(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099265
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】返鉱率予測方法、返鉱率制御方法、焼結鉱の製造方法、返鉱率予測モデルの生成方法及び返鉱率制御装置
(51)【国際特許分類】
C22B 1/20 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
C22B1/20 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215794
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】高尾 怜
(72)【発明者】
【氏名】安原 宏
(72)【発明者】
【氏名】酒向 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳也
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA40
4K001GA10
(57)【要約】
【課題】返鉱率を精度よく予測する返鉱率予測方法及び返鉱率予測モデルの生成方法などが提供される。
【解決手段】返鉱率予測方法は、焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、篩分機によって篩い落とされた返鉱の焼結鉱に対する割合である返鉱率を予測する返鉱率予測方法であって、焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、篩分けプロセスの操業パラメータと、に基づいて返鉱率を予測する予測ステップを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を予測する返鉱率予測方法であって、
前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータと、に基づいて前記返鉱率を予測する予測ステップを含む、返鉱率予測方法。
【請求項2】
前記予測ステップは、入力データとして、前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記返鉱率を出力データとする、機械学習により生成された返鉱率予測モデルを用いる、請求項1に記載の返鉱率予測方法。
【請求項3】
前記製造プロセスは、原料を配合する配合プロセスと、前記配合プロセスで配合された原料を造粒して前記焼結原料を生成する造粒プロセスとを含み、
前記入力データは、前記配合プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つ及び前記造粒プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つ、のいずれかを含む、請求項2に記載の返鉱率予測方法。
【請求項4】
前記篩分けプロセスの操業パラメータは、予め設定された篩の目開きに対応する基準粒径に対して、前記焼結鉱、成品及び前記返鉱のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径未満の重量の実測値を用いて算出される篩精度に関するデータを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の返鉱率予測方法。
【請求項5】
前記予測ステップは、前記焼成プロセスの操業パラメータを取得する時点を基準として、過去に取得された篩分けプロセスの操業パラメータの中から直近に取得された篩分けプロセスの操業パラメータを用いて、前記焼成プロセスの操業パラメータと対応付けることにより、前記返鉱率を予測する、請求項1から3のいずれか一項に記載の返鉱率予測方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の返鉱率予測方法を用いて予測した前記返鉱率と、予め設定された前記返鉱率の目標値との偏差が低減するように、前記焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する操作量算出ステップを含む、返鉱率制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の返鉱率制御方法を用いて算出された前記操作変数の操作量を用いて焼結鉱を製造する、焼結鉱の製造方法。
【請求項8】
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を予測する返鉱率予測モデルを生成する返鉱率予測モデルの生成方法であって、
入力実績データとして、前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記入力実績データに対応する前記返鉱率を出力実績データとした、複数の学習用データを用いた機械学習により返鉱率予測モデルを生成する、返鉱率予測モデルの生成方法。
【請求項9】
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を制御する返鉱率制御装置であって、
前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータと、を取得する取得部と、
入力データとして、取得された前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記返鉱率を出力データとする、機械学習により生成された返鉱率予測モデルを用いて前記返鉱率を予測する返鉱率予測部と、
予測された前記返鉱率と、予め設定された前記返鉱率の目標値との偏差が低減するように、前記焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する操作量算出部と、を含む、返鉱率制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、返鉱率予測方法、返鉱率制御方法、焼結鉱の製造方法、返鉱率予測モデルの生成方法及び返鉱率制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄業において、高炉の装入原料として、粉鉄鉱石、粉石灰石、粉コークスなどを混合して焼き固められた焼結鉱が用いられている。
【0003】
図1は、高炉の装入原料に使用する焼結鉱製造設備1の概要を示す図である。焼結鉱の原料は貯蔵槽に貯留されており、所定の配合比率に配合された原料がミキサーで水と混合されて、元の原料よりも粒径が大きな造粒物に加工される。造粒物は焼結機4に装入され、点火炉で点火された後、下方からの空気吸引により上方から下方へと層状に徐々に燃焼反応が進行する。焼成後の焼結鉱は、焼結機4から排出されて粉砕機5で砕かれた後、冷却機6へ送られる。冷却機6のダクト内で空気により冷却された後に、篩により選別されて、粒径が大きなものが良品(
図1の「成品15」)として高炉へ送られる。粒径が小さな焼結鉱(一例として粒径が5mm未満)は返鉱16となり、原料として貯蔵槽に再度投入される。
【0004】
ここで、返鉱率は焼成後の焼結鉱に占める返鉱の割合として定義される。つまり、返鉱率は、篩を用いて篩い落とされた焼結鉱の、焼成後の焼結鉱に対する割合である。返鉱率を減らして歩留りを改善する手法としては、焼結鉱が未焼成のまま焼結機を通過することを防止するために燃焼を促進させることが有効である。例えば、熱源である凝結材の配合比率を高めること、通気改善のため造粒時にバインダーとして作用する生石灰の配合比率を高めること、点火炉で着火しやすくするために上層の粉コークスの割合を増やすことが有効である。また、焼成時間を確保するために、パレットスピードを下げることが有効である。一方で、返鉱率の低減と生産性はトレードオフの関係にあるため、操業状況に応じて適切な目標値を設定して返鉱率を制御する必要がある。
【0005】
返鉱率は、篩による選別の後の工程で測定される。そのため、焼成を開始してから返鉱率が測定されるまで時間がかかり、一例として約2時間を要する。そのため、返鉱率が増加しても、検知されるのは例えば2時間後であり、是正のためのアクションが2時間遅れることになる。返鉱率が減少した場合も同様で、是正のためのアクションが遅れることになる。
【0006】
返鉱率の変動を早期に検知して制御するためには、将来の返鉱率を予測して事前にアクションを実施する必要がある。例えば特許文献1は、焼結鉱構成鉱物であるカルシュウムフェライト含有率、スラグ含有率、気孔径分布指数及び気孔率から返鉱量を予測する方法を開示する。特許文献2は、過去の事例毎の返鉱発生比を含む焼結処理に必要な操業条件データを蓄積したデータベースを生成し、生成したデータベースから局所回帰の手法を用いて、要求条件データに適合する返鉱発生比を演算して返鉱量を予測する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-11349号公報
