(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009878
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】換気スリーブ
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20250109BHJP
A62B 11/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04B1/94 F
A62B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088909
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2023107914
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
(72)【発明者】
【氏名】七岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】林 小勇
(72)【発明者】
【氏名】大西 正晃
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 憲治
(72)【発明者】
【氏名】福田 稔久
【テーマコード(参考)】
2E001
2E185
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001DE03
2E001FA01
2E001FA15
2E001GA29
2E001GA65
2E001HA32
2E001ND03
2E185AA09
(57)【要約】
【課題】小屋裏空間の換気を効率的に行うことができる換気スリーブを提供すること。
【解決手段】換気スリーブ(5)は、建物の天井裏空間を仕切る梁(2)を貫通する貫通孔(24)に配置されるものである。換気スリーブ(5)は、貫通孔(24)内に配置され、貫通孔(24)を貫通する円筒形状の筒状耐火被覆材(50)と、筒状耐火被覆材(50)の内周面に配置される、円筒形状の芯部材(60)とを備える。芯部材(60)は、筒状耐火被覆材(50)に当接する内側領域(61)と、内側領域(61)から両方向に延び、筒状耐火被覆材(50)に当接しない外側領域(62)とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井裏空間を仕切る梁を貫通する貫通孔に配置される換気スリーブであって、
前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔を貫通する円筒形状の筒状耐火被覆材と、
前記筒状耐火被覆材の内周面に配置される、円筒形状の芯部材とを備え、
前記芯部材は、前記筒状耐火被覆材に当接する内側領域と、前記内側領域から軸方向両側方に延び、前記筒状耐火被覆材に当接しない外側領域とを含む、換気スリーブ。
【請求項2】
前記外側領域は、少なくとも上方に向かって開口する開口部が設けられる、請求項1に記載の換気スリーブ。
【請求項3】
前記開口部は、複数設けられる、請求項2に記載の換気スリーブ。
【請求項4】
前記芯部材は、前記筒状耐火被覆材の内周面から取り出した状態において、板形状である、請求項1または2に記載の換気スリーブ。
【請求項5】
前記芯部材は、一方端に設けられる差し込み部と、一方端から離れた他方端に設けられ、前記差し込み部を受け入れる受け入れ部とを含み、
前記差し込み部が前記受け入れ部に差し込まれることで、円筒形状に形成される、請求項4に記載の換気スリーブ。
【請求項6】
前記天井裏空間には、前記梁間を連結する水平ブレースが設けられており、
前記開口部は、前記水平ブレースが通過している、請求項2に記載の換気スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気スリーブに関し、特に建物の天井裏空間を仕切る梁を貫通する貫通孔に配置される換気スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、陸屋根の戸建て住宅または集合住宅などの建物において、小屋裏換気を行う場合、梁の上下には換気経路を設けるスペースがないため、梁に貫通孔を設けて梁区画間の換気経路を確保するようにしている。
【0003】
また、建物が耐火仕様である場合、梁を耐火被覆材で覆い、梁の貫通孔を耐火被覆材で覆う必要がある。このような技術を開示するものとして、たとえば特許文献1(特開2007-198029号公報)が知られている。特許文献1には、梁を耐火被覆材で覆うとともに、梁の貫通孔を耐火被覆材で覆う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、梁の貫通孔の内周面を耐火被覆材で覆う際に、耐火被覆材を丸めて貫通孔内に挿入している。しかし、耐火被覆材は、繊維系の材料で形成されるため、材質のばらつきが大きく、所定の内径を確保できない可能性がある。
