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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098775
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】ナイアシンアミドを含む化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20250625BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20250625BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20250625BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20250625BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250625BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20250625BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20250625BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20250625BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/81
A61K8/25
A61K8/04
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q19/08
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215136
(22)【出願日】2023-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【弁理士】
【氏名又は名称】奥原 康司
(72)【発明者】
【氏名】リー イーティン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB052
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB352
4C083AC082
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD492
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC19
4C083CC23
4C083DD12
4C083DD27
4C083DD32
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】本発明は、ナイアシンアミドと(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとを含み、使用感触に優れた化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の化粧料は、(A)ナイアシンアミド、(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(C)カルボマー、および(D)吸油量が70ml/100g以上である多孔質球状シリカを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ナイアシンアミド、
(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、
(C)カルボマー、および
(D)吸油量が70ml/100g以上である多孔質球状シリカ
を含む、化粧料。
【請求項2】
前記(A)成分の配合量が、化粧料全量に対して3質量%以上である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(C)成分に対する前記(B)成分の配合比(B/C)が質量比にして2.0~5.0である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(D)成分の配合量が、化粧料全量に対して0.3~3質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項5】
油中水型乳化化粧料である、請求項1に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コク感とみずみずしい使用感を有し、塗布中のぬるつき感がない、ナイアシンアミドを含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミド(別名:ニコチン酸アミド)は、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、安全性が高く、角質改善効果、美白効果および抗シワ作用に有効な成分として知られており、美白やアンチエイジングの需要に応じて、化粧料に広く用いられている。しかしながら、化粧料にナイアシンアミドを有効量配合すると、みずみずしい使用感が失われたり、適用箇所にべたつき感が生じたり、特に乳化タイプの化粧料では塗布中にぬるつき感が生じるなどして肌なじみが悪くなったりすることが問題となる。
【0003】
そこで、ナイアシンアミドを配合する化粧料の使用感触を改善する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ナイアシンアミドと疎水変性ポリエーテルウレタンとを配合した化粧料に、スルホン酸基を分子内に有するアニオン性界面活性剤を添加することにより、塗布中のみずみずしさがあり、化粧料を適用した肌でのべたつきが抑制されることが記載されている。また、特許文献2では、ナイアシンアミドを含む乳化化粧料において、アクリロイルジメチルタウリン塩含有共重合体、スクレロチウムガム、アルカリゲネス産生多糖体、カルボキシメチルデキストランナトリウムおよびキサンタンガムから選択される1種以上の水溶性高分子とIOB値が0.15~0.35であるエステル油とを配合することによって、塗布時の化粧料の伸びや肌なじみ(ぬるつき感のなさ)に優れ、みずみずしい使用感が得られることが記載されている。
【0004】
一方、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーは、化粧料にコク感(化粧料を肌に馴染ませた後、化粧料が肌を覆うような後残り感)を付与することができる親水性増粘剤として知られ、重厚感が求められる化粧料に用いられることが多いが、塗布時の伸び広がりが重く、みずみずしさに欠ける傾向がある。
【0005】
