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特開2025-98541ロール状衛生用紙の製造方法および治具
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  • 特開-ロール状衛生用紙の製造方法および治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098541
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】ロール状衛生用紙の製造方法および治具
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20250625BHJP
【FI】
A47K10/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214749
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA09
2D135AB02
2D135AB06
2D135AB13
2D135CA00
2D135DA13
(57)【要約】
【課題】ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法について正確に測定し簡易に検査する。
【解決手段】本発明は、ロール状衛生用紙3の製造方法であって、治具35によって、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査する検査工程を有し、治具35は、平坦な基礎面F0を上部に有する台350と、基礎面F0と対向しており平行である第1平面F1を下部に有する第1平板351と、第1平板351と並置され、基礎面F0と対向しており平行である第2平面F2を下部に有する第2平板352と、基礎面F0と第1平面F1との間に第1間隙G1が形成されるように台350と第1平板351とを接続する第1接続部材361と、基礎面F0と第2平面F2との間に第1間隙G1よりも大きい第2間隙G2が形成されるように台350と第2平板352とを接続する第2接続部材362とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状衛生用紙の製造方法であって、
治具によって、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査する検査工程を有し、
前記治具は、
平坦な基礎面を上部に有する台と、
前記基礎面と対向しており平行である第1平面を下部に有する第1平板と、
前記第1平板と並置され、前記基礎面と対向しており平行である第2平面を下部に有する第2平板と、
前記基礎面と前記第1平面との間に第1間隙が形成されるように前記台と前記第1平板とを接続する第1接続部材と、
前記基礎面と前記第2平面との間に前記第1間隙よりも大きい第2間隙が形成されるように前記台と前記第2平板とを接続する第2接続部材と
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
搬送中の前記ロール状衛生用紙の複数のペーパーログをそれぞれ、切断ブレードを回転させながらカットするカット工程を含み、
前記検査工程は、前記カットされたロール状衛生用紙の軸方向が前記基礎面と直交する姿勢において、前記ロール状衛生用紙が、前記治具の前記第1間隙を通らず、且つ前記第2間隙を通るか否か検査することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査するための治具であって、
平坦な基礎面を上部に有する台と、
前記基礎面と対向しており平行である第1平面を下部に有する第1平板と、
前記第1平板と並置され、前記基礎面と対向しており平行である第2平面を下部に有する第2平板と、
前記基礎面と前記第1平面との間に第1間隙が形成されるように前記台と前記第1平板とを接続する第1接続部材と、
前記基礎面と前記第2平面との間に前記第1間隙よりも大きい第2間隙が形成されるように前記台と前記第2平板とを接続する第2接続部材と
を備えることを特徴とする治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状衛生用紙の寸法を検査する工程を有するロール状衛生用紙の製造方法および当該検査するための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー、紙製タオル、紙製ワイパーなどの衛生用紙(以下、単に「衛生用紙」とも言う)をロール状に巻いたロール状衛生用紙(以下、単に「ロール状衛生用紙」とも言う)は、ペーパーログをカットすることで得られる一方、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法については、ロール状衛生用紙が製品幅でカットされているか検査する必要がある。
【0003】
