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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025098910
(43)【公開日】2025-07-02
(54)【発明の名称】細胞培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20250625BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/34 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013359
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2023214803の分割
【原出願日】2023-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】那須 慶太
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
(72)【発明者】
【氏名】森永 高広
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 達也
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
(57)【要約】
【課題】異なる機能の操作部をより最適化された環境下で動作させることが可能な細胞培養装置を提供する。
【解決手段】空気清浄度の規格基準として第1基準(ISOによるクラス5など)を満たす第1空間(培地交換部22の内部空間など)と、空気清浄度の規格基準として第1基準よりも低い第2基準(ISOによるクラス6~7など)を満たす第2空間(培地交換部22以外の部分の内部空間など)と、第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能な培地交換ロボット42と、第2空間に設置され、培地が格納されたウェルプレート52の移動操作を実行可能な搬送ロボット40と、培地交換ロボット42が培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を第1空間内とし、搬送ロボット40がウェルプレート52を移動させる場合の可動範囲を第2空間及び第1空間とする制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄度の規格基準として第1基準を満たす第1空間と、
前記空気清浄度の規格基準として前記第1基準よりも低い第2基準を満たす第2空間と、
前記第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能な第1操作部と、
前記第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器の移動操作を実行可能な第2操作部と、
前記第1操作部が前記培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を前記第1空間内とし、前記第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲を前記第2空間及び前記第1空間とする操作部制御手段と
を備える、細胞培養装置。
【請求項2】
前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって前記細胞培養容器を前記第2空間から前記第1空間に移動させるよう制御し、前記第1操作部によって前記細胞培養容器に対して前記培地交換に係る操作が行われるよう制御する、請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記細胞培養容器は前記第2操作部により着脱される防塵部を有する、請求項2に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記第2操作部には、前記細胞培養容器を把持可能な把持機構が設けられており、
前記第1操作部には、前記培地交換に係る操作の内容に対応した複数種類の操作装置間で共通化された装着機構が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記第2空間には、
前記細胞培養容器の搬入及び搬出が行われる供給排出部と、前記細胞培養容器に収容された細胞の培養が行われる細胞培養部と、前記細胞培養容器に対する検査が行われる検査部とが設置され、
前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって、前記供給排出部に対する前記細胞培養容器の移動操作、前記細胞培養部に対する前記細胞培養容器の移動操作、及び前記検査部に対する前記細胞培養容器の移動操作が行われるよう制御する、請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項6】
平面視における前記第2操作部を中心とした直交座標系において、前記第1空間、前記供給排出部、前記細胞培養部、及び前記検査部におけるそれぞれの中心部は、少なくとも3つの象限に分かれて配置されている、請求項5に記載の細胞培養装置。
【請求項7】
前記第1空間内の殺菌を行う殺菌光源部を備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項8】
前記第2操作部を移動させることが可能な移動部を備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項9】
前記細胞培養容器が載置される容器載置部を備え、
前記把持機構が、間隔の変更が可能なツメ部を有し、前記ツメ部の間隔を変更させて前記細胞培養容器と前記容器載置部との持ち替えが可能である、請求項4に記載の細胞培養装置。
【請求項10】
前記細胞培養容器が、前記容器載置部の上に積み重ねられて積層体を構成し、複数の前記積層体が前記容器載置部に並べられた状態で、前記容器載置部が前記把持機構により把持される、請求項9に記載の細胞培養装置。
【請求項11】
前記第2操作部を停止させる条件である停止条件の検出が可能な停止条件検出手段を備え、
前記停止条件が検出された場合に、前記操作部制御手段が、前記第1操作部を稼働させ、前記第2操作部を停止させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数の操作ロボットを備えた細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後掲の特許文献1(請求項1など)には、作業室内に、第1ロボットと第2ロボットとを、互いの可動範囲の一部が重複するように配置した自動培養操作装置に係る発明が開示されている。特許文献1においては、第1ロボットと第2ロボットの重複した可動範囲に、液体供給手段や仮置き部が設けられる。そして、液体供給手段が、ロボットにより保持された容器類に培地や薬液等の液体類を供給し、第1ロボットと第2ロボットが、仮置き部において、容器類の受け渡しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6358429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1には、浄化された空気を流通させて、作業室内を陽圧に維持する点が記載されている。しかし、特許文献1には、第1ロボットと第2ロボットのように異なる機能を有する操作部の設置環境や作業環境について、より最適化する点については記載されていない。
【0005】
本発明は、異なる機能の操作部をより最適化された環境下で動作させることが可能な細胞培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一実施形態の細胞培養装置は、
空気清浄度の規格基準として第1基準を満たす第1空間と、
前記空気清浄度の規格基準として前記第1基準よりも低い第2基準を満たす第2空間と、
前記第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能な第1操作部と、
前記第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器の移動操作を実行可能な第2操作部と、
前記第1操作部が前記培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を前記第1空間内とし、前記第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲を前記第2空間及び前記第1空間とする操作部制御手段と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる機能の操作部をより最適化された環境下で動作させることが可能な細胞培養装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の細胞培養装置を示す斜視図である。
図2】壁部を取り外した状態の細胞培養装置を示す斜視図である。
図3】各部のレイアウトを示す説明図である。
図4】(a)はレイアウトの他の説明態様を示す説明図、(b)はレイアウトのさらに他の説明態様を示す説明図である。
図5】各部の基本的な構成を示す説明図である。
図6】ウェルプレート及びストッカーを示す斜視図である。
図7】(a)はエアグリッパーを示す斜視図、(b)は把持部がストッカーを把持する操作を示す説明図である。
図8】ストッカーの配向を示す説明図である。
図9】(a)は画像検査部を平面視して示す説明図、(b)は画像検査部を側面視して示す説明図である。
図10】培地交換部を示す説明図である。
図11】培地交換部と搬送ロボットとの関係を示す説明図である。
図12】各部のレイアウトの変形例を示す説明図である。
図13】培地交換ロボットの配置に係る変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<細胞培養装置10の基本構成>
