(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099354
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】シート剥離装置およびシート剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215961
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA10
5F131AA14
5F131AA23
5F131BA53
5F131CA09
5F131EC34
5F131EC37
5F131EC72
5F131EC73
5F131EC76
(57)【要約】
【課題】接着シートを安定して被着体から剥離することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供すること。
【解決手段】被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離手段20と、被着体WKから剥離された接着シートASを案内する案内手段50とを備えたシート剥離装置EAにおいて、案内手段50は、外周面WKEから剥離された直後の接着シートASを、当該外周面WKEから剥離される直前の接着シートASを臨む方向に折り曲げて折り曲げ部ASTを形成し、当該折り曲げ部ASTの弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部ASTを外周面WKEに押し付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の外周面に貼付された接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記被着体から剥離された前記接着シートを案内する案内手段とを備えたシート剥離装置において、
前記案内手段は、前記外周面から剥離された直後の前記接着シートを、当該外周面から剥離される直前の前記接着シートを臨む方向に折り曲げて折り曲げ部を形成し、当該折り曲げ部の弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部を前記外周面に押し付けることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記外周面から剥離された直後の前記接着シートと、前記外周面から剥離される直前の前記接着シートとの間隔を調整する間隔調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
被着体の外周面に貼付された接着シートに張力を付与し、前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離工程と、
前記被着体から剥離された前記接着シートを案内する案内工程とを実施するシート剥離方法において、
前記案内工程では、前記外周面から剥離された直後の前記接着シートを、当該外周面から剥離される直前の前記接着シートを臨む方向に折り曲げて折り曲げ部を形成し、当該折り曲げ部の弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部を前記外周面に押し付けることを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置およびシート剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被着体の外周面に貼付された接着シートを当該被着体から剥離するシート剥離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたテープ剥がしシステム70(シート剥離装置)では、ウエハW(被着体)から剥離される保護テープ27(接着シート)が一気に広領域に亘って剥がれたり、被着体からなかなか剥がれなかったりするので、接着シートを安定して被着体から剥離することができないという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、接着シートを安定して被着体から剥離することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着シートを折り曲げて折り曲げ部を形成し、当該折り曲げ部の弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部を外周面に押し付けるので、接着シートが一気に広領域に亘って剥がれたり、被着体からなかなか剥がれなかったりすることがなくなり、接着シートを安定して被着体から剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係るシート剥離装置の説明図および同装置の動作説明図。(E)~(G)は、本発明の変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な矢印VD方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明のシート剥離方法を実施するシート剥離装置EAは、被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASを保持するシート保持工程を実施するシート保持手段10と、被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離工程を実施する剥離手段20と、折り曲げ部AST(
