(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098753
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】鞍乗り型電動車両
(51)【国際特許分類】
B62M 7/02 20060101AFI20250625BHJP
B62J 43/16 20200101ALI20250625BHJP
B62M 9/16 20060101ALI20250625BHJP
B62J 25/06 20200101ALI20250625BHJP
B62K 11/04 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
B62M7/02 A
B62J43/16
B62M9/16 C
B62J25/06
B62K11/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215104
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶
(72)【発明者】
【氏名】▲高崎▼ 春彦
(72)【発明者】
【氏名】藤本 敦也
(72)【発明者】
【氏名】網田 大暁
(72)【発明者】
【氏名】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 響輔
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AK03
3D011AK14
3D011AL21
3D011AL39
(57)【要約】
【課題】駆動用部品のレイアウトによる車体設計への影響を抑えることができる鞍乗り型電動車両を提供する。
【解決手段】ヘッドパイプ16と、メインフレーム17と、左右一対のピボットフレーム18と、左右のピボットフレーム18同士を連結する上下のクロスメンバ22,23と、を有する車体フレーム5と、スイングアーム30と、左右のピボットフレーム18よりも後方に配置されるパワーユニット8と、を備え、パワーユニット8は、電気モーター50を収容するユニットケース53を備え、ユニットケース53は、左右のピボットフレーム18の間で上下のクロスメンバ22,23に車両前後方向で締結されるマウント部56を備え、スイングアーム30のピボット軸33は、左右のピボットフレーム18およびマウント部56に支持されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向輪(2)を操舵可能に支持するヘッド部(16)と、前記ヘッド部(16)から後方に延びるメインフレーム(17)と、前記メインフレーム(17)の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム(18)と、左右の前記ピボットフレーム(18)同士を連結するクロスメンバ(22,23)と、を有する車体フレーム(5)と、
駆動輪(3)を支持するスイングアーム(30)と、
車両駆動用の電気モーター(50)を含み、車両側面視で前記ピボットフレーム(18)よりも後方に配置されるパワーユニット(8)と、を備え、
前記パワーユニット(8)は、前記電気モーター(50)を収容するユニットケース(53)を備え、
前記ユニットケース(53)は、左右の前記ピボットフレーム(18)の間で前記クロスメンバ(22,23)に車両前後方向で締結されるマウント部(56)を備え、
前記スイングアーム(30)のピボット軸(33)は、左右の前記ピボットフレーム(18)および前記マウント部(56)に支持されている、鞍乗り型電動車両。
【請求項2】
前記クロスメンバ(22,23)は、左右の前記ピボットフレーム(18)の上部間を連結する上クロスメンバ(22)と、左右の前記ピボットフレーム(18)の下部間を連結する下クロスメンバ(23)と、を備え、
前記マウント部(56)の上部には、前記上クロスメンバ(22)に対して締結される上締結部(57)を備え、
前記マウント部(56)の下部には、前記下クロスメンバ(23)に対して締結される下締結部(58)を備え、
前記下締結部(58)は、前記上締結部(57)よりも車幅方向内側の範囲で前記下クロスメンバ(23)に締結されている、請求項1に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項3】
左右の前記ピボットフレーム(18)の各々は、前記ピボットフレーム(18)の本体側に対して別体のピボットブロック(19)を備え、
左右の前記ピボットブロック(19)の各々は、前記スイングアーム(30)の前記ピボット軸(33)を支持するとともに、左右同側の前記ピボットフレーム(18)の前記本体側に対して前記車両前後方向で締結されている、請求項1又は2に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項4】
左右の前記ピボットブロック(19)の各々に、左右同側のステップ(27)が取り付けられている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項5】
左右の前記ピボットブロック(19)は、前記ピボット軸(33)の軸心位置が異なる複数種が設定されている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項6】
前記スイングアーム(30)に連結されるリヤクッション(32)を備え、
前記リヤクッション(32)は、ストローク方向を前記車両前後方向に向けた姿勢で前記パワーユニット(8)の上方に配置され、前端部が前記電気モーター(50)の駆動軸(50a)よりも前方で前記車体フレーム(5)又は前記パワーユニット(8)に連結され、前記後端部が前記電気モーター(50)の前記駆動軸(50a)よりも後方で前記スイングアーム(30)に連結されている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項7】
前記スイングアーム(30)は、左右一対のアーム本体(36)と、左右の前記アーム本体(36)同士を連結するアーム連結部(37)と、を備え、
左右の前記アーム本体(36)は、車両側面視で上方に凸となるように曲がり、
前記アーム連結部(37)は、左右の前記アーム本体(36)の上端部間を連結し、
前記アーム連結部(37)の内側に、前記リヤクッション(32)の前記後端部と前記スイングアーム(30)とを連結するリンク機構(31)が配置されている、請求項6に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項8】
前記車体フレーム(5)は、左右の前記メインフレーム(17)の各々の下方に延びる左右一対の側壁部(26a)と、左右の前記側壁部(26a)の下端同士を連結する底壁部(26b)と、左右の前記側壁部(26a)の前端同士を連結する前壁部(26c)と、を含むボックス形状部(26)を備えている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項9】
前記電気モーター(50)の駆動を制御する制御装置(90)を備え、
前記制御装置(90)は、前記ボックス形状部(26)の前記底壁部(26b)の下面に締結されている、請求項8に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項10】
前記車両前後方向から見て、制御装置(90)と重なる高さに前記電気モーター(50)が配置されている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【請求項11】