以下に、実施形態に係る細胞培養装置10について、図面に基づき説明する。図1は実施形態に係る細胞培養装置10を示している。細胞培養装置10は、インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、搬送ロボット部20、及び、培地交換部22を備えている。以下では、これらを包括して「各部」と総称する場合がある。
【0010】
また、本実施形態において、ストッカー供給部16と製品取出し部18は一体化されている。このため、例えば、両者を包括して「ストッカー供給取出し部」や「ストッカー供給排出部」などと称することが可能である。
【0011】
各部における上から2/3程度の部分は、壁部10Aにより囲われている。本実施形態では、壁部10Aは、天井側から細胞培養装置10を平面視した場合にT字状となる形状で形成されており、内側の空間を気密的に囲っている。壁部10Aには、作業者A(二点鎖線で示す)等による各部の目視観察を可能とする透明な窓部10Bが複数形成されている。なお、壁部10Aの配置は、T字状に限定されず、例えば、設置スペースの形状等の事情に応じて、矩形状やL字状等のように種々に変更することが可能である。
【0012】
図2は、図1の細胞培養装置10から、壁部10Aを取り外した状態を示している。図2に示すように、細胞培養装置10には、インキュベータ32、画像検査装置34、搬送ロボット40、及び、培地交換ロボット42が設けられている。培地交換ロボット42は、培地交換装置43に設けられている。なお、これらの機器や各部の詳細については後述する。
【0013】
図3は、各部のレイアウトを示している。より具体的には、図3は、細胞培養装置10の、壁部10Aを取り外し上方から平面視した状態を示している。中央部には、各部のうちの搬送ロボット部20が配置されており、その他のインキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、及び、培地交換部22が、搬送ロボット部20を、図3中の時計回りに囲うように、順に配置されている。各部のレイアウトについては、この他にも複数の態様で説明することができるが、他の説明態様については後述する。
【0014】
<第1空間と第2空間>
細胞培養装置10の内部は、培地交換部22の内部空間と、培地交換部22以外の部分(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、及び、搬送ロボット部20)の内部空間とに区画されている。培地交換部22以外の部分の内部空間は、空間的に繋がっている。培地交換部22の内部空間は第1空間となっており、培地交換部22以外の部分の内部空間は第2空間となっている。詳細は後述するが、壁部10A(図1)の内側においては、図11に示すように、培地交換部22の一部の壁部22Bにより、第1空間(培地交換部22の内部空間)と、第2空間(培地交換部22以外の内部空間)とに区画されている。
【0015】
細胞培養装置10の使用時において、第1空間と第2空間の互いの空気清浄度を異ならせることが可能となっている。第1空間は、空気清浄度の規格基準として第1基準を満たし、第2区間は、第1基準よりも低い第2基準を満たす。
【0016】
本実施形態において、第1空間に係る第1基準は、例えば、ISO(国際標準化機構)によるクラス5(米国連邦規格によるクラス100)以下とされている。これに対し、第2空間に係る第2基準は、例えば、ISOによるクラス6~7(米国連邦規格によるクラス1000~10000)とされている。なお、培地交換部の空気清浄度を培地交換に必要な程度に保つことができれば、第1空間及び第2空間に係る空気清浄度の関係は、上述の例に限定されない。例えば、第2空間の空気清浄度を、第1空間に比べて3ランク以上下げることなども可能である。
【0017】
図1に示すように、培地交換部22における天井部24の外側には、第1空間用フィルターユニット26が設けられている。この第1空間用フィルターユニット26によって、第1空間内に清浄化空気(清浄化された空気)が供給され、第1空間の空気清浄度が保たれる。搬送ロボット部20における天井部23の外側には、第2空間用フィルターユニット28が設けられている。この第2空間用フィルターユニット28によって、第2空間内に清浄化空気が供給され、第2空間の空気清浄度が保たれる。
【0018】
なお、第2空間用フィルターユニット28の配置は、搬送ロボット部20における天井部23に限らず、他の部位の天井部であってもよい。また、第2空間用フィルターユニット28は、複数箇所に配置されていてもよい。例えば、図9(b)には、画像検査部14の天井部25に第2空間用フィルターユニット28が配置された状態で、画像検査部14が概略的に示されている。
【0019】
培地交換部22以外の部分が配置された第1空間には、ストッカー供給部16から、後述するストッカー54が供給される。また、培養後の細胞を収容したウェルプレート52(後述する)は、ストッカー54に載せた状態で、製品取出し部18から取り出される。なお、ストッカー54の供給や取り出しは、細胞培養装置10の外部に設置された搬送ロボット(図示略)により行うことが可能である。この際、ストッカー供給部16や製品取出し部18に面した窓部10B(手動扉や自動扉であってもよい)を開放した状態で、作業を行うことが可能である。
【0020】
培地交換部22に係る第1空間には、その他の部分に係る第2空間よりも高い空気清浄度環境の下で、後述するような培地交換に係る各種の操作が行われる。なお、工程に応じて、培地交換部22の、第2空間との境界に位置する自動開閉シャッター152(図11、後述する)が開放され、第1区間の設置された搬送ロボット40の先端部が第2区間に入り込んで所定の操作を行う場合がある。
【0021】
また、搬送ロボット40が設置された搬送ロボット部20には、第2空間と、細胞培養装置10の外部の空間(外部空間)とを区画する開閉シャッター部36(図5)が設けられている。そして、状況に応じて、搬送ロボット部20の開閉シャッター部36が開放され、作業者Aの出入り等が行われる場合がある。作業者Aの出入りは、インキュベータ32や搬送ロボット40のメンテナンス時に限られている。
【0022】
<第1操作部と第2操作部>
細胞培養装置10は、第1操作部と第2操作部とを備える。第1操作部は、第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能である。第1操作部には、培地交換ロボット42が該当する。第2操作部は、第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器の移動操作を実行可能である。第2操作部には、搬送ロボット40が該当する。
【0023】
培地交換ロボット42及び搬送ロボット40は、6軸(直交3軸、及び、各軸周りの回転)の自由度を有する垂直多関節型のロボットである。なお、培地交換ロボット42及び/又は搬送ロボット40は、6軸未満や6軸超の多関節ロボットであってもよい。また、培地交換ロボット42及び搬送ロボット40の駆動方式は、いずれもAC(直流)サーボ方式である。培地交換ロボット42及び搬送ロボット40は、それぞれ、培地交換部22及び搬送ロボット部20の一定の位置に設置され、その先端部を、各々の可動範囲内で移動(回転移動を含む)させる。
【0024】
培地交換ロボット42(第1操作部)及び搬送ロボット40(第2操作部)は、制御部46(図5)により制御される。制御部46は、各部(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、搬送ロボット部20、及び、培地交換部22)のうちコンピュータ制御を伴う部分の制御部を包括的に示している。この制御部46は、各部のうちの複数の部分を統括的に制御する制御部を含んでいてもよい。
【0025】
制御部46は、培地交換ロボット42(第1操作部)及び搬送ロボット40(第2操作部)に関して、培地交換ロボット42が培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を第1空間内とし、搬送ロボット40が細胞培養容器(ウェルプレート52、後述する)を移動させる場合の可動範囲を第2空間及び第1空間とするよう制御を行う機能を有している。培地交換ロボット42の制御部、及び、搬送ロボット40の制御部を、例えば、包括的に、操作部制御部(操作部制御手段)等と称することが可能である。
【0026】
具体的には、細胞培養装置10において、培地交換の際における培地交換ロボット42の可動範囲は、培地交換部22の内部に限られている。これに対し、搬送ロボット40の可動範囲は、搬送ロボット部20の内部に限られず、培地交換部22(ここでは培地交換部22の一部)、インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、及び、製品取出し部18を含んでいる。そして、搬送ロボット40は、これらの各部のうちのいずれにも、その先端部を進入させることが可能である。
【0027】
また、詳細は後述するが、培地交換ロボット42及び搬送ロボット40においては、それぞれの先端部に、例えば、図10に示すアスピレータツール134や、マイクロピペットツール136、及び、ピペッターツール138、図7(a)に示すエアグリッパー68等といった、各種の操作機器(操作装置)が装着される。そして、培地交換ロボット42及び搬送ロボット40は、それぞれの可動範囲内において、各種の操作機器を用いて所定の操作を行う。
【0028】
<各部のレイアウトに係る他の説明1(複数象限への配置)>
各部(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、搬送ロボット部20、及び、培地交換部22)のレイアウトについては、前述したような、搬送ロボット部20を囲うように配置した旨の説明の他、以下のような説明を行うことも可能である。
【0029】
例えば、図4(a)に示すように、搬送ロボット40の回転中心の位置を原点として、平面的にXY座標を設定し、このXY座標により位置が定義される空間を、第1象限Q1~第4象限Q4に分ける。そして、第1象限Q1~第4象限Q4のうちの、少なくとも3つの象限(ここでは第1象限Q1、第2象限Q2と第3象限の境界部、及び、第4象限Q4)に、各部の中心部12C、14C、(16+18)C、22Cを配置する。
