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特開2025-98714RoF送受信機及び光ファイバ無線システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098714
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】RoF送受信機及び光ファイバ無線システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/005 20060101AFI20250625BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20250625BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
H04B7/005
H04B10/2575 120
H04B7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215039
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏訓
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
【テーマコード(参考)】
5K046
5K072
5K102
【Fターム(参考)】
5K046AA09
5K046EE01
5K046KK01
5K072AA01
5K072BB27
5K072GG01
5K072GG14
5K102AA17
5K102AB13
5K102AH01
5K102PA01
5K102PB01
5K102PH31
5K102RD05
5K102RD12
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能なRoF送受信機を提供する。
【解決手段】RoF送受信機100は、基地局と、端末との間の無線通信における受信信号を、光ファイバ伝送路200を介して中継伝送するためのRoF送受信機100である。RoF送受信機100は、受信信号の受信電力を検出する受信信号レベル検出部121を備える。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された判定レベルとを比較する第1比較器122aを備える。さらに、RoF送受信機100は、第1比較器122aで比較された結果に基づいて、光ファイバ伝送路200に光信号を発光する発光部130aを制御するスイッチ制御部123を備える。スイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの上限を超える場合には、保護スイッチを終端抵抗133側に切り替えるよう制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、端末との間の無線通信における受信信号を、光ファイバ伝送路を介して中継伝送するためのRoF(Radio over Fiber)送受信機であって、
第1増幅器、第2増幅器及び第1可変減衰器を含み、前記受信信号の受信電力を増減する第1可変利得増幅部と、
前記受信信号の前記受信電力を検出する受信信号レベル検出部と、
保護スイッチ、発光素子、発光素子駆動部、及び終端抵抗を含む発光部と、
前記受信電力と、あらかじめ記憶部に記憶された判定レベルとを比較する第1比較器と、
前記受信電力と、あらかじめ前記記憶部に記憶された第1基準レベルとを比較する第2比較器と、
前記第1比較器で比較された結果に基づいて、前記光ファイバ伝送路に光信号を発光する前記発光部を制御するスイッチ制御部と、
前記第2比較器の比較結果に基づいて、前記第1可変利得増幅部を制御する第1減衰器制御部と、を備え、
前記スイッチ制御部は、前記受信電力が前記判定レベルの上限を超える場合には、前記保護スイッチを前記終端抵抗側に切り替えるよう制御し、
前記第1減衰器制御部は、前記受信電力が前記第1基準レベル以上の場合は、前記受信電力が前記第1基準レベル以下になるように前記第1可変減衰器を制御し、
前記第1減衰器制御部は、前記受信電力が前記第1基準レベルより低い場合は、前記第1可変減衰器において前記受信信号を減衰させないように制御する、
RoF送受信機。
【請求項2】
前記光ファイバ伝送路から受信した光信号を受信し、電気信号に変換する受光素子と、
前記受光素子で変換された前記電気信号の電流電圧変換を行う電流電圧変換部と、
第3増幅器、第4増幅器及び第2可変減衰器を含み、前記電気信号の送信電力を増減する第2可変利得増幅部と、
前記受信電力と、あらかじめ前記記憶部に記憶された第2基準レベルとを比較する第3比較器と、
前記第3比較器の比較結果に基づいて、前記第2可変利得増幅部を制御する第2減衰器制御部と、をさらに備え、
前記第2減衰器制御部は、前記受信電力が前記第2基準レベル以下の場合は、前記送信電力が前記第2基準レベル以下になるように前記第2可変減衰器を制御する、請求項1に記載のRoF送受信機。
【請求項3】
前記スイッチ制御部は、前記受信電力が前記判定レベルの下限を下回る場合には、前記発光素子駆動部をオフにし、前記発光素子へ電流が供給されないように制御する、請求項1に記載のRoF送受信機。
【請求項4】
