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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098561
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】導電体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20250625BHJP
【FI】
H01R4/58 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214781
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦島 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】古屋 宏恭
(72)【発明者】
【氏名】古谷 元気
(72)【発明者】
【氏名】中村 光希
(57)【要約】
【課題】バスバの形状の設計自由度の向上と、外装部品の汎用性の向上と、を両立可能な導電体を提供すること。
【解決手段】導電体1は、一対のバスバ2,3と、一対のバスバ2,3に取り付けられる外装部品4と、を備える。一対のバスバ2,3の各々は、直線状に延びる導体部11と、導体部11を覆う絶縁被覆12と、を有する被取付部13を有する。外装部品4は、一対のバスバ2,3の各々の被取付部13を収容可能であるように直線状に延びる一対の溝部21,31と、一対の溝部21,31の各々の開口部を開閉可能な一対のカバー部23,33及び36と、を有する。一対のカバー部23,33及び36は、一対の溝部21,31の双方の開口部を閉じるとき、一対のカバー部の一方23と他方36とが重なり合うように、配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のバスバと、前記一対の前記バスバに取り付けられる外装部品と、を備える導電体であって、
前記一対の前記バスバの各々は、
導体部と、前記導体部を覆う絶縁被覆と、を有するとともに、直線状に延びる被取付部を少なくとも一部に有し、
前記外装部品は、
前記一対の前記バスバの各々の前記被取付部を収容可能であるように直線状に延びる一対の溝部と、前記一対の前記溝部の各々の開口部を開閉可能な一対のカバー部と、を有し、
前記一対の前記カバー部は、
前記一対の前記溝部の双方の前記開口部を閉じるとき、前記一対の前記カバー部の一方と他方とが重なり合うように、配置される、
導電体。
【請求項2】
請求項1に記載の導電体において、
前記外装部品は、
前記一対の前記溝部の一方を構成する第1ブロックと、前記一対の前記溝部の他方を構成し且つ前記第1ブロックとは別体である第2ブロックと、を有し、
前記一対の前記カバー部の一方は、
前記第1ブロックにヒンジ状に変位可能に連結され、前記一方の前記溝部の前記開口部を閉じるとき、前記第1ブロックに設けられる被係合部に係合し、
前記一対の前記カバー部の他方は、
前記第2ブロックにヒンジ状に変位可能に連結され、前記他方の前記溝部の前記開口部を閉じるとき、前記第2ブロックに設けられる被係合部に係合し、且つ、前記一方の前記カバー部に重なり合うとともに、前記第1ブロックと前記第2ブロックとを連結する、
導電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のバスバと、一対のバスバに取り付けられる外装部品と、を備える導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属製のバスバを自動車等に配索するにあたり、バスバを覆うように絶縁性の外装部品を組み付けるとともに、必要に応じてその外装部品を自動車等の車体等に固定することが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-190532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した種類のバスバは、一般に、自動車等の仕様に応じた所定の配索経路(いわゆるレイアウト)に沿って延びる形状を有している。同様に、外装部品は、一般に、そのようなバスバを収容できるように、その配索経路に対応した形状を有している。換言すると、外装部品は、バスバの仕様ごとに異なる専用の形状を有している。そのため、当然に、バスバの形状が異なれば、外装部品の形状も異なることになる。逆に、外装部品を汎用化しようとすると、バスバの形状の設計自由度が低下することになる。このような理由から、バスバの形状の設計自由度を高めることと、外装部品の汎用性を高めることとは、一般に両立が困難である。
【0005】
