(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098401
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/472 20060101AFI20250625BHJP
A61F 13/512 20060101ALI20250625BHJP
A61F 13/537 20060101ALI20250625BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
A61F13/472 200
A61F13/472 410
A61F13/512 200
A61F13/537 310
A61F13/475 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214506
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 知沙
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼阪 翔士
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA08
3B200BA16
3B200CA12
3B200DA02
3B200DA14
3B200DC05
3B200DC07
(57)【要約】
【課題】センターギャザーによる排泄口に対するフィット性をより向上できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、吸収材料を有する吸収体(30)と、吸収性物品の幅方向の中心である物品幅中心(1CW)を含む中央領域(R10)に配置され、着用者の肌に当接するトップシート(21)と、トップシートと吸収体の間に配置され、中央領域においてトップシートを肌側(T1)に隆起させるセンターギャザー(40)と、を備える。センターギャザーは、少なくとも前後方向に伸縮するセンター伸縮部材(42)を有する。センターギャザーは、物品幅中心に対する両側に位置する一対の第1接合部(45)においてトップシートに接合されているとともに、物品幅中心に対する両側に位置する一対の第2接合部(46)において吸収体に接合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、
吸収材料を有する吸収体と、
前記吸収性物品の前記幅方向の中心である物品幅中心を含む中央領域に配置され、着用者の肌に当接するトップシートと、
前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記中央領域において前記トップシートを肌側に隆起させるセンターギャザーと、を備える吸収性物品であって、
前記センターギャザーは、少なくとも前後方向に伸縮するセンター伸縮部材を有し、
前記センターギャザーは、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第1接合部において前記トップシートに接合されているとともに、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第2接合部において前記吸収体に接合されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記センター伸縮部材の少なくとも一部は、前記幅方向における一対の第1接合部の間の領域に配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記一対の第1接合部の間には、前記トップシートと前記センターギャザーが接合されていない非接合領域が設けられており、
前記センター伸縮部材の少なくとも一部は、前記非接合領域に重なっている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
防漏伸縮部材の収縮によって前記トップシートの外側部から肌側に起立する一対の防漏ギャザーを有し、
前記防漏ギャザーは、前記トップシートに接合された防漏接合部の側縁を基点として肌側に起立し、
前記防漏接合部の側縁は、前記第1接合部よりも前記幅方向の外側に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品の自然状態において、前記防漏ギャザーの肌側の頂点は、前記センターギャザーの肌側の頂点よりも肌側に位置する、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品の自然状態における前記吸収性物品の前後方向の中心における前記吸収性物品の幅方向の長さに対して前記吸収性物品の前後方向の中心における前記吸収性物品の幅方向の長さが70%となる押圧状態において、前記防漏ギャザーの肌側の頂点は、前記センターギャザーの肌側の頂点よりも肌側に位置する、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記防漏接合部の少なくともは、前記吸収体と厚さ方向に重なっている、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記前後方向において、前記防漏伸縮部材の外端縁は、前記センター伸縮部材の外端縁よりも外側に位置する、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1接合部は、前記トップシートと前記センターギャザーを厚さ方向に圧縮した圧搾部によって構成されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記圧搾部は、前記中央領域よりも前記幅方向の外側において前記前後方向に沿って配置されている、請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記センター伸縮部材は、前記吸収性物品の前後方向の中心に対して前側に偏倚して配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の幅方向の中心を含む領域においてトップシートを肌側に隆起させるセンターギャザーを有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性物品の幅方向の中心を含む領域においてトップシートを肌側に隆起させるセンターギャザーを有する吸収性物品が開示されている。センターギャザーは、少なくとも前後方向に伸縮するセンター伸縮部材を有する。センター伸縮部材の収縮によってセンターギャザーがトップシート側に膨らんで、トップシートを肌側に押圧し、吸収性物品の幅方向の中心を含む領域に対向して配置される排泄口に対するフィット性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