ナイアシンアミドを配合する化粧料において、コク感を付与するために(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用いた場合には、当該親水性増粘剤特有の使用感を失うことなく、ナイアシンアミド配合化粧料の使用感触を改善することに課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-172610号公報
【特許文献2】特開2022-130776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ナイアシンアミドと(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとを含む化粧料において、使用感触に優れた化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、親水性増粘剤であるカルボマーと特定の多孔質球状シリカとを組み合わせることによって、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを用いた場合に得られるコク感(化粧料を肌に馴染ませた後、化粧料が肌を覆うような後残り感)を損なうことなく、ナイアシンアミドに起因する塗布中のぬるつき感が抑制され、みずみずしい使用感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(A)ナイアシンアミド、
(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、
(C)カルボマー、および
(D)吸油量が70ml/100g以上である多孔質球状シリカ
を含む、化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る化粧料は、上記構成とすることにより、ナイアシンアミドを配合する化粧料において、みずみずしい使用感があり、塗布中のぬるつき感がなく、コク感を有する使用感触を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化粧料は、(A)ナイアシンアミド、(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(C)カルボマー、および(D)多孔質球状シリカを含むことを特徴とする。以下、本発明の化粧料を構成する各成分について詳述する。
【0012】
<(A)ナイアシンアミド>
本発明の(A)ナイアシンアミド(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある)は、ニコチン酸(ビタミンB3またはナイアシンとも称する)のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の1種として広く知られる物質であり、米ぬかなどの天然物から抽出する、または公知の方法で合成することにより得ることができる。
【0013】
本発明の化粧料における(A)成分の配合量は、ナイアシンアミドの有効性を発揮する量であれば特に限定されないが、化粧料全量に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上である。配合量範囲としては、例えば、3~10質量%、4~8質量%等が挙げられる。前記の範囲内で配合すれば、ナイアシンアミドの角質改善効果、美白効果および抗シワ作用などに基づいて、しわ・たるみの改善、肌荒れ防止の点で効果感が得られる。
【0014】
<(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー>
本発明の(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(以下、単に「(B)成分」と称する場合がある)は、アクリル酸ナトリウムとアクリロイルジメチルタウリンナトリウムの共重合体であって、水中で膨潤し、水和ゲル相を形成するミクロゲル系増粘剤である。
【0015】
本発明の(B)成分として市販品を用いることができる。(B)成分の市販品として、例えば、SIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 37.5%、イソヘキサデカン 22.5%、ポリソルベート80 7.5%、オレイン酸ソルビタン 2.5%、水 30%混合物、セピック社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明の化粧料における(B)成分の配合量は、化粧料の剤型に応じて水相を増粘するために通常配合される量であれば特に限定されない。化粧料全量に対する配合量の下限値としては、例えば、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%などが挙げられ、上限値としては、5質量%、3質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。よって、配合量範囲としては、0.1~5質量%、0.2~3質量%等が挙げられる。
【0017】
<(C)カルボマー>
本発明の(C)カルボマー(カルボキシビニルポリマーとも称される、以下、単に「(C)成分」と称する場合がある)は、アクリル酸を主鎖としペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテルまたはプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸系水溶性ポリマーであり、カルボキシル基を持つ。本発明の(C)カルボマーとしては、水やアルコール等の溶媒に対する増粘剤として化粧料に一般的に用いられるものを指す。
【0018】
本発明の(C)成分として市販品を用いることができる。(C)成分の市販品として、例えば、アクペック HV-501E、HV-505E、HV-505ED、HV-801EG、HV-801EG-300、HV-805EG、HV-805EG-300およびSW-705E(以上、住友精化社製)、ハイビスワコー103、ハイビスワコー104およびハイビスワコー105(以上、富士フイルム和光純薬社製)、カーボポール(登録商標) 934ポリマー、940ポリマー、941ポリマー、980ポリマー、981ポリマー、2984ポリマー、5984ポリマー、ETD2050ポリマー、Silk100ポリマー、Style2.0ポリマー、Ultrez10ポリマーおよびUltrez30ポリマー(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明の化粧料における(C)成分の配合量は、化粧料の剤型に応じて水相を増粘するために通常配合される量であれば特に限定されないが、化粧料全量に対する配合量の下限値としては、例えば、0.05質量%、0.08質量%、0.1質量%などが挙げられ、上限値としては、1質量%、0.8質量%、0.5質量%、0.3質量%等が挙げられる。よって、配合量範囲としては、0.05~1質量%、0.08~0.8質量%等が挙げられる。