本発明の目的の一つは、バスバの形状の設計自由度の向上と、外装部品の汎用性の向上と、を両立可能な導電体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る導電体は、以下を特徴としている。
【0007】
一対のバスバと、前記一対の前記バスバに取り付けられる外装部品と、を備える導電体であって、
前記一対の前記バスバの各々は、
導体部と、前記導体部を覆う絶縁被覆と、を有するとともに、直線状に延びる被取付部を少なくとも一部に有し、
前記外装部品は、
前記一対の前記バスバの各々の前記被取付部を収容可能であるように直線状に延びる一対の溝部と、前記一対の前記溝部の各々の開口部を開閉可能な一対のカバー部と、を有し、
前記一対の前記カバー部は、
前記一対の前記溝部の双方の前記開口部を閉じるとき、前記一対の前記カバー部の一方と他方とが重なり合うように、配置される、
導電体であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電体によれば、一対のバスバの各々が、絶縁被覆に覆われた導体部で構成されており、直線状に延びる被取付部を少なくとも一部に有する。被取付部は、バスバと外装部品との取り付けに用いられる。具体的には、一対のバスバの各々の被取付部が、外装部品が有する一対の溝部の各々に収容される。このように、バスバの導体部が絶縁被覆に覆われているため、バスバの全体を覆うように外装部品を設ける必要がない。更に、外装部品は、直線状の被取付部を収容可能な溝部と、溝部を開閉するカバー部と、を有していればよく、バスバごとに専用の形状を有する必要がない。よって、外装部品の汎用性を高めることができる。一方、バスバでは、被取付部以外の箇所の形状を、外装部品の存在を考慮することなく設計できる。よって、バスバの形状の設計自由度を高めることができる。したがって、本構成の導電体は、バスバの形状の設計自由度の向上と、外装部品の汎用性の向上と、を両立できる。
【0009】
更に、本発明の導電体は、他の効果も有する。具体的には、一対のカバー部が、一対の溝部の双方の開口部を閉じるとき、一対のカバー部の一方と他方とが重なり合うように配置される。よって、一対のカバー部を開ける際、上方にあるカバー部を開けた後に、下方にあるカバー部を開けることになる。即ち、一対のカバー部を開ける順序が規制される。これにより、外装部品からバスバを取り外すとき、一方のバスバが他方のバスバに接触することが防がれることで、バスバ間の意図しない短絡を防止できる。加えて、外装部品の小型化や、外装部品をバスバに取り付ける作業の作業性の向上を、図ることができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る導電体の組み付け完了状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す導電体において、第2バスバが外装部品から分離した状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す導電体において、第1バスバ及び第2バスバの双方が外装部品から分離した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図1のA-A断面図である。
図5図5は、図2のB-B断面図である。
図6図6は、図3のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る導電体1について説明する。導電体1は、図1図3に示すように、第1バスバ2及び第2バスバ3と、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の延在方向の一部である被取付部13に取り付けられる外装部品4と、を備える。なお、図1図3では、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々について、被取付部13のみが示されている。導電体1は、典型的には、第1バスバ2及び第2バスバ3が自動車等に配索され、且つ、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の被取付部13に取り付けられた外装部品4が自動車等の車体等に固定された状態で、自動車等に搭載されて使用される。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の被取付部13の延在方向、及び、外装部品4の延在方向と一致している。なお、これらの方向は、あくまで説明の便宜のために定めているに過ぎず、例えば、導電体1が自動車等に搭載されるときの自動車等の前後方向、左右方向及び上下方向に必ずしも対応する必要はない。以下、導電体1を構成する各部品の構成について順に説明する。
【0014】
