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2025-98736キュービクル保護システム及びキュービクルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098736
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】キュービクル保護システム及びキュービクルシステム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/28 20060101AFI20250625BHJP
   G01W 1/00 20060101ALN20250625BHJP
   G01W 1/10 20060101ALN20250625BHJP
【FI】
H02B1/28 D
G01W1/00 Z
G01W1/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215070
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】毛利 和久
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CG21
(57)【要約】
【課題】キュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合にキュービクルの筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できるキュービクル保護システム及びキュービクルシステムを提供する。
【解決手段】キュービクルシステムは、管理サーバと、キュービクルとを含む。管理サーバは、雨雲情報及びキュービクルの設置位置情報に基づいて、キュービクルの設置位置の降雨状態を判定し、判定した降雨状態に基づいて、キュービクルが備える制御装置によって、シャッターを閉状態及び開状態の何れかになるようにシャッターを動作させるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、
通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターを有する前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部と、
を有し、前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクル保護システムであって、
前記処理部は、
前記降水に関する気象情報及び前記キュービクルの設置位置情報に基づいて、前記キュービクルの設置位置の降雨状態を判定し、
判定した前記降雨状態に基づいて、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項2】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、
前記キュービクルの前記設置位置の現在の前記降雨状態を判定する、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項3】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、
前記降水に関する気象情報及び前記キュービクルの設置位置情報に加えて、風速に関する気象情報を取得し、
前記降水に関する気象情報、前記キュービクルの設置位置情報及び前記風速に関する気象情報に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の前記降雨状態を判定する、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項4】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の降雨状態を段階的に判定し、
判定した前記降雨状態が所定の段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が所定の段階より低い降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項5】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の前記降雨状態が晴、小雨及び大雨以上の何れであるか否かを判定し、
判定した前記降雨状態が、大雨以上である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が、晴又は小雨である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項6】
請求項3に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記キュービクルは前記シャッターの前記閉状態の固定及び固定の解除の何れかを行うように動作するシャッター固定機構を有し、前記制御部は、前記シャッター固定機構の動作を制御するように構成され、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度及び前記風速に関する気象情報が示す風速に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の前記降雨状態を段階的に判定し、
判定した前記降雨状態が所定の第1段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが固定されない前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が前記第1段階の降雨状態より高い第2段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させると共に、前記シャッターを前記閉状態で固定し、
判定した前記降雨状態が前記第1段階より低い降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項7】
請求項3に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記キュービクルは前記シャッターを前記閉状態の固定及び固定の解除の何れかを行うように動作するシャッター固定機構を有し、前記制御部は、前記シャッター固定機構の動作を制御するように構成され、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度及び前記風速に関する気象情報が示す風速に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の前記降雨状態が、晴、小雨、大雨以上及び暴風雨の何れであるか否かを判定し、
判定した前記降雨状態が大雨以上である場合、前記制御部によって、前記シャッターが固定されない前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が暴風雨である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させると共に、前記シャッターを前記閉状態で固定し、
判定した前記降雨状態が晴又は小雨である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項8】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、前記降水に関する気象情報を配信する情報配信サーバから前記降水に関する気象情報を受信するサーバに設けられており、