【特許文献2】特開2010-7992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、上記従来技術には以下のような問題がある。特許文献1の方法は、物性同定のために抜き取り試験が必要であり、連続的に返鉱率を予測できない。そのため、返鉱率の変動を早期に検知することが難しい。特許文献2の方法は、過去の操業実績から得られる操業条件データと返鉱率との関係をデータベースに蓄積しておき、要求条件データに対応する過去の操業実績を探索することで返鉱率を早期に検知できる点で有効である。特許文献2の方法は、過去の操業実績から得られる操業条件データとして、焼結機及び冷却機6などの焼成設備に関する操業条件データを用いて、返鉱率の実績値と対応付ける。ここで、焼結鉱を選別する篩の状態は摩耗又は目詰まりによって経時的に変化する。特許文献2の方法は、篩の状態の経時的な変化による返鉱率への影響を考慮するものでないため、返鉱率の予測精度を向上させる上で改善の余地がある。
【0009】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。本開示の目的は、焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと篩分機を用いて焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおいて、返鉱率を精度よく予測する返鉱率予測方法及び返鉱率予測モデルの生成方法を提供することにある。本開示の他の目的は、成品となる焼結鉱の割合を向上させ、焼結鉱の歩留りを向上させる返鉱率制御方法及び返鉱率制御装置を提供することにある。また、本開示の他の目的は、歩留りの良好な焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本開示の一実施形態に係る返鉱率予測方法は、
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を予測する返鉱率予測方法であって、
前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータと、に基づいて前記返鉱率を予測する予測ステップを含む。
【0011】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記予測ステップは、入力データとして、前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記返鉱率を出力データとする、機械学習により生成された返鉱率予測モデルを用いる。
【0012】
(3)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記製造プロセスは、原料を配合する配合プロセスと、前記配合プロセスで配合された原料を造粒して前記焼結原料を生成する造粒プロセスとを含み、
前記入力データは、前記配合プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つ及び前記造粒プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つ、のいずれかを含む。
【0013】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記篩分けプロセスの操業パラメータは、予め設定された篩の目開きに対応する基準粒径に対して、前記焼結鉱、成品及び前記返鉱のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径未満の重量の実測値を用いて算出される篩精度に関するデータを含む。
【0014】
(5)本開示の一実施形態として、(1)から(4)のいずれかにおいて、
前記予測ステップは、前記焼成プロセスの操業パラメータを取得する時点を基準として、過去に取得された篩分けプロセスの操業パラメータの中から直近に取得された篩分けプロセスの操業パラメータを用いて、前記焼成プロセスの操業パラメータと対応付けることにより、前記返鉱率を予測する。
【0015】
(6)本開示の一実施形態に係る返鉱率制御方法は、
(1)から(5)のいずれかの返鉱率予測方法を用いて予測した前記返鉱率と、予め設定された前記返鉱率の目標値との偏差が低減するように、前記焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する操作量算出ステップを含む。
【0016】
(7)本開示の一実施形態に係る焼結鉱の製造方法は、
(6)の返鉱率制御方法を用いて算出された前記操作変数の操作量を用いて焼結鉱を製造する。
【0017】
(8)本開示の一実施形態に係る返鉱率予測モデルの生成方法は、
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を予測する返鉱率予測モデルを生成する返鉱率予測モデルの生成方法であって、
入力実績データとして、前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記入力実績データに対応する前記返鉱率を出力実績データとした、複数の学習用データを用いた機械学習により返鉱率予測モデルを生成する。
【0018】
(9)本開示の一実施形態に係る返鉱率制御装置は、
焼成設備を用いて焼結原料を焼成する焼成プロセスと、篩分機を用いて前記焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおける、前記篩分機によって篩い落とされた返鉱の前記焼結鉱に対する割合である返鉱率を制御する返鉱率制御装置であって、
前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータと、を取得する取得部と、
入力データとして、取得された前記焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記篩分けプロセスの操業パラメータとを含み、前記返鉱率を出力データとする、機械学習により生成された返鉱率予測モデルを用いて前記返鉱率を予測する返鉱率予測部と、
予測された前記返鉱率と、予め設定された前記返鉱率の目標値との偏差が低減するように、前記焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する操作量算出部と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、返鉱率を精度よく予測する返鉱率予測方法及び返鉱率予測モデルの生成方法を提供することができる。また、本開示によれば、成品となる焼結鉱の割合を向上させ、焼結鉱の歩留りを向上させる返鉱率制御方法及び返鉱率制御装置を提供することができる。また、本開示によれば、歩留りの良好な焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、高炉の装入原料を製造する焼結鉱製造設備の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、篩分機に使用される篩の例を示す図である。
【
図4】
図4は、焼結鉱の製造プロセスのフローを示す図である。
【
図5】
図5は、返鉱率予測モデル生成部の構成を説明する図である。
【
図6】
図6は、ニューラルネットワークを用いた機械学習による返鉱率予測モデルの生成を説明するための図である。
【
図7】
図7は、返鉱率を予測する返鉱率予測部の構成を説明する図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係る返鉱率制御装置の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係る返鉱率制御方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施例の返鉱率の予測結果と実績との誤差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態に係る返鉱率予測方法は、概要として、焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、篩分けプロセスの操業パラメータと、に基づいて返鉱率を予測する予測ステップを含む。従来技術では、使用する篩75(
図3参照)の摩耗又は目詰まりによって実質的な基準粒径が変化することを考慮することがなかった。これに対して、本実施形態に係る返鉱率予測方法では、篩分けプロセスの操業パラメータを用いる予測によって、生産能率及びコストに影響する返鉱率を、篩75の状態についての経時的変化も反映して予測することができる。以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る返鉱率予測方法、返鉱率制御方法、焼結鉱の製造方法、返鉱率予測モデルの生成方法及び返鉱率制御装置90(
図8参照)が説明される。
【0022】
(製造設備)
図1は、高炉の装入原料を製造する焼結鉱製造設備1の概要を示す図である。焼結鉱製造設備1は、配合槽2、造粒機3、焼結機4、粉砕機5、冷却機6及び篩分機7を含む。配合槽2は、複数の貯蔵槽であるサージホッパー21から構成される。複数のサージホッパー21の各々には焼結鉱の原料11の成分が貯蔵される。
【0023】
原料11の成分としては、例えば、赤鉄鉱、磁鉄鉱等の種々の鉄鉱石を含む鉄含有原料、石灰石及び生石灰等を含むCaO含有原料、ドロマイト及び精錬ニッケルスラグ等を含むMgO含有原料等が挙げられる。原料11の成分としては、さらに粉コークス及び無煙炭などの炭材(固体燃料)を含む。ここで、鉄含有原料には、製鉄所内に舞い上がるなどして発生した製鉄所内発生ダストが含まれてよい。また、篩分機7により選別されて、成品15とならなかった返鉱16は、サージホッパー21に貯蔵され、再び原料11とされる。
【0024】
