(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099286
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像検査方法、および画像検査プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20250626BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20250626BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250626BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G01N21/892 A
G03G21/00 510
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215824
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江角 禎宏
【テーマコード(参考)】
2C061
2G051
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061KK04
2C061KK28
2G051AA34
2G051AB11
2G051AC21
2H270LA22
2H270LD03
2H270NC07
2H270RA03
2H270RB04
2H270RB05
(57)【要約】
【課題】基準画像の生成から画像検査に至る処理にかかる時間を短縮する。
【解決部】画像検査装置100は、記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部311と、基準画像に基づいて、記録媒体に形成された画像を検査する画像検査部312と、基準画像生成部による基準画像の生成が完了する前に画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第1受付部115と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査部と、
前記基準画像生成部による基準画像の生成が完了する前に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第1受付部と、
を有する画像検査装置。
【請求項2】
前記第1受付部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成開始前または生成中に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記基準画像生成部による基準画像の生成後において、該基準画像に基づく前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第2受付部をさらに有する、請求項1または2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
原稿画像に基づいて前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記第1受付部により前記実行指示を受け付けたことに基づいて、前記原稿画像を前記基準画像生成部と前記画像形成部とに送信するよう制御する制御部と、
をさらに有する、請求項1または2に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成と、前記画像形成部による前記記録媒体への前記画像の形成を並行して行わせる、請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成後に、前記画像形成部により前記記録媒体への前記画像の形成を行わせる、請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項7】
原稿画像に基づいて前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記第2受付部により前記実行指示を受け付けたことに基づいて、前記原稿画像を前記画像形成部に送信するよう制御する制御部と、をさらに有する、
請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項8】
記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成ステップと、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査ステップと、
前記基準画像生成ステップでの基準画像の生成が完了する前に前記画像検査ステップでの検査の実行指示を受け付ける第1受付ステップと、
を含む、画像検査方法。
【請求項9】
記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成ステップと、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査ステップと、
前記基準画像生成ステップでの基準画像の生成が完了する前に前記画像検査ステップでの検査の実行指示を受け付ける第1受付ステップと、
を含む処理を、コンピューターに実行させるための画像検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像検査方法、および画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め登録された基準画像と検査対象の印刷物を読み取って得られた検査画像との比較により、印刷物の品質の検査が行われている。例えば特許文献1では、基準画像として、出来上がりを確認するプルーフモードの場合には印刷に用いる原画像由来の画像データを用い、その後の本印刷では、プルーフモードにおいて、ユーザーに目視で異常がないと確認された印刷物を読み取った際に得られた読取画像データを用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、本印刷に用いる基準画像の生成に至るユーザーの処理が煩雑であり、また、事前にプルーフモードを経て基準画像を準備してから、本印刷を実行する必要があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基準画像の生成から画像検査に至る処理にかかる時間を従来技術と比較してさらに短縮できる画像検査装置、画像検査方法、および画像検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部と、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査部と、