【0030】
ここで、図4(a)の(16+18)Cは、ストッカー供給部16と製品取出し部18の両方の間の中心部であることを示している。また、図4(a)では、搬送ロボット部20の中心部(20C)の図示は省略されている。
【0031】
図4(a)の例では、第1象限Q1にインキュベータ部12の中心部12Cが配置され、第2象限Q2に画像検査部14の中心部14Cが配置されている。さらに、ストッカー供給部16と製品取出し部18とを合わせた中心部(16+18)Cは、第2象限Q2と第3象限Q3との間(Y軸上)に配置されている。さらに、第4象限Q4に、培地交換部22の中心部22Cが配置されている。
【0032】
なお、図示は省略するが、ストッカー供給部16と製品取出し部18とを合わせた中心部(16+18)Cについては、第2象限Q2と第3象限Q3とに跨がって配置されているもの、と定義することも可能である。また、ストッカー供給部16の中心部(16C)が第2象限Q2に配置され、製品取出し部18の中心部(18C)が第3象限に配置されている、と定義することも可能である。さらに、搬送ロボット部20の中心部20Cは、XY座標の原点に配置されている。このため、搬送ロボット部20の中心部20Cについては、第1象限Q1~第4象限Q4に跨がって配置されているもの、と定義することも可能である。
【0033】
このような象限に基づくレイアウトの説明については、例えば、次のように表現できる。すなわち、細胞培養装置10では、平面視における第2操作部(搬送ロボット40など)を中心とした直交座標系において、第1空間(培地交換部22に係る内部空間)、供給排出部(ストッカー供給部16など)、細胞培養部(インキュベータ部12など)、及び検査部(画像検査部14など)におけるそれぞれの中心部(中心部22C、(16+18)C、12C、14Cなど)は、少なくとも3つの象限(第1象限Q1、第2象限Q2(又は第3象限)、及び、第4象限Q4など)に分かれて配置されている。
【0034】
<各部のレイアウトに係る他の説明2(複数面への配置)>
図4(b)は、各部のレイアウトについての、他の説明例を示している。図4(b)の例では、搬送ロボット40の回転中心の位置を原点として、平面的にXY座標が設定され、このXY座標により位置が定義される空間が、その位置や向きに応じて第1面R1~第4面R4に分けられている。そして、第1面R1~第4面R4のうちの3つの面(ここでは第1面R1、第2面R2、及び、第4面R4)に各部が配置されている。
【0035】
図4(b)の例では、第1面R1にインキュベータ部12や画像検査部14が配置され、第2面R2にストッカー供給部16や製品取出し部18が配置されている。さらに、第3面R3に培地交換部22が配置されている。第1面R1と第3面R3との間に位置し、第2面R2に対向した第4面は、各部の配置が行われない開放面となっている。開放面(第4面R4)は、搬送ロボット部20の開閉シャッター部36(図5)が配置された面となっている。なお、図4(b)の例では各部が3面(3つの面)に配置されているが、2面(2つの面)に集約的に配置されていてもよい。
【0036】
<各部の基本構成>
図5は、各部(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、搬送ロボット部20、及び、培地交換部22)の基本的な構成を示している。以下では、各部の基本構成について説明するが、各部の説明に先立ち、各部間を移動するウェルプレート52と、ウェルプレート52が載置されるストッカー54について説明する。
【0037】
<ウェルプレート52及びストッカー54>
図6は、ウェルプレート52とストッカー54を示している。本実施形態において用いられるウェルプレート52は、いずれも共通の形状や構造を有している。個々のウェルプレート52には、培養液等を収容する凹陥形状のウェル56が多数形成されている。本実施形態では、ウェルプレート52には、96(=8×12)個のウェル56がマトリクス状に形成されている。
【0038】
ウェルプレート52は、ウェルプレート本体52aに、蓋体52bを被せて構成されている。ウェルプレート本体52a及び蓋体52bは、いずれも一面を開放した矩形容器状に形成されており、蓋体52bをウェルプレート本体52aに被せることにより、ウェルプレート本体52aの、ウェル56が開口している面が覆われる。ウェルプレート本体52a及び蓋体52bは、いずれも透明な合成樹脂材料により形成されている。そして、蓋体52bの側からも、ウェルプレート本体52aの裏側(蓋体52bが被せられる側とは逆の側)からも、ウェル56内を視認することが可能である。
【0039】
蓋体52bは、ウェルプレート本体52aに被せられているのみであり、蓋体52bのウェルプレート本体52aへの固定は行われていない。このため、蓋体52bを、例えば、図6のZ方向における正方向(上方向)に持ち上げる(引き上げる)ことにより、蓋体52bは、ウェルプレート本体52aから分離する。
【0040】
ウェルプレート52は、矩形板状のストッカー54に載せられる。1枚のストッカー54には、最大で15(=3×5)個のウェルプレート52が載せられる。ウェルプレート52は、「枚」や「段」と数えることも可能である。図6の例においては、ウェルプレート52が、5個を1組として上下方向(Z方向)に重ねられている。さらに、3組のウェルプレート52が、その長手方向(図6ではY方向)を、ストッカー54の長手方向(同じく図6ではY方向)に一致させて並べられている。
【0041】
ストッカー54は、例えば、ステンレス等の材料を用いて形成されている。ストッカー54の縁部には、孔部58や、矩形状切欠部60、突出部62、及び、V字状切欠部63等が形成されている。矩形状切欠部60は、ストッカー54の長手方向に延びる各縁部(短手方向(幅方向)に対向する各縁部)の中央部に位置している。
【0042】
突出部62は、この矩形状切欠部60における長さ方向の中央部に位置している。V字状切欠部63は、矩形状切欠部60を、長さ方向において挟むように配置されている。V字状切欠部63は、奥(ストッカー54の短手方向(幅方向)の奥)へいくほど狭まる形状を有している。
【0043】
さらに、ストッカー54の周縁部には、多数(ここでは16本)の囲いピン64が取り付けられている。これらの囲いピン64は、ウェルプレート52が載せられる板面からほぼ垂直に突出している。これらのうちの12(=6×2)本の囲いピン64は、ストッカー54の長手方向に並べられたウェルプレート52に対し、4つの隅部に対する近傍の部位に、所定の間隔(数ミリ程度の間隔)を空けて対向するよう配置されている。
【0044】
そして、3組のウェルプレート52の側面(長手方向を構成する側面)の大部分は、いずれも、囲いピン64により隠されることなく露出している。このように、ストッカー54(及びウェルプレート52)の長手方向に間隔を空けて囲いピン64を配置することで、後述するように、搬送ロボット40の把持部76(図7)を入り込ませるためのスペースが確保される。また、12本のうちの4(=2×2)本の囲いピン64は、両端の2組のウェルプレート52の、それぞれ2つの隅部に所定の間隔(数ミリ程度の間隔)を開けて対向するよう配置されている。
【0045】
囲いピン64の先端(図6における上端)は、先鋭に形成されている。ウェルプレート52をストッカー54に載せる際には、ウェルプレート52は、把持部76(図7)を有するエアグリッパー68(後述する)によりハンドリングされた状態で、囲いピン64により囲われた部分に、上方から載置される。囲いピン64の先端(図6における上端)が先鋭であることから、ウェルプレート52がストッカー54に載置される際に、囲いピン64の先端は、ウェルプレート52に干渉し難い。なお、囲いピン64を設けることは必須ではなく、囲いピン64を省略することも可能である。
【0046】
<搬送ロボット40>
ストッカー54の搬送は、搬送ロボット40により行われる。搬送ロボット40は、前述したように垂直多関節型のロボットであり、例えば、±0.02mm程度の繰り出し精度を有するものである。搬送ロボット40の主な機能は、ストッカー54やウェルプレート52の把持(挟持)と搬送である。搬送ロボット40は、ウェルプレート52を載せた状態のストッカー54を把持して搬送することや、ウェルプレート52を載せずにストッカー54のみを把持して搬送したりすることが可能である。
【0047】
また、搬送ロボット40は、ウェルプレート52のみを把持して搬送することも可能である。さらに、搬送ロボット40は、ウェルプレート52における蓋体52bを、ウェルプレート本体52aから分離させたり、ウェルプレート本体52aに被せたりするために、蓋体52bのみの把持や搬送も行ことが可能である。搬送ロボット40による、ストッカー54、ウェルプレート52、及び、蓋体52bの把持や搬送は、以下のような機構を介して行われる。
【0048】
搬送ロボット40の先端部には、肉抜きにより軽量化されたアームプレート66(図10)が装着され、このアームプレート66の一端部には、図7(a)に示すようなエアグリッパー68が装着される。ここで、アームプレート66やエアグリッパー68は、工程に応じ、種々の位置や向きで使用されるが、図10では、複数の工程におけるアームプレート66等が同時に示されている。図10では、アームプレート66が仮想的に描かれていることを示すため、アームプレート66に対して、二点鎖線(仮想線)による引き出し線が付されている。
【0049】
エアグリッパー68は、1つのエアシリンダー70と、2つの可動体72を備えている。エアシリンダー70には、複数の配管継手74が取付けられており、図示は省略するが、各配管継手74には、例えば、フレキシブルな樹脂チューブが接続される。エアシリンダー70においては、樹脂チューブ(図示略)を介して空気源(エアコンプレッサ等)から供給された高圧エアの、導入や排出が行われる。そして、2つの可動体72が、高圧エアの導入や排出に伴い、間隔を拡げる動作や、間隔を狭める動作を行う。
【0050】
