに接続される、
請求項10に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
前記クロスメンバ(30)又は前記連結部(40)は、前記バラストベースプレート(22)の第2固定手段(24)に取り外し可能に接続され得る第1固定手段(34)を備える、
請求項12に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記保持要素(32)の前記第1接続手段(33)に接続され得る、前記積層物の前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)は、前記保持要素(32)の長手方向軸に平行に、特に、接続された状態において前記保持要素(32)の長手方向軸と同軸に延びる共通の直線の上に配置され、
特に、前記第2接続手段(23)に対する前記保持要素(32)の平行移動によって、前記積層物の第1個数の前記バラスト要素群(21)にあらかじめ関連付けられた、前記第1接続手段(33)の部分が、前記積層物の第2個数の前記バラスト要素群(21)の前記第2接続手段(23)と、重なり合うか、又は係合する状態にされ得る、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
請求項1に記載のクレーン(10)のためのデリックバラスト(20)。
【外国語明細書】