(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098288
(43)【公開日】2025-07-01
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
A47C 7/62 20060101AFI20250624BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20250624BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20250624BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
A47C7/74 C
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025062293
(22)【出願日】2025-04-04
(62)【分割の表示】P 2021031811の分割
【原出願日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】63/198,098
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 直人
(57)【要約】
【課題】パッド部材と、パッド部材の表面側に設けられ、膨張収縮可能な流体封入部材とを備えたシートにおいて、流体封入部材から乗員に圧力を加わり易くする。
【解決手段】 パッド部材13と、パッド部材の表側に設けられ、膨張可能な流体封入部材9とを備えた乗物用シート1、101、201、301であって、流体封入部材の背部側に設けられ、パッド部材よりも変形し難い硬質部材18、218を含み、硬質部材が、流体封入部材の膨張時に、流体封入部材からの圧力に抗してパッド部材の変形を抑制する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド部材と、前記パッド部材の表側に設けられ、膨張可能な流体封入部材とを備えた乗物用シートであって、
前記流体封入部材の背部側に設けられ、前記パッド部材よりも変形し難い硬質部材を含み、
前記硬質部材が、前記流体封入部材の膨張時に、前記流体封入部材からの圧力に抗して前記パッド部材の変形を抑制し、
前記パッド部材には、表面にて開口する空調用の空調通路と、前記流体封入部材に接続されたチューブによって画定され、前記流体封入部材に流体を供給及び/又は排出するための流体通路と、がそれぞれ設けられ、
前記パッド部材は前記チューブを収容するための通し孔を有し、
前記通し孔は前記空調通路の開口を避けた位置にて開口している乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートであって、着座者側の面から空気を吹き出し可能に構成されたものが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1の乗物用シートでは、シートクッションの内部に通気路が設けられている。送風装置が通気路に向けて送風すると、空気が通気路内を通過して、シート本体の着座者側の面から吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、特許文献1に記載の乗物用シートに通気路を設けて流体封入部材であるエアセルを膨張・収縮させ、乗員のマッサージや姿勢制御を行うことに思い至った。
【0005】
しかし、発明者は、エアセルが膨張すると、パッドが変形して、エアセルがパッド側に移動し、エアセルからの圧力が乗員に加わり難くなる場合があることに気が付いた。
【0006】
そこで、本発明は以上の背景を鑑み、パッド部材と、パッド部材の表面側に設けられ、膨張収縮可能な流体封入部材とを備えたシートにおいて、流体封入部材から乗員に圧力を加わり易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、パッド部材(13)と、前記パッド部材の表側に設けられ、膨張可能な流体封入部材(9)とを備えた乗物用シート(1、101、201、301)であって、前記流体封入部材の背部側に設けられ、前記パッド部材よりも変形し難い硬質部材(18、218)を含み、前記硬質部材が、前記流体封入部材の膨張時に、前記流体封入部材からの圧力に抗して前記パッド部材の変形を抑制する。
【0008】
この態様によれば、硬質部材によってパッド部材の変形が抑制される。これにより、流体封入部材の膨張によって生じる荷重がパッド部材に伝わり難くなる。よって、乗員に流体封入部材からの圧力が加わり易くなる。
【0009】
また、上記態様において、好ましくは、前記流体封入部材の背面側を通過する流路(38、138)が設けられ、前記硬質部材は筒状をなし、前記流路の少なくとも一部を画定する。
【0010】
この態様によれば、流体封入部材の膨張による荷重がパッド部材に加わった場合に硬質部材が対抗するため、流路の変形を防止できる。
【0011】
また、上記態様において、好ましくは、前記パッド部材は、背部側を構成するパッド本体(16)と、前記パッド本体に重ね合わされ、前記硬質部材を収容するスリット(25)を備えた流路形成片(17)と、前記流路形成片に重ね合わされた上部形成片(19)とを含み、前記硬質部材と前記流路形成片とは一体成型品である。
