(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099078
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】ワーク保管システム、ワーク保管装置、ワーク、細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12M1/00 D
C12M1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215449
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松澤 貴司
(72)【発明者】
【氏名】浅野 伸
(72)【発明者】
【氏名】小松 洋音
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 剛久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
(72)【発明者】
【氏名】日比野 雄平
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 彰久
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA12
4B029AA17
4B029AA27
4B029BB01
4B029DG10
4B029GB04
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】構成が複雑化することなしに作業者によるワークの誤投入を抑える。
【解決手段】ワーク保管システムは、細胞培養装置で用いられるワークと、作業者により前記ワークを投入可能な投入部、及び、前記ワークを搬送装置により自動的に取り出し可能な取出し部を備え、内部に前記ワークを保管可能なワーク保管装置と、を備え、前記ワークは、前記ワーク保管装置の前記投入部に投入される投入方向から見て左右非対称な形状をなし、前記ワーク保管装置の前記投入部は、前記ワークが正しい向きである場合に前記ワークの投入を許容する一方で、前記ワークが誤った向きである場合に前記投入方向で前記ワークに突き当たり前記ワークの投入を規制する規制部を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養システム内で用いられるワークと、
前記ワークを投入可能な投入部、及び、前記ワークを取り出し可能な取出し部を備え、内部に前記ワークを保管可能なワーク保管装置と、を備え、
前記ワークは、前記ワーク保管装置の前記投入部に投入される投入方向から見て左右非対称な形状をなし、
前記ワーク保管装置の前記投入部は、前記ワークが正しい向きである場合に前記ワークの投入を許容する一方で、前記ワークが誤った向きである場合に前記投入方向で前記ワークに突き当たり前記ワークの投入を規制する規制部を備える
ワーク保管システム。
【請求項2】
前記ワークは、前記投入方向から見て左右非対称に形成された板部を備える
請求項1に記載のワーク保管システム。
【請求項3】
前記ワークは、上下方向に重ねられたワーク本体と、前記ワーク本体を下方から支持するワークトレイと、前記ワークトレイから上方に向かって延びるとともに前記投入方向と交差する方向に延びて前記ワーク本体及び前記ワークトレイを前記投入方向の両側から挟み込む複数の前記板部と、
を備える
請求項2に記載のワーク保管システム。
【請求項4】
前記板部は、上下方向に延びる第一縁部と、左右方向に延びる第二縁部と、隣接する前記第一縁部の端部と第二縁部の端部とを接続する面取り部と、を備える
請求項2に記載のワーク保管システム。
【請求項5】
前記ワークは、上下方向に延びるワーク本体と、前記ワーク本体を前記投入方向から見て左右方向の何れか一方でのみ支持するワークトレイと、を備え、
前記ワーク本体は、前記ワークトレイよりも上方に突出し、
前記規制部は、前記投入部の上部に設けられ、前記ワークが正しい向きである場合に前記投入方向への前記ワーク本体の変位を許容し、前記ワークが誤った向きである場合に前記投入方向で前記ワーク本体に突き当たり前記投入方向への前記ワーク本体の変位を規制する
請求項1に記載のワーク保管システム。
【請求項6】
投入されたワークを収容するためのワーク保管装置であって、
投入方向から見て左右非対称な形状をなす前記ワークを投入可能な投入部を備え、
前記投入部は、
前記ワークが正しい向きの場合に前記ワークの投入を許容する一方で、前記ワークが誤った向きの場合に前記投入方向で前記ワークに突き当たり前記ワークの投入を規制する規制部を備える
ワーク保管装置。
【請求項7】
ワーク保管装置の投入部から投入されることでワーク保管装置に保管されるワークであって、
投入方向から見て左右非対称に形成された規制部を有した前記投入部に正しい向きで投入された場合に前記規制部に接触しない一方で、前記投入部に誤った向きで投入された場合に前記規制部に突き当たるように構成された、左右非対称な形状を有したワーク。
【請求項8】
前記投入部に正しい向きで投入された場合に前記規制部に接触しない一方で、前記投入部に誤った向きで投入された場合に前記規制部に突き当たる投入方向から見て左右非対称に形成された板部を備える
請求項7に記載のワーク。
【請求項9】
前記板部は、上下方向に延びる第一縁部と、左右方向に延びる第二縁部と、隣接する前記第一縁部の端部と第二縁部の端部とを接続する面取り部と、を備える
請求項8に記載のワーク。
【請求項10】
請求項1に記載のワーク保管システムを収容するストッカと、
前記ワークに分注操作を行う液操作エリアを有するクリーンベンチと、
前記ワークに収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアを有するインキュベータと、
前記ストッカ内に設けられて、前記ワークを把持して前記ワーク保管システムから前記ワークを取出し可能なストッカ内搬送装置と、