前記電気モーター(50)と前記駆動輪(3)とは、無端状の伝動部材(73)を介して連結され、
前記パワーユニット(8)の前記ユニットケース(53)には、前記伝動部材(73)に張力を付与するテンショナー(75)が支持されている、請求項3に記載の鞍乗り型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モーターの出力で走行する鞍乗り型電動車両において、車両走行用のバッテリ、制御装置および電気モーターの配置は種々のものがある。
例えば、特許文献1では、左右のメインフレーム間にバッテリを複数上下方向に並べて配置し、制御装置はバッテリとピボット軸との間に配置し、電気モーターはスイングアームのピボット軸の後方に配置している。モーターケースの前部は、バッテリケースに締結されるとともに、スイングアームの前端部を支持している。
例えば、特許文献2では、左右のメインフレーム間にバッテリを配置し、バッテリの下方に制御装置を配置し、ピボットフレームの前方に電気モーターを配置している。モーターケースは、ピボットフレームに締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-97312号公報
【特許文献2】特開2012-91595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記において、ピボット軸の後方に電気モーターを配置し、モーターケースでスイングアームを支持する構成とすると、モーターケースは、電気モーターの出入力に係る荷重を受けるとともに、スイングアームからの荷重を受けるため、過大な剛性が必要となる。この場合、車体前部のメインフレームとのバランスも考慮すると、モーターケースの強度剛性の調整が複雑になる。
特に、小型車両である鞍乗り型電動車においては、バッテリ、制御装置および電気モーターといった重量のある駆動用部品のレイアウトによる、フレーム剛性ひいては車体設計への影響が大きいため、検討の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、駆動用部品のレイアウトによる車体設計への影響を抑えることができる鞍乗り型電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の第一の態様は、操向輪(2)を操舵可能に支持するヘッド部(16)と、ヘッド部(16)から後方に延びるメインフレーム(17)と、メインフレーム(17)の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム(18)と、左右のピボットフレーム(18)同士を連結するクロスメンバ(22,23)と、を有する車体フレーム(5)と、駆動輪(3)を支持するスイングアーム(30)と、車両駆動用の電気モーター(50)を含み、車両側面視でピボットフレーム(18)よりも後方に配置されるパワーユニット(8)と、を備え、パワーユニット(8)は、電気モーター(50)を収容するユニットケース(53)を備え、ユニットケース(53)は、左右のピボットフレーム(18)の間でクロスメンバ(22,23)に車両前後方向で締結されるマウント部(56)を備え、スイングアーム(30)のピボット軸(33)は、左右のピボットフレーム(18)およびマウント部(56)に支持されている。
この構成によれば、車両駆動用の電気モーターを含むパワーユニットのユニットケースに、車両前後方向で車体フレームに締結されるマウント部を備えることで、以下の効果がある。すなわち、車体フレームとパワーユニットとの連結部が、電気モーターの出入力による荷重(車両の加減速に伴う荷重)を受け止めやすい構造となる。このため、パワーユニットの締結部への負荷を低減(分散)し、ユニットケースひいては車体全体の強度剛性の調整を容易にすることができる。スイングアームのピボット軸を左右のピボットフレームおよびユニットケースで支持することで、ピボット軸をユニットケースのみで支持する場合に比べて、ユニットケースの強度剛性の調整を容易にしてケース剛性の最適化を図ることができる。
【0007】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、クロスメンバ(22,23)は、左右のピボットフレーム(18)の上部間を連結する上クロスメンバ(22)と、左右のピボットフレーム(18)の下部間を連結する下クロスメンバ(23)と、を備え、マウント部(56)の上部には、上クロスメンバ(22)に対して締結される上締結部(57)を備え、マウント部(56)の下部には、下クロスメンバ(23)に対して締結される下締結部(58)を備え、下締結部(58)は、上締結部(57)よりも車幅方向内側の範囲で下クロスメンバ(23)に締結されている。
この構成によれば、ユニットケースの下締結部が上締結部よりも車幅方向内側の範囲で下クロスメンバに締結されることで、ユニットケースの下部の左右幅を可及的に狭めることができ、車体のバンク角を確保しやすくすることができる。
【0008】
本発明の第三の態様は、上記第一又は第二の態様において、左右のピボットフレーム(18)の各々は、ピボットフレーム(18)の本体側に対して別体のピボットブロック(19)を備え、左右のピボットブロック(19)の各々は、スイングアーム(30)のピボット軸(33)を支持するとともに、左右同側のピボットフレーム(18)の本体側に対して車両前後方向で締結されている。
この構成によれば、ピボットフレーム本体に対して別体のピボットブロックでピボット軸を支持し、ピボットブロックはピボットフレーム本体に対し車両前後方向で締結することで、ユニットケースの締結部と合わせて車両前後方向の締結部の範囲が広がり、ピボットブロックおよびピボット軸を含んだユニットケース組立体の車体フレームの本体側への結合剛性を高めることができる。ピボットブロック、ピボット軸およびパワーユニットの組立体をまとめて、車体フレームの本体側に前後方向の締結で取り付けることができる。
【0009】
本発明の第四の態様は、上記第三の態様において、左右のピボットブロック(19)の各々に、左右同側のステップ(27)が取り付けられている。
この構成によれば、左右のピボットブロックでステップを支持することで、強度の高いピボットブロックでステップ荷重を受けることができる。このため、車体フレームの本体側の強度剛性の調整を容易にすることができる。
【0010】
本発明の第五の態様は、上記第三又は第四の態様において、左右のピボットブロック(19)は、ピボット軸(33)の軸心位置が異なる複数種が設定されている。
この構成によれば、ピボットブロックをピボット軸の中心位置違いで複数種設定することで、ピボットブロックの交換で容易にピボット位置を可変とすることができ、車両部品の汎用性を高めることができる。
【0011】
本発明の第六の態様は、上記第一から第五の態様の何れか一つにおいて、スイングアーム(30)に連結されるリヤクッション(32)を備え、リヤクッション(32)は、ストローク方向を車両前後方向に向けた姿勢でパワーユニット(8)の上方に配置され、前端部が電気モーター(50)の駆動軸(50a)よりも前方で車体フレーム(5)又はパワーユニット(8)に連結され、後端部が電気モーター(50)の駆動軸(50a)よりも後方でスイングアーム(30)に連結されている。