【0012】
この態様によれば、乗物用シートの組み立てが簡素になる。
【0013】
また、上記態様において、好ましくは、流路(138)を備えたシート状の流路形成部材(117)を更に有し、前記硬質部材(118)は前記パッド部材と前記流路形成部材との間に設けられている。
【0014】
この態様によれば、乗物用シートに容易に流路を形成できる。
【0015】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材と前記流路形成部材とは接着されて一体をなす。
【0016】
この態様によれば、乗物用シートの組み立てが容易になる。
【0017】
また、上記態様において、好ましくは、前記パッド部材には前記流体封入部材の背面側を通過する流路が設けられ、前記硬質部材(218)が前記流体封入部材の裏面、及び、前記パッド部材の表面の間に設けられ、前記硬質部材の車幅方向の幅は、前記流体封入部材の前記車幅方向の幅よりも大きい。
【0018】
この態様によれば、流路が流体封入部材の背面側を通過するため、乗物用シートの小型化を図ることができる。また、流体封入部材を硬質部材によって支持することで、パッド部材に加わる圧力を分散させることができる。これにより、パッド部材の変形により、流路内において流体が流れにくくなることを防止することができる。
【0019】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材及び前記流体封入部材は表裏方向視で矩形状をなし、前記硬質部材の前記車幅方向に直交する方向の幅は、前記流体封入部材の前記車幅方向に直交する方向の幅よりも大きい。
【0020】
この態様によれば、パッド部材に加わる圧力をより分散させることができ、流路内において流体が流れにくくなることをより確実に防止することができる。
【0021】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材の縁部には前記パッド部材の表面から離反する方向に突出する突出壁(220)が設けられている。
【0022】
この態様によれば、膨張時の流体封入部材の移動を抑制できる。
【0023】
また、上記態様において、好ましくは、前記流体封入部材を複数備え、前記流路は隣接する前記流体封入部材の間に通じている。
【0024】
この態様によれば、空気が滞留し易い隣接する流体封入部材の空隙に流路を介してアクセスすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様は、パッド部材と、前記パッド部材の表側に設けられ、膨張可能な流体封入部材(9)とを備えた乗物用シートであって、前記流体封入部材の背部側に設けられ、前記パッド部材よりも変形し難い硬質部材を含み、前記硬質部材が、前記流体封入部材の膨張時に、前記流体封入部材からの圧力に抗して前記パッド部材の変形を抑制する態様によれば、硬質部材によってパッド部材の変形が抑制される。これにより、流体封入部材の膨張によって生じる荷重がパッド部材に伝わり難くなる。よって、乗員に流体封入部材からの圧力が加わり易くなる。
【0026】
また、上記態様において、好ましくは、前記流体封入部材の背面側を通過する流路が設けられ、前記硬質部材は筒状をなし、前記流路の少なくとも一部を画定する態様によれば、流体封入部材の膨張による荷重がパッド部材に加わった場合に硬質部材が対抗するため、流路の変形を防止できる。
【0027】
また、上記態様において、好ましくは、前記パッド部材は、背部側を構成するパッド本体と、前記パッド本体に重ね合わされ、前記硬質部材を収容するスリットを備えた流路形成片と、前記流路形成片に重ね合わされた上部形成片とを含み、前記硬質部材と前記流路形成片とは一体成型品である態様によれば、乗物用シートの組み立てが簡素になる。
【0028】
また、上記態様において、好ましくは、流路を備えたシート状の流路形成部材を更に有し、前記硬質部材は前記パッド部材と前記流路形成部材との間に設けられている態様によれば、乗物用シートに容易に流路を形成できる。
【0029】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材と前記流路形成部材とは接着されて一体をなす態様によれば、乗物用シートの組み立てが容易になる。
【0030】
また、上記態様において、好ましくは、前記パッド部材には前記流体封入部材の背面側を通過する流路が設けられ、前記硬質部材が前記流体封入部材の裏面、及び、前記パッド部材の表面の間に設けられ、前記硬質部材の車幅方向の幅は、前記流体封入部材の前記車幅方向の幅よりも大きい態様によれば、流路が流体封入部材の背面側を通過するため、乗物用シートの小型化を図ることができる。また、流体封入部材を硬質部材によって支持することで、パッド部材に加わる圧力を分散させることができる。これにより、パッド部材の変形により、流路内において流体が流れにくくなることを防止することができる。