配合槽2で貯蔵される原料11は、所定量が切り出され、配合原料搬送コンベア22により造粒機3に送られる。造粒機3は、例えばドラムミキサーである。造粒機3に投入された原料11には、適量の水が添加されて、例えば、平均粒径3.0~6.0mmの擬似粒子に造粒される。造粒機3は複数台用いてよく、また、ドラムミキサーに代えて、ペレタイザー造粒機等を用いてよい。造粒機3によって造粒された焼結原料12は、焼結原料搬送コンベア31によって焼結機4に搬送される。
【0025】
焼結機4は、例えば、下方吸引式のドワイトロイド式焼結機である。焼結機4は、焼結原料装入装置41と、無端移動式のパレット42と、点火炉43と、気体燃料供給装置44と、風箱(ウインドボックス45)と、を有する。焼結原料装入装置41には、焼結原料搬送コンベア31から焼結原料12が供給される。無端移動式のパレット42には、焼結原料装入装置41から焼結原料12が装入される。そして、無端移動式のパレット42は、一の方向(以下、搬送方向ともいう)に焼結原料12を搬送する。点火炉43は、パレット42の上方に設けられて、焼結原料12を焼結する。ウインドボックス45は、パレット42の下方に設けられて、吸引によって上方から下方に向かう気流を発生させる。
【0026】
焼結原料装入装置41は、給鉱ホッパーと、ドラムフィーダと、装入ゲートと、シュートと、を有する。焼結原料12は、給鉱ホッパーに供給され、ドラムフィーダによって切り出され、シュート上を滑り落ちてパレット台車を構成するパレット42に装入される。パレット42に装入された焼結原料12によって焼結原料12の装入層が形成される。
【0027】
点火炉43は、装入層の表面を点火(着火)して、装入層の上面から下面に向けて焼結反応を生じさせる。点火炉43は、カバーによって覆われており、装入層の表面を点火するバーナを備える。バーナは、点火炉43に装入される装入層の上面に向けて火炎を噴射する。これにより、装入層の上面にある炭材が点火する。装入層の上面で炭材が点火すると、装入層中の炭材が下方に向かって順次燃焼する。装入層内で炭材が燃焼すると焼結原料12の溶融帯を形成し、焼結反応が装入層の下方に向けて進行する。装入層はパレット42により連続的に搬送される。点火炉43内でバーナの位置に搬送される装入層の上面は連続的に点火し、パレット42の進行とともに装入層の上面から下面に向けて焼結反応が進み、焼結原料12が焼結された焼結ケーキ13が形成される。
【0028】
点火炉43を通過するパレット42の下方には、装入層の厚み方向の上方から下方に向かう気流を発生させるウインドボックス45を備える。ウインドボックス45はメインダクト46に接続されている。排風機47がメインダクト46内の気体を吸引することにより、ウインドボックス45は装入層の厚み方向の上方から下方に向かう気流を発生させる。排風機47は、例えばブロア又はポンプである。メインダクト46と排風機47との間には集塵機48が備えられ、メインダクト46に排気される気体に含まれるダスト等を除去してよい。排風機47は煙突49と接続される。メインダクト46から排気した気体は有害物が取り除かれた後に排出される。
【0029】
点火炉43を通過するパレット42の下方にウインドボックス45を設けることにより、装入層中の炭材の燃焼反応が下方に向かって促進され、効率的に焼結ケーキ13を形成できる。
【0030】
パレット42の進行方向における点火炉43の下流側に、気体燃料供給装置44が設けられてよい。気体燃料供給装置44は、装入層の上方に設置したフード内に気体燃料を供給することにより、高温状態を維持することが難しい装入層の上面の温度を高く維持できる。ただし、焼結鉱製造設備1は気体燃料供給装置44を備えない構成であってよい。
【0031】
焼結機4により焼結ケーキ13が形成されると、焼結ケーキ13はクラッシャー(粉砕機5)に送られる。具体的には、パレット42の進行方向の傾斜部で焼結ケーキ13が落下する。落下する焼結ケーキ13を受け止めるガイド部(クラッシングガイド)が設けられており、焼結ケーキ13はガイド部から粉砕機5に案内される。粉砕機5は、例えばロールクラッシャーである。
【0032】
焼結ケーキ13は、粉砕機5により概ね300mm以下に粉砕され、焼結鉱となる。ただし、粉砕機5により形成される焼結鉱は、高温の状態(例えば500~700℃)であるため、クーラー(冷却機6)により100℃以下まで空冷により冷却される。
【0033】
冷却機6は、例えば押込通風式円形クーラー又は水封式円形クーラーが用いられる。押込通風式円形クーラーは、焼結鉱を円形の軌道で搬送するトラフ台車に対して、送風機を用いて空気を押し込む。水封式円形クーラーは、焼結鉱を円形の軌道で搬送するトラフ台車と、送風部との間のシールを水封で実現することにより漏風を低減できる。粉砕機5により形成された焼結鉱はトラフ台車上に堆積する。トラフ台車下部には通風口が設けられており、送風機によって送られた空気が通風口からトラフ台車上に堆積した焼結鉱の空隙を通過することにより焼結鉱が冷却される。このとき焼結鉱を通過した冷却空気は熱交換により高温となっているため、別途設けられるボイラーなどの排熱回収設備により回収されて、蒸気として利用される。したがって、排熱回収効率の向上のために、冷却機6にはトラフ台車を囲むようにフードが設けられている。すなわち、送風機からトラフ台車、排熱回収設備間は漏風が少なくなるようにシールされている。
【0034】
以上のように、焼結機4、粉砕機5及び冷却機6は、造粒機3で造粒された焼結原料12から焼結鉱を生成するための一連の設備を構成することから、本実施形態において、これらを焼成設備(
図4参照)と称する。
【0035】
冷却機6によって冷却された焼結鉱は、篩分機7に送られる。篩分機7は、予め使用する篩75の目開き(孔の大きさ)が設定されている。篩75の目開きは、選別する焼結鉱の粒径(基準粒径と呼ぶ)を決定する。すなわち、篩分機7の篩75によって選別され、基準粒径未満の焼結鉱が篩い落とされて篩下焼結鉱とされ、基準粒径以上の焼結鉱が篩上に残されて篩上焼結鉱となる。そして、篩分機7により選別される基準粒径以上の焼結鉱が成品15となり、基準粒径未満の焼結鉱が返鉱16となる。例えば、篩分機7に用いる篩75によって、基準粒径は3~5mmに設定される。篩分機7により選別された成品15は、高炉原料として高炉に装入される。一方、返鉱16は、配合槽2に搬送されて焼結鉱の原料11として用いられる。
【0036】
本実施形態における返鉱率は、焼成設備で生成した焼結鉱に対する篩分機7によって選別された返鉱16の割合(重量比率)として定義される。すなわち、返鉱率が小さいほど、焼結鉱に占める成品15の割合が大きいため、高炉へ所定粒径の焼結鉱をより多く供給できることになり、製造プロセスの歩留まりが向上する。一方、返鉱率が大きいと、焼結鉱に占める成品15の割合が小さくなるため、高炉への供給できる所定粒径の焼結鉱が少なくなり、改めて焼成を行う必要が生じる。その結果、製造プロセスの歩留まりが低下し、成品15の製造コストが増大する。また、返鉱率が大きくなると、配合槽2に返却される焼結鉱の量が多くなるため、返鉱16を貯留するサージホッパー21の貯留レベルの変動が大きくなる。その結果、原料11の配合比率に制約が生じて、成品15の強度が変動しやすくなるという問題が生じ得る。
【0037】
図2は篩分機7の概略構成を示す。
図2に示す篩分機7は、先行篩71、最終篩72及び篩分用粉砕機73を備えている。先行篩71は、大きな焼結鉱を選別する予備処理を行うための篩75である。先行篩71の目開きは、例えば200mmに設定されている。先行篩71の篩上の焼結鉱は篩分用粉砕機73により200mm以下の焼結鉱に粉砕される。そして、先行篩71による篩い落とされた焼結鉱と篩分用粉砕機73により粉砕された焼結鉱が最終篩72によって選別される。最終篩72の目開きは成品15と返鉱16とを選別するように基準粒径に対応しており、最終篩72の篩上焼結鉱が成品15に、篩下焼結鉱が返鉱16となる。ここで、篩分機7には、目開きが大きい篩75から順に複数段の篩75が用いられてよく、段階的に成品15を選別しててよい。その場合、最終段で使用される篩75として、基準粒径に対応する目開きのものが用いられる。
【0038】
図3は篩分機7に使用される篩75の例を示す。
図3に示す篩75は、鋼板76に複数の穿孔部77を形成したものが用いられる。鋼板76は、例えば板厚4.5~6.5mmのものが用いられる。鋼板76のサイズは、例えば、縦1200mm×横2350mmのものが用いられる。穿孔部77は、基準粒径以上の焼結鉱が篩上に残るように形成され、基準粒径未満の焼結鉱が篩い落とされるように形成される。穿孔部77の形状は、長孔が一般的である。この場合、長孔の短辺長さが基準粒径と一致するように形成し、長辺長さが基準粒径よりも大きくなるように形成する。一例として、短辺長さ5mm、長辺長さ25mm、鋼板76の面積に対する穿孔部77の面積比率である開口率が35%の篩75が用いられる。これにより、基準粒径未満の焼結鉱が穿孔部77を通過することにより篩下焼結鉱となる。ただし、焼結鉱の形状によっては、焼結鉱の体積から換算される平均粒径が基準粒径以上であっても穿孔部77を通過して篩下焼結鉱となることもある。いずれにしても、篩75に形成される穿孔部77を通過する焼結鉱が返鉱16となり、穿孔部77を通過しなかった焼結鉱が成品15となる。
【0039】
製造プロセスにおいて、単位時間当たりに搬送される成品15の重量M1が測定されると共に、単位時間当たりに搬送される返鉱16の重量M2が測定される。成品15の重量M1は、成品15を搬送するコンベアに配置される重量センサによって測定される。返鉱16の重量M2は、返鉱16を搬送するコンベアに配置される重量センサによって測定される。製造プロセスにおける実績としての返鉱率(R)は、以下の式(1)を用いて特定される。
