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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098330
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】バッテリユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250625BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20250625BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
B60L58/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214387
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】六浦 圭太
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】芝野 大軌
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健治
(72)【発明者】
【氏名】角田 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB18
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD19
3D235EE63
3D235FF38
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125FF23
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】小型化が可能なバッテリユニットを提供する。
【解決手段】バッテリユニット1は、車両の走行用モータに供給する電力が蓄電されているバッテリ4の出力電圧の電圧値を、所定の電圧値の電圧に変換可能な電源モジュール10と、バッテリ4と電源モジュール10とに亘って冷却流体を循環させるポンプ21を有するポンプモジュール20と、電源モジュール10とポンプモジュール20とをバッテリ4と共に収容するハウジング30と、を備え、ハウジング30内において、バッテリ4よりも車両の進行方向前側Fにポンプモジュール20と電源モジュール10とが配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行用モータに供給する電力が蓄電されているバッテリの出力電圧の電圧値を、所定の電圧値の電圧に変換可能な電源モジュールと、
前記バッテリと前記電源モジュールとに亘って冷却流体を循環させるポンプを有するポンプモジュールと、
前記電源モジュールと前記ポンプモジュールとを前記バッテリと共に収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジング内において、前記バッテリよりも前記車両の進行方向前側に前記ポンプモジュールと前記電源モジュールとが配置されているバッテリユニット。
【請求項2】
前記ポンプモジュールは、前記ポンプを駆動するポンプドライバを更に有し、
前記バッテリから前記電源モジュールに電力供給が行われる第1コネクタ及び前記バッテリから前記ポンプモジュールに電力供給が行われる第2コネクタと、
前記電源モジュールと前記第1コネクタとを電気的に接続する第1電源ラインに設けられる第1コンデンサ及び前記ポンプモジュールと前記第2コネクタとを電気的に接続する第2電源ラインに設けられる第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの電荷を放電する第1放電部及び前記第2コンデンサの電荷を放電する第2放電部と、の三組のうちの少なくともいずれか一組が互いに共有されている請求項1に記載のバッテリユニット。
【請求項3】
前記電源モジュールは、交流電力及び直流電力の一方を他方に変換する周波数変換部と、入力された直流電圧の電圧値を、所定の電圧値の直流電圧に変換する電圧変換部と、を含む請求項1又は2に記載のバッテリユニット。
【請求項4】