図1(D)参照)の位置を検知する折り曲げ部検知工程を実施する折り曲げ部検知手段30(折り曲げ部検知手段30は
図1(A)以外では省略)と、剥離用接着部材としての剥離用シートPSに所定のエネルギーとしての熱を付与するエネルギー付与工程を実施するエネルギー付与手段40と、被着体WKから剥離された接着シートASを案内する案内工程を実施する案内手段50とを備えている。
本実施形態では、被着体WKは、被着体中心WKCを中心とする円形形状のものが採用されている。
【0011】
シート保持手段10は、当該シート保持手段10を構成する各部材を直接的または間接的に支持する支持部材11と、帯状の剥離用シートPSを支持する支持ローラ12と、剥離用シートPSを案内するガイドローラ13と、ガイドブロック14Aに摺動可能なスライド軸14Bに支持され、付勢手段としてのコイルばね14Cによってガイドブロック14Aから離間する方向に付勢されているシート支持台14と、エネルギー付与手段40を介して駆動機器としての直動モータ15Aの出力軸15Bに支持され、接着シートASを押圧する押圧面15Cを有する押圧部材15と、駆動機器としての直動モータ16Aの出力軸16Bに支持された切断手段としてのカッター刃16と、駆動機器としてのリニアモータ17Aのスライダ17Bに支持された受け部材17と、受け部材17に支持された駆動機器としての回動モータ18Aの出力軸18Bに取り付けられた押さえ部材18とを備え、押圧面15Cで剥離用シートPSを接着シートASに押圧して貼付することで、当該剥離用シートPSを介して接着シートASを保持するようになっている。
なお、本実施形態の剥離用シートPSは、所定のエネルギーとしての熱が付与されることで接着力が向上する感熱接着性の接着シートが採用されている。
【0012】
剥離手段20は、スライダ21Aで支持部材11を支持する駆動機器としてのリニアモータ21と、駆動機器としての回動モータ22と、回動モータ22の出力軸22Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面23Aを有する支持テーブル23と、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成され、接着シートASの剥離開始端縁AS1を検出可能な端縁検出器機24とを備えている。
なお、本実施形態の支持テーブル23は、回動モータ22によってテーブル中心23Cを中心に回転する構成となっている。
また、本実施形態の剥離手段20は、折り曲げ部検知手段30の検知結果を基にして、シート保持手段10と被着体WKとを相対回転させるようになっている。
【0013】
折り曲げ部検知手段30は、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成された検知器機31を備え、支持テーブル23の左斜め上方に配置されている。
【0014】
エネルギー付与手段40は、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱機器41を備えている。
【0015】
案内手段50は、駆動器機としての直動モータ51と、直動モータ51の出力軸51Aに支持された駆動器機としてのリニアモータ52と、リニアモータ52のスライダ52Aに回転可能に支持された案内部材としての案内ローラ53とを備え、外周面WKEから剥離された直後の接着シートASを、当該外周面WKEから剥離される直前の接着シートASを臨む方向に折り曲げて折り曲げ部ASTを形成し、当該折り曲げ部ASTの弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部ASTを外周面WKEに押し付けるようになっている。
なお、本実施形態では、リニアモータ52は、外周面WKEから剥離された直後の接着シートASと、外周面WKEから剥離される直前の接着シートASとの間隔DT(
図1(D)参照)を調整する間隔調整手段である。
【0016】
以上のシート剥離装置EAの動作を説明する。
先ず、
図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート剥離装置EAに対し、当該シート剥離装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。次いで、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、
図1(A)に示すように、外周面WKEに接着シートASが貼付された被着体WKの被着体中心WKCがテーブル中心23Cと重なるように、当該被着体WKを支持テーブル23上に載置する。すると、剥離手段20が図示しない減圧手段を駆動し、支持面23Aでの吸着保持を開始する。
【0017】
その後、剥離手段20が回動モータ22および端縁検出器機24を駆動し、
図1(B)に示すように、被着体WKを矢印RD方向に回転させて、端縁検出器機24で接着シートASの剥離開始端縁AS1を検出し、当該端縁検出器機24の検出結果を基にして、剥離開始端縁AS1の回転方向後方部を押圧部材15の右方に配置した状態で回動モータ22の駆動を停止する(
図1(C)参照)。次に、シート保持手段10がリニアモータ17Aを駆動し、
図1(B)に示すように、受け部材17をシート支持台14に押し当てて当該受け部材17と共にシート支持台14を後方へ移動させ、剥離用シートPSの先端部を受け部材17上に位置させる。そして、シート保持手段10が回動モータ18Aを駆動し、