【0031】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材及び前記流体封入部材は表裏方向視で矩形状をなし、前記硬質部材の前記車幅方向に直交する方向の幅は、前記流体封入部材の前記車幅方向に直交する方向の幅よりも大きい態様によれば、パッド部材に加わる圧力をより分散させることができ、流路内において流体が流れにくくなることをより確実に防止することができる。
【0032】
また、上記態様において、好ましくは、前記硬質部材の縁部には前記パッド部材の表面から離反する方向に突出する突出壁が設けられている態様によれば、膨張時の流体封入部材の移動を抑制できる。
【0033】
また、上記態様において、好ましくは、前記流体封入部材を複数備え、前記流路は隣接する前記流体封入部材の間に通じている態様によれば、空気が滞留し易い隣接する流体封入部材の空隙に流路を介してアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】第1実施形態に係る乗物用シートのブロック線図
【
図5】第1実施形態に係る乗物用シートのシートクッションの分解斜視図
【
図6】第1実施形態に係る乗物用シートのシートクッションの上面図
【
図7】第2実施形態に係る乗物用シートのシートクッションの横断面図
【
図8】第2実施形態に係る乗物用シートのシートクッションのパッド部材、及び、流路形成部材の斜視図
【
図9】第3実施形態に係る乗物用シートのシートクッションの横断面図
【
図10】第3実施形態に係る乗物用シートのシートクッションの分解斜視図
【
図11】第4実施形態に係る乗物用シートのシートクッションのパッド部材の(A)斜視図、及び(B)上面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の乗物用シートを自動車等の車両に搭載されるシートに適用した例について、図面を参照して説明する。以下、車両を基準として、前後、左右、及び、上下の各方向を定めて説明を行う。
【0036】
<<第1実施形態>>
図1に示すように、乗物用シート1は、車両の車室2の底部を画定するフロア3に車両前方を向くように載置されている。本実施形態では、乗物用シート1は運転席側方の助手席を構成する。
【0037】
乗物用シート1は、フロア3に結合されたシートクッション5と、シートクッション5の後部に結合されたシートバック6と、シートバック6の上側に設けられたヘッドレスト7とを有する。シートクッション5は着座する乗員の臀部及び大腿部を支持する。シートバック6は着座する乗員の腰部及び背部の後方に位置し、ヘッドレスト7は着座する乗員の頭部後方に位置する。
【0038】
乗物用シート1は、
図2に示すように、流体封入部材としてのエアセル9と、エアセル9それぞれを給排気するエアセル駆動装置10とを備えている。エアセル9はシートクッション5の内部に複数設けられている。エアセル9はシートクッション5の内部に概ね乗員の左右の大腿部に対応する位置にそれぞれ、左右に対をなすように配置されている。本実施形態では、左右に対をなすエアセル9が前後に列(本実施形態では3列)をなすように設けられている。エアセル駆動装置10が駆動すると、エアセル9がそれぞれ給排気されて膨張及び収縮を繰り返し、乗員の臀部や大腿部が押圧される。これにより、乗員の大腿部がマッサージされ、乗員にリラックス効果がもたらされると期待される。
【0039】
更に、乗物用シート1のシートクッション5の内部には流路38(通気路)が形成されている。この流路38は、乗物用シート1に設けられた送風機39(
図2参照)からの風をシートクッション5の座面に導くための通路である。
【0040】
次に、シートクッション5の構造について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図3及び
図4に示すように、シートクッション5は、車体に支持されてシートクッション5の骨格を形成するクッションフレーム12と、クッションフレーム12に支持されたパッド部材13と、パッド部材13の表面を覆う表皮材14とを有する。表皮材14は、シートクッション5の意匠面を構成するものであって、エアセル9の膨張によって伸長する伸縮可能な布材によって構成されていることが好ましい。
【0042】
パッド部材13は、
図3~
図5に示すように、クッションフレーム12に支持されたパッド本体16と、パッド本体16の上面の一部に積層された流路形成片17と、流路形成片17に結合された硬質部材18と、流路形成片17及び硬質部材18の上面に積層され、かつ表皮材14に覆われた上部形成片19とを有している。パッド本体16、流路形成片17、及び、上部形成片19はそれぞれ弾性変形可能であり、発泡ウレタンなどの発泡樹脂で形成されている。本実施形態では、パッド本体16、流路形成片17、及び、上部形成片19はともに同種の素材から構成されている。
【0043】
パッド本体16は、シートクッション5の下部を構成する略直方体状の部材であって、
図3及び
図4に示すように、クッションフレーム12に下側から支持されている。
図4、及び、
図5に示すように、パッド本体16には上下に貫通する連通孔21が設けられている。
図4に示すように、パッド本体16の下面にはダクト22が結合されている。ダクト22は内孔を有する筒状をなしている。本実施形態は、ダクト22は蛇腹パイプによって構成されている。ダクト22はその内孔が連通孔21に通じるように接続された状態で、パッド本体16に結合されている。パッド本体16には、ダクト22をパッド本体16に接続するため、接続部材23(例えば、ホースニップル等)が設けられているとよい。
