(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099128
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20250626BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20250626BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20250626BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20250626BHJP
F21V 7/30 20180101ALI20250626BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20250626BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20250626BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250626BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20250626BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 311
F21S2/00 340
F21V7/09
F21V7/30
F21V9/32
H04N5/74 Z
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215552
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】横尾 友博
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203GA35
2K203GA40
2K203HA08
2K203HA10
2K203HA28
2K203HA79
2K203HB22
2K203HB25
2K203HB26
2K203KA07
2K203MA04
5C058AB03
5C058BA29
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA26
5C058EA51
(57)【要約】
【課題】光利用効率に優れる光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、第1光を射出する第1光源と、第1光を第2光に変換する波長変換素子と、第1光源と波長変換素子との間に配置され、第1光を透過して第2光を反射する第1光学部材と、第1光および第2光を反射する第1反射部材と、を備える。第1光学部材と波長変換素子との間に第1空気層が設けられている。波長変換素子は、第第1光学部材および第1空気層を介して第1光が入射する第1面と、第1面と反対側を向く第2面と、第1面および第2面に交差して互いに反対側を向く第3面および第4面と、を有する。第1反射部材は、第1空気層の第3面側の領域に配置されている。波長変換素子の第1面から射出される第2光は、第1空気層を伝播し、第1空気層の第4面側の領域から射出される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯の第1光を射出する第1光源と、
前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記第1光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学部材と、
前記第1光および前記第2光を反射する第1反射部材と、
を備え、
前記第1光学部材と前記波長変換素子との間に第1空気層が設けられ、
前記波長変換素子は、前記第1光学部材および前記第1空気層を介して前記第1光が入射する第1面と、前記第1面と反対側を向く第2面と、前記第1面および前記第2面に交差して互いに反対側を向く第3面および第4面と、を有し、
前記第1反射部材は、前記第1空気層の前記第3面側の領域に配置され、
前記波長変換素子の前記第1面から射出される前記第2光は、前記第1空気層を伝播し、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、光源装置。
【請求項2】
前記第1光学部材は、前記第1光を透過する第1透光性部材と、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学層と、を有し、
前記第1光学層は、前記第1透光性部材の前記波長変換素子と対向する面に配置されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1光学部材は、前記第1光および前記第2光を透過する第1透光性部材と、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学層と、を有し、
前記第1光学層は、前記第1透光性部材の前記第1光源と対向する面に配置されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1透光性部材の熱伝導率は、前記波長変換素子の熱伝導率よりも大きい、請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1透光性部材の熱伝導率は、前記波長変換素子の熱伝導率よりも大きい、請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1面における前記第1光の反射を抑制する反射抑制層をさらに備える、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1光および前記第2光を反射する第2反射部材をさらに備え、
前記波長変換素子は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、および前記第4面のそれぞれに交差して互いに反対側を向く第5面および第6面と、を有し、
前記第2反射部材は、前記第1空気層の前記第5面側の領域および前記第1空気層の前記第6面側の領域に配置されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記波長変換素子を支持する支持部材をさらに備え、
前記第2面は、前記支持部材と熱伝達可能に接続されている、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第1光学部材と前記波長変換素子とを覆う筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光を外部に取り出す取出口を有し、
前記波長変換素子の前記第4面の法線方向に平面視した状態において、前記取出口は、前記第1空気層および前記波長変換素子に重なっている、請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第2面に対向して配置され、前記第1光を射出する第2光源と、
前記第2光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第2光学部材と、
をさらに備え、
前記第2光学部材と前記波長変換素子との間に第2空気層が設けられ、
前記第2光源から射出された前記第1光は、前記第2光学部材および前記第2空気層を介して前記波長変換素子の前記第2面に入射し、
前記第1反射部材は、前記第2空気層の前記第3面側の領域に配置され、
前記波長変換素子の前記第2面から射出される前記第2光は、前記第2空気層を伝播し、前記第2空気層の前記第4面側の領域から射出される、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1光学部材と前記波長変換素子と前記第2光学部材とを覆う筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光と、前記第2空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光と、を外部に取り出す取出口を有し、
前記波長変換素子の前記第4面の法線方向に平面視した状態において、前記取出口は、前記第1空気層、前記波長変換素子、および前記第2空気層に重なっている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記波長変換素子は、透明蛍光体で構成される、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記波長変換素子は、光散乱性を有する蛍光体で構成される、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項14】
前記波長変換素子は、黄色の蛍光体であり、
前記第1光は、青色光であり、
前記第2光は、黄色の蛍光であり、
前記蛍光は、前記波長変換素子による散乱と前記第1光学部材による反射とを繰り返しながら前記第1空気層の内部を伝播して前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
前記波長変換素子は、青色の蛍光体であり、
前記第1光は、紫外光であり、
前記第2光は、青色の蛍光であり、
前記蛍光は、前記波長変換素子による散乱と前記第1光学部材による反射とを繰り返しながら前記第1空気層の内部を伝播して前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、請求項13に記載の光源装置。