を備える細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワーク保管システム、ワーク保管装置、ワーク、細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、細胞継代における細胞回収のみを行う細胞回収装置が記載されている。この特許文献1の細胞回収装置では、ロボットアームによって培養容器を把持して移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように培養容器などのワークを自動的に搬送する細胞培養システムでは、例えば、作業者が誤った向きでワークを投入してしまう誤投入が発生すると、ロボットアーム等の搬送装置が誤った向きのままワークを把持して搬送してしまい、対象ワークのアドレスに齟齬が発生し、細胞培養に支障をきたす可能性がある。さらに、センサーなどを用いて誤投入を検知しようとすると構成が複雑化してコストが上昇してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、構成が複雑化することなしに作業者による誤投入を抑えることができるワーク保管システム、ワーク保管装置、ワーク、細胞培養システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るワーク保管システムは、細胞培養システム内で用いられるワークと、作業者により前記ワークを投入可能な投入部、及び、前記ワークを搬送装置により自動的に取り出し可能な取出し部を備え、内部に前記ワークを保管可能なワーク保管装置と、を備え、前記ワークは、前記ワーク保管装置の前記投入部に投入される投入方向から見て左右非対称な形状をなし、前記ワーク保管装置の前記投入部は、前記ワークが正しい向きである場合に前記ワークの投入を許容する一方で、前記ワークが誤った向きである場合に前記投入方向で前記ワークに突き当たり前記ワークの投入を規制する規制部を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るワーク保管装置は、作業者により投入されたワークを収容するためのワーク保管装置であって、投入方向から見て左右非対称な形状をなす前記ワークを投入可能な投入部を備え、前記投入部は、前記ワークが正しい向きの場合に前記ワークの投入を許容する一方で、前記ワークが誤った向きの場合に前記投入方向で前記ワークに突き当たり前記ワークの投入を規制する規制部を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るワークは、ワーク保管装置の投入部から投入されることでワーク保管装置に保管されるワークであって、投入方向から見て左右非対称に形成された規制部を有した前記投入部に正しい向きで投入された場合に前記規制部に接触しない一方で、前記投入部に誤った向きで投入された場合に前記規制部に突き当たる、左右非対称な形状を有している。
【0009】
本開示の一態様に係る細胞培養システムは、上記ワーク保管システムを収容するストッカと、前記ワークに分注操作を行う液操作エリアを有するクリーンベンチと、前記ワークに収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアを有するインキュベータと、前記ストッカ内に設けられて、前記ワークを把持して前記ワーク保管システムから前記ワークを取出し可能なストッカ内搬送装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、構成が複雑化することなしに作業者による誤投入を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態における細胞培養システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態におけるワーク保管装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】本開示の実施形態におけるワーク保管装置を投入部側から見た側断面図である。
【
図4】本開示の実施形態におけるフラスコユニットの斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態におけるウェルプレートユニットの斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態におけるフラスコユニットが投入される投入部を拡大した図である。
【
図7】本開示の実施形態におけるウェルプレートユニットが投入される投入部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について
図1~
図7を参照して詳細に説明する。
本実施形態の細胞培養システム100は、無人かつ自動での細胞培養や培養後の細胞の分析等を行うシステムである。
【0013】
<細胞培養システム>
図1は、本開示の実施形態における細胞培養システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の細胞培養システム100は、ストッカ110と、インキュベータ130と、クリーンベンチ140と、パスボックス150と、を有する。
【0014】
<ストッカ>
ストッカ110は、インキュベータ130やクリーンベンチ140で使用する複数のワークWを保管するための設備である。ストッカ110は、ストッカ本体111と、ワーク保管装置112と、ストッカ内搬送装置113と、を少なくとも有している。なお、詳細は後述するが、ワークWは、フラスコ、ウェルプレート等のワーク本体と、ワーク本体を支持するワークトレイと、を備えている。一つのワークWは、同一種類のワーク本体を複数備えている場合もある。
【0015】
ストッカ本体111は、内部に保管エリアR1を形成する。ストッカ本体111は、保管エリアR1を大気圧よりも高く(陽圧)且つ清浄度の高い無菌状態の空間に維持している。ストッカ本体111は、新規のワークWを作業者がワーク保管装置112に投入する際に開閉する扉(図示せず)を備えている。
【0016】
ワーク保管装置112は、保管エリアR1内に配置されており、複数のワークWを保管可能とされている。
ストッカ内搬送装置113は、ワーク保管装置112に保管されている複数のワークWのうち、所定のワークWを取り出してクリーンベンチ140に受け渡す。ストッカ内搬送装置113としては、いわゆる6軸ロボットを例示できる。
【0017】
<インキュベータ>
インキュベータ130は、培養液内の細胞を増殖させるための設備である。インキュベータ130は、細胞培養に適した温度・湿度・二酸化炭素濃度に管理された培養エリアR3を形成している。インキュベータ130の培養エリアR3には、例えば複数の振盪ステージ(図示せず)が設けられ、複数のワークWを振盪可能な構成とされている。インキュベータ130は、培養エリアR3内においてワークWを自動搬送するための搬送装置(図示せず)を有している。
【0018】
<クリーンベンチ>
