(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099268
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】メモリシステムおよび半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 5/04 20060101AFI20250626BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20250626BHJP
H10B 80/00 20230101ALI20250626BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
G11C5/04 210
G06F12/00 550K
H10B80/00
H01L25/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215798
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雄一
【テーマコード(参考)】
5B160
【Fターム(参考)】
5B160MM01
(57)【要約】
【課題】一実施形態は、メモリシステムの電気的特性の向上を図る。
【解決手段】一実施形態は、メモリシステムは、第1基板と、コントローラと、半導体記憶装置とを有する。前記半導体記憶装置は、第2基板と、複数の半導体メモリチップと、複数の接続端子とを有する。前記複数の半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第1端子のみを有する。前記複数の接続端子は、前記データ信号または前記タイミング信号を転送可能な端子として、前記所定数の端子から構成された前記1チャンネル分の複数の第2端子のみを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に実装されたコントローラと、
前記第1基板に実装された半導体記憶装置と、
を備え、
前記半導体記憶装置は、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを含む第2基板と、
前記第2基板の厚さ方向から見た場合に前記第1面を覆う封止部材と、
前記第1面と前記封止部材との間に配置された複数の半導体メモリチップと、
前記第1面と前記複数の半導体メモリチップとを接続した複数のボンディングワイヤと、
前記第2面に設けられて前記第1基板に接続された複数の接続端子と、
を有し、
前記複数の半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第1端子のみを有し、
前記複数の接続端子は、前記データ信号または前記タイミング信号を転送可能な端子として、前記所定数の端子から構成された前記1チャンネル分の複数の第2端子のみを含む、
メモリシステム。
【請求項2】
前記複数の半導体メモリチップは、複数の第1半導体メモリチップと、複数の第2半導体メモリチップとを含み、
前記複数のボンディングワイヤは、前記複数の第1半導体メモリチップの各々の前記複数の第1端子に接続された複数の第1ボンディングワイヤと、前記複数の第2半導体メモリチップの各々の前記複数の第1端子に接続された複数の第2ボンディングワイヤとを含み、
前記半導体記憶装置は、前記複数の第2端子と前記複数の第1ボンディングワイヤとを電気的に接続する経路と、前記複数の第2端子と前記複数の第2ボンディングワイヤとを電気的に接続する経路とが分岐する分岐部を含む、
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記第2基板は、前記分岐部を含む、
請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記分岐部は、前記第1面に設けられた複数のパッドを含み、
前記複数の第1ボンディングワイヤは、前記複数のパッドに接続され、
前記複数の第2ボンディングワイヤは、前記複数の第1ボンディングワイヤと電気的に並列に前記複数のパッドに接続されている、
請求項3に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記半導体記憶装置は、前記第2基板に実装された中継部品をさらに有し、
前記中継部品は、前記分岐部を含む、
請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記複数の第1ボンディングワイヤは、前記第2基板に接続され、前記第2基板を介して前記中継部品に電気的に接続され、
前記複数の第2ボンディングワイヤは、前記第2基板に接続され、前記第2基板を介して前記中継部品に電気的に接続されている、
請求項5に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記第1面に沿う方向を第1方向とする場合、
前記中継部品の前記第1方向の中心は、前記第2基板の前記第1方向の中心に対して、前記第1方向に1mm以上ずれて配置されている、
請求項6に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記第1面に沿う方向を第1方向とする場合、
前記中継部品の前記第1方向の中心は、前記第2基板の前記第1方向の中心に対して、前記コントローラに近い側にずれて配置されている、
請求項6に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記中継部品は、複数の端子を含むパッケージ部品であり、前記第1面にフリップチップ実装されており、
前記複数の第1半導体メモリチップは、前記第2基板とは反対側から前記中継部品に積層されている、
請求項5から請求項8のうちいずれか1項に記載のメモリシステム。
【請求項10】
前記複数の第1半導体メモリチップは、前記第2基板とは反対側から前記中継部品に積層されている、
請求項9に記載のメモリシステム。
【請求項11】
前記複数の第2ボンディングワイヤは、前記複数の第1半導体メモリチップと前記複数の第2半導体メモリチップとの間を延びており、
前記複数の第2ボンディングワイヤのうち少なくとも一部の第2ボンディングワイヤの一部は、前記第2基板の厚さ方向から見た場合に、前記複数の第1半導体メモリチップのうち少なくとも一部の第1半導体メモリチップと重なる、
請求項10に記載のメモリシステム。
【請求項12】
前記第1面に沿う方向を第1方向とする場合、
前記複数の第2端子は、前記第2基板の前記第1方向の中心に対して、前記コントローラに近い側に配置された第1個数の第2端子と、前記コントローラから遠い側に配置された第2個数の第2端子とを含み、
前記第1個数は、前記第2個数よりも多い、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のメモリシステム。
【請求項13】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを含む第2基板と、
前記第2基板の厚さ方向から見た場合に前記第1面を覆う封止部材と、
前記第1面と前記封止部材との間に配置された複数の半導体メモリチップと、
前記第1面と前記複数の半導体メモリチップとを接続した複数のボンディングワイヤと、
前記第2面に設けられた複数の接続端子と、
を有し、
前記複数の半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第1端子のみを有し、