前記電源モジュールは、車室の冷暖房を行う空調ユニットに電力供給を行う空調用電力供給部を更に含む請求項1又は2に記載のバッテリユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行駆動源としてモータ(「走行用モータ」に相当)を備えた自動車(ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、バッテリ車(BEV:Battery Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)等)が普及している。これらの自動車(以下、「電動車」と総称する)はモータを駆動させるためのバッテリを搭載している。このような電動車に搭載されるバッテリに関する技術として、例えば下記に出典を示す特許文献1及び2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、車両の電池冷却構造について記載されている。この電池冷却構造は、電池モジュールと、電池モジュールに冷却流体を供給する冷却通路と、電池モジュールに電気的に接続された電装機器と、冷却流体を冷却する冷却器と、電池モジュールと電装機器と冷却器と冷却通路を収容するバッテリケースとを備えている。電池モジュールの電池セルを冷却した後の冷却流体を電装機器に供給し、電装機器を冷却するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、車両用バッテリパックについて記載されている。この車両用バッテリパックは、複数のバッテリモジュールを有し、複数のバッテリモジュールを冷却可能な冷却装置が設けられる。冷却装置は、冷媒を排出可能なポンプを有する。バッテリパックは、ポンプと並ぶように電気機器が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-59215号公報
【特許文献2】特開2022-103531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電動車を更に普及させるための課題として、航続距離を長くすることが挙げられる。航続距離を長くするには、例えばバッテリの搭載数を増大することが考えられる。しかしながら、電動車の車体は搭載スペースが限られているため、容易にバッテリの搭載数を増大することができない。そこで、バッテリ及びバッテリの周囲に設けられるデバイスの小型化が望まれる。特許文献1に記載の電池冷却構造は、バッテリケース内に電動機器と冷却器とが設けられているが、互いに別体で設けられている。また、特許文献2に記載の車両用バッテリパックも、ポンプと電気機器とが別体で設けられている。このため、特許文献1及び2に記載の発明は、小型化を行う上で改善の余地がある。
【0007】
そこで、小型化が可能なバッテリユニットが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバッテリユニットの特徴構成は、車両の走行用モータに供給する電力が蓄電されているバッテリの出力電圧の電圧値を、所定の電圧値の電圧に変換可能な電源モジュールと、前記バッテリと前記電源モジュールとに亘って冷却流体を循環させるポンプを有するポンプモジュールと、前記電源モジュールと前記ポンプモジュールとを前記バッテリと共に収容するハウジングと、を備え、前記ハウジング内において、前記バッテリよりも前記車両の進行方向前側に前記ポンプモジュールと前記電源モジュールとが配置されている点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、電源モジュールとポンプモジュールとを、バッテリと共にハウジングに収容するので、バッテリユニットを小型化することができる。更に、電源モジュールとポンプモジュールとをバッテリと共にハウジングに収容することで、電源モジュールとポンプモジュールとバッテリとの夫々を電気的に接続するハーネスの長さを短くできる。また、バッテリよりも前側にポンプモジュールと電源モジュールとを配置しているため、空調ユニットやラジエータなど車両の前側に配置しなければならない機器に対して接続するための配管長を短くできる。したがって、ハーネスにおける電力損失や配管長を低減でき、更にはバッテリユニットのコストアップを抑制して小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】制御システムを搭載した車両を示す図である。
図2】バッテリと電源モジュールとポンプとの配置を示す図である。
図3】バッテリユニットの構成を示す図である。
図4】バッテリユニットのその他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るバッテリユニットは小型に構成される。以下、本実施形態のバッテリユニット1について説明する。ただし、バッテリユニット1は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0012】
図1には、バッテリユニット1が搭載される車両2が示される。図1では、車両2の進行方向前側を「F」で示し、車両2の進行方向後側を「B」で示している。
【0013】