前記基準画像生成部による基準画像の生成が完了する前に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第1受付部と、
を有する画像検査装置。
【0008】
(2)前記第1受付部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成開始前または生成中に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける、上記(1)に記載の画像検査装置。
【0009】
(3)前記基準画像生成部による基準画像の生成後において、該基準画像に基づく前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第2受付部をさらに有する、上記(1)または2に記載の画像検査装置。
【0010】
(4)原稿画像に基づいて前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記第1受付部により前記実行指示を受け付けたことに基づいて、前記原稿画像を前記基準画像生成部と前記画像形成部とに送信するよう制御する制御部と、
をさらに有する、上記(1)または2に記載の画像検査装置。
【0011】
(5)前記制御部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成と、前記画像形成部による前記記録媒体への前記画像の形成を並行して行わせる、上記(4)に記載の画像検査装置。
【0012】
(6)前記制御部は、前記基準画像生成部による前記基準画像の生成後に、前記画像形成部により前記記録媒体への前記画像の形成を行わせる、上記(4)に記載の画像検査装置。
【0013】
(7)原稿画像に基づいて前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記第2受付部により前記実行指示を受け付けたことに基づいて、前記原稿画像を前記画像形成部に送信するよう制御する制御部と、をさらに有する、
上記(3)に記載の画像検査装置。
【0014】
(8)記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成ステップと、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査ステップと、
前記基準画像生成ステップでの基準画像の生成が完了する前に前記画像検査ステップでの検査の実行指示を受け付ける第1受付ステップと、
を含む、画像検査方法。
【0015】
(9)記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成ステップと、
前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査ステップと、
前記基準画像生成ステップでの基準画像の生成が完了する前に前記画像検査ステップでの検査の実行指示を受け付ける第1受付ステップと、
を含む処理を、コンピューターに実行させるための画像検査プログラム。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像検査装置は、記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部と、前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査部と、前記基準画像生成部による基準画像の生成が完了する前に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第1受付部と、を有する。このようにすることで、基準画像の生成から画像検査に至る処理にかかる時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る画像検査装置を含む印刷システムの概略構成を示す図である。
【
図2】画像検査装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】原稿画像の取得、基準画像の生成、検査画像の形成、および検査画像の検査の各処理を時系列的に示す模式図である。
【
図6A】第1受付部を説明するための操作画面の例である。
【
図6C】第2受付部を説明するための操作画面の例である。
【
図6F】別の第2受付部を説明するための操作画面の例である。
【
図7】画像検査方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に続いて行われる第1検査モードでの処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図7に続いて行われる第2検査モードでの処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】基準画像の生成処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【
図11】画像検査処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明の一つ以上の実施形態から提供される利点および特徴は、以下に示す詳細な説明および添付の図面により完全に理解される。また、添付された図面は、単なる説明のために提供されたものであり、本発明の範囲を規定するものとは意図しない。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る画像検査装置100と、これを含む印刷システム1000の概略構成を示す図である。
図2は、画像検査装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように印刷システム1000は、端末装置80および1つ以上の画像検査装置100を含み、これらは、ネットワーク90により通信接続される。
【0020】
端末装置80は、例えばパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン等でありうる。端末装置80には、原稿データを印刷ジョブに変換するためのプリンタードライバーがインストールされている。端末装置80は、画像検査装置100を操作するオペレータ等のユーザーにより使用される。プリンタードライバーは、ユーザーの指示により、画像検査装置100のプリントコントローラ13(後述の