前記複数の接続端子は、前記データ信号または前記タイミング信号を転送可能な端子として、前記所定数の端子から構成された前記1チャンネル分の複数の第2端子のみを含む、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メモリシステムおよび半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板に実装されたコントローラと、基板に実装された半導体記憶装置とを有したメモリシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2023/0004310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、メモリシステムの電気的特性の向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、第1基板と、コントローラと、半導体記憶装置とを備える。前記コントローラは、前記第1基板に実装されている。前記半導体記憶装置は、前記第1基板に実装されている。前記半導体記憶装置は、第2基板と、封止部材と、複数の半導体メモリチップと、複数のボンディングワイヤと、複数の接続端子とを有する。前記第2基板は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを含む。前記封止部材は、前記第2基板の厚さ方向から見た場合に前記第1面を覆う。前記複数の半導体メモリチップは、前記第1面と前記封止部材との間に配置されている。前記複数のボンディングワイヤは、前記第1面と前記複数の半導体メモリチップとを接続している。前記複数の接続端子は、前記第2面に設けられて前記第1基板に接続されている。前記複数の半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第1端子のみを有する。前記複数の接続端子は、前記データ信号または前記タイミング信号を転送可能な端子として、前記所定数の端子から構成された前記1チャンネル分の複数の第2端子のみを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のメモリシステムを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態のコントローラとNANDパッケージとの接続関係を示す図。
【
図3】第1実施形態のNANDパッケージを示す断面図。
【
図4】第1実施形態のNANDパッケージを示す平面図。
【
図5】第1実施形態のNANDパッケージを示す下面図。
【
図6】
図1中に示されたメモリシステムのF6―F6線に沿う断面図。
【
図8】第1実施形態の第1変形例のNANDパッケージを示す下面図。
【
図9】第1実施形態の第2変形例のNANDパッケージを示す断面図。
【
図10】第1実施形態の第3変形例のNANDパッケージを示す断面図。
【
図11】第2実施形態のNANDパッケージを示す断面図。
【
図12】
図11中に示されたF12線で囲まれた領域を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のメモリシステムおよび半導体記憶装置を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ、「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合を含み得る。本出願で「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含み得る。すなわち「接続」とは、対象物と直接に接続される場合に限定されず、別の部材を間に介在させて対象物と接続される場合を含み得る。
【0008】
本出願では、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向は、以下のように定義される。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、後述する基板11の第1面11a(
図1参照)と平行な方向である。+X方向は、後述するコントローラ12からNANDパッケージ14に向かう方向である(
図1参照)。-X方向は、+X方向とは反対の方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述するNANDパッケージ14の第3端部14e3から第4端部14e4に向かう方向である(
図1参照)。-Y方向は、+Y方向とは反対の方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。
【0009】
+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、基板11の厚さ方向である。+Z方向は、基板11の第2面11bから第1面11aに向かう方向である(
図1参照)。-Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。X方向は、「第1方向」の一例である。以下では、+Z方向側を「上」と称し、-Z方向側を「下」と称する場合がある。ただしこれら表現は説明の便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。
【0010】
(第1実施形態)
<A1.メモリシステムの全体構成>
図1から
図6を参照し、第1実施形態のメモリシステム1について説明する。メモリシステム1は、例えばSSD(Solid State Drive)のようなストレージデバイスである。メモリシステム1は、ホスト機器と接続され、ホスト機器の記憶装置として使用される。ホスト機器は、パーソナルコンピュータ、モバイル機器、ビデオレコーダ、または車載機器などであるが、これら例には限定されない。
【0011】
図1は、メモリシステム1を示す斜視図である。メモリシステム1は、例えば、基板11、コントローラ12、DRAM(Dynamic Random Access Memory)13、および複数のNAND型フラッシュメモリ14(以下では便宜上「NANDパッケージ14」と称する)を有する。
【0012】
基板11は、X方向およびY方向に沿う板部材である。基板11は、プリント基板であり、絶縁基材11iと、絶縁基材11iに設けられた配線パターン11wとを含む(
図6参照)。絶縁基材11iは、ガラスエポキシ樹脂またはポリイミドなどの絶縁材料で形成された絶縁性の硬質部材である。配線パターン11wは、絶縁基材11iの表面または内部に設けられた導電部である。基板11は、第1面11aと、第1面11aとは反対側に位置した第2面11bとを有する。第1面11aは、+Z方向に向いた面である。第2面11bは、-Z方向に向いた面である。第1面11aおよび第2面11bの各々は、X方向およびY方向に延びている。基板11は、「第1基板」の一例である。
【0013】
基板11の-X方向側の端部は、接続コネクタ11cを有する。接続コネクタ11cは、ホスト機器のコネクタと接続可能な接続部である。接続コネクタ11cは、ホスト機器のコネクタと接続可能な複数の金属端子を有する。
【0014】
コントローラ12は、メモリシステム1の全体を統括的に制御する部品である。コントローラ12は、例えば、ホスト機器に対するホストインターフェース回路、DRAM13を制御する制御回路、および複数のNANDパッケージ14を制御する制御回路などが1つの半導体チップに集積されたSoC(System on a Chip)を含む半導体パッケージである。コントローラ12は、例えば、基板11の第1面11aに実装されている。
【0015】
DRAM13は、揮発性の半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。DRAM13は、ホスト機器から受信した書き込み対象データ、またはNANDパッケージ14から読み出された読み出し対象データなどが一時的に格納されるデータバッファである。DRAM13は、例えば、基板11の第2面11bに実装されている。なお、DRAM13は、基板11に設けられることに代えて、コントローラ12内に設けられてもよい。
【0016】
NANDパッケージ14は、不揮発性の半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。複数のNANDパッケージ14は、例えば、基板11の第1面11aおよび第2面11bに分かれて実装されている。例えば、複数のNANDパッケージ14は、基板11の第1面11aに実装された4つのNANDパッケージ14(第1から第4のNANDパッケージ14A~14D)を含む。第1から第4のNANDパッケージ14A~14Dは、例えば、X方向に並べて配置されている。各NANDパッケージ14は、「半導体記憶装置」の一例である。
【0017】
本実施形態では、NANDパッケージ14は、Z方向から見た場合、Y方向に細長く延びた長方形状である。NANDパッケージ14は、例えば、第1端部14e1、第2端部14e2、第3端部14e3、および第4端部14e4を有する。第1端部14e1および第2端部14e2は、NANDパッケージ14の短手方向(X方向)に分かれた一対の端部である。第3端部14e3および第4端部14e4は、NANDパッケージ14の長手方向(Y方向)に分かれた一対の端部である。
【0018】