バッテリユニット1は、車両2の底部2Aに設けられ、電源モジュール10と、ポンプモジュール20と、ハウジング30とを備えている。電源モジュール10とポンプモジュール20とは、車両2の走行に利用される電力を蓄電する高圧バッテリ4(「バッテリ」の一例)と共に、ハウジング30に収容される。ハウジング30内に、高圧バッテリ4を収容することで、車両2の走行中に路面200から跳ね上がる小石等による損傷を防止することが可能となる。ハウジング30は、例えば樹脂を用いて有底の箱状を呈し、収容空間30Aが形成される。この収容空間30Aに高圧バッテリ4、電源モジュール10、及びポンプモジュール20が収容されている。ハウジング30は、車両2が走行中において路面200と対向する底部2Aにおける、一対の前輪FWと、一対の後輪RWとの間に設けられる。
【0014】
高圧バッテリ4は、車両2の走行用モータMに供給する電力が蓄電されている。本実施形態では、一対の前輪FWに対して走行用モータMの回転力が伝達される。なお、本実施形態では、一対の前輪FWに対して走行用モータMの回転力が伝達されるが、一対の後輪RWに対して走行用モータMの回転力が伝達されるように構成してもよいし、一対の前輪FW及び一対の後輪RWに対して走行用モータMの回転力が伝達されるように構成してもよい。
【0015】
車室3は、区画壁6により走行用モータMが収容されるモータルーム7と仕切られている。モータルーム7には、車室3の冷暖房を行う空調ユニット8が設けられており、空調ユニット8による冷暖房の気流が排出されるダクト9を介して車室3に導入するように構成される。なお、車両2にはダクト9だけでなく、運転者の正面や足元、フロントガラスに空調ユニット8からの気流を導入することができるように他のダクト(図示せず)も設けられる。
【0016】
また、モータルーム7には、車両2に搭載される電気機器に供給される電力が蓄電される低圧バッテリ5が設けられる。低圧バッテリ5は、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値よりも小さい電圧値の電圧を出力する。
【0017】
図2はバッテリユニット1の斜視図である。図2に示されるように、バッテリユニット1は、ハウジング30に高圧バッテリ4を収容して構成される。上述したようにハウジング30には、高圧バッテリ4と共に、電源モジュール10と、ポンプモジュール20とが収容され、更に冷却プレート40が伝熱シート(不図示)を介して接する状態でハウジング30に収容される。したがって、高圧バッテリ4と、電源モジュール10と、ポンプモジュール20と、冷却プレート40とが単一のハウジング30に収容される。なお、図1では、冷却プレート40の図示は省略している。
【0018】
本実施形態では、ハウジング30内において、車両2の進行方向後側Bに高圧バッテリ4が配置され、高圧バッテリ4よりも車両2の進行方向前側Fに電源モジュール10とポンプモジュール20とが配置される。また、ハウジング30における車両2の進行方向左側Lに電源モジュール10が配置され、電源モジュール10よりも車両2の進行方向右側Rにポンプモジュール20が配置される。
【0019】
冷却プレート40は、ポンプ21により高圧バッテリ4と電源モジュール10とに亘って冷却流体を循環させる循環路を内部に有する。冷却プレート40は、内部に中空の流路が設けられており、この流路が循環路に相当する。したがって、循環路も、単一のハウジング30に収容される。冷却流体として、ロングライフクーラント(LLC)等の冷却水、パラフィン系等の絶縁油、又はハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)等の冷媒を用いることが可能である。
【0020】
図2に示されるように、電源モジュール10及び高圧バッテリ4は、共に、この冷却プレート40が伝熱シート(不図示)を介して接する状態で、ハウジング30に収容されている。これにより、電源モジュール10を構成する電子部品及び高圧バッテリ4を、冷却プレート40を流通する冷却流体を介して温度調節することが可能となる。
【0021】
ポンプモジュール20は、高圧バッテリ4と電源モジュール10とに亘って冷却流体を循環させるポンプ21を有する。上述したように、高圧バッテリ4と電源モジュール10とは冷却プレート40が接する状態で設けられている。冷却プレート40の内部には循環路が設けられており、ポンプ21により冷却流体が循環路を流通される。
【0022】
図3は、バッテリユニット1の構成を模式的に示したブロック図である。電源モジュール10は、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、所定の電圧値の電圧に変換することが可能である。具体的には、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、低圧バッテリ5を充電可能な電圧値の直流電圧に変換することが可能である。また、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、商用電源として利用可能な電圧値の交流電圧(例えば、実効値が100Vの交流電圧)に変換することも可能である。
【0023】