この構成によれば、リヤクッションを電気モーターの駆動軸を跨いで車両前後方向に延びるように配置し、リヤクッションの前端部を車体フレーム又はパワーユニットに連結し、リヤクッションの後端部をスイングアームに連結する。車体フレームとパワーユニットとを締結して剛性が高まった部位にリヤクッションの前端部を連結することで、リヤクッションの前端部の連結部位に別途補強を設けることなく、高い剛性でリヤクッションの前端部を支持することができる。リヤクッションはパワーユニットの上方で電気モーターの駆動軸を跨いで車両前後方向に延びるので、ピボットフレームの後方に配置したパワーユニットを避けて効率よくリヤクッションのストローク量を確保するとともに、パワーユニットと後輪との間にリヤクッションが配置される場合と比べて、後輪の後退ひいてはホイールベースの増大を抑えることができる。
【0012】
本発明の第七の態様は、上記第六の態様において、スイングアーム(30)は、左右一対のアーム本体(36)と、左右のアーム本体(36)同士を連結するアーム連結部(37)と、を備え、左右のアーム本体(36)は、車両側面視で上方に凸となるように曲がり、アーム連結部(37)は、左右のアーム本体(36)の上端部間を連結し、アーム連結部(37)の内側に、リヤクッション(32)の後端部とスイングアーム(30)とを連結するリンク機構(31)が配置されている。
この構成によれば、スイングアームの左右のアーム本体を上方に凸の屈曲形状とし、左右のアーム本体の上端部間をアーム連結部で連結する。アーム連結部はスイングアームの上方寄りに配置されるため、ピボットフレーム後方のパワーユニットを避けて効率よく左右のアーム本体同士を連結するとともに、パワーユニットの上方に配置したリヤクッションの後端部を連結しやすくなる。アーム連結部の内側には、リヤクッションの後端部を連結するリンク機構を配置するので、リンク機構によってサスペンション特性の設定自由度を高めるとともに、リンク式リヤサスペンションをコンパクトに構成することができる。
【0013】
本発明の第八の態様は、上記第一から第七の態様の何れか一つにおいて、車体フレーム(5)は、左右のメインフレーム(17)の各々の下方に延びる左右一対の側壁部(26a)と、左右の側壁部(26a)の下端同士を連結する底壁部(26b)と、左右の側壁部(26a)の前端同士を連結する前壁部(26c)と、を含むボックス形状部(26)を備えている。
この構成によれば、車体フレームの左右のメインフレームの下方に、左右の側壁部、底壁部および前壁部を含むボックス形状部を備えることで、ボックス形状部を左右のメインフレーム間に搭載したバッテリの支部構造として利用することができる。これにより、バッテリを支持するための構造物を削除あるいは簡略化して部品点数削減を図るとともに、重量物であるバッテリを搭載する車体フレームの剛性を、ボックス形状部によって高めることができる。
【0014】
本発明の第九の態様は、上記第八の態様において、電気モーター(50)の駆動を制御する制御装置(90)を備え、制御装置(90)は、ボックス形状部(26)の底壁部(26b)の下面に締結されている。
この構成によれば、車体フレームのボックス形状部の下面に制御装置を締結することで、制御装置を支持するための構造物を削除あるいは簡略化して部品点数削減を図るとともに、ボックス形状部の底壁部が制御装置の締結によって補強され、車体フレームの剛性をさらに高めることができる。
【0015】
本発明の第十の態様は、上記第一から第九の態様の何れか一つにおいて、車両前後方向から見て、制御装置(90)と重なる高さに電気モーター(50)が配置されている。
この構成によれば、制御装置と電気モーターとが互いに重なる高さに配置されることで、ボックス形状部の内側に搭載したバッテリと制御装置とを互いに近接させるだけでなく、さらに制御装置と電気モーターとを互いに近接させることで、バッテリ、制御装置および電気モーターの間の電力線の短縮を図るとともに、重量物の集約配置によりマスの集中を図ることができる。
【0016】
本発明の第十一の態様は、上記第一から第十の態様の何れか一つにおいて、電気モーター(50)と駆動輪(3)とは、無端状の伝動部材(73)を介して連結され、パワーユニット(8)のユニットケース(53)には、伝動部材(73)に張力を付与するテンショナー(75)が支持されている。
この構成によれば、ユニットケースに伝動部材用のテンショナーを支持することで、パワーユニットの近傍で効率よく伝動部材に張力を付与することができ。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動用部品のレイアウトによる車体設計への影響を抑えることができる鞍乗り型電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】上記電動二輪車の後輪懸架系およびパワーユニットの斜視図である。
【
図4】
図3にさらに車体フレームを示す斜視図である。
【
図6】
図2の構成を斜め上後方側から見た斜視図である。
【
図7】車体フレームを斜め上後方から見た斜視図である。
【
図9】後輪懸架系の一部断面を含む左側面図である。
【
図14】接続端子部および凹部の変形例を示す斜視図である。
【
図15】実施形態の第一変形例を示す
図3に相当する斜視図である。
【
図16】上記第一変形例の後輪懸架系の前面図である。
【
図18】上記第一変形例のピボットアジャスター周辺の斜視図である。
【
図19】実施形態の第二変形例の車体フレームを示す斜視図である。
【
図20】上記第二変形例の車体フレームの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中央を示す線CLが示されている。
【0020】
図1は、実施形態の電動二輪車(鞍乗り型電動車両)1の左側面図である。
図1に示すように、実施形態の電動二輪車1は、オンロードタイプの鞍乗り型電動車両であり、車体の小型軽量化、マスの集中および低重心化を図っている。
電動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、前輪懸架系4と、車体フレーム5と、車体カバー6と、後輪懸架系7と、パワーユニット8と、バッテリユニット80と、PCU(制御装置)90と、を備えている。
【0021】
前輪懸架系4は、下端部に前輪2を軸支する左右一対のフロントフォーク10と、一対のフロントフォーク10の上部の間に渡って設けられるトップブリッジ11およびボトムブリッジ12と、トップブリッジ11とボトムブリッジ12との間に渡って設けられてヘッドパイプ16内に挿通されるステムパイプ(図示略)と、を備えている。前輪2は、前輪懸架系4を介して車体フレーム5のヘッドパイプ16に操向可能に支持されている。例えばトップブリッジ11上には、操向ハンドル(不図示)が取り付けられている。実施形態では、電動二輪車1のフロントサスペンションとしてテレスコピック式のフロントフォーク10を例示するが、この構成に限らない。例えば、フロントサスペンションは、揺動アームを用いたリンク式等、他の形式であってもよい。
【0022】
図2は電動二輪車1の要部の左側面図、
図3は電動二輪車1の後輪懸架系7およびパワーユニットの斜視図、
図4は
図3にさらに車体フレーム5を示す斜視図である。
図1、
図2,
図4を参照し、車体フレーム5は、ヘッドパイプ16と、左右一対のメインフレーム17と、左右一対のピボットフレーム18と、左右ピボットフレーム18の上部間を連結するアッパクロスメンバ22と、左右ピボットフレーム18の下部間を連結するロアクロスメンバ23と、を備えている。
【0023】
ヘッドパイプ16は、車体左右中央CLに位置し、車体フレーム5の前端に単一に設けられている。ヘッドパイプ16は、ステムパイプを挿通して回転可能に支持している。ヘッドパイプ16は、円筒形状に限らず、適宜凹凸や開口等が形成されてもよい。
【0024】