本実施形態では、NANDパッケージ14のY方向の幅W1は、NANDパッケージ14のX方向の幅W2よりも大きい。例えば、NANDパッケージ14のY方向の幅W1は、NANDパッケージ14のX方向の幅W2の1.5倍以上である。NANDパッケージ14の一例では、幅W1が10mmであり、幅W2が5mmである。NANDパッケージ14の別の一例では、幅W1が15mmであり、幅W2が10mmである。NANDパッケージ14は、後述するように複数の接続端子27を有する(
図5参照)。複数の接続端子27の中心間距離PTは、例えば、0.5mm~0.8mmである。
【0019】
<A2.送受信される信号の種類>
図2は、コントローラ12とNANDパッケージ14との接続関係を示す図である。
図2では説明の便宜上、NANDパッケージ14は1つのみ図示する。コントローラ12とNANDパッケージ14との間で送受信される信号は、例えば、8ビットのデータ信号DQ(DQ0~DQ7)、データストローブ信号DQS/DQSn、リードイネーブル信号RE/REn、チップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、ライトプロテクト信号WPn、およびレディ/ビジー信号R/Bnを含む。これら信号は、コントローラ12とNANDパッケージ14との間に設けられた個別の伝送線路Lを介して送信および/または受信される。
【0020】
データ信号DQ(DQ0~DQ7)は、例えば、コントローラ12とNANDパッケージ14との間で転送されるデータの内容を示す信号である。本実施形態では、データ信号DQ(DQ0~DQ7)は、NANDパッケージ14への書き込み対象データ(ライトデータ)の内容を示す信号、NANDパッケージ14からの読み出し対象データ(リードデータ)の内容を示す信号、各種コマンドを示す信号、データの書き込み先または読み出し先のアドレスを示す信号などを含む。データ信号DQ(DQ0~DQ7)は、例えば8ビットを単位として、互いに独立した8本の伝送線路Lを介して送受信される。なお、データ信号DQは、別のビット数(例えば16ビット)を単位として、当該別のビット数に対応した複数の伝送線路Lを介して送受信されてもよい。
【0021】
データストローブ信号DQS/DQSnは、データ信号DQのラッチまたはデータ信号DQの出力のために用いられるストローブ信号である。データストローブ信号DQS/DQSnは、例えば、トグルパターンの信号(以下「トグル信号」と称する)を含む。データストローブ信号DQS/DQSnは、データストローブ信号DQSと、データストローブ信号DQSnとを含む。データストローブ信号DQSおよびデータストローブ信号DQSnは、相補的な関係を持つ一対の信号である。例えば、データストローブ信号DQSは、正論理のデータストローブ信号である。一方で、データストローブ信号DQSnは、データストローブ信号DQSに対して論理反転の関係を持つ、負論理のデータストローブ信号である。
【0022】
ここで、データストローブ信号DQSおよびデータストローブ信号DQSnの各々としては、例えば、ライトデータ受信用ストローブ信号と、リードデータ送信用ストローブ信号と、リードデータ受信用ストローブ信号とがある。ライトデータ受信用ストローブ信号は、ライトデータの書き込み動作において、ライトデータとともにコントローラ12からNANDパッケージ14に出力され、NANDパッケージ14内でライトデータをラッチするタイミングの規定に用いられるストローブ信号である。リードデータ送信用ストローブ信号は、リードデータの読み出し動作において、後述するリードイネーブル信号RE/REn(またはリードイネーブル信号RE)と同期してコントローラ12からNANDパッケージ14に出力され、そのエッジを受けてリードデータをNANDパッケージ14からコントローラ12に出力するためにNANDパッケージ14内で用いられるストローブ信号である。リードデータ受信用ストローブ信号は、リードデータの読み出し動作において、NANDパッケージ14内で生成され、リードデータとともにNANDパッケージ14からコントローラ12に出力され、コントローラ12内でリードデータをラッチするタイミングの規定に用いられるストローブ信号である。データストローブ信号DQSおよびデータストローブ信号DQSnの各々は、「タイミング信号」の一例である。
【0023】
リードイネーブル信号RE/REnは、NANDパッケージ14からデータを読み出すことを可能にする信号である。リードイネーブル信号RE/REnは、例えば、トグル信号を含み得る。リードイネーブル信号RE/REnは、リードイネーブル信号REと、リードイネーブル信号REnとを含む。リードイネーブル信号REおよびリードイネーブル信号REnは、相補的な関係を持つ一対の信号である。例えば、リードイネーブル信号REは、正論理のリードイネーブル信号である。一方で、リードイネーブル信号REnは、リードイネーブル信号REに対して論理反転の関係を持つ、負論理のデータストローブ信号である。リードイネーブル信号REおよびリードイネーブル信号REnの各々は、「タイミング信号」の一例である。
【0024】
チップイネーブル信号CEnは、複数のNANDパッケージ14のなかからアクセス対象のNANDパッケージ14の選択を可能にし、NANDパッケージ14を選択する際にアサートされる信号である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、コントローラ12からNANDパッケージ14に出力されるコマンドを、NANDパッケージ14内のコマンドレジスタにラッチすることを可能にする信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、コントローラ12からNANDパッケージ14に出力されるアドレスを、NANDパッケージ14内のアドレスレジスタにラッチすることを可能にする信号である。チップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、およびアドレスラッチイネーブル信号ALEの各々は、「状態通知信号」の一例である。
【0025】
ライトイネーブル信号WEnは、NANDパッケージ14にデータ(例えばコマンドまたはアドレス)を受け渡すことを可能にする信号である。ライトプロテクト信号WPnは、書き込みおよび消去を禁止する際にアサートされる信号である。レディ/ビジー信号R/Bnは、NANDパッケージ14がレディ状態であるかビジー状態であるかを区別可能に示す信号である。「レディ状態」とは、NANDパッケージ14がコントローラ12からコマンドを受け付け可能な状態である。「ビジー状態」とは、NANDパッケージ14がコントローラ12からコマンドを受け付け不可能な状態である。ライトイネーブル信号WEn、ライトプロテクト信号WPn、およびレディ/ビジー信号R/Bnの各々は、「状態通知信号」の一例である。
【0026】
<A3.NANDパッケージの構成>
次に、NANDパッケージ14の構成について説明する。
図3は、NANDパッケージ14を示す断面図である。以下では、NANDパッケージ14として、基板11の第1面11aに実装されたNANDパッケージ14を代表として取り上げて説明する。NANDパッケージ14は、例えば、基板21、複数の半導体メモリチップ22、複数の接着フィルム23、接着フィルム24、複数のボンディングワイヤ25、封止部材26、および複数の接続端子27を有する。以下では、NANDパッケージ14に含まれる基板21と、上述した基板11とを区別するため、基板21を「パッケージ基板21」と称する。
【0027】
(パッケージ基板)
パッケージ基板21は、X方向およびY方向に沿う板部材である。パッケージ基板21は、プリント基板であり、絶縁基材21iと、配線パターン21wとを含む。絶縁基材21iは、ガラスエポキシ樹脂またはポリイミドなどの絶縁材料で形成された絶縁性の硬質部材である。配線パターン21wは、絶縁基材21iの表面または内部に設けられた導電部である。パッケージ基板21は、Z方向から見た場合に、NANDパッケージ14の外形と同じ矩形状である。パッケージ基板21は、「第2基板」の一例である。
【0028】
パッケージ基板21は、第1面21aと、第1面21aとは反対側に位置した第2面21bとを有する。第1面21aは、基板11とは反対側に向いた面(+Z方向に向いた面)である。第1面21aは、後述するボンディングワイヤ25がそれぞれ接続される複数のパッド31を有する。一方で、第2面21bは、基板11に向いた面(例えば-Z方向に向いた面)である。第2面21bは、後述する接続端子27がそれぞれ接続される複数のパッド32を有する。
【0029】
(半導体メモリチップ)
