(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009928
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】複合シート、その製造方法及び複合構造体
(51)【国際特許分類】
G02B 5/08 20060101AFI20250109BHJP
B32B 3/00 20060101ALI20250109BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20250109BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G02B5/08 A
B32B3/00
B32B15/08 M
B29C43/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099573
(22)【出願日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】112125104
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515274066
【氏名又は名称】捷欣企業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHAEI HSIN ENTERPRISE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.550, Sec. 3, Zhongqing Rd., Xitun Dist., Taichung City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】王 水木
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
4F204
【Fターム(参考)】
2H042DA04
2H042DA05
4F100AB01B
4F100AB10B
4F100AB13B
4F100AB24B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK42C
4F100AK51A
4F100AT00E
4F100BA03
4F100BA07
4F100DC16E
4F100DD02D
4F100DD03A
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4F100EJ17
4F100EJ42
4F100HB00
4F100JA04A
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4F100JB16A
4F100JK01A
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4F100YY00B
4F204AA11
4F204AA24
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4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ38
(57)【要約】
【課題】複合シート、その製造方法及び複合構造体を提供すること。
【解決手段】複合シートは、第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含む。第1樹脂層は、第1表面と、第1表面と対向する第2表面と、第2表面から突出する複数の第1樹脂突起とを含む。金属層は、可視光を反射することができ、第3表面と、第3表面と対向する第4表面と、第4表面から突出する複数の金属突起とを含む。金属層は、第3表面を介して第2表面に固定される。複数の金属突起は、複数の第1樹脂突起に対応する。第2樹脂層は、第5表面と、第5表面と対向する第6表面と、第6表面から突出する複数の第2樹脂突起とを含む。複数の第2樹脂突起は、複数の金属突起に対応する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層と、金属層と、第2樹脂層とを含み、前記第1樹脂層は、
第1表面と、
前記第1表面と対向する第2表面と、
前記第2表面から突出する複数の第1樹脂突起と
を含み、前記金属層は、可視光を反射することができ、
第3表面であって、前記金属層が前記第3表面を介して前記第2表面に固定される、第3表面と、
前記第3表面と対向する第4表面と、
複数の前記第1樹脂突起に対応する、前記第4表面から突出する複数の金属突起と
を含み、前記第2樹脂層は、
第5表面であって、前記第2樹脂層が前記第5表面を介して第前記第4表面に除去可能に配置される、第5表面と、
前記第5表面と対向する第6表面と、
複数の前記金属突起に対応する、前記第6表面から突出する複数の第2樹脂突起と
を含む、複合シート。
【請求項2】
前記金属突起のそれぞれの光沢度は、80GUより大きい、請求項1に記載の複合シート。
【請求項3】
前記金属層の材料は、アルミニウム、銀、金、クロム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合シート。
【請求項4】
前記第1樹脂層の破断伸度は、300%~600%の範囲にあり、前記第1樹脂層の融点は、90℃~180℃の範囲にあり、前記第2樹脂層の破断伸度は、5%~200%の範囲にあり、前記第2樹脂層の融点は、130℃~260℃の範囲にある、請求項1に記載の複合シート。
【請求項5】
前記第1樹脂層の材料は、熱可塑性ポリウレタンを含み、前記第2樹脂層の材料は、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の複合シート。
【請求項6】
前記第1樹脂層の材料は、熱可塑性ポリウレタンを含み、前記第2樹脂層の材料は、二軸延伸ポリプロピレンを含む、請求項1に記載の複合シート。
【請求項7】
前記金属突起のうちの隣接する2つの金属突起の間の離間距離は、0.1mm~10mmの範囲にあり、前記金属突起のそれぞれの前記第4表面からの突出高さは、0.1mm~1mmの範囲にある、請求項1に記載の複合シート。
【請求項8】
フィルム層積層体を提供するステップであって、前記フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、前記金属層が前記第1樹脂層に除去可能に配置され、前記第2樹脂層が前記金属層に除去可能に配置される、ステップと、
