(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099051
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20250626BHJP
B60T 17/22 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
B60T13/74 H
B60T17/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215403
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
【Fターム(参考)】
3D048AA03
3D048BB02
3D048BB11
3D048CC01
3D048CC49
3D048CC57
3D048HH66
3D048HH67
3D048HH71
3D048HH79
3D048NN02
3D048NN09
3D048RR35
3D049AA03
3D049BB02
3D049BB07
3D049CC01
3D049CC07
3D049HH39
3D049HH40
3D049HH47
3D049HH52
3D049HH54
3D049RR13
(57)【要約】
【課題】作動不良になった電動ブレーキを取外ずして、駆動輪の制動を解除することができる作業車両を提供する。
【解決手段】前輪(2)の回動を制動するブレーキ装置(52)を設け、操縦部(5)の後方下側の電動室(8)に、ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う電動ブレーキ(80)を設け、操縦部(5)に電動ブレーキ(80)の作動と作動の解除を行うブレーキスイッチ(15)を設け、電動ブレーキ(80)を、電動ブレーキ(80)の上部から上方向に延在する支持部材(83)を介して、電動室(8)に設けられた前後方向に延在する支持フレーム(84)に係合し、電動ブレーキ(80)が作動不良になった場合には、電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除して、ブレーキ装置(52)の作動を解除する構成とした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の前側に芝草を刈取る作業装置(4)を設け、前記機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記前輪(2)の回動を制動するブレーキ装置(52)を設け、
前記操縦部(5)の後方下側の電動室(8)に、前記ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う電動ブレーキ(80)を設け、
前記操縦部(5)に電動ブレーキ(80)の作動と作動の解除を行うブレーキスイッチ(15)を設け、
前記電動ブレーキ(80)を、該電動ブレーキ(80)の上部から上方向に延在する支持部材(83)を介して、前記電動室(8)に設けられた前後方向に延在する支持フレーム(84)に係合し、
前記電動ブレーキ(80)が作動不良になった場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除して、前記ブレーキ装置(52)の作動を解除する構成としたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記操縦部(5)に、前記ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う作業者が脚で操作するブレーキペダル(11)と、作業者が腕で操作するブレーキレバー(14)を設け、
前記ブレーキペダル(11)又はブレーキレバー(14)が操作されている場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除することができ、
前記ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)が操作されていない場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合の解除が規制される請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記ブレーキ装置(52)のアーム(52A)をロッド(51)を介して回転軸(50)に連結し、
前記回転軸(50)の軸心視において、前記ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)の操作時の回転軸(50)の回転角度を、前記電動ブレーキ(80)の作動時の回転軸(50)の回転角度よりも大きく設定した請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を、前記支持部材(83)の第1開口部(83B)と支持フレーム(84)の第2開口部(84B)に、ハンドル(87)から右方向に延在するピン(86)を挿通して形成し、
該ハンドル(87)とピン(86)の突起部(86A)の間に、該ピン(86)を右方向に付勢する付勢部品(88)を設けた請求項3記載の作業車両。
【請求項5】