前記処理部は、受信した前記降水に関する気象情報を取得する、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項9】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、携帯端末内に設けられた、
キュービクル保護システム。
【請求項10】
請求項9に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記処理部は、前記携帯端末が備える表示装置に判定した前記降雨状態を示す画像を表示する、
ように構成され、
前記処理部は、
ユーザによる前記携帯端末の操作に基づいて、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させることもできる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【請求項11】
請求項1に記載のキュービクル保護システムにおいて、
前記降水に関する気象情報は、雨雲レーダから取得される雨雲情報である、
キュービクル保護システム。
【請求項12】
降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、
通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターと、前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部とを備えたキュービクルと、
を有し、
前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクルシステムであって、
前記処理部は、
前記降水に関する気象情報及び前記キュービクルの設置位置情報に基づいて、前記キュービクルの設置位置の降雨状態を判定し、
判定した前記降雨状態に基づいて、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させる、
ように構成された、
キュービクルシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のキュービクルシステムにおいて、
前記処理部は、
前記キュービクルの前記設置位置の現在の前記降雨状態を判定する、
ように構成された、
キュービクルシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のキュービクルシステムにおいて、
前記キュービクルは、
水滴を検知する水滴検知センサと、
前記水滴検知センサの出力に応じて動作する乾燥機構と、
を有する、
キュービクルシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のキュービクルシステムにおいて、
前記キュービクルは、前記設置位置の降水強度を計測する雨量計を有し、
前記制御部は、前記雨量計により計測された降水強度に基づいて、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させる、
ように構成された、
キュービクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュービクル保護システム及びキュービクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は、各種機器及び装置を金属製筐体に収納した高圧受電設備である(特許文献1を参照。)。従来のキュービクルでは、暴風雨、ゲリラ豪雨のような異常気象に対する対策は、換気口部に雨返しを追加すること、排水口を設置すること、及び、ゲタ基礎の両側面を遮蔽物で防ぐことなどによって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-16606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、暴風雨に対して雨返しを設置する対策は、横殴りの雨など強い風に乗った雨に対して効果的な対策ではなく、雨水がキュービクルの筐体内部に侵入してしまうことが生じ得る。この場合、キュービクルの筐体内部の高圧機器(電気機器)に雨水が付着することにより、高圧機器(電気機器)が備える絶縁材が劣化して絶縁破壊が生じてしまうことで、短絡が生じてしまう可能性がある。また、特許文献1のキュービクルは、異常気象(例えば、ゲリラ降雨、暴風雨など)のようなキュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態に対する十分な対策が施されていない。
【0005】
従って、従来のキュービクル及び特許文献1のキュービクルでは、降雨状態がキュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態(例えば、ゲリラ豪雨、暴風雨など)になると、キュービクルの筐体内部に雨水が直接侵入してしまうことが生じ得る。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、キュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合にキュービクルの筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できるキュービクル保護システム及びキュービクルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のキュービクル保護システムは、降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターを有する前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部と、を有し、前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクル保護システムであって、前記処理部は、前記降水に関する気象情報及び前記キュービクルの設置位置情報に基づいて、前記キュービクルの設置位置の降雨状態を判定し、判定した前記降雨状態に基づいて、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させる、ように構成される。
【0008】
本発明のキュービクルシステムは、降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターと、前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部とを備えたキュービクルと、を有し、前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクルシステムであって、前記処理部は、前記降水に関する気象情報及び前記キュービクルの設置位置情報に基づいて、前記キュービクルの設置位置の降雨状態を判定し、判定した前記降雨状態に基づいて、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態及び前記開状態の何れかになるように前記シャッターを動作させる、ように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合にキュービクルの筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の第1実施形態に係るキュービクルシステムのシステムの構成例を示すシステム構成図である。
図2図2は管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3図3はキュービクルの構造の一部を模式的に示す図である。
図4図4は管理サーバのCPUが実行する処理フローを示すフローチャートである。
図5図5はキュービクルの構成例を示す図である。