吸収性物品は、着用時に着用者の動きや姿勢によって種々の力を受け、変形する。例えば、着用者の脚によって吸収性物品が挟まれると、吸収性物品は、幅方向の外側から内側に向かう力を受ける。このとき、センターギャザーの隆起状態を維持できないと、排泄口に対するフィット性が低下し、体液の漏れが発生するおそれがある。特に、尿を吸収する吸収性物品においては、一度に多量の体液が排出されることがあり、排泄口に対するフィット性の低下によって漏れがより発生し易い。そのため、センターギャザーによって排泄口に対するフィット性を更に高めることが求められている。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、センターギャザーによる排泄口に対するフィット性をより向上できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様にかかる吸収性物品は、互いに直交する前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、吸収材料を有する吸収体と、前記吸収性物品の前記幅方向の中心である物品幅中心を含む中央領域に配置され、着用者の肌に当接するトップシートと、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記中央領域において前記トップシートを肌側に隆起させるセンターギャザーと、を備える。前記センターギャザーは、少なくとも前後方向に伸縮するセンター伸縮部材を有する。前記センターギャザーは、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第1接合部において前記トップシートに接合されているとともに、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第2接合部において前記吸収体に接合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、肌側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図2】
図2は、非肌側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すA-A線に沿った模式断面図である。
【
図4】
図4は、自然状態の吸収性物品の模式断面図である。
【
図5】
図5は、自然状態の吸収性物品の模式図である。
【
図6】
図6は、自然状態の吸収性物品の防漏ギャザーとセンターギャザーの高さを測定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1にかかる吸収性物品は、互いに直交する前後方向、幅方向、及び厚さ方向と、吸収材料を有する吸収体と、前記吸収性物品の前記幅方向の中心である物品幅中心を含む中央領域に配置され、着用者の肌に当接するトップシートと、前記トップシートと前記吸収体の間に配置され、前記中央領域において前記トップシートを肌側に隆起させるセンターギャザーと、を備える。前記センターギャザーは、少なくとも前後方向に伸縮するセンター伸縮部材と、を有する。前記センターギャザーは、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第1接合部において前記トップシートに接合されているとともに、前記物品幅中心に対する両側に位置する一対の第2接合部において前記吸収体に接合されている。本態様によれば、センターギャザーは、中央領域においてトップシートと吸収体の間に配置されている。センターギャザーは、一対の第2接合部において吸収体に接合されており、一対の第2接合部間には、センター伸縮部材の収縮によって吸収体側からトップシート側に隆起可能な領域が設けられる。センターギャザーが少なくとも当該領域において吸収体に対して肌側に隆起することで、トップシートが肌側に押圧される。トップシートは、センターギャザーによって肌側に押圧されることで排泄口に対するフィット性を向上でき、体液の引き込み性を向上できる。よって、センターギャザーによる排泄口に対するフィット性をより向上でき、多量の体液が排出された場合であっても、体液を引き込んで漏れを抑制できる。センターギャザーは、一対の第1接合部を介してトップシートを接合されている。第1接合部は、物品幅中心の両側に位置し、互いに幅方向に間隔を空けて配置されている。幅方向に離間した一対の第1接合部が設けられているため、例えば、吸収性物品が幅方向の外側から内側に押圧された際に、一対の第1接合部のうち一方の第1接合部が押圧されても、他方の第1接合部が基点となって元に戻りやすく、センターギャザーの隆起状態を維持し易くなる。また、幅方向に離間した一対の第1接合部が設けられているため、例えば、吸収性物品が体圧によって肌側から非肌側に押圧されても、両側の第1接合部が支えとなって元に戻りやすく、センターギャザー及びトップシートが肌側に隆起した状態を維持し易くなる。よって、センターギャザーによる排泄口に対するフィット性をより向上できる。
【0009】