【0040】
R=M2/(M1+M2) 式(1)
【0041】
また、焼結鉱を篩分機7に搬送するコンベアに重量センサを配置して、単位時間当たりに搬送される焼結鉱の重量M1+M2を測定し、式(1)を用いて返鉱率Rが特定されてよい。重量センサは、コンベアで搬送される被搬送物の重量を測定できるものであればよく、例えば、メリック式又はロードセル式の重量センサを用いることができる。ただし、成品15及び返鉱16の重量は、搬送中の焼結鉱をコンベア上で撮像した画像から推定する方法(例えば、特開2002-139312号公報参照)で測定されてよい。また、別の方法として、成品15及び返鉱16の重量は、レーザビームを用いた3次元スキャニングによる方法(例えば、特開2001-304813号公報参照)で測定されてよい。これらの重量測定方法は、オンラインで実行できるため、返鉱率の実績データを連続的に取得することができる。そのため、返鉱率の実績データは、例えば、1秒~5分程度の時間間隔で連続的に取得できる。
【0042】
焼結鉱製造設備1は、焼結鉱の製造プロセスを制御する制御用計算機74によって動作を制御される。制御用計算機74は、焼結鉱製造設備1に含まれる構成であってよい。制御用計算機74は、焼結鉱製造設備1に対して製造指示を与える上位計算機70からの指示に応じて焼結鉱製造設備1を構成する各設備を動作させる。制御用計算機74は、配合槽2、造粒機3、焼結機4、粉砕機5、冷却機6及び篩分機7が取得する操業データを収集するように、各設備と通信可能に接続されている。
【0043】
(製造プロセスと操業パラメータ)
図4は、焼結鉱の製造プロセスのフローを示す。
図4に示す製造プロセスは、原料11を配合する配合プロセス、焼結原料12を生成する造粒プロセス、焼結鉱を生成する焼成プロセス及び成品15と返鉱16とに選別する篩分けプロセスにより構成される。また、焼成プロセスは、焼結原料12から焼結ケーキ13を生成する焼結プロセス、焼結ケーキ13を粉砕する粉砕プロセス及び粉砕された焼結ケーキ13を冷却し焼結鉱を生成する冷却プロセスを含む。本実施形態では、上記の製造プロセスを構成する各プロセスにおいて特定される操業条件のことを操業パラメータと呼ぶ。本実施形態における操業パラメータは、焼結鉱に含まれる成品15の割合である焼結鉱の歩留り及び返鉱率に影響を与え得る各プロセスの操業条件を意味する。
【0044】
図4に示す製造プロセスでは、先ず、配合槽2で貯蔵される原料11が、所定の配合比率で配合される(配合プロセス)。配合プロセスでは、鉄含有原料、CaO含有原料、MgO含有原料などの原産地を表す原料銘柄が特定されており、これらが予め設定された配合比率で配合される。配合プロセスでは、凝結材である炭材の配合比率及びサージホッパー21に貯留された返鉱16の配合比率が特定されている。配合プロセスで配合される原料11の銘柄及び配合比率は、焼結プロセスで生成する焼結鉱の強度に影響を与えることから、焼結鉱の粒径分布と相関がある。そのため、配合プロセスの操業パラメータとして、原料銘柄と、凝結材の配合比率、生石灰の配合比率及び鉄鉱石の配合比率の少なくとも1つとが用いられてよい。さらに、配合プロセスの操業パラメータとして、原料11における水分量(原料水分量)が特定されていることがある。ここで、これらの配合プロセスの操業パラメータは、原料11に由来する操業条件として、原料11に関するデータと呼ぶことがある。
【0045】
配合プロセスにより配合された原料11は、造粒機3を用いて造粒されて、焼結原料12が生成される(造粒プロセス)。造粒プロセスでは、原料11に添加する散水流量が設定されており、所定の水分量を添加して造粒が行われる。また、造粒プロセスにおいて造粒された疑似粒子の粒径が測定されることがあり、例えば焼結原料12の平均粒径が特定されていてよい。これらは、焼成プロセスにおいて生成される焼結鉱の強度に影響を与えることから、焼結鉱の粒径分布と相関がある。そのため、造粒プロセスの操業パラメータとして、造粒プロセスにおいて添加される水分量又は焼結原料12の平均粒径を用いることができる。
【0046】
造粒プロセスにより生成した焼結原料12は、焼成設備に送られて焼成プロセスが実行される。焼成プロセスは、焼結機4により実行される焼結プロセス、粉砕機5により実行される粉砕プロセス及び冷却機6により実行される冷却プロセスを含む。
【0047】
焼結プロセスでは、焼結機4の焼結原料装入装置41により焼結原料12がパレット42に供給された装入層を形成する。そして、点火炉43により装入層の表面を点火することにより装入層に焼結反応を生じさせ、パレット42が装入層を搬送する間に、装入層の上面から下方に向かって順次焼結反応を生じさせる。点火炉43のバーナの燃料ガスには、石炭ガス、都市ガス、天然ガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、シェールガスから選択される1以上の燃料が用いられる。焼結プロセスでは、メインダクト46に接続されるウインドボックス45により、装入層の厚み方向の上方から下方に向かう気流が発生するので、これにより装入層の焼結反応が促進される。焼結プロセスにより焼結原料12が焼成され、焼結ケーキ13が生成される。
【0048】
焼結プロセスにおける焼結反応には、装入層の厚み、パレット42による装入層の搬送速度及びウインドボックス45による排気ガスの流量が影響を与える。したがって、焼結プロセスの操業パラメータとして、これらのデータを用いることができるが、これらに限定されない。例えば焼結プロセスの操業パラメータは、ウインドボックス45を介して排風機47によって排出される排気ガスの成分の濃度を用いてよい。具体例としてNOx濃度(排気ガスNOx濃度)、O2濃度(排気ガスO2濃度)、SOx濃度(排気ガスSOx濃度)、CO濃度(排気ガスCO濃度)、CO2濃度(排気ガスCO2濃度)及び温度(排気ガス温度)が用いられてよい。排気ガスに含まれるガス成分は、点火炉43のバーナの燃焼状態又は装入層に生じる焼結反応の状態によって変化する。例えば熱が不足した場合に、CO分圧が低下して排気ガスのNOx濃度が増加する。つまり、NOx濃度の増加は、焼結プロセスにおいて熱が不足する現象に対応する。すなわち、排気ガスのNOx濃度、O2濃度、SOx濃度、CO濃度、CO2濃度及び排気ガス温度は、装入層に生じる焼結反応と相関があり、焼結鉱の強度に影響を与えることから、これらを焼結プロセスの操業パラメータとしてよい。ここで、点火炉43から排出される排気ガスの成分及び温度は、メインダクト46又は排風機47に配置されるガス濃度計又は温度計を用いて特定される。
【0049】
粉砕プロセスは、焼結プロセスによって生成した焼結ケーキ13を、粉砕機5により粉砕する。粉砕プロセスの操業パラメータとして、粉砕機5を駆動する動力源の電流値又は電力が用いられてよい。粉砕機5の動力によって焼結ケーキ13に付与される仕事量が変化するので、焼結鉱の粒径分布に影響を与える。
【0050】
冷却プロセスは、粉砕プロセスによって粉砕された焼結ケーキ13を空冷により冷却し、焼結鉱を生成する。冷却プロセスの操業パラメータとしては、冷却機6のダクト内で測定されるダクト内圧力又は送風圧力を用いることができる。ダクト内圧力又は送風圧力によって冷却プロセスにおける焼結ケーキ13の冷却速度が変化して、これにより熱応力の大きさに影響を与えることがある。また、強度が高い焼結鉱は、内部における空隙率が小さいことが多い。空隙率が小さいと、焼結鉱の内部の通気性が低下することから、冷却プロセスにおけるダクト内圧力が高くなる。一方、粉砕された微細な焼結鉱がトラフ台車上に堆積すると、冷却機6内の通気が阻害されるためダクト内圧力が高くなる。いずれにしても、ダクト内圧力と焼結鉱の強度とは関連があり、焼結鉱の粒径分布と相関関係がみられる。ダクト内圧力、送風圧力は、例えばクーラーに設けられた圧力計によって測定される。ひずみゲージ式、金属ゲージ式、半導体ゲージ式、半導体隔膜式の圧力計を用いることができる。
【0051】
篩分けプロセスは、篩分機7を用いて焼成プロセスで生成される焼結鉱の篩分けを実行する。篩分けプロセスは、焼成プロセスにより生成した焼結鉱を、成品15と返鉱16とに選別する。成品15は、高炉原料として高炉に装入される。一方、返鉱16は配合槽2に搬送されて再び原料11として用いられる。篩分けプロセスでは、成品15と返鉱16とを選別するための基準粒径が設定されている。そして、最終篩72として、基準粒径以上の焼結鉱が篩上焼結鉱となると共に、基準粒径未満の焼結鉱が篩い落とされるように、篩75の目開きが設定される。
図3に示す篩75の例のように、穿孔部77の短辺長さが基準粒径に一致するように最終篩72の目開きが設定されてよい。篩分けプロセスの操業パラメータには、基準粒径、最終篩72に設定される目開きに関するデータを用いることができる。基準粒径は、焼結鉱に対する返鉱16の比率に直接的に影響を与える。最終篩72に設定される目開きに関するデータは、穿孔部77の寸法又は形状に関連するものであり、短辺長さと長辺長さにより特定されてよい。穿孔部77の寸法又は形状によって、最終篩72によって篩い落とされる焼結鉱の比率が変化するからである。また、篩分けプロセスの操業パラメータとして、
図2に示す篩分用粉砕機73を駆動する電動機の動力が用いられてよい。先行篩71によって篩上に残留する大きな焼結鉱を、篩分用粉砕機73によって粉砕する操業条件によって、最終篩72に供給される焼結鉱の粒径分布が変化することにより、焼結鉱の歩留りに影響を与えるからである。