前記スイッチ制御部は、温度を検知し、前記温度が所定の温度以上の場合には、前記発光素子の発光量が少なくなるように前記発光素子駆動部を制御し、前記温度が所定の温度以下の場合には、前記発光素子の発光量が多くなるように前記発光素子駆動部を制御する、請求項1に記載のRoF送受信機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載されたRoF送受信機であって、前記基地局と無線通信を行う第1送受信機と、前記端末と無線通信を行う第2送受信機と、を備え、
前記第1送受信機及び前記第2送受信機は、前記光ファイバ伝送路を介して接続される光ファイバ無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RoF送受信機及び光ファイバ無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局からの電波を受信環境が良好な場所で受信し、光ファイバで遠方まで伝送し、基地局の電波が届きにくい場所で再放射することで不感地帯を解消する技術が提案されている。特許文献1には、基地局と、端末との間の無線通信における無線信号を、光ファイバ伝送路を介して中継するRoF送受信機(Radio over Fiber)を備えた光ファイバ無線システムが開示されている。特許文献1に開示された光ファイバ無線システムは、低損失、広帯域な光ファイバの特徴を生かして直接電波が届かない場所(不感地帯)へ電波を届けることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-37699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光ファイバ無線システムにおいては、弱い受信信号電力を増幅する機能を実装しており、この増幅に電源を必要とする。また、従来の光ファイバ無線システムにおいては、微弱な信号電力を受信できるようにするため、受信していない時も常に最大利得で増幅させており、不要な電源電力を消費している。さらに、従来の光ファイバ無線システムにおいては、光ファイバで伝送するため受信信号を光信号に変換するが、常に発光させているため、不要な電源電力を消費する場合がある。そのため、光ファイバ無線システムにおいては、省電力化が必要とされている。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能なRoF送受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るRoF送受信機は、基地局と、端末との間の無線通信における受信信号を、光ファイバ伝送路を介して中継伝送するためのRoF(Radio over Fiber)送受信機であって、第1増幅器、第2増幅器及び第1可変減衰器を含み、受信信号の受信電力を増減する第1可変利得増幅部と、受信信号の受信電力を検出する受信信号レベル検出部と、保護スイッチ、発光素子、発光素子駆動部、及び終端抵抗を含む発光部と、受信電力と、あらかじめ記憶部に記憶された判定レベルとを比較する第1比較器と、受信電力と、あらかじめ記憶部に記憶された第1基準レベルとを比較する第2比較器と、第1比較器で比較された結果に基づいて、光ファイバ伝送路に光信号を発光する発光部を制御するスイッチ制御部と、第2比較器の比較結果に基づいて、第1可変利得増幅部を制御する第1減衰器制御部と、を備え、スイッチ制御部は、受信電力が判定レベルの上限を超える場合には、保護スイッチを終端抵抗側に切り替えるよう制御し、第1減衰器制御部は、受信電力が第1基準レベル以上の場合は、受信電力が第1基準レベル以下になるように第1可変減衰器を制御し、第1減衰器制御部は、受信電力が第1基準レベルより低い場合は、第1可変減衰器において受信信号を減衰させないように制御する。
【0007】
本発明の他の態様に係る光ファイバ無線システムは、上記のRoF送受信機であって、基地局と無線通信を行う第1送受信機と、端末と無線通信を行う第2送受信機と、を備え、第1送受信機及び第2送受信機は、光ファイバ伝送路を介して接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能なRoF送受信機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る光ファイバ無線システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係るRoF送受信機の機能を説明するためのブロック図である。
図3】本実施形態に係るRoF送受信機の機能的構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る受信信号レベル検出部について説明するための図である。
図5A】本実施形態に係る保護スイッチの制御について説明するための図である。
図5B】本実施形態に係るバイアス電流制御回路について説明するための図である。
図6】本実施形態に係る発光素子の特性について説明するための図である。
図7】本実施形態に係る光ファイバ無線システムによる消費電力低減の効果について説明するための図である。
図8A】本実施形態に係る光ファイバ無線システムが適用されない場合の電圧、電流及び電力について説明するための図である。
図8B】本実施形態に係る光ファイバ無線システムが適用される場合の電圧、電流及び電力について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るRoF送受信機100及び光ファイバ無線システム10について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(光ファイバ無線システム10の概要)