【0006】
また、一般的に、建物の天井裏空間において、天井板裏面に小屋裏断熱材が貼り付けられている。小屋裏断熱材は、梁の区画間毎に配置されるものであり、梁の貫通孔に配置される耐火被覆材の開口を覆うおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、小屋裏空間の換気を効率的に行うことができる換気スリーブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う換気スリーブは、建物の天井裏空間を仕切る梁を貫通する貫通孔に配置される換気スリーブであって、貫通孔内に配置され、貫通孔を貫通する円筒形状の筒状耐火被覆材と、筒状耐火被覆材の内周面に配置される、円筒形状の芯部材とを備え、芯部材は、筒状耐火被覆材に当接する内側領域と、内側領域から軸方向両側方に延び、筒状耐火被覆材に当接しない外側領域とを含む。
【0009】
好ましくは、外側領域は、上方に向かって開口する開口部が設けられる。
【0010】
好ましくは、開口部は、複数設けられる。
【0011】
好ましくは、芯部材は、筒状耐火被覆材の内周面から取り出した状態において、板形状である。
【0012】
好ましくは、芯部材は、一方端に設けられる差し込み部と、一方端から離れた他方端に設けられ、差し込み部を受け入れる受け入れ部とを含み、差し込み部が受け入れ部に差し込まれることで、円筒形状に形成される。
【0013】
好ましくは、天井裏空間には、梁間を連結する水平ブレースが設けられており、開口部は、水平ブレースが通過している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小屋裏空間の換気を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す断面図である。
【
図4】換気スリーブの施工方法を示した説明図である。
【
図7】従来の換気スリーブを説明する断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係る換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0017】
<概略構成>
本実施の形態の換気スリーブの説明に先立ち、まず、建物の天井裏空間1の構造について説明する。
図1は、本実施の形態の換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す斜視図であり、
図2はその断面図である。なお、
図1において、天井部12と天井部12上に位置する断熱材3の図示を省略している。また、
図2の矢印Aの左右方向は、軸方向を示している。
【0018】
換気スリーブ5が天井裏空間1に配置される建物は、たとえば戸建て住宅または集合住宅などであり、陸屋根を有する。特に
図2に示すように、天井裏空間1は、屋根部11と天井部12との間に位置する。天井裏空間1において、梁2によって屋根組(床組)が形成されており、複数の領域に区画されている。天井部12上には、たとえばグラスウール、ロックウールなどの繊維材料で形成された断熱材3が位置する。具体的には、断熱材3は、梁2によって区画された領域内の下方位置に敷き詰められている。
【0019】
梁2は、たとえばH形鋼またはI形鋼などであり、上フランジ21と、下フランジ22と、上フランジ21と下フランジ22とを上下に連結する腹板23とを含む。上フランジ21は、屋根部11を下方から支持する。下フランジ22は、天井部12によって下方から支持されている。
【0020】
図2に示すように、梁2の腹板23には、円形状の梁貫通孔24が設けられる。図示は省略するが、梁貫通孔24は、腹板23の長手方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。この梁貫通孔24は、天井裏空間1の換気経路を形成するために設けられる。梁貫通孔24内には、換気スリーブ5が位置する。換気スリーブ5については、後述する。
【0021】
梁2は、耐火仕様であり、耐火被覆材4によって覆われている。耐火被覆材4は、板状であり、梁2の下方および両側を覆って屋根部11にピン(図示せず)で固定されることで箱状となる。以下、耐火被覆材4を箱状耐火被覆材という。箱状耐火被覆材4は、梁2の下フランジ22には接しているが、腹板23には接していない。そのため、箱状耐火被覆材4の腹板23と断熱材3との間には空間が設けられる。なお、箱状耐火被覆材4は、この形状に限定されず、たとえば梁2の形状に沿って貼り付けられていてもよい。
【0022】
箱状耐火被覆材4は、たとえば繊維系材料であるロックウールなどで形成されている。具体的には、箱状耐火被覆材4は、フェルト状に成型した耐熱ロックウールに表面化粧材を接着して形成されている。箱状耐火被覆材4は、梁2の梁貫通孔24に対応する位置に、梁貫通孔24と同じ大きさの孔部44が設けられる。これにより、後述する換気スリーブ5は、梁貫通孔24と孔部44を貫通する形状となる。