クリーンベンチ140は、ワークWに対して、分注操作、廃液の抜き取り等の各種の操作・処理を行う。クリーンベンチ140内には、清浄度が高く無菌状態の空間である液操作エリアR4が形成されている。クリーンベンチ140は、液操作エリアR4内においてワークWを自動搬送するための搬送装置(図示せず)を有している。
【0019】
<パスボックス>
パスボックス150は、インキュベータ130とクリーンベンチ140との間に設けられている。このパスボックス150を介して培養エリアR3と液操作エリアR4との間でのワークWの移送が行われる。パスボックス150は、第一ドア150a、第二ドア150bを有している。
【0020】
第一ドア150aは、パスボックス150内の空間と培養エリアR3との連通状態及び遮断状態を切り替える。第二ドア150bは、パスボックス150内の空間と液操作エリアR4とのを連通状態及び遮断状態とを切り替える。これら第一ドア150a及び第二ドア150bが同時に開放状態になることはなく、これにより培養エリアR3と液操作エリアR4とが直接的に連通することない。
【0021】
<細胞培養システムの概略動作>
以上のような構成の細胞培養システム100では、インキュベータ130内でワークW内の培養液が振盪されることで細胞増殖が促進される。細胞増殖が進行したワークWは、パスボックス150を介して液操作エリアR4に移送される。液操作エリアR4では、ワークW内の培養液を分注したり、ワークWへの培地の供給が行われたりする。
【0022】
一方で、新たなワークWを用いて細胞増殖を行う際には、例えば以下の手順で行われる。
まず、ストッカ内搬送装置113が、ワーク保管装置112から例えばフラスコを有した新たなワークWを取り出して、液操作エリアR4内に搬送する。液操作エリアR4では、培養液の入っていない新たなワークWに培地を供給し、細胞増殖が進んだ増殖済みの培養液が入っている液操作エリアR4から移送されたワークWから、新たなワークWに培養液を分注する。これにより、新たなワークWへの細胞の植え継ぎ操作が完了する。植え継ぎ操作を経た新たなワークWは、インキュベータ130に移送され、細胞の増殖が行われ、上記の処理が繰り返される。
【0023】
<ワーク保管装置>
図2は、本開示の実施形態におけるワーク保管装置の概略構成を示す正面図である。
図3は、本開示の実施形態におけるワーク保管装置を投入部側から見た側断面図である。
図2、
図3に示すように、ワーク保管装置112は、複数のワーク保管ユニット10により構成されている。本実施形態におけるワーク保管装置112は、複数のワーク保管ユニット10を上下方向Dvに並べて複数段備えている。本実施形態で例示するワーク保管装置112は、ワーク保管ユニット10を左右方向Dhに複数列備えている。ワーク保管ユニット10は、鉛直方向及び水平方向に並んで複数が配列されている。なお、ワーク保管装置112の有するワーク保管ユニット10の上下方向Dvの段数及び左右方向Dhの列数は、何ら限定されることはなく必要に応じて適宜設定できる。
【0024】
<ワーク>
ワークWは、ワーク本体21と、ワークトレイ22とを備えている。ワークWは、細胞培養システム100内で用いるものであればよい。本実施形態では、ワーク本体21としてフラスコ21Aを有したフラスコユニットW1と、ワーク本体21としてウェルプレート21Bを有したウェルプレートユニットW2と、をそれぞれワークWの一例として説明する。なお、以下の説明では、作業者がワークWを保管するためにワーク保管装置112にワークWを投入する方向を投入方向Diと称する。また、ワークWに対する左右方向Dh及び上下方向Dvとは、ワークWがワーク保管装置112に保管されているときの向きである。本実施形態では、ワーク保管装置112及びワークWによりワーク保管システムが構成されている。
【0025】
<フラスコユニット>
図4は、本開示の実施形態におけるフラスコユニットの斜視図である。
図5は、本開示の実施形態におけるウェルプレートユニットの斜視図である。
図4に示すように、フラスコユニットW1は、フラスコ21Aと、フラスコトレイ22Aとを備えている。フラスコユニットW1は、ワーク保管装置112にスライド投入される。フラスコユニットW1は、スライド投入される投入方向Diから見て、左右非対称な形状をなしている。
【0026】
<フラスコ>
フラスコ21Aは、培養液が収容される、いわゆる三角フラスコであって、鉛直方向に延びるフラスコ軸線O1を中心とする有底筒状をなしている。具体的には、フラスコ21Aの下部外周面は、上方に向かうに従って縮径するフラスコ軸線O1を中心とした円錐面状をなしており、フラスコ21Aの上部外周面は、フラスコ軸線O1を中心とする円筒状をなしている。なお、フラスコ21A上部の開口には、蓋部が着脱可能となっている。また、フラスコは、三角フラスコに限られるものでは無い。
【0027】
<フラスコトレイ>
フラスコトレイ22Aは、フラスコ21Aを支持して後述するワーク保管ユニット10の保管部12の滑走面12f上を滑走可能とされている。このフラスコトレイ22Aは、投入方向Diに並んで二つのフラスコ21Aを載置可能とされている。フラスコトレイ22Aは、載置プレート23、支持部24、及び上部フレーム25を少なくとも有している。
【0028】
<載置プレート>
載置プレート23は、上記二つのフラスコ21Aを下方から支持する部材である。載置プレート23は、平面視にて長方形の平板状をなしている。本実施形態のフラスコユニットW1は、上記平面視における長方形状の長手方向(一対の長辺が延びる方向)と作業者による投入方向Diとが一致している。二つのフラスコ21Aは、載置プレート23の長手方向に並んで載置されるとともに、載置プレート23の左右方向Dhの中心軸線O2を基準にして左右方向Dhの一方に寄せて載置されている。言い換えれば、載置プレート23には、投入方向Diから見て左右方向Dhの何れか一方にのみフラスコ21Aされている。なお、本実施形態で例示するフラスコユニットW1は、作業者から見て載置プレート23の左右方向Dhの中心軸線O2に対して二つのフラスコ21Aのフラスコ軸線O1が何れも右側に配置された向きを正しい向きとして、投入部11から投入される(
図2参照)。
【0029】
<支持部>
支持部24は、載置プレート23から上方に向かって延びる棒状の部材である。支持部24の上端は、載置プレート23に載置されたフラスコ21Aの上端よりも下方に位置している。支持部24は、複数設けられており、これら支持部24の上端は、同一の高さとされている。なお、本実施形態では、一つのフラスコトレイ22Aに支持部24が四つ設けられている場合を例示しているが、一つのフラスコトレイ22Aに設けられる支持部24の個数は、三つや五つ以上であってもよい。