可動体72には、T字型の把持部76が固定されている。把持部76の先端には、金属製で帯板状のツメ(爪)部78が取付けられており、ツメ部78には、2つずつの樹脂ブロック80や、同じく2つずつの係止ピン82が設けられている。樹脂ブロック80は、合成樹脂製の部材であり、2つの把持部76の互いに向かい合った縁部を、部分的に覆っている。
【0051】
係止ピン82は、ツメ部78における長手方向の端部に配置されている。係止ピン82は、段付きな円柱状に形成されており、把持部76の板面からほぼ垂直に突出している。係止ピン82は、相対的に細径な部分を基端側(ツメ部78に対して近い側)とし、相対的に太径な部分を先端側(ツメ部78に対して遠い側)としている。
【0052】
図7(b)は、把持部76をストッカー54に係止させる状況を示している。ストッカー54を把持する際、エアシリンダー70がストッカー54の中央部に上方から接近し、ウェルプレート52及びストッカー54を幅方向に跨いだ状態で、把持部76を、ウェルプレート52の縁部に対向させる。図7(b)では、一方の把持部76のみが示されている。
【0053】
図7(b)に矢印Bで示すように、2個の把持部76(1つのみ図示)を互いに近付けると、ツメ部78は、ストッカー54の縁部に形成された突出部62の下方に入り込む。この際、ツメ部78の2個の樹脂ブロック80が、突出部62を間に置く位置に到達し、最下段のウェルプレート52の側面に対向する。
【0054】
また、係止ピン82が、ストッカー54の縁部に形成されたV字状切欠部63に接近する。そして、係止ピン82の細径な基端側の部位が、V字状切欠部63に入り込み、係止ピン82の太径な先端側の部位が、V字状切欠部63の縁部に、部分的に重なる。
【0055】
このような、把持部76の閉じる動作に伴い、4つの係止ピン82が、対応するV字状切欠部63の、斜めに形成された縁部により案内される。4つの係止ピン82は、V字状切欠部63の奥にそれぞれ進入し、ストッカー54に係止する。この結果、ストッカー54が、ツメ部78に対して位置決めされ、把持部76により把持される。
【0056】
把持部76がストッカー54を把持した状態で、搬送ロボット40の先端部が上方に移動すると、エアシリンダー70も一体に変位する。把持部76のツメ部78が、ストッカー54の突出部62やその他の部分に下方から接して上昇し、ストッカー54が持ち上げられる。
【0057】
この際、把持部76がストッカー54を把持する力はさほど大きくなく、把持部76がストッカー54を把持する力よりも、ツメ部78がストッカー54を支持するのに要する力の方が大きく、支配的である。そして、搬送ロボット40は、ストッカー54の水平を保ったまま、ストッカー54、及び、ストッカー54に載置されたウェルプレート52を、工程に応じて、目的の位置まで搬送する。
【0058】
ストッカー54に載せられるウェルプレート52の有無、段数、及び、配置は、工程に応じて異なる。エアシリンダー70や把持部76等を有するエアグリッパー68は、把持する対象の全体重量や、重量バランスが異なる状況で、ストッカー54を支持して搬送する。ストッカー54やウェルプレート52には、それぞれに統一された大きさや構造等が採用されて共通化されている。このため、単一の(一種類の)エアグリッパー68を用いて、多数のストッカー54やウェルプレート52を搬送することが可能である。
【0059】
搬送ロボット40が、蓋体52b付きのウェルプレート52を単体で搬送する際には、蓋体52bを被せた状態で、ウェルプレート本体52aが把持され、ウェルプレート本体52aが蓋体52bとともに把持される。また、搬送ロボット40が、蓋体52bを単体で搬送する際には、蓋体52bのみが把持されて持ち上げられ、ウェルプレート本体52aから外される。
【0060】
エアグリッパー68が、ウェルプレート52又は蓋体52bの把持を行う場合、エアグリッパー68の昇降位置(上下方向(Z方向)の位置)や、把持部76(及びツメ部78)の間隔は、ストッカー54を把持する場合と異なる。また、ウェルプレート52を把持する場合と、蓋体52bを把持する場合も、エアグリッパー68の昇降位置や、把持部76の間隔は異なる。
【0061】
エアグリッパー68が、ウェルプレート52又は蓋体52bの把持を行う場合、エアグリッパー68の昇降位置は、ストッカー54を把持する場合よりも高くなり、把持部76の間隔は、ストッカー54を把持する場合よりも狭くなる。また、エアグリッパー68が、蓋体52bの把持を行う場合、ウェルプレート52(ウェルプレート本体52a)を把持する場合と比べ、エアグリッパー68の昇降位置は高くなり、把持部76の間隔は広くなる。
【0062】
エアグリッパー68が、ウェルプレート52又は蓋体52bの把持を行う場合、把持部76の2個のツメ部78が徐々に近付き、4個(2×2個)の樹脂ブロック80が、ウェルプレート本体52a又は蓋体52bの側面に接する。そして、ウェルプレート本体52a又は蓋体52bに対して、ツメ部78を直接的に接触させることなく、側面からの加圧に伴う摩擦力を利用して、ウェルプレート本体52aや蓋体52bが把持される。このため、透明樹脂製のウェルプレート本体52aや蓋体52bが、金属製のツメ部78により傷付けられることを防止できる。
【0063】
搬送ロボット40は、直交する各軸(XYZ軸)周りの回転も行うことが可能である。このため、搬送ロボット40は、工程に応じ、ウェルプレート52及びストッカー54の搬送の際に、ウェルプレート52及びストッカー54を、水平を保ったまま90度等の角度で回転させる場合がある。
【0064】
なお、本実施形態では、エアグリッパー68が一端部に装着されるアームプレート66(図10)の他端部には、フォーク部84(図10、2本の長爪部)が形成されている。フォーク部84は、後述するように培地交換部22で使用されるリザーバ120の両縁部を支えて、リザーバ120を1個ずつ保持することが可能である。つまり、搬送ロボット40は、ストッカー54、ウェルプレート52、蓋体52b、及び、リザーバ120の4種類の対象物を搬送することが可能である。
【0065】
<搬送ロボット40による搬送の経路>
搬送ロボット40は、ウェルプレート52を載せたストッカー54や、ウェルプレート52、及び、蓋体52bの搬送を、工程に応じて、例えば、ストッカー供給部16とインキュベータ部12との間、インキュベータ部12と画像検査部14との間、インキュベータ部12と培地交換部22との間、及び、インキュベータ部12と製品取出し部18との間などで行う。図5には、一例として、ストッカー供給部16からインキュベータ部12までの経路と、インキュベータ部12から製品取出し部18までの経路が、矢印C1、C2により概略的に示されている。
【0066】
図8に太線の矢印D、Eで示すように、インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16(ストッカー供給取出し部)、及び、培地交換部22の4つのセクションにおいて、設置されるストッカー54の向き(配向)は、ストッカー54の長手方向が、X軸又はY軸と平行になるように設定されている。このような向きでストッカー54を配置することにより、搬送ロボット40が、ストッカー54を長手方向に押し込むようにして、ストッカー54を配置できる。したがって、ストッカー54が、周辺の部位に干渉することなどを防止でき、複数のストッカー54の配置が容易である。
【0067】
また、ストッカー54を把持していない状況においては、搬送ロボット40を、エアグリッパー68がウェルプレート52等に干渉するのを回避できるよう、搬送ロボット40の先端部を大きく上昇させる必要がない。したがって、搬送ロボット40の移動経路を簡便なものとすることが可能である。
【0068】
<インキュベータ部12>
ウェルプレート52を載せたストッカー54は、搬送ロボット40により、インキュベータ部12に対して出し入れされる。図2及び図5に示すように、インキュベータ部12には、庫内の温度管理が可能なインキュベータ32が備えられており、インキュベータ32には、自動扉86が設けられている。自動扉86は、片側ヒンジタイプの扉であり、水平方向に旋回(回動変位)する。ストッカー54の出し入れの際には、例えば、制御部46(図5)による制御の下で、自動扉86が開閉される。ここで、図2には、自動扉86が開放された状態が示されている。また、図5では、自動扉86が開放された状態が、破線により示されている。さらに、図5における左上の部位に示されている扉37も、作業者Aの出入り等に利用される。
【0069】
<画像検査部14>
図9(a)、(b)は、画像検査部14の概要を示している。画像検査部14には、画像検査装置34が備えられ、画像検査装置34には、カメラ90が設置されている。カメラ90は、一定の高さに配置され、下向きに撮影を行えるようになっている。なお、図示は省略するが、画像検査装置34には、下方から上向きに撮影するカメラも備えられている。
【0070】
カメラ90は、2軸のリニアガイド装置92により、XY平面内で移動する。リニアガイド装置92は、各軸に対応した電動アクチュエータ94、96を組み合わせて構成されている。図9(a)、(b)の例において、一方の電動アクチュエータ94はX軸用であり、他方の電動アクチュエータ96はY軸用である。X軸用の電動アクチュエータ94は、図9(b)に示すように、支柱体98を介し、Y軸用の電動アクチュエータ96の上に設置されている。
【0071】
なお、図9(a)、(b)に示す画像検査装置34のX軸及びY軸は、図1~3、図8等に示す細胞培養装置10のX軸及びY軸の方向とは異なっている。画像検査装置34のX軸方向は、細胞培養装置10のY軸方向に一致しており、画像検査装置34のY軸方向は、細胞培養装置10のX軸方向に一致している。また、図9(a)、(b)の例と、図1~3、及び、図8等の例とでは、リニアガイド装置92の配置も異なっている。例えば、図9(a)、(b)の例の画像検査装置34の向きを回転させて、図1~3、及び、図8等の向きに合わせることが可能である。
【0072】