図1(B)中二点鎖線で示すように、押さえ部材18と受け部材17とで剥離用シートPSの先端部を把持した後、リニアモータ17Aを駆動し、
図1(C)に示すように、受け部材17を初期位置に復帰させて剥離用シートPSを所定長さ引き出す。
【0018】
次いで、シート保持手段10が直動モータ15Aを駆動し、
図1(C)中二点鎖線で示すように、押圧部材15で剥離用シートPSを剥離開始端縁AS1の回転方向後方部に押圧した後、エネルギー付与手段40が加熱機器41を駆動し、剥離用シートPSを加熱して当該剥離用シートPSを接着シートASに貼付する。その後、シート保持手段10が直動モータ16Aを駆動し、
図1(C)中二点鎖線で示すように、カッター刃16を凹溝14D内に入り込ませて剥離用シートPSを切断した後、直動モータ15A、16Aを駆動し、押圧部材15およびカッター刃16を初期位置に復帰させる。
【0019】
次に、案内手段50が直動モータ51およびリニアモータ52を駆動し、案内ローラ53を後方へ移動させた後、当該案内ローラを右方へ移動させる(
図1(D)参照)。この際、リニアモータ52は、後の動作によって外周面WKEから剥離された直後の接着シートASと、外周面WKEから剥離される直前の接着シートASとの間隔DTが、予め設定されている距離となるように案内ローラ53を移動させておくようになっている。なお、間隔DTは、後に形成される折り曲げ部ASTの弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部ASTを外周面WKEに押し付けることができる距離に予め設定されている。
【0020】
そして、折り曲げ部検知手段30が検知器機31を駆動するとともに、剥離手段20がリニアモータ21を駆動し、
図1(D)に示すように、支持部材11を左方に移動させて被着体WKから遠ざけ、接着シートASに張力を付与して被着体WKから接着シートASを剥離する。この際、支持部材11の左方への移動と同時に、剥離手段20が折り曲げ部検知手段30の検知結果を基にして回動モータ22を駆動し、接着シートASの折り曲げ部ASTが案内ローラ53と被着体WKとの間に位置するように、被着体WKを矢印RD方向または矢印RDの反対方向に回転させる。これにより、接着シートASは、折り曲げ部ASTが自身の弾性復元力に抗して被着体WKの外周面WKEに押し付けられながら被着体WKから剥離されていく。
【0021】
次いで、接着シートAS全体が被着体WKから剥離され、使用者または図示しない搬送手段が当該接着シートASを保持すると、剥離手段20がリニアモータ21および回動モータ22の駆動を停止する。その後、シート保持手段10が回動モータ18Aを駆動し、押さえ部材18を初期位置に復帰させると、使用者または図示しない搬送手段が、保持した接着シートASを図示しない廃棄位置に搬送する。次に、剥離手段20が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面23Aでの吸着保持を解除すると、使用者または図示しない搬送手段が被着体WKを次工程に搬送した後、剥離手段20がリニアモータ21を駆動し、支持部材11を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0022】
以上のような実施形態によれば、接着シートASを折り曲げて折り曲げ部ASTを形成し、当該折り曲げ部ASTの弾性復元力に抗するようにして当該折り曲げ部ASTを外周面WKEに押し付けるので、接着シートASが一気に広領域に亘って剥がれたり、被着体WKからなかなか剥がれなかったりすることがなくなり、接着シートASを安定して被着体WKから剥離することができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、剥離手段は、被着体の外周面に貼付された接着シートに張力を付与し、被着体から接着シートを剥離可能なものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
シート保持手段10は、被着体WKから接着シートASを剥離した後、剥離用シートPSを切断してもよいし、被着体WKに剥離用シートPSを貼付する前に当該剥離用シートPSを切断してもよいし、枚葉の剥離用シートPSを採用してもよいし、剥離用シートPSを切断しなくてもよいし、切断手段16がなくてもよいし、受け部材17、回動モータ18Aおよび押さえ部材18に代えてまたは併用して、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で剥離用シートPSを保持する構成を採用してもよいし、例えば、多関節ロボット等の駆動器機によって、被着体WKの外周面WKEに貼付された接着シートASに剥離用シートPSを貼付してもよいし、剥離開始端縁AS1の回転方向前方部に剥離用シートPSを貼付してもよく、当該剥離開始端縁AS1をどこにするのかによって、剥離用シートPSを貼付する位置を決定し、剥離手段20が被着体WKを回転させる方向を決定することができる。
押圧部材15は、エネルギー付与手段40を介さずに、直動モータ15Aの出力軸15Bに支持されてもよい。
押圧面15Cは、例えば、凹円弧形状、凸円弧形状、V字形状、逆V字形状、U字形状、逆U字形状、凹凸矩形形状、直線形状、その他の形状等どのような形状でもよい。