以下では、電源モジュール10が高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、低圧バッテリ5を充電可能な電圧値の直流電圧に変換するように動作する形態を、第1モードと称する。また、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、商用電源としてコンセント99を介して利用可能な電圧値の交流電圧に変換するように動作する形態を、第2モードと称する。さらに、電源モジュール10が例えばコンセントプラグのような供給部98を介して供給された外部からの交流電力を、高圧バッテリ4を充電可能な直流電力に変換するように動作する形態を、第3モードと称して説明する。
【0024】
電源モジュール10は、切替部41と、周波数変換部42と、電圧変換部43と、空調用電力供給部44とを含んで構成される。切替部41は、電源モジュール10に例えばコンセントプラグのような供給部98と電気的に接続する状態、及び、電源モジュール10にコンセント99と電気的に接続する状態のうちの一方から他方に切り替える。切替部41により、電源モジュール10に供給部98が電気的に接続されると、供給部98から外部からの交流電力が周波数変換部42に供給される。一方、切替部41により、電源モジュール10にコンセント99が電気的に接続されると、コンセント99から交流電圧が出力可能とされる。
【0025】
周波数変換部42は、交流電力及び直流電力の一方を他方に変換する。周波数変換部42は、第2モードでは電圧変換部43から直流電力が供給される。この場合、周波数変換部42は電圧変換部43から供給された直流電力を交流電力に変換し(周波数を変換し)、コンセント99から交流電力が出力可能にする。一方、周波数変換部42は、第3モードでは供給部98から交流電力が供給される。この場合、周波数変換部42は供給部98から供給された交流電力を直流電力に変換し(周波数を変換し)、電圧変換部43に直流電力を出力する。
【0026】
電圧変換部43は、入力された直流電圧の電圧値を、所定の電圧値の直流電圧に変換する。電圧変換部43は、第2モードではジャンクションボックス91を介して高圧バッテリ4から直流電力が供給される。この場合、電圧変換部43は、高圧バッテリ4からの直流電力を構成する電圧の電圧値を、供給部98から出力する交流電力を構成する電圧の電圧値に変換する。一方、電圧変換部43は、第3モードでは周波数変換部42から直流電力が供給される。この場合、電圧変換部43は周波数変換部42から供給された直流電力を構成する電圧値の電圧値を、高圧バッテリ4を充電可能な電圧値の電圧に変換する。これにより、ジャンクションボックス91を介して、高圧バッテリ4を充電可能となる。
【0027】
第1モードでは、電圧変換部43は、高圧バッテリ4からジャンクションボックス91を介して伝達された直流電力を構成する直流電圧を、低圧バッテリ5を充電可能な電圧値に降圧し、コネクタ70及びジャンクションボックス92を介して低圧バッテリ5に供給する。これにより、高圧バッテリ4に蓄電されている電力に基づいて、低圧バッテリ5を充電することが可能となる。
【0028】
なお、第2モード及び第3モードにおいて、第1モードを併用してもよい。すなわち、高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、商用電源として利用可能な電圧値の交流電圧に変換する際に(第2モード)、同時に、高圧バッテリ4からの直流電力に基づいて低圧バッテリ5を充電してもよい(第1モード)。また、外部からの交流電力を、高圧バッテリ4を充電可能な直流電力に変換する際に(第3モード)、同時に、高圧バッテリ4からの直流電力に基づいて低圧バッテリ5を充電してもよい(第1モード)。このような電圧変換部43は、一次巻線と、二次巻線と、三次巻線とを有するトランスを含んで構成する好適である。
【0029】
高圧バッテリ4の電力に基づいて走行用モータMを駆動する場合には、高圧バッテリ4からの電力がジャンクションボックス91を介してインバータ93に伝達され、インバータ93が走行用モータMに通電するとよい。
【0030】
本実施形態では、ポンプモジュール20は、更にポンプ21を駆動するポンプドライバ22を有する。ポンプモジュール20は、高圧バッテリ4から直流電力が供給される。ポンプドライバ22は、複数のスイッチング素子を備えて構成され、高圧バッテリ4から供給された直流電力を、ポンプ21の駆動に適した電力(交流電力)に変換し、ポンプ21に通電する。これにより、ポンプ21が駆動される。
【0031】
バッテリユニット1は、コネクタ51と、コンデンサ52と、放電部53とを備えている。本実施形態では、高圧バッテリ4から電源モジュール10への電力供給は、第1コネクタ51Aを介して行われる。また、高圧バッテリ4を充電する際、電源モジュール10から高圧バッテリ4への電力の出力も、この第1コネクタ51Aを介して行われる。また、高圧バッテリ4からポンプモジュール20への電力供給は、第2コネクタ51Bを介して行われる。本実施形態では、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとは、互いに共有されている。したがって、コネクタ51は、第1コネクタ51A及び第2コネクタ51Bを含んで構成される。
