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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099241
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】通信装置および音声出力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72463 20210101AFI20250626BHJP
   H04M 1/72418 20210101ALI20250626BHJP
   H04M 1/72412 20210101ALI20250626BHJP
【FI】
H04M1/72463
H04M1/72418
H04M1/72412
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215750
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豪也
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA26
5K127BA03
5K127BB16
5K127DA13
5K127GA02
5K127GB31
5K127HA03
5K127JA04
5K127JA14
5K127JA42
5K127JA56
5K127JA57
5K127MA05
(57)【要約】
【課題】音声を聴き取り易くすること。
【解決手段】通信装置は、第1通信方式で音声信号を受信する第1通信部と、第1通信方式とは異なる第2通信方式で自装置の識別情報を他装置に送信し、他装置の識別情報を受信する第2通信部と、第1通信部で受信した音声信号を音声として出力する出力部と、自装置の識別情報と、他装置の識別情報とを記憶する記憶部と、自装置の識別情報と、他装置の識別情報とに基づいて、自装置が親機であるか、子機であるかを判定する判定部と、判定部により自装置が親機であると判定された場合には出力部から音声を出力させ、自装置が子機であると判定された場合には出力部からの出力を抑制させる出力制御部と、判定部での判定結果を第2通信部に送信させる通信制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信方式で音声信号を受信する第1通信部と、
第1通信方式とは異なる第2通信方式で自装置の識別情報を他装置に送信し、前記他装置の識別情報を受信する第2通信部と、
前記第1通信部で受信した音声信号を音声として出力する出力部と、
前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とを記憶する記憶部と、
前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とに基づいて、前記自装置が親機であるか、子機であるかを判定する判定部と、
前記判定部により前記自装置が親機であると判定された場合には前記出力部から音声を出力させ、前記自装置が子機であると判定された場合には前記出力部からの出力を抑制させる出力制御部と、
前記判定部での判定結果を前記第2通信部に送信させる通信制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
識別情報には優先度を判定できる情報が含まれており、前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とを含む役割リストを生成し前記記憶部に記憶させる管理部を備え、
前記判定部は、
前記役割リストに含まれる識別情報に基づいて優先度を決定し、前記自装置の識別情報の優先度が最も高い場合、前記自装置を親機であると判定し、
前記役割リストに含まれる識別情報のうち、前記自装置の識別情報の優先度が最も高くなく、かつ前記第2通信部で親機であるとの判定結果を受信した場合、前記自装置を子機であると判定する。
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
管理部は、所定時間経過後に前記自装置の役割が決定しておらず、かつ前記第2通信部で子機であるとの判定結果を受信した場合は、子機であるとの判定結果を送信した前記他装置の識別情報を前記役割リストから削除する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記出力部から出力される音声の音量に応じて、前記第2通信部の送信出力を調整する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
第1通信方式で音声信号を第1通信部で受信するステップと、
第1通信方式とは異なる第2通信方式で自装置の識別情報を第2通信部で他装置に送信し、前記他装置の識別情報を前記第2通信部で受信するステップと、
前記第1通信部で受信した音声信号を音声として出力するステップと、
前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とを記憶するステップと、
前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とに基づいて、前記自装置が親機であるか、子機であるかを判定するステップと、
前記自装置が親機であると判定された場合には出力部から音声を出力させ、前記自装置が子機であると判定された場合には前記出力部から出力される音声を抑制させるステップと、
前記判定するステップでの判定結果を前記第2通信部に送信させるステップと、