前記支持部材(83)の上部を支持フレーム(84)の第3開口部(84A)に挿通し、前記支持部材(83)の上端部に、前記第3開口部(84A)の長軸よりも長い係合部材(83A)を設けた請求項4記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝草を刈取る作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が自ら操作するブレーキと、電気的な信号を介して操作する電動ブレーキを設けて駆動輪を制動する技術を備える車両が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手段では、信号線の断線等の短絡によって電動ブレーキが作動不良になり、駆動輪の制動を解除することができなくという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、作動不良になった電動ブレーキを取外ずして、駆動輪の制動を解除することができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の前側に芝草を刈取る作業装置(4)を設け、前記機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記前輪(2)の回動を制動するブレーキ装置(52)を設け、前記操縦部(5)の後方下側の電動室(8)に、前記ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う電動ブレーキ(80)を設け、前記操縦部(5)に電動ブレーキ(80)の作動と作動の解除を行うブレーキスイッチ(15)を設け、前記電動ブレーキ(80)を、該電動ブレーキ(80)の上部から上方向に延在する支持部材(83)を介して、前記電動室(8)に設けられた前後方向に延在する支持フレーム(84)に係合し、前記電動ブレーキ(80)が作動不良になった場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除して、前記ブレーキ装置(52)の作動を解除する構成としたことを特徴とする作業車両である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記操縦部(5)に、前記ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う作業者が脚で操作するブレーキペダル(11)と、作業者が腕で操作するブレーキレバー(14)を設け、前記ブレーキペダル(11)又はブレーキレバー(14)が操作されている場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除することができ、前記ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)が操作されていない場合には、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合の解除が規制される請求項1記載の作業車両である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記ブレーキ装置(52)のアーム(52A)をロッド(51)を介して回転軸(50)に連結し、前記回転軸(50)の軸心視において、前記ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)の操作時の回転軸(50)の回転角度を、前記電動ブレーキ(80)の作動時の回転軸(50)の回転角度よりも大きく設定した請求項2記載の作業車両である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を、前記支持部材(83)の第1開口部(83B)と支持フレーム(84)の第2開口部(84B)に、ハンドル(87)から右方向に延在するピン(86)を挿通して形成し、該ハンドル(87)とピン(86)の突起部(86A)の間に、該ピン(86)を右方向に付勢する付勢部品(88)を設けた請求項3記載の作業車両である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記支持部材(83)の上部を支持フレーム(84)の第3開口部(84A)に挿通し、前記支持部材(83)の上端部に、前記第3開口部(84A)の長軸よりも長い係合部材(83A)を設けた請求項4記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、前輪(2)の回動を制動するブレーキ装置(52)を設け、操縦部(5)の後方下側の電動室(8)に、ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う電動ブレーキ(80)を設け、操縦部(5)に電動ブレーキ(80)の作動と作動の解除を行うブレーキスイッチ(15)を設け、電動ブレーキ(80)を、電動ブレーキ(80)の上部から上方向に延在する支持部材(83)を介して、電動室(8)に設けられた前後方向に延在する支持フレーム(84)に係合し、電動ブレーキ(80)が作動不良になった場合には、電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除して、ブレーキ装置(52)の作動を解除する構成としたので、作動不良になった電動ブレーキ(80)を取外して、前輪(2)の回動を制動するブレーキ装置(52)の作動を解除することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)に、ブレーキ装置(52)の作動と作動の解除を行う作業者が脚で操作するブレーキペダル(11)と、作業者が腕で操作するブレーキレバー(14)を設け、ブレーキペダル(11)又はブレーキレバー(14)が操作されている場合には、電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を解除することができ、ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)が操作されていない場合には、電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合の解除が規制されるので、ブレーキ装置(52)を作動させて前輪(2)の回動を制動した状態で電動ブレーキ(80)を安全に取外すことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、ブレーキ装置(52)のアーム(52A)をロッド(51)を介して回転軸(50)に連結し、回転軸(50)の軸心視において、ブレーキペダル(11)とブレーキレバー(14)の操作時の回転軸(50)の回転角度を、電動ブレーキ(80)の作動時の回転軸(50)の回転角度よりも大きく設定したので、作動不良になった電動ブレーキ(80)を容易に取外すことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、電動ブレーキ(80)と支持フレーム(84)の係合を、支持部材(83)の第1開口部(83B)と支持フレーム(84)の第2開口部(84B)に、ハンドル(87)から右方向に延在するピン(86)を挿通して形成し、ハンドル(87)とピン(86)の突起部(86A)の間に、ピン(86)を右方向に付勢する付勢部品(88)を設けたので、電動ブレーキ(80)を支持フレーム(84)から容易に取外すことができる。また、走行時の振動等でピン(86)が第1開口部(83B)と第2開口部(84B)から外れるのを防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、支持部材(83)の上部を支持フレーム(84)の第3開口部(84A)に挿通し、支持部材(83)の上端部に、第3開口部(84A)の長軸よりも長い係合部材(83A)を設けたので、電動ブレーキ(80)が過度に落下するのを防止して、他の部品と衝突するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】電動室の前部を後方左側から視た斜視図である。
【
図3】電動室の後部を後方左側から視た斜視図である。
【
図6】前輪とブレーキシステムの位置関係を説明する左側面図である。
【
図8】ブレーキシステムを前方下側から視た斜視図である。
【
図9】電動ブレーキの装着方法を説明する後方左側から視た斜視図である。
【
図10】電動ブレーキの装着方法を説明する背面図である。
【
図11】電動室の前部を後方左側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、作業車両は、機体フレーム1の下側の前部には左右一対の前輪2が設けられ、機体フレーム1の下側の後部には左右一対の後輪3が設けられている。
【0018】
機体フレーム1の前部には圃場に生えた芝草を刈取る作業装置4が設けられ、作業装置4の後側には作業者が搭乗する操縦部5が設けられ、操縦部5の後側には作業者を保護する安全フレーム(ロプス)6が設けられ、安全フレーム6の後側には刈取られた芝草を貯留する集草容器7が設けられ、集草容器7の下側には作業装置4を駆動する後述する電動機30やバッテリ33等を配置する電動室8が設けられている。
【0019】
操縦部5の操縦席の前側には、ステアリングホイールを支持するステアリングコラム10が設けられている。ステアリングコラム10の上部には、電動機30の出力回転数等を表示するモニタが設けられ、下部はフロアの前部に固定されている。
【0020】
フロアにおけるステアリングコラム10の左側には前輪2の回動を制動するブレーキペダル11が設けられ、右側には前輪2の回転数を増減速するアクセルペダル12が設けられている。
【0021】
前輪2の上方はフェンダ13で覆われ、操縦席の左側に位置するフェンダ13には前輪2の回動を制動するブレーキレバー14が設けられ、操縦席の右側に位置するフェンダ13には後述する電動ブレーキ80を操作するブレーキスイッチ15が設けられている。
【0022】
作業装置4の後部と集草容器7の前部は、前後方向に延在するシュータ16で連通され、シュータ16の前後方向の中間部には、シュータ16内に空気を排風するブロワが設けられている。
【0023】
集草容器7の左右壁の前部には左右一対のリンクアーム18が設けられている。リンクアーム18の前部は安全フレーム6に左右部に揺動自在に固定され、安全フレーム6とリンクアーム18は油圧シリンダ等の昇降部品19で接続されている。また、集草容器7の下壁の後部は後述する支持フレーム21の横フレーム21Aに載上されている。これにより、昇降部品19を駆動して集草容器7を昇降することができる。
【0024】
図2,3に示すように、電動室8の前電動室8Aには、作業装置4を駆動する作業用の電動機30と前輪2を回動する走行用の電動機31が設けられ、後電動室8Bには、電動機30等に供給する電力を蓄電するバッテリ33が設けられている。
【0025】
平面視において、電動機30は機体フレーム1の左右方向の中心線の左側に設けられ、電動機31は機体フレーム1の左右方向の中心線の右側に設けられている。これにより、
機体フレーム1の左右方向の中心線の左側に加わる重量と、機体フレーム1の左右方向の中心線の右側に加わる重量の重量差を抑制して、操舵性を向上させることができる。
【0026】
側面視において、前電動室8Aと後電動室8Bの区画部には、機体フレーム1から上方に延在する支持フレーム20が設けられ、後電動室8Bの後端部には機体フレーム1から上方に延在する支持フレーム21が設けられている。
【0027】