図6図6は制御装置のCPUが実行する処理フローを示す図である。
図7図7はキュービクルの構成例を示す図である。
図8図8は制御装置のCPUが実行する処理フローを示すフローチャートである。
図9図9はキュービクルの構成例を示す図である。
図10図10は管理サーバのCPUが実行する処理フローを示す図である。
図11図11は本発明の第5実施形態に係るキュービクルシステムを含むシステムの構成例を示すシステム構成図である。
図12図12は管理サーバのCPUが実行する処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<背景>
まず本発明の理解を容易にするため、本発明の技術的背景について説明する。昨今の異常気象により、ゲリラ豪雨や暴風雨によりキュービクル内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている状況に対して対策が必要となっている。
【0012】
これに対して、本願発明者等は、雨雲レーダなどから取得される降水に関する気象情報に基づいて、キュービクル設置場所の気象状況又は気象予報に応じてリアルタイムに換気口部(通気口)のシャッターの開閉を行いゲリラ豪雨や暴風雨に対応できるキュービクルシステムを検討した。一方で、キュービクルでは、盤内に空気の循環が必要であることから、完全に筐体を密閉状態にして、その状態を長期間維持することは好ましくない。
【0013】
そこで、本発明は、換気口部(通気口)のシャッターを必要に応じて適切に自動開閉することにより、盤内の空気の循環を確保しつつ、雨水からキュービクルを保護することを目的とする。
【0014】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一又は対応する部分には同一の符号を付す場合がある。以下の説明では、CPUを主語として処理(動作)を説明する場合があるが、処理の主語が、CPUに代えて、装置(サーバ又は制御装置)とされてもよい。以下の説明では、装置(サーバ又は制御装置)を主語として処理(動作)を説明する場合があるが、装置(サーバ又は制御装置)に代えて、CPUとされてもよい。
【0015】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態に係るキュービクルシステムについて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るキュービクルシステムの構成例を示すシステム構成図である。図1示すように、キュービクルシステムは、情報配信サーバ100と、管理サーバ200と、キュービクル式高圧受電設備300(以下、「キュービクル300」と称呼される。)と、を含む。キュービクル300は制御装置310を備える。なお、管理サーバ200と、キュービクル300の制御装置310とを含むシステムは、便宜上、「キュービクル保護システム」と称呼される場合がある。管理サーバ200と、キュービクル300とを含むシステムを、キュービクルシステムと称呼してもよい。
【0016】
情報配信サーバ100及び管理サーバ200は、ネットワークNW1を介して情報を送受信できるように接続されている(通信可能に構成されている。)。管理サーバ200と、キュービクル300が備える制御装置310とは、無線LANを介して、互いに情報を送受信できるように接続されている(通信可能に構成されている。)。
【0017】
情報配信サーバ100は、雨雲レーダAN1から、降水に関する気象情報として雨雲情報を取得し、管理サーバ200に雨雲情報を逐次送信する。雨雲情報は、現在又は将来の雨雲や降水範囲を示す情報、現在又は将来の降水の状況を示す情報(現在又は将来の降水量、現在又は将来の降水強度(単位時間(1時間)当たりの降水量))などを含んでいる。なお、情報配信サーバ100は、他の気象観測手段から風速に関する気象情報などを取得し、管理サーバ200に風速に関する情報を逐次送信するようにしてもよい。
【0018】
図2は管理サーバ200のハードウェア構成例を示す図である。管理サーバ200は、キュービクル300の通気口334(「換気口」とも称呼される場合がある。)を閉じたり、開放したりするシャッター340(図3を参照。)の制御を管理するサーバである。
【0019】
管理サーバ200は、CPU211、ROM212、RAM213、データの読み出し及び書き込み可能な不揮発性の記憶装置214、ネットワークインタフェース215及び入出力インタフェース216等を含む。これらは、バス217を介して互いに通信可能に接続されている。なお、CPU211のような情報を処理するコンポーネントは、便宜上、「処理部」とも称呼される。
【0020】
CPU211は、ROM212及び/又は記憶装置214に格納された図示しない各種プログラムをRAM213にロードし、RAM213にロードされたプログラムを実行することによって、各種機能を実現する。RAM213には、上述したようにCPU211が実行する各種プログラムがロードされ、CPU211が各種プログラムを実行する際に使用するデータが一時的に記憶される。ROM212及び/又は記憶装置214は不揮発性の記憶媒体であり、ROM212及び/又は記憶装置214には各種プログラムが記憶されている。
【0021】
記憶装置214には、キュービクル300の設置位置を示す設置位置情報が格納(記憶、保存)されている。なお、これらの情報の詳細は、後述する。
【0022】
ネットワークインタフェース215は、管理サーバ200がネットワークNW1及び無線LANに接続されるためのインタフェースである。入出力インタフェース216は、キーボード及び表示装置等に接続されるためのインタフェースである。表示装置は、画像を表示可能なディスプレイである。
【0023】
なお、管理サーバ200は、その一部又は全部をFPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されたハードウェアデバイスが使用されてもよい。また、管理サーバ200は、複数のサーバで構成されてもよく、クラウド上に構築される仮想的な計算機であってもよい。
【0024】
図3はキュービクル300の構成例を示す図である。キュービクル300は、金属筐体320と、屋根部330と、金属筐体320の内部に配置された変圧器などの各種機器とを含む。なお、これらの機器は周知であるので説明を省略する。
【0025】
屋根部330には、金属筐体320の内部空間と連通する換気用の通路331が形成されている。換気用の通路331には、仕切り壁332が設けられている。換気用の通路331は、仕切り壁332により外側屋根部330aと、内側屋根部330bとに区分される。
【0026】
仕切り壁332には、仕切り壁332を貫通する換気口333が形成されている。外側屋根部330aの下側の面には、屋根部330の内部と外部とを連通する通気口334が設けられている。外側屋根部330aには、雨水が内部に進入することを防ぐ部材である雨返し335が設けられている。
【0027】
屋根部330には、通気口334を完全に閉じる全閉位置と、通気口334を開放する全開位置との間を動作可能なシャッター340が取り付けられている。なお、シャッター340が全閉位置にあり通気口334を閉じたシャッター340の状態は、「閉状態」と称呼され、シャッター340が全開位置にあり通気口334が開放している(通気口334を閉じない)シャッター340の状態は、「開状態」と称呼される。なお、図3では、シャッター340が全閉位置にある閉状態を示している。
【0028】
金属筐体320には、制御装置310及びシャッター駆動装置360が設けられている。制御装置310は、CPU311、ROM312、RAM313、データの読み出し及び書き込み可能な不揮発性の記憶装置314、ネットワークインタフェース315及び入出力インタフェース316等を含む。これらは、図示しないバスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0029】