半導体メモリチップ22は、データを記憶可能な半導体部品である。半導体メモリチップ22は、例えば不揮発性の半導体メモリチップであり、例えばNAND型フラッシュメモリチップである。半導体メモリチップ22は、複数のメモリセルトランジスタと、複数のメモリセルトランジスタを記憶素子として機能させるための周辺回路とを含む。半導体メモリチップ22は、X方向およびY方向に沿う板状である。半導体メモリチップ22は、Z方向から見た場合、Y方向に細長く延びた長方形状である(
図4参照)。複数の半導体メモリチップ22は、パッケージ基板21の第1面21aと、後述する封止部材26との間に配置されている。
【0030】
本実施形態では、複数の半導体メモリチップ22は、複数(例えば4つ)の第1半導体メモリチップ22Aと、複数(例えば4つ)の第2半導体メモリチップ22Bとを含む。
【0031】
複数の第1半導体メモリチップ22Aは、接着フィルム23を間に介在させてZ方向に積層されている。接着フィルム23は、例えば、ダイアタッチフィルムである。複数の第1半導体メモリチップ22Aは、パッケージ基板21の第1面21aに積層されている。複数の第1半導体メモリチップ22Aは、パッケージ基板21から離れる第1半導体メモリチップ22Aであるほど、+X方向側にずれて配置されている。各第1半導体メモリチップ22Aは、Z方向から見て別の第1半導体メモリチップ22Aと重ならない領域に、複数のパッド41を有する。パッド41は、後述するボンディングワイヤ25が接続されるパッドである。
【0032】
本実施形態では、複数の第1半導体メモリチップ22Aのうち最上位の第1半導体メモリチップ22Aの上には、接着フィルム24が設けられている。接着フィルム24は、例えば、厚めのダイアタッチフィルムである。接着フィルム24のZ方向の厚さは、接着フィルム23のZ方向の厚さよりも大きい。接着フィルム24は、最上位の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41と、最上位の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41に接続されたボンディングワイヤ25の一部とを覆う。例えば、当該ボンディングワイヤ25の一部は、接着フィルム24の内部を通って延びている。
【0033】
複数の第2半導体メモリチップ22Bは、複数の第1半導体メモリチップ22Aに対して、パッケージ基板21とは反対側に位置する。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、接着フィルム23を間に介在させてZ方向に積層されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、パッケージ基板21から離れる第2半導体メモリチップ22Bであるほど、+X方向側にずれて配置されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、接着フィルム24を介して、複数の第1半導体メモリチップ22Aの上に積層されている。本実施形態では、複数の第2半導体メモリチップ22Bのうち最下位の第2半導体メモリチップ22Bは、上述した最上位の第1半導体メモリチップ22Aに対して-X方向側にずれて配置されている。各第2半導体メモリチップ22Bは、Z方向から見て別の第2半導体メモリチップ22Bと重ならない領域に、複数のパッド41を有する。パッド41は、後述するボンディングワイヤ25が接続されるパッドである。
【0034】
(ボンディングワイヤ)
ボンディングワイヤ25は、パッケージ基板21と半導体メモリチップ22とを接続する電気接続部である。本実施形態では、複数のボンディングワイヤ25は、複数の第1ボンディングワイヤ25A(
図3では1つのみ図示)と、複数の第2ボンディングワイヤ25B(
図3では1つのみ図示)とを含む。
【0035】
各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41と、パッケージ基板21のパッド31とを電気的に接続する。各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aの-X方向側の端部に設けられている。本実施形態では、各第1ボンディングワイヤ25Aの一端は、パッケージ基板21のパッド31に接合されている。各第1ボンディングワイヤ25Aは、パッケージ基板21のパッド31から複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41を順に経由して延びている。各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41を電気的に直列に接続している。
【0036】
各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41と、パッケージ基板21のパッド31とを電気的に接続する。各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bの-X方向側の端部に設けられている。各第2ボンディングワイヤ25Bの一端は、パッケージ基板21のパッド31に接合されている。各第2ボンディングワイヤ25Bは、パッケージ基板21のパッド31から複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41を順に経由して延びている。各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41を電気的に直列に接続している。
【0037】
(封止部材)
封止部材26は、複数の半導体メモリチップ22および複数のボンディングワイヤ25を保護する絶縁部である。封止部材26は、例えば、モールド樹脂である。封止部材26は、パッケージ基板21の第1面21aに設けられ、Z方向から見た場合にパッケージ基板21の第1面21aを覆う。封止部材26は、パッケージ基板21の第1面21aとは反対側から複数の半導体メモリチップ22および複数のボンディングワイヤ25を覆う。例えば、封止部材26は、Z方向から見た場合、NANDパッケージ14の外形と同じ矩形状に形成されている。
【0038】
(接続端子)
接続端子27は、NANDパッケージ14と基板11とを接続する電気接続部である。複数の接続端子27は、基板21の第2面21bに設けられ、NANDパッケージ14の外部に露出している。複数の接続端子27は、例えば、X方向およびY方向に沿う格子状に配列されている(
図5参照)。本実施形態では、複数の接続端子27は、BGA(Ball Grid Array)タイプの半田接合部である。ただし、接続端子27は、上記例に限定されない。接続端子27は、導電ペーストを介して外部と接続されるパッドでもよいし、リードフレームやピンのような端子でもよいし、他の態様で外部と接続される端子でもよい。
【0039】
<A4.半導体メモリチップの端子>
次に、半導体メモリチップ22のパッド41について説明する。
図4は、NANDパッケージ14を示す平面図である。
図4では説明の便宜上、封止部材26の図示を省略している。各半導体メモリチップ22は、複数のボンディングワイヤ25がそれぞれ接続される複数のパッド41を有する。
【0040】
本実施形態では、各半導体メモリチップ22の複数のパッド41は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数(例えば12個)の端子から構成された1チャンネル分の複数のパッド41Sのみを含む。本実施形態では、12個のパッド41Sは、「複数の第1端子」の一例である。
【0041】
本実施形態では、上記所定数の端子(1チャンネル分の端子)である12個のパッド41Sは、例えば、8ビットのデータ信号DQを転送可能な8個のパッド41S、データストローブ信号DQSを転送可能な1個のパッド41S、データストローブ信号DQSnを転送可能な1個のパッド41S、リードイネーブル信号REを転送可能な1個のパッド41S、およびリードイネーブル信号REnを転送可能な1個のパッド41Sを含む。12個のパッド41Sは、例えば、Y方向に並べて配置されている。
【0042】
なお本出願で「半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な複数の端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の端子のみを有する」とは、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子としては上記所定数のパッド41S(1チャンネル分の端子)のみを有することを意味し、データ信号およびタイミング信号の転送とは異なる目的で使用される別の端子が存在する場合を含み得る。例えば、各半導体メモリチップ22の複数のパッド41は、上記所定数のパッド41S以外の端子として、複数のパッド41Tを含む。複数のパッド41Tは、電力供給用の端子、またはグラウンド接続用の端子などである。