を含む、音声出力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置および音声出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置から出力される音声を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、自無線機の所定範囲内に他無線機が存在する場合には、自無線機の音声出力を停止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-10143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害が発生した際には、緊急通報を受信する受信機を持った多くの避難者が避難所に避難する。この場合、避難者のそれぞれが持参した受信機が同じ音声を出力すると、騒がしくなり音声が聴き難い状況が発生すると想定される。このような状況では、複数の受信機の中から代表端末を決定し、代表端末のみから音声を出力させることで、避難所全体で音声を聴き取り易くすることが望ましい。
【0005】
本開示は、音声を聴き取り易くすることのできる通信装置および音声出力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の通信装置は、第1通信方式で音声信号を受信する第1通信部と、第1通信方式とは異なる第2通信方式で自装置の識別情報を他装置に送信し、前記他装置の識別情報を受信する第2通信部と、前記第1通信部で受信した音声信号を音声として出力する出力部と、前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とを記憶する記憶部と、前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とに基づいて、前記自装置が親機であるか、子機であるかを判定する判定部と、前記判定部により前記自装置が親機であると判定された場合には前記出力部から音声を出力させ、前記自装置が子機であると判定された場合には前記出力部からの出力を抑制させる出力制御部と、前記判定部での判定結果を前記第2通信部に送信させる通信制御部と、を備える。
【0007】
本開示の音声出力制御方法は、第1通信方式で音声信号を第1通信部で受信するステップと、第1通信方式とは異なる第2通信方式で自装置の識別情報を第2通信部で他装置に送信し、前記他装置の識別情報を前記第2通信部で受信するステップと、前記第1通信部で受信した音声信号を音声として出力するステップと、前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とを記憶するステップと、前記自装置の識別情報と、前記他装置の識別情報とに基づいて、前記自装置が親機であるか、子機であるかを判定するステップと、前記自装置が親機であると判定された場合には出力部から音声を出力させ、前記自装置が子機であると判定された場合には前記出力部から出力される音声を抑制させるステップと、前記判定するステップでの判定結果を前記第2通信部に送信させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、音声を聴き取り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る通信装置の構成例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る役割リストの一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る音声出力制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態に係る親機・子機判定処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストの一例を示す図である
図7図7は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。
図10図10は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(通信システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る通信システムの構成例について説明する。図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、通信システム1は、通信装置10-1と、通信装置10-2と、通信装置10-3と、通信装置10-4と、を含む。通信装置10-1から通信装置10-4を区別する必要のない場合には、通信装置10と総称する。図1に示す例では、通信システム1には、4台の通信装置10が含まれているが、通信システム1に含まれる通信装置10の数に制限はない。
【0013】
通信装置10-1から通信装置10-4は、それぞれ、災害時などに自治体が送信する緊急通報を受信し、緊急通報を音声で出力する機能を有する通信装置である。通信装置10-1から通信装置10-4は、それぞれの、他の通信装置10と近距離無線通信を行う機能を有する。通信装置10-1には、他の通信装置10と近距離無線通信可能な通信範囲R1が設定されている。通信装置10-2には、他の通信装置10と近距離無線通信可能な通信範囲R2が設定されている。通信装置10-3には、他の通信装置10と近距離無線通信可能な通信範囲R3が設定されている。通信装置10-4には、他の通信装置10と通信可能な通信範囲R4が設定されている。これら通信範囲Rは、近距離無線通信の送信出力を調整することで設定される。各通信装置10は、通信範囲内に存在する他の通信装置10との間で、識別情報を送受信する。各通信装置10は、識別情報に基づいて、音声を出力するか、音声を抑制するかを決定する。これにより、本実施形態は、音声を聴き取り易くすることができる。