まず、第1バスバ2及び第2バスバ3について説明する。第1バスバ2及び第2バスバ3の各々は、自動車等の仕様に応じた配索経路に沿って延びる形状(例えば、3次元的に屈曲しながら延びる形状)を有しており、当該形状を有して延びる導体部11と、導体部11の外周を覆う絶縁被覆12と、で構成されている(図2及び図3参照)。本例では、第1バスバ2及び第2バスバ3の一部である、図1図6に図示されている部分(導体部11)は、断面が矩形状であり且つ細長状に延びる金属板であり、絶縁被覆12は、導体部11の延在方向の全域に亘って導体部11の外周を覆っている。なお、第1バスバ2及び第2バスバ3のうちの図示されていない部分の形状は、第1バスバ2及び第2バスバ3の仕様等に基づいて定められればよく、必ずしも直線状の形状を有しなくてもよい。
【0015】
第1バスバ2及び第2バスバ3の各々は、図1図3に示すように、延在方向の一部において前後方向に直線状に延びる部分(即ち、絶縁被覆12に覆われて直線状に延びる導体部11)を、被取付部13として有している。本例では、導体部11自体の延在方向の全域が絶縁被覆12に覆われているため、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の延在方向の全域を覆うように外装部品4を設ける必要がない。このため、本例では、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の延在方向の一部である被取付部13(の延在方向の一部又は全部)のみを覆う(収容する)ように、外装部品4が第1バスバ2及び第2バスバ3に取り付けられる。これにより、外装部品4は、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の直線状の被取付部13(の延在方向の一部又は全部)のみを収容可能であればよく、バスバごとに専用の形状を有する必要がないため、汎用性が高い。一方、第1バスバ2及び第2バスバ3では、被取付部13以外の箇所の形状を、外装部品4の存在を考慮することなく設計できる。よって、第1バスバ2及び第2バスバ3の形状の設計自由度が高い。
【0016】
次いで、外装部品4について説明する。外装部品4は、樹脂成形体であり、大略的には、図2図6に示すように、前後方向に延びる第1ブロック20と、前後方向に延びる第2ブロック30と、を有している。第1ブロック20及び第2ブロック30は、互いに別体である一方で、第2ブロック30が第1ブロック20の左側に隣接して左右方向に並んだ状態で後述する延設カバー部36によって互いに連結される、ように構成されている(図1及び図4参照)。本例では、第2ブロック30の前後方向長さが第1ブロック20の前後方向長さと略等しく、第1ブロック20及び第2ブロック30の連結状態では、第1ブロック20の前後方向全域と第2ブロック30の前後方向全域とが左右方向に並んで配置される(図1参照)。
【0017】
第1ブロック20は、前後方向からみて上方に開口する略U字状の形状を有して前後方向に直線状に延びており、上方に開口し且つ前後方向に直線状に延びる第1溝部21を画成している(図2及び図6等参照)。第1溝部21には、第1バスバ2の被取付部13が収容されることになる。第1ブロック20の左側壁の上端部には、第1カバー部23が、前後方向に並ぶ複数(4つ)のヒンジ部22を介して、第1溝部21の開口部を開閉可能に連結されている。第1カバー部23は、第1溝部21の開口部の形状に対応して、前後方向に延びる略矩形平板状の形状を有している。第1カバー部23における複数のヒンジ部22とは反対側の前後方向に延びる端縁部の前後方向両端部には、前後一対の係合部24が設けられている。第1カバー部23が閉じた状態(即ち、第1溝部21の開口部が閉じた状態)にて、前後一対の係合部24は、第1ブロック20の右側壁の上端部に設けられた前後一対の被係合部25に係合する(図2及び図5参照)。本例では、係合部24は、係止突起を有する係止片であり、被係合部25は、係合片が挿入されて係止突起を係止する係止孔である。第1ブロック20の右側壁の外面の前後方向中央部には、自動車等の車体等に固定されることになる固定部41が設けられている。
【0018】
第2ブロック30は、前後方向からみて上方に開口する略U字状の形状を有して前後方向に直線状に延びており、上方に開口し且つ前後方向に直線状に延びる第2溝部31を画成している(図2及び図6等参照)。第2溝部31には、第2バスバ3の被取付部13が収容されることになる。第2ブロック30の左側壁の上端部には、第2カバー部33が、前後方向に並ぶ複数(4つ)のヒンジ部32を介して、第2溝部31の開口部を開閉可能に連結されている。第2カバー部33は、第2溝部31の開口部の形状に対応して、前後方向に延びる略矩形平板状の形状を有している。第2カバー部33における複数のヒンジ部32とは反対側の前後方向に延びる端縁部には、前後方向に並ぶ複数(3つ)の係合部34が設けられている。第2カバー部33が閉じた状態(即ち、第2溝部31の開口部が閉じた状態)にて、複数の係合部34は、第2ブロック30の右側壁の上端部に設けられた前後方向に並ぶ複数(3つ)の被係合部35に係合する(図4参照)。本例では、係合部34は、係止突起を有する係止片であり、被係合部35は、係合片が挿入されて係止突起を係止する係止孔である。第2ブロック30の左側壁の外面の前後方向中央部には、自動車等の車体等に固定されることになる固定部42が設けられている。