そこで例えば、特許文献1には、搬送中のロール状衛生用紙をカメラで撮像し、被写体の外形寸法不良を判別し、不良と判別したものを落下させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-113493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、別途高価な装置を用意する必要があり、さらに当該装置を使いこなすため時間や手間が掛かることが予想される。
【0006】
本発明の目的は、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法について正確に測定し簡易に検査することが可能なロール状衛生用紙の製造方法および治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による方法の第1態様は、ロール状衛生用紙の製造方法であって、治具によって、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査する検査工程を有し、前記治具は、平坦な基礎面を上部に有する台と、前記基礎面と対向しており平行である第1平面を下部に有する第1平板と、前記第1平板と並置され、前記基礎面と対向しており平行である第2平面を下部に有する第2平板と、前記基礎面と前記第1平面との間に第1間隙が形成されるように前記台と前記第1平板とを接続する第1接続部材と、前記基礎面と前記第2平面との間に前記第1間隙よりも大きい第2間隙が形成されるように前記台と前記第2平板とを接続する第2接続部材とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明による方法の第2態様は、搬送中の前記ロール状衛生用紙の複数のペーパーログをそれぞれ、切断ブレードを回転させながらカットするカット工程を含み、前記検査工程は、前記カットされたロール状衛生用紙の軸方向が前記基礎面と直交する姿勢において、前記ロール状衛生用紙が、前記治具の前記第1間隙を通らず、且つ前記第2間隙を通るか否か検査することを特徴とする第1態様として記載のものである。
【0009】
本発明による治具の第1形態は、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査するための治具であって、平坦な基礎面を上部に有する台と、前記基礎面と対向しており平行である第1平面を下部に有する第1平板と、前記第1平板と並置され、前記基礎面と対向しており平行である第2平面を下部に有する第2平板と、前記基礎面と前記第1平面との間に第1間隙が形成されるように前記台と前記第1平板とを接続する第1接続部材と、前記基礎面と前記第2平面との間に前記第1間隙よりも大きい第2間隙が形成されるように前記台と前記第2平板とを接続する第2接続部材とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法について、ロール状衛生用紙が、上記治具の第1間隙に通らないことと、第2間隙に通ることを確認することで、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法について正確に測定し簡易に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る製造方法が行われる製造ラインの模式的な斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る治具の全体を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は正面視した平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、検査工程のフローである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるロール状衛生用紙を製造する製造方法および治具の実施形態について、図1から図3を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0013】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「ロール状衛生用紙」は、上述したように、衛生用紙をロール状に巻いたものであり、「衛生用紙」は、トイレットペーパー、キッチンペーパー、紙製タオル、紙製ワイパーなどを指すものとして参照される。
【0014】
また、本明細書および特許請求の範囲において、「上」とは、治具の台の基礎面に直交し、当該基礎面から第1平板(または第2平板)へ向かう方向を指し、「下」とは、その逆の方向を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではない。
【0015】
<製造ライン>
図1は本発明の一実施形態に係る製造方法が行われる製造ライン(製造装置)1の模式的な斜視図であり、図2は本実施形態に係る治具35の全体を示す概略図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は正面視した平面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るロール状衛生用紙の製造ライン1は、衛生用紙(本実施形態ではトイレットペーパー)がロール状に巻回されたロール状衛生用紙(本実施形態ではトイレットロール)3を製造する。