第1ホットプレスステップを実行するステップであって、前記フィルム層積層体を加熱し加圧して、前記金属層を前記第1樹脂層に固定し、前記金属層に除去可能に配置するように前記第2樹脂層を維持する、ステップと、
剥離部材を前記フィルム層積層体に積層するステップであって、前記剥離部材の表面は、複数の凹部が形成され、前記金属層の第1樹脂層から離れた表面に向かう、ステップと、
第2ホットプレスステップを実行するステップであって、前記剥離部材及び前記フィルム層積層体を加熱し加圧することにより、前記金属層には、複数の前記凹部に対応する複数の金属突起が形成され、前記第1樹脂層には、複数の前記凹部に対応する複数の第1樹脂突起が形成される、ステップと、
前記剥離部材を除去するステップと
を含む、複合シートの製造方法。
【請求項9】
前記第2ホットプレスステップを実行するステップは、複数の前記凹部に対応する複数の第2樹脂突起を前記第2樹脂層に形成させるステップを更に含む、請求項8に記載の複合シートの製造方法。
【請求項10】
前記第2樹脂層を除去し、前記金属層に第3樹脂層を除去可能に配置するステップを更に含み、前記第2ホットプレスステップを実行するステップは、複数の前記凹部に対応する複数の第3樹脂突起を前記第3樹脂層に形成させるステップを更に含む、請求項8に記載の複合シートの製造方法。
【請求項11】
フィルム層積層体を提供するステップであって、前記フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、前記金属層が前記第1樹脂層に除去可能に配置され、前記第2樹脂層が前記金属層に除去可能に配置され、前記第1樹脂層の前記金属層に向かう表面には、複数の第1樹脂突起が形成される、ステップと、
ホットプレスステップを実行するステップであって、前記フィルム層積層体を加熱し加圧して、前記金属層を前記第1樹脂層に固定し、前記金属層に除去可能に配置するように前記第2樹脂層を維持し、複数の前記第1樹脂突起に対応する複数の金属突起を前記金属層に形成させ、複数の前記第1樹脂突起に対応する複数の第2樹脂突起を前記第2樹脂層に形成させる、ステップと
を含む、複合シートの製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の複合シートと、
前記第1表面に固定された基板部材と
を含む、複合構造体。
【請求項13】
前記第1樹脂層は、前記第1表面と前記第2表面との間に接続された側面を更に含み、前記金属層は、前記側面を完全に遮蔽する、請求項12に記載の複合構造体。
【請求項14】
前記基板部材の材料は、スペーサーメッシュ生地を含む、請求項12に記載の複合構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合シート、その製造方法及び複合構造体に関し、より具体的には、金属層を有する複合シート、その製造方法及び該複合シートを有する複合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料は、明るい光沢を持っているため、製品の認識及び美しさを高めるために、製品のロゴ及び装飾パターンの製造に広く使用されている。しかしながら、ロゴ又は装飾パターンを積層方法で製造する場合、該プロセスにより金属材料の光沢度が低下する場合が多い。その結果、完成品が提供する視覚効果は、期待に応えられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾登録実用新案第M462275U1号明細書
【特許文献2】台湾特許第I679132B号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態では、複合シートは、第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含む。前記第1樹脂層は、第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面と、前記第2表面から突出する複数の第1樹脂突起とを含む。前記金属層は、可視光を反射することができる。前記金属層は、第3表面と、前記第3表面と対向する第4表面と、前記第4表面から突出する複数の金属突起とを含む。前記金属層は、前記第3表面を介して前記第2表面に固定される。複数の前記金属突起は、複数の前記第1樹脂突起に対応する。前記第2樹脂層は、第5表面と、前記第5表面と対向する第6表面と、前記第6表面から突出する複数の第2樹脂突起とを含む。前記第2樹脂層は、前記第5表面を介して前記第4表面に除去可能に配置される。複数の前記第2樹脂突起は、複数の前記金属突起に対応する。
【0005】
本開示の別の実施形態では、複合シートの製造方法は、フィルム層積層体を提供するステップであって、前記フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、前記金属層が前記第1樹脂層に除去可能に配置され、前記第2樹脂層が前記金属層に除去可能に配置される、ステップと、第1ホットプレスステップを実行するステップであって、前記フィルム層積層体を加熱し加圧して、前記金属層を前記第1樹脂層に固定し、前記金属層に除去可能に配置するように前記第2樹脂層を維持する、ステップと、剥離部材を前記フィルム層積層体に積層するステップであって、前記剥離部材の表面は、複数の凹部が形成され、前記金属層の前記第1樹脂層から離れた表面に向かう、ステップと、第2ホットプレスステップを実行するステップであって、前記剥離部材及び前記フィルム層積層体を加熱し加圧することにより、前記金属層には、複数の前記凹部に対応する複数の金属突起が形成され、前記第1樹脂層には、複数の前記凹部に対応する複数の第1樹脂突起が形成される、ステップと、前記剥離部材を除去するステップと、を含む。
【0006】
本開示の更なる別の実施形態では、複合シートの製造方法は、フィルム層積層体を提供するステップであって、前記フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、前記金属層が前記第1樹脂層に除去可能に配置され、前記第2樹脂層が前記金属層に除去可能に配置され、前記第1樹脂層の前記金属層に向かう表面には、複数の第1樹脂突起が形成される、ステップと、ホットプレスステップを実行するステップであって、前記フィルム層積層体を加熱し加圧して、前記金属層を前記第1樹脂層に固定し、前記金属層に除去可能に配置するように前記第2樹脂層を維持し、複数の前記第1樹脂突起に対応する複数の金属突起を前記金属層に形成させ、複数の前記第1樹脂突起に対応する複数の第2樹脂突起を前記第2樹脂層に形成させる、ステップと、を含む。