【0043】
本実施形態では、パッケージ基板21の第1面21aに設けられた複数のパッド31は、複数のパッド31Sと、複数のパッド31Tとを含む。複数のパッド31Sは、上記所定数(例えば12個)のパッドである。複数のパッド31Sは、複数のボンディングワイヤ25を介して、各半導体メモリチップ22の複数のパッド41Sと1対1で電気的に接続される。ここで言う「1対1」とは、1つの半導体メモリチップ22に着目した場合に、パッケージ基板21の複数のパッド31Sと、当該1つの半導体メモリチップ22の複数のパッド41Sとが1対1で電気的に接続されることを意味する。上述したように本実施形態では、各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41を電気的に直列に接続している。また、各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41を電気的に直列に接続している。このため、NANDパッケージ14の全体で見た場合には、各パッド31Sと、8つの半導体メモリチップ22に分かれて存在する8つのパッド41Sとが1対8の関係で電気的に接続される。
【0044】
同様に、複数のパッド31Tは、複数のボンディングワイヤ25を介して、各半導体メモリチップ22の複数のパッド41Tと1対1で電気的に接続される。ここで言う「1対1」とは、1つの半導体メモリチップ22に着目した場合に、パッケージ基板21の複数のパッド31Tと、当該半導体メモリチップ22の複数のパッド41Tとが1対1で電気的に接続されることを意味する。NANDパッケージ14の全体で見た場合には、各パッド31Tと、8つの半導体メモリチップ22に分かれて存在する8つのパッド41Tとが1対8の関係で電気的に接続される。
【0045】
<A5.NANDパッケージの接続端子>
次に、NANDパッケージ14の接続端子27について説明する。
図5は、NANDパッケージ14を示す下面図である。上述したように、複数の接続端子27は、例えば、X方向およびY方向に沿う格子状に配列されている。
【0046】
本実施形態では、NANDパッケージ14の複数の接続端子27は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、上記所定数(例えば12個)の端子から構成された1チャンネル分の複数の接続端子27Sのみを含む。本実施形態では、12個の接続端子27Sは、「複数の第2端子」の一例である。
【0047】
本実施形態では、上記所定数の端子(1チャンネル分の端子)である12個の接続端子27Sは、例えば、8ビットのデータ信号DQを転送可能な8個の接続端子27S、データストローブ信号DQSを転送可能な1個の接続端子27S、データストローブ信号DQSnを転送可能な1個の接続端子27S、リードイネーブル信号REを転送可能な1個の接続端子27S、およびリードイネーブル信号REnを転送可能な1個の接続端子27Sを含む。
【0048】
ここで説明のため、Z方向から見た場合にパッケージ基板21のX方向の中心C1(NANDパッケージ14のX方向の中心)をY方向に通る中心線CL1を定義する。本実施形態では、12個の接続端子27Sは、X方向に関して中心線CL1の両側(すなわち+X方向側と-X方向側)とで非対称に配置されている。
図5に示す例では、12個の接続端子27Sは、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、コントローラ12に近い側(-X方向側)に配置された第1個数(例えば10個)の接続端子27Sと、コントローラ12から遠い側(+X方向側)に配置された第2個数(例えば2個)の接続端子27Sとを含む。上記第1個数は、上記第2個数よりも多い。
【0049】
なお本出願で「複数の接続端子は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の端子のみを含む」とは、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子としては上記所定数の端子(1チャンネル分の端子)のみを有することを意味し、データ信号およびタイミング信号の転送とは異なる目的で使用される別の端子が存在する場合も含み得る。例えば、複数の接続端子27は、上記所定数の接続端子27S以外の端子として、複数の接続端子27Tを含む。複数の接続端子27Tは、例えば、チップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、ライトプロテクト信号WPn、またはレディ/ビジー信号R/Bnなどの制御信号(例えば状態通知信号)を転送可能な端子、電力供給用の端子、またはグラウンド接続用の端子などである。
【0050】
<A6.NANDパッケージの分岐部>
次に
図3に戻り、NANDパッケージ14の分岐部DPについて説明する。本実施形態では、NANDパッケージ14は、分岐部DPを有する。分岐部DPでは、接続端子27に含まれる複数の接続端子27S(上記所定数の接続端子27S)と複数の第1ボンディングワイヤ25Aとを電気的に接続する経路P1と、経路P1とは電気的に並列に、接続端子27に含まれる複数の接続端子27S(上記所定数の接続端子27S)と複数の第2ボンディングワイヤ25Bとを電気的に接続する経路P2とが分岐する。
【0051】
本実施形態では、分岐部DPは、パッケージ基板21に設けられている。分岐部DPは、例えば、パッケージ基板21に設けられた複数のパッド31のうち上述した所定数(例えば12個)のパッド31Sを含む。各パッド31Sは、複数の接続端子27Sに含まれる1つの接続端子27Sと電気的に接続されている。また、各パッド31には、第1ボンディングワイヤ25Aと、第2ボンディングワイヤ25Bとが電気的に並列に接続されている。これにより、各パッド31は、1つの接続端子27Sと各第1半導体メモリチップ22Aの1つのパッド41Sとを電気的に接続し、且つ、当該1つの接続端子27Sと各第2半導体メモリチップ22Bの1つのパッド41Sとを電気的に接続している。
【0052】
<A7.メモリシステムの基板の構成>
次に、メモリシステム1の基板11について説明する。
図6は、
図1に示されたメモリシステム1のF6-F6線に沿う断面図である。本実施形態では、基板11の複数の伝送線路Lは、データ信号DQ(DQ0~DQ7)、データストローブ信号DQS、データストローブ信号DQSn、リードイネーブル信号RE、またはリードイネーブル信号REnが転送される複数の伝送線路L1を含む(
図6では1つのみ図示)。伝送線路L1は、例えば、配線本体L1aと、配線本体L1aから分岐した1つ以上の接続部L1bとを有する。接続部L1bは、配線本体L1aとNANDパッケージ14とを接続する配線部である。接続部L1bは、各伝送線路L1に関して、各NANDパッケージ14に1つの接続部L1bのみが接続されるように設けられている。
【0053】
<A8.利点>
図7は、比較例のメモリシステム1Qを示す断面図である。ここでは比較例として、各NANDパッケージ14が、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、2チャンネル分の接続端子27Sを有する構成について考える。言い換えると、比較例のNANDパッケージ14は、同じ信号に対応する接続端子27Sを2つ有する。そして、伝送線路L1は、各NANDパッケージ14に対して、上記2つの接続端子27Sに接続される2つの接続部L1bを有する。
【0054】
この比較例の構成では、配線本体L1aから分岐した分岐部分(接続部L1b)の数が多くなる。このような構成によれば、上記分岐部分による信号の反射の影響により、伝送線路L1を用いて転送される信号の信号品質が低下する場合がある。この影響は、メモリシステム1の高速化が進むに従い顕著になりやすい。また、2チャンネル分の接続端子27SがNANDパッケージ14に設けられている場合、NANDパッケージ14の小型化を図ることが難しくなりやすい。
【0055】