カメラ90は、画像検査システムを構成している。画像検査システムは、図示は省略するが、カメラ90と、産業用のコンピュータ機器(産業用PC)を組み合わせて構築されている。画像検査システムは、細胞の合否判定機能を備えている。カメラ90の撮影画像を用いて、細胞の培養状態に係る検査が行われ、検査により得られた検査データは、例えば、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)やSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の外部ストレージに保存される。また、検査データは、細胞の培養の履歴に係る情報と紐付けされて保存される。
【0073】
画像検査部14には、搬送ロボット40により、インキュベータ部12から取り出されたストッカー54が搬送される。画像検査部14においては、ストッカー54が、所定の検査前設置領域100に、長手方向をY軸方向(細胞培養装置10のX軸方向)に向けて設置される。ストッカー54から、ウェルプレート52が、図9(b)に矢印Fで示すようにカメラ90の下方の検査領域102に搬送され、設置される。
【0074】
前述したように、ウェルプレート52を構成するウェルプレート本体52a、及び、蓋体52bは透明であり、検査領域102における検査は、ウェルプレート本体52aに蓋体52bを被せたまま、蓋体52bを通して行われる。ウェルプレート52(例えば、ウェルプレート本体52a)には、識別情報表示部(図示略)が設けられており、検査領域102において、識別情報表示部の画像が取得される。
【0075】
この識別情報表示部には、ウェルプレート52を個々に識別することが可能な情報(識別情報)が表示されている。識別情報の表示は、バーコードやマトリクス型2次元コードが描かれたシールを張り付けたり、識別のための記号を刻印したりして行うことが可能である。また、識別情報の読み取りは、照明装置(図示略)により識別情報表示部を照明しながら行われる。
【0076】
検査領域102に置かれたウェルプレート52について、カメラ90による撮影や検査が終了すると、ウェルプレート52は、矢印Gで示すように、検査前設置領域100の側に戻される。検査前設置領域100に隣接して仮置き領域104が設けられており、検査が終わったウェルプレート52は、搬送ロボット40により、仮置き領域104に設置される。仮置き領域104には、ストッカー54が予め設置されており、検査が終わったウェルプレート52は、仮置き領域104のストッカー54に載せられる。仮置き領域104の位置は、検査前設置領域100と検査領域102との間で、且つ、検査前設置領域100寄りの位置である。
【0077】
後続のウェルプレート52についても同様に検査が行われ、検査の終わったウェルプレート52は、仮置き領域104のストッカー54上に、順次重ねられる。積み重ねられたウェルプレート52の数が所定数(ここでは5個)に達すると、ストッカー54上の、長手方向における隣の位置に、後続の(6個目以降の)、検査の終わったウェルプレート52が、5個まで積み重ねられる。
【0078】
3箇所に5枚ずつのウェルプレート52が重ねられ、仮置き領域104におけるウェルプレート52の数が15枚に達すると、これらのウェルプレート52を載せたストッカー54が、搬送ロボット40により把持されて搬送され、インキュベータ部12に収容される。
【0079】
例えば、画像検査部14における細胞の検査は、ウェルプレート本体52aの全て(ここでは96個)のウェル56を同時に上方から撮影し、個々のウェル56内の細胞を画像認識し、所定の画像処理を行って実施される。所定の検査基準に達しなかった大きさや形状の細胞には、NGの旨の記録が行われ、検査結果が、例えば、画像検査部14の外側に設けられたディスプレイ装置106(図1)を介して報知される。なお、検査の内容や検査基準、検査結果の報知方法等は、ここで説明したものに限定されず、種々に変更したり、追加したりすることが可能である。
【0080】
なお、検査には、AI(人工知能)を利用することが可能である。例えば、撮像された細胞の大きさや形状に係る条件と、細胞の良否(OK/NG)との関係を事前に制御部46に学習させ、制御部46が、OKの学習結果との相関が所定量以内に収まっていない細胞をNGと判定して報知する、といったことが可能である。また、細胞の成長記録を事前に制御部46に学習させ、制御部46が、同一サンプルについてのそれまでの成長の記録から、その後の成長の度合いを予測する、といったことも可能である。AIを利用した検査の内容も、種々に変更することが可能である。
【0081】
また、図示は省略するが、画像検査部14内の適切な箇所に、例えば紫外線(UV)光源(紫外線LEDなど)による滅菌灯(又は殺菌灯)を設置し、画像検査部14内において滅菌(又は殺菌)を行うことが可能である。このような滅菌手段(又は殺菌手段)の設置は、例えば、培養液が垂れた場合(液だれした場合)や、人が接触した場合などに菌の繁殖を防ぎ、内部環境を清浄に保つために有効である。
【0082】
光の照射による滅菌(又は殺菌)は、液だれ等が生じ易い箇所に対して、局所的に行うことが可能である。このようにすることで、紫外線光源を、設置場所を選択して、適切に配置することが可能となる。そして、例えば、紫外線により劣化し易い合成樹脂製部品の位置と、紫外線光源の位置との関係を、紫外線が合成樹脂製部品に当たらないよう適切に調整して、両者の配置を行う、といったことが可能となる。さらに、紫外線光源を、搬送ロボット40の一部(例えば、図10に示すアームプレート66、エアグリッパー68など)の可動部分に配置することも可能である。
【0083】
また、光の照射による滅菌(又は殺菌)のタイミングに関して、例えば、制御部46による制御の下で、搬送ロボット40による各種の操作が行われていない時間帯(所謂空き時間、待機状態時など)に光の照射を行う、といったことが可能である。
【0084】
<培地交換部22>
図5には、培地交換部22の概要が示されている。培地交換部22には、作業台110上に、前述した培地交換ロボット42が設置されているほか、培地交換ロボット42の周囲を囲むよう、アスピレータツール用ホルダ112、廃棄BOX114、115、マイクロピペットツール用ホルダ116、ピペッターツール用ホルダ118、リザーバ120、ピペット用ビット122、吸引用ビット124、及び、培地タンク設置部126等が設けられている。
【0085】
これらのうち、培地交換ロボット42の先端部には、図10に示すように、ツールチェンジャー130が装着されている。ツールチェンジャー130の先にはツールアダプタ132が設けられており、ツールアダプタ132には、アスピレータツール134、マイクロピペットツール136、又は、ピペッターツール138等の操作機器が、いずれも装着可能である。
【0086】
なお、図5及び図10は、それぞれが、各機器の配置に係る一例を示すものであり、図5図10において、各機器の配置が必ずしも一致しているわけではない。
【0087】
図10に示すアスピレータツール134、マイクロピペットツール136、及び、ピペッターツール138等の操作機器において、ツールアダプタ132との接続構造は共通化されている。このため、1つのツールアダプタ132に、各種の操作機器(134、136、138等)を、交換可能に接続することが可能である。また、ツールアダプタ132には、操作機器(134、136、138等)の落下を防止するための落下防止機能が設けられている。
【0088】
操作機器(134、136、138等)のうち、アスピレータツール134は、互いに平行に配置された12本の先端ビット(ニードル)142を備えており、先端ビット142を介して、長手方向に並ぶ12個のウェル56内の培地(培養液)を同時に吸引することが可能である。
【0089】
マイクロピペットツール136も、互いに平行に配置された12本のニードル144を備えており、ニードル144を介して、12個のウェル56に対して培地(培養液)の吐出を同時に行うことが可能である。
【0090】
ピペッターツール138は、培養液ボトル(図示略)から培養液を吸い上げ、マイクロピペットツール136による培地の吐出に先立ち、リザーバ120に培養液の注液を行う。リザーバ120の培養液が、マイクロピペットツール136により吸引され、ウェルプレート本体52aのウェル56に吐出される。このピペッターツール138は、充電が可能なタイプのものである。
【0091】
アスピレータツール用ホルダ112、マイクロピペットツール用ホルダ116、及び、ピペッターツール用ホルダ118には、それぞれ、培地交換ロボット42に装着されていない状態(非使用状態)のアスピレータツール134、マイクロピペットツール136、及び、ピペッターツール138が載置される。
【0092】
廃棄BOX114は、アスピレータツール134の先端ビット142の廃棄に使用される。先端ビット142は、アスピレータツール134に自動での取り外しが可能なように装着されており、使用済みの先端ビット142が、アスピレータツール134から取り外されて、廃棄BOX114に廃棄される。
【0093】
リザーバ120は、可搬式の容器であり、培養液の吸引のみでなく、先端ビット142の洗浄にも用いられる。先端ビット142の洗浄の際には、リザーバ120に洗浄用アルコールが注入されて、リザーバ120が、作業台110上のリザーバ設置領域128に設置される。洗浄用アルコールの注入は、例えば、培地交換部22に備えられたサクションポンプ(図示略)を用いて行うことが可能である。
【0094】
培地交換ロボット42が、アスピレータツール134に装着された状態にある先端ビット142の先端部を、リザーバ120中の洗浄用アルコールに進入させ、リザーバ120における洗浄用アルコールの、例えば全量を吸引する。洗浄用アルコールは、吸引の結果、廃液タンク(図示略)へ排出される。その後、先端ビット142がアスピレータツール134から自動で取り外され、廃棄BOX114に廃棄される。
【0095】
培地交換部22においては、各種操作機器(134、136、138等)からの液だれ対策として、各種操作機器(134、136、138等)の動線(移動軌跡)の下の位置には、例えば、図10に示すように、ステンレス鋼板により形成された複数の受け板148が設置されている。
【0096】