図2を参照)が対応可能な形式による印刷ジョブを生成し、ネットワーク90を通じて印刷ジョブを画像検査装置100へ送信する。また、端末装置80は、ディスプレイを備え、印刷物の検査結果(検品結果)(良品/不良品)、不良の印刷物の画像等を表示することができる。
【0021】
印刷ジョブは、例えば、PDL(Page Description Language)形式の印刷データ(以下、原稿画像データまたは原稿画像ともいう)およびジョブ設定情報(以下、ジョブ設定という)を含む。原稿画像は、例えば、第1~第nページからなる原稿画像を含む。ジョブ設定は、例えば、ページ数、部数、用紙(記録媒体)の種類、サイズ、坪量、片面印刷/両面印刷等の印刷設定を含む。またジョブ設定には、検査条件が含まれる。検査条件には、画像検査の有無(検品設定オン/オフ)、および画像検査「有」の場合には、さらに、第1、第2検査モードの種別が含まれる。また、検査条件には、検査領域指定情報(後述)が含まれてもよい。さらに第2検査モードにおいては、使用する登録済み基準画像のファイルを指定するパス情報(ファイルディレクトリ情報)が含まれる。ユーザーは、検査有り(検品設定をオン)にすることにより、印刷システム1000に対して画像検査の指示を出すことができる。検査条件の設定は、プリンタードライバーにより表示される操作画面(例えば、後述の
図6A等)により設定できる。
【0022】
(画像検査装置100)
画像検査装置100は、画像形成システムとも称される。画像検査装置100は、互いに機械的、および電気的に接続された画像形成装置10、給紙装置20、検査ユニット30、パージ装置40、および後処理装置50が含まれる。
【0023】
(検査ユニット30の概要)
検査ユニット30の詳細については後述するが、検査ユニット30は、記録媒体(用紙)に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部311を有する。基準画像生成部311は、原稿画像に基づいて基準画像を生成する。また、検査ユニット30は、基準画像に基づいて、用紙に形成された画像を検査する画像検査部312を有する。画像形成装置10(画像形成部16)は、原稿画像に基づいて用紙に画像を形成する。画像検査部312は、原稿画像に基づく用紙上の画像を読み取って得られた検査画像を、同じ原稿画像に基づいて生成された基準画像と比較することで、用紙上の画像を検査する。
【0024】
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、上流側の、給紙装置20から給紙され、搬送された用紙に対し、画像形成を行う。また、画像形成装置10は、自装置の給紙部14から給紙された用紙に対して画像形成を行う。
【0025】
図2に示すように画像形成装置10は、本体制御部11、記憶部12、プリントコントローラ13、給紙部14、搬送部15、画像形成部16、操作パネル17、および通信部19を備える。これらの構成要素は信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。なお、
図2においては、画像形成装置10における記憶部12、プリントコントローラ13等の一部の構成要素との接続線は省略している。検査ユニット30においても同様に一部の構成要素間の接続線は省略している。
【0026】
(本体制御部11)
本体制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成され、ROMや、後述の記憶部12に格納されているプログラムを実行することで、各種処理を実行し、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。本体制御部11は、プリンタ制御部111、検査ユニット制御部112、他装置制御部113、検査実行指示受付部115、データ送信部116、および検査領域受付部117として機能する。各サブ機能の詳細は後述する。本体制御部11は、検査ユニット30の制御部31等と協働して、画像検査装置100全体の制御を行う。
【0027】
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部12は、ページメモリとしても機能する(後述の記憶部32も同様)。
【0028】
(プリントコントローラ13)
プリントコントローラ13は、ネットワーク90を通じて端末装置80から受信した印刷ジョブを解析し、色変換、スクリーニングおよびラスタライズ等の処理を実行し、ビットマップ形式の原稿画像を生成する。生成された原稿画像は、制御部31に送信される。プリントコントローラ13は、原稿画像取得部として機能する。
【0029】
プリントコントローラ13は、通信部19を介して端末装置80等からの印刷ジョブを受信する。受信した印刷ジョブには、原稿画像(原稿画像データともいう)の元となる印刷データ(主にPDL形式)と、使用する用紙の種類等の印刷設定が記述されたジョブ情報とが含まれる。プリントコントローラ13は、印刷設定に基づいて印刷データをページ単位のビットマップデータに変換するラスタライズ(RIP)処理を行う。ラスタライズ処理後のRIP画像は、プリントコントローラ13内部の画像メモリーに一時的に保存される。画像メモリー上のRIP画像は、記憶部12のページメモリの圧縮メモリー領域に一時的に保存される。通常の印刷時においては、圧縮メモリー領域に保存されたRIP画像は、圧縮・伸長ICにより伸長され書き込み処理部を経由して、原稿画像として画像形成部16に送られ印刷が実行される。
【0030】
(給紙部14、搬送部15)
給紙部14は、複数の給紙トレイを備える。搬送部15は、搬送路を備える。この搬送路は、搬送路に沿って設けられた複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含む。給紙部14は、給紙トレイ内に積載され載置した複数枚の用紙のうち最上位の用紙を送り出す送出しローラーを備え、給紙トレイ内の用紙を1枚ずつ下流側の搬送路に送り出す。
【0031】
(画像形成部16)
画像形成部16は、例えば電子写真方式により画像を形成する。画像形成部16は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応した書込部(レーザ露光部)、感光体ドラム、および各色のトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像器、等を備える。また、画像形成部16は、さらに、中間転写ベルト、2次転写部、および定着部を備える。各色の現像器により、感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト上で重ね合わせされ、2次転写部において搬送された用紙に転写される。用紙上のトナー画像は下流側の定着部で加熱、加圧されることで用紙に定着される。