【0017】
製造ライン1には、ロール状衛生用紙3よりも軸方向に長いロール状のペーパーログ5を形成するペーパーログ生成部10と、ペーパーログ生成部10で形成されたペーパーログ5を一旦ストックしてペーパーログ5の送出タイミングを調整する調整部20と、調整部20から送り出されたペーパーログ5を裁断することで、複数のロール状衛生用紙3とを生成するカット部(切断装置)30とが設けられる。本実施形態では、カット後のロール状衛生用紙3について、軸方向Xにおける外形寸法が所定範囲のものか否かを検査するための検査部(検査装置、治具)35が設けられる。さらに、製造ライン1には、カット部30で切り分けられたロール状衛生用紙3を所定数ごとに包装する包装部40と、包装部40で包装されたロール状衛生用紙3のパッケージ9を箱詰めする箱詰め部50とが設けられる。
【0018】
以下、製造ライン1で実施される各部の工程の順序に基づいて、上流及び下流を定める。製造ライン1には、上流から下流に向けて、ペーパーログ生成部10、調整部20、カット部30、包装部40、及び箱詰め部50がこの順で配置されている。本実施形態では、検査部35については、カット部30の工程の後に設けられる。
【0019】
ペーパーログ生成部10は、ロール状衛生用紙3よりも幅広な帯状の原紙11(資材)を巻回した原反ロール12から原紙11を繰り出し、この原紙11をワインダー13で巻き直すことによりペーパーログ5を形成する。ペーパーログ5は、軸方向の長さが原反ロール12の軸方向の長さと等しく、直径が製品3の直径と等しいロール状をなす。
【0020】
ワインダー13では、原紙11に対してエンボス加工や印刷が施されてもよい。また、原反ロール12は、一枚の紙材からなる単層(1プライ)の原紙11が巻回された一次原反(ジャンボロール)であってもよいし、複数枚の紙材が積層されてなる多層(2プライ以上)の原紙11が巻回された二次原反であってもよい。
【0021】
ワインダー13は、筒状のコア5c(長尺芯管)に原紙11を所定の長さ巻回するごとに切断して、ペーパーログ5を連続的に形成する。原紙11は、ペーパーログ5の内周側(コア5c側)から外周側へ向けて(すなわち、径方向の内側から外側へ向けて)巻回される。そして、所定の長さの原紙11がコア5cの外周に巻回されたら、原紙11の長手方向と交差する直線に沿って原紙11が切断(分断)されることで、ペーパーログ5が形成される。ここでは、原紙11がその幅方向(長手方向と直交する方向)に延びる直線に沿って切断される例を示す。
【0022】
上記のように連続的にペーパーログ5をなす原紙11のうち、直線の下流側の部分は一つのペーパーログ5において巻き終わり端5a(テール)となり、直線の上流側の部分(巻き終わり端5aから切り離された部分)は次のログ5において巻き始め端となる。
【0023】
図1に示すように、各ペーパーログ5は、ペーパーログ生成部10の最終工程である糊付部14において巻き終わり端5aが外周面に糊付け(テールシール)された後、下流の調整部20へ送られる。
【0024】
調整部20は、アキュームレーター21で複数のペーパーログ5をストックしつつ、下流のカット部30へペーパーログ5を順次送り出す。ここでは、カット部30へ向けてペーパーログ5を二本ずつ送り出す調整部20を例示する。
【0025】
カット部30は、調整部20から送り出されたペーパーログ5を軸方向に所定の間隔をあけて、切断ブレード31を回転させながらカットする。これにより、各ペーパーログ5が複数のロール状衛生用紙3に切り分けられる。本発明では、例えば、1本のペーパーログ5をカットして25個(または20個)のロール状衛生用紙3が得られる。本発明では、切り分け数は限定されず、例えば、タオル製品の場合、10個に切り分けられる。
【0026】
検査部35では、上述したようにカット後のロール状衛生用紙3について、軸方向Xにおける外形寸法が所定範囲のものか否かを検査する。検査部35での工程の詳細は、後述する。
【0027】
包装部40は、例えば八個(四個×二段)のロール状衛生用紙3を一組として包装袋19に挿入し、包装袋19の開口部22を封着して、パッケージ9を形成する。
【0028】
箱詰め部50は、複数個(例えば八個)のパッケージ9を一組として段ボール箱23に八組梱包する。そして、段ボール箱23に詰められたパッケージ9が出荷される。
【0029】
<検査部>
本実施形態では、図1図2(a)、および図2(b)に示すように、治具35によって、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法が所定の範囲内に含まれるか否かを検査する。治具35は、平坦な基礎面F0を上部に有する台350と、基礎面F0と対向しており平行である第1平面F1を下部に有する第1平板351と、第1平板351と並置され、基礎面F0と対向しており平行である第2平面F2を下部に有する第2平板352と、基礎面F0と第1平面F1との間に第1間隙G1が形成されるように台350と第1平板351とを接続する第1接続部材361と、基礎面F0と第2平面F2との間に第1間隙G1よりも大きい第2間隙G2が形成されるように台350と第2平板352とを接続する第2接続部材362とを備える。