一対のメインフレーム17は、ヘッドパイプ16の上部から左右に分岐して後下方に延びている。一対のメインフレーム17の前部は、上方から見た平面視において、ヘッドパイプ16の後方かつ車幅方向外方に斜めに延びた後、後方へ湾曲して延びている。一対のメインフレーム17の後部は、上方から見た平面視において、前後方向に沿うように直線的に延びている。一対のメインフレーム17の前部は、側面視でヘッドパイプ16の軸方向長さと同等の上下幅を有している。一対のメインフレーム17の後部は、側面視で後下方ほど上下幅を狭めるように形成されている。
【0025】
一対のピボットフレーム18は、それぞれ左右同側のメインフレーム17の後端部から下方に延びている。一対のピボットフレーム18における上下方向で上部寄りの中間部の間には、車幅方向に延びるピボット軸33が架設されている。なお、実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。
【0026】
アッパクロスメンバ22は、ピボット軸33よりも上方において車幅方向に延び、一対のピボットフレーム18の上部間を連結している。アッパクロスメンバ22の車幅方向外側には、パワーユニット8のユニットケース53のマウント部56の上部を締結する左右一対の上締結部22aが設けられている。
【0027】
ロアクロスメンバ23は、ピボット軸33よりも下方において車幅方向に延び、一対のピボットフレーム18の下部間を連結している。ロアクロスメンバ23の車幅方向中央部には、パワーユニット8のユニットケース53のマウント部56の下部を締結する単一の下締結部23aが設けられている。
【0028】
図1を参照し、車体フレーム5は、乗員着座用のシート9を支持するリヤフレーム24をさらに備えている。リヤフレーム24は、例えば前端部が左右メインフレーム17の後部上側に対し、ボルト締結等で着脱可能に固定されている。左右ピボットフレーム18の後部には、左右ステップ27を支持するステップブラケット27aが、ボルト締結により着脱可能に固定されている。
【0029】
図5は
図4の要部を前方から見た前面図、
図6は
図2の構成を斜め上後方側から見た斜視図、
図7は車体フレーム5を斜め上後方から見た斜視図を示す。
図1,
図2,
図6を参照し、車体フレーム5は、ヘッドパイプ16の後方かつ左右ピボットフレーム18の前方で、左右のメインフレーム17の間に、走行用のバッテリユニット80を搭載している。
バッテリユニット80は、平面視で左右メインフレーム17間に形成される空間内に上方から挿脱可能とされる。バッテリユニット80は、左右メインフレーム17に車幅方向外側から挟まれることで、車幅方向外側からの外乱から守られる。
【0030】
車体フレーム5は、左右ピボットフレーム18の後方に、車両走行用のパワーユニット8を支持している。
パワーユニット8は、電気モーター50と減速機51とを備え、これら電気モーター50および減速機51を一体のユニットケース53内に収容している。パワーユニット8は、車体フレーム5における左右ピボットフレーム18および上下クロスメンバ22,23で形成されるバルクヘッド部25に、車両後方側から締結固定されている。左右ピボットフレーム18の後方にパワーユニット8を支持する構成でも、バッテリユニット80をヘッドパイプ16に寄せて配置することで、前後重量配分の適正化が図られる。
【0031】
図1を参照し、車体カバー6は、車体フレーム5等を覆っている。車体カバー6は、フロントカウル41と、リヤカウル42と、シート前カバー43と、アンダーカウル44と、を備えている。
フロントカウル41は、ヘッドパイプ16の前方から左右側方に渡る範囲を覆うとともに、左右側部がさらに後方へ延び、車体側部を車幅方向外側から覆っている。
リヤカウル42は、リヤフレーム24の左右側部から後方に渡る範囲を覆っている。リヤカウル42上にはシート9が配置されている。
【0032】
シート前カバー43は、シート9の前方で左右メインフレーム17間の空間を上方へ膨出させるように形成されている。シート前カバー43は、あたかも燃料タンクを模した外形のタンクカバーとされている。シート前カバー43は、シート9に着座した乗員の両膝間に挟まれるニーグリップ部を形成している。シート前カバー43の内側には、バッテリユニット80の上部が収容されている。シート前カバー43は、バッテリユニット80の上部を上方から覆っている。
アンダーカウル44は、フロントカウル41の下方に連なり、車体下部を下方から覆っている。
【0033】
図8は後輪懸架系7の要部を示す左側面図、
図9は後輪懸架系7の一部断面を含む左側面図である。
図8、
図9を参照し、後輪懸架系7は、後端部に後輪3を軸支するスイングアーム30と、スイングアーム30の前上部に連結されるリンク機構31と、リンク機構31とアッパクロスメンバ22との間に渡るリヤクッション32と、を備えている。
スイングアーム30は、車体後部の下方に配置されて前後方向に延びている。スイングアーム30の前端部は、一対のピボットフレーム18とユニットケース53のマウント部56とに、ピボット軸33を介して上下揺動可能に支持されている。マウント部56は、車体フレーム5とパワーユニット8、スイングアーム30およびリヤクッション32等との締結部であり、ピボット軸33の支持剛性を得やすい。
【0034】
リンク機構31は、上下方向に延びるリンクアーム34と、側面視逆三角形状のリンク部材35と、を備えている。リンクアーム34は、リンク機構31は、側面視でスイングアーム30の前上部に形成された上方突出部(アーム連結部37)の内側に配置されている。リンクアーム34は、上方突出部の内側から下方に延び、下端部がユニットケース53の後端部のリンク連結部53aに回動可能に連結されている。リンクアーム34の上端部は、リンク部材35の後端頂部に回動可能に連結されている。リンク部材35の前端頂部は、スイングアーム30の上方突出部に回動可能に連結されている。リンク部材35の下端頂部には、クッションユニット32の後端部が回動可能に連結されている。クッションユニット32の前端部は、マウント部56のクッション前連結部56dに回動可能に連結されている。リンク機構31の作用により、リヤ荷重が小さくスイングアーム30の揺動が小さいときにはクッションストロークを小さくし、リヤ荷重が大きくスイングアーム30の揺動が大きいときにはクッションストロークを大きくする、といったプログレッシブ効果を得ることができる。
【0035】
リヤクッション32は、車体後部の車幅方向内側(例えば車体左右中央CL上)に設けられる。リヤクッション32は、ダンパーシリンダの外周に圧縮コイルスプリングを配置した円筒状に形成され、軸方向を概ね車両前後方向に沿わせた水平姿勢で配置されている。リヤクッション32は、パワーユニット8の上方に配置されて前後方向に延びている。リヤクッション32の前端部を連結するクッション前連結部56dは、マウント部56の上締結部57(車体フレーム5との締結部)の近傍に位置し、上締結部57近傍の強度剛性を共有している。
【0036】
リヤクッション32は、例えば側面視における垂直線VLに対する角度(中心軸線の角度)θが、45度から120度の範囲に設定されている。リヤクッション32は、スイングアーム30の上下幅内に収まるように配置されている。リヤクッション32は、ピボットフレーム18の後方に配置した大径の電気モーター50を避けて略水平に配置されている。これにより、リヤクッション32の配置がホイールベースに影響することなく、リヤクッション32のストローク量ひいてはダンパー容量が確保される。リヤクッション32の配置部位の上下方向高さが抑えられることで、シート下のスペースが空き、シート高の低い車両にも適用可能となる。
【0037】