【0032】
(操作パネル17)
操作パネル17はタッチスクリーン、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備える。操作パネル17は、画像形成装置10、または画像検査装置100の状態を表示し、ユーザーからの各種の設定、指示の入力に用いられる。また、検査ユニット30による検査結果が表示されたり、検査条件の設定および実行指示の入力を受け付けたりする。
【0033】
(通信部19)
通信部19は、ネットワーク上のPC等の各装置、または他の装置20、30等と通信するためのインターフェースである。
【0034】
(サブ機能111~117)
(プリンタ制御部111)
プリンタ制御部111は、印刷ジョブが入力されると、入力された印刷ジョブの印刷ジョブ設定に基づいて、印刷ジョブを実行させる。印刷ジョブは、操作パネル17や、ユーザーが操作するネットワーク接続されたPC等の端末装置80等から送られた指示により入力される。また、ジョブ設定には、印刷設定と検査条件が含まれる。印刷設定には、両面/片面、印刷用紙種類、後処理条件等が含まれる。検査条件についての詳細は後述するが、例えば、後述の
図6A等の操作画面により設定される。
【0035】
プリンタ制御部111は、給紙部14、および搬送部15を制御することで、用紙の給紙搬送を制御する。また、プリンタ制御部111は、画像形成部16を制御し、設定した画像形成条件で用紙に画像を形成させる。
【0036】
検査ユニット制御部112は、プリンタ制御部111からの実行指示要求(検査指示)に応じて、検査ユニット30を制御する。
【0037】
他装置制御部113は、給紙装置20、パージ装置40、および後処理装置50を制御する。他装置制御部113は、具体的には、給紙装置20と通信することで、用いる給紙トレイ、用紙搬送タイミング等を送受信する。他装置制御部113は、パージ装置40に用紙搬送タイミング、搬送する用紙のメイン、サブ搬送経路の指定、および後処理装置50への後処理の設定情報等を送信する。
【0038】
(検査実行指示受付部115)
検査実行指示受付部115は、第1受付部および第2受付部として機能する。第1、第2受付部の例については後述する(
図4A等)。
【0039】
「第1受付部」は、第1検査モードの検査実行指示を受け付ける。すなわち、第1受付部は、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了する前に、画像検査部312による実行指示を受け付ける。また、第1受付部は、基準画像の生成が完了する前として、基準画像の生成前(生成開始前)、または生成中に画像検査部312による画像検査の実行指示を受け付ける。実行指示を受け付けることにより画像形成、およびこれにより生成された画像への検査が行われる。第1検査モードでは、基準画像の生成が完了する前に、検査の実行指示を受け付け可能であるとも言える。第1検査モードでは、原稿画像に基づく画像形成部16による用紙への検査対象画像の画像形成処理と並行して、同じ原稿画像に基づいて基準画像生成部311による基準画像生成処理が実行される。第1受付部による、基準画像の「生成中」に画像検査部312による画像検査の実行指示を受け付けるとは、例えば、前のジョブの基準画像を生成中に、次のジョブの画像検査の実行指示を受け付ける場合がある。
【0040】
「第2受付部」は、第2検査モードの検査実行指示を受け付ける。すなわち、第2受付部は、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了した後に、画像検査部312による画像検査の実行指示を受け付ける。実行指示を受け付けることにより画像形成、およびこれにより生成された画像への検査が行われる。第2検査モードでは、基準画像の生成処理が完了した後に、検査の実行指示を受け付け可能であるとも言える。第2検査モードでは、原稿画像に基づいて基準画像生成部311による基準画像生成処理が実行され、その後、これを用いた検査の実行指示を受け付けることで、検査が行われる。または、第2検査モードでは、既に登録済みの基準画像を使用した検査が実行される。後者では、検査用に基準画像を新たに生成し登録する場合と、登録済みの基準画像を再利用する場合の両方が含まれる。
【0041】
(データ送信部116)
データ送信部116は、原稿画像を画像形成部16と、検査ユニット30(特に基準画像生成部311)に送信する。特に、データ送信部116は、第1受付部による第1検査モードの検査実行の受け付けに応じて、原稿画像を画像形成部16と、検査ユニット30(特に基準画像生成部311)に送信する。例えば、第1受付部による第1検査モードの検査実行の受け付けに応じて、データ送信部116は、直ちに、原稿画像を画像形成部16と基準画像生成部311の両方に同時に送信する。また、データ送信部116は、第1受付部による第1検査モードの検査実行の受け付けに応じて、原稿画像を画像形成部16に送信する。また、データ送信部116は、第2受付部による第2検査モードの検査実行の受け付けに応じて、原稿画像を画像形成部16に送信する。
【0042】
(検査領域受付部117)
検査領域受付部117は、(a)検査除外領域の指定、および(b)検査領域の指定(以下、これらをまとめて「検査領域指定情報」という)を受け付ける。また、検査領域受付部117は、受け付けた検査領域指定情報を、基準画像生成部311に送信する。検査領域指定情報は、対象の領域範囲(主走査方向(X方向)と副走査方向(Y方向)に沿ったXY座標位置)とその内容で記述される。領域範囲は、例えば矩形の領域である。(a)検査除外領域に指定された領域は、検査対象外となる。(b)検査領域に指定された領域は、検査対象となる。検査領域に指定された領域では、通常とは異なる検査を行うことも可能である。例えば、原稿画像に顔写真の画像が含まれ、顔の人肌を含む領域では、カラーの検査レベルが厳しく設定される。また、検査領域の指定においては、バーコードの指定がある。原稿画像にバーコード(1次元、2次元)が含まれる場合があり、この場合、バーコードの指定がされた検査領域においては、検査領域内の画像をデコードすることで、バーコードの印刷が正しいかを検品する。
【0043】
(給紙装置20)
図1、
図2に示す給紙装置20は、画像形成装置10と同様の給紙部、および搬送部を備える。また、給紙装置20は、搬送部、給紙部の他に、制御部、記憶部、および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。