【0019】
第2カバー部33には、更に、延設カバー部36が一体に設けられている。延設カバー部36は、第2カバー部33における「複数の係合部34が設けられた前後方向に延びる端縁部」から更に、複数のヒンジ部32とは反対側に向けて第2カバー部33の平面方向に延びる、略矩形平板状の部分である。第2カバー部33が閉じた状態(即ち、第2溝部31の開口部が閉じた状態)にて、延設カバー部36は、後述するように、第1ブロック20の第1溝部21の開口部を閉じている第1カバー部23の上側に重なり合うとともに、第1ブロック20と第2ブロック30とを連結する機能を果たす部分である(図1及び図4参照)。延設カバー部36における(第2カバー部33の閉状態にて)第1カバー部23に重なる側の面には、第1カバー部23を収容するための凹部37が形成されている(図2等参照)。延設カバー部36における前後方向に延びる延設端縁部の前後方向中央部には、第2カバー部33の閉状態(延設カバー部36が第1カバー部23の上側に重なった状態)にて固定部41の上端部を覆うための覆い部38が形成されている。ここで、第2カバー部33及び延設カバー部36が、本発明の「一対のカバー部の他方」に相当している。以上、導電体1を構成する各部品の構成について説明した。
【0020】
次いで、第1バスバ2及び第2バスバ3に外装部品4を取り付ける際の手順について説明する。第1バスバ2及び第2バスバ3に外装部品4を取り付けるためには、先ず、図3及び図6に示すように、第1ブロック20とは別体の第2ブロック30が第1ブロック20の左側に隣接して左右方向に並ぶように配置され、且つ、第1カバー部23及び第2カバー部33が開いた状態にある外装部品4に対して、第1バスバ2の延在方向の一部である被取付部13が上方に開口する第1溝部21の上方に配置され、且つ、第2バスバ3の延在方向の一部である被取付部13が上方向に開口する第2溝部31の上方に配置される。次いで、第1バスバ2の被取付部13が下方に移動されて第1溝部21に収容されると共に第1カバー部23が閉じられる(図2及び図5参照)。次いで、第2バスバ3の被取付部13が下方に移動されて第2溝部31に収容されると共に第2カバー部33が閉じられる。第2カバー部33が閉じられることで、第2カバー部33と一体の延設カバー部36が、第1ブロック20の第1溝部21の開口部を閉じている第1カバー部23の上側に重なり合い且つ第1カバー部23が凹部37に収容されると共に、覆い部38が第1ブロック20の固定部41の上端部を覆うことで第1ブロック20と第2ブロック30とが連結される(図1及び図4参照)。これにより、第1バスバ2及び第2バスバ3への外装部品4の取り付けが完了して、組み付け完了状態にある図1に示す導電体1が得られる。導電体1の組み付け完了状態では、係合部24及び被係合部25の係合によって第1カバー部23が閉じた状態に維持され、且つ、係合部34及び被係合部35の係合によって第2カバー部33が閉じた状態に維持されている。更に、覆い部38が第1ブロック20の固定部41の上端部を覆う状態に維持されることで、第1ブロック20と第2ブロック30とが連結された状態が維持されている。
【0021】
本例では、第1溝部21及び第2溝部31の双方の開口部を閉じるとき、第2カバー部33と一体の延設カバー部36が、第1カバー部23の上側に重なり合うように配置される。よって、第1カバー部23及び第2カバー部33を閉じる際、第1カバー部23を閉じた後に第2カバー部33を閉じることになる。即ち、第1カバー部23及び第2カバー部33を閉じる順序が規制される。
【0022】
組み付けが完了した導電体1は、第1バスバ2及び第2バスバ3が自動車等に配索され、且つ、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の被取付部13に取り付けられた外装部品4に設けられた一対の固定部41,42(図1等参照)が自動車等の車体等に固定された状態で、自動車等に搭載される。
【0023】
組み付けが完了した導電体1において、外装部品4から第1バスバ2及び第2バスバ3を取り外す際には、まず、閉じていた第2カバー部33が開かれると共に第2溝部31の上方に開口する開口部を介して第2バスバ3の被取付部13が第2溝部31の外部に向けて上方へ移動される(図2及び図5参照)。第2カバー部33が開かれたことで、第1カバー部23の上側に延設カバー部36が重なる状態が解除されるので、第1カバー部23を開けることが可能となる。次いで、閉じていた第1カバー部23が開かれると共に第1溝部21の上方に開口する開口部を介して第1バスバ2の被取付部13が第1溝部21の外部に向けて上方へ移動される(図3及び図6参照)。これにより、外装部品4から第1バスバ2及び第2バスバ3を取り外す作業が完了する。