好ましい形態によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記センター伸縮部材の少なくとも一部は、前記幅方向における一対の第1接合部の間の領域に配置されている。本態様によれば、センター伸縮部材よりも幅方向の外側に第1接合部が配置されており、体圧等によってセンター伸縮部材が押圧された際に、センター伸縮部材によって肌側に隆起する領域を第1接合部によって支持し、センターギャザー及びトップシートが肌側に隆起した状態を維持し易くなる。よって、センターギャザーによる排泄口に対するフィット性をより向上できる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記一対の第1接合部の間には、前記トップシートと前記センターギャザーが接合されていない非接合領域が設けられている。前記センター伸縮部材の少なくとも一部は、前記非接合領域に重なっている、本態様によれば、一対の第1接合部間に設けられた非接合領域において、トップシートとセンターギャザーとの間に空間を形成でき、多量の体液が排出された際に当該空間内に一時的に体液を貯留できる。また、非接合領域に重なったセンター伸縮部材が収縮することで、トップシートがより肌側に隆起し易くなるとともに、当該非接合領域においてトップシートとセンターギャザーの空間をより維持し易くなる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。防漏伸縮部材の収縮によって前記トップシートの外側部から肌側に起立する一対の防漏ギャザーを有する。前記防漏ギャザーは、前記トップシートに接合された防漏接合部の側縁を基点として肌側に起立する。前記防漏接合部の側縁は、前記第1接合部よりも前記幅方向の外側に配置されている。本態様によれば、防漏ギャザーは、センターギャザーの第1接合部よりも幅方向の外側に位置する防漏接合部を基点として肌側に起立する。そのため、センターギャザーを超えて幅方向の外側に体液が拡散した際に、防漏ギャザーによって体液の横漏れを抑制できる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の自然状態において、前記防漏ギャザーの肌側の頂点は、前記センターギャザーの肌側の頂点よりも肌側に位置する。本態様によれば、吸収性物品の自然状態において、防漏ギャザーの肌側の頂点までの高さがセンターギャザーの肌側の頂点よりも高いため、多量の体液が排出されてトップシートの肌側の面を伝って体液が流れても、当該体液を防漏ギャザーによって堰き止めることができる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様4又は態様5に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の自然状態における前記吸収性物品の前後方向の中心における前記吸収性物品の幅方向の長さに対して前記吸収性物品の前後方向の中心における前記吸収性物品の幅方向の長さが70%となる押圧状態において、前記防漏ギャザーの肌側の頂点は、前記センターギャザーの肌側の頂点よりも肌側に位置する。本態様によれば、吸収性物品は、着用時に脚によって押圧され、その形状が変化する。当該押圧状態において、防漏ギャザーの頂点がセンターギャザーの頂点よりも肌側に位置するため、多量の体液が排出されてトップシートの肌側の面を伝って体液が流れても、当該体液を防漏ギャザーによって堰き止めることができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様4から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記防漏接合部の少なくともは、前記吸収体と厚さ方向に重なっている。防漏接合部は、吸収体と重なっており、その位置が安定しやすい。防漏ギャザーの基点が安定するため、例えば、脚等によって吸収性物品によって押圧された場合であっても、吸収性物品が防漏ギャザーの起立する高さを確保し、防漏ギャザーによる横漏れ抑制効果を持続できる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様4から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記前後方向において、前記防漏伸縮部材の外端縁は、前記センター伸縮部材の外端縁よりも外側に位置する。本態様によれば、センターギャザーは、防漏ギャザーよりも前後方向の狭い範囲で局所的に肌側に隆起し、排泄口に対してフィットする。また、防漏ギャザーは、センターギャザーよりも前後方向の広い範囲で肌側に隆起し、吸収性物品の全体に亘って横漏れを抑制できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1接合部は、前記トップシートと前記センターギャザーを厚さ方向に圧縮した圧搾部によって構成されている。本態様によれば、第1接合部が圧搾部を有することにより、第1接合部の位置が安定しやすい。よって、センターギャザー及びトップシートが肌側に隆起した状態を維持し易くなる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様9に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記圧搾部は、前記中央領域よりも前記幅方向の外側において前記前後方向に沿って配置されている。吸収性物品が幅方向の外側から内側に押圧されると、当該力は、圧搾部に伝わり、圧搾部を介して幅方向の内側に押圧される。当該圧搾部は、中央領域よりも幅方向の外側に位置し、圧搾部を介して中央領域が幅方向の内側に向かう力を受ける。当該力を受けることで、センターギャザーが安定して凸形状に変形する。凸形状に変形することで、どのような姿勢でも股間部にフィットし続け、隙間を作らず、漏れを防ぎ易い。また、センターギャザーから幅方向の外側に流れた体液は、圧搾部を介して前後方向に拡散する。吸収性物品の前後方向の広い範囲で体液を拡散して吸収するため、トップシート上の体液の伝い漏れを抑制できる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記センター伸縮部材は、前記吸収性物品の前後方向の中心に対して前側に偏倚して配置されている。一般的に、排尿口は、吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に対向して配置される。本態様によれば、センター伸縮部材による肌側の隆起部分が前側に偏倚して形成され、排尿口に対するフィット性を向上できる。