【0044】
図5に示すように、流路形成片17はシート状(すなわち、板状)をなしている。流路形成片17には、上下方向に貫通する一繋がりのスリット25(溝、ともいう)が設けられている。本実施形態では、スリット25は上下方向視で所定の幅を有し、基端側(後側)から延出端側(前側)に二股に分岐するY字状をなしている。スリット25の基端は流路形成片17がパッド本体16に積層されたときに、連通孔21に上下に整合する位置に設けられている。
【0045】
硬質部材18は、前後方向に延在する2つの枝部27と、2つの枝部27を後端側で連結し、前後に延在する連結部28とを備え、スリット25に対応するY字状をなしている。硬質部材18は前後端において封じられ、後端側で2つに分岐した角パイプによって構成されている。枝部27、及び連結部28の内部にはそれぞれの延在方向に空洞が形成され、枝部27の空洞後端と連結部28の空洞前端とは互いに連結されている。枝部27の空洞の前端と、連結部28の後端とはそれぞれ封じられている。これにより、硬質部材18の内部にはスリット25に対応するY字状の内部空間31が形成されている。硬質部材18は例えばパッド本体16、流路形成片17、及び、上部形成片19よりも硬質の素材(例えば、プラスチックや金属等)によって構成され、外部からの圧力に対して変形し難くなっている。
【0046】
硬質部材18は流路形成片17と上下方向に概ね同じ厚さを有している。硬質部材18はスリット25に嵌め込まれ、スリット25に収容されている。硬質部材18の外壁はスリット25を画定する壁面に結合されている。本実施形態では、硬質部材18と流路形成片17とは一体発泡されることによって形成された一体成型品となっている。
【0047】
図4に示すように、連結部28の下壁後部には内部空間31に通じる連結部貫通孔33が設けられている。連結部貫通孔33は、流路形成片17がパッド本体16に積層されたときに、連通孔21に上下方向に重なる位置に設けられている。
図3及び
図5に示すように、枝部27の上面前端側には内部空間31に通じる枝部連結孔34が前後に並ぶように設けられている。
【0048】
上部形成片19はシートクッション5の着座面に沿って延在するシート状(板状)をなしている。上部形成片19には上下に貫通する複数の上部貫通孔36が設けられている。本実施形態では、上部貫通孔36は上部形成片19において左右に隣接して配置されて対を構成している。以下、上部貫通孔36の対を上部貫通孔対36Pと記載する。上部貫通孔対36Pは左右に間隔をおいて、前後に列をなすように設けられている。上部貫通孔対36Pは乗物用シート1に着座した乗員、すなわち着座者の大腿部に対応する部分に沿って、前後に列をなすように設けられている。
【0049】
上部形成片19が流路形成片17に積層されたときに、上部貫通孔36はそれぞれ枝部連結孔34に整合し、上下に重なる位置にある。
【0050】
パッド本体16の上に流路形成片17が積層され、流路形成片17の上に上部形成片19が積層されると、ダクト22の内部と、連結部貫通孔33の内部と、硬質部材18の内部空間31と、上部貫通孔36の内部とが接続されて、それぞれを順に通過する流路38が形成される。
【0051】
ダクト22には送風機39(
図2参照)が接続されている。送風機39が駆動すると、送風機39から空気がダクト22内に送り込まれる。ダクト22に送り込まれた空気は流路38を介して、上部貫通孔36から排出される。上部貫通孔36から排出された空気は、表皮材14を通過して、着座者の大腿部に達する。このように、送風機39からの風は流路38を流れて着座者に到達する。
【0052】
エアセル9は流体である空気を封入することのできる袋状の部材であって、ゴム材料等の伸縮可能な材料で形成されている。空気が供給されることによってエアセル9は膨張する。また、空気が供給された状態にあるときに空気が排出されると、エアセル9は収縮する。エアセル9はそれぞれ、上部形成片19の上面(表面側の面)に結合されている。
【0053】
本実施形態では、上部形成片19の上面には、エアセル9に対応する位置にそれぞれ下方に凹む凹部40が形成されている。凹部40はそれぞれ上面視で略方形をなしている。上部貫通孔対36Pは上部形成片19の上面においてそれぞれ凹部40に重なり合うことがない、すなわち凹部40を避けた位置に設けられている。よって、上部貫通孔対36Pはそれぞれ上部形成片19の上面において凹部40の外側において開口している。本実施形態では、隣接するエアセル9の間において上部貫通孔対36Pが開口している。これにより、流路38は隣接するエアセル9の間に通じ、流路38を介して隣接するエアセル9の間の空間(空隙)にアクセス可能となっている。
【0054】
エアセル9はそれぞれ凹部40の内部に収容された状態で、上部形成片19に結合されている。すなわち、エアセル9はパッド部材13の上面側に結合された状態で、表皮材14によって上方から覆われている。このとき、
図6に示すように、エアセル9はそれぞれ硬質部材18に上下方向に重なっている。
【0055】