一方で、本実施形態では、NANDパッケージ14は、複数の半導体メモリチップ22と、複数の接続端子27とを有する。複数の半導体メモリチップ22の各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な複数の端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数のパッド41Sのみを有する。複数の接続端子27は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な複数の端子として、上記所定数の端子から構成された上記1チャンネル分の複数の接続端子27Sを含む。このような構成によれば、上記比較例と比べて、配線本体L1aから分岐した分岐部分(接続部L1b)の数を減らすことができる。このため、上記分岐部分による信号の反射の影響が小さくなり、伝送線路L1を用いて転送される信号の信号品質が低下しにくくなる。また、1チャンネル分の接続端子27SがNANDパッケージ14に設けられている場合、上記比較例と比べてNANDパッケージ14の小型化を図りやすくなる。
【0056】
本実施形態では、複数の半導体メモリチップ22は、複数の第1半導体メモリチップ22Aと、複数の第2半導体メモリチップ22Bとを含む。複数のボンディングワイヤ25は、複数の第1半導体メモリチップ22Aの各々の複数のパッド41Sに接続された複数の第1ボンディングワイヤ25Aと、複数の第2半導体メモリチップ22Bの各々の複数のパッド41Sに接続された複数の第2ボンディングワイヤ25Bとを含む。NANDパッケージ14は、分岐部DPを有する。分岐部DPでは、複数の接続端子27Sと複数の第1ボンディングワイヤ25Aとを電気的に接続する経路P1と、複数の第1ボンディングワイヤ25Aとは電気的に並列に、複数の接続端子27Sと複数の第2ボンディングワイヤ25Bとを電気的に接続する経路P2とが分岐する部分である。このような構成によれば、NANDパッケージ14内では2チャンネル分の接続関係を実現することができ、NANDパッケージ14の電気的特性(例えば高速性)などを向上させやすくなる。
【0057】
本実施形態では、パッケージ基板21は、分岐部DPを含む。このような構成によれば、パッケージ基板21によって分岐部DPを実現することができる。これにより、NANDパッケージ14内に特別な追加部品を設ける場合と比べて、NANDパッケージ14の小型化を図りやすくなる。
【0058】
本実施形態では、分岐部DPは、パッケージ基板21の第1面21aに設けられた複数のパッド31Sを含む。複数の第1ボンディングワイヤ25Aは、複数のパッド31Sに接続されている。複数の第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第1ボンディングワイヤ25Aと電気的に並列に複数のパッド31Sに接続されている。このような構成によれば、パッケージ基板21のパッド31によって分岐部DPを実現することができる。これにより、NANDパッケージ14の小型化を図りやすくなる。
【0059】
本実施形態では、複数の接続端子27Sは、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、コントローラ12に近い側に配置された第1個数の接続端子27Sと、コントローラ12から遠い側に配置された第2個数の接続端子27Sとを含む。そして、上記第1個数は、上記第2個数よりも多い。このような構成によれば、接続端子27Sとコントローラ12との間の距離を短くすることができる。接続端子27Sとコントローラ12との間の距離を短くすることができると、メモリシステム1の高速化を図りやすくなる。
【0060】
<A9.変形例>
以下、いくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じである。
【0061】
(第1変形例)
図8は、第1変形例のNANDパッケージ14を示す下面図である。第1変形例の複数の接続端子27は、上述した第1実施形態と同様に、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、上記所定数(例えば12個)の端子から構成された1チャンネル分の複数の接続端子27Sのみを含む。
【0062】
本変形例では、12個の接続端子27Sは、X方向に関して中心線CL1の両側(すなわち+X方向側と-X方向側)とで非対称に配置されている。本変形例では、12個の接続端子27Sは、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、コントローラ12に近い側(-X方向側)に配置された第1個数(例えば6個)の接続端子27Sと、コントローラ12から遠い側(+X方向側)に配置された第2個数(例えば4個)の接続端子27Sと、第3個数(例えば2個)の接続端子27Sとを含む。上記第3個数の接続端子27Sは、Z方向から見た場合に、パッケージ基板21のX方向の中心C1を通りY方向に延びた中心線CL1と重なる接続端子27Sである。上記第1個数は、上記第2個数よりも多い。なお本変形例は、後述する第2実施形態と組み合わされて適用されてもよい。このような構成でも、メモリシステム1の電気的特性の向上を図ることができる。
【0063】
(第2変形例)
図9は、第2変形例のNANDパッケージ14を示す断面図である。第2変形例では、複数の第2半導体メモリチップ22Bは、接着フィルム23を間に介在させてZ方向に積層されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、パッケージ基板21から離れる第2半導体メモリチップ22Bであるほど、+X方向側にずれて配置されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、接着フィルム23を介して、複数の第1半導体メモリチップ22Aの上に積層されている。本変形例では、複数の第2半導体メモリチップ22Bのうち最下位の第2半導体メモリチップ22Bは、最上位の第1半導体メモリチップ22Aに対して+X方向側にずれて配置されている。
【0064】
本変形例では、複数の第1半導体メモリチップ22Aには、複数の第1ボンディングワイヤ25Aが接続されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bには、複数の第1ボンディングワイヤ25Aとは電気的に並列に、複数の第2ボンディングワイヤ25Bが接続されている。このような構成でも、メモリシステム1の電気的特性の向上を図ることができる。
【0065】
(第3変形例)
図10は、第3変形例のNANDパッケージ14を示す断面図である。第3変形例では、1つのNANDパッケージ14に含まれる全て(例えば8つ)の半導体メモリチップ22は、接着フィルム23を間に介在させてZ方向に積層されている。全ての半導体メモリチップ22は、パッケージ基板21から離れる半導体メモリチップ22であるほど、+X方向側にずれて配置されている。本変形例では、各ボンディングワイヤ25は、複数の半導体メモリチップ22の-X方向側の端部に設けられ、パッケージ基板21のパッド31から複数の半導体メモリチップ22のパッド41を順に経由して延びている。各ボンディングワイヤ25は、全て(例えば8つ)の半導体メモリチップ22のパッド41を電気的に直列に接続している。本変形例では、電気的に並列に接続されたパッド41が存在しなくてもよい。本変形例では、パッケージ基板21の各パッド31Sと複数の半導体メモリチップ22(例えば全ての半導体メモリチップ22である8つの半導体メモリチップ22)に分かれて存在する複数のパッド41S(例えば8つのパッド41S)とを電気的に接続する経路は、上述したような経路P1と経路P2とに分かれていなくてよい。本変形例では、パッド31Sごとに、当該パッド31Sと、複数の半導体メモリチップ22(例えば全ての半導体メモリチップ22である8つの半導体メモリチップ22)に分かれて存在する複数のパッド41S(例えば8つのパッド41S)とを電気的に直列に接続する1つの経路Pが設けられている。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、中継部品60を含むNANDパッケージ14´が設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じである。
【0067】
<B1.NANDパッケージの構成>
図11は、第2実施形態のNANDパッケージ14´を示す断面図である。NANDパッケージ14´は、例えば、パッケージ基板21´、複数(例えば8つ)の半導体メモリチップ22、複数の接着フィルム23、複数のボンディングワイヤ25、封止部材26、複数の接続端子27、および中継部品60を有する。なお「中継部品」は、例えば、「分配部品」または「インターフェース部品」などと称されてもよい。