【0014】
(通信装置)
図2を用いて、第1実施形態に係る通信装置の構成例について説明する。図2は、第1実施形態に係る通信装置の構成例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、通信装置10は、第1通信部20と、第2通信部22と、入力部24と、出力部26と、記憶部28と、制御部30と、を含む。通信装置10は、例えば、自治体などにより戸別に配置される無線通信装置(戸別受信機)である。通信装置10は、緊急情報を受信し、緊急情報を音声で出力する。
【0016】
第1通信部20は、自然災害などの緊急事態が発生したときに、自治体などが発する緊急情報を第1通信方式で受信する。第1通信部20は、例えば、基地局から送信された電波を受信する専用の受信機能である。
【0017】
第2通信部22は、第1通信方式とは異なる第2通信方式で、他の通信装置10と情報を送受信する。第2通信部22による通信範囲は、あらかじめ設定されている。第2通信部22は、例えば、送信出力を調整可能な送受信機能であり、自機(自装置)の識別情報を他の通信装置10に送信し、他の通信装置10から他の通信装置10の識別情報を受信する。識別情報には、通信装置10を一意に識別するための端末ID、バッテリ残量情報、通信装置10を使用するユーザの属性情報などが含まれてよい。第2通信部22は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの、近距離無線通信方式に対応した通信モジュールで実現される。
【0018】
入力部24は、通信装置10に対する各種の入力操作を受け付ける。入力部24は、例えば、ボタン、スイッチなどを含む。入力部24は、例えば、スピーカから出力される音声の音量の調整値を受け付ける。入力部24は、例えば、第2通信部22から送信する電波の送信出量の調整値を受け付ける。
【0019】
出力部26は、各種の音声を出力するスピーカや、各種の情報を表示するディスプレイを含む。出力部26は、例えば、緊急通報を音声で出力する。出力部26は、例えば、通信装置が音声を出力しているかの情報を表示する。
【0020】
記憶部28は、各種の情報を記憶している。記憶部28は、自機の識別情報と、他の通信装置の識別情報とを記憶している。識別情報は、例えば、通信システム1に含まれる通信装置10に一意に付与される端末IDである。端末IDは、例えば、数値であってよい。記憶部28は、端末IDと、役割とが対応付けられた役割リストを記憶している。役割リストについては、後述する。記憶部28は、制御部30の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部28は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0021】
図3は、第1実施形態に係る役割リストの一例を示す図である。図3に示すように、役割リスト50は、「端末ID」および「役割」という項目を含む。「端末ID」は、通信装置10を一意に識別するための識別子を示す。図3に示す例では、端末ID「n」などと示されているが、本実施形態では、「端末ID」は数値で示される。なお、「端末ID」は数値に限定されず、通信装置の優先度を比較可能なものであればよい。「役割」は、対応する端末IDの通信装置10が親機であるか子機であるかを示す。「役割」は、対応する端末IDの通信装置10が親機である場合には「M」を示し、対応する端末IDの通信装置10が子機である場合には「S」を示す。図4に示す例では、端末ID「n」の通信装置10が親機であり、端末ID「n+1」の通信装置10が子機である。役割リスト50は、自機の識別情報と、第2通信部22で受信した他の通信装置10の識別情報とで構成される。
【0022】
制御部30は、通信装置10の各部を制御する。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部30は、本発明に係る通信装置10の動作を制御するプログラムを実行する。制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部30は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0023】
制御部30は、判定部40と、出力制御部42と、管理部44と、通信制御部46と、を備える。
【0024】
判定部40は、自機が音声を出力する親機であるか、または音声をミュートする子機であるかを判定する。判定部40は、例えば、記憶部28に記憶された役割リストの自機の識別情報と、第2通信部22で他の通信装置10から受信した識別情報とに基づいて、自機が親機であるか、子機であるかを判定する。
【0025】
判定部40は、記憶部28に記憶されている役割リストに基づいて、自機が親機であるか子機であるかを判定する。判定部は40、役割リストに含まれる識別情報のうち、自機の識別情報の優先度が最も高い場合、自機を親機であると判定する。判定部40は、役割リストに含まれる識別情報のうち、自機の識別情報の優先度が最も高くなく、かつ第2通信部22で親通知を受信した場合、自機を子機であると判定する。
【0026】
識別情報が数値で示される端末IDである場合、優先度は、数値の大小である。この場合、判定部40は、例えば、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDが、最も小さかった場合に、自機の優先度が最も高く親機であると判定する。また、判定部40は、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDが最も小さくなく、かつ他の通信装置10から第2通信部22で親通知を受信した場合、自機が子機であると判定する。
【0027】