【請求項16】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。下記の特許文献1に、蛍光体を含む平板状の波長変換部材と、励起光を射出する発光ダイオードと、を備える光源装置が開示されている。この光源装置においては、波長変換部材の複数の面のうち、面積が広い入射面から励起光を入射させ、面積が狭い射出面から蛍光を射出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光源装置において、波長変換部材の内部で生成される蛍光は、波長変換部材の表面と空気層との界面で全反射することによって波長変換部材の内部を伝播し、射出面から射出される。ところが、蛍光のうち、波長変換部材と空気層との界面に臨界角未満で入射する成分は、界面で全反射しないため、射出面に到達する前に界面から外部に漏れる。そのため、蛍光の利用効率が低下する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1光源と、前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、前記第1光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学部材と、前記第1光および前記第2光を反射する第1反射部材と、を備える。前記第1光学部材と前記波長変換素子との間に第1空気層が設けられている。前記波長変換素子は、前記第1光学部材を透過する前記第1光が前記第1空気層を介して入射する第1面と、前記第1面と反対側を向く第2面と、前記第1面および前記第2面に交差して互いに反対側を向く第3面および第4面と、を有する。前記第1反射部材は、前記第1空気層の前記第3面側の領域に配置されている。前記波長変換素子の前記第1面から射出される前記第2光は、前記第1空気層を伝播し、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される。
【0006】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される光を変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う光源装置の断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿う光源装置の断面図である。
【
図5】本実施形態の光源装置の作用および効果を説明するための模式図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿う光源装置の断面図である。
【
図9】
図7のIX-IX線に沿う光源装置の断面図である。
【
図11】
図10のXI-XI線に沿う光源装置の断面図である。
【
図12】
図10のXII-XII線に沿う光源装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0009】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0010】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投射光学装置6と、を備える。
【0011】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0012】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸であり、プロジェクター1の前後方向に沿う軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸であり、プロジェクター1の左右方向に沿う軸である。これらの表記は、プロジェクター1の各構成部材の配置関係を説明するためのものであり、プロジェクター1の設置姿勢や方向を限定するものではない。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。
【0013】
X軸に沿う両方向のうちの一方向を+X方向、その反対方向を-X方向と称する。Y軸に沿う両方向のうちの一方向を+Y方向、その反対方向を-Y方向と称する。Z軸に沿う両方向のうちの一方向を+Z方向、その反対方向を-Z方向と称する。X軸に沿う2つの方向を区別せずに総称する場合にはX軸方向と称する。Y軸に沿う2つの方向を区別せずに総称する場合にはY軸方向と称する。Z軸に沿う2つの方向を区別せずに総称する場合にはZ軸方向と称する。
【0014】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0015】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過し、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0016】
一方、第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0017】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ86と、リレーレンズ87と、を備える。光源部81は、少なくとも1つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0018】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0019】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ86に入射する。ロッドレンズ86は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ86は、一端に設けられた光入射端面86aと、他端に設けられた光射出端面86bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ86の光入射端面86aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ86の屈折率とは、できるだけ一致していることが望ましい。
【0020】
青色光LBは、ロッドレンズ86の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面86bから射出される。ロッドレンズ86から射出された青色光LBは、リレーレンズ87に入射する。リレーレンズ87は、ロッドレンズ86によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0021】
ロッドレンズ86の光射出端面86bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ86から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0022】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0023】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0024】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0025】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0026】
投射光学装置6は、複数の投射レンズから構成されている。投射光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0027】
以下、第1照明装置20の構成について説明する。
第1照明装置20は、光源装置30Aと、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子63と、重畳光学系64と、を備える。
【0028】
図2は、本実施形態の光源装置30Aの斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う光源装置30Aの断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿う光源装置30Aの断面図である。
【0029】
図2~
図4に示すように、光源装置30Aは、支持部材29と、筐体31と、第1光源41と、波長変換素子50と、第1光学部材55と、第1反射部材53と、第2反射部材54と、を備える。
【0030】
支持部材29は、波長変換素子50を支持する。波長変換素子50は、支持部材29と熱伝達可能に接続されている。これにより、支持部材29は、波長変換素子50で発生する熱を拡散して外部に放出する放熱部材として機能する。このため、支持部材29は所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。支持部材29の材料として、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属が用いられ、特に6061系などのアルミニウム合金が用いられることが望ましい。この構成によれば、波長変換素子50の熱が支持部材29を介して外部に放出されるため、波長変換素子50の温度上昇を抑制することができる。その結果、波長変換素子50の温度上昇に伴う波長変換効率の低下を抑えることができる。
【0031】
図4に示すように、支持部材29は、ベース部32と、支持部33と、を有する。ベース部32は、支持部材29の本体をなす板状の部材であり、X軸方向に長く延びている。支持部33は、ベース部32と一体に構成され、ベース部32の+Y側に位置する表面32aに設けられている。支持部33は、波長変換素子50を支持する溝34を有する。溝34は、支持部33の長手方向に沿うX軸方向に延び、波長変換素子50を収容する。溝34は、XZ平面に沿う底面34aと、Z軸方向に互いに離間して配置され、XY平面に沿う一対の内壁面34bと、を有する。溝34の内壁面34bのそれぞれに、後述する一対の第2反射部材54が配置されている。本実施形態において、支持部33のY軸方向の高さT1は、波長変換素子50のY軸方向の高さT2よりも高い。