【0030】
<上部フレーム>
上部フレーム25は、支持部24によって下方から支持されている。平面視における上部フレーム25の輪郭形状は、載置プレート23の平面視の輪郭形状と同様に、作業者による投入方向Diを長手方向とした長方形状をなしている。上部フレーム25の平面視の大きさは、載置プレート23の大きさと同等とされている。上部フレーム25は、載置プレート23と平行に配置されている。
【0031】
上部フレーム25には、開口部25aが形成されている。この開口部25aは、上部フレーム25に対してフラスコ21Aを上下に貫通させるためのものであり、上部フレーム25の左右方向Dhの中心軸線を基準にして左右方向Dhの一方に寄せて形成されている。つまり、上部フレーム25は、フラスコ21Aの上端よりも下方に配置されており、これにより、フラスコ21Aがフラスコトレイ22Aよりも上方に突出している。本実施形態では、中心軸線O2を基準にして左右方向Dhの他方側、すなわち、左右方向Dhにおけるフラスコ21Aの配置されていない側の上部フレーム25上は、フラスコ21Aの蓋置き場25bとして用いられる。本実施形態のフラスコユニットW1は、ストッカ内搬送装置113(
図1参照)によって搬送される際に、上部フレーム25の下面がストッカ内搬送装置113のハンド113hによって下方から支持される搬送用被支持面をなす。
【0032】
<ウェルプレートユニット>
図5に示すように、ウェルプレートユニットW2は、ウェルプレート21Bと、ウェルプレートトレイ22Bと、板部26と、を備えている。ウェルプレートユニットW2は、ワーク保管装置112にスライド投入される。ウェルプレートユニットW2は、スライド投入される投入方向Diから見て、左右非対称な形状をなしている。
【0033】
<ウェルプレート>
ウェルプレート21Bは、上面に複数のウェル(換言すれば、穴;図示せず)を有した平板状をなしている。ウェルプレート21Bは、例えば、クリーンベンチ140に搬送される。このウェルプレート21Bの複数のウェルは、培養した細胞に対する各種試験を行うための容器や、細胞の培養を行うための容器として用いられる。なお、ウェルプレート21Bは、ウェルの深さに応じた厚さを有している。ウェルプレート21Bは、いわゆるディープウェルプレートであってもよい。
【0034】
<ウェルプレートトレイ>
ウェルプレートトレイ22Bは、ウェルプレート21Bを支持して後述するワーク保管ユニット10の保管部12の滑走面12f上を滑走可能とされている。このウェルプレートトレイ22Bは、上下方向Dvに重ねて厚さの異なる二つのウェルプレート21Bを載置可能とされている。ウェルプレートトレイ22Bは、ベースプレート27、支持部28、及び上部載置プレート29を少なくとも有している。
【0035】
<ベースプレート>
ベースプレート27は、ウェルプレートトレイ22Bのうち最も下方に配置される部材であり、その下面が平面をなしている。ベースプレート27は、支持部28を介して上部載置プレート29を下方から支持している。ベースプレート27は、平面視にて長方形の平板状をなしている。本実施形態のウェルプレートユニットW2は、作業者による投入方向に対して、上記平面視における長方形状の長手方向(一対の長辺が延びる方向)が垂直な方向となっている。
【0036】
<支持部>
支持部28は、ベースプレート27から上方に向かって延びる棒状の部材である。支持部28は、複数設けられており、これら複数の支持部28の上端は、互いに同一の高さとされている。なお、本実施形態では、一つのウェルプレートトレイ22Bに支持部28が四つ設けられている場合を例示しているが、一つのウェルプレートトレイ22Bに設けられる支持部28個数は、三つや五つ以上であってもよい。
【0037】
<上部載置プレート>
上部載置プレート29は、ウェルプレート21Bを載置する載置面を形成している。上部載置プレート29は、ベースプレート27と平行な平板状をなし、支持部28によって下方から支持されている。平面視における上部載置プレート29の輪郭形状は、ベースプレート27の平面視の輪郭形状と同様に、作業者の投入方向を長手方向とした長方形状をなしている。上部載置プレート29の平面視の大きさは、ベースプレート27の大きさと同等とされている。
【0038】
ここで、本実施形態で例示するウェルプレート21Bは、サブトレイ31を介して上部載置プレート29上に載置されている。また、本実施形態の上部載置プレート29は、平面視において、ウェルプレート21Bよりも僅かに大きい矩形状をなしている。そして、ウェルプレート21Bは、上部載置プレート29の周縁部よりも内側に載置される。本実施形態のウェルプレートユニットW2は、ストッカ内搬送装置113(
図1参照)によって搬送される際に、上部載置プレート29の下面がストッカ内搬送装置113のハンド113hによって下方から支持される搬送用被支持面をなす。
【0039】
<板部>
板部26は、作業者が投入する投入方向から見て左右非対称に形成されている。ここで、上述したウェルプレート21Bとウェルプレートトレイ22Bとの組品は、作業者の投入方向から見て左右対称形状をなしている。つまり、この左右対称形状をなす組品に板部26を取り付けることで、ウェルプレートユニットW2が作業者の投入方向Diから見て左右非対称形状となっている。
【0040】
板部26は、ウェルプレートトレイ22Bから上方に向かって延びている。本実施形態のウェルプレートユニットW2は、同一形状の二つの板部26を備えており、これら二つの板部26は、投入方向Diに対して垂直な方向に延びる上部載置プレート29の二つの縁部29a,29bから上方に向かってそれぞれ延びる平板状をなしている。これら二つの板部26は、上部載置プレート29上に複数重ねて載置されたウェルプレート21Bを投入方向Diの両外側から挟み込んでいる。本実施形態で例示する板部26の左右方向Dhの長さは、上部載置プレート29及び上部載置プレート29上に載置されるウェルプレート21Bの左右方向Dhの長さよりも短い。
【0041】
板部26は、上部載置プレート29上に載置されたウェルプレート21Bよりも上方に突出する左右非対称部32を有している。左右非対称部32は、板部26の左右方向Dhの中心軸線O3を基準にして左右非対称に形成されている。本実施形態の左右非対称部32は、左右方向Dhの中心軸線O3を基準として一方側と他方側との高さを異ならせている。本実施形態の左右非対称部32は、左右方向Dhにおける左側よりも右側の高さを大きく形成するべく、右側に凸部32aを有している。なお、本実施形態における左右非対称部32の形状は一例であって、投入方向Diから見て左右非対称な形状であれば左右非対称部32の形状は上記形状に限られない。また、左右非対称部32を二つ設ける場合について説明したが、左右非対称部32は、一つであってもよい。