端末IDを優先度の判定に用いる代わりに、識別情報としてバッテリ残量値を採用してもよい。この場合、自機のバッテリ残量値を測定すると共に、第2通信部22で他の通信装置の端末IDとバッテリ残量値を受信して、役割リストには、端末IDと、役割と、バッテリ残量値とが対応付けられているとよい。判定部40は、例えば、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDに対応付けられたバッテリ残量値が最も多かった場合に、自機の優先度が最も高く親機であると判定する。また、判定部40は、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDに対応付けられたバッテリ残量値が最も多くなく、かつ他の通信装置10から第2通信部22で親通知を受信した場合、自機が子機であると判定する。これにより、周辺の複数の通信装置10のうち、バッテリ残量が最も多い通信装置10から音声が出力されるので、バッテリ残量の少ない通信装置10のバッテリ残量を節約することができる。
【0028】
端末IDを優先度の判定に用いる代わりに、識別情報としてユーザの属性情報を採用してもよい。この場合、自機のユーザの属性情報を取得すると共に、第2通信部22で他の通信装置の端末IDとユーザの属性情報を受信して、役割リストには、端末IDと、役割と、ユーザの属性情報とが対応付けられているとよい。属性情報には、例えば、ユーザの年齢が含まれ得る。この場合、判定部40は、例えば、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDに対応付けられた年齢が最も高かった場合に、自機が親機であると判定する。また、判定部40は、例えば、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDに対応付けられた年齢が所定よりも高い場合には、自機が親機であると判定してもよい。また、判定部40は、役割リストに含まれる端末IDのうち、自機の端末IDに対応付けられた年齢が最も高くなく、かつ他の通信装置10から第2通信部22で親通知を受信した場合、自機が子機であると判定する。これにより、高齢者が持つ通信装置10から音声が出力されやすくなるので、高齢者に対して適切に緊急通報を伝えることができる。
【0029】
出力制御部42は、出力部26を制御する。出力制御部42は、例えば、判定部40により自機が親機であると判定された場合には、出力部26から音声を出力させる。出力制御部42は、例えば、自機が子機であると判定された場合には、出力部から出力される音声をミュートする。出力制御部42は、例えば、自機が子機であると判定された場合には、出力部から出力される音声を完全にミュートさせるのではなく、音声の音量を抑制してもよい。
【0030】
管理部44は、自機の識別情報と、他の通信装置10の識別情報とを含む役割リストを生成する。管理部44は、生成した役割リストを記憶部28に記憶させる。管理部44は、記憶部28に記憶された役割リストを更新する。管理部44は、所定時間経過後に自機の役割が決定しておらず、かつ第2通信部22で子通知を受信した場合は、子通知を送信した通信装置10の識別情報を役割リストから削除する。役割リストを更新する処理の詳細は、後述する。
【0031】
通信制御部46は、第1通信部20と、第2通信部22と、を制御する。通信制御部46は、例えば、判定部40により自機が親機であると判定された場合には、自機が親機であることを示す親通知を第2通信部22に送信させる。通信制御部46は、例えば、自機が子機であると判定された場合には、自機が子機であることを示す子通知を第2通信部22に送信させる。
【0032】
通信制御部46は、出力部26から出力される音声の音量に応じて、第2通信部22の送信出力を調整する。通信制御部46は、例えば、出力部26から出力される音声の音量情報を出力制御部42から取得し、取得した音量情報に応じて、送信出力を調整してもよい。具体的には、通信制御部46は、出力部26から出力される音声の音量が大きいほど送信出力を大きくし、音量が小さいほど送信出力を小さくする。
【0033】
通信制御部46は、例えば、入力部24に入力された音量操作に応じて、送信出力を調整してもよい。通信制御部46は、例えば、出力部26から出力される音声を大きくするための音量操作が入力部24に入力された場合、送信出力を大きくしてもよい。通信制御部46は、例えば、出力部26から出力される音声を小さくするための音量操作が入力部24に入力された場合、送信出力を小さくしてもよい。
【0034】
[音声出力制御方法]
図4を用いて、第1実施形態に係る音声出力制御方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る音声出力制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
通信制御部46は、第1通信部20で緊急情報を受信する(ステップS10)。そして、ステップS12に進む。
【0036】
通信制御部46は、第2通信部22で自機の端末IDを他の通信装置10に送信する(ステップS12)。具体的には、通信制御部46は、あらかじめ設定された通信範囲内に存在する他の通信装置10に対して、第2通信部22で自機の端末IDを送信する。通信範囲は、第2通信部22の送信出力に応じて決定される。そして、ステップS14に進む。
【0037】
通信制御部46は、所定の期間に第2通信部22で他の通信装置10から端末IDを受信したか否かを判定する(ステップS14)。所定の期間は、例えば、第2通信部22で通信装置10の端末IDをお互いに送受信(ステップS10とステップS12)するために、あらかじめ決定された期間である。所定期間は、具体的には、1分間である。他の通信装置10から端末IDを受信したと判定された場合(ステップS14;Yes)、ステップS18に進む。他の通信装置10から端末IDを受信したと判定されない場合(ステップS14;No)、ステップS16に進む。