【0032】
電源モジュール10と第1コネクタ51Aとを電気的に接続する第1電源ライン54Aには、第1コンデンサ52Aが設けられる。第1コンデンサ52Aは、第1電源ライン54Aに印加された電圧のリップル及び第1電源ライン54Aを流れる電流のリップルを平滑するために設けられている。このため、第1コンデンサ52Aの一方の端子は第1電源ライン54Aに接続され、第1コンデンサ52Aの他方の端子は接地電位が印加される。また、ポンプモジュール20と第2コネクタ51Bとを電気的に接続する第2電源ライン54Bには、第2コンデンサ52Bが設けられている。第2コンデンサ52Bは、第2電源ライン54Bに印加された電圧のリップル及び第2電源ライン54Bを流れる電流のリップルを平滑するために設けられている。このため、第2コンデンサ52Bの一方の端子は第2電源ライン54Bに接続され、第2コンデンサ52Bの他方の端子は接地電位が印加される。
【0033】
本実施形態では、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは、互いに共有されている。したがって、コンデンサ52は、第1コンデンサ52A及び第2コンデンサ52Bを含んで構成される。また、本実施形態では、第1電源ライン54Aと第2電源ライン54Bとは、互いに一部が共有して構成されている。コンデンサ52は、第1電源ライン54Aと第2電源ライン54Bとの共有部分と接地電位とに亘って設けられる。
【0034】
第1電源ライン54Aには、第1コンデンサ52Aの電荷を放電する第1放電部53Aが設けられている。第1電源ライン54Aに電圧が印加されていると、第1コンデンサ52Aには電荷が蓄えられる。第1電源ライン54Aに対して電圧が印加されない場合に、第1コンデンサ52Aに電荷が蓄えられた状態が維持されると、漏電の原因になる可能性があり、また、起動シーケンスも所期のものとずれる可能性がある。そこで、第1放電部53Aは、第1電源ライン54Aに対して電圧が印加されなくなった場合に、第1コンデンサ52Aの電荷を放電するように構成されている。また、第2電源ライン54Bには、第2コンデンサ52Bの電荷を放電する第2放電部53Bが設けられている。第2電源ライン54Bに電圧が印加されていると、第2コンデンサ52Bには電荷が蓄えられる。第2電源ライン54Bに対して電圧が印加されない場合に、第2コンデンサ52Bに電荷が蓄えられた状態が維持されると、漏電の原因になる可能性があり、また、起動シーケンスも所期のものとずれる可能性がある。そこで、第2放電部53Bは、第2電源ライン54Bに対して電圧が印加されなくなった場合に、第2コンデンサ52Bの電荷を放電するように構成されている。
【0035】
本実施形態では、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは、互いに共有されている。したがって、放電部53は、第1放電部53A及び第2放電部53Bを含んで構成される。また、本実施形態では、第1電源ライン54Aと第2電源ライン54Bとが互いに一部が共有して構成されており、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとが互いに共有されている。したがって、放電部53は、電源ライン54(第1電源ライン54A及び第2電源ライン54Bの総称)に対して電圧が印加されなくなった場合に、コンデンサ52の電荷を放電する。
【0036】
このような放電部53は、例えば所定の抵抗値を有する抵抗器を用いて構成することが可能である。これより、電源ライン54に対して電圧が印加されなくなった場合に、抵抗器を介してコンデンサ52の電荷を放電することが可能となる。
【0037】
ここで、放電部53を、抵抗器を用いて構成した場合、電源ライン54に対して電圧が印加されていると、常時、抵抗器に電流が流れるため、常に電力損失が生じる。このような電力損失を低減するために、放電部53は、上述した抵抗器に、電源ライン54に対する電圧の印加の終了をトリガとして閉状態になるスイッチ(例えば、リレーやスイッチング素子)を直列に接続して構成することが可能である。これにより、電源ライン54に対する電圧の印加の終了に応じてスイッチを閉状態にし、コンデンサ52の電荷を放電することが可能となる。
【0038】
本実施形態では、電源モジュール10に空調用電力供給部44が設けられている。空調用電力供給部44は、高圧バッテリ4から、ジャンクションボックス91、コネクタ51、及び第1電源ライン54Aを介して、電力供給が行われる。空調用電力供給部44は、スイッチング素子を有して構成されており、高圧バッテリ4からの直流電力を空調ユニット8の駆動に適した電力に変換する。