エアセル9はそれぞれチューブ(不図示)に結合されている。チューブはそれぞれパッド部材13の表側からその内部を通過し、パッド部材13の裏側に達し、エアセル駆動装置10に接続されている。
【0056】
図2に示すように、エアセル駆動装置10は、エアセル9にチューブを介して接続された給排気装置42と、給排気装置42を制御する制御装置43とを含む。給排気装置42は制御装置43からの信号に基づいて、エアセル9それぞれを給排気し、エアセル9それぞれを膨張収縮させる。
【0057】
給排気装置42はエアセル9それぞれにチューブを介して接続された電磁弁45と、ポンプ46を含む。電磁弁45は吸気ポート45A、排気ポート45B、及び、共通ポート45Cを備えた三方弁である。電磁弁45の吸気ポート45Aはチューブ等を介してポンプ46に接続されている。排気ポート45Bは大気開放されている。共通ポート45Cはダクト22に接続されている。電磁弁45はそれぞれ制御装置43からの信号に基づいて、共通ポート45Cが吸気ポート45Aに接続する吸気位置と、共通ポート45Cが排気ポート45Bに接続する排気位置との間で切り替わる。ポンプ46は制御装置43からの信号に基づいて、チューブ内に空気を圧送すべく駆動する。
【0058】
乗物用シート1には、乗員からのエアセル9の駆動指示、及び、停止指示を受け付ける受付部48(
図1参照)が設けられている。受付部48に駆動指示に対応する入力があると、制御装置43はポンプ46を駆動し、電磁弁45を所定時間ごとに吸気位置と排気位置との間で切り替える。電磁弁45が吸気位置にあるときには、ポンプ46から圧送された空気がチューブ内に流入し、エアセル9が膨張する。電磁弁45が排気位置にあるときにはエアセル9の内部の空気がチューブを介して排気ポート45Bから排出され、エアセル9が収縮する。これにより、エアセル9は断続的に膨張及び収縮を繰り返す。受付部48に駆動停止に対応する入力があると、制御装置43はポンプ46を停止し、電磁弁45を排気位置とする。これによりエアセル9の内部の空気が排気ポート45Bから排出され、エアセル9が収縮する。このように、制御装置43は電磁弁45それぞれの開閉を制御することによって、対応するエアセル9に給排気し、膨張収縮させる。
【0059】
次に、本実施形態に係る乗物用シート1の効果について説明する。乗員から受付部48に駆動指示に対応する入力があると、エアセル9は膨張して乗員の大腿部を押し上げる。これにより、エアセル9は反力を受けて下方に押し出され、エアセル9からパッド部材13に圧力が加わる。
【0060】
エアセル9の背面側(下側)には硬質部材18が設けられている。硬質部材18によってパッド部材13の変形が抑制される。これにより、エアセル9の下方(すなわち、パッド部材13の側)への移動が防止できる。よって、エアセル9の膨張によって生じる荷重がパッド部材13に伝わり難くなり、乗員にエアセル9からの圧力が加わり易くなるため、マッサージ効果が高まると期待できる。
【0061】
また、送風機39からの風が流れる流路38の一部が硬質部材18によって構成されている。着座者からの圧力や、エアセル9の膨張による圧力に硬質部材18が抗するため、流路38の硬質部材18によって画定される部分が潰れにくくなり、流路38のその部分の変形が防止される。これにより、着座者からの圧力や、エアセル9の膨張による圧力によって、送風機39からの風を通過させるための流路38が潰れ難くなる。よって、着座者に送風機39からの風が到達し難くなることを防止することができる。
【0062】
また、流路38をエアセル9に表裏方向視で重なるように配置し、流路38のエアセル9に表裏方向視で重なる部分を硬質部材18によって構成することで、エアセル9の背面側に別途硬質部材を設ける必要がなくなる。これにより、乗物用シート1の部品数を低減することができる。
【0063】
また、本実施形態では、硬質部材18と流路形成片17とは一体発泡されることによって一体成型された一体成型品となっている。そのため、硬質部材18と流路形成片17とが別体で構成されている場合に比べて、部品点数を削減することができる。更に、硬質部材18を流路形成片17に組み込む工程が不要となるため、乗物用シート1の組み立てが簡素になる。
【0064】
また、本実施形態では、隣接するエアセル9の間において上部貫通孔対36Pが開口している。これにより、パッド部材13に設けられた流路38が隣接するエアセル9の間に通じ、送風機39からの風が流路38を通過して、隣接するエアセル9の間に吹き付けられる。このように、エアセル9が膨張しているときに、流路38を介して隣接するエアセル9の空隙内に送風することができるため、乗物用シート1の快適性が向上する。
【0065】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る乗物用シート101は、第1実施形態と同様に、シートクッション5の構成が異なる。以下、第2実施形態に係る乗物用シート101のシートクッション5について、図面を参照して説明する。
【0066】
図7に示すように、第2実施形態に係る乗物用シート101のシートクッション5は、骨格を形成する第1実施形態と同様のクッションフレーム12を有する。また、シートクッション5はエアセル9と、パッド部材13と、表皮材14と、流路形成部材117と、硬質部材118と、を備えている。