【0020】
本発明の化粧料においては、(C)カルボマーに対する(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの配合比(B/C)を、質量比にして、2.0~5.0とすることが好ましく、2.5~4.0とすることがより好ましい。
【0021】
<(D)多孔質球状シリカ>
本発明の(D)多孔質球状シリカ(以下、単に「(D)成分」と称する場合がある)は、JIS K5101-13-2(煮あまに油法)に従って測定した吸油量が、70ml/100g以上であり、好ましくは100ml/100g以上である、多孔質シリカである。この多孔質シリカの形状は球状であるが、真球状であることが特に好ましい。
ここで「真球状」とは、いずれの方向から投影して見た場合にも概略真円状を示すものであって、粒子径の最小値が最大値の80%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。
(D)多孔質球状シリカの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは1~15μmであり、より好ましくは2~10μmである。
本発明の(D)成分としては、親水性表面を有する球状シリカであることが好ましい。
【0022】
本発明の(D)成分として市販品を用いることができる。(D)成分の市販品として、例えば、ゴッドボールE-6C、ゴッドボールB-6C(以上、鈴木油脂工業社製)、サンスフェアL-31、サンスフェアL-51(以上、AGCエスアイテック社製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の化粧料における(D)成分の配合量は、化粧料全量に対して、好ましくは0.3~3質量%、より好ましくは0.4~2.5質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%である。配合量が0.3質量%未満であると塗布中のぬるつき感の抑制が十分でない場合があり、3質量%を超えるとコク感が低下する傾向となる。
【0024】
本発明に係る化粧料を乳化化粧料として調製する場合には、前記(A)~(D)成分に加え、界面活性剤が配合されうる。界面活性剤は特に限定されず、油中水型、水中油型等の所望の乳化化粧料に応じて、親油性のものないしは親水性のものが適宜選択される。親油性界面活性剤としては、HLBが7未満の非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、親水性界面活性剤としては、HLBが7以上の非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
HLBが7未満の非イオン性界面活性剤の例としては、モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
HLBが7以上の非イオン性界面活性剤の例としては、PEG-10水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン水添ヒマシ油;モノイソステアリン酸PEG-3グリセリル、モノイソステアリン酸PEG-8グリセリル等のポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル;ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(化粧品成分表示名称:ポリソルベート80)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(化粧品成分表示名称:ポリソルベート60)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;PEG-30フィトステロール等のポリオキシエチレンステリルエーテル等が挙げられる。
本発明の化粧料においては、上記界面活性剤から選択される1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
前記界面活性剤は、本発明の化粧料における選択的配合成分であるから、必ず配合しなければならないものではないが、配合する場合には、乳化安定性の観点から好ましい配合量である必要がある。例として、化粧料全量に対して0.01~5質量%、0.1~3質量%、0.3~2質量%等が挙げられる。
【0026】
本発明の化粧料を油中水型乳化化粧料として調製する場合には、界面活性剤のなかでも、上記したHLBが7以上の非イオン性界面活性剤が配合されるのが好ましい。
【0027】
本発明の化粧料は、水性化粧料、水中油型ないしは油中水型の乳化化粧料、油性化粧料など、特にその形態は限定されないが、本発明の(B)成分は乳化特性に優れるので、乳化化粧料の形態、特に油中水型乳化化粧料の形態とするのに適する。
【0028】
本発明に係る化粧料には、上記成分の他に、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の任意成分を必要に応じて適宜配合してもよい。他の任意成分としては、例えば、油分、水、前記(B)および(C)成分以外の親水性増粘剤、保湿剤、低級アルコール、親油性増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、粉末成分、分散剤、キレート剤、pH調整剤(中和剤)、酸化防止剤、香料、防腐剤、殺菌剤、各種薬剤等が挙げられる。ただし、これら例示に限定されるものではない。
【0029】
油分としては、ジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ハイドロゲンジメチコン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン等の直鎖状シリコーン油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン油等のシリコーン油;流動パラフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン、ウンデカン、トリデカン、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリイソブテン、オレフィンオリゴマー、水添ポリデセン等の炭化水素油;テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル等のエステル油;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等の炭素数12~22の高級アルコール;モクロウ、カカオ脂、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の油脂等が挙げられる。