【0007】
本開示の更なる別の実施形態では、複合構造体は、前述の複合シートと、前記第1表面に固定された基板部材とを含む。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、当業者にとって、以下の様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の詳細な説明を読んだ後、間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る複合シートの概略上面図である。
【
図2】
図1に示すA-A’線に沿う複合シートの部分断面図である。
【
図3】
図2に示す金属突起のT1部分の拡大図である。
【
図4】
図2に示す金属平面部のT2部分の拡大図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る複合シートの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る複合シートの製造方法のステップを示す概略図である。
【
図7】本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法のステップを示す概略図である。
【
図8】本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法のステップを示す概略図である。
【
図10】本開示の更なる別の実施形態に係る複合構造体の上面概略図である。
【
図11】
図10に示すB-B’線に沿う複合構造体の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者が本開示をよりよく理解できるために、以下、図面を参照しながら好ましい実施形態を提供し、本開示及び達成される効果を説明する。なお、図面は、簡略化した概略図である。したがって、本開示の基本的な枠組み又は実装方法をより明確に説明するために、本開示に関連する要素及びその組み合わせ関係のみを示す。実際の要素及び構成は、更に複雑になる場合がある。また、便宜上、図面における要素の数は、実際の要素の数と一致しない可能性があり、要素の形状及びサイズは、実際の形状及びサイズに比例して描かれていない可能性があり、その比率は、設計要件に従って調整されてもよい。本開示の図面は、説明を容易にするために、いずれもXYZ直交座標系に基づいて図示されている。
【0011】
以下の実施形態における上、下、左、右、前、後などの方向の用語は、説明される図の向きを参照して使用される。したがって、方向に関する用語は、説明のためのものであり、決して限定的なものではない。
【0012】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素を説明するが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、明細書内で1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。
【0013】
本開示では、「ある要素が別の要素に配置される」又は「ある要素が別の要素に接続される」という記載については、「該要素が別の要素に直接接触している」ことを指してもよく、「ある要素と別の要素との間に更なる別の要素が存在する」ことにより、該要素が別の要素に直接接触していないことを指してもよい。
【0014】
<複合シート>
図1及び
図2を参照されたい。
図1は、本開示の一実施形態に係る複合シート10の概略上面図である。
図2は、
図1に示すA-A’線に沿う複合シート10の部分断面図である。複合シート10は、第1樹脂層110、金属層120及び第2樹脂層130を含む。第1樹脂層110は、第1表面111、第2表面112及び複数の第1樹脂突起113を含む。第2表面112は、第1表面111と対向し(互いに反対側にあり)、複数の第1樹脂突起113は、第2表面112から突出する。金属層120は、可視光を反射することができる。金属層120は、第3表面121、第4表面122及び複数の金属突起123を含む。金属層120は、第3表面121を介して第2表面112に固定される。第4表面122は、第3表面121と対向する。複数の金属突起123は、第4表面122から突出する。複数の金属突起123は、複数の第1樹脂突起113に対応する。第2樹脂層130は、第5表面131、第6表面132及び複数の第2樹脂突起133を含む。第2樹脂層130は、第5表面131を介して第4表面122に除去可能に配置される。第6表面132は、第5表面131と対向する。複数の第2樹脂突起133は、第6表面132から突出し、複数の金属突起123に対応する。
【0015】
本実施形態では、第2樹脂層130は、透明な材料で形成され、金属層120は、不透明な材料で形成される。したがって、
図1の視野角からは、金属層120の第4表面122及び金属突起123(点線で示す)が見えるが、本開示は、それらに限定されない。他の実施形態では、第2樹脂層130は、不透明な材料で形成されてもよい。第2樹脂層130は、金属層120を保護するように構成される。例えば、ホットプレスステップを実行するとき、第2樹脂層130は、金属層120が剥離部材(例えば、
図6に示す剥離部材50)又はホットプレス装置(例えば、
図9に示すホットプレス装置40を参照)に直接接触するのを防止することにより、金属層120の第4表面122の平滑性が、金属層120の光沢度に影響を与える比較的粗い剥離部材及びホットプレス装置の表面によって破壊されるのを防止することができる。第2樹脂層130は、金属層120の第4表面122に除去可能に配置されるように構成される。その後の用途では、実際の必要に応じて第2樹脂層130を除去してもよい。更に、実際の必要に応じて、他の保護層(例えば、
図7に示す第3樹脂層140a)を金属層120に配置してもよい。
【0016】