【0038】
ステップS14でNoと判定された場合、出力制御部42は、出力部26から緊急情報の音声を出力させる(ステップS16)。そして、図4の処理を終了する。
【0039】
ステップS14でYesと判定された場合、制御部30は、親機・子機判定処理を実行する(ステップS18)。親機・子機判定処理は、自機が親機であるか子機であるかを判定するための処理である。親機・子機判定処理の結果、自機が親機であると判定された場合には緊急情報の音声を出力し、自機が子機であると判定された場合には音声の出力をミュートする。なお、図4の処理は、所定の時間間隔の時刻に繰り返し実施されてよい。所定の時間間隔は、具体的には、1時間おきに設定される。これにより、通信装置10の配置が変更された場合でも、定期的に役割リスト50の見直しが行われ、役割の再設定ができる。
【0040】
(親機・子機判定処理)
図5を用いて、第1実施形態に係る親機・子機判定処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る親機・子機判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図5に示す親機・子機判定処理は、図1に示す通信システム1に含まれる通信装置10-1から通信装置10-4がそれぞれ実行するものとして説明する。通信装置10-1の端末IDは「1」、通信装置10-2の端末IDは「2」、通信装置10-3の端末IDは「3」、通信装置10-4の端末IDは「4」であるものとする。
【0042】
管理部44は、自機の端末IDと、第2通信部22で受信した他の通信装置10の端末IDとを含む役割リストを生成する(ステップS20)。図6は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストの一例を示す図である。図6には、役割リスト51と、役割リスト52と、役割リスト53と、役割リスト54とが示されている。役割リスト51は、通信装置10-1の管理部44によって生成される。図1において、通信装置10-1は、通信装置10-2の通信範囲R2に含まれるため、役割リスト51は、自機の端末ID「1」と、受信した端末ID「2」とを含む。役割リスト52は、通信装置10-2の管理部44によって生成される。図1において、通信装置10-2は、通信装置10-1の通信範囲R1と、通信装置10-3の通信範囲R3とに含まれるため、役割リスト52は、自機の端末ID「2」と、受信した端末ID「1」と端末ID「3」とを含む。役割リスト53は、通信装置10-3の管理部44によって生成される。図1において、通信装置10-3は、通信装置10-2の通信範囲R2と、通信装置10-4の通信範囲R4とに含まれるため、役割リスト53は、自機の端末ID「3」と、受信した端末ID「2」と端末ID「4」とを含む。役割リスト54は、通信装置10-4の管理部44によって生成される。図1において、通信装置10-4は、通信装置10-3の通信範囲R3に含まれるため、役割リスト54は、自機の端末ID「4」と、受信した端末ID「3」とを含む。
【0043】
管理部44は、自機の端末ID値が最小であるか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、管理部44は、生成した役割リストに基づいて、自機の端末ID値が最小であるか否かを判定する。図1に示す例でいえば、通信装置10-1の管理部44は、自機の端末ID値が最小であると判定する。通信装置10-2から通信装置10-4の管理部44は、自機の端末ID値が最小でないと判定する。自機の端末ID値が最小であると判定された場合(ステップS22;Yes)、ステップS24に進む。自機の端末ID値が最小であると判定されない場合(ステップS22;No)、ステップS30に進む。
【0044】
ステップS22でYesと判定された場合、通信制御部46は、自機を親機に設定し、第2通信部22で周囲に親通知を送信する(ステップS24)。図1に示す例でいえば、通信装置10―1の通信制御部46が自機を親機に設定し、通信範囲R1内に親通知を送信する。そして、ステップS26に進む。
【0045】
管理部44は、役割リストを更新する(ステップS26)。ステップS26では、自機の役割を親機に設定した通信装置10が役割リストを更新する。図7は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。図1に示す例でいえば、通信装置10-1の管理部44は、役割リスト51の端末ID「1」に対応する役割に「M」を記載する。
【0046】
出力制御部42は、出力部26に緊急通報の音声を出力させる(ステップS28)。図1に示す例でいえば、通信装置10-1の出力部26が緊急通報の音声を出力する。そして、図4の処理を終了する。
【0047】
ステップS22でNoと判定された場合、通信制御部46は、所定の親通知受信期間に第2通信部22で他の通信装置10から親通知を受信したか否かを判定する(ステップS30)。所定の親通知受信期間は、例えば、10秒である。図1に示す例では、親通知を送信した通信装置10-1の通信範囲R1内には、通信装置10-2が存在しているので、通信装置10-2の通信制御部46は、第2通信部22で通信装置10-1から親通知を受信したと判定する。通信装置10-3と、通信装置10-4とは、通信範囲R1内に存在していないので、通信装置10-3と通信装置10―4との通信制御部46は、親通知を受信したと判定しない。第2通信部22で他の通信装置10から親通知を受信したと判定された場合(ステップS30;Yes)、ステップS32に進む。第2通信部22で他の通信装置10から親通知を受信したと判定されない場合(ステップS30;No)、ステップS38に進む。