【0019】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。吸収性物品1は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品1は、下着のような着用物品に装着されて使用される物品であってよい。実施の形態の吸収性物品1は、軽失禁パッドである。
【0020】
図1は、肌側T1から見た吸収性物品1の模式平面図である。
図2は、非肌側T2から見た吸収性物品1の模式平面図である。
図3は、
図1に示すA-A線に沿った吸収性物品1の模式断面図である。
図3においては、説明の便宜上、吸収性物品1を構成する各部材が部分的に厚さ方向に離間しているが、実際の製品においては、各部材が接合された部分を有する。
図1から
図3は、伸長状態の吸収性物品1を示している。また、
図4は、
図3の断面を基準した断面における自然状態における吸収性物品1を示した図である。
図5は、自然状態における吸収性物品1を肌側T1かつ正面側から視認した示した状態を模式的に示した図である。ここで、「伸長状態」とは、吸収性物品の皺が視認できなくなる程度まで、吸収性物品が備える伸縮部材を伸長させた状態を示す。これに対して、「自然状態」とは、吸収性物品1を着用物品Sに装着したときの状態であり、後述にて詳細に説明する。
【0021】
ここで、「肌側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、互いに直交する前後方向Lと幅方向Wを有し、かつ着用者の肌側T1から非肌側T2へ延びる厚さ方向Tを有する。吸収性物品1の前後方向Lにおいて、使用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、使用者の臀部に当接する側を「後側」という。吸収性物品1は、股下域S3、前側域S1及び後側域S2を有する。吸収性物品の外側縁又は吸収コアの外側縁が幅方向に内側に括れた部分を有する形態にあっては、当該括れた部分が設けられた領域が股下域を構成してよい。または、股下域S3、前側域S1及び後側域S2は、吸収性物品1を前後方向Lに三等分した領域によって構成されてよい。股下域S3は、着用者の排泄口、例えば排尿口に対向する領域である。吸収性物品1が下着に装着されたときに、股下域S3は下着の股下部に配置され、着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S1は、股下域S3よりも前側に位置する。後側域S2は、股下域S3よりも後方に位置する。
【0022】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側縁である。なお、前後方向Lに一定の範囲を占める構成部材の外側縁は、当該構成部材において幅方向Wの外側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。なお、前後方向Lに一定の範囲を占める構成部材の内側縁は、当該構成部材において幅方向Wの内側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。また、内側辺は、内側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。外側辺は、外側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
【0023】
吸収性物品1は、吸収体30と、トップシート21と、バックシート25と、センターギャザー40と、を少なくとも有してよい。吸収体30は、吸収材料を有する。吸収材料は、例えば、親水性繊維、セルロース系繊維(例えば、パルプ)及び高吸水性高分子(SAP)を例示できる。吸収体30は、高吸収性ポリマーの肌側T1と非肌側T2をシートによって覆った吸収シート(所謂SAPシート)を有してもよいし、パルプが積層された吸収コア31を有してもよい。吸収コア31は、ティッシュ等のコアラップ32によって覆われてよい。本実施の形態の吸収体は、パルプと高吸収性ポリマーを有する吸収コア31と、吸収コアを覆うコアラップ32と、を有している。
【0024】
トップシート21は、吸収体30の肌側T1を覆っている。トップシート21は、吸収性物品1の幅方向Wの中心である物品幅中心1CWを含む中央領域R10に配置され、着用者の肌に当接する。トップシート21は、液透過性を有し、不織布によって構成されてよい。トップシート21は、少なくとも中央領域R10に配置されていればよく、吸収体30の一部の領域(例えば、幅方向の中央)を覆ってもよいし、吸収体30の幅方向Wの全域を覆っていてもよい。
【0025】
バックシート25は、吸収体30よりも非肌側T2に配置され、吸収性物品1の非肌側T2の面を構成する。バックシート25は、液不透過性を有し、フィルムによって構成されてよい。バックシート25の非肌側T2の面には、吸収性物品1を着用物品Sに止着する止着部60が設けられよい。止着部60は、吸収体30と重なる領域に少なくとも設けられてよい。止着部60には、粘着剤、又はメカニカルフックが設けられてよい。本実施の形態の止着部60は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されており、吸収性物品の幅方向Wの中心を挟んだ両側のそれぞれに3本ずつ配置されている。変形例において、止着部は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて配置されてよい。止着部60は、吸収性物品1の使用前に剥離シート65、又は吸収性物品を個別に包装する包装シート(図示せず)によって覆われてよい。
【0026】
センターギャザー40は、トップシート21と吸収体30の間に配置され、中央領域R10においてトップシート21を肌側T1に隆起させる。センターギャザー40は、少なくとも前後方向Lに伸縮するセンター伸縮部材42を有する。センター伸縮部材42は、センターシート41に伸長状態で接合されてよい。センター伸縮部材42の収縮によってセンターシート41とセンター伸縮部材42が肌側T1に隆起し、トップシート21は、非肌側T2から肌側T1に隆起する。