CPU311は、ROM312及び/又は記憶装置314に格納された図示しない各種プログラムをRAM313にロードし、RAM313にロードされたプログラムを実行することによって、各種機能を実現する。RAM313には、上述したようにCPU311が実行する各種プログラムがロードされ、CPU311が各種プログラムを実行する際に使用するデータが一時的に記憶される。ROM312及び/又は記憶装置314は不揮発性の記憶媒体であり、ROM312及び/又は記憶装置314には各種プログラムが記憶されている。
【0030】
ネットワークインタフェース315は、制御装置310が無線LANに接続されるためのインタフェースである。入出力インタフェース316は、キーボード及び表示装置等に接続されるためのインタフェースである。表示装置は、画像を表示可能なディスプレイである。
【0031】
なお、制御装置310は、その一部又は全部をFPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成したハードウェアデバイスが使用されてもよい。制御装置310は、便宜上、「制御部」と称呼される場合がある。
【0032】
シャッター駆動装置360は、図示しない電力源から供給される電力によって駆動されるモータ361とシャッター開閉機構362とを含む。シャッター駆動装置360は、モータ361を第1方向に回転させることにより、シャッター開閉機構362を介して、シャッター340を全開位置まで動かすことにより、シャッター340を開状態にする。シャッター駆動装置360は、モータ361を第1方向と逆方向である第2方向に回転させることにより、シャッター開閉機構362を介してシャッター340を全閉位置まで動かすことにより、シャッター340を閉状態にする。
【0033】
<概要>
情報配信サーバ100は、雨雲情報を管理サーバ200に送信する。管理サーバ200は、雨雲情報を受信する。管理サーバ200は、雨雲情報及び記憶装置314に格納された設置位置情報に基づいて、設置位置情報が示すキュービル300の設置位置の降雨状態を判定する。管理サーバ200は、キュービクル300の設置位置の降雨状態が晴及び小雨以上の何れであるかを判定し、キュービクル300の設置位置の降雨状態が小雨以上である場合、キュービクル300の設置位置の降雨状態が大雨以上であるか小雨であるか否かを判定する。
【0034】
管理サーバ200は、例えば、雨雲情報が示す降水強度(即ち、1時間当たりの降水量)が第1閾値より小さい場合、降雨状態が晴と判定し、雨雲情報が示す降水強度が第1閾値以上である場合、降雨状態が小雨以上であると判定する。管理サーバ200は、雨雲情報が示す降水強度が第2閾値以上である場合、降雨状態が大雨以上であると判定し、管理サーバ200は、第1閾値以上であり、且つ、第2閾値より小さいである場合、降雨状態が小雨であると判定する。
【0035】
なお、日本国の気象庁の雨の強さに関する用語に基づけば、次のように定義される。
降水量(1時間雨量)(即ち、降水強度)がゼロ又は極めて微量であるとき、晴と定義される。降水量(1時間雨量)が、極めて微量より大きく且つ10mm未満の降雨状態は、小雨又は弱い雨と定義される。
【0036】
降水量(1時間雨量)が10mm以上20mm未満の降雨状態は、「やや強い雨」と定義される。この降雨状態は、人の受けるイメージで表現すると、ザーザーとふる状態である。降水量(1時間雨量)が20mm以上30mm未満の降雨状態は、「強い雨」と定義される。この降雨状態は、人の受けるイメージで表現すると、どしゃ降りの状態である。降水量(1時間雨量)が30mm以上50mm未満の降雨状態は、「激しい雨」と定義される。この降雨状態は、人の受けるイメージで表現すると、バケツをひっくり返したように降る状態である。降水量(1時間雨量)が50mm以上80mm未満の降雨状態は、「非常に激しい雨」と定義される。この降雨状態は、人の受けるイメージで表現すると、滝のように降る状態である。降水量(1時間雨量)が80mm以上の降雨状態は、「猛烈な雨」と定義される。この降雨状態は、人の受けるイメージで表現すると、息苦しくなるような圧迫感がある状態、恐怖を感ずる状態である。
【0037】
本例において、「大雨以上」とは、例えば、上記の定義でいえば「強い雨」以上の状態のことをいう。降雨状態が「小雨以上」とは、例えば、上記の定義でいえば「小雨」又は「弱い雨」以上の状態のことをいう。降雨状態が「小雨」とは、上記の定義でいう「やや強い雨」の状態を含む場合がある。「晴」とは、例えば、上記の定義でいえば「晴」の状態のことをいう。第1閾値及び第2閾値は、例えば、上記の降水量(1時間雨量)を参考に任意の値を設定してもよい。一例を挙げると、第1閾値は、例えば、3mm/hであり、第2閾値は、20mm/hである。
【0038】
なお、降雨状態を表現する用語として、ゲリラ豪雨とは、局地的大雨又は集中豪雨のことをいい、局地的大雨は、急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨のことをいい、集中豪雨とは、同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨のことをいう。暴風雨とは、強風と激しい雨が発生する気象状態をいう。従って、これらの降雨状態は、「大雨以上」の状態に含まれるということができる。
【0039】
キュービクル300の設置位置の降雨状態が晴である場合、管理サーバ200は、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるように、制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、管理サーバ200から指令を受信すると、シャッター340が全閉位置にある場合、シャッター駆動装置360のモータ361を第1方向に回転させて、シャッター340を全開位置まで移動させる。なお、シャッター340が全開位置にある場合、制御装置310は、モータ361を回転させずにシャッター340を全開位置に維持する。このようにシャッター340が開状態になるように動作することを「シャッター340が開動作を行う」という。
【0040】
キュービクル300の設置位置の降雨状態が小雨以上であり、且つ、大雨以上ではない場合(即ち、小雨の場合)、管理サーバ200は、同様に、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるように、制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、管理サーバ200から指令を受信すると、シャッター340が開動作を行うように制御する。
【0041】
キュービクル300の設置位置の降雨状態が大雨以上である場合、雨水が金属筐体320の内部に侵入してしまう可能性がある。従って、この場合、管理サーバ200は、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態になるように、制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、管理サーバ200から指令を受信すると、シャッター340が全開位置にある場合、シャッター駆動装置360のモータ361を第2方向に回転させて、シャッター340を全閉位置まで移動させる。なお、シャッター340が全閉位置にある場合、制御装置310は、モータ361を回転させずにシャッター340を全閉位置に維持する。このようにシャッター340が閉状態になるように動作することを「シャッター340が閉動作を行う」という。
【0042】