【0048】
ステップS30でYesと判定された場合、通信制御部46は、自機を子機に設定し、第2通信部22で周囲に子通知を送信する(ステップS32)。図1に示す例でいえば、親通知を受信した通信装置10-2の通信制御部46が、自機を子機に設定し、通信範囲R2内に子通知を送信する。そして、ステップS34に進む。
【0049】
管理部44は、役割リストを更新する(ステップS34)。ステップS34では、役割を子機に設定した通信装置10が役割リストを更新する。図1に示す例では、通信装置10-2は、通信装置10-1から親通知を受信している。また、図1に示す例では、子通知を送信した通信装置10-2の通信範囲R2内に通信装置10-1と、通信装置10-3とが存在している。この場合、通信装置10-1から親通知を受信し、かつ自機を子機に設定した通信装置10-2がステップS30を実行する。同時に、図示しないが、子通知を受信した通信装置10-1と、通信装置10-3の管理部44も役割リストを更新する。図8は、ステップS34において、第1実施形態に係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。図1に示す例でいえば、通信装置10-1の管理部44は、役割リスト51の端末ID「2」に対応する役割に「S」を記載する。通信装置10-2の管理部44は、役割リスト52の端末ID「1」に対応する役割に「M」を記載し、端末ID「2」に対応する役割に「S」を記載する。また、通信装置10-2の管理部44は、役割リスト52において、親・子関係が決まったので、役割が決まっていない端末ID「3」を役割リスト52から削除する。通信装置10-3の管理部44は、役割リスト53の端末ID「2」の役割に「S」を記載する。そして、ステップS36に進む。
【0050】
出力制御部42は、出力部26から出力される緊急通報の音声をミュートする(ステップS36)。図1に示す例でいえば、通信装置10-2の出力制御部42は、出力部26から出力される緊急通報の音声をミュートする。そして、図4の処理を終了する。
【0051】
ステップS30でNoと判定された場合、通信制御部46は、所定の子通知受信期間に第2通信部22で他の通信装置から子通知を受信したか否かを判定する(ステップS38)。所定の子通知受信期間は、例えば、10秒である。図1に示す例では、子通知を送信した通信装置10-2の通信範囲R2内に、通信装置10-1と、通信装置10-2とが存在しているので、通信装置10-1と、通信装置10-3の通信制御部46は通信装置10-2から子通知を受信したと判定する。通信装置10-4は、通信範囲R2内に存在していないので、通信装置10-4の通信制御部46は子通知を受信したと判定しない。第2通信部22で他の通信装置10から子通知を受信したと判定された場合(ステップS38;Yes)、ステップS40に進む。第2通信部22で他の通信装置10から子通知を受信したと判定されない場合(ステップS38;No)、ステップS22に進む。
【0052】
ステップS38でYesと判定された場合、管理部44は、子通知を送信した通信装置10の端末IDを役割リストから削除する(ステップS40)。具体的には、管理部44は、自機が親機でなく、かつ親通知を受信しておらず、かつ他の通信装置10から子通知を受信した場合、受信した子通知を送信した他の通信装置10の端末IDを役割リストから削除する。図9は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。図1に示す例でいえば、通信装置10-3の管理部44は、役割リスト53から通信装置10-2の端末ID「2」を削除する。そして、ステップS22に進む。
【0053】
以降は、通信装置10-3と、通信装置10―4との間で、上述の処理が実行される。これにより、通信装置10-3と、通信装置10-4との役割リストが更新される。図10は、第1実施形態係る通信システムで生成される役割リストを更新する方法を説明するための図である。図10の役割リスト53と、役割リスト54とが示すように、通信装置10-3が親機に設定され音声を出力し、通信装置10-4が子機に設定され音声をミュートする。図4の処理は、通信システム1に含まれる通信装置10の全ての役割が決まると、終了する。
【0054】
上述のとおり、本実施形態は、通信装置は、自機の識別情報と、近距離無線通信可能な範囲にいる他の通信装置の識別情報とに基づいて、自機が親機または子機であるかを判定し、緊急情報の音声を出力するかまたはミュートするかを判定する。これにより、本実施形態は、緊急情報の音声を聴き取り易くすることができる。また、親機と子機の判定を通信装置の識別情報のみに基づいて判定するため、位置情報が取得できない場所でも有効に動作することができる。さらに、音声の聞こえる範囲と、近距離無線の電波の届く範囲との関係を調整することで、親機と子機の間隔を調整できるので聞き取り易さを調整することもできる。
【0055】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0056】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 通信システム
10 通信装置
20 第1通信部
22 第2通信部
24 入力部
26 出力部
28 記憶部
30 制御部
40 判定部
42 出力制御部
44 管理部
46 通信制御部
図1
図2
図3
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図8
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図10