【0023】
<実施の形態1>
(換気スリーブの構成)
図3をさらに参照して、本実施の形態1の換気スリーブ5について説明する。
図3は、芯部材を示す平面図である。
【0024】
図1および
図2に示すように、換気スリーブ5は、梁2の梁貫通孔24および箱状耐火被覆材4の孔部44内に配置され、梁貫通孔24及び孔部44を貫通する円筒形状の筒状耐火被覆材50と、筒状耐火被覆材50の内周面に配置される、円筒形状の芯部材60とを備える。
【0025】
筒状耐火被覆材50は、上述した箱状耐火被覆材4と同じ材質で形成されていている。すなわち、筒状耐火被覆材50は、たとえば繊維系材料であるロックウールなどで形成されており、具体的には、フェルト状に成型した耐熱ロックウールに表面化粧材を接着して形成されている。筒状耐火被覆材50は、その外周面が梁2の梁貫通孔24の内周面と箱状耐火被覆材4の孔部44の内周面に当接する。筒状耐火被覆材50の両端部は、箱状耐火被覆材4の孔部44を貫通し、筒状耐火被覆材50の側壁面から突出する。また、筒状耐火被覆材50は、円筒形状に成型した部材であり、軸方向に延びる筒状開口部54を有する。この筒状開口部54内には芯部材60が配置される。
【0026】
図2に示すように、芯部材60は、筒状耐火被覆材50よりも軸方向長さが長く、筒状耐火被覆材50の両端部からその両端部が突出している。具体的には、芯部材60は、筒状耐火被覆材50に当接する内側領域61と、内側領域61から両方向に延び、筒状耐火被覆材50に当接しない外側領域62とを含む。
【0027】
図3をさらに参照して、内側領域61の幅寸法は、筒状耐火被覆材50と略同じであればよく、たとえば200mm以上300mm以下である。外側領域62の幅寸法は、内側領域61よりも小さい。具体的には、外側領域62の幅寸法は、内側領域61の幅寸法の2分の1以下であればよく、20mm以上100mm以下であり、好ましくは40mm以上70mm以下である。20mm未満であると、外側領域62の強度を確保することができず、後述する外周開口部64(
図2)の面積が小さくなり通気量が少なくなる。100mmを超えると、筒状耐火被覆材50からの突出寸法が大きすぎて、外側領域62が折れ曲がる可能性がある。
【0028】
内側領域61の両端部に設けられる外側領域62の外周面には、開口部64がそれぞれ設けられる。外周開口部64は、両外側縁から10mm以上50mm以下、具体的には25mm以上35mm以下の位置に設けられる。これにより、外側領域62の強度を維持することができる。
図2に示すように、外周開口部64は、上方および側方に向かって開口するが、全周に亘って開口してもよい。外周開口部64の開口面積は、芯部材60の軸方向端部に設けられる端部開口部63の開口面積と略同一であるか、端部開口部63の開口面積よりもやや大きいことが好ましい。
【0029】
芯部材60は、可撓性を有する材料により形成されており、その材質は、たとえばポリプロピレン(PP)などである。芯部材60の板厚は、0.3mm~0.5mmであることが好ましい。芯部材60は、材質および板厚などにより、復元性を有することが好ましい。
【0030】
芯部材60は、筒状耐火被覆材50内に挿し込まれた状態では、円筒形状であるが、
図3に示すように、筒状耐火被覆材50から取り出した状態において、板形状である。
【0031】
具体的には、芯部材60は、平面視において矩形形状である。外周開口部64は、芯部材60の上下方向に沿って延びる矩形形状である。外周開口部64の上下方向長さは、芯部材60の上下方向長さの2分の1以上であることが好ましい。芯部材60は、一方端(紙面上の上方)に設けられる差し込み部65と、一方端から離れた他方端(紙面上の下方)に設けられる受け入れ部66とを含む。
【0032】
差し込み部65は、外周開口部64の上方にそれぞれ設けられる。差し込み部65は、芯部材60の上端縁から上方に突出する形状である。受け入れ部66は、外周開口部64の下方にそれぞれ設けられる。受け入れ部66は、平面視矩形形状であるが、差し込み部65が差し込み可能であれば、切り欠き部であってもよい。差し込み部65は、受け入れ部66に差し込まれることで円筒形状が維持される。
【0033】
(換気スリーブの施工方法)
図4を参照して、本実施の形態の換気スリーブ5の施工方法について説明する。
図4は、換気スリーブの施工工程を示す図である。
【0034】
まず、
図4(A)に示すように、板形状の芯部材60を用意する。次いで、
図4(B)に示すように、差し込み部65と受け入れ部66とが配置されている方向に沿って芯部材60を丸め、受け入れ部66に差し込み部65を挿入する。これにより、板形状の芯部材60は円筒形状に変形する。
【0035】
図4(C)に示すように、梁2の梁貫通孔24(
図1)内に筒状耐火被覆材50を取り付ける。さらに筒状耐火被覆材50の筒状開口部54内に円筒形状の芯部材60を挿入する。この際に、差し込み部65に受け入れ部66を挿入した状態で、芯部材60の内径が筒状開口部54の内径よりも小さくなるように丸めておく。これにより、筒状耐火被覆材50の筒状開口部54内に芯部材60を挿入しやすくなる。