図11は、培地交換部22の壁部22B等の構成を概略的に示している。培地交換部22は、外側の壁部22Aや、内側の壁部22B等を備えている。外側の壁部22Aは、細胞培養装置10における壁部10Aの一部を構成している。内側の壁部22Bは、細胞培養装置10における壁部10Aの内部に位置しており、壁部10Aの内部空間を、第1空間(培地交換部22の内部空間)と、第2空間(培地交換部22以外の内部空間)とに区画している。
【0097】
外側の壁部22Aには、手動開閉シャッター150が設けられている。この手動開閉シャッター150は、例えば、培養液等の消耗品の補充が行われる際などに、手動で開閉される。消耗費品の補充は、細胞培養装置10の外部に設置された搬送ロボット(図示略)により行うことも可能である。手動開閉シャッター150に係る開閉の方向は、図11に矢印Hで示すように、上下方向である。手動開閉シャッター150は、培地交換ロボット42の運転中などには、開閉ができないようロック(ロックアウト)される。手動開閉シャッター150のロックは、例えば、制御部46の制御の下で、電磁ロック装置を介して行われる。
【0098】
内側の壁部22Bには、自動開閉シャッター152が設けられている。自動開閉シャッター152は、例えば、制御部46の制御の下で、開閉制御される。具体的には、自動開閉シャッター152は、搬送ロボット40が、アームプレート66(図10)を、第2空間から培地交換部22の内部空間(第1空間)に進入させる場合に、開放される。自動開閉シャッター152に係る開閉の方向は、図11に矢印Jで示すように、上下方向である。
【0099】
また、培地交換部22内には、例えば紫外線(UV)光源(紫外線LEDなど)による滅菌灯(又は殺菌灯)154が設置され、培地交換部22内において滅菌(又は殺菌)が行われる。このような滅菌手段(又は殺菌手段)の配置は、例えば、培養液が垂れた場合(液だれした場合)や、人が接触した場合などに菌の繁殖を防ぎ、内部環境を清浄に保つことができるよう、内部空間(第1空間)中の適切な箇所に行われる。滅菌灯154の配置箇所としては、内部空間(第1空間)に面した天井部24の4辺のうちの1~4辺や、作業台110上の適切な位置などを挙げることができる。
【0100】
光の照射による滅菌(又は殺菌)は、液だれ等が生じ易い箇所に対して、局所的に行うことが可能である。このようにすることで、紫外線光源を、設置場所を選択して、適切に配置することが可能となる。そして、例えば、紫外線により劣化し易い合成樹脂製部品の位置と、紫外線光源の位置との関係を、紫外線が合成樹脂製部品に当たらないよう適切に調整して、両者の配置を行う、といったことが可能となる。さらに、紫外線光源を、培地交換ロボット42の一部(例えば、ツールチェンジャー130、アスピレータツール134、マイクロピペットツール136、又は、ピペッターツール138など)の可動部分に配置することも可能である。
【0101】
また、光の照射による滅菌(又は殺菌)のタイミングに関して、例えば、制御部46による制御の下で、培地交換ロボット42による各種の操作が行われていない時間帯(所謂空き時間、待機状態時など)に光の照射を行う、といったことが可能である。
【0102】
以上説明したような培地交換部22には、搬送ロボット40により、インキュベータ部12から取り出されたストッカー54が搬送され、作業台110の設置領域156に設置される。ストッカー54から、搬送ロボット40により、1つのウェルプレート52が把持され、培地交換領域157に搬送される。搬送ロボット40により、蓋体52bが取り外され、リザーバ準備領域158で積み重ねられている複数のリザーバ120のうちから、例えば最上段に在る1つのリザーバ120が支持され、リザーバ設置領域128に設置される。前述のように、リザーバ120の支持や搬送は、搬送ロボット40により、アームプレート66(図10)を用いて行われる。
【0103】
続いて、培地交換ロボット42に装着されたアスピレータツール134により、ウェルプレート本体52aのウェルから古い培地が吸引される。その後、アスピレータツール用ホルダ112の位置において、培地交換ロボット42のツールアダプタ132からアスピレータツール134が、自動的に取り外される。
【0104】
培地交換ロボット42は、先端部のツールアダプタ132を、ピペッターツール用ホルダ118の位置に移動させ、ツールアダプタ132にピペッターツール138が装着される。さらに、培地交換ロボット42が、ピペッターツール138を、リザーバ設置領域128に移動させる。そして、培地が、ピペッターツール138により、リザーバ設置領域128に設置されているリザーバ120へ、電動で注入される。
【0105】
さらに、ピペッターツール用ホルダ118の位置において、ピペッターツール138が自動で取り外され、培地交換ロボット42が、ツールアダプタ132を、マイクロピペットツール用ホルダ116の位置に移動させる。マイクロピペットツール用ホルダ116の位置において、ツールアダプタ132にマイクロピペットツール136が自動で装着される。そして、培地交換ロボット42が、マイクロピペットツール136をリザーバ120の位置に移動させ、マイクロピペットツール136のニードル144に、リザーバ120から培養液が吸引される。
【0106】
培地交換ロボット42は、マイクロピペットツール136を、培地交換の対象となっているウェルプレート本体52aの位置に移送させ、マイクロピペットツール136が、直下のウェル56に培地を注入する。例えば、1つのストッカー54における15個のウェルプレート52について培地交換が終わると、培地交換済みのウェルプレート52(15個)を載せたストッカー54が、搬送ロボット40によりインキュベータ部12へ戻される。
【0107】
なお、アスピレータツール134の使用の際に、アスピレータツール134(先端ビット142)を、ウェル56に対し、所定の角度で斜めに傾けて、培地の吸引を行うようにする。発明者等の知見では、このようにすることで、培地の吸引の際には、96個のウェル56のうちの一部(例えば1~3個程度)から、培地と共に細胞を吸い上げてしまうということが、大幅に生じ難くなった。その要因の検証が完全に終わっているわけではないが、発明者等の知見からは、ウェル56の中心に対し、偏心した位置から培地の吸引を行うことが、改善の1つの要因であると考えられる。
【0108】
マイクロピペットツール136の使用の際にも、マイクロピペットツール136(ニードル144)を、ウェル56に対し、所定の角度で斜めに傾けたり、偏心させたりすることにより、培養液をウェル56の内壁に当ててから注入でき、細胞に注入の影響が及ぶことを可能な限り防止できる。
【0109】
<安全性向上策>
細胞培養装置10においては、例えば、細胞培養に必要な各種の工程が自動化されており、搬送ロボット40が多様な動作を行う。そして、例えば人が、搬送ロボット40の動作を予測することは困難である。このため、細胞培養装置10には、人が、第2空間(培地交換部22以外の部分)に安全に進入できるようにするための安全性向上策を採用することが望ましい。
【0110】
安全性向上策として、種々の方法を採用可能である。例えば、細胞培養装置10内に人が居ることを検出可能な人感センサ159(図5)を備え、制御部46の制御の下で、人感センサ159が人を検出している間は、搬送ロボット40に、把持や搬送等の動作を行わせないようにすることが考えられる。人感センサ159としては、例えば、荷重センサ(重量センサ)、圧力センサ、光センサ(レーザーセンサを含む)、赤外線センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、カメラセンサ(画像認識センサ)、音響センサ等といった各種のセンサを利用することが可能である。
【0111】
また、人が細胞培養装置10内に進入する際には、開閉シャッター部36(図5)が空けられるが、扉開放センサ(図示略)が、開閉シャッター部36の開放を検出した場合に、制御部46が、搬送ロボット40の動作を停止させる、といったことも可能である。さらに、開閉シャッター部36を開放するための操作(ボタン操作、開錠操作など)が行われた場合に、搬送ロボット40の動作を停止させることも可能である。開錠操作としては、数字等のキー入力装置を備え、セキュリティキー(番号や記号など)を入力することや、鍵穴に鍵を差し込んだり、鍵穴に差し込まれた鍵を操作(回転操作など)したりすることを挙げることができる。
【0112】
また、人が、無線電波を発信可能な機器(無線発信機、識別情報タグ(RFIDタグ)など)を作業服に装着し、発信された無線電波が、細胞培養装置10に備えられた受信部により検出された場合に、搬送ロボット40の動作を停止させる、といったことも可能である。さらに、予め定められた一定の時間帯に限り、開閉シャッター部36の開放を可能にする、といったことも可能である。この場合には、人感センサ159や扉開放センサ(図示略)を用いた制御を省略できる。
【0113】
なお、搬送ロボット40の動作を停止させる際に、細胞培養装置10の全体における可動部分の動作を、培地交換ロボット42も含めて、停止するようにしてもよい。さらに、搬送ロボット40と培地交換ロボット42のみを停止させることも可能である。
【0114】
また、培地交換ロボット42に関しては、培地交換部22の壁部22B等に区画されていることから、安全性が確保されていると考えられる。さらに、本実施形態の細胞培養装置10では、工程上は、人が培地交換部22に進入することがない。したがって、搬送ロボット40の動作が停止しても、培地交換ロボット42は停止させず、培地交換に係る操作を行わせることも可能である。
【0115】
<細胞培養装置10の主なメリット>
本実施形態の細胞培養装置10によれば、第1操作部(培地交換ロボット42)が培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を第1空間内(培地交換部22の内部空間)とし、第2操作部(搬送ロボット40)がウェルプレート52を移動させる場合の可動範囲を第2空間及び第1空間とする制御部46が備えられている。
【0116】
したがって、第1操作部(培地交換ロボット42)の可動範囲と、第2操作部(搬送ロボット40)の可動範囲とをオーバーラップさせることができ、細胞培養装置10内の空間効率を最適化できる。そして、省スペース化が可能となり、小型な細胞培養装置10を提供することが可能となる。