【0039】
以上のように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとを互いに共有し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとを互いに共有し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとを互いに共有することで、バッテリユニット1を小型化、且つ、軽量化することが可能となる。また、空調用電力供給部44を、電源モジュール10に含んで構成することで、第1コネクタ51A、第1コンデンサ52A、第1放電部53A、第1電源ライン54Aを共有できる。したがって、バッテリユニット1を更に、小型化、且つ、軽量化することが可能となる。
【0040】
〔その他の実施形態〕
次に、バッテリユニット1のその他の実施形態について説明する。
【0041】
上記実施形態では、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとが互いに共有され、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとが互いに共有され、第1放電部53Aと第2放電部53Bとが互いに共有されているとして説明した。バッテリユニット1は、第1コネクタ51A及び第2コネクタ51Bと、第1コンデンサ52A及び第2コンデンサ52Bと、第1放電部53A及び53B第2放電部と、の三組のうちの少なくともいずれか一組を互いに共有して構成することも可能である。
【0042】
具体的には、図4の構成aのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとを互いに共有して構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは互いに別体で構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに別体で構成することも可能である。また、図4の構成bのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとは互いに別体で構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは互いに共有して構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに別体で構成することも可能である。更には、図4の構成cのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとは互いに別体で構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは互いに別体で構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに共有して構成することも可能である。
【0043】
また、図4の構成dのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとを互いに共有して構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとを互いに共有して構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに別体で構成することも可能である。また、図4の構成eのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとは互いに別体で構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは互いに共有して構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに共有して構成することも可能である。更には、図4の構成fのように、第1コネクタ51Aと第2コネクタ51Bとは互いに共有して構成し、第1コンデンサ52Aと第2コンデンサ52Bとは互いに別体で構成し、第1放電部53Aと第2放電部53Bとは互いに共有して構成することも可能である。
【0044】
上記実施形態では、ポンプモジュール20はポンプドライバ22を有するとして説明した。しかしながら、ポンプモジュール20はポンプドライバ22を有さず、別体で構成することも可能である。
【0045】
上記実施形態では、電源モジュール10は周波数変換部42と電圧変換部43とを含むとして説明した。しかしながら、電源モジュール10は周波数変換部42及び電圧変換部43のうちのいずれか一方を含むように構成することも可能である。
【0046】
上記実施形態では、電源モジュール10は、空調用電力供給部44を含んで構成されるとして説明した。しかしながら、電源モジュール10は、空調用電力供給部44を含まずに構成することも可能であるし、空調ユニット8とは異なる他の装置に電力供給を行う電力供給部を含んで構成することも可能である。