【0024】
本例では、第1溝部21及び第2溝部31の双方の開口部が閉じる状態にあるとき、第2カバー部33と一体の延設カバー部36が、第1カバー部23の上側に重なり合うように配置される。よって、第1カバー部23及び第2カバー部33を開ける際、第2カバー部33を開けた後に第1カバー部23を開けることになる。即ち、第1カバー部23及び第2カバー部33を開ける順序が規制される。これにより、外装部品4から第1バスバ2及び第2バスバ3を取り外すとき、一方のバスバが他方のバスバに接触することが防がれることで、バスバ間の意図しない短絡を防止できる。
【0025】
<作用・効果>
本実施形態に係る導電体1によれば、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々が、絶縁被覆12に覆われた導体部11で構成されており、直線状に延びる被取付部13を少なくとも一部に有する。被取付部13は、第1バスバ2及び第2バスバ3と外装部品4との取り付けに用いられる。具体的には、第1バスバ2及び第2バスバ3の各々の被取付部13が、外装部品4が有する第1溝部21及び第2溝部31の各々に収容される。このように、第1バスバ2及び第2バスバ3の導体部11が絶縁被覆12に覆われているため、第1バスバ2及び第2バスバ3の全体を覆うように外装部品4を設ける必要がない。更に、外装部品4は、直線状の被取付部13を収容可能な第1溝部21及び第2溝部31と、第1溝部21及び第2溝部31を開閉する第1カバー部23及び第2カバー部33と、を有していればよく、バスバごとに専用の形状を有する必要がない。よって、外装部品4の汎用性を高めることができる。一方、第1バスバ2及び第2バスバ3では、被取付部13以外の箇所の形状を、外装部品4の存在を考慮することなく設計できる。よって、第1バスバ2及び第2バスバ3の形状の設計自由度を高めることができる。したがって、導電体1は、第1バスバ2及び第2バスバ3の形状の設計自由度の向上と、外装部品4の汎用性の向上と、を両立できる。
【0026】
更に、第1カバー部23、及び、第2カバー部33と一体の延設カバー部36は、第1溝部21及び第2溝部31の双方の開口部を閉じるとき、第1カバー部23の上側に延設カバー部36が重なり合うように配置される。よって、第1カバー部23及び第2カバー部33を開ける際、上方にある延設カバー部36と一体の第2カバー部33を開けた後に、下方にある第1カバー部23を開けることになる。即ち、第1カバー部23及び第2カバー部33を開ける順序が規制される。これにより、外装部品4から第1バスバ2及び第2バスバ3を取り外すとき、一方のバスバが他方のバスバに接触することが防がれることで、バスバ間の意図しない短絡を防止できる。加えて、外装部品4の小型化や、外装部品4を第1バスバ2及び第2バスバ3に取り付ける作業の作業性の向上を、図ることができる。
【0027】
更に、第1カバー部23は、外装部品4の第1ブロック20にヒンジ状に変位可能に連結され、第1カバー部23で第1ブロック20にある第1溝部21の開口部を閉じるとき、第1カバー部23の係合部24が、第1ブロック20に設けられる被係合部25に係合する。これに対し、第2カバー部33は、外装部品4の第2ブロック30にヒンジ状に変位可能に連結される。更に、第2カバー部33で第2ブロック30にある第2溝部31の開口部を閉じるとき、第2カバー部33の係合部34が、第2ブロック30に設けられる被係合部35に係合し、且つ、第2カバー部33と一体の延設カバー部36が、第1ブロック20の第1溝部21の開口部を閉じている第1カバー部23に重なり合うとともに、第1ブロック20と第2ブロック30とを連結する。よって、第1ブロック20と第2ブロック30とが別体であっても、第1カバー部23及び第2カバー部33を開ける順序を規制しながら、第2カバー部33と一体の延設カバー部36によって第1ブロック20と第2ブロック30とを連結することができる。
【0028】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0029】
上記実施形態では、第1ブロック20と第2ブロック30とが別体である。これに対し、第1ブロック20と第2ブロック30とが互いに連結した一体の部材であってもよい。
【0030】
ここで、上述した本発明に係る導電体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0031】
[1]
一対のバスバ(2,3)と、前記一対の前記バスバ(2,3)に取り付けられる外装部品(4)と、を備える導電体(1)であって、
前記一対の前記バスバ(2,3)の各々は、