【0032】
図2に示すように、筐体31は、支持部材29とともに光源装置30Aの外装を構成する。筐体31は、一面が開口した略箱状の形状を有する。筐体31は、天壁部31aと、第1側壁部31cと、第2側壁部31dと、第3側壁部31eと、第4側壁部31fと、取出口31kと、を有する。
【0033】
天壁部31aはXZ平面に沿って配置されている。第1側壁部31cおよび第2側壁部31dは、波長変換素子50の長手方向に沿うX軸に交差し、X軸方向において互いに反対側に位置する。第1側壁部31cは、X軸方向の一方側である-X側に位置する。第2側壁部31dは、X軸方向の他方側である+X側に位置する。第3側壁部31eおよび第4側壁部31fは、波長変換素子50の長手方向に交差するZ軸方向において互いに反対側に位置する。本実施形態において、第3側壁部31eは、Z軸方向の一方側である+Z側に位置する。第4側壁部31fは、Z軸方向の他方側である-Z側に位置する。
【0034】
第1光源41は、筐体31の天壁部31aに配置されている。第1反射部材53は、筐体31の第1側壁部31cに配置されている。取出口31kは、筐体31の第2側壁部31dに設けられている。取出口31kは、第1空気層57および波長変換素子50から射出される蛍光Yを外部に取り出すための開口である。
【0035】
天壁部31aは、第1光源41と熱伝達可能に接続されている。このため、筐体31は、所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。筐体31の材料は、支持部材29と同様、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属が用いられ、特に6061系等のアルミニウム合金が用いられることが望ましい。
【0036】
筐体31は、支持部材29の支持部33を覆い、支持部材29のベース部32の表面32aに突き当たるように配置されている。すなわち、筐体31は、溝34に支持された第1光学部材55と波長変換素子50とを覆っている。筐体31と支持部材29とは、図示しない接着剤やねじ等の固定部材を介して互いに固定されている。
【0037】
このように、光源装置30Aにおいて、第1光学部材55、波長変換素子50、および第1光源41は、筐体31および支持部材29によって囲まれた空間に収容されている。これにより、第1光学部材および波長変換素子50への埃等の異物の付着を抑制することができる。
【0038】
第1光源41は、複数の第1発光素子41aと、基板41bと、を有する。複数の第1発光素子41aは、基板41b上に実装されている。なお、第1発光素子41aの数は、特に限定されない。したがって、第1光源41は、必ずしも複数の第1発光素子41aを有していなくてもよく、1個の第1発光素子41aを有していてもよい。
【0039】
第1発光素子41aは、第1波長帯の励起光線E1を射出する。第1発光素子41aは、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。第1発光素子41aは、波長変換素子50に対向して配置され、波長変換素子50に向けて励起光線E1を射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの紫色から青色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。複数の第1発光素子41aは、波長変換素子50の長手方向であるX軸方向に沿って配置されている。このようにして、第1光源41は、複数の青色の励起光線E1からなる励起光Eを波長変換素子50に向けて射出する。
【0040】
波長変換素子50は、X軸に沿って延びる板状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換素子50のX軸に沿って延びる辺は、Y軸に沿って延びる辺およびZ軸に沿って延びる辺よりも長い。X軸方向は、波長変換素子50の長手方向に対応する。Y軸方向は、波長変換素子50の辺のうち、最も短い辺に平行な方向である。Y軸に沿う辺の長さは、Z軸に沿う辺の長さより短い。すなわち、YZ平面に沿う面で切断した波長変換素子50の断面形状は、
図4に示すように長方形状である。
【0041】
波長変換素子50は、表面50aおよび裏面50bと、第1端面50cおよび第2端面50dと、第1側面50eおよび第2側面50fと、を有する。表面50aと裏面50bとは、Y軸に交差し、Y軸において互いに反対側を向いている。本実施形態において、表面50aは、Y軸方向の一方側である+Y側に位置する面である。裏面50bは、Y軸方向の他方側である-Y側に位置する面であり、支持部材29の溝34の底面34aと接する。すなわち、波長変換素子50の裏面50bは、支持部材29と熱伝達可能に接続されている。表面50aには、第1光学部材55および第1空気層57を介して励起光Eが入射する。本実施形態の表面50aは、特許請求の範囲の第1面に対応する。本実施形態の裏面50bは、特許請求の範囲の第2面に対応する。なお、波長変換素子50の裏面50bに反射膜を形成し、裏面50bから射出される蛍光Yを反射膜で反射して波長変換素子50内に戻す構成としてもよい。
【0042】
図3に示すように、第1端面50cと第2端面50dとは、表面50aおよび裏面50bに交差し、波長変換素子50の長手方向に沿うX軸方向において互いに反対側を向いている。本実施形態において、第1端面50cは、X軸方向の一方側である-X側に位置する。第2端面50dは、X軸方向の他方側である+X側に位置する。本実施形態の第1端面50cは、特許請求の範囲の第3面に対応する。本実施形態の第2端面50dは、特許請求の範囲の第4面に対応する。
【0043】
図4に示すように、第1側面50eと第2側面50fとは、表面50aおよび裏面50bと第1端面50cおよび第2端面50dとに交差し、Z軸方向において互いに反対側を向いている。本実施形態において、第1側面50eは、Z軸方向の一方側である+Z側に位置し、第2側面50fはZ軸方向の他方側である-Z側に位置する。本実施形態の第1側面50eは、特許請求の範囲の第5面に対応する。本実施形態の第2側面50fは、特許請求の範囲の第6面に対応する。
【0044】
波長変換素子50は、黄色の蛍光体を少なくとも含み、第1光源41の複数の発光素子41aから射出される第1波長帯の励起光Eを、第1波長帯とは異なる第2波長帯の黄色の蛍光Yに変換する。励起光Eは、第1光学部材55および第1空気層57を介して表面50aから波長変換素子50に入射する。また、波長変換素子50の内部で生成される蛍光Yは、表面50aから第1空気層57に射出される。本実施形態の励起光Eは、特許請求の範囲の第1光に対応する。
【0045】
波長変換素子50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。本実施形態の波長変換素子50は、光散乱性を有していない蛍光体、いわゆる透明蛍光体で構成されている。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。本実施形態の蛍光Yは、特許請求の範囲の第2光に対応する。
【0046】
波長変換素子50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換素子50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換素子50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換素子50は、励起光Eを蛍光Yに変換する。
【0047】
具体的には、波長変換素子50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてのセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換素子50の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0048】
第1光学部材55は、第1光源41と波長変換素子50との間に配置されている。具体的には、
図4に示すように、第1光学部材55は、支持部33の第1光源41と対向する面33a上に配置されている。第1光学部材55は、第1透光性部材51と、第1光学層52と、を有する。
【0049】
第1透光性部材51は、例えばBK7等のホウケイ酸ガラス、石英、合成石英、水晶、SiC、GaN、MgO、YAG、サファイア、およびダイヤモンド等の透光性材料で構成されている。第1透光性部材51は、少なくとも励起光Eを透過可能な材料で構成される必要がある。第1透光性部材51は、X軸に沿って延びる板状の形状を有する。
図4に示すように、第1透光性部材51は、YZ平面に沿う面で切断した断面形状が長方形状を有し、X軸方向に長く延びている。
【0050】
なお、第1透光性部材51の熱伝導率は、波長変換素子50の熱伝導率よりも大きいことが望ましい。この関係を満たす第1透光性部材51の材料は、例えばSiC、GaN、MgO、YAG、サファイア、およびダイヤモンド等である。この構成によれば、波長変換素子50の熱が第1空気層57を介して第1透光性部材51に効率良く伝わるため、波長変換素子50の温度上昇を抑制することができる。これにより、波長変換素子50の温度上昇に伴う発光効率の低下を抑制することができる。
【0051】