【0052】
一方、篩分けプロセスの操業パラメータとして、基準粒径に対して、焼結鉱、成品15及び返鉱16のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径以下の重量の実測値を用いて算出される篩精度に関するデータを用いることが好ましい。ここで、基準粒径は、予め設定された篩75の目開きに対応するように定められる粒径である。篩精度に関するデータは、篩分機7による成品15と返鉱16の選別の精度に関連する情報である。篩分機7の最終篩72は、新たに穿孔部77が形成されてから篩分機7で使用される期間において、鋼板76の穿孔部77の摩耗又は穿孔部77への焼結鉱の目詰まりによって、最終篩72により篩い落とされる焼結鉱の比率が変化する。特に、焼成プロセスを経た焼結鉱は比較的硬質であり、その形状も角部を有することから、焼結鉱が篩75にかけられる際にアブレシブ摩耗が進行して穿孔部77の実質的な寸法又は形状が変化する。また、篩分けプロセスでは、最終篩72の穿孔部77に基準粒径と同程度の焼結鉱が詰まりを生じさせることにより、穿孔部77の大きさが実質的に小さくなることがあり、これにより最終篩72により篩い落とされる焼結鉱の比率が変化する。篩精度に関するデータは、上記のように篩75の経時的な状態変化に関連するデータである。
【0053】
より詳細に説明すると、製造プロセスにおける成品15と返鉱16は、篩分機7によって篩上焼結鉱と篩下焼結鉱とに選別される。篩上焼結鉱と篩下焼結鉱のそれぞれが専用のコンベアによって運搬される。篩上焼結鉱が高炉に供給され、篩下焼結鉱が配合槽2に返却される。そのため、篩分機7に用いられる篩75の選別精度が変化して、成品15に基準粒径未満の焼結鉱が含有する。同様に、返鉱16に基準粒径以上の焼結鉱が含有する。しかし、成品15に基準粒径未満の焼結鉱が一定程度含まれていても、直ちに高炉の操業において品質上の不具合が発生することはない。同様に、返鉱16に基準粒径以上の焼結鉱が一定程度含まれていても、直ちに造粒プロセス又は焼成プロセスなどに品質上の不具合が発生することはない。よって、篩分機7によって焼結鉱が基準粒径に基づいて必ずしも精度よく選別されている必要はない。しかし、製造プロセスで発生する返鉱率は、焼結鉱製造設備1及び高炉の生産能力に対して大きな影響を与え、成品15の製造コストに影響を与えることから、篩分機7による選別の精度が変化することを前提に返鉱率を予測する必要がある。
【0054】
例えば特許文献2に開示される方法のような従来技術では、データベースに、過去の操業実績から得られる操業条件データと返鉱率との関係が記憶されている。したがって、データベースに蓄積される返鉱率には、篩分機7による選別の精度が変化することの影響が反映されているといえる。しかし、焼成プロセスの操業条件が変化すると、比較的短い時間スパン(例えば1~3時間)で返鉱率に影響が生じるのに対して、篩精度に関するデータは比較的長い時間スパン(例えば、6~48時間)で変化するという違いがある。比較的長い時間スパンは、篩75の摩耗又は目詰まりに対応する時間スパンである。また、上記のようにして形成されるデータベースには、篩精度が高い状態で取得される返鉱率と、篩精度が低下した状態で取得される返鉱率との両者を含む。そのため、このようなデータベースを用いた返鉱率の予測には改善の余地がある。本実施形態において、返鉱率の予測に対して、篩分けプロセスの操業パラメータを説明変数として含むのは、このような問題点に対して返鉱率の予測精度を高めるである。
【0055】
以下、本実施形態における篩精度に関するデータが具体的に説明される。篩精度に関するデータは、予め設定された篩75の目開きに対応する基準粒径に対して、焼結鉱、成品15及び返鉱16のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径未満の重量の実測値を用いて算出される。基準粒径は、篩分けプロセスにおいて成品15と返鉱16とを選別するための基準となる焼結鉱の粒径である。これに対して、篩75の目開きとして、最終篩72の穿孔部77の形状と大きさとが設定されている。そして、焼結鉱に含まれる基準粒径未満の焼結鉱の重量は、篩分機7に供給される焼結鉱からサンプル(篩前サンプルと呼ぶ)を採取して、オフライン測定により篩前サンプルに含まれる基準粒径未満の焼結鉱の重量P0を測定できる。また、篩分機7により選別された成品15からサンプル(篩上サンプルと呼ぶ)を採取して、オフライン測定により篩上サンプルに含まれる基準粒径未満の重量P1を測定することができる。同様に、篩分機7により選別された返鉱16からサンプル(篩下サンプルと呼ぶ)を採取して、オフライン測定により篩下サンプルに含まれる基準粒径未満の重量P2を測定することができる。本実施形態では、このようにしてオフラインで測定される重量P0、P1及びP2の少なくとも1つから篩精度に関するデータを算出する。
【0056】
篩精度に関するデータとして、篩前サンプルに含まれる基準粒径未満の焼結鉱の重量P0を用いる場合、篩前サンプルの重量をM0とすると、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率(基準返鉱率と呼ぶ)RI0は、P0/M0により算出される。これに対して、篩前サンプルを取得する時点の返鉱率の実績データR0を参照して、篩精度変数SをR0/RI0によって算出することができる。このようにして算出される篩精度変数Sは、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率に対する実際の返鉱率の比を表す。したがって、篩分機7による成品15と返鉱16の選別の精度に関するデータとして用いることができる。
【0057】
また、篩精度に関するデータとして、篩上サンプルに含まれる基準粒径未満の焼結鉱の重量P1を用いる場合、篩前サンプルの重量がM1/(1-R1)により算出される。ここで、篩上サンプルの重量がM1で、篩上サンプルを取得する時点の返鉱率の実績データがR1である。したがって、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率RI1は、P1×(1-R1)/M1により算出され、篩精度変数SはR1/RI1によって算出できる。これにより、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率に対する実際の返鉱率の比を表すことができ、篩分機7による成品15と返鉱16の選別の関する関連するデータとして用いることができる。
【0058】
さらに、篩精度に関するデータとして、篩下サンプルに含まれる基準粒径未満の焼結鉱の重量P2を用いる場合、篩前サンプルの重量がM2/R2により算出される。ここで、篩下サンプルの重量がM2で、篩下サンプルを取得する時点の返鉱率の実績データがR2である。したがって、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率RI2は、P2×R1/M2により算出され、篩精度変数SはR2/RI2によって算出できる。これにより、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率に対する実際の返鉱率の比を表すことができ、篩分機7による成品15と返鉱16の選別の精度に関するデータとして用いることができる。
【0059】
以上のように、予め設定された篩75の目開きに対応する基準粒径に対して、焼結鉱、成品15及び返鉱16のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径未満の重量の実測値を用いて算出される篩精度に関するデータが用いられる。このことにより、篩分機7による成品15と返鉱16の選別の精度に関するデータを特定でき、特定されたデータを用いることで返鉱率の予測精度を向上させることができる。ここで、篩精度に関するデータは上記に限定されない。例えば、予め設定された篩75の目開きに対応する基準粒径に対して、焼結鉱、成品15及び返鉱16のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径以上の重量の実測値を用いても同様の効果が得られる。つまり、篩精度に関するデータは、篩分機7によって選別される理論上の返鉱率と実測される返鉱率のデータとの関係を変数として算出したものを用いればよい。
【0060】
篩精度に関するデータは、オフライン測定により特定する必要がある。すなわち、焼結鉱、成品15及び返鉱16のうち少なくとも1つのサンプルに含まれる基準粒径未満の重量の実測値は、オフライン測定により取得される。サンプルに含まれる基準粒径未満の重量の測定には、精度が検証された篩75を用いて、基準粒径未満の焼結鉱と基準粒径以上の焼結鉱に選別し、基準粒径未満に選別された焼結鉱の重量を測定する。ただし、サンプルに含まれる基準粒径未満の重量の測定は、篩75を用いたものに限定されない。複数の目開きを有する篩75を用いてサンプルの粒径分布(粒度分布)を測定することにより、サンプルに含まれる基準粒径未満の重量比率が特定されてよい。また、特定された重量比率に基づいてサンプルに含まれる基準粒径未満の重量が算出されてよい。粒径分布の測定は、例えばレーザ回折/散乱式粒子径分布測定又は画像処理法などの方法を適用してよい。
【0061】