図1は、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10の構成を示す図である。図1に示すように、光ファイバ無線システム10は、基地局300と無線通信を行う第1送受信機100aと、端末400と無線通信を行う第2送受信機100bと、を含んで構成される。また、第1送受信機100a及び第2送受信機100bは、光ファイバ伝送路200を介して接続される。
【0012】
図1に示す光ファイバ無線システム10においては、基地局300が送信した無線信号を第1送受信機100aの受信アンテナ140で受信し、第1送受信機100aにおいて、無線信号が光信号に変換される。第1送受信機100aで変換された光信号は、光ファイバ伝送路200を介して、第2送受信機100bに送られる。
【0013】
光ファイバ無線システム10においては、第1送受信機100aと、第2送受信機100bとは、離れた場所に設置され、遠方の通信を可能とする。第2送受信機100bは、光ファイバ伝送路200を介して受信した光信号を電気信号に変換し、さらに無線信号として、携帯端末(モバイル端末)などの端末400に送信する。
【0014】
また、光ファイバ無線システム10は、端末400が送信した無線信号を第2送受信機100bの受信アンテナ140で受信し、第2送受信機100bにおいて、無線信号が光信号に変換される。第2送受信機100bで変換された光信号は、光ファイバ伝送路200を介して、第1送受信機100aに送られる。第1送受信機100aは、光ファイバ伝送路200を介して受信した光信号を電気信号に変換し、さらに無線信号として、基地局300に送信する。
【0015】
すなわち、光ファイバ無線システム10は、基地局300と、端末400との間の通信を中継伝送するためのシステムである。さらには、光ファイバ無線システム10は、無線信号(RF信号、Radio Frequency)を、光ファイバ伝送路200を介して遠方に送るためのRoF(Radio over Fiber、又はRadio on Fiber)システムである。RoFシステムである光ファイバ無線システム10は、無線高周波信号を光ファイバに乗せて長距離伝送を可能とする。また、光ファイバ無線システム10は、低損失、広帯域な光ファイバの特徴を生かして直接電波が届かない場所(不感地帯)へ電波を届けることを可能とする。
【0016】
(RoF送受信機100の構成)
次に本実施形態に係るRoF送受信機100について説明する。図1に示すようにRoF送受信機100は、基地局300側の第1送受信機100a及び端末400側の第2送受信機100bに適用される。なお、本実施形態において第1送受信機100a及び第2送受信機100bは、同じ構成であるものとする。以降、第1送受信機100a及び第2送受信機100bを、それぞれを区別して説明する必要がない場合は、「RoF送受信機100」と表記する。
【0017】
図2は、本実施形態に係るRoF送受信機100の機能を説明するためのブロック図である。なお、図2に示すブロック図は、RoF送受信機100の送信側の機能を模式的に示した図である。図2に示すように、受信アンテナ140を介して受信した無線信号は、所望の電力となるようにアンプ及び減衰器で調整される。例えばアンプは低ノイズに増幅を可能とするLNA(Low Noise Amplifier)で構成される。また、減衰器は、一般的な可変ATT(アッテネータ、Attenuator)で構成される。
【0018】
電力が調整された信号は、カプラ付きディテクタで受信電力が検知される。制御回路は、検知された受信電力に基づいて可変ATTを制御し、受信した信号を調整する。また、制御回路は、検知された受信電力に基づいて、発光素子(VCSEL)からの発光を制御する。
【0019】
図3は、本実施形態に係るRoF送受信機100の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、RoF送受信機100は、光信号に対して送信側に相当するRoF_Tx110a及び光信号に対して受信側に相当するRoF_Rx110bで構成される。
【0020】
RoF_Tx110aは、帯域通過フィルタ111a、111bと、第1可変利得増幅部112aと、発光部130aと、受信信号レベル検出部121と、を含んで構成される。また、RoF_Tx110aは、第1比較器122aと、第2比較器122bと、第3比較器122cと、を含んで構成される。また、RoF_Tx110aは、スイッチ制御部123と、第1減衰器制御部124aと、第2減衰器制御部124bと、を含んで構成される。
【0021】
発光部130aは、保護スイッチ131と、発光素子駆動部132と、終端抵抗133と、発光素子134と、を含んで構成される。図3に示す例においては、発光素子134としてLD(半導体レーザLD:Laser Diode)が適用されている例を示す。また、図3に示す例においては、発光素子駆動部132として、LDドライバが適用される例を示している。なお、発光素子134は、LDに限定されず、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)や発光ダイオード(LED)が適用されてもよい。
【0022】