【0027】
センターシート41は、液透過性を有し、不織布によって構成されてよい。センターシート41は、前後方向Lに延びるセンター折り目を基点に折り畳まれてよい。より詳細には、
図3に示すように、センターシート41は、物品幅中心1CWの両側に位置する一対の第1センター折り目FL41によって、センターシート41の非肌側の面同士が向き合うように(山折りで)折り畳まれる。第1センター折り目FL41によって折り畳まれた部分は、一対の第2センター折り目FL42によって、センターシート41の肌側T1の面同士が向き合うように(谷折りで)折り畳まれている。第1センター折り目FL41及び第2センター折り目FL42によって折り畳まれた状態で、第1センター折り目FL41は、第2センター折り目FL42よりも幅方向Wの外側に位置する。一対の第2センター折り目FL42は、幅方向Wに離間している。
【0028】
センター伸縮部材42は、一対の第1センター折り目FL41によって挟まれた領域においてセンターシート41に接合されている。一対の第1センター折り目FL41によって挟まれた領域の肌側T1の面は、トップシート21に当接している。一対の第1センター折り目FL41によって挟まれた領域(一対の第1センター折り目FL41によって挟まれた領域)は、トップシート21を肌側T1に押圧する天面部を構成する。センターシート41において、第2センター折り目FL42よりも幅方向Wの外側の領域における非肌側の面の一部は、吸収体30に対して接合されている(後述する第2接合部)。当該センターシート41において吸収体30に対して接合された部分は、センターギャザー40の隆起する基点となる基点部を構成する。センターシート41において、基点部と天面部との間は、着用時に身体に向かう方向に立ち上がる起立部を構成する。
【0029】
センター伸縮部材42は、前後方向Lに伸縮可能な部材であればよい。センター伸縮部材42は、糸ゴムによって構成されてよい。本実施の形態のセンター伸縮部材42は、糸ゴムによって構成されており、物品幅中心1CWを挟んだ両側に4本ずつ配置されている。糸ゴムによるセンター伸縮部材42によれば、当該糸ゴムが配置された部分を局所的に肌側T1に隆起させ、意図した領域のみを身体に対してフィットさせ易い。または、センター伸縮部材42は、シート状の伸縮シートによって構成されてよい。伸縮シートによるセンター伸縮部材42によれば、一定の範囲に亘って面状で隆起させ、身体に対して面でフィットさせ易い。センター伸縮部材42は、物品幅中心1CWに配置されていてもよいし、本実施の形態のように、物品幅中心1CWに配置されずに物品幅中心1CWの両側に配置されてよい。
【0030】
ここで、本実施の形態における「中央領域」は、センターギャザー40によってトップシート21が肌側T1に隆起される領域である。中央領域R10は、センター伸縮部材42が配置された領域であってよい。センター伸縮部材42が複数の弾性部材(例えば、糸ゴム)によって構成された形態にあっては、最も幅方向Wの外側に位置する弾性部材によって挟まれた領域が中央領域R10を構成してよい。また、センター伸縮部材42が伸縮シートによって構成された形態にあっては、伸縮シートが配置された領域が中央領域R10を構成してよい。また、本実施の形態のように、センターシート41がセンター折り目を基点に折り畳まれた形態にあっては、第1センター折り目FL41によって挟まれた天面部が中央領域R10を構成してよい。中央領域R10は、物品幅中心1CWを跨がっており、センターギャザー40が肌側T1に隆起することで、トップシート21が排泄口にフィットし、排泄口からの体液を迅速にトップシート21側に引き込むことができる。
【0031】
吸収性物品1は、防漏伸縮部材72の収縮によってトップシート21の外側部から肌側T1に起立する一対の防漏ギャザー70を有してよい。防漏ギャザー70は、トップシート21に接合された防漏接合部75の側縁751を基点として肌側T1に起立する。防漏ギャザー70は、物品幅中心1CWの両側にそれぞれ配置されてよい。防漏ギャザー70は、防漏接合部75においてトップシート21に接合されている。防漏ギャザー70は、防漏接合部75の側縁751(本実施の形態では、内側縁)を基点として肌側T1に起立する収縮部73を有する。防漏伸縮部材72は、収縮部73に配置されている。
【0032】
本実施の形態の防漏ギャザー70は、前後方向Lに伸縮する防漏伸縮部材72と、防漏伸縮部材72が接合されたサイドシート71と、を有する。サイドシート71は、疎水性の(疎水処理が施された)不織布によって構成されてよい。防漏伸縮部材72は、糸ゴムによって構成されてよい。なお、防漏伸縮部材72は、伸縮可能にサイドシート71に接合された部分であり、伸縮しない状態でサイドシート71に接合された部分及びにサイドシート71に接合されていない部分を含んでいない。
【0033】
図3及び
図4に示すように、サイドシート71は、防漏ギャザー70の肌側の頂点70Tに位置する第1サイド折り目FL71を基点として折り畳まれて2層に積層されている。2層のサイドシート71間に防漏伸縮部材72が配置されている。2層のサイドシート71は、第1サイド折り目FL71よりも幅方向Wの内側に位置する第2サイド折り目FL72によって折り畳まれている。
【0034】
第2サイド折り目FL72によって折り畳まれた領域の非肌側T2の面は、防漏接合部75によってトップシート21に接合されている。防漏接合部75は、接着剤によって構成されてよい。防漏接合部75は、サイドシート71の外側部に配置されている。防漏接合部75の内側縁751は、収縮部73の基点を構成する。収縮部73の頂点は、第1サイド折り目FL71であり、防漏ギャザー70の肌側の頂点70Tとなる。防漏伸縮部材72は、第1サイド折り目FL71と収縮部73の基点(防漏接合部75の側縁751)との間に3本ずつ配置されている。防漏ギャザー70は、防漏接合部の側縁を基点として肌側T1に起立する。なお、本実施の形態の防漏ギャザー70は、第2サイド折り目FL72を基点にサイドシート71が折り畳まれており、収縮部73の頂点(防漏ギャザー70の肌側の頂点)は、幅方向Wの外側に向かって起立しているが、他の形態において、収縮部73の頂点は、幅方向Wの内側に向かって起立していてもよい。