篩精度に関するデータは、オフライン測定により特定する。そのため、篩精度に関するデータは、短い時間周期で特定することが難しい。篩精度に関するデータは、例えば30~90分に1回の頻度で取得できる。したがって、製造プロセスの操業中に随時篩精度に関するデータを取得しておき、最新の測定データが現時点の篩精度に関するデータとされてよい。篩精度に関するデータは、篩75の摩耗又は目詰まりといった比較的長期の時間スパンで変化することから、次のオフライン測定までの間に急激な変化をしないと推定できるからである。また、篩精度に関するデータは、最新の測定データを含む過去に測定されたデータを記憶しておき、複数回のオフライン測定で取得した基準粒径未満の重量の平均値を用いてよい。この場合、基準期間として1~2日間を設定しておき、最新の測定データを含む基準期間内のデータについて移動平均を算出して、算出された移動平均が篩精度に関するデータとされてよい。篩精度に関するデータは、篩75の摩耗又は目詰まりといった比較的長期の時間スパンで変化するものであり、オフライン測定ごとの測定ノイズを除去できる点で好ましい。
【0062】
(返鉱率予測モデルの生成)
以下、本開示に係る返鉱率予測モデルの生成方法を実行する返鉱率予測モデル生成部80が説明される。返鉱率予測モデル生成部80は、焼結鉱製造設備1において、制御用計算機74が取得する焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、篩分けプロセスの操業パラメータと、を入力実績データに含める。そして、返鉱率予測モデル生成部80は、返鉱率の実績データを出力実績データとした、複数の学習用データを用いた機械学習によって、返鉱率を予測する返鉱率予測モデルを生成する。また、返鉱率予測モデルは、入力実績データとして、さらに配合プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つの実績データ及び造粒プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つの実績データ、のいずれかを含むことが好ましい。
【0063】
図5は、返鉱率予測モデル生成部80の構成を説明する図である。
図5に示すように、返鉱率予測モデル生成部80は、データベース部81と機械学習部82を備えている。データベース部81は、制御用計算機74が取得した焼成プロセスの操業パラメータと、篩分けプロセスの操業パラメータと、返鉱率の実績データを蓄積する。さらに、必要に応じて、配合プロセスの操業パラメータ又は造粒プロセスの操業パラメータの実績データが蓄積されてよい。データベース部81に蓄積する実績データは、制御用計算機74又は制御用計算機74に製造指示を与える上位計算機70に保存されている情報を適宜取得するようにしてよい。ただし、データベース部81に蓄積する実績データは、制御用計算機74又は上位計算機70と通信可能に接続された操業データサーバ94(
図8参照)を介して取得するようにしてよい。
【0064】
返鉱率予測モデル生成部80には、データベース部81に蓄積する実績データを収集するためにデータ取得部83が設けられてよい。データ取得部83において実績データが一旦保存されて、複数種の実績データを対応付けたデータセットを生成した後に、データベース部81に蓄積されるようにしてよい。
【0065】
データ取得部83は、返鉱率の実績データを特定できるタイミングを基準とした遅れ時間を考慮して複数種の実績データを対応付けることが好ましい。ここで、返鉱率を特定できるタイミングは、例えば焼結機4で焼結原料12を焼成した後に、篩分機7により成品15と返鉱16とに選別される処理の実行時である。この判定時の焼結鉱の粒径分布に影響した操業パラメータの実績データが、上記の遅れ時間を考慮して取得される。すなわち、焼結鉱の製造プロセスでは、原料11の配合プロセス、造粒プロセス、焼結プロセス、粉砕プロセス、冷却プロセス及び篩分けプロセスの各プロセスが順を追って実行される。そのため、配合プロセスが実行されてから返鉱率の実績データが特定される篩分けプロセスまでには3時間程度の遅れ時間が生じる。また、焼結プロセスが実行されてから篩分けプロセスまでには2時間程度の遅れ時間が生じる。さらに、冷却プロセスが実行されてから篩分けプロセスまでには1時間程度の遅れ時間が生じる。そのため、データ取得部83は、篩分けプロセスにおいて取得される返鉱率の実績データを、各プロセスが実行された時点での操業パラメータと対応付ける。製造プロセスにおける操業条件の実績データと返鉱率の実績データとが適切に対応付けられたデータセットが生成されるので、返鉱率予測モデルの予測精度を向上させることができる。ここで、遅れ時間は、各プロセスを制御する制御用計算機74又は制御用計算機74に製造指示を与える上位計算機70に保存されている情報を用いて特定すればよい。
【0066】
一方、篩分けプロセスの操業パラメータとして、篩精度に関するデータを用いる場合には、篩精度に関するデータはオフライン測定によって特定される。したがって、データ取得部83は、過去に取得された篩精度に関するデータの中から、返鉱率の実績データを特定できるタイミングを基準とした最新の篩精度に関するデータを返鉱率の実績データと対応付けるとよい。返鉱率の実績データが取得できる周期(例えば1~5分)に比べて、篩精度に関するデータの変化が小さいため返鉱率の予測精度への影響は小さい。また、篩精度に関するデータは、最新の測定データを含む基準期間(例えば1~2日間)内のデータについて移動平均を算出したものを、現時点で取得される返鉱率の実績データと対応付けてよい。ここで、返鉱率の実績データと篩分けプロセスの操業パラメータとは、いずれも篩分けプロセスにおいて取得されるため、上記の遅れ時間を考慮する必要はない。
【0067】
返鉱率予測モデル生成部80は、焼結鉱製造設備1を制御する制御用計算機74に設けることができる。また、返鉱率予測モデル生成部80は、制御用計算機74に製造指示を与える上位計算機70に設けてよく、他の機器と通信可能である独立の計算機に設けてよい。また、返鉱率予測モデル生成部80は、データベース部81に蓄積されたデータセットを受信可能な装置を用いてデータベース部81とは別の装置に構成してよい。
【0068】
データベース部81には、焼結鉱の製造プロセスを実行した6か月以上の操業データが蓄積されるとよく、好ましくは1年以上、より好ましくは2年以上の操業データが蓄積されるとよい。また、データベース部81には、30,000個以上のデータセットが蓄積される。好ましくは200,000個以上、より好ましくは500,000個以上である。データベース部81に蓄積されるデータについては、必要に応じてスクリーニングが行われる場合がある。また、データベース部81に蓄積されるデータセットは、一定のデータセット数を上限として、その上限内でデータベース部81に蓄積されるデータセットを適宜更新してよい。また、一定の期間に得られた最新の操業データにより、データベース部81に蓄積されるデータセットが更新されてよい。
【0069】
機械学習部82は、データベース部81に蓄積されたデータセットを用いて、制御用計算機74で取得した焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、篩分けプロセスの操業パラメータとを入力実績データに含める。また、機械学習部82は、入力実績データに対応する返鉱率を出力実績データとした、複数の学習用データを用いた機械学習により返鉱率予測モデルを生成する。返鉱率予測モデルは、入力実績データとして、配合プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つを含んでよい。また、返鉱率予測モデルは、入力実績データとして、造粒プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つを含んでよい。返鉱率予測モデルを生成するための機械学習は、実用上十分な返鉱率の予測精度が得られればよく、特定の手法に限定されない。例えばニューラルネットワーク(深層学習又は畳み込みニューラルネットワーク等を含む)、決定木学習、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等が用いられてよい。また、複数のモデルを組み合わせたアンサンブルモデルが用いられてよい。また、k-近傍法又はロジスティック回帰のような分類モデルが用いられてよい。
【0070】
例えば、
図6に示すような一般的なニューラルネットワークを用いた機械学習により返鉱率予測モデルを生成することができる。
図6中の符号L1,L2,L3はそれぞれ入力層、中間層及び出力層を示す。特に深層学習を用いると多重共線性の問題を考慮せず、返鉱率と相関関係を有する他の操業パラメータも入力として自由に選択できるため、返鉱率の予測精度を高めることができる。例えばニューラルネットワークの中間層を1層、ノード数を4個ずつとし、活性化関数としてReLU(Rectified Linear Unit)を用いるものを用いることができる。
【0071】
機械学習部82は、データベース部81に蓄積されたデータセットを訓練データとテストデータに分けて学習を行うことにより返鉱率の予測精度を向上させてよい。例えば機械学習部82は、訓練データを用いてニューラルネットワークの重み係数の学習を行い、テストデータでの返鉱率の正解率が高くなるようにニューラルネットワークの構造(中間層の数及びノード数)を適宜変更しながら返鉱率予測モデルを生成してよい。重み係数の更新には、誤差伝播法を用いることができる。ここで、返鉱率予測モデルは、例えば6ヶ月毎又は1年毎に再学習により新たなモデルに更新してよい。データベース部81に保存されるデータが増えるほど、精度の高い返鉱率の予測が可能となるからであり、最新のデータに基づいて返鉱率予測モデルを更新することにより、焼結鉱製造設備1の操業条件の変化を反映した返鉱率予測モデルを生成できる。