【0068】
(中継部品)
中継部品60は、1つ以上の回路を含む半導体チップである。中継部品60は、例えば、パッケージ基板21と複数の半導体メモリチップ22との間に設けられるインターフェース回路を含む。中継部品60は、例えば、複数の半導体メモリチップ22を制御するための制御回路を含んでもよい。本実施形態では、中継部品60は、複数の接続端子を含むパッケージ部品である。中継部品60は、例えば、部品本体61と、複数の接続端子62とを含む。
【0069】
部品本体61は、後述するインターフェース回路60aを含む。部品本体61は、板状である。部品本体61は、第1面61aと、第1面61aとは反対側に位置した第2面61bとを有する。第1面61aは、+Z方向に向いた面である。第2面61bは、-Z方向に向いた面である。インターフェース回路60a(例えばインターフェース回路60aに含まれる素子)は、第1面61aよりも、第2面61bに寄って配置されている。
【0070】
接続端子62は、部品本体61とパッケージ基板21とを接続する電気接続部である。複数の接続端子62は、部品本体61の第2面61bに設けられている。複数の接続端子62は、例えば、X方向およびY方向に沿う格子状に配列されている。本実施形態では、複数の接続端子62は、BGAタイプの半田接合部(いわゆるマイクロバンプ)である。ただし、接続端子62は、上記例に限定されない。
【0071】
本実施形態では、パッケージ基板21の第1面21aは、中継部品60と電気的に接続される複数のパッド33(
図12参照)を有する。中継部品60は、パッケージ基板21の第1面21aにフリップチップ実装されている。中継部品60の複数の接続端子62は、パッケージ基板21の複数のパッド33に接続されている。
【0072】
図11に示すように、中継部品60のX方向の中心C2は、パッケージ基板21のX方向の中心C1(NANDパッケージ14´のX方向の中心)に対して、コントローラ12に近い側(-X方向側)にずれて配置されている。例えば、中継部品60のX方向の中心C2は、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、コントローラ12に近い側(-X方向側)に1mm以上ずれて配置されている。別の観点で述べると、中継部品60のX方向の中心C2は、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、コントローラ12に近い側(-X方向側)に所定距離以上ずれて配置されている。上記所定距離は、複数の接続端子27の中心間距離PTよりも大きな距離である。
【0073】
(半導体メモリチップ)
複数(例えば4つ)の第1半導体メモリチップ22Aは、パッケージ基板21とは反対側から中継部品60に積層されている。複数の第1半導体メモリチップ22Aは、接着フィルム23を間に介在させて、中継部品60の部品本体61の第1面61aに積層されている。複数の第1半導体メモリチップ22Aは、パッケージ基板21から離れる第1半導体メモリチップ22Aであるほど、+X方向側にずれて配置されている。
【0074】
複数(例えば4つ)の第2半導体メモリチップ22Bは、Z方向から見た場合に、中継部品60を外れた位置に配置されている。例えば、複数の第2半導体メモリチップ22Bは、複数の第1半導体メモリチップ22Aおよび中継部品60に対して、+X方向側に配置されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、接着フィルム23を間に介在させて、パッケージ基板21の第1面21aに積層されている。複数の第2半導体メモリチップ22Bは、パッケージ基板21から離れる第2半導体メモリチップ22Bであるほど、+X方向側にずれて配置されている。
【0075】
本実施形態では、最下位の第2半導体メモリチップ22Bの一部は、最上位の第1半導体メモリチップ22Aとパッケージ基板21との間に位置する。言い換えると、Z方向から見た場合、最下位の第2半導体メモリチップ22Bの一部は、最上位の第1半導体メモリチップ22Aの一部と重なる。
【0076】
(パッケージ基板のパッド)
本実施形態では、パッケージ基板21の複数のパッド31は、上記所定数(例えば12個)のパッド31SAと、上記所定数(例えば12個)のパッド31SBとを含む。
【0077】
上記所定数のパッド31SAは、中継部品60に対して-X方向側に位置する。別の観点で述べると、上記所定数のパッド31SAは、複数の第1半導体メモリチップ22Aに対して-X方向側に位置する。上記所定数のパッド31SAは、Y方向に並べて配置されている。
【0078】
上記所定数のパッド31SBは、中継部品60に対して+X方向側に位置する。別の観点で述べると、上記所定数のパッド31SAは、複数の第2半導体メモリチップ22Bに対して-X方向側に位置する。本実施形態では、上記所定数のパッド31SBは、X方向に関して、中継部品60と、複数の第2半導体メモリチップ22Bとの間に位置する。上記所定数のパッド31SBは、Y方向に並べて配置されている。
【0079】
(ボンディングワイヤ)
各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41Sと、パッケージ基板21のパッド31SAとを電気的に接続する。各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aに対して-X方向側に配置されている。各第1ボンディングワイヤ25Aは、複数の第1半導体メモリチップ22Aの-X方向側の端部に設けられている。
【0080】
本実施形態では、各第1ボンディングワイヤ25Aは、中継部品60に対して-X方向側に配置されている。各第1ボンディングワイヤ25Aの一端は、パッケージ基板21のパッド31SAに接合されている。各第1ボンディングワイヤ25Aは、パッド31SAから複数の第1半導体メモリチップ22Aのパッド41Sを順に経由して延びている。各第1ボンディングワイヤ25Aは、パッド31SAに接続され、パッケージ基板21を介して中継部品60に電気的に接続されている。
【0081】
各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41Sと、パッケージ基板21のパッド31SBとを電気的に接続する。各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bに対して-X方向側に配置されている。各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第2半導体メモリチップ22Bの-X方向側の端部に設けられている。
【0082】
本実施形態では、各第2ボンディングワイヤ25Bは、中継部品60に対して+X方向側に配置されている。各第2ボンディングワイヤ25Bの一端は、パッケージ基板21のパッド31SBに接合されている。各第2ボンディングワイヤ25Bは、パッド31SBから複数の第2半導体メモリチップ22Bのパッド41Sを順に経由して延びている。本実施形態では、各第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第1半導体メモリチップ22Aと、複数の第2半導体メモリチップ22Bとの間を通って延びている。各第2ボンディングワイヤ25Bは、パッド31SBに接続され、パッケージ基板21を介して中継部品60に電気的に接続されている。
【0083】
本実施形態では、複数の第2ボンディングワイヤ25Bのうち少なくとも一部の第2ボンディングワイヤ25Bの一部は、Z方向から見た場合に、複数の第1半導体メモリチップ22Aのうち少なくとも一部の第1半導体メモリチップ22Aと重なる。例えば、全ての第2ボンディングワイヤ25Bの一部は、Z方向から見た場合に、複数の第1半導体メモリチップ22Aのうち少なくとも一部の第1半導体メモリチップ22Aと重なる。
【0084】
<B2.中継部品に関連した電気接続構造>
次に、中継部品60に関連した電気接続構造について説明する。
図12は、
図11に示されたF12線で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。中継部品60の複数の接続端子62は、上記所定数(例えば12個)の接続端子62SQと、上記所定数(例えば12個)の接続端子62SAと、上記所定数(例えば12個)の接続端子62SBとを含む。
図12では説明の便宜上、接続端子62SQ、接続端子62SA、接続端子62SBは1つずつのみ図示する。
【0085】