パワーユニット8は、車両駆動用の電気モーター50と、電気モーター50の出力を減速する減速機51(不図示)と、減速機51において減速された電気モーター50の動力を出力する出力軸70と、電気モーター50および減速機51等の駆動部を収容するユニットケース53と、を備えている。パワーユニット8は、電気モーター50、減速機51、出力軸70およびユニットケース53を含んで一体のユニットとして構成されている。
【0038】
電気モーター50は、その駆動軸(モーター駆動軸)50aの軸方向を車幅方向に沿わせて配置されている。電気モーター50の左右方向一側(左側)には、ギヤ式の減速機51が配置されている。
出力軸70は、車幅方向に延在し、左端部70aをユニットケース53の外部に突出させている。出力軸70は、側面視でモーター駆動軸50aの上部前側に位置している。パワーユニット8では、出力軸70とモーター駆動軸50aとが互いに別軸に設けられている。なお、減速機51の構成等に応じて、出力軸70とモーター駆動軸50aとが互いに同軸に設けられてもよい。
【0039】
ユニットケース53は、パワーユニット8の外形を形成している。ユニットケース53は、電気モーター50を収容するドラム形のモーターケース54と、モーターケース54の左側部に配置されて減速機51を収容するボックス形のギヤケース55と、ユニットケース53の前部に設けられるマウント部56と、を一体に備えている。
【0040】
図8を参照し、出力軸70の左端部70aはユニットケース53の外側に突出し、この左端部70aと後輪3とがチェーン式伝動機構74を介して連結されている。図中符号71は出力軸70の左端部70aに取り付けられるドライブスプロケット、符号72は後輪3の左側に取り付けられるドリブンスプロケット、符号73は両スプロケット71,72に掛け回される無端状のドライブチェーンをそれぞれ示す。
【0041】
パワーユニット8のユニットケース53の下部には、ドライブチェーン73に張力を付与するテンショナー75が支持されている。
テンショナー75は、側面視でドライブチェーン73の巻回領域の外周側からドライブチェーン73へテンショナプーリー76を接触させる。テンショナプーリー76は、テンショナアーム77を介してユニットケース53の後部左側に支持されている。
【0042】
テンショナアーム77は、側面視でドライブチェーン73の下側(弛み側)に沿うように後方へ延び、後端部にテンショナプーリー76を支持している。テンショナアーム77は、前端部がユニットケース53に回動可能に支持され、後端部が上方(ドライブチェーン73側)に向けて付勢されている。テンショナー75は、テンショナプーリー76をドライブチェーン73に付勢力をもって接触させ、ドライブチェーン73に適度な張力を付与する。テンショナー75は、モーターケース54の左側部におけるギヤケース55後方の三日月形の空きスペースに設置される。テンショナー75は、出力軸70と後輪車軸3aとの間の中央付近においてドライブチェーン73に張力を付与する。これにより、少ない力で効率よくドライブチェーン73に張力を付与することができる。
実施形態ではチェーン式伝動機構74を例示したが、ベルト式伝動機構であってもよい。テンショナー75は、ドライブチェーン73やドライブベルト等の伝動部品に対応した構成とすることができる。
【0043】
図1を参照し、パワーユニット8の下方には、電気モーター50を制御するPCU(Power Control Unit)90が配置されている。PCU90は、モータードライバであるPDU(Power Drive Unit)およびPDUを制御するECU(Electric Control Unit)等を含む制御装置である。PDUは、インバータを含み、バッテリユニット80から給電される電流を直流から交流に変換して電気モーター50へ給電する。
【0044】
PCU90は、バッテリケース81の下方に連なるように直方体状に形成されたPCUカバー91内に収容されている。PCUカバー91を備えることで、PCU90に外乱が至ることが抑制されるとともに、PCU90が発生する作動音が周囲に拡散し難くされる。PCUカバー91は、吸音材を装着してもよく、あるいはカバー自体が吸音する素材で形成されてもよい。
PCU90の下端部は、車体フレーム5の下端部(実施形態ではロアクロスメンバ23の下端部)と同等の高さにある。PCU90の周囲は、フロントカウル41の下方に連なるアンダーカウル44により下方から覆われている。
【0045】
パワーユニット8は、ユニットケース53の前部に形成されたマウント部56が車体フレーム5のバルクヘッド部25に締結されることで、車体フレーム5に連結(支持)されている。バルクヘッド部25は、左右ピボットフレーム18および上下クロスメンバ22,23によって前後方向に開口する枠形に形成されている。バルクヘッド部25は、例えば開口部分を塞ぐ壁を有してもよい。この場合、パワーユニット8の作動音が前方(乗員側)に至り難くすることができる。
【0046】
パワーユニット8は、側面視でマウント部56を除く大部分が左右ピボットフレーム18よりも後方に配置されている。パワーユニット8の上部は、側面視でスイングアーム30の前部の内側(左右アーム本体36の前部間)に入り込むように配置されている。
図8、
図9の後輪懸架系7は空車1G状態(車両重量が加わった静止状態)にあるときの姿勢を示す。パワーユニット8の下端部は、車体フレーム5の下端部(ロアクロスメンバ23)と同等の高さにある。パワーユニット8の下端部は、アンダーカウル44の後方延出部に下方から覆われている。
【0047】
マウント部56には、ピボット軸33を貫通させて支持する第一ピボット軸支持部が設けられている。第一ピボット軸支持部は、ピボット軸33が貫通することから、側面視で電気モーター50を避けた位置に配置されている。このため、第一ピボット軸支持部は、側面視でユニットケース53の外側に位置している。第一ピボット軸支持部は、ユニットケース53の大型化を避ける観点から、単独で強度剛性を確保できるような大型の構造とすることが難しい。実施形態では、マウント部56がバルクヘッド部25に締結されることで、第一ピボット軸支持部の強度剛性を確保している。また、ピボット軸33は、マウント部56に支持される他、左右側部が左右ピボットフレーム18にそれぞれ支持される。これにより、スイングアーム30のピボット剛性を高めながら、ユニットケース53の大型化を抑えることができる。左右ピボットフレーム18におけるピボット軸支持部を第二ピボット軸支持部と称する。
【0048】
図1、
図2、
図6を参照し、バッテリユニット80は、上下方向に長い直方体状をなし、同等形状のバッテリケース81内に収容されている。バッテリユニット80は、例えば複数の単位バッテリを直列に繋いで所定の高電圧を得ている。バッテリユニット80は、平面視で左右メインフレーム17の車幅方向内側面の間に収まるように形成されている。
【0049】
バッテリユニット80は、側面視において、上部をメインフレーム17の上方に突出させるとともに、下部をメインフレーム17の下方に突出させるように配置されている。バッテリユニット80におけるメインフレーム17の上方に突出する部位は、シート前カバー43に上方から覆われている。バッテリユニット80の車幅方向外側には、メインフレーム17が斜めに横断するように配置されている。バッテリユニット80にけるメインフレーム17の下方に突出する部位は、フロントカウル41の後部両側部(サイドカウル)に左右外側から覆われている。
【0050】
バッテリユニット80の下方には、PCU90が連なるように配置されている。これにより、バッテリユニット80から延びる高圧ケーブル(正極ケーブルおよび負極ケーブル)の長さが抑えられる。PCU90の後方には、前後方向で隣接するようにパワーユニット8が配置されている。PCU90とパワーユニット8とは、前後方向から見て上下方向および左右方向で互いに重なるように配置されている。これにより、PCU90およびパワーユニット8の間の電力線(三相ケーブル)の長さが抑えられる。