RoF_Rx110bは、受光部130bと、第2可変利得増幅部112bと、帯域通過フィルタ111cとを含んで構成される。また、受光部130bは、受光素子135と、電流電圧変換部136とを含んで構成される。受光素子は、例えば、PD(フォトダイオード)で構成される。
【0023】
第1可変利得増幅部112aは、第1増幅器113a、第2増幅器113b及び第1可変減衰器114aを含み、無線信号の受信電力を増減させる。
【0024】
受信信号レベル検出部121は、無線信号の受信電力を検出する。なお、受信信号レベル検出部121は、一般的なディテクタに相当する。受信信号レベル検出部121は、カプラ(図示なし)を用いて分岐させた受信信号のレベル検出を行う。受信信号レベル検出部121は、ダイオードを用いた検波回路を用いてもよい。また、受信信号レベル検出部121は、帯域通過フィルタ111bの後段に挿入されるのが好ましい。これにより、受信信号レベル検出部121は、不要な帯域外の電力の検出を防ぐことが可能となる。
【0025】
第1比較器122aは、受信信号の受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された判定レベルとを比較する。なお、本実施形態において判定レベルには、上限及び下限が設けられる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る受信信号レベル検出部121について説明するための図である。受信信号レベル検出部121は、受信信号レベルを検出するため、例えば、図4の特性を持つディテクタが使用される。なお、図4に示す例において、挿入損失や経路損失は考慮しない。
【0027】
例えば図4に示す例において、発光素子134へ入力したい電力の上限が10dBm、下限が-20dBmの場合、それぞれ対応する2V、0.1Vがディテクタから出力される。このように受信信号レベル検出部121は、受信電力(入力電力)に対応する出力電圧を検出する。この出力電圧を用いて、後述の第1比較器122a、第2比較器122b、及び第3比較器122cで受信電力の判定が行われる。
【0028】
すなわち、図4に示す例においては、判定レベルの上限は、2Vであり、判定レベルの下限は0.1Vに相当する。なお、判定レベルの上限及び下限は、当該値に限定されるものではなく、発光素子134の特性等に応じて、2V及び0.1Vとは異なる値を適用してもよい。
【0029】
第2比較器122bは、受信信号の受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第1基準レベルとを比較する。また、第3比較器122cは、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第2基準レベルとを比較する。
【0030】
スイッチ制御部123は、第1比較器122aで比較された結果に基づいて、光ファイバ伝送路200に光信号を発光する発光部130aを制御する。具体的には、スイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの上限を超えた場合には、保護スイッチ131を終端抵抗側に切り替えるよう制御する。
【0031】
第1減衰器制御部124aは、第2比較器122bの比較結果に基づいて、第1可変利得増幅部112aを制御する。具体的には、第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベル以上の場合は、受信電力が第1基準レベル以下になるように第1可変減衰器114aを制御する。
【0032】
また、第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベルより低い場合は、第1可変減衰器114aにおいて受信信号を減衰させないように制御する。
【0033】
受光部130bは、受光素子135において、光ファイバ伝送路200から受信した光信号を受信し、電気信号に変換する。また、電流電圧変換部136は、受光素子135で変換された電気信号の電流電圧変換を行う。
【0034】
第2可変利得増幅部112bは、第3増幅器113c、第4増幅器113d及び第2可変減衰器114bを含み、送信信号の送信電力を増減する。また、第2減衰器制御部124bは、第3比較器122cの比較結果に基づいて、第2可変利得増幅部112bを制御する。具体的には、第2減衰器制御部124bは、受信電力が第2基準レベル以下の場合は、送信電力が第2基準レベル以下になるように第2可変減衰器114bを制御する。
【0035】
本実施形態において、第2基準レベルは、RoF_Tx110aと、RoF_Rx110bとの間のアイソレーションを超えない場合の送信電力となるような値があらかじめ設けられる。これにより、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10は、RoF_Tx110aと、RoF_Rx110bとの間における回り込みや不要な電波放射を防ぎ、消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0036】
(発光素子134の制御)