本実施形態では、パッケージ基板21の配線パターン21wは、複数の信号線21wQと、複数の信号線21wAと、複数の信号線21wBとを含む。上記所定数の接続端子62SQは、パッケージ基板21の複数の信号線21wQを介して、NANDパッケージ14´の上記所定数の接続端子27Sと1対1で電気的に接続されている。上記所定数の接続端子62SAは、パッケージ基板21の複数の信号線21wAを介して、パッケージ基板21の複数のパッド31SAと1対1で電気的に接続されている。上記所定数の接続端子62SBは、パッケージ基板21の複数の信号線21wBを介して、パッケージ基板21の複数のパッド31SBと1対1で電気的に接続されている。
【0086】
本実施形態では、上記所定数の接続端子62SAは、上記所定数の接続端子62SQと比べて、-X方向側に寄って配置されている。なお、「所定数の接続端子62SAが、所定数の接続端子62SQと比べて、-X方向側に寄って配置されている」とは、上記所定数の接続端子62SAと上記所定数の接続端子62SQとで比較した場合に、-X方向側に位置する接続端子62SAの数が、-X方向側に位置する接続端子62SQの数よりも多いことを意味し、1つまたは少数の接続端子62SAが接続端子62SQと比べて+X方向側に位置する場合も含み得る。
【0087】
本実施形態では、上記所定数の接続端子62SBは、上記所定数の接続端子62SQと比べて、+X方向側に寄って配置されている。なお、「所定数の接続端子62SBが、所定数の接続端子62SQと比べて、+X方向側に寄って配置されている」とは、上記所定数の接続端子62SBと上記所定数の接続端子62SQとで比較した場合に、+X方向側に位置する接続端子62SBの数が、+X方向側に位置する接続端子62SQの数よりも多いことを意味し、1つまたは少数の接続端子62SBが接続端子62SQと比べて-X方向側に位置する場合も含み得る。
【0088】
本実施形態では、上記所定数の接続端子62SAは、上記所定数の接続端子62SBと比べて、-X方向側に寄って配置されている。なお、「所定数の接続端子62SAが、所定数の接続端子62SBと比べて、-X方向側に寄って配置されている」とは、上記所定数の接続端子62SAと上記所定数の接続端子62SBとで比較した場合に、-X方向側に位置する接続端子62SAの数が、-X方向側に位置する接続端子62SBの数よりも多いことを意味し、1つまたは少数の接続端子62SAが接続端子62SBと比べて+X方向側に位置する場合も含み得る。
【0089】
本実施形態では、中継部品60は、分岐部DPを含む。分岐部DPでは、接続端子27に含まれる複数の接続端子27S(上記所定数の接続端子27S)と複数の第1ボンディングワイヤ25Aとを電気的に接続する経路P1と、接続端子27に含まれる複数の接続端子27S(上記所定数の接続端子27S)と複数の第2ボンディングワイヤ25Bとを電気的に接続する経路P2とが分岐する。
【0090】
本実施形態では、分岐部DPは、部品本体61に設けられたインターフェース回路60aを含む。本実施形態では、インターフェース回路60aは、例えば、コントローラ12から受信する信号に基づき、経路P1を接続するとともに経路P2を遮断する第1状態と、経路P2を接続するとともに経路P1を遮断する第2状態とを切り替える。上記第1状態では、複数の第1半導体メモリチップ22Aとコントローラ12との間で信号(例えばデータ信号およびタイミング信号)が送受信される。上記第2状態では、複数の第2半導体メモリチップ22Bとコントローラ12との間で信号(例えばデータ信号およびタイミング信号)が送受信される。本実施形態では、上記第1状態と上記第2状態とにより、2チャンネル分の電気接続関係が実現される。本実施形態では、中継部品60と、複数(例えば8つ)の半導体メモリチップ22との間には、2チャンネル分の電気接続関係が実現される。一方で、中継部品60とパッケージ基板21との間(すなわち、中継部品60と基板11との間)は、1チャンネル分の電気接続関係が実現される。
【0091】
<B3.利点>
本実施形態では、NANDパッケージ14´は、パッケージ基板21に実装された中継部品60を有する。中継部品60は、分岐部DPを含む。このような構成によれば、このような構成によれば、中継部品60によって分岐部DPを実現することができる。これにより、NANDパッケージ14´内に特別な追加部品を設ける場合と比べて、NANDパッケージ14´の小型化を図りやすくなる。
【0092】
本実施形態では、中継部品60のX方向の中心C2は、パッケージ基板21のX方向の中心C1に対して、X方向に1mm以上ずれて配置されている。このような構成によれば、中継部品60とコントローラ12との間の距離を短くすることができる。中継部品60とコントローラ12との間の距離を短くすることができると、メモリシステム1の高速化を図りやすくなる。
【0093】
本実施形態では、中継部品60は、複数の接続端子62を含むパッケージ部品であり、パッケージ基板21の第1面21aにフリップチップ実装されている。このような構成によれば、フリップチップ実装が可能で実装性に優れた中継部品60を用いて分岐部DPを設けることができる。
【0094】
本実施形態では、複数の第1半導体メモリチップ22Aは、パッケージ基板21とは反対側から中継部品60に積層されている。このような構成によれば、複数の第1半導体メモリチップ22Aが中継部品60に積層されない場合(複数の第1半導体メモリチップ22Aが中継部品60とは異なる位置でパッケージ基板21に積層された場合)と比べて、NANDパッケージ14´のX方向の小型化を図りやすくなる。
【0095】
本実施形態では、複数の第1ボンディングワイヤ25Aは、複数(例えば4つ)の第1半導体メモリチップ22Aに対して-X方向側に配置されている。複数の第2ボンディングワイヤ25Bは、複数(例えば4つ)の第2半導体メモリチップ22Bに対して-X方向側に配置されている。このような構成によれば、例えば、複数の第1ボンディングワイヤ25Aが複数の第1半導体メモリチップ22Aに対して-X方向側に配置され、複数の第2ボンディングワイヤ25Bが複数の第2半導体メモリチップ22Bに対して+X方向側に配置される場合と比べて、複数(例えば8つ)の半導体メモリチップ22と、中継部品60との間の配線距離を短くすることができる。
【0096】
本実施形態では、複数の第2ボンディングワイヤ25Bは、複数の第1半導体メモリチップ22Aと複数の第2半導体メモリチップ22Bとの間を延びている。このような構成によれば、複数の第2半導体メモリチップ22Bとコントローラ12との間の距離を短くすることができ、メモリシステム1の高速化を図りやすくなる。
【0097】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明した。なお、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。例えば、本出願でいう「半導体記憶装置」は、NANDパッケージ14に限定されず、NOR型メモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、または抵抗変化型メモリなど他の種類の半導体メモリでもよい。また、本出願でいう「半導体記憶装置」は、不揮発性の半導体記憶装置に限定されず、DRAMのような揮発性の半導体記憶装置でもよい。
【0098】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、半導体記憶装置は、複数の半導体メモリチップと、複数の接続端子とを有する。複数の半導体メモリチップの各々は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第1端子のみを有する。複数の接続端子は、データ信号またはタイミング信号を転送可能な端子として、上記所定数の端子から構成された1チャンネル分の複数の第2端子のみを含む。これにより、メモリシステムの電気的特性の向上を図ることができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1…メモリシステム、11…基板(第1基板)、12…コントローラ、14、14´…NANDパッケージ(半導体記憶装置)、21…パッケージ基板(第2基板)、22…半導体メモリチップ、22A…第1半導体メモリチップ、22B…第2半導体メモリチップ、25…ボンディングワイヤ、25A…第1ボンディングワイヤ、25B…第2ボンディングワイヤ、27…接続端子、27S…所定数の接続端子(第2端子)、31…パッド、41…パッド、41S…所定数のパッド(第1端子)、60…中継部品、DP…分岐部。