この実施形態では、第1樹脂層110は、第1表面111から第2表面112に向かう方向(例えば、Z方向)に沿って膨出して第1樹脂突起113を形成し、それに対応して第1表面111には第1凹部空間114が形成される。第1樹脂層110のうちの膨出していない部分は、第1樹脂平面部115である。金属層120は、第3表面121から第4表面122に向かう方向に沿って膨出して金属突起123を形成し、それに対応して第3表面121には第2凹部空間124が形成される。金属層120のうちの膨出していない部分は、金属平面部125である。第2樹脂層130は、第5表面131から第6表面132に向かう方向に沿って膨出して第2樹脂突起133を形成し、それに対応して第5表面131には第3凹部空間134が形成される。第2樹脂層130のうちの膨出していない部分は、第2樹脂平面部135である。本実施形態では、第1樹脂突起113は、第2凹部空間124に対応して配置され、金属突起123は、第3凹部空間134に対応して配置される。
【0017】
金属層120の厚さt2と第1樹脂層110の厚さt1との比は、0.006~0.06の範囲にあってもよく、第2樹脂層130の厚さt3と第1樹脂層110の厚さt1との比は、0.01~0.1の範囲にあってもよい。例えば、第1樹脂層110の厚さt1は、0.5mm~1.5mmの範囲にあってもよく、金属層120の厚さt2は、10μm~30μmの範囲にあってもよく、第2樹脂層130の厚さt3は、15μm~50μmの範囲にあってもよい。第1樹脂層110の破断伸度は、300%~600%の範囲にあってもよく、第1樹脂層110の融点は、90℃~180℃の範囲にあってもよい。第2樹脂層130の破断伸度は、5%~200%の範囲にあってもよく、第2樹脂層130の融点は、130℃~260℃の範囲にあってもよい。前述の破断伸度のデータは、ASTM D412の仕様に基づいて測定されてもよい。例えば、第1樹脂層110の材料としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)が挙げられてもよい。熱可塑性ポリウレタンは、約500%の破断伸度、約170℃の融点、及び0.5mm、0.7mm又は1mmの厚さt1を有する、再生品ではない透明な熱可塑性ポリウレタンであってもよい。代替的に、熱可塑性ポリウレタンは、約450%の破断伸度、約120℃の融点、及び0.5mm、0.7mm又は1mmの厚さt1を有する、再生品である黒色の熱可塑性ポリウレタンであってもよい。第2樹脂層130の材料としては、約6%の破断伸度、約240℃の融点、20μmの厚さt3を有するポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられてもよい。代替的に、第2樹脂層130は、約160%の破断伸度、約140℃の融点、及び23μmの厚さt3を有する二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を含んでもよい。
【0018】
金属層120の材料としては、アルミニウム、銀、金、クロム、又はそれらの組み合わせが挙げられてもよい。これにより、金属層120は、繊細な光沢度を有してもよい。更に、金属層120の材料としては、その延性及び展性を向上させるためにポリマー材料が選択的に挙げられてもよい。
図1に示すように、金属突起123のうちの隣接する2つの金属突起の間の離間距離D1は、0.1mm~10mmの範囲にあってもよい。
図2に示すように、金属突起123のそれぞれの第4表面122から突出する高さH1は、0.1mm~1mmの範囲にあってもよい。即ち、金属突起123は、肉眼で観察できる三次元構造であり、特別な視覚効果及び装飾スタイルを提供することができる。前述の離間距離D1は、隣接する2つの金属突起123の間の最短距離であってもよい。法線方向は、複合シート10で規定され、Z方向に平行であってもよい。前述の高さH1は、
図2に示すように、金属平面部125の上面(符号なし)と金属突起123の頂点P1との間の法線方向の距離であってもよい。他の実施形態では、複合シートの金属突起は、本実施形態のリベットパターンに限定されるものではなく、格子模様、ジグザグ模様、鉄板模様、水紋模様、杢目模様、ライチ模様など、より複雑な模様又はパターンを呈するように設計されてもよい。
【0019】
各金属突起123の光沢度は、80GU(光沢単位)より大きくてもよい。前述の光沢度のデータは、ASTM D523の仕様に基づいて測定されてもよい。この測定システムは、研磨されたガラス表面上の、589.3nmの波長を有する光の屈折率に基づくものであり、該測定は、ソーラシミュレータと人間の視覚反応をシミュレートする検出器によって実行される。ソーラシミュレータは、入射光を発することができ、入射光は、測定対象物の表面に所定の角度で当たる(本実施形態では、測定対象物は、例えば、金属突起123又は金属平面部125のいずれかである)。人間の視覚反応をシミュレートする検出器は、入射光の反射光を検出し、所定の角度での測定対象物の光沢度は、入射光と反射光の明るさに基づいて計算することができる。入射光と反射光の明るさに基づいて光沢度を計算する方法は、当業者にはよく知られており、本明細書では説明しない。
【0020】
図2に示す金属突起123のT1部分の拡大図である
図3を参照されたい。金属突起123の頂点P1で法線方向N1を規定することができる。入射角が所定の角度A1である入射光は、R11であり、その反射光は、R12である。入射角が所定の角度A2である入射光は、R21であり、その反射光は、R22である。入射角が所定の角度A3である入射光は、R31であり、その反射光は、R32である。本明細書では、所定の角度A1は、法線方向N1に対して20度であり、所定の角度A2は、法線方向N1に対して60度であり、所定の角度A3は、法線方向N1に対して85度であるが、これらは、例示的なものである。上述したように、20度、60度、及び85度での金属突起123の頂点P1の光沢度は、それぞれ入射光R11、R21、R31と反射光R12、R22、R32の明るさに基づいて計算することができる。
図2に示す金属平面部125のT2部分の拡大図である
図4を参照されたい。金属平面部125の点P2で法線方向N2を規定することができる。同様に、所定の角度A1、A2、A3、入射光R11、R21、R31、及び反射光R12、R22、R32については、