シート保持手段10は、剥離用シートPSを介さずに接着シートASを保持してもよく、例えば、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で直接または間接的に接着シートASを保持してもよいし、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、本発明のシート剥離装置EAに備わっていない場合、例えば、他の装置で接着シートASの剥離開始端縁AS1の回転方向後方部を保持しておき、剥離手段20が当該他の装置を被着体WKから遠ざけたり、被着体WKを他の装置から遠ざけたりして当該被着体WKから接着シートASを剥離すればよい。
【0025】
剥離手段20は、支持面23Aでの吸着保持ができない支持テーブル23が採用されてもよいし、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被着体WKを保持してもよいし、被着体WKを支持テーブル23とで挟み込んで保持する上押さえ部材があってよいし、回動モータ22を移動させる駆動器機を採用し、当該駆動器機とリニアモータ21と回動モータ22とを駆動し、被着体WKを回転させながらシート保持手段10と被着体WKとを相互に遠ざけることで被着体WKから接着シートASを剥離してもよいし、リニアモータ21を採用せずに回動モータ22を移動させる駆動器機を採用し、当該駆動器機および回動モータ22を駆動し、被着体WKを回転させながらシート保持手段10から遠ざけることで被着体WKから接着シートASを剥離してもよいし、リニアモータ21、回動モータ22および支持テーブル23に代えて多関節ロボット等の駆動機器によって接着シートASに張力を付与し、被着体WKから接着シートASを剥離してもよいし、端縁検出器機24を無くし、例えば、剥離開始端縁AS1が所定の位置となるように、接着シートASが貼付された被着体WKを支持テーブル23上に載置するようにしてもよいし、被着体WKや支持部材11を相手方から遠ざけることなく、例えば、駆動器機で回転駆動する挟み込みローラと案内ローラ53とで剥離用シートPSや接着シートASを挟み込み、当該挟み込みローラを回転させることで、接着シートASに張力を付与して被着体WKから接着シートASを剥離したり、
図1(F)に示すように、駆動機器としての回動モータ25Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ25Bとで接着シートASを挟み込む駆動ローラ25を採用し、回動モータ25Aを駆動することで、接着シートASに張力を付与して被着体WKから接着シートASを剥離したりしてもよい。
【0026】
折り曲げ部検知手段30は、支持テーブル23の下方や側方等に配置されていてもよく、折り曲げ部ASTの位置を検知可能な位置であればどこに配置されていてもよいし、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、本発明のシート剥離装置EAに備わっていない場合、接着シートASの折り曲げ部ASTが案内ローラ53と被着体WKとの間に位置するように、計算値や経験値によってスライダ21Aの移動と被着体WKの回転とをリンクさせればよい。
【0027】
エネルギー付与手段40は、所定のエネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波を付与するものや、熱湯や熱風等の加熱媒体を付与するものや、冷水や冷風等の冷却媒体を付与するもの等どのようなものでもよく、剥離用接着部材の特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該剥離用接着部材の接着力を向上させることができるものであればどのようなエネルギーを付与するものであってもよいし、前記実施形態で示した位置以外の場所に設けられていてもよく、剥離用接着部材に所定のエネルギーを付与可能な位置であれば、どこに設けられていてもよいし、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0028】
案内手段50は、案内ローラ53を回転させる駆動器機が採用されてもよいし、例えば、
図1(E)に示すように、間隔DTが0となるように案内ローラ53の位置を調整してもよいし、
図1(F)に示すように、駆動機器としての回動モータ54Aの図示しない出力軸に支持された駆動プーリ54Bと、回転自在な従動プーリ54Cと、駆動プーリ54Bと従動プーリ54Cとに掛け回されたベルト部材54Dと、ベルト部材54Dを案内する案内板54Eとを備えた案内部材としての案内コンベア54を採用してもよいし、
図1(G)中実線で示すように、被着体WKの外周面WKEに沿った円弧形状の板状部材55Aを備えた案内部材としての案内板55を採用してもよいし、
図1(G)中実線と二点鎖線で示すように、板状部材55Aとローラ56Aとを備えた案内部材としての案内機器56を採用してもよいし、折り曲げ部ASTを形成する位置が
図1(D)、(E)、(G)に示すように、案内部材と外周面WKEとの最短となる位置であったり、
図1(F)中二点鎖線で示すように、案内部材と外周面WKEとの最短となる位置でなかったりしてもよいし、回動モータ22を移動させる駆動器機を採用し、当該駆動器機とリニアモータ52とで間隔調整手段を構成し、案内部材と被着体WKとの両方を相互に離間接近させて間隔DTを調整してもよいし、リニアモータ52を採用せずに回動モータ22を移動させる駆動器機を採用し、当該駆動器機を駆動し、案内部材に対して被着体WKを離間接近させて間隔DTを調整してもよいし、
図1(D)、(E)、(F)、(G)に示すように、
外周面WKEから剥離された直後の接着シートASと、当該外周面WKEから剥離される直前の接着シートASとの角度を180度にして折り曲げ部ASTを形成してもよいし、