【0067】
図8に示すように、パッド部材13は上面及び下面を有する略直方体状をなしている。パッド部材13は、第1実施形態とは異なり、一体の部材によって構成されている。パッド部材13は弾性変形可能であり、発泡ウレタンなどの発泡樹脂で形成されている。
【0068】
硬質部材118は板状の部材であり、第1実施形態と同様にパッド部材13よりも硬質の素材(例えば、プラスチック等)によって構成されて、パッド部材13に比べて外部からの圧力に対して変形し難くなっている。硬質部材118はパッド部材13の下面(裏面)に沿って配置されて、パッド部材13の下面に当接している。
【0069】
流路形成部材117はシート状の部材である。本実施形態では、流路形成部材117は、
図7に示すように、2枚の樹脂製のシートを重ね合わせて結合させることによって構成されている。
図8に示すように、流路形成部材117の一端側にはダクト22が設けられ、他端側には複数の開口139が形成されている。流路形成部材117の内部には、2つのシートが部分的に結合されておらず、その結合されていない部分によって流路138(通路)が形成されている。ダクト22はその内部が流路138に通じるように、流路形成部材117に結合されている。
【0070】
流路形成部材117は硬質部材118の下面から後方に延びて、パッド部材13の後面を通過し、パッド部材13の上面に達している。このとき、ダクト22はパッド部材13の下面側に位置し、開口139はパッド部材13の上面に位置している。本実施形態では、硬質部材118と流路形成部材117とは接着されて一体をなしている。流路形成部材117と硬質部材118とは、左右両縁部においてクッションフレーム12に下側から支持されている。
【0071】
本実施形態では、開口139は、
図8に示すように、左右方向に対をなすように流路形成部材117に設けられている。以下、開口139の対を開口対139Pと記載する。開口対139Pは左右に間隔をおいて、前後に列をなすように設けられている。
【0072】
エアセル9はパッド部材13の上側において、流路形成部材117と表皮材14との間に設けられている。
図8に示すように、エアセル9は開口対139Pを含む流路138を避けた位置に配置されている。エアセル9は流路形成部材117の上面に結合されている。エアセル9は第1実施形態と同様に、袋状の部材であって、ゴム材料等の伸縮可能な材料で形成されている。第1実施形態と同様に、エアセル9はそれぞれ図示しないチューブを介して、給排気装置42に接続されている。エアセル9は、左右方向に間隔をおいて、前後に対をなすように配置されている。エアセル9は、乗物用シート1に着座した乗員の左右の大腿部の下方に位置する。給排気装置42は第1実施形態と同様に、制御装置43によって制御されて、エアセル9に給排気する。これにより、エアセル9は膨張収縮し、乗員の臀部及び大腿部をマッサージする。
【0073】
表皮材14は第1実施形態と同様に、エアセル9。及び、パッド部材13の表面を一体として覆っている。表皮材14はエアセル9の膨張によって伸長する伸縮可能な素材によって構成されている。表皮材14は、シートクッション5の上面に設けられ、シートクッション5の意匠面を構成する。
【0074】
ダクト22には、第1実施形態と同様に、送風機39に接続されている。送風機39が駆動すると、送風機39によってダクト22内に空気が送り込まれる。ダクト22に送り込まれた空気は流路138を通って着座者に達する。すなわち、送風機39は流路138を介して着座者に送風する。
【0075】
次に、第2実施形態に係る乗物用シート101の効果について説明する。
【0076】
図7に示すように、エアセル9がパッド部材13の上側に位置している。そのため、エアセル9が膨張すると、パッド部材13に圧力が加わる。
【0077】
硬質部材118がパッド部材13の下側、且つ、エアセル9の下方に位置している。そのため、硬質部材118がエアセル9の膨張による圧力に抗し、パッド部材13の下方への変形が抑制される。これにより、エアセル9がパッド側(下方)に移動することが防止できるため、乗員にエアセル9からの圧力が加わり易くなる。
【0078】
また、流路形成部材117はシート状をなしている。これにより、パッド部材13の表面に流路形成部材117を配置することによって、パッド部材13の内部に通路を形成することなく、着座者に送風するための流路38を容易に形成することができる。
【0079】
また、硬質部材118と流路形成部材117とは接着されて一体をなしている。そのため、硬質部材118と流路形成部材117とが別体になっているときに比べて、硬質部材118と流路形成部材117とを一度にパッド部材13に組み付けることができるため、乗物用シート101の組み立てが容易になる。
【0080】
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係る乗物用シート201は、第1実施形態に比べて、硬質部材218の形状、及び、位置が異なり、他の構成については第1実施形態と同様である。よって、他の構成については説明を省略する。
【0081】