図3の関連説明を参照してもよい。上述したように、20度、60度、及び85度での金属平面部125の点P2の光沢度は、それぞれ入射光R11、R21、R31と反射光R12、R22、R32の明るさに基づいて計算することができる。
図3と
図4を比較して、
図2に示す金属突起123の頂点P1を拡大すると、入射光R11、R21、R31の角度から、頂点P1が位置する曲面は、平面となる傾向があり、頂点P1は、平面上の点とみなされてもよい(実際には、測定面積は、直径が2mmの円の面積より小さいため)。したがって、頂点P1の光沢度は、点P2の光沢度と類似する傾向がある。本開示の一実施形態では、(入射角)20度での頂点P1及び点P2の光沢度は、300GUより大きく、(入射角)60度での頂点P1及び点P2の光沢度は、200GUより大きく、(入射角)85度での頂点P1及び点P2の光沢度は、80GUより大きい。
【0021】
<複合シートの製造方法>
本開示の一実施形態に係る複合シートの製造方法200を示すフローチャートである
図5を参照されたい。複合シートの製造方法200は、ステップ210、ステップ220、及びステップ250~ステップ270を含み、ステップ230及びステップ240を選択的に含んでもよい。ステップ210では、フィルム層積層体を提供し、フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、金属層が第1樹脂層に除去可能に配置され、第2樹脂層が金属層に除去可能に配置される。ステップ220では、第1ホットプレスステップを実行し、フィルム層積層体を加熱し加圧して、金属層を第1樹脂層に固定し、金属層に除去可能に配置するように第2樹脂層を維持する。ステップ250では、剥離部材をフィルム層積層体に積層し、剥離部材の表面は、複数の凹部が形成され、金属層の第1樹脂層から離れた表面に向かう。ステップ260では、第2ホットプレスステップを実行し、剥離部材及びフィルム層積層体を加熱し加圧することにより、金属層には、上記複数の凹部に対応する複数の金属突起が形成され、第1樹脂層には、上記複数の凹部に対応する複数の第1樹脂突起が形成される。ステップ270では、剥離部材を除去する。
【0022】
同時に
図6を参照されたい。
図6は、本開示の一実施形態に係る複合シートの製造方法200のステップを示す概略図である。まず、フィルム層積層体20を提供する。フィルム層積層体20は、順に積層された第1樹脂層110a、金属層120a及び第2樹脂層130aを含む。金属層120aは、第1樹脂層110aに除去可能に配置され、第2樹脂層130aは、金属層120aに除去可能に配置される。本明細書では、第2樹脂層130aと金属層120aは、複合体21を形成し、第1樹脂層110aは、独立したフィルム層であるが、これらは、例示的なものである。第2樹脂層130aは、剥離フィルムであってもよく、金属層120aは、第2樹脂層130aに剥離可能に付着されて複合体21を形成してもよい。より具体的には、金属層120aは、金属フィルムであってもよく、第2樹脂層130aは、金属フィルムに付着された保護層であってもよく、かつ引き裂き又は剥離によって金属フィルムから分離されてもよい。フィルム層積層体20は、複合体21を第1樹脂層110aに積層することにより提供され、複合体21の金属層120aは、第1樹脂層110aに向かい、金属層120aと第1樹脂層110aとは、接着又は付着によって固定されていない。
【0023】
次に、フィルム層積層体20をホットプレス装置40に配置して第1ホットプレスステップを実行し、該ステップにおいて、フィルム層積層体20を加熱し加圧して、金属層120aを第1樹脂層110aに固定し、金属層120aに除去可能に配置するように第2樹脂層130aを維持する。具体的には、第1加熱プレスステップでは、ホットプレスにより第1樹脂層110aを軟化させる。第1樹脂層110aを冷却した後、接着により金属層120aを第1樹脂層110aに固定してもよい。第2樹脂層130aの融点が第1樹脂層110aの融点より高いため、第2樹脂層130aが基本的に第1ホットプレスステップによる影響を受けず、第2樹脂層130aは、金属層120aに接着せず、金属層120aから除去可能に配置された状態を維持することができる。ホットプレス装置40は、ホットプレスモジュール41及び真空モジュール42を含む。ホットプレスモジュール41は、複数の加熱ユニット41aを含む。ホットプレスモジュール41は、フィルム層積層体20を加熱するように構成される。真空モジュール42は、複数のガス流路42aを含む。真空モジュール42は、フィルム層積層体20からガスを排出(真空化)するように構成される。真空モジュール42がフィルム層積層体20からガスを排出することにより、ホットプレス装置40は、同時にフィルム層積層体20に負圧を加えることができる。これにより、第1樹脂層110aの融点が低下することにより、プロセスに必要なエネルギー消費量を低減してもよい。第1ホットプレスステップは、加熱温度が80℃~170℃で、加熱時間が30秒~120秒で、ホットプレス装置40によってフィルム層積層体20に加えられる圧力が0.8バール(bar)~1.2バールであるという条件で実行されてもよい。
【0024】
次に、フィルム層積層体20をホットプレス装置40から取り出し、剥離部材50をフィルム層積層体20に積層し、剥離部材50の表面51は、複数の凹部52が形成され、金属層120aの第1樹脂層110aから離れた表面122aに向かう。本明細書では、剥離部材50の表面51は、第2樹脂層130aの表面132aに配置される。即ち、剥離部材50は、第2樹脂層130aを介して金属層120aに間接的に配置される。次に、剥離部材50及びフィルム層積層体20をホットプレス装置40に配置して第2ホットプレスステップを実行し、該ステップにおいて、剥離部材50及びフィルム層積層体20を加熱し加圧することにより、第2樹脂層130aには、複数の凹部52に対応する複数の第2樹脂突起133が形成され、金属層120aには、複数の凹部52に対応する複数の金属突起123が形成され、第1樹脂層110aには、複数の凹部52に対応する複数の第1樹脂突起113が形成される。本実施形態では、ホットプレス装置40によりフィルム層積層体20及び剥離部材50を加熱し加圧しながら、フィルム層積層体20と剥離部材50との間のガスを排出することができることにより、フィルム層積層体20は、負圧下で剥離部材50と一緒に落ちてもよい(即ち、フィルム層積層体20と剥離部材50との間の止り嵌めは、負圧下で達成されてもよい)。