第1光学層52は、励起光Eを透過して蛍光Yを反射する光学特性を有する。第1光学層52は、例えば誘電体多層膜により構成されている。第1光学層52は、波長変換素子50と第1透光性部材51との間に配置されている。すなわち、第1光学層52は、第1透光性部材51の2つの面のうち、波長変換素子50と対向する面に設けられている。この構成によれば、後述するように、蛍光Yが第1透光性部材51に入射せず、第1透光性部材51の内部を伝播しないため、蛍光Yの損失を最小限に抑えることができる。
【0052】
第1光学部材55と波長変換素子50との間に、第1空気層57が設けられている。すなわち、第1光学部材55と波長変換素子50とは互いに離れて配置されており、第1光学部材55と波長変換素子50との間に空気が存在している。本実施形態の場合、支持部33のY軸方向の高さT1が波長変換素子50のY軸方向の高さT2よりも高く、第1光学部材55が支持部33の第1光源41と対向する面33a上に配置されているため、第1光学部材55と波長変換素子50との間に第1空気層57が存在する状態が安定して維持される。
【0053】
図3に示すように、第1反射部材53は、波長変換素子50、第1空気層57、第1光学部材55、および第1光源41のX軸方向の-X側に配置されている。第1反射部材53は、波長変換素子50の第1端面50c、第1空気層57の第1端面50c側の領域、第1光学部材55の第1端面50c側の端面、および第1光源41の第1端面50c側の端面と対向するように、筐体31の第1側壁部31cに設けられている。なお、第1反射部材53は、必ずしも上記の全ての領域にわたって設けられていなくてもよく、少なくとも第1空気層57の第1端面50c側の領域に設けられていればよい。
【0054】
第1反射部材53は、第1空気層57および波長変換素子50の内部を伝播し、第1反射部材53に到達した蛍光Yを反射させる。また、第1反射部材53は、波長変換素子50の表面50aで反射して第1空気層57の内部を伝播し、第1反射部材53に到達した励起光Eを反射させる。すなわち、第1反射部材53は、蛍光Yおよび励起光Eを反射する。第1反射部材53は、例えば金属膜、誘電体多層膜、硫酸バリウムからなる散乱部材等から構成されている。
【0055】
図4に示すように、一対の第2反射部材54は、第1空気層57および波長変換素子50におけるZ軸方向の両側に位置する。一方の第2反射部材54は、波長変換素子50の第1側面50e側、および第1空気層57の第1側面50e側の領域と対向するように、支持部材29の溝34の内壁面34bに設けられている。他方の第2反射部材54は、波長変換素子50の第2側面50f側、および第1空気層57の第2側面50f側の領域と対向するように、支持部材29の溝34の内壁面34bに設けられている。
【0056】
第2反射部材54は、波長変換素子50の表面50aで反射して第1空気層57に入射し、第2反射部材54に到達した励起光Eを反射して波長変換素子50に入射させる。これにより、励起光Eから蛍光Yへの変換効率を高めることができる。また、第2反射部材54は、波長変換素子50から射出されて第1空気層57に入射し、第2反射部材54に到達した蛍光Yと、波長変換素子50の内部を導光し、第2反射部材54に到達した蛍光Yと、を反射させる。これにより、蛍光Yの損失を抑制することができる。すなわち、第2反射部材54は、蛍光Yおよび励起光Eを反射する。第2反射部材54は、例えば金属膜、誘電体多層膜、散乱部材等から構成されている。
【0057】
図1に示すように、光源装置30Aの光射出側に、インテグレーター光学系70が設けられている。インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ62と、を有する。インテグレーター光学系70は、重畳光学系64とともに光源装置30Aから射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系として機能する。光源装置30Aから射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。
【0058】
第1レンズアレイ61は、複数の第1レンズ61aを有する。複数の第1レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1レンズ61aは、光源装置30Aから射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0059】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ62に向かって進む。第2レンズアレイ62は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ62は、第1レンズアレイ61の複数の第1レンズ61aに対応する複数の第2レンズ62aを有する。第2レンズアレイ62は、重畳光学系64とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2レンズ62aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。重畳光学系64は、1つの凸レンズから構成されている。
【0060】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1レンズ61aと第2レンズアレイ62の各第2レンズ62aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1レンズ61aと第2レンズアレイ62の第2レンズ62aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0061】
偏光変換素子63は、第2レンズアレイ62から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ62から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。偏光変換素子63は、偏光分離層(図示略)と、反射層(図示略)と、位相差層(図示略)と、を有する。偏光分離層は、光源装置30Aから射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する。反射層は、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する。位相差層は、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する。
【0062】
以下、本実施形態の光源装置30Aにおける光の振る舞いについて説明する。
図3に示すように、光源装置30Aにおいて、第1光源41から射出された励起光Eは、第1透光性部材51および第1光学層52を透過し、第1空気層57を介して波長変換素子50に入射する。なお、励起光Eの一部は、波長変換素子50の表面50aで後方散乱されて第1光源41側に向かうが、第1光学層52や第1透光性部材51により反射されて波長変換素子50に入射する。
【0063】
励起光Eが波長変換素子50に入射すると、波長変換素子50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。このとき、蛍光体に入射した励起光Eが拡散され、入射領域よりも広い領域に伝播することにより蛍光Yの発光領域の幅が拡がる、いわゆる、蛍光Yのにじみが生じる。
【0064】
波長変換素子50の表面50aに対して臨界角未満の入射角で入射する蛍光Yは、波長変換素子50から射出されて第1空気層57に入射し、第1空気層57の内部を伝播する。このとき、+X側に向かって進む蛍光Y1は、第1光学部材55の第1光学層52で反射されて波長変換素子50に再び入射する。本実施形態の場合、波長変換素子50が透明蛍光体で構成されているため、波長変換素子50の内部で蛍光Yの散乱が生じることはなく、波長変換素子50の内部での蛍光Y1の進行方向は変化しない。このため、蛍光Y1は、波長変換素子50の裏面50bで反射されて波長変換素子50の表面50aから第1空気層57に入射し、第1空気層57の第2端面50d側の領域から射出される。また、第1光学部材55の第1光学層52で反射されて波長変換素子50に入射し裏面50bで反射された蛍光Y2は第2端面50dから射出される。
すなわち、蛍光Yは、波長変換素子50による裏面反射と第1光学層52による反射とを繰り返しながら第1空気層57および波長変換素子50の内部を伝播し、第1空気層57の第2端面50d側の領域あるいは波長変換素子50の第2端面50dから射出される。
一方、-X側に向かって進み、第1反射部材53に到達する蛍光Yは、第1反射部材53で反射した後、+X側に向かって進み、第1光学部材55の第1光学層52と波長変換素子50の裏面50bとの間で反射を繰り返し、第1空気層57の第2端面50d側の領域あるいは波長変換素子50の第2端面50dから射出される。
【0065】
これに対して、波長変換素子50の表面50aに対して臨界角以上の入射角で入射する蛍光Y3は、表面50aで反射して波長変換素子50の内部を導光する。本実施形態の場合、波長変換素子50が透明蛍光体で構成されているため、波長変換素子50の内部で蛍光Y3の散乱が生じることはなく、波長変換素子50の表面50aに対する蛍光Y3の入射角は変化しない。そのため、+X側に向かって進む蛍光Y3は、波長変換素子50の表面50aと裏面50bとの間で反射を繰り返し、第2端面50dから射出される。一方、-X側に向かって進む蛍光Y4は、第1空気層57を進む蛍光Y2と同様、第1反射部材53で反射した後、+X側に向かって進み、波長変換素子50の表面50aと裏面50bとの間で反射を繰り返し、第2端面50dから射出される。
【0066】