導体部(11)と、前記導体部(11)を覆う絶縁被覆(12)と、を有するとともに、直線状に延びる被取付部(13)を少なくとも一部に有し、
前記外装部品(4)は、
前記一対の前記バスバ(2,3)の各々の前記被取付部(13)を収容可能であるように直線状に延びる一対の溝部(21,31)と、前記一対の前記溝部(21,31)の各々の開口部を開閉可能な一対のカバー部(23,33及び36)と、を有し、
前記一対の前記カバー部(23,33及び36)は、
前記一対の前記溝部(21,31)の双方の前記開口部を閉じるとき、前記一対の前記カバー部の一方(23)と他方(36)とが重なり合うように、配置される、
導電体(1)。
【0032】
上記[1]の構成の導電体によれば、一対のバスバの各々が、絶縁被覆に覆われた導体部で構成されており、直線状に延びる被取付部を少なくとも一部に有する。被取付部は、バスバと外装部品との取り付けに用いられる。具体的には、一対のバスバの各々の被取付部が、外装部品が有する一対の溝部の各々に収容される。このように、バスバの導体部が絶縁被覆に覆われているため、バスバの全体を覆うように外装部品を設ける必要がない。更に、外装部品は、直線状の被取付部を収容可能な溝部と、溝部を開閉するカバー部と、を有していればよく、バスバごとに専用の形状を有する必要がない。よって、外装部品の汎用性を高めることができる。一方、バスバでは、被取付部以外の箇所の形状を、外装部品の存在を考慮することなく設計できる。よって、バスバの形状の設計自由度を高めることができる。したがって、本構成の導電体は、バスバの形状の設計自由度の向上と、外装部品の汎用性の向上と、を両立できる。
【0033】
更に、上記構成の導電体は、他の効果も有する。具体的には、一対のカバー部が、一対の溝部の双方の開口部を閉じるとき、一対のカバー部の一方と他方とが重なり合うように配置される。よって、一対のカバー部を開ける際、上方にあるカバー部を開けた後に、下方にあるカバー部を開けることになる。即ち、一対のカバー部を開ける順序が規制される。これにより、外装部品からバスバを取り外すとき、一方のバスバが他方のバスバに接触することが防がれることで、バスバ間の意図しない短絡を防止できる。更に、外装部品の小型化や、外装部品をバスバに取り付ける作業の作業性の向上を、図ることができる。
【0034】
[2]
上記[1]に記載の導電体(1)において、
前記外装部品(4)は、
前記一対の前記溝部の一方(21)を構成する第1ブロック(20)と、前記一対の前記溝部の他方(31)を構成し且つ前記第1ブロック(20)とは別体である第2ブロック(30)と、を有し、
前記一対の前記カバー部の一方(23)は、
前記第1ブロック(20)にヒンジ状に変位可能に連結され、前記一方の前記溝部(21)の前記開口部を閉じるとき、前記第1ブロック(20)に設けられる被係合部(25)に係合し、
前記一対の前記カバー部の他方(33,36)は、
前記第2ブロック(30)にヒンジ状に変位可能に連結され、前記他方の前記溝部(31)の前記開口部を閉じるとき、前記第2ブロック(30)に設けられる被係合部(35)に係合し、且つ、前記一方の前記カバー部(23)に重なり合うとともに、前記第1ブロック(20)と前記第2ブロック(30)とを連結する、
導電体(1)。
【0035】
上記[2]の構成の導電体によれば、一方のカバー部は、外装部品の第1ブロックにヒンジ状に変位可能に連結される。更に、そのカバー部(一方のカバー部)で第1ブロックにある溝部の開口部を閉じるとき、そのカバー部が、第1ブロックに設けられる被係合部に係合する。これに対し、他方のカバー部は、外装部品の第2ブロックにヒンジ状に変位可能に連結される。更に、そのカバー部(他方のカバー部)で第2ブロックにある溝部の開口部を閉じるとき、そのカバー部が、第2ブロックに設けられる被係合部に係合し、且つ、第1ブロックの溝部の開口部を閉じているカバー部(一方のカバー部)に重なり合うとともに、第1ブロックと第2ブロックとを連結する。よって、第1ブロックと第2ブロックとが別体であっても、一対のカバー部を開ける順序を規制しながら、一対のカバー部の何れかによって第1ブロックと第2ブロックとを連結することができる。
【0036】
なお、第1ブロックと第2ブロックとは、別体ではなく、互いに連結した一体の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 導電体
2 第1バスバ(バスバ)
3 第2バスバ(バスバ)
4 外装部品
11 導体部
12 絶縁被覆
13 被取付部
20 第1ブロック
21 第1溝部(溝部)
23 第1カバー部(カバー部)
25 被係合部
30 第2ブロック
31 第2溝部(溝部)
33 第2カバー部(カバー部)
35 被係合部
36 延設カバー部(カバー部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6