【0030】
この構成により、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法について、ロール状衛生用紙3が、治具35の第1間隙G1に通らないことと、第2間隙G2に通ることを確認することで、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法について正確に測定し簡易に検査することが可能となる。
【0031】
本実施形態では、第1接続部材361は、図2(b)に示すように、第1平板351に(例えばボルトおよびナットの一対の締結具により)固定接続された面部371と、面部371に対して直角に折り曲げられ、ボルトのねじ脚が挿入かつ上下移動が可能に縦長穴が一対設けられている面部372とでL字を呈しているL字型部材37を備え、さらに、台350と固定接続され、L字型部材37に設けられた一対の穴と当該一対の縦長穴に通されたボルトおよびナットの一対の締結具39を介してL字型部材37と固定された接続面部38を備える。第1平板351およびL字型部材37は、ナットの締めを緩めることによって、一対の縦長穴においてスライド可能であり、台350に対して上下移動が可能となっている。第2接続部材362の構成は、第1接続部材361と同様であり、同様の機能を有するものについては、第1接続部材361と同一の符号を付してその説明を省略する。つまり、第1接続部材361と第2接続部材362の違いは、台350の基礎面F0と、L字型部材37の面部371に固定接続された平面との間隙である。
【0032】
第1平板351および第2平板352は、例えば検査においてロール状衛生用紙3の状態が確認し易いような透明な樹脂製(例えばアクリル製樹脂)であり、台350は、検査において移動しにくくするため、また、L字型部材37や接続面部38は、ボルトナットの固定に耐えられるように、金属製(例えばステンレス)である。本発明ではこの限りでなく、治具35を構成する各部材の素材について、本発明の効果を奏する限りにおいて、様々なものが採用可能である。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る、検査工程のフローである。
【0034】
本実施形態に係る検査工程では、カットされたロール状衛生用紙3の軸方向Xが基礎面F0と直交する姿勢において、ロール状衛生用紙3が、治具35の第1間隙G1を通らず、且つ第2間隙G2を通るか否かを検査する。
【0035】
ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法の検査を行う作業者は、先ず例えば、カットされたロール状衛生用紙3が流れてくる搬送部34(例えばコンベアー)からロール状衛生用紙3を取り出す前に、当該搬送部34の点検や清掃し、また、治具35が正しくセットされているか確認し、当該検査開始の準備を行い(ステップS1)、流れてきたロール状衛生用紙3を取り出し、ロール状衛生用紙3の軸方向Xが治具35の基礎面F0と直交するように、治具35の第1間隙G1に通そうと試み(ステップS2)、ロール状衛生用紙3が第1間隙G1を通らない場合、次のステップS3に進む。ステップS1の検査開始の準備の際、切断装置30の運転ごとに、寸法不良防止のため、治具35が正しくセットされているか、テストピースを使用し、基礎面F0、第1平面F1、第2平面F2に隙間が無いことを確認してもよい。また、ステップS1の検査開始の準備の際、検査する前に、検査対象のロール状衛生用紙3にエアーを掛けて、表面の紙粉や塵埃を吹き飛ばしてもよい。
【0036】
続いて、ステップS2において第1間隙G1を通らなかったロール状衛生用紙3をステップS2と同様の手順で治具35の第2間隙G2に通そうと試み(ステップS3)、ロール状衛生用紙3が第2間隙G2を通る場合、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法(カット巾)については異常なし、としてカット工程を継続する(ステップS4)。ステップS2において、ロール状衛生用紙3が第1間隙G1を通った場合、または、ステップS3において、ロール状衛生用紙3が第2間隙G2を通らなかった場合、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法(カット巾)について異常あり、としてカット工程を停止する(ステップS5)。
【0037】