【0042】
板部26は、上下方向Dvに延びる第一縁部41と、左右方向Dhに延びる第二縁部42と、を備えている。本実施形態の第一縁部41は、鉛直方向に延び、第二縁部42は、水平方向に延びている。板部26は、これら第一縁部41及び第二縁部42により、投入方向Diから見た概略の形状が矩形状をなしている。そして、本実施形態の板部26は、この矩形状の角部に、それぞれ面取り部43を備えている。言い換えれば、面取り部43は、隣接する第一縁部41の端部と第二縁部42の端部とを接続している。なお、面取り部43が第一縁部41の端部と第二縁部42の端部とを結ぶ直線状に形成される場合を例示しているが、面取り部43は、面取りしていればよく、例えば、曲線状や異なる角度の直線を組み合わせたもの等であってもよい。
【0043】
<ワーク保管ユニット>
図2、
図3に示すように、ワーク保管ユニット10は、投入部11と、保管部12と、取出し部13と、規制部14と、を備えている。なお、
図3は、ワークWのうちフラスコユニットW1を保管しているワーク保管ユニット10を例示している。
<投入部>
投入部11には、作業者によりワークWが投入される。本実施形態の投入部11は、ワーク保管ユニット10の最も上方に配置されている。本実施形態において、一つのワーク保管ユニット10には、同一種類のワークWのみが保管される。複数の種類のワークWは、作業者によってそれぞれの種類に応じたワーク保管ユニット10の投入部11からスライド投入される。
【0044】
<保管部>
保管部12は、投入部11から投入された複数のワークWを並べて保管可能である。本実施形態の保管部12は、投入部11から水平方向に離れるに従って下方に向かって傾斜する滑走面12fを有している。滑走面12fは、投入部11から投入されたワークWを重力により斜め下方に滑走させることが可能である。なお、本実施形態では、滑走面12fが平面をなしている場合を図示しているが、滑走面12fを滑走方向Drに複数のローラーを並べて形成することもできる。
【0045】
本実施形態の保管部12は、滑走面12fの左縁部及び右縁部から上方に向かって立ち上がる一対の側壁(図示せず)を備えている。滑走面12fを滑走するワークWの姿勢は、投入部11に投入された時の姿勢に維持される。一つの保管部12に保管されるワークWは、一列に保管される。
【0046】
<取出し部>
取出し部13は、保管部12に保管されたワークWをワーク保管ユニット10の外部に取出し可能に形成されている。取出し部13は、ワーク保管ユニット10のうち最も下方に配置されている。言い換えれば、取出し部13は、保管部12の最も下流側に設けられている。取出し部13は、滑走面12fよりも上方にストッパ13sを有している。本実施形態のストッパ13sは、滑走面12fの下流側Drdの縁部から滑走面12fに垂直な上方に向かって延びる平板状に形成されているが、ストッパ13sの形状は平板状に限られない。ストッパ13sは、アルミニウム合金等の金属により形成することができる。滑走面12fを滑走してきたワークWは、ストッパ13sに突き当たって停止する。投入部11から投入された後続のワークWは、静止している先発のワークWに突き当たって停止する。
【0047】
取出し部13は、ワーク保管ユニット10に保管されたワークWのうち、最も下流側Drdに保管されたワークWを、ストッカ内搬送装置113(
図1参照)によってワーク保管ユニット10の外部に取り出し可能とされている。
【0048】
上述したストッカ内搬送装置113(
図1参照)は、予め複数の取出し部13のそれぞれの位置情報と、保管されているワークWの種類の情報とを関連付けて記憶しており、自動的に取出し対象となるワークWが保管されている取出し部13の前に移動する。そして、ストッカ内搬送装置113は、ハンド113hをワーク保管ユニット10の内部に挿入して、最も下流側Drdに配置されたワークWを挟み込んで、滑走方向Drの下流側Drdに向かって傾斜した姿勢のワークWを水平な姿勢になるまで持ち上げる。ストッカ内搬送装置113は、その後、ストッパ13sを乗り越えられる高さまでワークWを持ち上げて、この持ち上げたワークWをワーク保管ユニット10から離間する水平方向(言い換えれば、手前)に移動させて、取出し部13から外部にワークWを取り出す。外部にワークWが取り出されると、当該ワーク保管ユニット10に保管されている後続のワークWは、重力により滑走方向Drの下流側Drdに移動する。そして、最も下流側DrdのワークWがストッパ13sに突き当たり、ワーク保管ユニット10に保管されているワークWの移動が停止する。
【0049】
<規制部>
図2、
図3に示すように、規制部14は、投入部11に設けられている。規制部14は、ワークWが正しい向きである場合にワークWのスライド投入を許容する一方で、ワークWが誤った向きである場合に投入方向DiでワークWに突き当たりワークWの投入を規制する。本実施形態の規制部14は、投入方向Diを厚さ方向とする平板状をなしている。
【0050】
図2に示すように、本実施形態のワーク保管装置112は、上述したフラスコユニットW1及びウェルプレートユニットW2の二種類のワークWを投入して保管するようになっているため、規制部14として、フラスコユニットW1用の第一規制部14Aと、ウェルプレートユニットW2用の第二規制部14Bと、をそれぞれ備えている。第一規制部14Aは、フラスコユニットW1を保管するワーク保管ユニット10の投入部11に設けられており、第二規制部14Bは、ウェルプレートユニットW2を保管するワーク保管ユニット10の投入部11に設けられている。
【0051】
図6は、本開示の実施形態におけるフラスコユニットが投入される投入部を拡大した図である。
図7は、本開示の実施形態におけるウェルプレートユニットが投入される投入部を拡大した図である。
【0052】
<第一規制部>
図6に示すように、第一規制部14Aは、フラスコユニットW1がスライド投入される投入部11の上部に設けられている。第一規制部14Aの下縁14uは、フラスコユニットW1の投入される開口部33の上縁を形成している。第一規制部14Aは、フラスコユニットW1を投入方向Diから見た左右非対称の形状に対応する左右非対称の形状を有している。具体的には、本実施形態の第一規制部14Aは、正しい向きで投入されたフラスコユニットW1の左右非対称形状に倣うように、基底部34と、第一凹部35と、第二凹部36と、を備えている。