図1(F)中下方の二点鎖線で示すように、外周面WKEから剥離された直後の接着シートASと、当該外周面WKEから剥離される直前の接着シートASとの角度を180度以下にしたり、
図1(F)中上方の二点鎖線で示すように、180度以上にしたりにして折り曲げ部ASTを形成してもよい。
【0029】
シート剥離装置EAは、間隔調整手段によって調整する間隔DTの距離を入力可能な操作手段が備わっていてもよく、使用者によって間隔DTを任意に設定できるようにしてもよい。
【0030】
接着シートASは、外周面WKEの周回方向における一方の端縁部と他方の端縁部とが重なるようにして被着体WKに貼付されていたり、一方の端縁と他方の端縁とが接触するようにして被着体WKに貼付されていたり、一方の端縁と他方の端縁とが離間するようにして被着体WKに貼付されていたりしてもよいし、平面形状が一直線形状、湾曲形状、屈折形状等、どのような形状でもよいし、所定の第2エネルギーによって接着力が低下するものでもよく、このような接着シートASは、例えば、所定の第2エネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の加熱媒体や、冷水や冷風等の冷却媒体等どのようなエネルギーによって接着力が低下するものでもよく、この場合、シート剥離装置EAは、接着シートASに所定の第2エネルギーを付与する第2エネルギー付与手段として、例えば、電磁波を付与するものや、加熱媒体を付与するものや、冷却媒体を付与するもの等どのようなものが採用されてもよく、接着シートASの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該接着シートASの接着力を低下させることができるものであればどのような第2エネルギーを付与するものであってもよい。
被着体WKの外周面WKEに貼付されている接着シートASの表面形状は、当該被着体WKの外周面WKEの形状と同じ形状でもよいし、異なる形状でもよい。
【0031】
剥離用接着部材は、感圧接着性の接着シートや感熱接着性の接着シートでもよいし、接着シート以外に、例えば、接着テープ、粘着シート、粘着テープの他、金属、樹脂、ゴム等の基材に接着剤や粘着剤等の接着媒体が積層されたものでもよいし、所定のエネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の加熱媒体や、冷水や冷風等の冷却媒体等、どのようなエネルギーが付与されることで接着力が向上するものでもよいし、所定のエネルギーによって接着力が向上しないものでもよい。
【0032】
次工程は、めっき工程、洗浄工程、エッチング工程、浸漬工程、切断工程、酸化膜形成工程、窒化工程、研削工程、サンドブラスト工程、研磨工程、塗装工程、積層工程、シート接着工程、表面処理工程、穴あけ工程、曲げ工程、検査工程、検証工程、照射工程等、どのような工程でもよい。
【0033】
本発明における接着シートAS、剥離用接着部材および被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートAS、剥離用接着部材および被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASや剥離用接着部材は、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASや剥離用接着部材が採用された場合は、当該接着シートASや剥離用接着部材を加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASや剥離用接着部材は、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0034】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた所謂多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等が単体で採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等が直接的又は間接的に組み合わされたものが採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等の出力部に対するトルク制御や速度制御等が可能なものや不能なものが採用されてもよい。
【0035】
前記実施形態において、何らかの物体(以下「物体A」という)および当該物体Aに対して移動する物体(以下「物体B」という)すなわち、相対移動する物体Aおよび物体Bは、移動することのない物体Aに対して物体Bが移動してもよいし、移動することのない物体Bに対して物体Aが移動してもよいし、物体Aおよび物体Bの両方が移動してもよいく、移動によって達成される結果が同じであれば、物体Aおよび物体Bの何れが移動してもよいし、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や硝子等の変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂または駆動機器等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
EA…シート剥離装置
20…剥離手段
50…案内手段
52…リニアモータ(間隔調整手段)
AS…接着シート
AST…折り曲げ部
DT…間隔
WK…被着体
WKE…外周面