光源装置30Aにおいて、波長変換素子50で生成される蛍光Yのうち、一部の蛍光Y1,Y2は、第1空気層57の第2端面50d側の領域から射出され、他の一部の蛍光Y3,Y4は、波長変換素子50の第2端面50dから射出される。このようにして、光源装置30Aは、波長変換素子50で生成した蛍光Yを筐体31の取出口31kから外部に射出することができる。
【0067】
図2に示すように、波長変換素子50の第2端面50dの法線方向であるX軸方向に平面視した状態において、取出口31kは、第1空気層57および波長変換素子50に重なっている。したがって、第1空気層57の第2端面50d側の領域と波長変換素子50の第2端面50dとは、取出口31kを通じて外部に露出している。取出口31kは、透光性部材からなる蓋体によって閉塞され、第1空気層57の第2端面50d側の領域と波長変換素子50の第2端面50dとが外部に露出しない構成であってもよい。ただし、蓋体が設けられた場合、蛍光Yの一部が蓋体の表面で反射し、外部に取り出せない場合がある。そのため、蛍光Yの取り出し効率を高めるためには、蓋体が設けられていないことが望ましい。
図2の例では、取出口31kは、第1空気層57および波長変換素子50に加えて第1光学層52にも重なっているが、第1光学層52には重なっていなくてもよい。
【0068】
このように、光源装置30Aは、第1空気層57の第2端面50d側の領域と波長変換素子50の第2端面50dとから射出される蛍光Yを最小限の取出口31kを介して外部に取り出すことができる。これにより、光源装置30Aは、蛍光Yのエテンデューが小さくなり、光源装置30Aの後段に配置されるインテグレーター光学系70等の光学部材における蛍光Yの損失を低減することができる。その結果、光源装置30Aにおける蛍光Yの利用効率が向上できる。
【0069】
以下、蛍光Yが第1空気層57を伝播することの効果について説明する。
図5は、本実施形態の光源装置30Aの作用を説明するための模式図である。
波長変換素子50から射出される蛍光Yを任意の媒体中を導光させて取出口31kに導く場合、本実施形態のような空気層ではなく、例えば石英等の透光性部材を波長変換素子50に隣接させ、透光性部材中で蛍光を導光させる構成も考えられる。この構成を比較例とする。
【0070】
比較例の場合、
図5に示すように、波長変換素子50で生成される蛍光Yが波長変換素子50と透光性部材60との界面Kに到達したとき、界面Kに対する蛍光Yの入射角αが臨界角未満であれば、蛍光Yは、界面Kで反射することなく、屈折角β1で屈折して透光性部材60に入射する。ここで、波長変換素子50の材料がYAGであり、透光性部材60の材料が石英であったとすると、YAGの屈折率が約1.7であり、石英の屈折率が約1.4であるから、波長変換素子50と透光性部材60との間の屈折率差は約0.3であり、屈折率差が比較的小さい。
【0071】
この場合、屈折角β1は入射角αに対してそれ程大きくならず、透光性部材60に入射する蛍光Y5は、界面Kに対して垂直に近い方向、すなわち、X軸に対して大きい角度をなす方向に進む。その結果、蛍光Y5は、透光性部材60の界面Kとは反対側の面60bから外部に漏れ、漏れ光Y6となるおそれがある。または、蛍光Y5が透光性部材60の面60bで反射する蛍光Y7になったとしても、透光性部材60をX軸方向に伝播して透光性部材60の端面60dに到達した際に端面60dに対する蛍光Y7の入射角が大きいため、蛍光Y7が端面60dで反射して端面60dから射出されず、蛍光Yの取り出し効率が低下するおそれがある。
【0072】
これに対して、本実施形態のように、波長変換素子50に第1空気層57を隣接させた場合、YAGの屈折率が約1.7であり、空気の屈折率が約1.0であるため、波長変換素子50と第1空気層57との間の屈折率差は約0.7であり、屈折率差が比較例の場合よりも大きくなる。そのため、屈折角β2は屈折角β1よりも大きくなり、第1空気層57に入射する蛍光Y8は、透光性部材60に入射する場合に比べて、界面Kに対して小さい角度をなす方向、すなわち、X軸に対して小さい角度をなす方向に進む。その結果、蛍光Y8が第1空気層57と他の物質との界面に到達した際に全反射しやすく、外部に漏れにくくなる。また本実施形態の場合、取出口31kにおいて第1空気層57が外部空間に解放され、屈折率界面を有していないため、取出口31kに到達した蛍光Y8は、反射や屈折を生じることなく、そのまま外部空間に射出される。以上の作用により、本実施形態の光源装置30Aによれば、蛍光Yの取り出し効率を高めることができる。
【0073】
(第1実施形態の効果)
本実施形態の光源装置30Aは、励起光Eを射出する第1光源41と、励起光Eを蛍光Yに変換する波長変換素子50と、第1光源41と波長変換素子50との間に配置され、励起光Eを透過して蛍光Yを反射する第1光学部材55と、励起光Eおよび蛍光Yを反射する第1反射部材53と、を備える。第1光学部材55と波長変換素子50との間に第1空気層57が設けられている。波長変換素子50は、第1光学部材55および第1空気層57を介して励起光Eが入射する表面50aと、表面50aと反対側を向く裏面50bと、表面50aおよび裏面50bに交差して互いに反対側を向く第1端面50cおよび第2端面50dと、を有する。第1反射部材53は、第1空気層57の第1端面50c側の領域に配置されている。波長変換素子50の表面50aから射出される蛍光Yは、第1空気層57を伝播し、第1空気層57の第2端面50dの領域から射出される。
【0074】
上述したように、本実施形態の光源装置30Aによれば、波長変換素子50で生成される蛍光Yの一部が第1空気層57を伝播し、第1空気層57の第2端面50dの領域から射出されるため、例えば蛍光が透光性部材の内部を伝播する比較例の光源装置に比べて、蛍光Yの損失が少なく、蛍光Yの利用効率を高めることができる。
【0075】
本実施形態のプロジェクター1は、光源装置30Aと、光源装置30Aから射出される光を変調する光変調装置4R,4G,4Bと、光変調装置4R,4G,4Bにより変調された光を投射する投射光学装置6と、を備える。
この構成によれば、光利用効率の高いプロジェクター1を実現することができる。
【0076】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図6を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図6は、第2実施形態の光源装置30BをXY平面で切断した状態の断面図である。
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
図6に示すように、本実施形態の光源装置30Bは、支持部材29と、筐体31と、第1光源41と、波長変換素子58と、第1光学部材55と、第1反射部材53と、第2反射部材(図示略)と、を備える。
【0078】
第1実施形態の光源装置30Aにおいて、波長変換素子50は、透明蛍光体で構成されていた。これに対して、本実施形態の光源装置30Bにおいて、波長変換素子58は、光散乱性を有する蛍光体で構成されている。光散乱性を有する蛍光体は、透明蛍光体中に透明蛍光体とは屈折率の異なる媒質、例えば気孔、フィラー等の散乱体を分散させることで実現できる。波長変換素子58は、表面58aおよび裏面58bと、第1端面58cおよび第2端面58dと、を有する。
光源装置30Bのその他の構成は、第1実施形態の光源装置30Aと同様である。
【0079】
(第2実施形態の効果)
本実施形態においても、蛍光Yが第1空気層57を伝播することで蛍光Yの損失が少なく、蛍光Yの利用効率に優れる光源装置30Bを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
さらに本実施形態の場合、波長変換素子58が光散乱性を有する蛍光体で構成されたことにより、以下の効果が得られる。
第1実施形態の場合、波長変換素子50が透明蛍光体で構成されているため、蛍光Yが波長変換素子50の内部を伝播する際に散乱が生じず、蛍光Yの進行方向が変化することはない。そのため、波長変換素子50の表面50aに対して臨界角未満の入射角で入射する蛍光Yは、同じ入射角で全反射を繰り返す。このようにして、蛍光Yは、波長変換素子50の内部に閉じ込められた状態で伝播し、第2端面50dから射出される。
【0081】
これに対して、本実施形態の場合、波長変換素子58が光散乱性を有する蛍光体で構成されているため、蛍光Yが波長変換素子58の内部を伝播する際に多くの散乱が生じ、散乱する毎に蛍光Yの進行方向が変化する。
このため、第1光学部材55の第1光学層52で反射されて波長変換素子58に入射した蛍光Y1は、波長変換素子58で散乱されて角度変換された状態で第1空気層57に入射し、第1空気層57の第2端面58d側の領域から射出される。一部の蛍光Y2は第1空気層57を介して第1光学部材55の第1光学層52で再び反射されることで、第1空気層57の第2端面58d側の領域から射出される。
このように、蛍光Yは、波長変換素子58の内部に閉じ込められることなく、第1空気層57に取り出され、第1空気層57の第2端面58d側の領域から射出される。すなわち、蛍光Yは、波長変換素子58による散乱と第1光学部材55による反射とを繰り返しながら第1空気層57の内部を伝播して第1空気層57の第2端面58d側の領域から射出される。その結果、蛍光Yが波長変換素子58を伝播する際の損失が抑えられるため、第1実施形態に比べて蛍光Yの利用効率をさらに高めることができる。
【0082】
本実施形態の場合、蛍光Yの略全てが第1空気層57から外部に射出されるのであれば、取出口31kから波長変換素子58を露出させずに第1空気層57のみを露出させる構成としてもよい。この構成によれば、取出口31kをより小さくすることができ、蛍光Yのエテンデューを小さくすることができる。