【0053】
基底部34は、第一規制部14Aのうち最も下方に形成されている。基底部34は、正しい向きのフラスコトレイ22Aを投入方向Diに通過可能な高さに形成されている。一方で、基底部34は、フラスコ21Aの上端よりも下方に位置している。本実施形態の基底部34は、投入方向Diから見て左右方向Dhに延びる直線状に形成され、投入部11の左右両側に分かれて形成されている。
【0054】
第一凹部35は、上記の基底部34から上方に向かって凹んで形成されている。第一凹部35は、正しい向きで投入されたフラスコユニットW1のフラスコ21Aと第一規制部14Aとが接触しないように形成されている。第一凹部35は、フラスコ21Aの上部よりも左右方向Dhに幅広に形成されるとともに、フラスコ21Aの上端よりも上方に至るように形成されている。本実施形態の第一凹部35は、フラスコ21Aと同様に、投入部11の左右方向Dhの中心軸線O4を基準として一方側にずれた位置に形成されている。本実施形態の第一凹部35の中心軸線O5は、投入部11を通過するフラスコ21Aのフラスコ軸線O1上に位置する場合を例示している。
【0055】
第二凹部36は、左右方向Dhの他方側にずれた位置に形成されている。第二凹部36は、例えば、フラスコトレイ22A上にフラスコ21Aの蓋が載置され、且つ、フラスコユニットW1が正しい向きで投入された場合に、当該載置されている蓋が第一規制部14Aに接触しないようにするためのものである。第二凹部36は、基底部34から上方に向かって凹んで形成されている。第二凹部36は、フラスコ21Aの上端よりも下方に位置する。なお、第二凹部36は、必要に応じて設ければよく省略してもよい。
【0056】
<第二規制部>
図7に示すように、第二規制部14Bは、ウェルプレートユニットW2が投入される投入部11の上部に設けられている。第二規制部14Bの下縁14uは、ウェルプレートユニットW2の投入される開口部37の上縁を形成している。第二規制部14Bは、ウェルプレートユニットW2の板部26の左右非対称部32の形状に対応する左右非対称の形状を有している。具体的には、本実施形態の第二規制部14Bは、正しい向きで投入されたウェルプレートユニットW2の左右非対称形状に倣うように、基底部38と、第一凹部39と、第二凹部40と、を備えている。
【0057】
基底部38は、第二規制部14Bのうち最も下方に形成されている。基底部38は、正しい向きのフラスコトレイ22Aを投入方向Diに通過可能な高さに形成されている。一方で、基底部38は、板部26の上端よりも下方に位置している。本実施形態の基底部38は、投入方向Diから見て左右方向Dhに延びる直線状に形成され、投入部11の左右両側に分かれて形成されている。
【0058】
第一凹部39及び第二凹部40は、上記の基底部38から上方に向かって凹んで形成されている。第一凹部39及び第二凹部40は、正しい向きで投入されたウェルプレートユニットW2の板部26と第二規制部14Bとが接触しないように形成されている。第一凹部39は、左右非対称部32の凸部32aよりも左右方向Dhに幅広に形成されるとともに、凸部32aの上端よりも上方に至るように形成されている。本実施形態の第一凹部39は、左右非対称部32の凸部32aと同様に、投入部11の左右方向Dhの中心軸線O6を基準として一方側にずれた位置に形成されている。
【0059】
第二凹部40は、左右方向Dhの他方側にずれた位置に形成されている。第二凹部40は、例えば、ウェルプレートユニットW2が正しい向きで投入された場合に、凸部32a以外の左右非対称部32が第二規制部14Bに接触しないようにするためのものである。第二凹部40は、基底部38から上方に向かって凹んで形成されている。第二凹部40は、凸部32aの上端よりも下方に位置する。
【0060】
(作用効果)
上記実施形態では、ワーク保管システムは、細胞培養システム100内で用いられるワークWと、作業者によりワークWを投入可能な投入部11、及び、ワークWをストッカ内搬送装置113により自動的に取り出し可能な取出し部13を備え、内部にワークWを保管可能なワーク保管装置112と、を備えている。ワークWは、ワーク保管装置112の投入部11に投入される投入方向Diから見て左右非対称な形状をなしている。ワーク保管装置112の投入部11は、ワークWが正しい向きである場合にワークWの投入を許容する一方で、ワークWが誤った向きである場合に投入方向DiでワークWに突き当たりワークWの投入を規制する規制部14を備えている。
【0061】
これにより、作業者が左右誤った向きでワークWを投入部11からスライド投入しようとすると、規制部14がワークWに突き当たり、ワークWのスライド投入が規制される。そのため、作業者により誤った向きで投入部11にワークWが投入されることを阻止することができる。
したがって、ワーク保管システムの構成が複雑化することなしに作業者による誤投入を抑えることができる。
【0062】
さらに、上記実施形態では、ウェルプレートユニットW2が、投入方向Diから見て左右非対称に形成された板部26を備えている。
これにより、作業者が左右誤った向きでウェルプレートユニットW2を投入部11からスライド投入しようとした場合に、規制部14が板部26に突き当たり、ウェルプレートユニットW2のスライド投入を規制することができる。また、ウェルプレートユニットW2を板部26により左右非対称形状にすることができるため、左右対称形状のワークWに対しても、板部26を追加することで容易に左右非対称形状とすることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、ウェルプレートユニットW2が、上下方向Dvに重ねられたウェルプレート21Bと、ウェルプレート21Bを下方から支持するウェルプレートトレイ22Bと、ウェルプレートトレイ22Bから上方に向かって延びるとともに投入方向Diと交差する方向に延びてウェルプレート21B及びウェルプレートトレイ22Bを投入方向Diの両側から挟み込む複数の板部26と、を備えている。
【0064】
これにより、板部26を、上下に複数重ねられたウェルプレート21Bが投入方向Diにずれることを抑制するための部材として有効利用することができる。したがって、ウェルプレートユニットW2の部品点数が増加することを抑制できる。
【0065】
さらに、上記実施形態では、上下方向Dvに延びるフラスコ21Aと、フラスコ21Aを左右方向Dhの何れか一方でのみ支持するフラスコトレイ22Aと、を備えている。フラスコ21Aは、フラスコトレイ22Aよりも上方に突出している。規制部14は、投入部11の上部に設けられ、フラスコユニットW1が正しい向きである場合に投入方向Diへのフラスコ21Aの変位を許容し、フラスコユニットW1が誤った向きである場合に投入方向Diでフラスコ21Aに突き当たり投入方向Diへのフラスコ21Aの変位を規制する。