【0117】
また、相対的に空気清浄度が高い(クリーン度が高い)第1空間には、培地交換に係る操作を実行可能な第1操作部が選択的に配置され、相対的に空気清浄度が低い第2空間には、細胞培養容器の移動操作を実行可能な第2操作部が配置され、第1操作部が培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲が第1空間内とされ、第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲が第2空間及び第1空間とされていることから、異なる機能の操作部をより最適化された環境下で動作させることができる。
【0118】
また、各部(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、及び、培地交換部22)が、搬送ロボット部20を中心として、搬送ロボット部20の周囲に配置されている。したがって、このことによっても、空間効率を最適化できる。そして、省スペース化が可能となり、小型な細胞培養装置10を提供することが可能となる。
【0119】
また、培地交換部22についても、培地交換の操作に必要な各種の領域(アスピレータツール用ホルダ112、廃棄BOX114、115、マイクロピペットツール用ホルダ116、ピペッターツール用ホルダ118、リザーバ120、ピペット用ビット122、吸引用ビット124、及び、培地タンク設置部126等のための領域)が、培地交換ロボット42を囲むように配置されていることから、空間効率を最適化できる。そして、培地交換の操作に必要な領域の配置に関して、省スペース化が可能であり、小型な培地交換部22を提供することが可能となる。
【0120】
また、ウェルプレート52は、相対的に空気清浄度が高い(クリーン度が高い)空間(第1空間)のみでなく、相対的に空気清浄度が低い第2空間にも搬送されるが、蓋体52bが備えられていることから、ウェル56に対する防塵を行うことが可能であり、ウェル56を清浄に保つことが可能である。
【0121】
また、ウェルプレート52やストッカー54の、インキュベータ32への収納や、インキュベータ32からの取り出し、画像検査部14における細胞検査、及び、培地交換部22における培地交換の大部分の工程を自動化でき、細胞培養の省力化が可能である。なお、細胞の検査にあたっては、本実施形態において説明したような画像検査に限らず、種々の検査方法を採用することが可能である。
【0122】
また、搬送ロボット40に関し、単一の(一種類の)エアグリッパー68により、ストッカー54、ウェルプレート52、蓋体52bのような種類の異なる把持対象(及び搬送対象)を把持(及び搬送)することから、把持対象(及び搬送対象)ごとにエアグリッパー68を交換するといったことが不要である。したがって、搬送ロボット40の多機能化が可能である。さらに、把持対象(及び搬送対象)の把持(及び搬送)を容易に自動化することが可能となる。
【0123】
さらに、ウェルプレート52が、複数個(ここでは5個)を1組として、ストッカー54に複数組並べられる。したがって、多数のウェルプレート52を同時に搬送することが可能である。
【0124】
また、培地交換ロボット42に関しても、ツールチェンジャー130にツールアダプタ132が装備され、1つのツールアダプタ132に、各種の操作機器(アスピレータツール134、マイクロピペットツール136、又は、ピペッターツール138等)が、交換可能に接続される。したがって、培地交換ロボット42の多機能化が可能である。さらに、操作機器の交換が容易であり、操作機器の交換を容易に自動化することが可能となる。
【0125】
また、人の進入が検出された場合に、搬送ロボット40が停止することから、小型な細胞培養装置をより一層安全に稼働させることが可能となる。
【0126】
<レイアウトに係る変形例>
なお、各部(インキュベータ部12、画像検査部14、ストッカー供給部16、製品取出し部18、搬送ロボット部20、及び、培地交換部22)の配置に関しては、図1等に示すものに限らず、種々に変更することが可能である。図12は、レイアウトの変更例を示している。図12の例の細胞培養装置160においては、4台のインキュベータ部12-1~12-4が備えられており、図1等の例と比べて、3台のインキュベータ部12-2~12-4が追加されている。ここで、図12においては、インキュベータ部12-1~12-4に「インキュベータ(1)」~「インキュベータ(4)」の文字が示されおり、インキュベータを識別するための数値(1)~(4)は丸数字を用いて示されている。
【0127】
図12に示す細胞培養装置160においては、直動(リニア)アクチュエータ162が追加されており、4台のインキュベータ部12-1~12-4は、直線状に延びる直動アクチュエータ162に沿って配置されている。インキュベータ部12-1~12-4として、同じ構成のインキュベータ部を採用することが可能である。図12の例では、インキュベータ部12-1が、図1等の例と同様に培地交換部22と対向する位置に配置されており、インキュベータ部12-2、12-3が、直動アクチュエータ162を挟んで互いに対向するように配置されている。
【0128】
搬送ロボット40は、直動アクチュエータ162上に設置されており、直動アクチュエータ162が延びるY軸方向に沿って移動可能である。図12には、2箇所に搬送ロボット40が示されているが、搬送ロボット40の数は1台であり、図12では、移動の前後の搬送ロボット40がともに実線で示されている。そして、搬送ロボット40は、直動アクチュエータ162に沿って配置されたそれぞれのインキュベータ部12-1~12-4に対して、ストッカー54の出し入れを行う。
【0129】
このような細胞培養装置160においては、構成の拡張が可能となる。この結果、より多くの細胞の培養が可能になる。また、細胞培養装置160がより多機能なものとなる。さらに、搬送ロボット40の位置を変更することが可能となる。そして、搬送ロボット40は、自らの6軸の動作に加えて、直動アクチュエータ162による直線移動が可能となる。したがって、このことによっても、細胞培養装置160がより多機能なものとなる。
【0130】
なお、追加される構成はインキュベータ部12に限らず、他の構成を追加してもよい。図12の例では、画像検査部14が、直動アクチュエータ162を挟んで、インキュベータ部12-1~12-4と対向するように配置されている。
【0131】
<培地交換ロボット42の配置に係る変形例>
また、図11の例では、培地交換ロボット42が作業台110上に設置されているが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、培地交換ロボット42を天井吊り下げ型のものとすることが可能である。図13の例では、培地交換ロボット42が、培地交換部22における天井部24の内側(内部空間側)に設置されており、天井部24から下方に延びている。このようにすることで、作業台110上に空き領域を確保でき、作業台110を広く使用することが可能となる。また、作業台110に培地交換ロボット42を設置するためのスペースが不要となることから、作業台110を図11の例よりも小さく形成し、培地交換部22を小型化することも可能である。
【0132】
<実施形態から抽出可能な発明>
これまでに説明した実施形態から、以下のような発明を抽出可能である。
(1)空気清浄度の規格基準として第1基準(ISOによるクラス5など)を満たす第1空間(培地交換部22の内部空間など)と、
前記空気清浄度の規格基準として前記第1基準よりも低い第2基準(ISOによるクラス6~7など)を満たす第2空間(培地交換部22以外の部分の内部空間など)と、
前記第1空間に設置され、培地交換に係る操作(培養液の吸引や吐出など)を実行可能な第1操作部(培地交換ロボット42など)と、
前記第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器(ウェルプレート52など)の移動操作を実行可能な第2操作部(搬送ロボット40など)と、
前記第1操作部が前記培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を前記第1空間内とし、前記第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲を前記第2空間及び前記第1空間とする操作部制御手段(制御部46など)と
を備える、細胞培養装置。
これにより、第1操作部と第2操作部の可動範囲をオーバーラップさせることができ、細胞培養装置の小型化が可能になるという効果を奏する。さらに、異なる機能の操作部をより最適化された環境下で動作させることが可能になるという効果を奏する。
(2)前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって前記細胞培養容器を前記第2空間から前記第1空間に移動させるよう制御し、前記第1操作部によって前記細胞培養容器に対して前記培地交換に係る操作が行われるよう制御する、上記(1)に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養装置の小型化が可能になるという効果を奏する。
(3)前記細胞培養容器は前記第2操作部により着脱される防塵部(蓋体52bなど)を有する、上記(2)に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養容器を清浄に保つことが可能であるという効果を奏する。
(4)前記第2操作部には、前記細胞培養容器を把持可能な把持機構(エアグリッパー68など)が設けられており、
前記第1操作部には、前記培地交換に係る操作の内容に対応した複数種類の操作装置(アスピレータツール134や、マイクロピペットツール136、及び、ピペッターツール138など)間で共通化された装着機構(ツールアダプタ132など)が設けられている、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養容器の把持や操作装置の装着を容易に自動化することが可能となるという効果を奏する。
(5)前記第2空間には、