【0072】
返鉱率予測モデルの入力に用いる焼成プロセスの操業パラメータは、焼結プロセスの操業パラメータ、粉砕プロセスの操業パラメータ及び冷却プロセスの操業パラメータから選択される少なくともいずれかの操業パラメータを用いてよい。
【0073】
焼結プロセスの操業パラメータとしては、装入層の厚み、パレット42による装入層の搬送速度及びウインドボックス45による排気ガスの流量を用いることができる。焼結プロセスの操業パラメータとして、ウインドボックス45を介して排風機47によって排出される排気ガスのNOx濃度、O2濃度、SOx濃度、CO濃度、CO2濃度及び排気ガス温度が用いられてよい。焼結プロセスの操業パラメータは、装入層に生じる焼結反応に影響を与え、焼結鉱の強度と相関がある。そのため、焼結プロセスの操業パラメータは、粉砕プロセス又は冷却プロセスにおける焼結鉱の粒径分布に影響を与える。
【0074】
粉砕プロセスの操業パラメータとしては、粉砕機5を駆動する電動機の動力を用いてよい。粉砕された焼結鉱の粒径分布に影響を与えるからである。
【0075】
冷却プロセスの操業パラメータとしては、冷却機6のダクト内で測定されるダクト内圧力、送風圧力を用いることができる。粉砕された焼結ケーキ13の粒度分布によりダクト内圧力又は送風圧力が変化して、焼結鉱の粒径分布に影響を与えるからである。
【0076】
一方、返鉱率予測モデルの入力に用いる篩分けプロセスの操業パラメータは、基準粒径、最終篩72に設定される目開きに関するデータ、篩分用粉砕機73を駆動する電動機の動力を含んでよい。また、篩分けプロセスの操業パラメータとして、篩精度に関するデータを用いることが好ましい。篩精度に関するデータは、篩75の経時的な状態変化を反映することから、返鉱率の予測精度を向上させることができる。
【0077】
さらに、返鉱率予測モデルの入力に、配合プロセスの操業パラメータを用いる場合には、配合プロセスの操業パラメータとして、原料銘柄、凝結材の配合比率、生石灰の配合比率、鉄鉱石の配合比率、原料水分量を用いるとよい。また、返鉱率予測モデルの入力に、造粒プロセスの操業パラメータを用いる場合には、造粒プロセスの操業パラメータとして、造粒プロセスにおいて添加される水分量又は焼結原料12の平均粒径を用いるとよい。焼結原料12の配合状態又は造粒状態は、焼結機4における焼結反応に影響を与え、粉砕プロセス又は冷却プロセスにおける焼結鉱の粒径分布に影響を与えるからである。
【0078】
(返鉱率予測方法)
本開示にかかる返鉱率の予測方法は、焼結鉱製造設備1において、焼成プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つと、篩分けプロセスの操業パラメータと、に基づいて返鉱率を予測する予測ステップを含む。
【0079】
返鉱率の予測は、焼成プロセスの操業パラメータ及び篩分けプロセスの操業パラメータをそれぞれ区分して、対応する区分に属する返鉱率の実績値(例えば平均値)をテーブル形式のデータとして記憶させておく。焼結鉱製造設備1を操業中に、制御用計算機74から焼成プロセスの操業パラメータの実績データと、篩分けプロセスの操業パラメータの実績データとが取得される。そして、上記テーブルの区分に該当する返鉱率が、返鉱率の予測結果として出力されてよい。また、データベース部81に蓄積されたデータを用いて、制御用計算機74から取得した焼成プロセスの操業パラメータの実績データと、篩分けプロセスの操業パラメータの実績データとを用いた局所回帰の手法により、返鉱率が予測されてよい。
【0080】
一方、本開示にかかる返鉱率の予測方法は、焼結鉱製造設備1において、上記返鉱率予測モデルを用いて返鉱率を予測することが好ましい。
【0081】
図7は、返鉱率を予測する返鉱率予測部84の構成を説明する図である。返鉱率予測部84は、返鉱率予測モデル生成部80で生成した返鉱率予測モデルを取得するように、返鉱率予測モデル生成部80と通信が可能に構成されている。返鉱率予測部84は、焼結鉱製造設備1を制御する制御用計算機74に設けることができる。また、返鉱率予測部84は、他の機器と通信可能である独立の計算機に設けてよい。
【0082】
返鉱率予測部84は、焼結鉱製造設備1を操業中に、制御用計算機74から焼成プロセスの操業パラメータの実績データと、篩分けプロセスの操業パラメータの実績データとを取得して、返鉱率予測モデルに入力し、返鉱率の予測結果を出力する。返鉱率予測部84は、必要に応じて、制御用計算機74から配合プロセスの操業パラメータ又は造粒プロセスの操業パラメータのうちの少なくとも1つを、返鉱率予測モデルに入力して、返鉱率の予測結果を出力してよい。
【0083】
この場合、取得部85を設け、配合プロセス、造粒プロセス、焼結プロセス、粉砕プロセス及び冷却プロセスの各プロセスにおける操業パラメータを対応付けることが好ましい。すなわち、焼成プロセスの操業パラメータの中で、最も篩分けプロセスに近い最終プロセスの実績データが取得されるタイミングが基準とされる。そして、上流側のプロセスにおける操業パラメータの実績データは、最終プロセスまでの遅れ時間を考慮して複数種の実績データを対応付けるとよい。これにより、現時点で最終プロセスが実行されている段階で、後に篩分けプロセスが実行される際の返鉱率を精度よく予測できる。
【0084】
一方、篩分けプロセスの操業パラメータとして篩精度に関するデータを用いる場合に、取得部85により、焼成プロセスの操業パラメータを取得する時点が基準とされてよい。そして、過去に取得された篩分けプロセスの操業パラメータの中から直近に取得された篩分けプロセスの操業パラメータが焼成プロセスの操業パラメータと対応付けられてよい。篩精度に関するデータは、オフライン測定により間欠的に特定される。そのため、篩精度に関するデータが最新の情報に更新されるまでの間に、取得部85が直近に取得された篩精度に関するデータを記憶しておき、現時点で特定される焼成プロセスの操業パラメータと対応付けることが好ましい。
【0085】
返鉱率の予測は、制御用計算機74が製造プロセスの操業実績データを随時取得していることから、例えば、1~5分ピッチで実行される。返鉱率の予測結果は、焼結鉱製造設備1の運転室に備えられるモニタ画面に出力するようにしてよい。焼結鉱製造設備1の操業オペレータは、モニタ画面に表示される返鉱率の予測結果に応じて、焼結鉱製造設備1の操業条件を適正なものに適宜変更できる。
【0086】
(製造設備の制御方法と焼結鉱の製造方法)
本開示にかかる返鉱率制御方法は操作量算出ステップを含む。操作量算出ステップは、上記の返鉱率予測方法を用いて予測した返鉱率と、予め設定された返鉱率の目標値との偏差が低減するように、焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する。また、本開示にかかる焼結鉱の製造方法は、操作量算出ステップを用いて算出された操作変数の操作量を用いて焼結鉱を製造する。
【0087】
図8は、本実施形態に係る返鉱率制御装置90の構成例を示す図である。
図8に示すように、返鉱率制御装置90は、記憶部91と、取得部85と、返鉱率予測部84と、操作量算出部92と、出力部93と、を備える。返鉱率制御装置90は、操業データサーバ94から、焼結鉱製造設備1で実行される製造プロセスにおける実績値と、返鉱率の目標値とを取得する。実績値は、焼結鉱製造設備1の操業パラメータの測定値及び現在の操作変数を含んでよい。操業データサーバ94は、ネットワーク経由で返鉱率制御装置90と通信可能であって、例えば制御用計算機74により実現されてよい。ネットワークは例えばインターネットである。返鉱率制御装置90は、上記の処理、すなわち返鉱率予測モデルを利用して返鉱率を予測し、将来の返鉱率が目標値近傍に保持されるように、焼成プロセスの操作変数の操作量を求める処理を実行する。また、本実施形態において、返鉱率制御装置90は、出力部93によって操作変数の操作量を設備に出力する機能又はガイダンス操作量として提示する機能を備えている。出力部93がガイダンス操作量を提示する場合に、返鉱率制御装置90は操業ガイダンス装置として機能する。表示部95は、返鉱率制御装置90(操業ガイダンス装置)から出力されたガイダンス操作量を表示する。返鉱率制御装置90は、操業データサーバ94とは別のコンピュータ(例えば焼結機4の操業を管理するプロセスコンピュータ又は焼結操業ガイダンスサーバ)で構成されてよい。表示部95は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)又は有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence Panel)などの表示装置であってよい。また、表示部95は、スマートフォン又はタブレットなどの端末装置のディスプレイによって実現されてよい。端末装置はネットワーク経由で返鉱率制御装置90と通信可能である。返鉱率制御装置90の機能を有する焼結操業ガイダンスサーバと表示部95の機能を有する端末装置とで、焼結操業ガイダンスシステムが構成されてよい。焼結操業ガイダンスサーバと端末装置とは、同じ場所(例えば同じ工場内)にあってよいし、物理的に離れて配置されていてよい。焼結操業ガイダンスシステムは、さらに操業データサーバ94を含んで構成されてよい。