【0051】
PCU90は、バルクヘッド部25よりも前方に配置され、かつバッテリユニット80の下方に設置されている。これにより、電気モーター50の高出力化でPCU90が大型化しても、PCU90がパワーユニット8と車体フレーム5との締結部へ影響することが回避される。これにより、車体フレーム5の剛性等への影響を抑えて車体設計自由度を向上させることができる。バルクヘッド部25よりも後方にPCU90が配置される場合と比べて、後輪3の後退ひいてはホイールベースの増大が抑えられる。
【0052】
図10はスイングアームの前面図、
図11はスイングアームの後面図、
図12はスイングアームの上面図である。
図10から
図12を参照し、スイングアーム30は、左右一対のアーム本体36と、左右アーム本体36の前部同士を連結するアーム連結部37と、を備えている。
左右アーム本体36は、側面視で上方に凸の屈曲形状をなしている。左右アーム本体36は、側面視の屈曲形状に沿って例えば矩形の中空断面形状を有して延びている。左右アーム本体36の前端部には、ピボット軸33を挿通する円筒状のピボット支持部38が備えられている。左右アーム本体36の後端部には、後輪車軸3aを挿通するプレート状のアクスル支持部39が備えられている。
【0053】
左右アーム本体36の側面視の上端部(頂部)は、左右アーム本体36の前後方向中央よりも前方に位置している。アーム連結部37は、左右アーム本体36の側面視の上端部間に渡るように設けられている。アーム連結部37の内側は適宜肉抜きされ、このアーム連結部37の内側に、リヤクッション32の後部とリンク機構31とが収容されている。
【0054】
左右アーム本体36の前部間には、パワーユニット8の上部が配置されている。パワーユニット8の後方には後輪3が近接配置されることから、左右アーム本体36間のアーム連結部37は、パワーユニット8と後輪3との近接部分の上方を迂回するように設けられている。アーム連結部37の内側において、リヤクッション32の後端部がリンク機構31に連結されている。リヤクッション32の前端部は、パワーユニット8のマウント部56上のクッション前連結部56dに連結されている。
【0055】
側面視において、ピボット軸33の中心33cと後輪車軸3aの中心3cとを結ぶ直線を符号T1で示す。アーム連結部37は、側面視で直線T1よりも上方に位置している。パワーユニット8のモーター駆動軸50aの中心50cは、直線T1よりも下方に位置している。出力軸70の中心70cは、直線T1よりも下方に位置しているが、駆動軸50aの中心50cよりも直線T1の近くに配置されている。モーター駆動軸50aおよび出力軸70は、ピボット軸33よりも後方に位置している。スイングアーム30の側面視の下縁は、直線T1の下方で直線T1と略平行に形成されている。
【0056】
スイングアーム30は、左右アーム本体36の各々の下方で側面視三角形状の範囲を閉塞するアーム板部36aを備えている。スイングアーム30において、左右アーム本体36は中空の断面形状を有し、左右アーム板部36aは板状の断面形状を有している。左右アーム板部36aは、左右同側のアーム本体36の車幅方向外側の壁部と同等の厚さの板状に形成されている。左右アーム板部36aの外側面は、左右同側のアーム本体36の車幅方向外側の壁部の外側面と面一状に形成されている。スイングアーム30は、側面視であたかも上下高さを増したアーム形状とされるが、骨格部分は屈曲形状の左右アーム本体36である。
【0057】
左右アーム本体36の下方は、板状の左右アーム板部36aとされるため、スイングアーム30の剛性を過度に高めることがない。特に、左右アーム本体36の縦剛性(前後および上下方向の曲げ剛性)は、左右アーム板部36aがいわゆる面内方向で曲がり難いことから、左右アーム板部36aで効果的に補強される。左右アーム本体36の横剛性(左右方向の曲げ剛性)は、左右アーム板部36aがいわゆる面外方向で曲がり易いことから、過度な補強が抑えられる。
【0058】
スイングアーム30の前部において、側面視で直線T1よりも上方の部位は、上方(アーム連結部側37)に位置するほど左右幅を狭めるように形成されている。これにより、スイングアーム30の上端部付近(アーム連結部37付近)の左右幅が窄まってコンパクトになり、周辺部品の配置への影響が抑えられる。直線T1に沿う部位よりも下方には突出形状を設けないので、当該部位の左右幅の増加による車体のバンク角への影響が抑えられる。
【0059】
スイングアーム30の後部において、前後方向でアーム連結部37から後端部(アクスル支持部39)までの間の左右アーム本体36は、平面視で車幅方向外側に凸の湾曲状に形成されている。これにより、後輪車軸3a付近よりも前方で左右アーム本体36間の左右幅が広がり、ドライブチェーン73やベルト等の伝動部品とのクリアランスが確保しやすくなる。後輪車軸3a付近(スイングアーム30の下端部付近)の左右幅は抑えられるので、車体のバンク角への影響が抑えられる。
【0060】
左右アーム本体36およびアーム板部36aは、平面視でS字状に連なるように滑らかに湾曲し、応力集中が生じ難い形状とされている。
左アーム本体36のアーム板部36aは、チェーン式伝動機構74全体を車幅方向外側から覆うように、側面視で拡張して設けられてもよい。この場合、アーム板部36aがチェーンカバーのように機能し、ドライブチェーン73への外部物品等の接触およびチェーンノイズの拡散を抑えることができる。
【0061】
図3から
図5に示すように、パワーユニット8のユニットケース53の前端部には、車体フレーム5のバルクヘッド部25に締結固定されるマウント部56が設けられている。マウント部56は、前後方向視で矩形状のモーターケース54およびギヤケース55に対し、下方ほど左右幅を狭めるように形成されている。
【0062】
マウント部56は、上壁部56aと、左右側壁部56a1と、上壁部56aの下方に離間した中段壁部56bと、左右側壁部56a1の下方に延びる左右傾斜壁56cと、を備え、全体的に中空状に形成されている。上壁部56aの上方には、リヤクッション32の前端部を連結するクッション前連結部56dが突設されている。
【0063】
左右傾斜壁56cの左右他側(実施形態では右側)には、PCU90から延びる三相ケーブルを接続するための接続端子部59が設けられている。接続端子部59は、マウント部56の右傾斜壁56cを切り欠くように(マウント部56の内側に)形成された凹部59a内に配置されている。
【0064】
図13はマウント部56の下部の斜視図である。
図13を参照し、左右傾斜壁56cの左右一側(実施形態では左側)には、サイドスタンドを支持するスタンドブラケット(何れも不図示)を締結固定するためのスタンド固定部56eが設けられてもよい。スタンド固定部56eは、マウント部56の下締結部58(車体フレーム5との締結部)の近傍に位置し、下締結部58近傍の強度剛性を共有している。これにより、車体フレーム5にスタンド固定部56eを設ける場合に比べて、車体フレーム5の下部の強度剛性の設計自由度を向上させる。
【0065】
図14は接続端子部59および凹部59aの変形例を示す斜視図である。
図14に示す接続端子部59’および凹部59a’のように、マウント部56の外側(例えばモータケース54の右側カバー)に設けられてもよい。これは、電気モーター50のステータの軸方向の厚みが増すと、接続端子部59やベアリングの位置が軸方向外側に変化するからである。このような変化点をモーターケース54の左右外側のカバーに集約することで、パワーユニット8のレパートリーを増やす際に対応しやすく、かつコストダウンを図ることができる。