支持フレーム20は、機体フレーム1における左側の中間部から上方に延在する左縦フレーム20Lと、機体フレーム1における右側の中間部から上方に延在する右縦フレーム20Rと、左縦フレーム20Lと右縦フレーム20Rの上部を連結する左右方向に延在する横フレーム20Aで形成されている。
【0028】
支持フレーム21は、機体フレーム1における左側の後端部から上方に延在する左縦フレーム21Lと、機体フレーム1における右側の後端部から上方に延在する右縦フレーム21Rと、左縦フレーム21Lと右縦フレーム21Rの上部を連結する左右方向に延在する横フレーム21Aと、左縦フレーム21Lと右縦フレーム21Rの中間部を連結する左右方向に延在する横フレーム21Bで形成されている。なお、横フレーム21Bの左部は左縦フレーム21Lよりも左側に延出し、右部は右縦フレーム21Rよりも右側に延出している。
【0029】
左縦フレーム20Lの中間部と横フレーム21Bの左端部は前後方向に延在する左前後フレーム22Lで連結され、右縦フレーム20Rの中間部と横フレーム21Bの右端部は前後方向に延在する右前後フレーム22Rで連結されている。これにより、バッテリ33の後部を後輪3のドライブシャフト46の上方に配置して、機体フレーム1に大きな変形が生じるのを防止することができる。
【0030】
左縦フレーム20Lの上部と操縦部5の後部に設けられた左側の縦フレーム23の中間部は前後方向に延在する左側の前後フレーム24で連結され、支持フレーム20の右縦フレーム20Rの上部と操縦部5の後部に設けられた右側の縦フレーム23の中間部は前後方向に延在する右側の前後フレーム24で連結されている。
【0031】
図4に示すように、電動機30の長手方向は前後方向に沿って設けられている。電動機31は電動機30の左側に隣接して設けられ、電動機31の長手方向は前後方向に沿って設けられている。
【0032】
電動室8の左壁の外側には電動機30等を冷却する水を冷却するラジエータ40が設けられ、ラジエータ40と電動機30の間には、外気を電動室8に向けて送風するファン41が設けられている。電動室8の左壁におけるファン41と対向する部位には円状の開口部(図示省略)が形成されている。これにより、電動機30等の温度上昇を抑制して電動機30等が作動不良になるのを防止することができる。
【0033】
電動室8の右壁におけるラジエータ40と対向する部位の外側には、操縦部5のモニタに供給する電力を蓄電する補助バッテリ42が設けられている。これにより、作業車両の左部と右部の重量差を抑制することができる。
【0034】
図3,5に示すように、バッテリ33の上部を固定する取付フレーム34の前部は、支持フレーム20の横フレーム20Aにボルト等の締結部材によって着脱自在に固定され、後部は、支持フレーム21の横フレーム21Aにボルト等の締結部材によって着脱自在に固定されている。
【0035】
バッテリ33の下部を固定する左側の取付フレーム35は、左前後フレーム22Lに載上され、右側の取付フレーム35は、右前後フレーム22Rに載上される。
【0036】
取付フレーム34の前部と後部にはバッテリ33の交換時に吊下げ用フックを挿通させる開口部34Aが形成されている。これにより、バッテリ33を支持フレーム20と支持フレーム21に容易に着脱でき、バッテリ33を容易に交換することができる。
【0037】
<ブレーキシステム>
図6~8に示すように、前輪2の回動を制動するブレーキシステム100は、ブレーキペダル11と、ブレーキレバー14と、ブレーキスイッチ15で操作される電動ブレーキ80と、ブレーキペダル11の踏込み等で回動される左右方向に延在する回転軸50と、回転軸50の回動によって操作されるブレーキ装置52から形成されている。
【0038】
回転軸50の左部に設けられたアーム50Aの先端部と、ブレーキ装置52の下部に設けられたブレーキパッドを移動させるアーム52Aの先端部は、上下方向に延在するロッド51を介して連結されている。これにより、回転軸50を回動させてブレーキ装置52のブレーキパッドを移動させて前輪2の回動を制動することができる。
【0039】
ブレーキペダル11の基部は、左右方向に延在する支軸60に揺動自在に支持されている。ブレーキペダル11の基部の後部は、後下がりに延在するリンク61と、前後方向に延在するリンク62を介して、回転軸50の左部に設けられたアーム50Bの先端部に連結されている。
【0040】
リンク61の後部とリンク62の前部は、左右方向に延在する回転軸63に設けられたアーム63Aの先端部の左右方向に延在するピン64に回転自在に固定されている。これにより、ブレーキペダル11を踏込んだ場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が時計方向に回転し、ロッド51を上方に移動して、ブレーキ装置52が作動して前輪2の回動を制動することができる。また、ブレーキペダル11の踏込みを解除した場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が反時計方向に回転し、ロッド51が下方に移動して、ブレーキ装置52の作動が停止する。
【0041】
ブレーキレバー14の基部は、左右方向に延在する支軸70に揺動自在に支持されている。ブレーキレバー14の基部の下部は、上下方向に延在するリンク71と、前後方向に延在するリンク72を介して、回転軸50の左部に設けられたアーム50Bの先端部に連結されている。
【0042】
リンク71の下部には上下方向に長軸を有する開口部71Aが形成され、開口部71Aには、回転軸73の左部に設けられたアーム73Aの前部の左右方向に延在するピン74が上下方向に移動可能に係止されている。
【0043】