次に発光素子134の制御について説明する。図5Aは、本実施形態に係る保護スイッチ131の制御について説明するための図である。例えば、RoF送受信機100は、OPアンプを用いて第1比較器122aを構成し、保護スイッチ131の制御を行う。受信信号レベル検出部121の出力が判定レベルの上限である2Vを超えた場合はOPアンプ(第1比較器122a)の出力がHighレベルとなり、保護スイッチ131を動作させる(出力ポートがRFout1からRFout2へ変わる)。これにより受信信号の出力先が終端抵抗133へ接続され、発光素子134が保護される。なお、この制御は一例としてOPアンプを用いたが、マイコンやコンピュータを用いても良い。
【0037】
図5Bは、本実施形態に係るバイアス電流制御回路について説明するための図である。図5Bに示す例においては、受信信号レベル検出部121への入力電力が微弱な場合の制御例を示している。図5Bに示す例においては、OPアンプを用いて第1比較器122aを構成し、発光素子駆動部132に設けられた定電流源ICの制御を行う。
【0038】
受信信号レベル検出部121の出力電圧が0.1Vを下回るとOPアンプの出力がLowレベルとなり、定電流源ICをDisableさせることで、電流が発光素子134へ供給されなくなる。すなわちスイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの下限を下回る場合には、発光素子駆動部132をオフにし、発光素子134へ電流が供給されないように制御する。
【0039】
この制御は上述の保護スイッチ131の制御と同様に簡易な方法としてOPアンプを用いているが、マイコンやコンピュータを用いても良い。また定電流源ICは個々のデバイスを組み合わせて構成(ディスクリート)することも可能であるが、一般的に集積化(IC化)されているため、これを用いる方が簡便に構成することができる。
【0040】
図6は、本実施形態に係る発光素子の特性について説明するための図である。図6は、発光素子134に低消費電力とされるVCSELを用いた場合のLIV(光量、電流、電圧)特性を示す。
【0041】
例えば、7mA(2.4V)で駆動させた場合の消費電力は16.8mWであり、閾値電流である0.5mA(1.5V)にバイアス電流を低減させると消費電力は、0.75mWとなり、95%以上電力削減が可能となる。
【0042】
また、発光素子134にVCSELよりも消費電流が大きいLDを用いた場合は、更なる消費電力の低減が可能となる。これによりRoF送受信機100を使用していない時間帯やタイミングにおいては、消費電力を削減することができるほか、電子デバイスの発熱を抑えることが可能となる。
【0043】
無線信号が検出されないシチュエーションにおいて、基地局300から電波を送信する場合、四方に送信する訳ではなく、ビームを形成して送信される。そのため、RoF送受信機100を通した通信が発生しない場合は受信信号電力が微弱となる。また、例えば鳥などの遮蔽物で一時的に遮蔽された場合など、電波を遮断するようなケースにおいても検出される電力量は微量となる。
【0044】
さらに、不感地帯に設置するアンテナ側(第2送受信機100b)は、移動端末(端末400)が存在しない場合、無線信号が端末400から送信されないため、RoF送受信機100での電力検出は無い状況となる。そして、帯域通過フィルタ(図3参照)により周波数帯ごと受信可否が異なるためRoF送受信機100が対応する周波数以外は電力として検出されない。
【0045】
図7は、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10による消費電力低減の効果について説明するための図である。RoF送受信機100が使用されない場合の消費電力の抑制について、発光素子134とRoF送受信機100の各電源を連動させた構成の電力値を試算した結果を図7に示す。また、図8Aは、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10が適用されない場合の電圧、電流及び電力の値を示す。また、図8Bは、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10が適用される場合の電圧、電流及び電力の値を示す。
【0046】
図7に示すように、システム全体としてRoF送受信機100が適用されない場合より瞬時的に74%の消費電力の低減を図ることができる。従来は受信した無線信号を一度復調する工程が必要であり、復調による消費電力の増大や遅延時間の増加が懸念されていた。
【0047】
一方で、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10においては、復調する機能を備えなくても電力を検知する機能を有する。さらに、本実施形態に係る光ファイバ無線システム10は、アンプ(第1可変利得増幅部112a、第2可変利得増幅部112b)だけでなく発光素子134も電力制御することで、従来に比べて低消費電力なアナログRoFを実現することが可能となる。
【0048】