【0083】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、
図7~
図9を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、第1光学部材の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図7は、第3実施形態の光源装置30Cの斜視図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿う光源装置30Cの断面図である。
図9は、
図7のIX-IX線に沿う光源装置30Cの断面図である。
図7~
図9において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
図7~
図9に示すように、本実施形態の光源装置30Cは、支持部材29と、筐体31と、第1光源41と、波長変換素子50と、第1光学部材55と、第1反射部材53と、第2反射部材54と、を備える。
【0085】
本実施形態の光源装置30Cにおいて、第1光学部材55は、第1実施形態の第1光学部材55とは逆向きに配置されている。すなわち、
図8に示すように、第1光学層52は、第1透光性部材51の第1光源41と対向する面に配置されている。
【0086】
本実施形態の場合、光の振る舞いが第1実施形態とは異なる。すなわち、
図8に示すように、第1光学層52が第1透光性部材51の第1空気層57とは反対側の面に設けられているため、第1空気層57を伝播する蛍光Yの一部は、第1透光性部材51に入射する。第1透光性部材51に入射した蛍光Yのうち、第1透光性部材51と第1空気層57との界面に臨界角未満で入射する蛍光Y9は、全反射を繰り返しつつ第1透光性部材51の内部を導光し、端面51dから射出される。
また、第1透光性部材51で反射された蛍光Y1は、波長変換素子50内に入射し、波長変換素子50の裏面50bで反射されて波長変換素子50の表面50aから第1空気層57に入射し、第1空気層57の第2端面50d側の領域から射出される。また、第1透光性部材51で反射された蛍光Y2は、波長変換素子50に入射し、波長変換素子50の裏面50bで反射されて第2端面50dから射出される。
【0087】
そのため、
図7に示すように、波長変換素子50の第2端面50dの法線方向であるX軸方向に平面視した状態において、取出口31kは、第1空気層57、波長変換素子50、および第1透光性部材51に重なっている。したがって、第1空気層57の第2端面50d側の領域、波長変換素子50の第2端面50d、および第1透光性部材51の端面51dは、取出口31kを通じて外部に露出している。このように、本実施形態の光源装置30Cにおいて、蛍光Yの多くは第1空気層57の第2端面50d側の領域から射出され、他の一部は波長変換素子50の第2端面50dから射出され、さらに他の一部は第1透光性部材51の端面51dから射出される。
光源装置30Cのその他の構成は、第1実施形態の光源装置30Aと同様である。
【0088】
(第3実施形態の効果)
本実施形態においても、蛍光Yが第1空気層57を伝播することで蛍光Yの損失が少なく、蛍光Yの利用効率に優れる光源装置30Cを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、
図10~
図12を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、第2光源および第2光学部材が付加された点が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図10は、第4実施形態の光源装置30Dの斜視図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿う光源装置30Dの断面図である。
図12は、
図10のXII-XII線に沿う光源装置30Dの断面図である。
図10~
図12において、以前の実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図10~
図12に示すように、本実施形態の光源装置30Dは、支持部材29と、筐体71と、第1光源41と、第2光源42と、波長変換素子58と、第1光学部材55と、第2光学部材59と、第1反射部材53と、第2反射部材54と、を備える。本実施形態では、第2実施形態と同様、波長変換素子58は、光散乱性を有する蛍光体から構成されている。
【0091】
図11に示すように、Z軸方向から見た断面構造において、波長変換素子58の中心軸から+Y側の構成は、第2実施形態と同様である。すなわち、第1光源41は、波長変換素子58の表面58aに対向して配置され、波長変換素子58に向けて励起光Eを射出する。第1光学部材55は、第1光源41と波長変換素子58との間に配置されている。波長変換素子58と第1光学部材55とは接触しておらず、波長変換素子58と第1光学部材55との間に第1空気層57が設けられている。第1光源41から射出される励起光Eは、第1光学部材55を透過し、第1空気層57を介して波長変換素子58に入射する。
【0092】
これに対して、波長変換素子58の中心軸から-Y側の構成は、第2実施形態とは異なる。
図12に示すように、本実施形態の光源装置30Dにおいて、波長変換素子58は、筐体71に設けられた一対の支持部72によって支持されている。波長変換素子58の裏面58bは、支持部材29とは接触していない。
【0093】
第2光源42は、複数の第2発光素子42aと、基板42bと、を有する。複数の第2発光素子42aは、基板42b上に実装されている。なお、第2発光素子42aの数は、特に限定されず、第1発光素子41aの数とは異なっていてもよい。したがって、第2光源42は、必ずしも複数の第2発光素子42aを有していなくてもよく、1個の第2発光素子42aを有していてもよい。
【0094】
第2発光素子42aは、第1波長帯の励起光線E1を射出する。第2発光素子42aは、第1発光素子41aと同様のLEDから構成されている。第2発光素子42aは、波長変換素子58の裏面58bに対向して配置され、波長変換素子58に向けて励起光線E1を射出する。このようにして、第2光源42は、複数の青色の励起光線E1からなる励起光Eを波長変換素子58に向けて射出する。
【0095】
第2光学部材59は、第2光源42と波長変換素子58との間に配置されている。具体的には、第2光学部材59は、支持部72の第2光源42と対向する面上に配置されている。第2光学部材59は、第2透光性部材73と、第2光学層74と、を有する。第2光学層74は、第2透光性部材73の2つの面のうち、第2光源42と対向する面に設けられている。
【0096】
第2透光性部材73は、第1透光性部材51と同様の透光性材料で構成されている。第1透光性部材51と同様、第2透光性部材73の熱伝導率は、波長変換素子58の熱伝導率よりも大きいことが望ましい。この構成によれば、波長変換素子58の熱が第2空気層77を介して第2透光性部材73に効率良く伝わるため、波長変換素子58の温度上昇を抑制することができる。これにより、波長変換素子58の温度上昇に伴う発光効率の低下を抑制することができる。
【0097】
第2光学層74は、波長変換素子58と第2透光性部材73との間に配置されている。第2光学層74は、第1光学層52と同様、励起光Eを透過して蛍光Yを反射する光学特性を有する。第2光学層74は、第2透光性部材73の2つの面のうち、波長変換素子58と対向する面に設けられている。第2光学層74は、第1光学層52と同様の誘電体多層膜から構成されている。
【0098】
第2光学部材59と波長変換素子58との間に、第2空気層77が設けられている。すなわち、第2光学部材59と波長変換素子58とは互いに離れて配置されており、第2光学部材59と波長変換素子58との間に空気が存在している。
【0099】
第1反射部材53は、波長変換素子58、第1空気層57、第1光学部材55、第1光源41、第2空気層77、第2光学部材59、および第2光源42のX軸方向の-X側に配置されている。なお、第1反射部材53は、上記の全ての領域にわたって設けられていなくてもよく、少なくとも第1空気層57の第1端面58c側の領域と第2空気層77の第1端面58c側の領域とに設けられていればよい。
【0100】
図10に示すように、X軸方向に平面視した状態において、取出口71kは、第1空気層57、波長変換素子58、および第2空気層77に重なっている。したがって、第1空気層57の第2端面58d側の領域、波長変換素子58の第2端面58d、および第2空気層77の第2端面58d側の領域とは、取出口71kを通じて外部に露出している。
光源装置30Dのその他の構成は、第2実施形態の光源装置30Bと同様である。
【0101】
以下、本実施形態の光源装置30Dにおける光の振る舞いについて説明する。
本実施形態の光源装置30Dにおいて、第1光源41から射出された励起光E、および波長変換素子58で生成される蛍光Yの振る舞いについては第2実施形態と同様であるため、第2光源42から射出された励起光Eの振る舞いについて簡単に説明する。
【0102】
第2光源42から射出される励起光Eは、第2光学部材59を透過し、第2空気層77を介して裏面58bから波長変換素子58に入射する。波長変換素子58の任意の発光点から-Z側に射出される蛍光Yのうち、波長変換素子58の裏面58bに対して臨界角未満の入射角で入射する蛍光Yは、波長変換素子58から射出されて第2空気層77に入射する。このとき、第2光学部材59の第2光学層74で反射されて波長変換素子58に入射した蛍光Y11は、波長変換素子58で散乱されて角度変換された状態で第2空気層77に入射し、第2空気層77の第2端面58d側の領域から射出される。一部の蛍光Y21は第2空気層77を介して第2光学部材59の第2光学層74で再び反射されることで、第2空気層77の第2端面58d側の領域から射出される。一方、-X側に向かって進み、第1反射部材53に到達する蛍光Yは、第1反射部材53で反射した後、+X側に向かって進み、波長変換素子58による散乱と第2光学部材59による反射とを繰り返しながら第2空気層77の内部を伝播して第2空気層77の第2端面58d側の領域から射出される。