【0044】
(検査ユニット30)
次に、検査ユニット30について説明する。
図2に示すように検査ユニット30は、制御部31、記憶部32、画像読取部33、搬送部34、通信部39等を備える。制御部31、記憶部32、搬送部34、および通信部39それぞれは、上述の画像形成装置10の本体制御部11、記憶部12、搬送部15、および通信部19と同様のハードウェア構成であり説明を省略する。
【0045】
画像読取部33は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーにより、搬送路を搬送される用紙(印刷物)を読み取る。制御部31は、検査ユニット制御部112からの読み取り指示にしたがって、画像形成装置10から搬送された用紙に形成されている画像(検査画像)を読み取るようにスキャナーを制御する。また、制御部31は、画像読取部33から出力されるアナログ画像信号に対し、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を行い、デジタル画像(読取画像)データを生成する。
【0046】
(制御部31)
制御部31は、基準画像生成部311、および画像検査部312として機能する。
【0047】
基準画像生成部311は、画像形成装置10(特にプリントコントローラ13)が取得した原稿画像に基づき以下の各種処理を施して基準画像を生成する。
【0048】
基準画像生成部311と画像検査部312は、それぞれの基準画像生成処理および画像検査処理が並行して行えるように、それぞれ独立したCPUで構成されてもよい。すなわち、制御部31が、複数のCPUで構成される。または、制御部31のCPUとしてマルチコアCPUが適用される。マルチコアCPUである場合、基準画像生成部311を、画像検査部312の検査画像の形成および検査の処理とは、別のコアに割り当て、別々のコアにより基準画像の生成と検査画像の形成および検査とを並行して実行できる。
【0049】
(基準画像生成部311)
基準画像生成部311は、原稿画像に対して、位置、解像度、色等に関して各種の処理を施して基準画像を生成する。基準画像生成部311は、例えば、基準画像と読取画像(検査画像)とについて内容部分(コンテンツ)同士を比較できるように、原稿画像から内容部分の位置情報を抽出し、基準画像に位置情報を付加、または埋め込むことができる。つまり、基準画像生成部311により生成される基準画像は、基準画像に基づいて画像検査を行う際に基準画像と検査画像とを位置合わせするための位置合わせ情報(位置合わせ用特徴量ともいう)を有している。なお、位置合わせ情報としては、画像の輪郭情報やエッジ情報が含まれる。また、基準画像生成部311により生成される基準画像は、上述の検査領域受付部117が受け付けた検査領域指定情報に基づいて、検査領域や検査除外領域に関する領域情報を有している。さらに、基準画像生成部311は、画像読取部33(スキャナー)の解像度に合うように、原稿画像の解像度を調整して基準画像を生成できる。また、基準画像生成部311は、画像読取部33が採用している色空間(例えば、RGB)に合うように、原稿画像データの色空間を変換して基準画像を生成できる。
【0050】
基準画像生成部311が、原稿画像をそのまま使用しないのは、下記の理由による。理想的には、用紙に形成された画像を読み取って生成された読取画像(検査画像)は、原稿画像と内容(コンテンツ)に関して一致すると考えられる。しかし、用紙に形成された検査画像をスキャナーによって読み取る際には、用紙の搬送経路のばらつき、スキャナーによる読み取り位置のずれ、色の再現性、紙種の違い等、種々の要因により、原稿画像に対して検査画像に誤差が生じうる。また、スキャナーによる読み取りの解像度によっても原稿画像に対して誤差が生じうる。したがって、検査画像と原稿画像とを単純に比較するのでは誤差が生じる可能性が高く、検査画像と原稿画像との単純比較によって検査画像を検査するのは現実的ではない。そこで、本実施形態では、基準画像生成部311は、検査画像と比較できるように、原稿画像に対して位置、解像度、色等に関して各種の処理を施して基準画像を生成し、基準画像と検査画像とを比較するように構成される。これにより、検査画像との比較が適切に行われるので、印刷物の検品を精度良く行える。
【0051】
(画像検査部312)
画像検査部312は、基準画像に基づいて画像検査を行う。より具体的には、画像検査部312は、基準画像および読取画像を取得し、基準画像と読取画像とをページごとに比較することにより、用紙に形成された検査画像を検査する。
【0052】
図3は、画像検査の処理を説明する模式図である。画像検査部312は、例えば、ページごとに基準画像と検査画像との画素値の差分(誤差)を算出し、差分の大きさに応じて検査画像の良否を判定する。差分の算出は、1ページごと、オブジェクトごと、または領域ごとに行われうる。例えば、1ページごとに差分を算出する場合、1ページ内の画素の差分の合計値が規定値未満である場合「良」の検査結果が出力され、差分の合計値が規定値以上である場合「不良」の検査の結果が出力される。また、オブジェクトごと、または領域ごとに差分を算出する場合、選択されたオブジェクト内または領域内の画素値の差分の合計値に応じて、「良」または「不良」の検査結果が出力されるように構成されうる。
【0053】
制御部31は、検査画像の検査結果が「良」である場合、印刷物は良品であると判定し、検査画像の検査結果が「不良」である場合、印刷物は不良品であると判定する。判定結果は、本体制御部11に送られる。
【0054】
(パージ装置40)
パージ装置40は、搬送路の分岐部を設けられ、後処理装置50に至るメイン搬送路と、パージトレイ(
図1のパージ装置40の上部に配置)に至るサブ搬送路とが設けられる。パージトレイへは、例えば、検査ユニット30の検査で品質不良と判定された用紙が排出される。
【0055】
(後処理装置50)
後処理装置50は、印刷ジョブの設定に応じて、上流の画像形成装置10から送られた用紙に対して後処理を施したり、排出したりする。後処理装置50は、排紙トレイ、後処理部、および搬送路を備える。また、後処理装置50は、制御部、記憶部、搬送部および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。後処理部は、画像形成された用紙に対して、ステイプル処理、パンチ処理、裁断処理、折処理、および製本処理の少なくとも1つの後処理を行う。
【0056】
(画像検査装置100における各データの流れ)
図4は、
図2に示した画像検査装置100における画像形成および画像検査の処理におけるデータの流れを示す模式図である。
【0057】