キュービクルシステムは、降雨状態が大雨以上である場合にシャッター340で通気口334を閉じることによって、キュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている状況(例えば、ゲリラ豪雨や暴風雨などの状況)に対し、雨水がキュービクル300内に直接侵入しないように適切な対策を行うことができる。一方で、キュービクルシステムは、キュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが低いか、又は、リスクがない場合(例えば、晴又は小雨の場合)、シャッター340を開状態にして通気口334を開放することにより、適切に金属筐体320内を換気することができる。
【0043】
<具体的作動>
図4は管理サーバ200のCPU211が実行する処理フローを示すフローチャートである。CPU211は図4に示す処理フローを所定時間が経過する毎に繰り返し実行する。CPU211は図4のステップ400から処理を開始して以下に述べるステップ405及びステップ410の処理を順に実行した後、ステップ415に進む。
【0044】
ステップ405:CPU211は情報配信サーバ100から雨雲情報を受信する。
【0045】
ステップ410:CPU211は管理サーバ200の記憶装置214からキュービクル300の設置位置情報を取得する。
【0046】
CPU211は、ステップ415に進むと、雨雲情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上であるか否かを判定する。
【0047】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上ではない場合、CPU211はステップ415にて「NO」と判定してステップ420に進み、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したようシャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が開状態になるようにシャッター340の動作を制御する。その後、CPU211はステップ495に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0048】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上である場合、CPU211はステップ415にて「YES」と判定してステップ425に進み、雨雲情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上であるか否かを判定する。
【0049】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上ではない場合(即ち、降雨状態が小雨である場合)、CPU211はステップ425にて「NO」と判定してステップ420に進み、既述のステップ420の処理を実行した後、ステップ495に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0050】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上である場合、CPU211はステップ425にて「YES」と判定してステップ430に進み、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したように、シャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が閉状態になるようにシャッター340の動作を制御する。その後、CPU211はステップ495に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0051】
<効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係るキュービクルシステムは、その設置位置の現在の降雨状態がキュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態になった場合に、制御装置310によって、シャッター340を閉状態にすることで、キュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できる。第1実施形態に係るキュービクルシステムは、現在の降雨状態(大雨以上)に応じて速やかにシャッター340を閉状態にすることができるので、降雨状態が突破的に急変して大雨以上(例えば、ゲリラ豪雨)になった場合であっても、キュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できる。更に、第1実施形態に係るキュービクルシステムは、現在の降雨状態(小雨又は晴)に応じてシャッター340を開状態にすることができるので、キュービクル300内の換気を確保することができる。
【0052】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態に係るキュービクルシステムについて説明する。第2実施形態に係るキュービクルシステムは、以下の点のみにおいて第1実施形態に係るキュービクルシステムと相違点を有する。
・第2実施形態に係るキュービクルシステムは、キュービクル300にスペースヒータ501及び水滴感知センサ502を配置し、水滴感知センサ502によってキュービクル300内に水滴を感知した場合にスペースヒータ501を作動させて、キュービクル300内を乾燥させる。
【0053】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0054】
図5は第2実施形態に係るキュービクルシステムが適用されるキュービクル300の構成例を示す図である。図5に示すように、キュービクル300は、スペースヒータ501及び水滴感知センサ502を備える。スペースヒータ501及び水滴感知センサ502は、制御装置310と情報を送受信可能に接続されている。その他は、第1実施形態のキュービクル300と同様である。
【0055】
スペースヒータ501は、キュービクル300の金属筐体320内の空間を暖房するための小型の電気ヒータである。スペースヒータ501は、制御装置310によって、スペースヒータ501の作動状態をON及びOFFの何れかに制御できるようになっている。
【0056】
水滴感知センサ502は、キュービクル300内の所定箇所に設置され、水滴(結露)を検出(感知)するためのセンサである。水滴感知センサ502は、水滴が感知されたか否かを示す検知信号を制御装置310に送信するようになっている。制御装置310は、検知信号に基づいて、キュービクル300内に水滴が存在するか否かを判定することができる。
【0057】
<具体的作動>
図6は制御装置310のCPU311が実行する処理フローを示すフローチャートである。キュービクルシステムの管理サーバ200のCPU211は既述の図4に示す処理フローを所定時間が経過する毎に繰り返し実行する。更に、キュービクル300の制御装置310のCPU311は所定時間が経過する毎に図6に示す処理フローを繰り返し実行する。CPU311は図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、水滴感知センサ501から検知信号を取得する。
【0058】
その後、CPU311はステップ610に進み、検知信号に基づき水滴が検知されたか否かを判定する。
【0059】
水滴が検知された場合、CPU311はステップ610にて「YES」と判定してステップ615に進み、スペースヒータ501を作動(ON)させる。その後、CPU311はステップ695に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0060】
水滴が検知されていない場合、CPU311はステップ610にて「NO」と判定してスペースヒータ501を停止(OFF)し、ステップ695に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0061】