【0103】
このように本実施形態の光源装置30Dにおいて、波長変換素子58で生成される蛍光Yのうち、一部の蛍光Yは、第1空気層57の第2端面58d側の領域から射出され、他の一部の蛍光Yは、第2空気層77の第2端面58d側の領域から射出される。よって、光源装置30Dは、波長変換素子58で生成した蛍光Yを筐体71の取出口71kから外部に効率良く射出することができる。
【0104】
(第4実施形態の効果)
本実施形態の光源装置30Dは、裏面58bに対向して配置され、励起光Eを射出する第2光源42と、第2光源42と波長変換素子58との間に配置され、励起光Eを透過して蛍光Yを反射する第2光学部材59と、をさらに備える。第2光学部材59と波長変換素子58との間に第2空気層77が設けられている。第2光学部材59を透過する励起光Eは、第2空気層77を介して裏面58bから波長変換素子58に入射する。第1反射部材53は、第2空気層77の第1端面58c側の領域に配置されている。波長変換素子58の裏面58bから射出される蛍光Yは、第2空気層77を伝播し、第2空気層77の第2端面58d側の領域から射出される。
【0105】
本実施形態においても、蛍光Yが第1空気層57を伝播することで蛍光Yの損失が少なく、蛍光Yの利用効率に優れる光源装置30Dを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0106】
さらに本実施形態の場合、第2光源42から射出され、波長変換素子58の裏面58bに入射する励起光Eは、裏面58b近傍の発光点から蛍光Yとなって射出され、蛍光Yが第2空気層77の第2端面58d側の領域から外部空間に射出される。このように、本実施形態によれば、波長変換素子58の表面58aおよび裏面58bの双方から励起光Eを入射させるため、励起光Eの入射量を増やすことができる。ここで、波長変換素子58のX軸方向の長さが大きくなる程、取出口71kと反対側の領域で発生した蛍光Yを取り出しにくくなる。このため、波長変換素子58のX軸方向の長さを大きくして励起光Eの入射面積を拡げた場合、蛍光Yを効率良く取り出せないおそれがある。これに対して、本実施形態では、波長変換素子58のX軸方向の長さを大きくすることなく、励起光Eの入射光量を増やすことで蛍光変換効率を高めつつ、蛍光Yを効率良く取り出すことができる。
【0107】
第1実施形態の光源装置30Aでは、波長変換素子50の裏面50bに形成した反射膜で蛍光Yを波長変換素子50内に戻す構成としたが、凹凸を有する裏面50bに形成された反射膜は十分な膜性能が得にくいことから光の吸収が発生しやすい。これに対して、本実施形態の場合、波長変換素子58の裏面58bから射出された蛍光Yを第2光学層74と波長変換素子58との間で反射させて第2空気層77を伝播させるため、蛍光Yを効率良く取り出すことができる。また、第2光学層74が平滑面からなる第2透光性部材73の表面に形成されるため、膜性能を高めやすく、蛍光Yを効率良く反射する第2光学層74を形成することができる。
【0108】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、
図13を用いて説明する。
第5実施形態の光源装置の基本構成は第4実施形態と同様であり、反射抑制層が付加された点が第4実施形態と異なる。そのため、光源装置の基本構成の説明は省略する。
図13は、第5実施形態の光源装置30Eの断面図である。
図13において、第4実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0109】
図13に示すように、本実施形態の光源装置30Eは、支持部材29と、筐体71と、第1光源41と、第2光源42と、波長変換素子58と、第1光学部材55と、第2光学部材59と、第1反射部材53と、第2反射部材(図示略)と、反射抑制層79と、を備える。
【0110】
反射抑制層79は、第1光源41と波長変換素子58との間、および第2光源42と波長変換素子58との間のそれぞれに配置されている。具体的には、反射抑制層79は、波長変換素子58の表面58aおよび裏面58bのそれぞれに設けられている。反射抑制層79は、励起光Eを吸収する特性を有し、波長変換素子58の表面58aおよび裏面58bにおける励起光Eの反射を抑制する。反射抑制層79は、一般的な反射抑制用の光学被膜、誘電体膜等から構成されている。なお、反射抑制層79は、上記の個所に加えて、第1透光性部材51の第1光源41に対向する側の面、および第2透光性部材73の第2光源42に対向する側の面などに設けられていてもよい。
光源装置30Eのその他の構成は、第4実施形態の光源装置30Dと同様である。
【0111】
(第5実施形態の効果)
本実施形態においても、蛍光Yが第1空気層57を伝播することで蛍光Yの損失が少なく、蛍光Yの利用効率に優れる光源装置30Eを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0112】
上記第1~第4実施形態の場合、例えば第1光源41から射出される青色の励起光Eが波長変換素子50,58に入射する際、第1空気層57と波長変換素子50,58との屈折率差が大きいため、一部の励起光Eは、波長変換素子50,58の表面で反射する。そのため、波長変換に実質的に寄与する励起光Eの量が減り、波長変換効率が低下する。また、波長変換素子50,58の表面で反射する励起光Eは、第1光学層52を透過するため、第1発光素子41aおよびその周辺の部材に入射して熱に変換される。その結果、第1発光素子41aの発光効率が低下する等の問題が生じる。
【0113】
これに対して、本実施形態の場合、反射抑制層79が波長変換素子58の表面58aおよび裏面58bのそれぞれに設けられているため、波長変換に実質的に寄与する励起光Eの量が増え、波長変換効率が向上する。また、波長変換素子58の各面58a,58bにおける励起光Eの反射が抑制され、第1光源41および第2光源42の温度上昇が抑制される。これにより、第1発光素子41aおよび第2発光素子42aの発光効率が低下する等の問題を改善することができる。さらに、波長変換素子58から第1空気層57および第2空気層77に入射する蛍光Yの反射が抑制されるため、波長変換素子58の内部での蛍光Yの再吸収が少なくなり、蛍光Yの取り出し効率を高めることができる。
【0114】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態においては、第1光学部材が第1透光性部材と第1光学層とで構成されているが、この構成に代えて、励起光を透過し、蛍光を反射する特性を有する単独の光学部材で構成されていてもよい。すなわち、第1光学部材は、必ずしも第1透光性部材を有していなくてもよい。この種の光学部材の例として、例えばホログラム、膜単体で自立する設計を施した光学膜などが挙げられる。
【0115】
また、波長変換素子の構成材料として、例えばAlNとCe:YAGとを含むコンポジット蛍光体を用いてもよい。この構成によれば、上記実施形態のように、波長変換素子と支持部材および筐体との接触面積が小さく、多くの放熱経路を確保できない構成であっても、Ce:YAG単体の蛍光体を用いた場合に比べて、波長変換素子の熱伝導率を高めることができる。これにより、波長変換素子の冷却効率が高められる。これにより、励起光の最大光量を増やすことができ、蛍光の最大出力を大きくすることができる。
【0116】
また、上記実施形態では、波長変換素子が黄色の蛍光体で構成され、青色の励起光を黄色の蛍光に変換する例を挙げたが、この構成に代えて、波長変換素子が青色の蛍光体で構成され、紫外の励起光を青色の蛍光に変換してもよい。この場合、第1発光素子は、例えば100nm~400nmの紫外波長帯であって、ピーク波長が380nmの励起光を射出する。波長変換素子は、第1光源から射出される紫外光を例えば450~495nmの青色波長帯を有する青色の蛍光に変換する青色の蛍光体で構成される。青色の蛍光体としては、例えば、BaMgAl10O17:Eu(II)等が用いられる。青色の蛍光は、波長変換素子による散乱と第1光学部材による反射とを繰り返しながら、第1空気層の内部を伝播して第1空気層の第4面側の領域から射出される。
【0117】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0118】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0119】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0120】
(付記1)
第1波長帯の第1光を射出する第1光源と、
前記第1光を前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の第2光に変換する波長変換素子と、
前記第1光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学部材と、
前記第1光および前記第2光を反射する第1反射部材と、
を備え、
前記第1光学部材と前記波長変換素子との間に第1空気層が設けられ、
前記波長変換素子は、前記第1光学部材および前記第1空気層を介して前記第1光が入射する第1面と、前記第1面と反対側を向く第2面と、前記第1面および前記第2面に交差して互いに反対側を向く第3面および第4面と、を有し、