本体制御部11は、プリントコントローラ13から、ジョブ設定(不図示)および原稿画像を取得する。原稿画像は、印刷データがラスタライズ処理されたRIP画像である。原稿画像は、ページメモリに保存される。ジョブ設定には、検査条件、印刷設定等の情報が含まれる。検査条件には、画像検査の有無、および画像検査「有」の場合には、さらに、第1、第2検査モードの種別が含まれる。さらに第2検査モードにおいては、使用する登録済み基準画像のファイルを指定するパス情報(ファイルディレクトリ情報)が含まれる。
図4の例においては、ジョブ設定として、主に第1検査モードが選択されたものとして説明する。また、
図4の例において、原稿画像は、1~nページまでのn個の印刷データにより構成されているものとして説明する。
【0058】
本体制御部11(データ送信部116)は、第1検査モードの場合には、ページメモリに保存されている原稿画像を、画像形成部16と基準画像生成部311の両方に、同時に送信する。
【0059】
基準画像生成部311は、受信した原稿画像(1~nページ)により、1~nページの基準画像1~nを順に生成し、記憶部32に記憶する。
【0060】
図4に示す、xは、初期値が1で、nページ目までインクリメントする値である。画像形成部16は、1~nページまで順に、用紙に画像を形成する。xは、現在のページ値である。
【0061】
画像読取部33は、搬送された用紙(xページ)を読み取って、読取画像を生成する。読み取って得られて読取画像は、ページメモリを経由して、xページ目の検査画像として画像検査部312に送られる。また、対応するxページ目の基準画像xは、記憶部32からページメモリを経由して、画像検査部312に送られる。
【0062】
画像検査部312は、取得した基準画像と検査画像とを比較することにより、検査画像を検査する。そして、制御部31(画像検査部312)は、検査画像の検査結果を本体制御部11に出力する。なお、
図4に示す例では、基準画像生成部311で生成された基準画像は、記憶部32に記憶された例を示したが、画像形成装置10の記憶部12に記憶されてもよい。また、
図2、
図4等においては、本体制御部11と制御部31は別体として説明したが、一体で構成してもよい。すなわち、制御部31が、本体制御部11に統合されてもよい。
【0063】
ここで、第1受付部による第1検査モードの検査実行の受け付けがなされた場合、基準画像生成部311による基準画像の生成と画像形成部16による画像形成(検査画像)の形成は並行して実行される。
図5は、原稿画像の取得、基準画像の生成、検査画像の形成、および検査画像の検査の各処理を時系列的に示す模式図である。
図5では、上から順に下記の処理が示されている。
(処理1)本体制御部11により原稿画像の取得。
(処理2)基準画像生成部311による基準画像の生成。
(処理3)画像形成装置10(画像形成部16)による検査対象の画像の形成。
(処理4)画像検査部312により検査画像と基準画像を用いた検査。
また、
図5ではn=8として全部で8ページの原稿画像の印刷、検査の各処理を示している。なお、処理3、4については、3、4P(ページ)以降の処理の記載については省略している。
【0064】
図5に示すように、基準画像生成部311による基準画像の生成と画像形成部16による検査画像の形成(画像形成)は並行して実行される。具体的には1~8ページまでの基準画像の生成処理と、画像形成部16による画像形成は並行して実行される。
【0065】
(画像検査方法)
以下、
図6A~
図11を参照し、本実施形態に係る画像検査方法について説明する。
【0066】
最初に、本実施形態における画像検査の検査条件の設定について説明する。
図6A~
図6Gは、画像検査の検査条件を設定し、および実行指示を行う操作画面(操作画面s1~s7)である。印刷ジョブjob1に関する検査条件以外の印刷設定、および原稿画像の指定については、他の操作画面(図示省略)により行われる。操作画面s1~s7は、プリンタードライバーがインストールされた端末装置80または操作パネル17に表示される。操作画面s1、s3等において、ユーザーは、ラジオボタンのb1、b2の何れかを選択できる。またユーザーは、b2を選択した場合には、さらに、b21、b22のいずれかを選択できる。
【0067】
(第1受付部)
図6A~
図6Bを参照し、第1受付部について説明する。
図6Aの操作画面s1におけるボタンb1(およびb3)は、第1受付部に対応する。ユーザーは、操作画面s1において、ボタンb1を選択し、ジョブ開始ボタンb3を押下する。これにより、画像検査装置100の検査実行指示受付部115は、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了する前に、画像検査部312による実行指示を受け付ける(第1検査モード)。実行指示を受け付けることにより、画像検査装置100は、画像形成、およびこれにより生成された画像への検査を直ちに実行する。
図6Bに示す操作画面s2は、
図6Aの操作画面s1に続いて表示される画面である。ユーザーがジョブ開始ボタンb3の押下することで、検査実行指示受付部115が第1検査モードの検査の実行指示を受け付ける。これに応じて、第1検査モードを受け付けたことを示す操作画面s2が表示される。
【0068】
(第2受付部)
図6C~
図6Eを参照し、第2受付部(第2受付部の1)について説明する。
図6Cの操作画面s3におけるボタンb2(ならびにb21、およびb5(操作画面s4))は、第2受付部に対応する。ユーザーは、ボタンb2を選択し、さらにボタンb21を選択し、登録開始ボタンb4を押下する。これにより、画像検査装置100の基準画像生成部311は、新規に原稿画像に基づいて基準画像の生成を行い、生成した基準画像を記憶部32等に登録する。登録することで、
図6Dの操作画面s4が表示される。ユーザーは、操作画面s4上のジョブ開始ボタンb5を押下する。これにより、画像検査装置100の検査実行指示受付部115は、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了した後に、画像検査部312による検査の実行指示を受け付ける。
図6Eに示す操作画面s5は、
図6Dの操作画面s4に続いて表示される画面である。検査実行指示受付部115が第2検査モードの検査の実行指示を受け付けることで、操作画面s5が表示される。
【0069】
次に、
図6F~
図6Gを参照し、別の第2受付部(第2受付部の2)について説明する。