【0030】
水としては、イオン交換水、精製水、水道水、天然水等、必要に応じて選択される。配合量は、本発明に係る必須成分と、その他の任意的配合成分の和に対する残量(化粧料全量に対する質量%)である。
【0031】
前記(B)および(C)成分以外の親水性増粘剤としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)、グリチルリチン酸等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、疎水変性アルキルセルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸およびその塩、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子;(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー等のタウレート系高分子;PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート共重合体等の疎水変性ポリエーテルウレタン;アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー等のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等のアクリレート系高分子等が挙げられる。
【0032】
親水性増粘剤は、本発明の化粧料における選択的配合成分であるから、必ず配合しなければならないものではないが、配合する場合には、当該配合の効果が認められる程度に、かつ、配合量が過度になって使用感を損なう等の弊害が認められない限度で配合することが好ましい。好適な配合量としては、化粧料全量に対して0.01~1質量%程度が好ましい。
【0033】
保湿剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン・ポリオキシエチレン共重合体ジアルキルエーテル、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット等が挙げられる。
【0034】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0035】
本発明の化粧料の製造方法は特に限定されず、目的の剤形に応じて常法に従って製造することができる。
【0036】
本発明の化粧料は、乳液状、ジェル状、ペースト状、クリーム状、バーム状等の剤形にすることができる。なかでも、広口容器やチューブに充填するクリーム状の化粧料とするのに適する。
【0037】
本発明に係る化粧料は、医薬品,医薬部外品(軟膏剤等)および洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク等の基礎化粧品;ファンデーション、口紅等のメーキャップ化粧品;日焼け止め等のサンケア商品;芳香化粧品;ボディ化粧品等の形態に広く適用可能である。ただし、肌に塗布したときの使用感触、ナイアシンアミドに基づく効果などに鑑みて、皮膚化粧料として提供するのに特に適する。
【実施例0038】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。各実施例について具体的に説明する前に、採用した評価方法について説明する。
【0039】
1.実使用試験
各例のサンプル0.2gを専門パネラーの皮膚へ、パネラーの指で円を描くようにして塗布し、塗布中の使用感触(みずみずしさ、ぬるつき感)および塗布後のコク感について、下記の4段階の評価で点数化し、平均値を算出することによって評価した。平均点が1.5以上のものを合格ラインとした。
(評価基準)
3点:非常に良い
2点:良い
1点:やや悪い
0点:悪い
【0040】
下記表1に掲げた組成を有するクリーム状の油中水型乳化化粧料を調製した。具体的には、油性成分を加熱しながら混合して得た油性成分混合物(油相)に、別途、混合溶解して得た水性成分混合物(水相)を添加し、ホモミキサー等で乳化することによって調製した。調製した試料について、前記した評価方法に従って各特性を評価した。結果を表に併せて示す。
【0041】
【表1】
*1:SIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 37.5%、イソヘキサデカン 22.5%、ポリソルベート80 7.5%、オレイン酸ソルビタン 2.5%、水 30%混合物、セピック社製)
*2:KSG-16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 24%、ジメチコン 76%混合物、信越シリコーン社製)
【0042】
表1に示されるように、本発明の(A)ナイアシンアミドと(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを含むが、(C)カルボマーを含まない比較例1の化粧料は、コク感があるものの、みずみずしい使用感がなく、塗布中にぬるつきが生じ、肌なじみの悪さを感じた。また、本発明の(A)ナイアシンアミド、(B)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーおよび(C)カルボマーを含むが、(D)多孔質球状シリカを含まない比較例2の化粧料は、みずみずしい使用感があるものの、コク感が低下し、塗布中にぬるつきが生じ、肌なじみの悪さを感じた。
一方、本発明の(A)~(D)成分を含む実施例1~4の化粧料では、みずみずしい使用感があり、塗布中のぬるつきがなく、肌へのなじみの良さが感じられ、塗布後のコク感に優れていた。
本発明の(B)および(C)の配合量を変更した実施例5および6の化粧料においても、みずみずしい使用感があり、塗布中のぬるつきがなく、肌へのなじみの良さが感じられ、塗布後のコク感に優れていた。
【0043】
表1と同様に、表2に掲げた組成を有するクリーム状の油中水型乳化化粧料を調製した。表2では、吸油量が異なる球状シリカを用いた例を示す。
【表2】
【0044】
表2に示されるように、吸油量が70ml/100g未満の球状シリカを用いた比較例3~6の化粧料では、みずみずしい使用感が得られず、コク感も低下し、塗布中のぬるつき感も抑制できなかった。また、吸油量が70ml/100g未満の球状シリカの配合量を増やした比較例7の化粧料は、コク感が低下し、塗布中のぬるつき感を十分に抑制することはできなかった。
一方、吸油量が70ml/100g以上である球状シリカを用いた実施例1と実施例7の化粧料では、みずみずしい使用感が得られ、コク感がありながら、塗布中のぬるつき感を十分に抑制することができた。