【0035】
吸収性物品1には、少なくともトップシート21とセンターギャザー40を厚さ方向Tに圧縮した圧搾部80を有してよい。圧搾部80は、トップシート21とセンターギャザー40と共に吸収体30を圧縮し、トップシート21、センターギャザー40及び吸収体30に跨がって形成されていてよい。本実施の形態の圧搾部80は、トップシート21、センターギャザー40を構成するセンターシート41及び吸収体30を厚さ方向に圧縮して形成されている。圧搾部80は、物品幅中心1CWを挟んだ両側にそれぞれ配置されてよい。圧搾部80は、後述する第1接合部45を構成してよい。
【0036】
本実施の形態の吸収性物品1は、センターギャザー40による排泄口に対するフィット性をより向上できるように構成されている。次いで、センターギャザー40による排泄口に対するフィット性をより向上させるための構成について詳細に説明する。センターギャザー40は、物品幅中心1CWに対する両側に位置する一対の第1接合部45においてトップシート21に接合され、物品幅中心1CWに対する両側に位置する一対の第2接合部46において吸収体30に接合されている。第1接合部45は、幅方向Wに離間しており、物品幅中心1CWを挟んだ両側にそれぞれ配置されている。同様に、第2接合部46は、幅方向Wに離間しており、物品幅中心1CWを挟んだ両側にそれぞれ配置されている。
【0037】
センターギャザー40は、中央領域R10においてトップシート21と吸収体30の間に配置されている。センターギャザー40は、一対の第2接合部46において吸収体30に接合されており、一対の第2接合部46間には、センター伸縮部材42の収縮によって吸収体30側からトップシート21側に隆起可能な領域が設けられる。センターギャザー40が少なくとも当該領域において吸収体30に対して肌側T1に隆起することで、トップシート21が肌側T1に押圧される。トップシート21は、センターギャザー40によって肌側T1に押圧されることで排泄口に対するフィット性を向上でき、体液の引き込み性を向上できる。よって、多量の体液が排出された場合であっても、体液を引き込んで漏れを抑制できる。また、センターギャザー40が第2接合部46を介して吸収体30に接合されているため、センターギャザー40の基点が安定し易く、センターギャザー40の隆起状態を維持しやすい。好適には、第2接合部46は、吸収コア31に重なって配置されてよい。センターギャザー40の基点がより安定し易く、センターギャザー40の隆起状態を維持しやすい。
【0038】
センターギャザー40は、一対の第1接合部45を介してトップシート21に接合されている。第1接合部45は、物品幅中心1CWの両側に位置し、互いに幅方向Wに間隔を空けて配置されている。幅方向Wに離間して一対の第1接合部45が設けられているため、例えば、吸収性物品1が幅方向Wの外側から内側に押圧された際に、一対の第1接合部45のうち一方の第1接合部45が押圧されても、他方の第1接合部45が基点となって元に戻りやすく、センターギャザー40の隆起状態を維持し易くなる。また、幅方向Wに離間した一対の第1接合部45が設けられているため、例えば、吸収性物品1が体圧によって肌側T1から非肌側T2に押圧されても、両側の第1接合部45が支えとなって天面部が元に戻りやすく、センターギャザー40及びトップシート21が肌側に隆起した状態を維持し易くなる。
【0039】
第2接合部46の外側縁は、第1接合部45の外側縁よりも幅方向Wの外側に位置してよい。第2接合部46の少なくとも一部が第1接合部45よりも幅方向Wの外側に位置しているため、幅方向Wの外側から内側に向かってセンターギャザー40が肌側T1に起立し易く、排泄口に対するフィット性を高めることができる。第1接合部45の少なくとも一部は、第2接合部46に重なっていてよい。第1接合部45による基点と、第2接合部46による基点と、が重なって配置され、センターギャザー40が段階的に肌側T1に隆起し、センターギャザー40の隆起状態における高さを確保し易くなる。よって、排泄口に対するフィット性をより高めることができる。
【0040】
センター伸縮部材42の少なくとも一部は、幅方向Wにおける一対の第1接合部45の間の領域に配置されてよい。センター伸縮部材42よりも幅方向Wの外側に第1接合部45が配置されており、体圧等によってセンターギャザー40が押圧された際に、肌側T1に隆起する領域を第1接合部45によって支持し、センターギャザー40及びトップシート21が肌側T1に隆起した状態を維持し易くなる。よって、センターギャザー40による排泄口に対するフィット性をより向上できる。
【0041】
また、センター伸縮部材42の少なくとも一部は、幅方向Wにおける一対の第2接合部46の間の領域に配置されてよい。センター伸縮部材42よりも幅方向Wの外側に第2接合部46が配置されており、体圧等によってセンターギャザー40が押圧された際に、肌側T1に隆起する領域を第2接合部46によって支持し、センターギャザー40及びトップシート21が肌側T1に隆起した状態を維持し易くなる。よって、センターギャザー40による排泄口に対するフィット性をより向上できる。
【0042】
第2接合部46の内側縁は、第1接合部45の内側縁よりも幅方向Wの内側に位置してもよい。第2接合部46が幅方向Wにおいて第1接合部45を跨いで配置されていることにより、第1接合部45の位置がずれ難くなる。よって、センターギャザー40の基点が安定し、センターギャザー40及びトップシート21が肌側T1に隆起した状態を維持し易くなる。また、変形例において、第2接合部46の内側縁は、第1接合部45の内側縁よりも幅方向Wの外側に位置してもよい。センターギャザー40が第2接合部46を基点として隆起する領域の幅方向の範囲を広く形成でき、センターギャザー40と吸収体30との空間による体液の貯留空間を広く設けることができる。
【0043】