【0066】
図3から
図5を参照し、マウント部56の上部両側の左右隅部には、アッパクロスメンバ22に対して締結される左右一対の上締結部57が設けられている。マウント部56の下端部には、ロアクロスメンバ23に対して締結される単一の下締結部58が設けられている。各締結部57,58は、バルクヘッド部25の締結部位に後方から突き当たり、前後方向に沿うボルトによって締結される。これにより、バルクヘッド部25に、電気モーター50および減速機51を含むパワーユニット8と、スイングアーム30のピボット軸33と、リヤクッション32の前端部と、を集約して取付けることができる。
【0067】
図15は実施形態の第一変形例を示す
図3の要部に相当する斜視図、
図16は第一変形例の後輪懸架系7の前面図、
図17は第一変形例の要部の右側面図、
図18は第一変形例のピボットアジャスター19a周辺の斜視図である。
図15から
図18に示すように、左右ピボットフレーム18の第二ピボット軸支持部を、ピボットフレーム18における大部分をなす本体側に対し、別体のピボットブロック19として構成してもよい。ピボットブロック19は、ピボットフレーム18の本体側に対して、前後方向に沿うボルトによって締結固定される。ピボットブロック19には、ピボット軸33の軸心位置を可変とする複数種を設定してもよい。このとき、マウント部56の第一ピボット軸支持部には、ピボット軸33の軸心位置に応じて選択される複数種のピボットアジャスター19aが設定される。
【0068】
左右ピボットブロック19には、例えば左右同側のステップブラケット27aの前端部が締結固定されてもよい。ステップブラケット27aは、側面視で後方に凸のV字状をなし、後端部にステップ27を倒伏可能に支持している。ステップブラケット27aの上下の前端部は、ピボットブロック19の後端部に左右外側から突き当たり、左右方向に沿うボルトによってそれぞれ締結固定される。
【0069】
ピボットブロック19およびステップブラケット27aをピボットフレーム18の本体側に対して一体的に着脱可能とすることで、ピボットフレーム18の後方にパワーユニット8を搭載する車両において、パワーユニット8の着脱のためのスペースを確保しやすく、パワーユニット8の着脱作業が容易になる。
【0070】
マウント部56の下端部は、ロアクロスメンバ23に対して一点で締結されることで、以下の効果がある。すなわち、下締結部58の位置を下方に下げて上締結部57との間の距離を伸ばし、マウント部56の締結領域(複数の締結部で囲まれる領域)を広げて結合剛性を稼ぐとともに、下締結部58は最小数の一点とすることで、地面に近い車体下部の左右幅を抑えることができる。
【0071】
マウント部56が下方ほど左右幅を狭めて形成されることで、左右ピボットフレーム18も下方ほど左右幅を狭めて形成されている。これにより、ピボットフレーム18の下部における左右幅が狭まり、車体バンク角が確実に確保される。
ピボット軸33を支持するマウント部56は、車体フレーム5との結合による剛性向上によりピボット剛性を向上させ、高出力の車両にも好適な構成となる。
【0072】
図19は実施形態の第二変形例の車体フレーム5’を示す斜視図、
図20は第二変形例の車体フレーム5’の前面図である。
図19、
図20を参照し、車体フレーム5は、ヘッドパイプ16の下面から左右ピボットフレーム18の前面までを連続的に接続する構成も考えられる。
図19、
図20に示す車体フレーム5’は、左右メインフレーム17の各々の下方に延びる左右一対の側壁部26aと、左右側壁部26aの下端同士を連結する底壁部26bと、左右側壁部26aの前端同士を連結する前壁部26cと、を含むボックス形状部26を備えている。ボックス形状部26は、左右メインフレーム17間に搭載したバッテリユニット80の支部構造として利用される。ボックス形状部26は、バッテリユニット80、PCU90およびパワーユニット8といった重量物(駆動系部品)を搭載する車体フレーム5’の剛性を高めている。例えば、ボックス形状部26の底壁部26bの下面の外周部には、PCU90の外周部が締結により固定されている。これにより、PCU90によって底壁部26bが補強され、車体フレーム5’の剛性をさらに高めることができる。
【0073】
以上説明したように、上記実施形態における鞍乗り型電動車両は、操向輪(前輪2)を操舵可能に支持するヘッド部(ヘッドパイプ16)と、ヘッドパイプ16から左右に分岐して後方に延びる左右一対のメインフレーム17と、左右メインフレーム17の各々の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム18と、左右ピボットフレーム18同士を連結する上下のクロスメンバ22,23と、を有する車体フレーム5と、前端部が左右ピボットフレーム18に支持されるとともに後端部に駆動輪(後輪3)を支持するスイングアーム30と、車両駆動用の電気モーター50を含み、車両側面視で左右ピボットフレーム18よりも後方に配置されるパワーユニット8と、を備え、パワーユニット8は、少なくとも電気モーター50を収容するユニットケース53を備え、ユニットケース53は、左右ピボットフレーム18の間で上下のクロスメンバ22,23に車両前後方向で締結されるマウント部56を備え、スイングアーム30のピボット軸33は、左右ピボットフレーム18およびマウント部56に支持されている。
【0074】
この構成によれば、車両駆動用の電気モーター50を含むパワーユニット8のユニットケース53に、車両前後方向で車体フレーム5に締結されるマウント部56を備えることで、以下の効果がある。すなわち、車体フレーム5とパワーユニット8との連結部が、電気モーター50の出入力による荷重(車両の加減速に伴う荷重)を受け止めやすい構造となる。このため、パワーユニット8の締結部への負荷を低減(分散)し、ユニットケース53ひいては車体全体の強度剛性の調整を容易にすることができる。スイングアーム30のピボット軸33を左右ピボットフレーム18およびユニットケース53で支持することで、ピボット軸33をユニットケース53のみで支持する場合に比べて、ユニットケース53の強度剛性の調整を容易にしてケース剛性の最適化を図ることができる。
【0075】
上記鞍乗り型電動車両において、クロスメンバ22,23は、左右ピボットフレーム18の上部間を連結する上クロスメンバ22と、左右ピボットフレーム18の下部間を連結する下クロスメンバ23と、を備え、マウント部56の上部には、上クロスメンバ22に対して締結される上締結部57を備え、マウント部56の下部には、下クロスメンバ23に対して締結される下締結部58を備え、下締結部58は、上締結部57よりも車幅方向内側の範囲で下クロスメンバ23に締結されている。
【0076】
この構成によれば、ユニットケース53の下締結部58が上締結部57よりも車幅方向内側の範囲で下クロスメンバ23に締結されることで、ユニットケース53の下部の左右幅を可及的に狭めることができ、車体のバンク角を確保しやすくすることができる。特に、下締結部58は車幅方向中央で最小数の一点とすることで、地面に近い車体下部の左右幅を可及的に抑えることができる。
【0077】
上記鞍乗り型電動車両において、左右ピボットフレーム18の各々は、ピボットフレーム18の本体側に対して別体のピボットブロック19を備え、左右のピボットブロック19の各々は、スイングアーム30のピボット軸33を支持するとともに、左右同側のピボットフレーム18の本体側に対して車両前後方向で締結されてもよい。
【0078】