【0088】
返鉱率予測モデルは、返鉱率制御装置90に返鉱率予測モデル生成部80を設け、これにより生成されて記憶部91に記憶されてよい。また、別のコンピュータに返鉱率予測モデル生成部80が設けられて、別のコンピュータで生成された返鉱率予測モデルが記憶部91に記憶されてよい。
【0089】
以下、返鉱率制御装置90の構成要素が説明される。記憶部91は返鉱率予測モデルを記憶する。また、記憶部91は、返鉱率制御に関するプログラム及びデータを記憶する。記憶部91は、取得した実績値と目標値とを記憶してよい。記憶部91は、返鉱率制御のための処理で得られた各種の情報を記憶してよい。記憶部91は、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス及び磁気記憶デバイスなどの任意の記憶デバイスを含んでよい。半導体記憶デバイスは例えば半導体メモリを含んでよい。記憶部91は、複数の種類の記憶デバイスを含んでよい。
【0090】
取得部85は、返鉱率の目標値と、焼成プロセスの操業パラメータ及び篩分けプロセスの操業パラメータを含む返鉱率予測モデルの入力データを、返鉱率を特定できるタイミングを基準とした遅れ時間を考慮して取得する。
【0091】
返鉱率予測部84は、入力データと返鉱率予測モデルを用いて返鉱率を予測する。
【0092】
操作量算出部92は、返鉱率の予測値と目標値との偏差が低減するように、焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する。
【0093】
出力部93は、算出された操作変数の操作量を制御用計算機74に出力する又はガイダンス操作量として表示部95に提示する。
【0094】
出力部93から操作変数の操作量が制御用計算機74に出力される場合に、制御用計算機74によって自動的に操作変数が更新されてよい。つまり、本実施形態に係る返鉱率制御方法は、焼結鉱の製造方法の一部として実行され得る。また、オペレータは、表示部95に示されたガイダンス操作量に基づいて、焼結鉱製造設備1の操業条件を変更してよい。このような焼結鉱製造設備1についての操業ガイダンスは、焼結鉱を製造する製造方法の一部として実行され得る。
【0095】
返鉱率制御装置90は、上記のように例えばコンピュータによって実現され得る。コピュータは、例えばメモリ及びハードディスクドライブ(記憶装置)、CPU(処理装置)などを備える。プログラムは、ハードディスクドライブに格納することができ、CPUにより実行される際にはハードディスクドライブからメモリに読み出される。また、処理途中のデータについては、メモリに格納され、必要があればHDDに格納される。記憶部91は、例えば記憶装置で実現されてよい。取得部85、返鉱率予測部84、操作量算出部92及び出力部93は、例えばプログラムを読み込んで実行したCPUによって実現されてよい。
【0096】
図9は、本実施形態に係る返鉱率制御方法を示すフローチャートである。返鉱率制御装置90は、
図9に示されるフローチャートに従って、操作変数の操作量を算出し、ガイダンス操作量として出力してよい。
図9に示される返鉱率制御方法は、操業ガイダンス方法でもあり、焼結鉱の製造方法の一部として実行されてよい。
【0097】
取得部85は実績値及び目標値を取得する(ステップS1、取得ステップ)。本実施形態において、実績値には、焼成プロセスの操業パラメータの実績データと、篩分けプロセスの操業パラメータの実績データとが含まれる。ここで、
図9のフローチャートにおける実績データとは、リアルタイムを含む操業パラメータと、上記の遅れ時間を考慮した時間差のある操業パラメータを含むデータである。また、配合プロセスの操業パラメータの実績データ又は造粒プロセスの操業パラメータの実績データが含まれてよい。返鉱率予測部84は、入力データと返鉱率予測モデルを用いて返鉱率を予測する(ステップS2、予測ステップ)。返鉱率が返鉱率予測モデルの出力データである。操作量算出部92は、返鉱率の予測値と目標値との偏差が低減するように、焼成プロセスについての操作変数の操作量を算出する(ステップS3、操作量算出ステップ)。出力部93は、算出された操作変数を出力する(ステップS4)。
【0098】
返鉱率を低減するためのアクションとしては、焼結鉱が未焼成のまま焼結機4を通過することを防止するために燃焼を促進させることが有効である。例えば、熱源である凝結材の配合比率を高めることが考えられる。また、通気改善のため造粒時にバインダーとして作用する生石灰の配合比率を高めること、点火炉43で着火しやすくするために上層の粉コークスの割合を増やすこと、パレットスピードを下げることで焼成時間を確保することも有効である。返鉱率が低い場合に生産性を改善するためのアクションとしては、凝結材の配合比率を下げること、生石灰の配合比率を下げること、上層の粉コークスの割合を減らすこと、パレットスピードを上げることが有効である。
【0099】
(実施例)
本開示の実施例として、焼結鉱製造設備1において返鉱率予測モデルを用いて返鉱率を予測した例が以下に説明される。
【0100】
実施例では、データベースに、返鉱率の実績データと、篩分けプロセスの操業パラメータの実績データと、遅れ時間を考慮して取得された焼成プロセスの操業パラメータの実績データと、を対応付けて、学習用データとして蓄積した。学習用データは、焼結鉱製造設備1において焼結鉱を6か月間製造して蓄積された。そして、データベースに蓄積された学習用データを用いて、焼成プロセスの操業パラメータと、篩分けプロセスの操業パラメータとが入力実績データとされた。また、入力実績データに対応する返鉱率が出力実績データとされて、ニューラルネットワークの手法を用いた機械学習により返鉱率予測モデルが生成された。
【0101】
返鉱率予測モデルの入力に用いられる焼成プロセスの操業パラメータには、焼結プロセスの操業パラメータとして、NOx濃度と、CO濃度と、排気ガスの流量と、を用いた。NOx濃度及びCO濃度は、ウインドボックス45を介して排風機47によって排出される排気ガスのNOx濃度及びCO濃度である。また、排気ガスの流量は、ウインドボックス45による排気ガスの流量である。また、焼成プロセスの操業パラメータには、冷却プロセスの操業パラメータとして冷却機6のダクト内で測定されるダクト内圧力を用いた。
【0102】
篩分けプロセスの操業パラメータは、篩精度に関するデータとして、オフライン測定により篩前サンプルに含まれる基準粒径(5mm)未満の焼結鉱の重量P0を測定し、基準返鉱率RI0を用いて篩精度変数Sを算出して、これを用いた。ここで、篩精度に関するデータは、焼結鉱製造設備1により焼結鉱を製造している間で30分間に1回の頻度で特定された。
【0103】
実施例では、このようにして生成した返鉱率予測モデルを用いて、学習用データを取得した後の1か月の間、焼結鉱の返鉱率の予測を行った。返鉱率の予測は、1分ごとに1回の頻度で実行し、焼成プロセスが実行された時点から1.5時間後の返鉱率が予測された。その結果、
図10に示すように、返鉱率の予測結果と実績との平均絶対値誤差(MAE)は1.0%であった。これに対して、比較例として、上記学習用データを用いて、焼成プロセスの操業パラメータを入力として用いて、篩分けプロセスの操業パラメータを入力としない予測モデルを生成し、返鉱率の予測精度の評価が行われた。その結果、
図10に示すように、比較例における返鉱率の予測結果と実績との平均絶対値誤差(MAE)は1.3%であった。これにより、篩分けプロセスの操業パラメータを用いた返鉱率予測モデルは、焼成プロセスの操業パラメータのみを用いた予測モデルに比べて返鉱率の予測精度が向上した。
【0104】
以上のように、本開示によれば、焼成プロセスと篩分けプロセスとを有する製造プロセスにおいて、篩75の状態についての経時的変化を反映して、返鉱率を精度よく予測する返鉱率予測方法及び返鉱率予測モデルの生成方法を提供することができる。また、成品15となる焼結鉱の割合を向上させ、焼結鉱の歩留りを向上させる返鉱率制御方法及び返鉱率制御装置90を提供することができる。また、歩留りの良好な焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法を提供することができる。
【0105】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0106】
図8に示される返鉱率制御装置90の構成は一例である。返鉱率制御装置90は、
図8に示す構成要素の全てを含まなくてよい。また、返鉱率制御装置90は、
図8に示す以外の構成要素を備えてよい。例えば、返鉱率制御装置90は、さらに表示部95を備える構成であってよい。
【符号の説明】
【0107】
1 焼結鉱製造設備
2 配合槽
3 造粒機
4 焼結機
5 粉砕機
6 冷却機
7 篩分機
11 原料
12 焼結原料
13 焼結ケーキ
15 成品
16 返鉱
21 サージホッパー
22 配合原料搬送コンベア
31 焼結原料搬送コンベア
41 焼結原料装入装置
42 パレット
43 点火炉
44 気体燃料供給装置
45 ウインドボックス
46 メインダクト
47 排風機
48 集塵機
49 煙突
70 上位計算機
71 先行篩
72 最終篩
73 篩分用粉砕機
74 制御用計算機
75 篩
76 鋼板
77 穿孔部
80 返鉱率予測モデル生成部
81 データベース部
82 機械学習部
83 データ取得部
84 返鉱率予測部
85 取得部
90 返鉱率制御装置
91 記憶部
92 操作量算出部
93 出力部
94 操業データサーバ
95 表示部