前記細胞培養容器の搬入及び搬出が行われる供給排出部(ストッカー供給部16及び製品取出し部18、両者を一体化したストッカー供給取出し部など)と、前記細胞培養容器に収容された細胞の培養が行われる細胞培養部(インキュベータ部12など)と、前記細胞培養容器に対する検査が行われる検査部(画像検査部14など)とが設置され、
前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって、前記供給排出部に対する前記細胞培養容器の移動操作、前記細胞培養部に対する前記細胞培養容器の移動操作、及び前記検査部に対する前記細胞培養容器の移動操作が行われるよう制御する、上記(1)に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養装置の小型化が可能になるという効果を奏する。
(6)平面視における前記第2操作部を中心とした直交座標系(XYZ座標など)において、前記第1空間、前記供給排出部、前記細胞培養部、及び前記検査部におけるそれぞれの中心部(中心部(16+18)C、12C、及び、14Cなど)は、少なくとも3つの象限(第1象限Q1~第4象限Q4のうちの少なくとも3つの象限など)に分かれて配置されている、上記(5)に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養装置の小型化が可能になるという効果を奏する。
(7)前記第1空間内の殺菌を行う殺菌光源部(滅菌灯(又は殺菌灯)154など)を備えた上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
これにより、第1空間の内部環境を清浄に保つことができるという効果を奏する。
(8)前記第2操作部を移動させることが可能な移動部(直動アクチュエータ162など)を備えた上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養装置がより多機能なものになるという効果を奏する。
(9)前記細胞培養容器が載置される容器載置部(ストッカー54など)を備え、
前記把持機構が、間隔の変更が可能なツメ部(ツメ部78など)を有し、前記ツメ部の間隔を変更させて前記細胞培養容器と前記容器載置部との持ち替えが可能である、上記(4)に記載の細胞培養装置。
これにより、細胞培養容器と容器載置部の把持や搬送を容易に自動化することが可能となるという効果を奏する。
(10)前記細胞培養容器が、前記容器載置部の上に積み重ねられて積層体(最大で5個のウェルプレート52の組)を構成し、複数(3組など)の前記積層体が前記容器載置部に並べられた状態で、前記容器載置部が前記把持機構により把持される、上記(9)に記載の細胞培養装置。
これにより、多数の細胞培養容器を同時に搬送することが可能になるという効果を奏する。
(11)前記第2操作部を停止させる条件である停止条件(人の進入など)の検出が可能な停止条件検出手段(人感センサ159など)を備え、
前記停止条件が検出された場合に、前記操作部制御手段が、前記第1操作部を稼働させ、前記第2操作部を停止させる、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
これにより、小型な細胞培養装置をより一層安全に稼働させることが可能となるという効果を奏する。
【0133】
<その他>
なお、本発明は、上述した各種の実施形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することや、各種の実施形態を組み合わせることが可能である。
【0134】
例えば、オルガノイド培養において、上述した実施形態の培地交換部22と同様な機構や方法により、培地交換を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明に係る細胞培養装置は、培地交換を行う各種の細胞培養に適用できる。
【符号の説明】
【0136】
10 :細胞培養装置
10A :壁部
10B :窓部
12 :インキュベータ部
14 :画像検査部
16 :ストッカー供給部
18 :製品取出し部
20 :搬送ロボット部
22 :培地交換部
26 :第1空間用フィルターユニット
28 :第2空間用フィルターユニット
32 :インキュベータ
34 :画像検査装置
36 :開閉シャッター部
40 :搬送ロボット
42 :培地交換ロボット
46 :制御部
52 :ウェルプレート
52a :ウェルプレート本体
52b :蓋体
54 :ストッカー
56 :ウェル
68 :エアグリッパー
70 :エアシリンダー
72 :可動体
76 :把持部
78 :ツメ部
80 :樹脂ブロック
82 :係止ピン
90 :カメラ
120 :リザーバ
130 :ツールチェンジャー
132 :ツールアダプタ
134 :アスピレータツール
136 :マイクロピペットツール
138 :ピペッターツール
142 :先端ビット
144 :ニードル
148 :受け板
154 :滅菌灯
159 :人感センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄度の規格基準として第1基準を満たす第1空間と、
前記空気清浄度の規格基準として前記第1基準よりも低い第2基準を満たす第2空間と、
前記第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能な第1操作部と、
前記第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器の移動操作を実行可能な第2操作部と、
前記第1操作部が前記培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を前記第1空間内とし、前記第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲を前記第2空間及び前記第1空間とする操作部制御手段と
を備える、細胞培養装置であって、
前記第1空間へ空気の供給が第1空間用フィルターユニットにより行われ、
前記第2空間へ空気の供給が第2空間用フィルターユニットにより行われ、
前記第1空間用フィルターユニットが、前記第2空間用フィルターユニットに対し独立して前記細胞培養装置の外の空気の取り込みを行い、
前記第1空間への空気が、前記第1空間用フィルターユニットから前記第1空間に供給される、細胞培養装置
【請求項2】
前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって前記細胞培養容器を前記第2空間から前記第1空間に移動させるよう制御し、前記第1操作部によって前記細胞培養容器に対して前記培地交換に係る操作が行われるよう制御し、
前記細胞培養容器が、容器載置部の上に載せられ、
前記第2操作部には、前記細胞培養容器を把持可能な把持機構が設けられており、
前記容器載置部が前記把持機構により把持される、請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記細胞培養容器は前記第2操作部により着脱される防塵部を有する、請求項2に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記第1操作部には、前記培地交換に係る操作の内容に対応した複数種類の操作装置間で共通化された装着機構が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記第2空間には、
前記細胞培養容器の搬入及び搬出が行われる供給排出部と、前記細胞培養容器に収容された細胞の培養が行われる細胞培養部と、前記細胞培養容器に対する検査が行われる検査部とが設置され、
前記操作部制御手段は、
前記第2操作部によって、前記供給排出部に対する前記細胞培養容器の移動操作、前記細胞培養部に対する前記細胞培養容器の移動操作、及び前記検査部に対する前記細胞培養容器の移動操作が行われるよう制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項6】
平面視における前記第2操作部を中心とした直交座標系において、前記第1空間、前記供給排出部、前記細胞培養部、及び前記検査部におけるそれぞれの中心部は、少なくとも3つの象限に分かれて配置されている、請求項5に記載の細胞培養装置。
【請求項7】
前記第1空間内の殺菌を行う殺菌光源部を備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項8】
前記第2操作部を移動させることが可能な移動部を備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項9】
前記把持機構が、間隔の変更が可能なツメ部を有し、前記ツメ部の間隔を変更させて前記細胞培養容器と前記容器載置部との持ち替えが可能である、請求項に記載の細胞培養装置。
【請求項10】
前記第2操作部を停止させる条件である停止条件の検出が可能な停止条件検出手段を備え、
前記停止条件が検出された場合に、前記操作部制御手段が、前記第1操作部を稼働させ、前記第2操作部を停止させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る一実施形態の細胞培養装置は、
空気清浄度の規格基準として第1基準を満たす第1空間と、
前記空気清浄度の規格基準として前記第1基準よりも低い第2基準を満たす第2空間と、
前記第1空間に設置され、培地交換に係る操作を実行可能な第1操作部と、
前記第2空間に設置され、培地が格納された細胞培養容器の移動操作を実行可能な第2操作部と、
前記第1操作部が前記培地交換に係る操作を行う場合の可動範囲を前記第1空間内とし、前記第2操作部が前記細胞培養容器を移動させる場合の可動範囲を前記第2空間及び前記第1空間とする操作部制御手段と
を備える、細胞培養装置であって、
前記第1空間へ空気の供給が第1空間用フィルターユニットにより行われ、
前記第2空間へ空気の供給が第2空間用フィルターユニットにより行われ、
前記第1空間用フィルターユニットが、前記第2空間用フィルターユニットに対し独立して前記細胞培養装置の外の空気の取り込みを行い、
前記第1空間への空気が、前記第1空間用フィルターユニットから前記第1空間に供給される