<効果>
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係るキュービクルシステムは、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に、第2実施形態に係るキュービクルシステムは、水滴が検知された場合に、スペースヒータ501によりキュービクル300内を温めて乾燥することによって、キュービクル300内の湿気を除去することができる。
【0062】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態に係るキュービクルシステムについて説明する。第3実施形態に係るキュービクルシステムは、以下の点のみにおいて第1実施形態に係るキュービクルシステムと相違点を有する。
・第3実施形態に係るキュービクルシステムは、図7に示すように、キュービクル300に雨量計700を配置し、雨量計700によって降水強度を計測し、計測した降水強度に基づいてシャッター340の開閉を行う。
【0063】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0064】
<具体的作動>
図8は制御装置310のCPU311が実行する処理フローを示すフローチャートである。キュービクルシステムの管理サーバ200のCPU211は既述の図4に示す処理フローを所定時間が経過する毎に繰り返し実行する。更に、キュービクル300の制御装置310のCPU311は所定時間が経過する毎に図8に示す処理フローを繰り返し実行する。CPU311は図8のステップ800から処理を開始してステップ805に進み、雨量計700から降水強度を取得する。
【0065】
その後、CPU311はステップ810に進み、降水強度に基づいて、降雨状態が大雨以上であるか否かを判定する。降雨状態が大雨以上である場合、CPU311はステップ810にて「YES」と判定してステップ815に進み、シャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態になるようにシャッター340の動作を制御する。その後、CPU311はステップ895に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0066】
降雨状態が大雨以上ではない場合、CPU311はステップ810にて「NO」と判定してステップ820に進み、シャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるようにシャッター340の動作を制御する。
【0067】
<効果>
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係るキュービクルシステムは、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に第3実施形態に係るキュービクルシステムは、雨雲情報によるシャッター340の開閉に加えて、制御装置310が雨量計700により計測した降水強度に応じてシャッター340の開閉を実行する。これにより、第3実施形態に係るキュービクルシステムは、雨雲情報に基づいて判定される降雨状態に応じたシャッター340の開閉を補完して、シャッター340の開閉を行うことができる。これにより、第3実施形態に係るキュービクルシステムは、降雨状態がキュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合に、キュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を更に低下できる。
【0068】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態に係るキュービクルシステムについて説明する。第4実施形態に係るキュービクルシステムは、以下の点のみにおいて第1実施形態に係るキュービクルシステムと相違点を有する。
・第4実施形態に係るキュービクルシステムは、管理サーバ200は、雨雲情報に加えて、風速に関する気象情報を用いて、現在の降雨状態を判定する。
・第4実施形態に係るキュービクルシステムは、図9に示すようにシャッター駆動装置360にシャッター固定機構363を含み、現在の降雨状態が暴風雨であると判定した場合、シャッター固定機構363を作動させシャッター340を閉じた状態を固定する。
【0069】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0070】
<具体的作動>
図10は管理サーバ200のCPU211が実行する処理フローを示すフローチャートである。CPU211は図10に示す処理フローを所定時間が経過する毎に繰り返し実行する。CPU211は図10のステップ1000から処理を開始して以下に述べるステップ1005及びステップ1010の処理を順に実行した後、ステップ1015に進む。
【0071】
ステップ1005:CPU211は情報配信サーバ100から雨雲情報及び風速に関する気象情報を受信する。
【0072】
ステップ1010:CPU211は記憶装置314からキュービクル300の設置位置情報を取得する。
【0073】
CPU211は、ステップ1015に進むと、雨雲情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上であるか否かを判定する。
【0074】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上ではない場合、CPU211はステップ1015にて「NO」と判定してステップ1020に進み、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したようシャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が開状態になるようにシャッター340の動作を制御する。その後、CPU211はステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0075】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が小雨以上である場合、CPU211はステップ1015にて「YES」と判定してステップ1025に進み、雨雲情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上であるか否かを判定する。
【0076】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上ではない場合(即ち、小雨である場合)、CPU211はステップ1025にて「NO」と判定してステップ1020に進み、既述のステップ1020の処理を実行した後、ステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0077】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が大雨以上である場合、CPU211はステップ1025にて「YES」と判定してステップ1030に進み、風速に関する気象情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、風速に関する気象情報が示すキュービクル300の設置位置の現在の風速が所定の閾値以上であるか否かを判定することにより、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨であるか否かを判定する。即ち、風速に関する気象情報が示すキュービクル300の設置位置の現在の風速が所定の閾値以上である場合、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨であると判定し、風速に関する気象情報が示すキュービクル300の設置位置の現在の風速が所定の閾値より小さい場合、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨ではないと判定する。
【0078】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨である場合、CPU211はステップ1030にて「YES」と判定してステップ1035に進み、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態で固定された状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したようシャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が閉状態になるようにシャッター340の動作を制御し、且つ、シャッター固定機構363を作動させることにより、シャッター340を閉状態で固定する。その後、CPUはステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0079】
キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨ではない場合、CPU211はステップ1030にて「NO」と判定してステップ1040に進み、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態(且つ固定されていない状態)になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したようシャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が閉状態になるようにシャッター340の動作を制御する。その後、CPUはステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0080】
<効果>
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係るキュービクルシステムは、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に、本発明の第4実施形態に係るキュービクルシステムは、雨雲情報及び風速に関する気象情報に基づいて、現在の降雨状態が、キュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合にシャッター340を閉じ、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が暴風雨である場合、シャッター340を閉じた状態で固定する。これにより、第4実施形態に係るキュービクルシステムは、降雨状態が暴風雨であっても、キュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できる。
【0081】
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態に係るキュービクルシステムの構成例について説明する。図11は本発明の第5実施形態に係るキュービクルシステムの構成例を示すシステム構成図である。図11に示すように、キュービクルシステムは、情報配信サーバ100と、管理サーバ200と、キュービクル300と、携帯端末1100と、を含む。
【0082】
情報配信サーバ100及び管理サーバ200は、ネットワークNW1を介して情報を送受信できるように接続されている(通信可能に構成されている。)。管理サーバ200と、キュービクル300が備える制御装置310と、携帯端末1100は、無線LANを介して、互いに情報を送受信できるように接続されている(通信可能に構成されている。)。
【0083】
携帯端末1100は、小型で携帯可能な電子デバイスで、例えば、スマートフォン又はタブレットなどである。携帯端末1100は、マイクロコンピュータ及び表示装置を有しており、高度な計算、情報処理、通信機能を提供する。なお、マイクロコンピュータのハードウェア構成例としては、図2に示したハードウェア構成と同様の構成を適用できる。
【0084】
携帯端末1100は、制御装置310に指令を送信することにより、制御装置310を介して、シャッター340が閉状態及び開状態の何れかになるようにシャッター340の動作を制御することが可能である。
【0085】
第1実施形態と同様、管理サーバ200は、情報配信サーバ100から雨雲情報を受信し、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態を判定する。管理サーバ200は、判定結果(即ち、判定したキュービクル300の設置位置の現在の降雨状態)をユーザの携帯端末1100に送信する。
【0086】
携帯端末1100は、判定結果を受信すると、判定結果を示す画像を携帯端末1100の表示装置(携帯端末1100の画面)に表示する。携帯端末1100を所持するユーザは、判定結果を示す画像に確認し、遠隔操作によりシャッター340を開状態及び閉状態の何れかになるように、シャッター340を動作させることができる。即ち、ユーザは、携帯端末1100の画面に表示された判定結果を確認した後、携帯端末1100を操作することによって、制御装置310に指令を送信することにより、判定結果に応じてシャッター340を全閉位置及び全開位置の何れかに移動するように制御することができる。
【0087】
<具体的作動>
図12は管理サーバ200のCPU211が実行する処理フローを示すフローチャートである。CPUは図12に示す処理フローを所定時間が経過する毎に繰り返し実行する。CPU211は図12のステップ1200から処理を開始して以下に述べるステップ1205乃至ステップ1220の処理を順に実行した後、ステップ1295に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0088】
ステップ1205:CPU211は情報配信サーバ100から雨雲情報を受信する。
【0089】
ステップ1210:CPU211は記憶装置314からキュービクル300の設置位置情報を取得する。
【0090】
ステップ1215:CPU211は、雨雲情報及びキュービクル300の設置位置情報に基づいて、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態が、晴、小雨及び大雨以上の何れであるか否かを判定する。
【0091】
ステップ1220:CPU211は、判定した降雨状態を示す情報を携帯端末1100に送信する。
【0092】
<効果>
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係るキュービクルシステムは、管理サーバ200がキュービクル300のシャッター340を遠隔操作可能な携帯端末1100にキュービクル300の設置位置の降雨状態を送信することにより、キュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合に携帯端末1100を所持するユーザに、携帯端末1100の操作に基づく遠隔操作によってシャッター340を閉じることを促すことができる。これにより、本発明の第5実施形態に係るキュービクルシステムは、降雨状態が激しい場合であっても、キュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を低下できる。
【0093】
<第5実施形態の変形例>