センターシート41が第1センター折り目FL41及び第2センター折り目FL42によって折り畳まれた形態にあっては、第1接合部45及び第2接合部46は、第2センター折り目FL42よりも幅方向Wの外側に位置してよい。また、センターシート41が第1センター折り目FL41及び第2センター折り目FL42によって折り畳まれていない形態にあっては、第1接合部45及び第2接合部46は、センター伸縮部材42よりも幅方向Wの外側に配置されよい。
【0044】
センターギャザー40の前後方向Lの範囲は、少なくとも吸収体30と重なって配置されていてよく、好適には、吸収体30の前後方向Lの全域に配置されてよい。本実施の形態では、センターシート41は、吸収性物品1の前後方向Lの全域に配置されており、センター伸縮部材42(センター伸縮部材を構成する弾性部材が伸縮可能にセンターシートに接合された部分)は、吸収体30の前端縁よりも後側、かつ吸収体30の後端縁よりも前側に配置されている。なお、センター伸縮部材42は、伸縮可能にセンターシート41に接合された部分であり、伸縮しない状態でセンターシート41に接合された部分及びセンターシート41に接合されていない部分を含んでいない。
【0045】
センター伸縮部材42は、吸収性物品1の前後方向Lの中心に対して前側に偏倚して配置されてよい。排泄口は、一般的に吸収性物品の前後方向の中心よりも前側の部分に対向して配置される。そのため、センター伸縮部材42によって隆起した部分を、排泄口にフィットさせ易くなる。また、センター伸縮部材42は、股下域S3の前後方向Lの中心に対して前側に偏倚して配置されてよい。当該構成によれば、股下域の前後方向の中心よりも前側の領域に対向して配置される排泄口に対するフィット性を向上できる。
【0046】
一対の第1接合部45の間には、トップシート21とセンターギャザー40が接合されていない非接合領域NR(
図4参照)が設けられてよい。センター伸縮部材42の少なくとも一部は、非接合領域NRに重なっててよい。
図4に示すように、一対の第1接合部45間に設けられた非接合領域NRにおいて、トップシート21とセンターギャザー40との間に空間Gを形成でき、多量の体液が排出された際に空間G内に一時的に体液を貯留できる。また、非接合領域NRに重なったセンター伸縮部材42が収縮することで、トップシート21がより肌側T1に隆起し易くなるとともに、当該非接合領域NRにおいてトップシート21とセンターギャザー40の空間Gをより維持し易くなる。
【0047】
なお、非接合領域NRは、一対の第1接合部45によって挟まれた領域の全域に設けられていてもよいし、一対の第1接合部45によって挟まれた領域の一部に設けられていてもよい。本実施の形態は、一対の第1接合部45によって挟まれた領域には、トップシート21とセンターシート41を接合する第3接合部47が設けられている。第3接合部47は、物品幅中心1CWを跨いで配置されている。よって、非接合領域NRは、第3接合部47の外側縁と、第1接合部45の内側縁と、によって挟まれた領域に設けられている。非接合領域NRは、幅方向Wにおいて第3接合部47を挟んだ両側に配置されている。
【0048】
第1接合部45及び第2接合部46は、部材同士を厚さ方向Tに圧縮した圧搾部によって構成されていてもよいし、部材同士を接着する接着剤によって構成されていてもよい。また、第1接合部45及び第2接合部46は、接着剤によって接着した部分と、圧搾部によって接合された部分と、を有していてもよい。本実施の形態の第1接合部45は、センターシート41の肌側T1の面とトップシート21の肌側T1の面とを接着した部分と、圧搾部80と、を含んでいる。本実施の形態の第2接合部46は、センターシート41の非肌側T2の面と吸収体30の肌側T1の面を接着した部分と、圧搾部80と、を含んでいる。
【0049】
好適には、第1接合部45は、圧搾部80によって構成されてよい。第1接合部45が圧搾部80を有することにより、第1接合部45の位置が安定しやすい。よって、センターギャザー40及びトップシート21が肌側T1に隆起した状態を維持し易くなる。また、同様に、第2接合部46も圧搾部80によって構成されてよい。第2接合部46が圧搾部80を有することにより、第2接合部46の位置も安定しやすくなる。
【0050】
圧搾部80は、中央領域R10よりも幅方向Wの外側において前後方向Lに沿って配置されてよい。吸収性物品1が幅方向Wの外側から内側に押圧されると、当該力は、圧搾部80に伝わり、圧搾部80を介して幅方向Wの内側に押圧される。圧搾部80は、中央領域R10よりも幅方向Wの外側に位置し、圧搾部80を介して中央領域R10が幅方向の内側に向かう力を受ける。当該力を受けることで、センターギャザー40が安定して凸形状に変形し易くなる。凸形状に変形することで、どのような姿勢でも股間部にフィットし続け、隙間を作らず、漏れを防ぎ易い。また、センターギャザー40から幅方向Wの外側に流れた体液は、圧搾部80を介して前後方向Lに拡散する。吸収性物品1の前後方向Lの広い範囲で体液を拡散して吸収するため、トップシート21上の体液の伝い漏れを抑制できる。
【0051】
防漏接合部75の側縁751は、第1接合部45よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。本態様によれば、防漏ギャザー70は、センターギャザー40の第1接合部45よりも幅方向Wの外側に位置する防漏接合部75を基点として肌側T1に起立する。そのため、センターギャザー40を超えて幅方向Wの外側に体液が拡散した際に、防漏ギャザー70によって体液の横漏れを抑制できる。なお、防漏接合部75の側縁751は、自然状態の吸収性物品において、第1接合部45よりも幅方向Wの外側に配置されていればよい。
【0052】
防漏接合部75の少なくとも一部は、第2接合部46よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。本態様によれば、防漏ギャザー70は、センターギャザー40の第2接合部46よりも幅方向Wの外側に位置する防漏接合部75を基点として肌側に起立する。そのため、センターギャザー40を超えて幅方向の外側に体液が拡散した際に、防漏ギャザーによって体液の横漏れを抑制できる。なお、防漏接合部75の側縁751は、自然状態の吸収性物品において、第2接合部46よりも幅方向の外側に配置されていればよい。
【0053】