【0036】
芯部材60を筒状耐火被覆材50に挿入すると、
図4(D)に示すように、天井部12上に配置されている断熱材3の上方に芯部材60が位置する。これにより、芯部材60の軸方向端部に設けられる開口部である端部開口部63が、断熱材3によって覆われることをある程度防ぐことができるとともに、端部開口部63が覆われた場合であっても、外周開口部64で換気経路を確保することができる。
【0037】
図7(A)および
図7(B)には、従来の換気スリーブ150の断面図が示されている。
図7(A)に示すように、従来の換気スリーブ150は、筒状耐火被覆材50と、筒状耐火被覆材50と同じ軸方向長さの筒状の芯部材160とを含んでいる。
図7(A)および
図7(B)では、芯部材160を太線で示している。芯部材160を筒状耐火被覆材50の内周面に当接させることで、繊維系の材料で形成される筒状耐火被覆材50の内径の成形性を維持することが可能である。しかし、天井部12の上方に配置される断熱材3で筒状耐火被覆材50の端部開口部163が閉鎖される場合があり、換気経路を確保することができない場合がある。
【0038】
また、
図7(B)に示すように、従来の換気スリーブ150は、筒状耐火被覆材50と芯部材160の軸方向長さを同一にしていると、芯部材160を筒状耐火被覆材50に挿入する際に、筒状耐火被覆材50の位置と芯部材160の位置がずれてしまう。その場合に、筒状耐火被覆材50の左端部分では、芯部材160が配置されていないため、筒状耐火被覆材50の孔径が小さくなり、換気経路を確保することができない場合がある。
【0039】
発明者は、鋭意研究の結果、上記課題があることを見出し、それを解決すべく本願発明に想到した。すなわち、本実施の形態の換気スリーブ5は、筒状耐火被覆材50の内周面に、筒状耐火被覆材の軸方向寸法よりも大きい円筒形状の芯部材60を設けている。これにより、芯部材60が多少軸方向にずれたとしても、芯部材60が確実に筒状耐火被覆材50の内周面に位置するため、筒状耐火被覆材50の円形状を維持することができる。さらに、筒状耐火被覆材50よりも芯部材60が軸方向に突出するため、断熱材3を押さえることができる。これにより、小屋裏換気を効率的に行うことができる。
【0040】
さらに、本実施の形態の換気スリーブ5は、芯部材60の外側領域62に上方に開口する外周開口部64を設けている。これにより、万が一、端部開口部63が断熱材3で閉鎖されたとしても、外周開口部64で通気することが可能である。
【0041】
本実施の形態の換気スリーブ5は、芯部材60を板形状とし、筒状耐火被覆材50内に挿入する際に丸めて円筒形状とし、差し込み部65を受け入れ部66に挿し込むようにした。これにより、芯部材60の直径を筒状耐火被覆材50の筒状開口部54の直径よりも小さくした状態で挿入することができるため、作業性が向上する。さらに、差し込み部65を受け入れ部66に挿し込むことで、芯部材60の内径寸法を維持することができるため、筒状耐火被覆材50の筒状開口部54の内径寸法を確保することができる。
【0042】
(変形例について)
図5および
図6を参照して、本実施の形態の換気スリーブ5の変形例について説明する。
図5および
図6は、換気スリーブの変形例を示す図である。上記した実施の形態と本変形例との相違点は、芯部材60A,60Bに設けられる外周開口部64A,64Bにある。
【0043】
図5に示すように、芯部材60Aの外周開口部64Aは、横長の矩形形状であり、たとえば縦に8つ設けられている。この複数の外周開口部64Aの開口面積の合計は、端部開口部63(
図1,
図2)の開口面積と略同一である。これにより、外周開口部64Aの開口面積を変えずに、後端領域の強度を向上させることができる。
【0044】
また、本変形例では、差し込み部65が挿し込まれる受け入れ部66Aを下端縁から内方に凹む凹部形状とした。この形状により、差し込み部65を受け入れ部66Aに引っ掛けるだけで良いため、作業性を向上させることができる。
【0045】
図6に示すように、芯部材60Bの外周開口部64Bは、円形状であり、たとえば横に3列、縦に6列設けられている。この複数の外周開口部64Bの開口面積の合計は、端部開口部63(
図1,
図2)の開口面積と略同一である。これにより、外周開口部64Bの開口面積を変えずに、後端領域の強度を向上させることができる。また、本変形例では、差し込み部65と受け入れ部66Aの形状を、上述した変形例と同様にした。
【0046】
<実施の形態2>
図8および
図9を参照して、本実施の形態2の換気スリーブ5Cについて説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す断面図であり、
図9は、換気スリーブの芯部材を示す平面図である。以下に、実施の形態1に示した芯部材10との相違点のみ詳細に説明する。
【0047】