【0047】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したバッテリユニット1の概要について説明する。
【0048】
(1)バッテリユニット1は、車両2の走行用モータMに供給する電力が蓄電されている高圧バッテリ4の出力電圧の電圧値を、所定の電圧値の電圧に変換可能な電源モジュール10と、高圧バッテリ4と電源モジュール10とに亘って冷却流体を循環させるポンプ21を有するポンプモジュール20と、電源モジュール10とポンプモジュール20とを高圧バッテリ4と共に収容するハウジング30と、を備え、ハウジング30内において、高圧バッテリ4よりも車両2の進行方向前側Fにポンプモジュール20と電源モジュール10とが配置されている。
【0049】
本構成によれば、電源モジュール10とポンプモジュール20とを、高圧バッテリ4(バッテリ)と共にハウジング30に収容するので、バッテリユニット1を小型化することができる。更に、電源モジュール10とポンプモジュール20とを高圧バッテリ4と共にハウジング30に収容することで、電源モジュール10とポンプモジュール20と高圧バッテリ4との夫々を電気的に接続するハーネスの長さを短くできる。また、高圧バッテリ4よりも前側にポンプモジュール20と電源モジュール10とを配置しているため、空調ユニット8やラジエータ(不図示)など車両の前側に配置しなければならない機器に対して、冷却プレート40と接続するための配管長を短くできる。したがって、ハーネスにおける電力損失や配管長を低減でき、更にはバッテリユニット1のコストアップを抑制して小型化を図ることが可能となる。
【0050】
(2)(1)に記載のバッテリユニット1において、ポンプモジュール20は、ポンプ21を駆動するポンプドライバ22を更に有し、高圧バッテリ4から電源モジュール10に電力供給が行われる第1コネクタ51A及び高圧バッテリ4からポンプモジュール20に電力供給が行われる第2コネクタ51Bと、電源モジュール10と第1コネクタ51Aとを電気的に接続する第1電源ライン54Aに設けられる第1コンデンサ52A及びポンプモジュール20と第2コネクタ51Bとを電気的に接続する第2電源ライン54Bに設けられる第2コンデンサ52Bと、第1コンデンサ52Aの電荷を放電する第1放電部53A及び第2コンデンサ52Bの電荷を放電する第2放電部53Bと、の三組のうちの少なくともいずれか一組が互いに共有されていると好適である。
【0051】
本構成によれば、第1コネクタ51A及び第2コネクタ51Bと、第1コンデンサ52A及び第2コンデンサ52Bと、第1放電部53A及び第2放電部53Bと、の三組のうちの少なくともいずれか一組が互いに共有されるので、部品点数を削減できる。したがって、バッテリユニット1を更に小型化することができる。
【0052】
(3)(1)又は(2)に記載のバッテリユニット1において、電源モジュール10は、交流電力及び直流電力の一方を他方に変換する周波数変換部42と、入力された直流電圧の電圧値を、所定の電圧値の直流電圧に変換する電圧変換部43と、を含むと好適である。
【0053】
本構成によれば、バッテリユニット1に備えられる電源モジュール10が、高圧バッテリ4の充電時や、高圧バッテリ4に蓄えられた電力の利用時に用いることが可能な場合であっても、バッテリユニット1を小型化することができる。
【0054】
(4)(1)~(3)のいずれか1つに記載のバッテリユニット1において、電源モジュール10は、車室3の冷暖房を行う空調ユニット8に電力供給を行う空調用電力供給部44を更に含むと好適である。
【0055】
本構成によれば、空調用電力供給部44と高圧バッテリ4とを電気的に接続するハーネスの長さを短くできる。したがって、空調ユニット8を備えている車両2において、バッテリユニット1を小型化することができる。また、空調用電力供給部44と高圧バッテリ4とを電気的に接続するハーネスにおける電力損失を低減できると共に、コストアップを抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示に係る技術は、車両に搭載されるバッテリユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1:バッテリユニット、2:車両、3:車室、4:高圧バッテリ(バッテリ)、8:空調ユニット、10:電源モジュール、20:ポンプモジュール、21:ポンプ、22:ポンプドライバ、30:ハウジング、42:周波数変換部、43:電圧変換部、44:空調用電力供給部、51A:第1コネクタ、51B:第2コネクタ、52A:第1コンデンサ、52B:第2コンデンサ、53A:第1放電部、53B:第2放電部、54A:第1電源ライン、54B:第2電源ライン、F:進行方向前側、M:走行用モータ
図1
図2
図3
図4