図6Gの操作画面s7におけるボタンb2、b22、およびb7は、第2受付部に対応する。ユーザーは、操作画面s6上のボタンb2、b22を選択し、さらに選択ボタンbb6を押下する。これにより、ユーザーは、ファイルのパスを指定する画面がポップアップし(図示せず)、過去に生成し、登録した基準画像のファイルを指定する。この基準画像のファイルは、例えば、記憶部32(または記憶部12)に記憶されている。
図6Gの操作画面s7では、指定された基準画像(基準画像のパス)が表示欄b60に示されている。ユーザーは、操作画面s7上のジョブ開始ボタンb7を押下する。これにより、画像検査装置100の検査実行指示受付部115は、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了した後に、画像検査部312による検査の実行指示を受け付ける。操作画面s7のジョブ開始ボタンb7が押下されることでも、第2検査モードの検査の実行指示を受け付けたことを示す操作画面s5が表示される。次に、
図7~
図9を参照し、
図6A~
図6Gまでの操作画面により受け付けた、画像検査の検査条件の設定および実行指示に応じた画像検査について説明する。
【0070】
(画像検査方法)
図7から
図9は、画像検査方法を示すフローチャートである。
【0071】
(ステップS11)
画像検査装置100は、印刷ジョブを受信する。印刷ジョブには、原稿画像(印刷データ)、検査条件等のジョブ設定が含まれる。以下においては、
図4の例と同様に原稿画像には、1~nページまでの複数ページの画像データが含まれるものとして説明する。
【0072】
(ステップS12)
画像検査装置100の制御部11は、ジョブ設定に記述されている検査条件を参照することで、検査設定の有無を判定する。制御部11は、検査を実行する場合(YES)、処理をステップS13に進め、検査を実行しない場合(NO)、処理を終了する(エンド)。この場合には、印刷ジョブについて画像検査が行われない通常の画像形成を行うものであり、説明を省略する。
【0073】
(ステップS13)
画像検査装置100の制御部11は、受け付けた受付部について判定する。第1受付部が受け付けた検査の実行指示であれば処理を
図8に進める(図で丸囲みの「A」で示す)。一方で、第2受付部が受け付けた検査の実行指示であれば処理を
図9に進める(図で丸囲みの「B」で示す)。第1受付部が受け付けた検査の実行指示は、上述のように
図6Aの操作画面s1受け付けた実行指示であり、第1検査モードである。第2受付部が受け付けた検査の実行指示は、上述のように
図6C~6Dの操作画面s3、s4、または、
図6F~
図6Gの操作画面s6、s7で受け付けた実行指示であり、第2検査モードである。
【0074】
図8を参照する。
図8において(
図9も同様)、左側の一点破線で囲まれる処理は、画像形成装置10側で行われる処理であり、右側の破線で囲まれる処理は、検査ユニット30側で行われる処理である。ステップS21~S23の画像形成装置10側の処理と、ステップS24~S26の検査ユニット側の処理は、並行して行われてもよい。すなわち、画像形成部16により画像形成と、基準画像生成部311による基準画像の生成は同時に行われる。例えば
図5に示したように画像形成部16による1ページ目の検査画像の形成と並行して、基準画像生成部311による3~4ページ目の基準画像の生成が行われる。また、ステップS25の処理とステップS27およびステップS28の処理も並行して行われてもよい。例えば、
図5に示したようにステップS25で、基準画像生成部311により5ページ目の基準画像の生成が行われ、同時にステップS27で検査対象の用紙を読み取り、ステップS28で画像検査部312により、検査画像の検査が行われる。
【0075】
(ステップS21)
画像形成装置10の画像形成部16は、原稿画像(1~n)を受信する。
【0076】
(ステップS22)
画像形成部16は、原稿画像に基づいて、用紙に画像を形成する。xは、初期値が1で、nページ目までインクリメントする値である。画像形成部16は、1~nページまで順に、用紙に画像を形成する。xは、現在のページ値である。なお、制御部11(または制御部31)は、全ページ(1~nページ)の基準画像の生成後に画像形成部16による画像形成を行わせるようにしてもよい。
【0077】
(ステップS23)
画像形成装置10は、用紙に画像形成し、画像形成した用紙を検査ユニット30へ搬送する。
【0078】
(ステップS24)
検査ユニット30は、原稿画像を受信する。制御部31は、受信した原稿画像をページメモリまたは記憶部32に保存する。
【0079】
(ステップS25)
基準画像生成部311は、原稿画像に基づいて基準画像を生成する。
図10は、基準画像の生成処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0080】
(ステップS601)
基準画像生成部311は、ページメモリまたは記憶部32に保存した原稿画像を読み出す。
【0081】
(ステップS602)
基準画像生成部311は、原稿画像に対して、解像度変換、色域変換処理を施し、変換後の画像データ(仮の基準画像)を得る。この画像データは、以下のステップS603からS605の処理をすることで基準画像となる。
【0082】
(ステップS603)
基準画像生成部311は、検査領域指定情報が有れば(YES)、処理をステップS603に進め、無ければ(NO)、ステップS603をスキップする。このように検査領域指定情報は、必ずしも全ての画像検査で用いられるものではなく、省略される場合もある。検査領域指定情報は、検査条件情報に含まれるものである。検査領域指定情報としては、上述のように検査領域の指定、および検査除外領域の指定がある。
【0083】
(ステップS604)
基準画像生成部311は、検査領域指定情報を基準画像に設定する。
【0084】
(ステップS605)
基準画像生成部311は、基準画像から位置合わせ用の特徴量を抽出する。位置合わせ用の特徴量としては、画像の輪郭情報やエッジ情報がある。以上で
図10の処理を終了し、元の処理に戻る(リターン)。
【0085】
(ステップS26)
再び
図8を参照する。ここでは、制御部31は、全ページ終了してなければxをインクリメントして、次のページに対してステップS25の処理を行う。一方で、全ページ終了していれば(YES)、すなわち、nページ目(x=n)までの基準画像の生成が終了していれば、処理を次のステップS27に進める。上述のように、ステップS25の処理をステップS27およびステップS28の処理と並行して行うことも可能である。
【0086】
(ステップS27)
検査ユニット30の画像読取部33は、画像形成装置10から搬送された検査対象の用紙(xページ目)を読み取って読取画像を生成する。この読取画像は、検査画像として用いられる。
【0087】
(ステップS28)