図8に示すように、芯部材60Cは、筒状耐火被覆材50に当接する内側領域61と、内側領域61から両方向に延び、筒状耐火被覆材50に当接しない外側領域62Cとを含む。外側領域62Cの外周面には、外周開口部64Cがそれぞれ設けられる。なお、本実施の形態の外側領域62Cの幅寸法は、上述した実施の形態1の外側領域62Cの幅寸法と同一であってもよいし、それよりも大きくてもよい。
【0048】
図3に示すように、実施の形態1の芯部材60の外周開口部64は、両外側縁から一定幅を空けて形成されていた。それに対し、
図9に示すように、本実施の形態の芯部材60Cの外周開口部64Cは、芯部材60Cの両外側縁から内方に向かって切り欠かれた形状となっている。
図8に示すように、外周開口部64Cは、上方に向かって開口し、外側領域62Cの全横幅に亘って延びている。これにより、内側領域61が円筒形状であるのに対し、外側領域62Cは略半円筒形状となる。
【0049】
図8に示すように、外周開口部64Cの上下方向寸法Hは、芯部材60Cの直径Dの2分の1以上である。これにより、後述する水平ブレース25が梁2に取り付けられている場合でも、水平ブレース25が外周開口部64Cを通過するため、芯部材60Cが水平ブレース25に干渉しないようにすることができる。また、外周開口部64Cの上下方向寸法Hが、芯部材60Cの直径Dの5分の3以上であれば、水平ブレース25が太い場合であっても、芯部材60Cが水平ブレース25に干渉しないようにすることができる。
【0050】
次に、本実施の形態の換気スリーブ5Cを天井裏空間に配置した場合について説明する。
図10は、換気スリーブが天井裏空間に配置されている状態を示す斜視図である。なお、
図10では、理解容易のため、換気スリーブ5Cの構成として、芯部材60Cだけを図示し、箱状耐火被覆材4の図示を省略している。
【0051】
図10に示すように、梁2と梁2の間には、水平方向に延在して交差する水平ブレース25が取り付けられている。水平ブレース25は、梁2の腹板23の上下方向中央位置に取り付けられており、梁2の上下方向の中央高さを水平方向に沿って延在する。また、梁2の腹板23に設けられる梁貫通孔24は、腹板23の上下方向中央位置に設けられており、梁2の延在方向において複数設けられている。
【0052】
換気スリーブ5Cの芯部材60Cは、梁貫通孔24を貫通する。梁貫通孔24および水平ブレース25の高さ位置は、いずれも梁2の上下方向中央位置で同じであるため、梁貫通孔24および水平ブレース25との位置関係によっては、芯部材60Cが水平ブレース25に当接する場合があり得る。
【0053】
そのような場合であっても、本実施の形態の芯部材60Cは、開口部64Cが両端部から切り欠かれた形状になっている。さらに、開口部64Cの上下方向寸法Hが芯部材60Cの直径Dの2分の1以上である。そのため、水平ブレース25が芯部材60Cと交差しそうな位置関係にある場合であっても、水平ブレース25が芯部材60Cの外周開口部64Cを通過するため、芯部材60Cが水平ブレース25に当接しないようにすることができる。
【0054】
<変形例>
なお、上記実施の形態では、梁2の側方および下方を覆う箱状耐火被覆材4が設置されていたが、箱状耐火被覆材4は設けられていなくてもよい。
【0055】
上記実施の形態の芯部材60,60A,60B,60Cは、板形状であるとしたが、予め円筒形状で成形されていてもよい。また、芯部材60,60A,60B,60Cは、梁貫通孔24を貫通する際に結果として中空形状になればよく、たとえば多角形であってもよい。
【0056】
実施の形態2の芯部材60Cは、その外周開口部64Cが外側領域62Cの全横幅に亘って設けられていたが、外側領域62Cの両外側縁から内方に向かう部分の一部に設けられていればよく、全横幅に亘っている必要はない。外周開口部64Cの横幅寸法は、水平ブレース25および要求される換気量により適宜選択される。
【0057】
水平ブレース25は、梁2の上下方向の中央高さを水平方向に沿って延在するとして説明したが、この構成に限定されるものではなく、水平ブレース25が延在する高さ位置は問わない。また、実施の形態2の外周開口部64Cであれば、容易に水平ブレース25を通過させることができるが、実施の形態1の外周開口部64であっても、それらの位置関係によっては、水平ブレース25を通過させることができる。
【0058】
また、上記実施の形態および変形例の芯部材60,60A,60B,60Cの外周開口部64,64A,64B,64C、差し込み部65、および受け入れ部66,66Aを適宜組み合わせてもよい。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 天井裏空間、2 梁、3 断熱材、4 箱状耐火被覆材、5 換気スリーブ、4 梁貫通孔、50 筒状耐火被覆材、60,60A,60B,60C 芯部材、61 内側領域、62,62C 外側領域、63 端部開口部、64,64A,64B,64C 外周開口部、65 差し込み部、66 受け入れ部。