【0066】
これにより、作業者が左右誤った向きでフラスコユニットW1を投入部11からスライド投入しようとすると、規制部14がフラスコ21Aに突き当たり、フラスコユニットW1のスライド投入が規制される。そのため、作業者により誤った向きで投入部11にフラスコユニットW1が投入されることを阻止することができる。
【0067】
また、上記実施形態の細胞培養システム100は、ワーク保管システムとしてのワーク保管装置112及びワークWを収容するストッカ110と、ワークWに分注操作を行う液操作エリアR4を有するクリーンベンチ140と、ワークWに収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアR3を有するインキュベータ130と、ストッカ110内に設けられて、ワークWを把持してワーク保管システムからワークWを取出し可能なストッカ内搬送装置113と、を備えている。
【0068】
これにより、ストッカ110のワークWを自動搬送してクリーンベンチ140により分注操作を行うとともにインキュベータ130により細胞を増殖させる細胞培養システム100において、作業者によるワークWの誤投入に起因する不具合発生を低減して、信頼性を向上することができる。
【0069】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、板部26の上部に左右非対称部32を備える場合を一例にして説明したが、板部26は、ワークWが誤った向きで投入された場合に投入方向Diで規制部に突き当たる左右非対称な形状であればよい。左右非対称な形状としては、板部26の右側縁と左側縁との何れか一方からワークWの側方に突出する突部を備える形状等を例示できる。
【0070】
上述した実施形態では、規制部14が、投入部11を厚さ方向とする平板状をなしている場合を例示した。しかし、規制部14の形状は平板状に限られない。
【0071】
上述した実施形態では、ワークWとしてフラスコユニットW1とウェルプレートユニットW2を一例にして説明したが、ワークWは、これらフラスコユニットW1とウェルプレートユニットW2に限られず、細胞培養システム100内で自動搬送されるワークWであればよい。
【0072】
さらに、ウェルプレートユニットW2が板部26を有する場合を例示したが、フラスコユニットW1が板部26を備える構成としてもよい。
上記実施形態のワーク保管装置112は、フラスコユニットW1及びウェルプレートユニットW2をそれぞれワークWとして保管可能である場合を説明した。しかし、ワーク保管装置112に保管されるワークWの種類は、上記フラスコユニットW1及びウェルプレートユニットW2に限られない。また、フラスコユニットW1及びウェルプレートユニットW2の組み合わせにも限られない。ワーク保管装置112は、例えば、フラスコユニットW1のみを保管したり、ウェルプレートユニットW2のみを保管したりしてもよい。
【0073】
例えば、上述した実施形態では、ワーク保管装置112が、ワーク保管ユニット10を上下方向Dvに複数段備えている場合について説明したが、ワーク保管装置112は、ワーク保管ユニット10を上下方向Dvに複数段備えているものに限られない。
【0074】
同様に、上述した実施形態及び各変形例では、ワーク保管装置112が、左右方向Dhに複数列のワーク保管ユニット10を並べて備えている場合について説明したが、ワーク保管装置112は、ワーク保管ユニット10を左右方向Dhに複数列備えているものに限られない。さらに、上述した実施形態及び各変形例では、ワーク保管装置112が複数のワーク保管ユニット10により構成される場合を例示したが、一つのワーク保管ユニット10によりワーク保管装置112が構成されるようにしてもよい。
【0075】
<付記>
各実施形態に記載のワーク保管システム、ワーク保管装置、ワーク、細胞培養システムは、例えば以下のように把握される。
【0076】
(1)第1の態様に係るワーク保管システムは、細胞培養システム100内で用いられるワークW,W1,W2と、ワークW,W1,W2を投入可能な投入部11、及び、前記ワークW,W1,W2を取り出し可能な取出し部13を備え、内部に前記ワークW,W1,W2を保管可能なワーク保管装置112と、を備え、前記ワークW,W1,W2は、前記ワーク保管装置112の前記投入部11に投入される投入方向Diから見て左右非対称な形状をなし、前記ワーク保管装置112の前記投入部11は、前記ワークW,W1,W2が正しい向きである場合に前記ワークW,W1,W2の投入を許容する一方で、前記ワークW,W1,W2が誤った向きである場合に前記投入方向Diで前記ワークW,W1,W2に突き当たり前記ワークW,W1,W2の投入を規制する規制部14,14A,14Bを備える。
ワークの例としては、フラスコを含むフラスコユニット、ウェルプレートを含むウェルプレートユニット、チップを含むチップラック、バイアル容器を含むバイアルラックが挙げられる。
【0077】
これにより、作業者が左右誤った向きでワークW,W1,W2を投入部11から投入しようとすると、規制部14,14A,14BがワークW,W1,W2に突き当たり、ワークWの投入が規制される。そのため、作業者により誤った向きで投入部11にワークW,W1,W2が投入されることを阻止することができる。したがって、ワーク保管システムの構成が複雑化することなしに作業者による誤投入を抑えることができる。
【0078】
(2)第2の態様に係るワーク保管システムは、(1)のワーク保管システムであって、前記ワークW2は、前記投入方向Diから見て左右非対称に形成された板部26を備える。
ワークの例としては、ウェルプレートを含むウェルプレートユニットが挙げられる。
【0079】
これにより、作業者が左右誤った向きでワークW2を投入部11から投入しようとした場合に、規制部14が板部26に突き当たり、ワークW2の投入を規制することができる。また、ワークW2を板部26により左右非対称形状にすることができるため、左右対称形状のワークWに対しても、板部26を追加することで容易に左右非対称形状とすることができる。
【0080】
(3)第3の態様に係るワーク保管システムは、(2)のワーク保管システムであって、前記ワークW2は、上下方向Dvに重ねられたワーク本体21Bと、前記ワーク本体21Bを下方から支持するワークトレイ22Bと、前記ワークトレイ22Bから上方に向かって延びるとともに前記投入方向Diと交差する方向に延びて前記ワーク本体21B及び前記ワークトレイ22Bを前記投入方向Diの両側から挟み込む複数の前記板部26と、を備える。