本実施形態では、上記ステップS1~S5の検査対象について、カットされたペーパーログ5の20個(または25個)並んでいるロール状衛生用紙3について、トリム(カット後のペーパーログ5の両端に相当するもの)以外の最初のものと最後のものを1個ずつ取り出してそれぞれ検査する。本実施形態では、ペーパーログ5が2列走行のラインなので計4個であるが、本発明では、ペーパーログ5の走行が4列でもよく、この場合は、検査対象は例えば計8個となる。また、本発明ではこれに限られず、最初のものと最後のものに加えて(または代わりに)中央側のものを検査に使用してもよいし、検査する数も1個ずつでなく複数個ずつでもよい。本実施形態では、中央側のものに比べると前側トリム直後の3~4ロール、後側トリム直前の3~4ロールに、長短や斜め切れが出やすい傾向にあるため、端側の方を検査している。「長短や斜め切れが出やすい傾向にある」理由とは、トリム近くでは、ばね押さえが安定しにくいためであり、より具体的には、ペーパーログ5の中央辺りをカットしている際は、前後にログブレーキ(板バネ)の支えがあり、ログクランプで押さえてカットしているが、トリム付近の前後側がカットされる際は、ログブレーキの支えがないため、である。本実施形態に係る検査は、30分毎行われるが、本発明では15分毎行われるなど検査間隔はこの限りではなく、また、所定の時間において、検査間隔を狭めたり、逆に広くしたりしてもよい。
【0038】
本実施形態では、ステップS5において、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法(カット巾)について異常あり、となった場合、切断装置30を停止させ、切断ブレード31の回転を停止させる。
【0039】
本発明では、ステップS2とステップS3は手順が逆でもいい。つまり、先に第2間隙G2を通るか否か検査し、第2間隙G2を通った場合、第1間隙G1を通るか否か検査してもよい。また、本実施形態では、治具35において左側が第1間隙G1を有し、右側が第2間隙G2を有する構成になっているが、本発明では、左右逆でも良く、治具35において右側が第1間隙G1を有し、左側が第2間隙G2を有する構成になっていても良い。
【0040】
ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法の所定範囲について、本実施形態では、ロール状衛生用紙3がトイレットロールであり、第1間隙G1は112mm、第2間隙G2は116mmである。これらの寸法はJIS P 4501に準拠するものである。本発明ではこの限りでなく、ロール状衛生用紙3が紙製タオルの場合、第1間隙G1を226mm、第2間隙G2を230mmとしてもよい。また、第1間隙G1および第2間隙G2の寸法や第2間隙G2と第1間隙G1との差もこれに限られず、適宜調整可能である。例えば、軸方向Xの長さ(カット巾)が109mmであるトイレットロールの場合であって、第2間隙G2と第1間隙G1との差が6mm差の場合、第1間隙G1を106mm、第2間隙G2を112mmとしたり、第2間隙G2と第1間隙G1との差が4mm差の場合、第1間隙G1を107mm、第2間隙G2を111mmとしたり、第2間隙G2と第1間隙G1との差が2mm差の場合、第1間隙G1を108mm、第2間隙G2を110mmとしたりするなど、本発明の効果を奏する限りにおいて様々な数値を採用することが可能である。
【0041】
従来、ロール状衛生用紙は、ペーパーログをカットすることで得られる一方、ロール状衛生用紙の軸方向における外形寸法については、ロール状衛生用紙が製品幅でカットされているか検査する必要がある。
【0042】
そこで例えば、特許文献1には、搬送中のロール状衛生用紙をカメラで撮像し、被写体の外形寸法不良を判別し、不良と判別したものを落下させることが記載されている。
【0043】
しかしながら、特許文献1では、別途高価な装置を用意する必要があり、さらに当該装置を使いこなすため時間や手間が掛かることが予想される。
【0044】
本実施形態によれば、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法について、ロール状衛生用紙3が、治具35の第1間隙G1に通らないことと、第2間隙G2に通ることを確認することで、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法について正確に測定し簡易に検査することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態によれば、ロール状衛生用紙3の軸方向Xにおける外形寸法について、ロール状衛生用紙3が治具35の間隙を通るか否かだけで判定できるので、定規を当てて測定するよりも、迅速に検査することができる。
【0046】
<その他>
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、治具35による検査をカット工程の直後に行っているが、本発明では、包装部40の包装工程の直前において治具35による検査を行ってもよいし、上述した各工程において適宜行ってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ロール状衛生用紙の製造ライン
3 ロール状衛生用紙
5 ペーパーログ
5a 巻き終わり端
5c コア
10 ペーパーログ生成部
11 原紙(資材)
12 原反ロール
13 ワインダー
14 糊付部
20 調整部
21 アキュームレーター
30 カット部(切断装置)
31 切断ブレード
35 検査部(検査装置、治具)
350 台
F0 基礎面
351 第1平板
F1 第1平面
352 第2平板
F2 第2平面
361 第1接続部材
362 第2接続部材
G1 第1間隙
G2 第2間隙
40 包装部
50 箱詰め部
図1
図2
図3