第2ホットプレスステップの後、第2樹脂層130aは、第2樹脂突起133を有する第2樹脂層130となり、金属層120aは、金属突起123を有する金属層120となり、第1樹脂層110aは、第1樹脂突起113を有する第1樹脂層110となる。即ち、フィルム層積層体20は、複合シート10となる。第2ホットプレスステップは、加熱温度が90℃~180℃で、加熱時間が50秒~300秒で、ホットプレス装置40によってフィルム層積層体20に加えられる圧力が0.8バール~1.2バールであるという条件で実行されてもよい。第2ホットプレスステップでは、第1樹脂層110a及び第2樹脂層130aを加熱して軟化させ、剥離部材50の三次元パターン(即ち、凹部52によって示されるレイアウト)をフィルム層積層体20に再現して、複合シート10を形成することができる。最後に、剥離部材50及び複合シート10をホットプレス装置40から取り出し、剥離部材50を除去することにより、複合シート10の製造を完了する。複合シート10の詳細については、前述の説明を参照してもよく、ここでは説明し繰り返さない。
【0025】
以上の説明によれば、乾式プロセスである熱転写プレスと同様のプロセスにより、明るく光沢のある三次元パターン(例えば、金属突起123によって示されるレイアウト)を有する複合シート10を製造する。湿式コーティングプロセスと比較して、乾式プロセスは、有機溶剤及び/又は分散剤を必要としないため、中間生成物(有毒ガスなど)を効果的に減少させることができ、環境保護に有益である。更に、乾式プロセスを利用することにより、複合シートの製造を簡素化でき、原材料及び環境安全性によるコストを低減してもよい。一方、電気メッキ、蒸着、又はスパッタリングプロセスと比較して、本開示は、高汚染性の電解槽及び高価な蒸着装置を使用する必要がなく、産業廃液及び製造コストを低減するのに有益である。
【0026】
図5に戻って参照されたい。複合シートの製造方法200は、ステップ230及びステップ240を選択的に含んでもよい。ステップ220(即ち、第1ホットプレスステップ)が実行された後、必要に応じて、ステップ230及びステップ240を実行してもよい。ステップ230では、第2樹脂層を除去する。ステップ240では、(第2樹脂層に代わる)第3樹脂層を金属層に除去可能に配置する。この場合、次のステップ260(即ち、第2ホットプレスステップ)は、複数の凹部に対応する複数の第3樹脂突起を第3樹脂層に形成するステップを更に含む。
【0027】
更に、本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法200のステップを示す概略図である
図7を参照されたい。
図7と
図6との違いは、次のように述べられる。第1ホットプレスステップを実行した後、第2樹脂層130aを除去し、第3樹脂層140aを金属層120aに除去可能に配置して、別のフィルム層積層体20’を形成する。次に、剥離部材50もフィルム層積層体20’に積層し、剥離部材50の表面51は、第3樹脂層140aの表面142aに配置される。即ち、剥離部材50は、第3樹脂層140aを介して金属層120aに間接的に配置される。
【0028】
次に、剥離部材50及びフィルム層積層体20’をホットプレス装置40内に配置する。第2ホットプレスステップを実行し、該ステップにおいて、剥離部材50及びフィルム層積層体20’を加熱し加圧することにより、第3樹脂層140aには、複数の凹部52に対応する複数の第3樹脂突起143が形成され、金属層120aには、複数の凹部52に対応する複数の金属突起123が形成され、第1樹脂層110aには、複数の凹部52に対応する複数の第1樹脂突起113が形成される。第2ホットプレスステップでは、第1樹脂層110a及び第3樹脂層140aを加熱して軟化させ、剥離部材50の三次元パターン(即ち、凹部52によって示されるレイアウト)をフィルム層積層体20’に再現して、複合シート10’を形成することができる。第2ホットプレスステップの後、第3樹脂層140aは、第3樹脂突起143を有する第3樹脂層140となり、金属層120aは、金属突起123を有する金属層120となり、第1樹脂層110aは、第1樹脂突起113を有する第1樹脂層110となる。即ち、フィルム層積層体20’は、複合シート10’となる。第2ホットプレスステップは、加熱温度が90℃~180℃で、加熱時間が50秒~300秒で、ホットプレス装置40によってフィルム層積層体20’に加えられる圧力が0.8バール~1.2バールであるという条件で実行されてもよい。最後に、剥離部材50及び複合シート10’をホットプレス装置40から取り出し、剥離部材50を除去することにより、複合シート10’の製造プロセスを完了する。
【0029】
前述の説明によれば、複合シート10’と複合シート10との違いは、複合シート10’では、複合シート10の第2樹脂層130が第3樹脂層140に置き換えられることである。第3樹脂層140は、第7表面141、第8表面142及び複数の第3樹脂突起143を含む。第3樹脂層140は、第7表面141を介して第4表面122(
図2参照)に除去可能に配置される。第8表面142は、第7表面141と対向し、複数の第3樹脂突起143は、第8表面142から突出し、複数の金属突起123に対応する。複合シート10’の他の詳細は、複合シート10の詳細と同じでもよいので、ここでは説明し繰り返さない。
【0030】
この実施形態では、第3樹脂層140aの融点(又は軟化点)は、第2樹脂層130aの融点(又は軟化点)より低くてもよく、かつ/又は第3樹脂層140aの破断伸度(又は延性及び展性)は、第2樹脂層130aの破断伸度(又は延性及び展性)より優れてもよいことに留意する必要がある。これにより、第2ホットプレスステップを実行するとき、剥離部材50の三次元パターン(凹部52によって示されるレイアウト)をフィルム層積層体20’に再現する結果を改善し、金属層120aの周縁領域の光沢度を維持することが有益である。具体的には、より低い融点(又は軟化点)又はより優れた破断伸度(延性及び展性)を有する第3樹脂層140aを使用して金属層120aを覆い、フィルム層積層体20’の周縁領域で第2ホットプレスステップを実行する場合、第3樹脂層140aは、十分に軟化及び/又は十分に伸張されるため、金属層120aを完全に覆うことができることにより、加熱温度が急速に上昇する場合に膜硬度の違いによって引き起こされる望ましくない層間位置ずれを回避することができる。即ち、第2樹脂層130aが他の層とずれている場合、剥離部材50の(凹部52により形成される)三次元パターンが第2樹脂層130aを介して金属層120a及び第1樹脂層110aに再現されることは好ましくなく、該三次元パターンの金属層120aの保護にとっても好ましくない。したがって、複合シート10’全体の品質の一貫性を維持するために、第2ホットプレスステップを実行する前に、第2樹脂層130aを第3樹脂層140aに置き換えることにより、特に複合シート10’の周縁領域における三次元パターンの再現結果を改善させ、周縁領域における金属層120aの光沢度を維持することが有益である。