上述の通り、本実施形態に係るRoF送受信機100は、基地局300と、端末400との間の無線通信における受信信号を、光ファイバ伝送路200を介して中継伝送するためのRoF(Radio over Fiber)送受信機である。RoF送受信機100は、第1増幅器113a、第2増幅器113b及び第1可変減衰器114aを含み、受信信号の受信電力を増減する第1可変利得増幅部112aを備える。また、RoF送受信機100は、受信信号の受信電力を検出する受信信号レベル検出部121を備える。また、RoF送受信機100は、保護スイッチ131、発光素子134、発光素子駆動部132、及び終端抵抗133を含む発光部130aを備える。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された判定レベルとを比較する第1比較器122aを備える。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第1基準レベルとを比較する第2比較器122bを備える。また、RoF送受信機100は、第1比較器122aで比較された結果に基づいて、光ファイバ伝送路200に光信号を発光する発光部130aを制御するスイッチ制御部123を備える。また、RoF送受信機100は、第2比較器122bの比較結果に基づいて、第1可変利得増幅部112aを制御する第1減衰器制御部124aを備える。スイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの上限を超える場合には、保護スイッチ131を終端抵抗133側に切り替えるよう制御する。第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベル以上の場合は、受信電力が第1基準レベル以下になるように第1可変減衰器114aを制御する。また、第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベルより低い場合は、第1可変減衰器114aにおいて受信信号を減衰させないように制御する。
【0049】
これにより、RoF送受信機100は、受信信号の受信電力に応じて、受信電力のレベルを調整し、適切に発光素子134の発光を制御する。よって、RoF送受信機100は、無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能となる。
【0050】
また、RoF送受信機100は、光ファイバ伝送路200から受信した光信号を受信し、電気信号に変換する受光素子135をさらに備えてもよい。また、RoF送受信機100は、受光素子135で変換された電気信号の電流電圧変換を行う電流電圧変換部136を備えてもよい。また、RoF送受信機100は、第3増幅器113c、第4増幅器113d及び第2可変減衰器114bを含み、電気信号の送信電力を増減する第2可変利得増幅部112bを備えてもよい。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第2基準レベルとを比較する第3比較器122cを備えてもよい。また、RoF送受信機100は、第3比較器122cの比較結果に基づいて、第2可変利得増幅部112bを制御する第2減衰器制御部124bを備えてもよい。第2減衰器制御部124bは、受信電力が第2基準レベル以下の場合は、送信電力が第2基準レベル以下になるように第2可変減衰器114bを制御してもよい。
【0051】
これにより、RoF送受信機100は、RoF送受信機100に設けられたRoF_Tx110aと、RoF_Rx110bとの間における回り込みや不要な電波放射を防ぎ、消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0052】
また、スイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの下限を下回る場合には、発光素子駆動部132をオフにし、発光素子134へ電流が供給されないように制御してもよい。これにより、RoF送受信機100は、無線通信システムの機能を維持しつつ、簡易な構成で、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能となる。
【0053】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0054】
スイッチ制御部123は、温度を検知し、温度が所定の温度以上の場合には、発光素子134の発光量が少なくなるように発光素子駆動部132を制御してもよい。また、スイッチ制御部123は、温度が所定の温度以下の場合には、発光素子134の発光量が多くなるように発光素子駆動部132を制御してもよい。これにより、RoF送受信機100は、温度が変化しても適切な発光量を維持することが可能となる。
【0055】
以下に、RoF送受信機100及び光ファイバ無線システム10の特徴について記載する。
【0056】
第1の態様に係るRoF送受信機100は、基地局300と、端末400との間の無線通信における受信信号を、光ファイバ伝送路200を介して中継伝送するためのRoF(Radio over Fiber)送受信機である。RoF送受信機100は、第1増幅器113a、第2増幅器113b及び第1可変減衰器114aを含み、受信信号の受信電力を増減する第1可変利得増幅部112aを備える。また、RoF送受信機100は、受信信号の受信電力を検出する受信信号レベル検出部121を備える。また、RoF送受信機100は、保護スイッチ131、発光素子134、発光素子駆動部132、及び終端抵抗133を含む発光部130aを備える。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された判定レベルとを比較する第1比較器122aを備える。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第1基準レベルとを比較する第2比較器122bを備える。