前記第1反射部材は、前記第1空気層の前記第3面側の領域に配置され、
前記波長変換素子の前記第1面から射出される前記第2光は、前記第1空気層を伝播し、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、光源装置。
【0121】
付記1の構成によれば、波長変換素子の第1面から射出される第2光が第1空気層を伝播するため、第2光の損失が少なく、第2光の利用効率に優れる光源装置を実現することができる。
【0122】
(付記2)
前記第1光学部材は、前記第1光を透過する第1透光性部材と、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学層と、を有し、
前記第1光学層は、前記第1透光性部材の前記波長変換素子と対向する面に配置されている、付記1に記載の光源装置。
【0123】
付記2の構成によれば、第2光が第1透光性部材の内部を伝播しないため、第2光の損失を最小限に抑えることができる。
【0124】
(付記3)
前記第1光学部材は、前記第1光および前記第2光を透過する第1透光性部材と、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第1光学層と、を有し、
前記第1光学層は、前記第1透光性部材の前記第1光源と対向する面に配置されている、付記1に記載の光源装置。
【0125】
付記3の構成によれば、第2光を第1透光性部材と第1空気層の双方から外部に取り出すことができる。
【0126】
(付記4)
前記第1透光性部材の熱伝導率は、前記波長変換素子の熱伝導率よりも大きい、付記2に記載の光源装置。
【0127】
付記4の構成によれば、波長変換素子の熱が第1空気層を介して第1透光性部材に効率良く伝わるため、波長変換素子の温度上昇に伴う発光効率の低下を抑えることができる。
【0128】
(付記5)
前記第1透光性部材の熱伝導率は、前記波長変換素子の熱伝導率よりも大きい、付記3に記載の光源装置。
【0129】
付記5の構成によれば、波長変換素子の熱が第1空気層を介して第1透光性部材に効率良く伝わるため、波長変換素子の温度上昇に伴う発光効率の低下を抑えることができる。
【0130】
(付記6)
前記第1光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1面における前記第1光の反射を抑制する反射抑制層をさらに備える、付記1から付記5までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0131】
付記6の構成によれば、波長変換に実質的に寄与する第1光の量が増え、波長変換効率が向上する。また、波長変換素子の第1面における第1光の反射が抑制されるため、反射光による第1光源の温度上昇が抑制される。これにより、第1光源の発光効率の低下が抑えられる。
【0132】
(付記7)
前記第1光および前記第2光を反射する第2反射部材をさらに備え、
前記波長変換素子は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、および前記第4面のそれぞれに交差して互いに反対側を向く第5面および第6面と、を有し、
前記第2反射部材は、前記第1空気層の前記第5面側の領域および前記第1空気層の前記第6面側の領域に配置されている、付記1から付記6までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0133】
付記7の構成によれば、第1光から第2光への変換効率を高めることができるとともに、第2光の損失を抑制することができる。
【0134】
(付記8)
前記波長変換素子を支持する支持部材をさらに備え、
前記第2面は、前記支持部材と熱伝達可能に接続されている、付記1から付記7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0135】
付記8の構成によれば、波長変換素子で発生する熱が支持部材に伝達されるため、波長変換素子の温度上昇が抑えられ、波長変換効率を維持することができる。
【0136】
(付記9)
前記第1光学部材と前記波長変換素子とを覆う筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光を外部に取り出す取出口を有し、
前記波長変換素子の前記第4面の法線方向に平面視した状態において、前記取出口は、前記第1空気層および前記波長変換素子に重なっている、付記8に記載の光源装置。
【0137】
付記9の構成によれば、筐体によって第1光学部材と波長変換素子とを保護できるとともに、筐体の取出口を通じて第1空気層および波長変換素子を伝播する第2光を外部に取り出すことができる。
【0138】
(付記10)
前記第2面に対向して配置され、前記第1光を射出する第2光源と、
前記第2光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過して前記第2光を反射する第2光学部材と、
をさらに備え、
前記第2光学部材と前記波長変換素子との間に第2空気層が設けられ、
前記第2光源から射出された前記第1光は、前記第2光学部材および前記第2空気層を介して前記波長変換素子の前記第2面に入射し、
前記第1反射部材は、前記第2空気層の前記第3面側の領域に配置され、
前記波長変換素子の前記第2面から射出される前記第2光は、前記第2空気層を伝播し、前記第2空気層の前記第4面側の領域から射出される、付記1から付記7までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0139】
付記10の構成によれば、第2光源をさらに備えているため、波長変換素子への第1光の入射光量を増やすことができる。その結果、波長変換効率を高めつつ、第2空気層を用いて第2光を効率良く取り出すことができる。
【0140】
(付記11)
前記第1光学部材と前記波長変換素子と前記第2光学部材とを覆う筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光と、前記第2空気層の前記第4面側の領域から射出される前記第2光と、を外部に取り出す取出口を有し、
前記波長変換素子の前記第4面の法線方向に平面視した状態において、前記取出口は、前記第1空気層、前記波長変換素子、および前記第2空気層に重なっている、付記10に記載の光源装置。
【0141】
付記11の構成によれば、筐体によって第1光学部材と波長変換素子と第2光学部材とを保護できるとともに、筐体の取出口を通じて第1空気層、波長変換素子、および第2空気層を伝播する第2光を外部に取り出すことができる。
【0142】
(付記12)
前記波長変換素子は、透明蛍光体で構成される、付記1から付記11までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0143】
付記12の構成によれば、透明蛍光体からなる波長変換素子を用いた場合であっても、波長変換素子を大きくすることなく、第1光の入射光量を増やすことにより第2光の変換効率を高めつつ、第2光を効率良く外部に取り出すことができる。
【0144】
(付記13)
前記波長変換素子は、光散乱性を有する蛍光体で構成される、付記1から付記11までのいずれか一項に記載の光源装置。
【0145】
付記13の構成によれば、波長変換素子の内部で生成される第2光が効率良く第1空気層に射出され、第1空気層を伝播するため、第2光の損失が抑えられ、第2光の取り出し効率をより高めることができる。
【0146】
(付記14)
前記波長変換素子は、黄色の蛍光体であり、
前記第1光は、青色光であり、
前記第2光は、黄色の蛍光であり、
前記蛍光は、前記波長変換素子による散乱と前記第1光学部材による反射とを繰り返しながら前記第1空気層の内部を伝播して前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、付記13に記載の光源装置。
【0147】
付記14の構成によれば、波長変換素子の内部で生成される黄色の蛍光を第1空気層の第4面側の領域から効率良く外部に取り出すことができる。
【0148】
(付記15)
前記波長変換素子は、青色の蛍光体であり、
前記第1光は、紫外光であり、
前記第2光は、青色の蛍光であり、
前記蛍光は、前記波長変換素子による散乱と前記第1光学部材による反射とを繰り返しながら前記第1空気層の内部を伝播して前記第1空気層の前記第4面側の領域から射出される、付記13に記載の光源装置。
【0149】
付記15の構成によれば、波長変換素子の内部で生成される青色の蛍光を第1空気層の第4面側の領域から効率良く外部に取り出すことができる。
【0150】
(付記16)
付記1から付記15までのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【0151】
付記16の構成によれば、光利用効率に優れるプロジェクターを実現できる。
【符号の説明】
【0152】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、29…支持部材、30A,30B,30C,30D,30E…光源装置、31,71…筐体、31k,71k…取出口、41…第1光源、42…第2光源、50,58…波長変換素子、50a,58a…表面(第1面)、50b,58b…裏面(第2面)、50c,58c…第1端面(第3面)、50d,58d…第2端面(第4面)、50e…第1側面(第5面)、50f…第2側面(第6面)、51…第1透光性部材、52…第1光学層、53…第1反射部材、54…第2反射部材、55…第1光学部材、57…第1空気層、59…第2光学部材、77…第2空気層、79…反射抑制層、E…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。