硬質部材218は、上部形成片19の上面に設けられた凹部40にそれぞれ収容されている。硬質部材218は凹部40に整合する平板状をなしている。本実施形態では、凹部40及び硬質部材218はそれぞれ上面視(すなわち、表裏方向視)で矩形状(方形)をなしている。硬質部材218は凹部40に嵌め込まれて、上部形成片19に結合されている。
【0082】
エアセル9は、硬質部材218に相似な矩形状(方形)をなしている。硬質部材218の左右方向の幅はエアセル9の左右方向(車幅方向)の幅よりも大きい。硬質部材218の前後方向(車幅方向に直交する方向)の幅は、エアセル9の前後方向の幅よりも大きい。硬質部材218の前後及び左右方向の幅は、エアセル9が膨張したときにエアセル9はパッド部材13に直接当接しない程度に、十分大きく設定されているとよい。
【0083】
本実施形態では、更に、硬質部材218の縁部には、上方(すなわち、パッド部材13の表面から離反する方向)に向かって突出する突出壁220が設けられている。突出壁220の突出量は凹部40の深さ以下に設定されている。これにより、突出壁220がパッド部材13の表面であって硬質部材218の設けられた凹部40周辺の部分よりも低くなる。よって、硬質部材218が設けられることによって着座者が受ける異物感を抑えることができる。
【0084】
また、エアセル9の収縮時の厚さは突出壁220の突出量よりも大きく設定するとよい。これにより、突出壁220が硬質部材218に収容されたエアセル9の上面よりも低くなる。よって、硬質部材218が設けられることによって着座者が受ける異物感を抑えることができる。
【0085】
次にこのように構成した乗物用シート201の効果について説明する。
図10に示すように、パッド本体16の上面には、流路形成片17と、上部形成片19とが順に重ね合わされている。
【0086】
送風機39が駆動すると、ダクト22内に空気が流入する。ダクト22の内部に送り込まれた空気は、連通孔21、スリット25、及び、上部貫通孔36を介して、パッド部材13の上面に達する。すなわち、送風機39は流路38を介して着座者に送風する。
【0087】
流路38はエアセル9の背面側を通過している。そのため、乗物用シート201をコンパクトにすることができ、乗物用シート201の小型化を図ることができる。
【0088】
給排気装置42が駆動してエアセル9が膨張すると、エアセル9から硬質部材218に圧力が加わる。硬質部材218はエアセル9よりも上面視で大きく、エアセル9が膨張したときに、エアセル9は硬質部材218に支持されて、パッド部材13に直接当接しない
これにより、エアセル9の膨張による圧力が直接パッド部材13に加わることが防止される。また、圧力が硬質部材218によってパッド部材13に分散して加わるため、パッド部材13が変形し難くなる。これにより、エアセル9が硬質部材218に裏側から支持されて、エアセル9のパッド部材13の側への移動が防止されるため、着座者にエアセル9からの圧力が加わり易くなる。更に、流路38が設けられたパッド部材13に圧力が分散されて加わるため、流路38が変形して送風機39によって送り込まれた空気(流体)が通り難くなることを防止することができる。
【0089】
硬質部材218の左右方向の幅は、エアセル9の左右方向の幅よりも大きいため、エアセル9を左右方向に確実に硬質部材218によって支持することができる。また、硬質部材218の前後方向の幅は、エアセル9の前後方向の幅よりも大きいため、エアセル9を前後方向に確実に支持できる。また、硬質部材218を大きくすることによって、パッド部材13に加わる圧力をより分散させることができる。よって、流路38が変形して送風機39によって送り込まれた空気(流体)が通り難くなることをより確実に防止することができる。
【0090】
本実施形態では、硬質部材218の前後及び左右方向の幅は、エアセル9が膨張したときにエアセル9はパッド部材13に直接当接しない程度に、十分大きく設定されている。これにより、エアセル9は膨張時に硬質部材218によってより広い範囲で支持され、膨張時にエアセル9がパッド部材13に接触することが防止できるため、エアセル9の膨張による荷重を乗員に効果的に伝達することができる。
【0091】
更に、硬質部材218の縁部にはエアセル9の側に突出する突出壁220が設けられている。これにより、エアセル9が膨張時に前後左右方向に膨張してパッド部材13に接触することが抑制される。これにより、膨張時にエアセル9がパッド部材13に接触することが防止され、エアセル9の膨張による荷重をより効果的に乗員に伝達することができる。
【0092】
<<第4実施形態>>
第4実施形態に係る乗物用シート301は、シートクッション5の構造が第1~第3実施形態のいずれの実施形態とも異なり、他の構成については、他の実施形態と同様であるため、他の構成については説明を省略する。
【0093】
第4実施形態に係る乗物用シート301のシートクッション5は、骨格となるクッションフレーム12と、クッションフレーム12に支持されたパッド部材313と、パッド部材313の上面に設けられたエアセル9と、エアセル9及びパッド部材313を上方から覆う表皮材14とを備えている。
【0094】
クッションフレーム12については、第1実施形態と同様である。パッド部材313は、第2実施形態と同様であって、上面及び下面を有する略直方体状をなし、一体の部材によって構成されている。パッド部材313は弾性変形可能であり、発泡ウレタンなどの発泡樹脂で形成されている。