【0031】
本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法300を示すフローチャートである
図8を参照されたい。複合シートの製造方法300は、ステップ310及びステップ320を含む。ステップ310では、フィルム層積層体を提供し、フィルム層積層体は、順に積層された第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含み、金属層が第1樹脂層に除去可能に配置され、第2樹脂層が金属層に除去可能に配置され、第1樹脂層の金属層と向かう表面には複数の第1樹脂突起が形成される。ステップ320では、ホットプレスステップを実行し、フィルム層積層体を加熱し加圧して、金属層を第1樹脂層に固定し、金属層に除去可能に配置するように第2樹脂層を維持する。また、金属層には、複数の第1樹脂突起に対応する複数の金属突起が形成され、第2樹脂層には、複数の第1樹脂突起に対応する複数の第2樹脂突起が形成される。
【0032】
本開示の別の実施形態に係る複合シートの製造方法300のステップを示す概略図である
図9も参照されたい。まず、フィルム層積層体30を提供し、フィルム層積層体30は、順に積層された第1樹脂層110b、金属層120a及び第2樹脂層130aを含み、金属層120aが第1樹脂層110bに除去可能に配置され、第2樹脂層130aが金属層120aに除去可能に配置され、第1樹脂層110bの、金属層120aに向かう(ラベルが貼られていない第1表面と対向する)第2表面112には、複数の第1樹脂突起113が形成される。本明細書では、第2樹脂層130aと金属層120aは、複合体21を形成し、第1樹脂層110bは、独立したフィルム層であるが、これらは、例示的なものである。複合体21の詳細については、前述の説明を参照されたい。フィルム層積層体30は、複合体21を第1樹脂層110bに積層することにより提供され、複合体21の金属層120aは、第1樹脂層110bに向かい、金属層120aと第1樹脂層110bとは、接着又は付着によって固定されていない。
【0033】
次に、フィルム層積層体30をホットプレス装置40に配置してホットプレスステップを実行し、該ステップにおいて、フィルム層積層体30を加熱し加圧して、金属層120aを第1樹脂層110bに固定し、金属層120aに除去可能に配置するように第2樹脂層130aを維持する。ホットプレス装置40は、ホットプレスモジュール41及び真空モジュール42を含む。ホットプレスモジュール41は、複数の加熱ユニット41aを含む。ホットプレスモジュール41は、フィルム層積層体30を加熱するように構成される。真空モジュール42は、複数のガス流路42aを含む。真空モジュール42は、フィルム層積層体30からガスを排出(真空化)するように構成される。本実施形態では、ホットプレス装置40によりフィルム層積層体30を加熱し加圧しながら、複合体21と第1樹脂層110bとの間のガスを排出することができることにより、複合体21は、負圧下で第1樹脂層110bと一緒に落ちてもよい(即ち、複合体21と第1樹脂層110bとの間の止り嵌めは、負圧下で達成されてもよい)。ホットプレスステップは、加熱温度が80℃~180℃で、加熱時間が30秒~300秒で、ホットプレス装置40によってフィルム層積層体30に加えられる圧力が0.8バール~1.2バールであるという条件で実行されてもよい。ホットプレスステップでは、第1樹脂層110bを加熱して軟化させる。第1樹脂層110bを冷却した後、接着により金属層120aを第1樹脂層110bに固定することができ、金属層120aには、複数の第1樹脂突起113に対応する複数の金属突起123を形成する。同時に、第2樹脂層130aを加熱して軟化させ、第2樹脂層130aには、複数の第1樹脂突起113に対応する複数の第2樹脂突起133を形成する。ホットプレスステップの後、第2樹脂層130aは、第2樹脂突起133を有する第2樹脂層130となり、金属層120aは、金属突起123を有する金属層120となる。即ち、フィルム層積層体30は、複合シート10bとなる。複合シート10bの詳細については、上記説明を参照してもよく、ここでは説明し繰り返さない。
【0034】
<複合構造体>
図10及び
図11を参照されたい。
図10は、本開示の更なる別の実施形態に係る複合構造体1の上面概略図である。
図11は、
図10に示すB-B’線に沿う複合構造体1の部分断面図である。複合構造体1は、複合シート2及び基板部材3を含む。例えば、
図1に示す複合シート10又は
図7に示す複合シート10’を製品ロゴ又は装飾パターンなどの所望の輪郭形状(本明細書では、例示的に、
図10に示す形状を六角形に切断する)に切断して複合シート2を形成してもよい。本明細書では、複合シート2は、例示的に、
図1に示す複合シート10から切断される。換言すれば、本実施形態では、複合シート2と複合シート10との主な違いは、それらの輪郭形状である。複合シート2の他の詳細については、複合シート10の関連説明を参照してもよい。基板部材3は、複合シート2の第1樹脂層110の第1表面111に固定される。例えば、基板部材3は、ホットメルト接着剤又は接着剤によって第1表面111に固定されてもよく、縫製によって第1表面111に固定されてもよい。更に、基板部材3は、特定の用途に応じて、第1表面111を完全に覆ってもよい。これにより、基板部材3は、複合シート2を完全に担持することができ、これは、複合シート2が基板部材3を介して他の物体と組み合わせられるか、又は他の物体の一部となるのに有利である。基板部材3の材料としては、スペーサーメッシュ生地(spacer mesh fabric)が挙げられるが、これに限定されず、繊維布、織布、不織布、皮革なども挙げられる。