画像検査部312は、ステップS27で読み取って生成したxページ目の検査画像に対する検査を実行する。
図11は、画像検査処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0088】
(ステップS701)
画像検査部312は、記憶部32またはページメモリに記憶しているxページ目の基準画像を読み出す。
【0089】
(ステップS702)
画像検査部312は、xページ目の基準画像と、ステップS27で生成した同じxページ目の検査画像の位置合わせを行う。位置合わせは、ステップS604で抽出した基準画像の特徴量を、検査画像の特徴量と対応付けること(マッチング)により行う。画像検査部312は、特徴量の対応付けにより、座標変換または座標シフトにより2つの画像の位置合わせを行う。
【0090】
(ステップS703、S704)
画像検査部312は、位置合わせ後の基準画像と検査画像それぞれの対応する画素値の差分をとり、差分の大きさに応じて、検査画像の良否を判定する。以上で、
図11の処理を終了され、元の処理に戻される(リターン)。
【0091】
(ステップS29)
再び
図8を参照する。ここでは、画像検査装置100は、全ページ終了してなければxをインクリメントして、ステップS22以下の処理を繰り返す。一方で、全ページ終了していれば(YES)、すなわち、nページ目(x=n)までの検査が終了していれば、処理を終了する(エンド)。以上までが、第1検査モードでの画像検査処理である。次に
図9を参照し、第2検査モードについて説明する。
【0092】
(第2検査モード)
図9は、
図7に続いて行われる第2検査モードを示すフローチャートである。
図9に示す第2検査モードは、
図6C~
図6Eで説明した第2受付部(第2受付部の1)により実行指示を受け付けたものでとして説明する。すなわち、以下に説明する
図9では、基準画像は新規に登録され、その後、これを用いた、画像検査が行われる。
【0093】
(ステップS41、S42)
検査ユニット30は、原稿画像を受信する。制御部31は、受信した原稿画像を記憶部32に保存する。
【0094】
(ステップS43、S44)
基準画像生成部311は、原稿画像に基づいて基準画像を生成する。ここでの処理は、ステップS25、S26と同様であり、
図10に示すサブルーチンフローチャートにより基準画像が生成される。基準画像の生成が完了した場合には、検査実行指示受付部115は、
図6Dに示すような操作画面s4を表示する。なお、操作画面s4に換えて、
図6Cの操作画面s3のボタンb22から、生成された基準画像を選択、指定するようにしてもよい。
【0095】
(ステップS45)
検査実行指示受付部115は、画像検査の実行開始の指示があれば(YES)、処理をステップS46に進める。ここで実行開始の指示とは、操作画面s4で、ユーザーによりジョブ開始ボタンb5が押下された場合である。これは、第2受付部よる、基準画像生成部311による基準画像の生成が完了した後の、画像検査部312による画像検査の実行指示の受け付けに相当する。
【0096】
(ステップS46~S51)
ここでの画像形成装置10による画像形成した用紙の検査ユニット30へ搬送する処理は、
図8のステップS21~S23と同様の処理であり、説明を省略する。
【0097】
(ステップS49~S50)
ここでの検査ユニット30による画像検査処理等は、
図8のステップS27~S29と同様の処理であり、説明を省略する。
【0098】
このように、本実施形態に係る画像検査装置は、記録媒体に形成された画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成部と、前記基準画像に基づいて、前記記録媒体に形成された画像を検査する画像検査部とを有する。また、画像検査装置は、前記基準画像生成部による基準画像の生成が完了する前に前記画像検査部による検査の実行指示を受け付ける第1受付部、を有する。これにより、基準画像の生成から画像検査に至る処理にかかる時間を短縮できる。また、第1受付部では、例えば
図6Aに示すように、ジョブ実行開始の操作(ボタンb3)を受け付けるだけで、直ちに画像検査が実行開始されるので、ユーザーの煩雑な操作は不要となる。また、第2受付部により、基準画像生成部による基準画像の生成後において、該基準画像に基づく前記画像検査部による検査の実行指示を受け付けることで、登録済みの基準画像を利用した(再利用した)検査も実行できる。
【0099】
以上に説明した検査ユニット30、およびこれを備える画像検査装置100の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成装置が備える構成を排除するものではない。本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。
【0100】
(変形例)
図8に示したように、第1の実施形態に係る画像検査装置100では、第1受付部により画像検査の実行指示を受け付けた場合には、直ちに、データ送信部116は、画像形成部16と、基準画像生成部311に原稿画像を送信した。また、これに応じて、画像形成部16は、直ぐに画像形成を開始し、また、基準画像生成部311は基準画像の生成を開始した(
図5参照)。しかしながらこれに限られない。本体制御部11は、基準画像生成部311により、全ページ(1~nページ)の基準画像の生成が完了した後に、画像形成部16による画像形成を開始させるようにしてもよい。
【0101】
また、画像検査装置100に、表示部を備える端末装置80が含まれてもよい。この端末装置80には、検査実行指示受付部115(第1、第2受付部)が設けられ、表示部に表示した操作画面s1、s3等により、検査実行指示を受け付ける。
【0102】
また、上述した実施形態に係る検査ユニット30、および画像検査装置100における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリーやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1000 印刷システム
100 画像検査装置
10 画像形成装置
11 本体制御部
111 プリンタ制御部
112 検査ユニット制御部
113 他装置制御部
115 検査実行指示受付部
116 データ送信部
117 検査領域受付部
12 記憶部
13 プリントコントローラ
14 給紙部
15 搬送部
16 画像形成部
17 操作パネル
19 通信部
20 給紙装置
30 検査ユニット
31 制御部
311 基準画像生成部
312 画像検査部
32 記憶部
33 画像読取部
34 搬送部
39 通信部
40 パージ装置
50 後処理装置