リンク72の前部は、回転軸73の右部に設けられたアーム73Bの下部の左右方向に延在するピン75に回転自在に固定されている。これにより、ブレーキレバー14を引上げた場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が時計方向に回転し、ロッド51を上方に移動して、ブレーキ装置52が作動して前輪2の回動を制動することができる。また、ブレーキレバー14の引上げを解除した場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が反時計方向に回転し、ロッド51が下方に移動して、ブレーキ装置52の作動が停止する。
【0044】
操縦部5のブレーキスイッチ15が押下された場合には、電動ブレーキ80の上下方向に移動するロッド80Aが上昇し、ブレーキスイッチ15の押下が解除された場合には、電動ブレーキ80のロッド80Aは下降する。
【0045】
ロッド80Aの下部は、上下方向に延在するリンク81を介して、回転軸50のアーム50Aとアーム50Bの間に設けられたアーム50Cの先端部に連結されている。これにより、ブレーキスイッチ15を押下した場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が時計方向に回転し、ロッド51を上方に移動して、ブレーキ装置52が作動して前輪2の回動を制動することができる。また、ブレーキスイッチ15を押下を解除した場合には、回転軸50の軸心視において、回転軸50が反時計方向に回転し、ロッド51が下方に移動して、ブレーキ装置52の作動が停止する。
【0046】
図9,10に示すように、電動ブレーキ80の上部は、上下方向に延在する板状の支持部材83を介して、前電動室8Aに設けられた前後方向に延在するチャンネル鋼からなる支持フレーム84に固定されている。なお、電動ブレーキ80のロッド80Aの下部とリンク81の上部はピン82で着脱自在に固定され、電動ブレーキ80の上部と支持部材83はピン82Bで着脱自在に固定されている。これにより、電動ブレーキ80が故障した場合には、ピン82A,82Bを引抜いて電動ブレーキ80を容易に交換することができる。
【0047】
支持部材83は、支持フレーム84の下辺と上辺に形成された前後方向に長軸を有する開口部(請求項の「第3開口部」)84Aを下側から上側に挿通して設けられ、支持部材83の上端には、前後方向に延在するロッド等の係合部材83Aがけられている。また、係合部材83Aの前後方向の長さは、開口部84Aの前後方向の長さよりも長く形成されている。これにより、後述するピン86を引抜いた場合に、電動ブレーキ80が過度に落下するのを防止して、他の部品と衝突するのを防止することができる。
【0048】
支持フレーム84の左側には、支持フレーム84の左辺に形成された円状の開口部(請求項の「第2開口部」)84Bと支持部材83に形成された円状の開口部(請求項の「第1開口部」)83Bに挿通される左右方向に延在するピン86と、ピン86の左部に固定されたハンドル87が設けられている。なお、ピン86の左部はハンドル87の内周部に対して左右方向に移動可能に固定されている。
【0049】
ピン86の中間部には上下方向に延出するピンによる突起部86Aが形成され、ハンドル87の右部と突起部86Aの左部の間には、ピン86を支持フレーム84から支持部材83に向けて押込むスプリング等の付勢部品88が設けられている。これにより、開口部83Bと開口部84Bに挿通されたピン86が走行時の振動によって開口部83Bと開口部84Bから引抜かれるのを防止して、電動ブレーキ80を所定の位置に吊下げることができる。
【0050】
ブレーキペダル11を踏んだ場合の回転軸50の時計方向の回転角度と、ブレーキレバー14を引上げた場合の回転軸50の時計方向の回転角度は、ブレーキスイッチ15を押下して電動ブレーキ80を駆動してロッド80Aを上方に移動した場合の回転軸50の時計方向の回転角度よりも大きく形成されている。これにより、電動ブレーキ80が作動不良によってロッド80Aを上方から下方に移動することができなくなりブレーキ装置52の制動が解除できなくなった場合には、ブレーキペダル11を踏込んだりブレーキレバー14を引上げて、ピン86と開口部83Bや開口部84Bの係合部に作用している外力を小さくして、ピン86と開口部83Bや開口部84Bから引抜くことができる。
【0051】
図11に示すように、安全フレーム6と電動室8の間の隙間からブレーキ装置52やロッド51等が目視できるのが好ましい。これにより、電動ブレーキ80が作動不良になったことを容易に確認することができる。
【0052】
回転軸50の一側には回転軸50の回転角度を測定する回転センサと、電動ブレーキ80にはロッド80Aの上下方向の移動を測定するストロークセンサが設けられ、ブレーキペダル11を踏込みや踏込み解除を行った場合に回転センサの測定値が変化しない場合や、ブレーキスイッチ15を押下や押下を解除した場合にストロークセンサの測定値が変化しない場合には、操縦部5のモニタに警告表示を行う。これにより、作業者に電動ブレーキ80等の作動不良を速やかに知らせることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 機体フレーム
2 前輪
3 後輪
4 作業装置
5 操縦部
8 電動室
11 ブレーキペダル
14 ブレーキレバー
15 ブレーキスイッチ
50 回転軸
51 ロッド
52 ブレーキ装置
52A アーム
80 電動ブレーキ
83 支持部材
83A 係合部材
83B 開口部(第1開口部)
84 支持フレーム
84A 開口部(第3開口部)
84B 開口部(第2開口部)
86 ピン
86A 突起部
87 ハンドル
88 付勢部品