防漏接合部75の少なくともは、吸収体30と厚さ方向に重なってよい。防漏接合部75は、吸収体と重なっており、その位置が安定しやすい。防漏ギャザー70の基点が安定するため、例えば、脚等によって吸収性物品によって押圧された場合であっても、吸収性物品1が防漏ギャザー70の起立する高さを確保し、防漏ギャザー70による横漏れ抑制効果を持続できる。なお、防漏接合部75は、自然状態の吸収性物品において、吸収体30に重なってよい。また、好適には、防漏接合部75の少なくともは、吸収コア31と厚さ方向に重なってよい。防漏ギャザー70の基点がより安定し易くなる。
【0054】
前後方向Lにおいて、防漏伸縮部材72の外端縁は、センター伸縮部材42の外端縁よりも外側に位置してよい。防漏伸縮部材72の前端縁がセンター伸縮部材42の前端縁よりも前側に位置してもよいし、防漏伸縮部材72の後端縁がセンター伸縮部材42の後端縁よりも後側に位置してもよい。本態様によれば、センターギャザー40は、防漏ギャザー70よりも前後方向の狭い範囲で局所的に肌側に隆起し、排泄口に対してフィットする。また、防漏ギャザーは、センターギャザーよりも前後方向の広い範囲で肌側に隆起し、吸収性物品の全体に亘って横漏れを抑制できる。本実施の形態においては、防漏伸縮部材72の前端縁がセンター伸縮部材42の前端縁よりも前側に位置し、かつ防漏伸縮部材72の後端縁がセンター伸縮部材42の後端縁よりも後側に位置している。
【0055】
吸収性物品の自然状態において、防漏ギャザー70の肌側の頂点70Tは、センターギャザー40の肌側の頂点40Tよりも肌側T1に位置してよい。本態様によれば、吸収性物品1の自然状態において、防漏ギャザー70の肌側の頂点70Tまでの高さがセンターギャザーの肌側の頂点40Tよりも高いため、多量の体液が排出されてトップシート21の肌側T1の面を伝って体液が流れても、当該体液を防漏ギャザー70によって堰き止めることができる。
【0056】
なお、自然状態の高さの測定に関しては、以下の方法によって測定できる。
図6は、測定方法を説明するための図であり、
図6(a)は、治具201の軸方向Aの側方から見た図であり、
図6(b)は、治具201の上方から見た図である。まず、
図6(a)に示すように、直径200mmの紙管を軸方向Aに延びる断面に沿って半分に切断したカーブ状の治具201を用意し、治具201の頂点を平板202に固定する。治具201の軸方向Aの長さは、女性の股間幅目安としており、30mmとする。吸収性物品1の止着部60の幅方向の長さと同等のショーツ生地(ナイロン、かなきん等)205を、治具201の円弧の端縁同士を跨がるように固定する。このとき、ショーツ生地205の中心部は、治具201の内面に沿っているが、治具201に固定されていない状態である。次いで、パッケージから吸収性物品1を取り出し、治具201上のショーツ生地205に、吸収性物品1の前後方向Lの中心が固定部206と重なるように位置を合わせて止着し、吸収性物品1が治具201の内面に沿ってカーブした状態を作る。当該状態は、吸収性物品1が着用物品Sに着用された状態を模式的に示しており、本実施の形態の自然状態とする。平板202と治具201の固定部206を基準として、防漏ギャザー70の頂点70Tまでの高さと、センターギャザー40の頂点40Tまでの高さと、を比較し、高い方が肌側T1に位置すると判断する。
【0057】
吸収性物品1の自然状態における吸収性物品1の前後方向Lの中心における吸収性物品の幅方向の長さに対して吸収性物品1の前後方向の中心における吸収性物品1の幅方向の長さが70%となる押圧状態において、防漏ギャザー70の肌側T1の頂点70Tは、センターギャザー40の肌側T1の頂点40Tよりも肌側T1に位置してよい。吸収性物品1は、着用時に脚によって押圧され、その形状が変化する。当該押圧状態において、防漏ギャザー70の頂点70Tがセンターギャザー40の頂点40Tよりも肌側T1に位置するため、多量の体液が排出され、トップシート21の肌側T1の面を伝って体液が流れても、当該体液を防漏ギャザー70によって堰き止めることができる。
【0058】
吸収性物品1の自然状態における吸収性物品1の前後方向Lの中心における吸収性物品の幅方向の長さに対して吸収性物品の前後方向の中心における吸収性物品の幅方向の長さが70%となる押圧状態は、治具201に対して吸収性物品1を止着した状態を自然状態とし、当該自然状態における吸収性物品1の前後方向Lの中心における吸収性物品1の幅方向の長さを100とした際に、吸収性物品の前後方向の中心における吸収性物品の幅方向の長さが70となるように押圧した状態である。当該押圧は、
図6(c)に示すように、押圧治具203を用いて吸収性物品1の両側から力を加える。押圧治具203は、吸収性物品1の剛性よりも高い剛性を有する円筒形状であってよい。円筒の軸方向が吸収性物品1の厚さ方向に沿い、円筒の外面の円弧部分が吸収性物品1の幅方向Wの外側縁に当たるように配置する(すなわち、吸収性物品1を平面視にて視認した際に、円筒の丸い外形を視認できるように配置する)。円筒の直径は、吸収性物品1の前後方向Lの長さよりも短いことが好ましく、例えば、直径120mmの円筒を用いてよい。押圧治具203は、吸収性物品1を挟んで、幅方向Wの距離が30cmとなるように間隔を空けて配置する。左右の円筒の前後方向Lの位置は、同じ位置となるように、また、円筒の外面の円弧部分の頂点203T(最も吸収性物品側の点)が、吸収性物品1の前後方向の中央に当たるように配置する。吸収性物品側の各押圧治具の頂点203Tが、吸収性物品の両側の外側縁に同時に当たるように、押圧治具203をそれぞれ幅方向Wの内側に移動する。押圧治具203を、吸収性物品の幅方向の長さが70となる位置まで移動する。
【0059】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 :吸収性物品
1CW :物品幅中心
21 :トップシート
30 :吸収体
40 :センターギャザー
40T :頂点
42 :センター伸縮部材
45 :第1接合部
46 :第2接合部
70 :防漏ギャザー
70T :頂点
72 :防漏伸縮部材
75 :防漏接合部
80 :圧搾部
L :前後方向
NR :非接合領域
R10 :中央領域
T :厚さ方向
W :幅方向