第5実施形態の第1変形例は、携帯端末1100が管理サーバ200から受信した判定した降雨状態を示す情報に基づいて、キュービクル300の制御装置310に自動で指令を送信する第1状態(第1モード)と、携帯端末1100が、ユーザの操作に基づいて、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する第2状態(第2モード)と、を携帯端末1100に対するユーザの操作により、切り替えることができる。
【0094】
携帯端末1100が第1状態である場合、携帯端末1100は次のように動作する。即ち、携帯端末1100は、判定した現在の降雨状態が小雨又は晴である場合、シャッター340が通気口334を閉じない開状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したようシャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が開状態になるようにシャッター340の動作を制御する。
【0095】
携帯端末1100は、判定した現在の降雨状態が大雨以上である場合、シャッター340が通気口334を閉じる閉状態になるように、キュービクル300の制御装置310に指令を送信する。制御装置310は、指令を受けると、既述したように、シャッター駆動装置360のモータ361を制御することにより、シャッター340が閉状態になるようにシャッター340の動作を制御する。
【0096】
携帯端末1100が第2状態である場合、携帯端末1100は第5実施形態で説明した既述の動作と同様に動作する。
【0097】
<第5実施形態の第2変形例>
第5実施形態の第2変形例は、管理サーバ200が第5実施形態で説明した動作及び第1実施形態と同様の動作を行う。即ち、第5実施形態の第2変形例は、携帯端末1100によるシャッター340の動作の制御に加えて、管理サーバ200によるシャッター340の動作の制御を行う。
【0098】
従って、第5実施形態の第2変形例では、管理サーバ200が、キュービクル300の設置位置の現在の降雨状態に応じて、制御装置310を介して、自動でシャッター340の開閉を制御する。更に、第5実施形態の第2変形例では、携帯端末1100の画面に表示されたキュービクル300の設置位置の現在の降雨状態の判定結果を見たユーザの判断に基づいて、携帯端末1100をユーザが操作することにより、手動でシャッター340の開閉を制御することもできる。
【0099】
これにより、第5実施形態の第2変形例は、降雨状態がキュービクル300内へ雨水が直接侵入するリスクが高まっている降雨状態である場合にキュービクル300の筐体内部に雨水が侵入してしまう可能性を更に低下できる。
【0100】
<<他の変形例>>
本発明は上記各実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。更に、上記各実施形態及び変形例は、本発明の範囲を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0101】
上記第1実施形態乃至第4実施形態のそれぞれにおいて、管理サーバ200は、雨雲情報に基づいて、将来(例えば、現在より所定時間後の時点)の降雨状態を判定し、判定した降雨状態に基づいて、制御装置310によって、シャッター340が閉状態及び開状態の何れかになるように、シャッター340を動作させるようにしてもよい。例えば、将来の降雨状態が大雨以上であると判定した場合、管理サーバ200は、判定した時点でシャッター340が閉状態になるように、制御装置310に指令を送信するようにしてもよく、降雨状態が大雨以上となる将来の時刻にて、シャッター340が閉状態になるように、制御装置310に指令を送信するようにしてもよい。
【0102】
上記第1実施形態乃至第4実施形態のそれぞれにおいて、管理サーバ200が携帯端末1100に置換され、携帯端末1100が管理サーバ200と同様の動作を行うようにしてもよい。
【0103】
第5実施形態において、管理サーバ200は、雨雲情報に基づいて、将来(例えば、現在より所定時間後の時点)の降雨状態を判定するようにしてもよく、将来及び現在の降雨状態の両方を判定するようにしてもよい。
【0104】
上記第1実施形態乃至第5実施形態並びに変形例において、情報配信サーバ100は、雨雲レーダ(気象レーダ)から雨雲情報を取得したが、情報配信サーバ100は、気象予報機関、気象衛星、又は、地上の気象観測所などの他の気象観測手段によって収集された他の降水に関する気象情報を取得し、それを雨雲情報に代えて、管理サーバ200又は携帯端末1100に送信するようにしてもよい。この場合、管理サーバ200又は携帯端末1100は、雨雲情報に代えて、他の降水に関する気象情報を使用する。
【0105】
なお、本発明は以下の構成をとることもできる。
【0106】
[1]
降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、
通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターを有する前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部と、
を有し、前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクル保護システムであって、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の降雨状態を段階的に判定し、
判定した前記降雨状態が所定の段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が所定の段階より低い降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【0107】
[2]
降水に関する気象情報及びキュービクルの設置位置情報を取得する処理部と、
通気口が形成され、前記通気口を閉じた閉状態にする閉動作及び前記通気口を開放した開状態にする開動作を行うシャッターを有する前記キュービクルの前記シャッターの動作を制御する制御部と、
を有し、前記処理部と前記キュービクルの前記制御部とが通信可能に構成されたキュービクル保護システムであって、
前記キュービクルは前記シャッターの前記閉状態の固定及び固定の解除の何れかを行うように動作するシャッター固定機構を有し、前記制御部は、前記シャッター固定機構の動作を制御するように構成され、
前記処理部は、
前記設置位置情報が示す前記設置位置における前記降水に関する気象情報が示す降水強度及び前記風速に関する気象情報が示す風速に基づいて、前記キュービクルの前記設置位置の前記降雨状態を段階的に判定し、
判定した前記降雨状態が所定の第1段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが固定されない前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させ、
判定した前記降雨状態が前記第1段階の降雨状態より高い第2段階以上の降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記閉状態になるように前記シャッターを閉動作させると共に、前記シャッターを前記閉状態で固定し、
判定した前記降雨状態が前記第1段階より低い降雨状態である場合、前記制御部によって、前記シャッターが前記開状態になるように前記シャッターを開動作させる、
ように構成された、
キュービクル保護システム。
【符号の説明】
【0108】
100…情報配信サーバ、200…管理サーバ、300…キュービクル、310…制御装置、320…金属筐体、334…通気口、340…シャッター、360…シャッター駆動装置、361…モータ、362…シャッター開閉機構
図1
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図12