【0081】
これにより、板部26を、上下に複数重ねられたワーク本体21Bが投入方向Diにずれることを抑制するための部材として有効利用することができる。したがって、ワークW2の部品点数が増加することを抑制できる。
【0082】
(4)第4の態様に係るワーク保管システムは、(2)のワーク保管システムであって、前記板部26は、上下方向Dvに延びる第一縁部41と、左右方向Dhに延びる第二縁部42と、隣接する前記第一縁部41の端部と第二縁部42の端部とを接続する面取り部43と、を備える。
【0083】
(5)第5の態様に係るワーク保管システムは、(1)のワーク保管システムであって、前記ワークW1は、上下方向に延びるワーク本体21Aと、前記ワーク本体21Aを前記投入方向Diから見て左右方向の何れか一方でのみ支持するワークトレイ22と、を備え、前記ワーク本体21Aは、前記ワークトレイ22よりも上方に突出し、前記規制部14Aは、前記投入部11の上部に設けられ、前記ワークW1が正しい向きである場合に前記投入方向Diへの前記ワーク本体21Aの変位を許容し、前記ワークW1が誤った向きである場合に前記投入方向Diで前記ワーク本体21Aに突き当たり前記投入方向Diへの前記ワーク本体21Aの変位を規制する。
ワークの例としては、フラスコを含むフラスコユニットが挙げられる。
【0084】
これにより、作業者が左右誤った向きでワークW1を投入部11から投入しようとすると、規制部14がワーク本体21Aに突き当たり、ワークW1の投入が規制される。そのため、作業者により誤った向きで投入部11にワークW1が投入されることを阻止することができる。
【0085】
(6)第6の態様に係るワーク保管装置は、投入されたワークW,W1,W2を収容するためのワーク保管装置112であって、投入方向Diから見て左右非対称な形状をなす前記ワークW,W1,W2を投入可能な投入部11を備え、前記投入部11は、前記ワークW,W1,W2が正しい向きの場合に前記ワークW,W1,W2の投入を許容する一方で、前記ワークW,W1,W2が誤った向きの場合に前記投入方向Diで前記ワークに突き当たり前記ワークW,W1,W2の投入を規制する規制部14,14A,14Bを備える。
【0086】
これにより、投入方向Diから見て左右非対称な形状をなすワークW,W1,W2を投入部11から投入する際に、規制部14,14A,14Bが、誤った向きのワークW,W1,W2の投入を規制するため、作業者による誤投入を抑えることができる。
【0087】
(7)第7の態様に係るワークは、ワーク保管装置112の投入部11から投入されることでワーク保管装置112に保管されるワークW,W1,W2であって、投入方向から見て左右非対称に形成された規制部14,14A,14Bを有した前記投入部11に正しい向きで投入された場合に前記規制部14,14A,14Bに接触しない一方で、前記投入部11に誤った向きで投入された場合に前記規制部14,14A,14Bに突き当たるように構成された、左右非対称な形状を有している。
ワークの例としては、フラスコを含むフラスコユニット、ウェルプレートを含むウェルプレートユニット、チップを含むチップラック、バイアル容器を含むバイアルラックが挙げられる。
【0088】
これにより、投入部11に誤った向きで投入された場合に規制部14,14A,14Bに突き当たらせることができる。
【0089】
(8)第8の態様に係るワークは、(7)のワークW2であって、前記投入部11に正しい向きで投入された場合に前記規制部14Bに接触しない一方で、前記投入部11に誤った向きで投入された場合に前記規制部14Bに突き当たる投入方向Diから見て左右非対称に形成された板部26を備える。
これにより、板部26を設けるだけでよいため、左右非対称形状のワークW2を容易に構成できる。
ワークの例としては、ウェルプレートを含むウェルプレートユニットが挙げられる。
【0090】
(9)第9の態様に係るワークは、(8)のワークW2であって、前記板部26は、上下方向Dvに延びる第一縁部41と、左右方向Dhに延びる第二縁部42と、隣接する前記第一縁部41の端部と第二縁部42の端部とを接続する面取り部43と、を備える。
【0091】
(10)第10の態様に係る細胞培養システム100は、(1)から(4)の何れか一つのワーク保管システムを収容するストッカ110と、前記ワークW,W1,W2に分注操作を行う液操作エリアR4を有するクリーンベンチ140と、前記ワークW,W1,W2に収容された培養液内の細胞を増殖させる培養エリアR3を有するインキュベータ130と、前記ストッカ110内に設けられて、前記ワークW,W1,W2を把持して前記ワーク保管ユニット10の前記取出し部13から水平方向に前記ワークW,W1,W2を取出し可能なストッカ内搬送装置113と、を備える。
【0092】
これにより、ストッカ110のワークW,W1,W2を自動搬送してクリーンベンチ140により分注操作を行うとともにインキュベータ130により細胞を増殖させる細胞培養システム100において、ワークW,W1,W2の自動搬送に係る不適正なアドレス等ワークW,W1,W2への不具合発生を低減して、信頼性を向上することができる。
【符号の説明】
【0093】
10…ワーク保管ユニット
11…投入部
12…保管部
12f…滑走面
13…取出し部
13s…ストッパ
13o…取出し口
14…規制部
14A…第一規制部
14B…第二規制部
21…ワーク本体
21A…フラスコ
21B…ウェルプレート
22…ワークトレイ
22A…フラスコトレイ
22B…ウェルプレートトレイ
23…載置プレート
24…支持部
25…上部フレーム
25a…開口部
25b…蓋置き場
26…板部
27…ベースプレート
28…支持部
29…上部載置プレート
30…載置面
31…サブトレイ
32…左右非対称部
32a…凸部
33,37…開口部
34,38…基底部
35,39…第一凹部
36,40…第二凹部
41…第一縁部
42…第二縁部
43…面取り部
100…細胞培養システム
110…ストッカ
111…ストッカ本体
112…ワーク保管装置
113…ストッカ内搬送装置
113h…ハンド
130…インキュベータ
140…クリーンベンチ
150…パスボックス
Dv…上下方向
Dh…左右方向
R1…保管エリア
R3…培養エリア
R4…液操作エリア
W…ワーク
W1…フラスコユニット
W2…ウェルプレートユニット
O1,O2,O3,O4…中心軸線