【0095】
図11(A)に示すように、パッド部材313の上面には下方に凹む吊り込み溝314が設けられている。
図11(B)に示すように、吊り込み溝314は上面視でU字状をなすU字溝部315と、左右に延在する横溝部316とを備えている。U字溝部315はそれぞれ前後に延在し、左右に対をなす2つのU字溝縦部315Aと、左右に延び、U字溝縦部315Aの後端を接続するU字溝横部315Bとを備えている。U字溝横部315Bは横溝部316の後方に位置し、左右のU字溝縦部315Aを接続している。吊り込み溝314の内部にはそれぞれ適所に表皮材14を掛け止めするためのフック(不図示)が設けられている。
【0096】
パッド部材313の上面には、エアセル9を収容するための凹部40が設けられている。凹部40は、第1実施形態と同様のものであって、下方に凹み、上面視で略方形をなしている。本実施形態では、凹部40は、U字溝横部315Bの前方であり、且つ、左右のU字溝縦部315Aの間の部分に複数設けられている。凹部40は、パッド部材313の上面において、左右に対をなして、前後に列(本実施形態では3列)をなすように配置されている。
【0097】
パッド部材313の上面には、凹部40それぞれから左右外方向に延び、U字溝部315(より詳細には、U字溝縦部315A)に達する通し溝317が設けられている。U字溝部315にはそれぞれ、通し溝317の左右外側において、パッド部材313を上下方向に貫通する通し孔318が設けられている。
【0098】
エアセル9はそれぞれ凹部40に収容されている。エアセル9には内部に給排気するためのチューブ319が接続されている。チューブ319はそれぞれ通し溝317、及び、通し孔318を通過して、パッド部材313の下側に延び、それぞれ給排気装置42に接続されている。チューブ319はそれぞれ屈曲変形可能であり、パッド部材313よりも硬質の素材によって形成されている。
【0099】
第1実施形態と同様に、パッド部材13の内部には流路38が形成されている。送風機39が駆動すると、送風機39からダクト22に送り込まれた空気が流路38を介して着座者に到達する。すなわち、送風機39は流路38を介して着座者に送風する。
【0100】
次にこのように構成した乗物用シート301の効果について説明する。本実施形態に係る乗物用シート301では、チューブ319が吊り込み溝314を通過するように設けられているため、エアセル9にチューブ319を接続するための孔や溝を少なくすることができる。よって、乗物用シート301の構成が簡素になる。
【0101】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0102】
上記実施形態では、エアセル9がシートクッション5に設けられる例について説明したが、この態様には限定されない。エアセル9はシートバック6に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、乗物用シート1、101、201、301が車両に設けられたシートに適用した例について記載したがこの態様には限定されない。本発明は、自動車以外の乗物(例えば、バス、トラック、船舶、飛行機等)に設けられたシートに適用することが可能である。
【0103】
上記実施形態では、流体封入部材として、内部に流体である空気が封入されるエアセル9が用いられていたが、この態様には限定されない。流体封入部材は流体が供給・排出可能あり、液体が封入(導入)されることによって膨張する袋状の部材であれば、いかなる態様のものであってもよい。すなわち、流体封入部材は流体としての液体の導入によって膨張する袋状の部材であってもよい。
【0104】
上記実施形態では、流路38,138は着座者に風を送るために使用されていたが、この態様には限定されない。例えば、流路38、138は空気等の流体を供給又は排出する装置(給排装置)に接続され、乗物用シート1、101、201、301の表面近傍に流体を供給又は排出するために使用されてもよい。例えば、流路38、138は乗物用シート1、101、201、301の表面近傍の空気を排出して収集するために使用されてもよい。収集された空気は例えば、着座者の体調等を判定するために用いられるとよい。
【0105】
この場合においても、流路38,138は隣接するエアセル9の間に通じているとよい。これにより、エアセル9が膨張しているときに、流路38、138を介して隣接するエアセル9の隙間にアクセスし、その隙間に滞留する空気を効率よく収集することができる。
【0106】
また、送風機39は乗物用シート1それぞれに結合されて保持されていてもよく、車体(例えば、フロア3)に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 :第1実施形態に係る乗物用シート
9 :エアセル(流体封入部材)
13 :パッド部材
16 :パッド本体
17 :流路形成片
18 :硬質部材
19 :上部形成片
38 :流路
101 :第2実施形態に係る乗物用シート
117 :流路形成部材
118 :硬質部材
138 :流路
201 :第3実施形態に係る乗物用シート
218 :硬質部材
220 :突出壁
301 :第4実施形態に係る乗物用シート
313 :パッド部材