また、RoF送受信機100は、第1比較器122aで比較された結果に基づいて、光ファイバ伝送路200に光信号を発光する発光部130aを制御するスイッチ制御部123を備える。また、RoF送受信機100は、第2比較器122bの比較結果に基づいて、第1可変利得増幅部112aを制御する第1減衰器制御部124aを備える。スイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの上限を超える場合には、保護スイッチ131を終端抵抗133側に切り替えるよう制御する。第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベル以上の場合は、受信電力が第1基準レベル以下になるように第1可変減衰器114aを制御する。また、第1減衰器制御部124aは、受信電力が第1基準レベルより低い場合は、第1可変減衰器114aにおいて受信信号を減衰させないように制御する。
【0057】
上記構成によれば、RoF送受信機100は、受信信号の受信電力に応じて、受信電力のレベルを調整し、適切に発光素子134の発光を制御する。よって、RoF送受信機100は、無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能となる。
【0058】
第2の態様に係るRoF送受信機100は、光ファイバ伝送路200から受信した光信号を受信し、電気信号に変換する受光素子135をさらに備えてもよい。また、RoF送受信機100は、受光素子135で変換された電気信号の電流電圧変換を行う電流電圧変換部136を備えてもよい。また、RoF送受信機100は、第3増幅器113c、第4増幅器113d及び第2可変減衰器114bを含み、電気信号の送信電力を増減する第2可変利得増幅部112bを備えてもよい。また、RoF送受信機100は、受信電力と、あらかじめ記憶部180に記憶された第2基準レベルとを比較する第3比較器122cを備えてもよい。また、RoF送受信機100は、第3比較器122cの比較結果に基づいて、第2可変利得増幅部112bを制御する第2減衰器制御部124bを備えてもよい。第2減衰器制御部124bは、受信電力が第2基準レベル以下の場合は、送信電力が第2基準レベル以下になるように第2可変減衰器114bを制御してもよい。
【0059】
上記構成によれば、RoF送受信機100は、RoF送受信機100に設けられたRoF_Tx110aと、RoF_Rx110bとの間における回り込みや不要な電波放射を防ぎ、消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0060】
第3の態様に係るRoF送受信機100のスイッチ制御部123は、受信電力が判定レベルの下限を下回る場合には、発光素子駆動部132をオフにし、発光素子134へ電流が供給されないように制御してもよい。
【0061】
上記構成によれば、RoF送受信機100は、無線通信システムの機能を維持しつつ、簡易な構成で、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能となる。
【0062】
第4の態様に係るRoF送受信機100のスイッチ制御部123は、温度を検知してもよい。また、スイッチ制御部123は、温度が所定の温度以上の場合には、発光素子134の発光量が少なくなるように発光素子駆動部132を制御してもよい。また、スイッチ制御部123は、温度が所定の温度以下の場合には、発光素子134の発光量が多くなるように発光素子駆動部132を制御してもよい。
【0063】
上記構成によれば、RoF送受信機100は、温度が変化しても適切な発光量を維持することが可能となる。
【0064】
第5の態様に係る光ファイバ無線システム10は、上記のRoF送受信機100であって、基地局300と無線通信を行う第1送受信機100aと、端末400と無線通信を行う第2送受信機100bと、を備える。また、第1送受信機100a及び第2送受信機100bは、光ファイバ伝送路200を介して接続される。
【0065】
上記構成によれば、光ファイバ無線システム10は、受信信号の受信電力に応じて、受信電力のレベルを調整し、適切に発光素子134の発光を制御する。これにより、光ファイバ無線システム10は、不感地帯への無線信号の中継において無線通信システムの機能を維持しつつ、効率よく無線システムの省電力化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
10 光ファイバ無線システム
100 RoF送受信機
100a 第1送受信機
100b 第2送受信機
110a RoF_Tx
110b RoF_Rx
111a、111b、111c 帯域通過フィルタ
112a 第1可変利得増幅部
112b 第2可変利得増幅部
113a 第1増幅器
113b 第2増幅器
113c 第3増幅器
113d 第4増幅器
114a 第1可変減衰器
114b 第2可変減衰器
121 受信信号レベル検出部
122a 第1比較器
122b 第2比較器
122c 第3比較器
123 スイッチ制御部
124a 第1減衰器制御部
124b 第2減衰器制御部
131 保護スイッチ
132 発光素子駆動部
133 終端抵抗
134 発光素子
135 受光素子
136 電流電圧変換部
140 受信アンテナ
150 送信アンテナ
180 記憶部
200 光ファイバ伝送路
300 基地局
400 端末
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B