この構成によれば、ピボットフレーム18の本体側に対して別体のピボットブロック19でピボット軸33を支持し、ピボットブロック19はピボットフレーム18の本体側に対し車両前後方向で締結することで、ユニットケース53の締結部と合わせて車両前後方向の締結部の範囲が広がり、ピボットブロック19およびピボット軸33を含んだユニットケース組立体の車体フレーム5の本体側への結合剛性を高めることができる。ピボットブロック19、ピボット軸33およびパワーユニット8の組立体をまとめて、車体フレーム5の本体側に前後方向の締結で取り付けることができる。
【0079】
上記鞍乗り型電動車両において、左右ピボットブロック19の各々に、左右同側のステップ27が取り付けられてもよい。
この構成によれば、左右ピボットブロック19でステップ27を支持することで、強度の高いピボットブロック19でステップ荷重を受けることができる。これにより、車体フレーム5は、ステップ取付部の強度確保による影響を受けないため、車体フレーム5の本体側の強度剛性の調整を容易にすることができる。
【0080】
上記鞍乗り型電動車両において、左右ピボットブロック19は、ピボット軸33の軸心位置が異なる複数種が設定されてもよい。
この構成によれば、ピボットブロック19をピボット軸33の中心位置違いで複数種設定することで、ピボットブロック19の交換で容易にピボット位置を可変とすることができ、車両部品の汎用性を高めることができる。
【0081】
上記鞍乗り型電動車両において、スイングアーム30にリンク機構31を介して連結されるリヤクッション32を備え、リヤクッション32は、ストローク方向を車両前後方向に向けた姿勢でパワーユニット8の上方に配置され、前端部が電気モーター50の駆動軸50aよりも前方でパワーユニット8に連結され、後端部が電気モーター50の駆動軸50aよりも後方でスイングアーム30に連結されている。
【0082】
この構成によれば、リヤクッション32を電気モーター50の駆動軸50aを跨いで車両前後方向に延びるように配置し、リヤクッション32の前端部をパワーユニット8に連結し、リヤクッション32の後端部をリンク機構31を介してスイングアーム30に連結する。車体フレーム5とパワーユニット8とを締結して剛性が高まった部位にリヤクッション32の前端部を連結することで、リヤクッション32の前端部の連結部位に別途補強を設けることなく、高い剛性でリヤクッション32の前端部を支持することができる。リヤクッション32はパワーユニット8の上方で電気モーター50の駆動軸50aを跨いで車両前後方向に延びるので、ピボットフレーム18の後方に配置したパワーユニット8を避けて効率よくリヤクッション32のストローク量を確保するとともに、パワーユニット8と後輪との間にリヤクッション32が配置される場合と比べて、後輪3の後退ひいてはホイールベースの増大を抑えることができる。リヤクッション32の前端部をパワーユニット8ではなく車体フレーム5に連結することもできる。すなわちクッション前連結部56dを上クロスメンバ22等に設けることもできる。
【0083】
上記鞍乗り型電動車両において、スイングアーム30は、左右一対のアーム本体36と、左右アーム本体36同士を連結するアーム連結部37と、を備え、左右アーム本体36は、車両側面視で上方に凸となるように曲がり、アーム連結部37は、左右アーム本体36の上端部間を連結し、アーム連結部37の内側に、リヤクッション32の後端部とスイングアーム30とを連結するリンク機構31が配置されている。
【0084】
この構成によれば、スイングアーム30の左右アーム本体36を上方に凸の屈曲形状とし、左右アーム本体36の上端部間をアーム連結部37で連結する。アーム連結部37はスイングアーム30の上方寄りに配置されるため、ピボットフレーム18後方のパワーユニット8を避けて効率よく左右アーム本体36同士を連結するとともに、パワーユニット8の上方に配置したリヤクッション32の後端部を連結しやすくなる。アーム連結部37の内側には、リヤクッション32の後端部を連結するリンク機構31を配置するので、リンク機構31によってサスペンション特性の設定自由度を高めるとともに、リンク式リヤサスペンションをコンパクトに構成することができる。
【0085】
上記鞍乗り型電動車両において、車体フレーム5’は、左右メインフレーム17の各々の下方に延びる左右一対の側壁部26aと、左右側壁部26aの下端同士を連結する底壁部26bと、左右側壁部26aの前端同士を連結する前壁部26cと、を含むボックス形状部26を備えてもよい。
【0086】
この構成によれば、車体フレーム5’の左右メインフレーム17の下方に、左右側壁部26a、底壁部26bおよび前壁部26cを含むボックス形状部26を備えることで、ボックス形状部26を左右メインフレーム17間に搭載したバッテリユニット80の支部構造として利用することができる。これにより、バッテリユニット80を支持するための構造物を削除あるいは簡略化して部品点数削減を図るとともに、重量物であるバッテリユニット80を搭載する車体フレーム5’の剛性を、ボックス形状部26によって高めることができる。
【0087】
上記鞍乗り型電動車両において、電気モーター50の駆動を制御する制御装置(PCU90)を備え、PCU90は、ボックス形状部26の底壁部26bの下面に締結されてもよい。
この構成によれば、車体フレーム5’のボックス形状部26の下面にPCU90を締結することで、PCU90を支持するための構造物を削除あるいは簡略化して部品点数削減を図るとともに、ボックス形状部26の底壁部26bがPCU90の締結によって補強され、車体フレーム5’の剛性をさらに高めることができる。
【0088】
上記鞍乗り型電動車両において、車両前後方向から見て、PCU90と重なる高さに電気モーター50が配置されてもよい。
この構成によれば、PCU90と電気モーター50とが互いに重なる高さに配置されることで、ボックス形状部26の内側に搭載したバッテリユニット80とPCU90とを互いに近接させるだけでなく、さらにPCU90と電気モーター50とを互いに近接させることで、バッテリユニット80、PCU90および電気モーター50の間の電力線の短縮を図るとともに、重量物の集約配置によりマスの集中を図ることができる。
【0089】
上記鞍乗り型電動車両において、電気モーター50と駆動輪(後輪3)とは、無端状の伝動部材(ドライブチェーン73)を介して連結され、パワーユニット8のユニットケース53には、ドライブチェーン73に張力を付与するテンショナー75が支持されてもよい。
この構成によれば、ユニットケース53にドライブチェーン73用のテンショナー75を支持することで、パワーユニット8の近傍で効率よくドライブチェーン73に張力を付与することができ。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、本実施形態の構成は、二輪車以外の鞍乗り型車両に適用してもよい。前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 電動二輪車(鞍乗り型電動車両)
2 前輪(操向輪)
3 駆動輪
3 後輪(駆動輪)
5,5’ 車体フレーム
8 パワーユニット
16 ヘッドパイプ(ヘッド部)
17 メインフレーム
18 ピボットフレーム
19 ピボットブロック
22 上クロスメンバ(クロスメンバ)
23 下クロスメンバ(クロスメンバ)
26 ボックス形状部
26a 側壁部
26b 底壁部
26c 前壁部
27 ステップ
30 スイングアーム
31 リンク機構
32 リヤクッション
33 ピボット軸
36 アーム部
37 アーム連結部
50 電気モーター
50a 駆動軸
53 ユニットケース
56 マウント部
56d クッション前連結部
57 上締結部
58 下締結部
73 ドライブチェーン(伝動部材)
75 テンショナー
80 バッテリ
90 PCU(制御装置)