【0035】
図11に示すように、複合シート10(
図2を参照)と比較して、複合シート2の第1樹脂層110は、第1表面111と第2表面112との間に接続された側面116を更に含み、金属層120は、側面116を完全に遮蔽する。これにより、複合構造体1は、周縁領域で、複合シート2の端部であっても明るい金属光沢を与えることができる。
図10に示すように、基板部材3の輪郭形状及び大きさは、複合シート2の輪郭形状及び大きさと異なるが、本開示は、これに限定されない。他の実施形態では、基板部材3の輪郭形状及び大きさは、複合シート2の輪郭形状及び大きさと実質的に同じであってもよい。例えば、基板部材3は、基板部材3の外縁(図示せず)が複合シート2の外縁(ラベルなし)と位置合わせされるように切断されてもよく、これは、複合構造体1を他の物体と組み合わせるのに有利である。
【実施例0036】
<実施例及び比較例の光沢度>
表1を参照されたい。表1は、本開示に係るいくつかの実施例の光沢度の測定結果を、いくつかの比較例の測定された光沢度とともに示す。実施例1では、フィルム層積層体は、第1樹脂層、金属層及び第2樹脂層を含む。第1樹脂層の材料は、TPUであり、金属層は、アルミニウムフィルムであり、第2樹脂層の材料は、透明なPETである。第1ホットプレスステップを実行し、第2樹脂層を依然として金属層に配置した後、ASTM D523の仕様に基づいて、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体の光沢度を第2樹脂層の表面から測定する。換言すれば、実施例1は、複合シートの製造方法200のステップ210及びステップ220(
図5を参照)によって形成される半完成品である。ASTM D523の仕様の詳細については、上記説明を参照してもよい。実施例2と実施例1との違いは、次のように述べられる。実施例2では、第1ホットプレスステップを実行して第2樹脂層が除去した後、ASTM D523の仕様に基づいて、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体(金属層及び第1樹脂層のみを含む)の光沢度を金属層の表面から測定する。より具体的には、実施例2のフィルム層積層体と、光沢度の測定に供された実施例1のフィルム層積層体との違いは、実施例2のフィルム層積層体が、実施例1のフィルム層積層体と比較して第2樹脂層を欠いていることである。実施例3と実施例1との主な違いは、次のように述べられる。フィルム層積層体の第2樹脂層の材料を透明なPETから透明なOPPに変更し、第1ホットプレスステップを実行し、第2樹脂層を依然として金属層に配置した後、ASTM D523の仕様に基づいて、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体の光沢度を第2樹脂層(OPP)の表面から測定する。実施例4と実施例3との違いは、次のように述べられる。実施例4では、第1ホットプレスステップを実行して第2樹脂層を除去した後、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体(金属層及び第1樹脂層のみを含む)の光沢度を金属層の表面から測定する。より具体的には、実施例4のフィルム層積層体と、光沢度の測定に供された実施例3のフィルム層積層体との違いは、実施例4のフィルム層積層体が、実施例3のフィルム層積層体と比較して第2樹脂層を欠いていることである。比較例1と実施例2との違いは、次のように述べられる。比較例1では、第1ホットプレスステップの前に第2樹脂層(PET)を除去する。したがって、第1ホットプレスステップを実行した後、ASTM D523の仕様に基づいて、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体(金属層及び第1樹脂層のみを含む)の光沢度を金属層の表面から測定する。より具体的には、比較例1と実施例2との違いは、比較例1のフィルム層積層体に対して第2樹脂層なしで第1ホットプレスステップを実行することである。比較例2と実施例4との違いは、次のように述べられる。比較例2では、第1ホットプレスステップの前に第2樹脂層(OPP)を除去する。したがって、第1ホットプレスステップを実行した後、ASTM D523の仕様に基づいて、20度、60度、及び85度でのフィルム層積層体全体(金属層及び第1樹脂層のみを含む)の光沢度を金属層の表面から測定する。より具体的には、比較例2と実施例4との違いは、比較例2のフィルム層積層体に対して第2樹脂層なしで第1ホットプレスステップを実行することである。
【0037】
【0038】
実施例1と実施例2の測定結果を比較するか、又は実施例3と実施例4の測定結果を比較すると、金属層がそれぞれ透明な第2樹脂層とともに配置される場合、フィルム層積層体全体の光沢度は、それらの透明な第2樹脂層による大きな影響を受けない。実施例2及び比較例1で実証されるように、第1ホットプレスステップ中に金属層を保護するために第2樹脂層(PET)を金属層に配置する場合、金属層の光沢度は、加熱及び加圧によって著しく低下することがない。同様に、実施例4及び比較例2で実証されるように、第1ホットプレスステップ中に金属層を保護するために第2樹脂層(OPP)を金属層に配置する場合、金属層の光沢度は、加熱及び加圧によって著しく低下することがない。換言すれば、複合シートの製造プロセス中にホットプレスステップを実行しながら、第2樹脂層は、金属層を熱エネルギー及び圧力から保護することにより、金属層に対する加熱加圧の影響を軽減することができ、これは、金属層の光沢度を維持するのに有益である。
【0039】
従来技術と比較して、本開示に係る複合シートの製造方法では、第2樹脂層が金属層に除去可能に配置されるため、ホットプレスステップ中に第2樹脂層が金属層を保護することができる。これにより、金属層の光沢度を維持することに有益であるため、金属層を有する複合シート及び複合シートを有する複合構造体は、装飾スタイルが多様化した場合に、より明るい視覚効果を提供することができる。
【0040】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができることが容易に分かる。したがって、上記開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されるものとして解釈されるべきである。