(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099404
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】駆動輪及び台車
(51)【国際特許分類】
F16H 1/14 20060101AFI20250626BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
F16H1/14
F16H1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216044
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 紘
【テーマコード(参考)】
3J009
【Fターム(参考)】
3J009DA17
3J009EA06
3J009EA11
3J009EA16
3J009EA25
3J009EA37
3J009EA44
3J009EC06
3J009FA30
(57)【要約】
【課題】差動式の全方向移動機構を備え、車輪の周囲の伝達系の容積を減らす。
【解決手段】同軸上の第一入力軸25A,第二入力軸25Bと、別軸上の第一出力軸40A,第二出力軸40Bと、車輪15に接続される車軸37と、第一入力軸の回転力を第一出力軸に伝達する第一伝達機構13Aと、第二入力軸の回転力を第二出力軸に伝達する第二伝達機構13Bと、車輪と共に設けられた変換従動歯車42及び当該変換従動歯車に噛み合い第一出力軸に設けられる第一変換駆動歯車41Aを含む第一動力変換機構14Aと、変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い第二出力軸に設けられる第二変換駆動歯車41Bを含む第二動力変換機構14Bと、車軸を介して車輪を旋回可能に支持する旋回軸35とを含み、変換従動歯車は、車軸の一方の側にのみ設けられ、第一変換駆動歯車及び第二変換駆動歯車は、車軸の軸心O2を含む平面を境にした一側で変換従動歯車に噛み合う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配置される第一入力軸及び第二入力軸と、
別軸上に配置される第一出力軸及び第二出力軸と、
車輪に接続される車軸と、
前記第一入力軸の回転力を前記第一出力軸に伝達する第一伝達機構と、
前記第二入力軸の回転力を前記第二出力軸に伝達する第二伝達機構と、
前記車輪と共に設けられた変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第一出力軸に設けられる第一変換駆動歯車を含む第一動力変換機構と、
前記変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第二出力軸に設けられる第二変換駆動歯車を含む第二動力変換機構と、
前記車軸を介して前記車輪を旋回可能に支持する旋回軸と、
を含み、
前記変換従動歯車は、前記車軸の一方の側にのみ設けられ、
前記第一変換駆動歯車及び前記第二変換駆動歯車は、前記車軸の軸心を含む平面を境にした一側で前記変換従動歯車に噛み合う、
駆動輪。
【請求項2】
前記第一出力軸と前記第二出力軸は、少なくとも一方の軸心が自在継手を介して前記第一入力軸及び前記第二入力軸の軸心に対して傾いて設けられる、
請求項1に記載の駆動輪。
【請求項3】
前記第一出力軸と前記第二出力軸は、少なくとも一方の軸心が傾斜軸を介して前記第一入力軸及び前記第二入力軸の軸心に対して傾いて設けられる、
請求項1に記載の駆動輪。
【請求項4】
前記車軸の軸心に交差して鉛直方向に沿う前記車輪の回転軸心を、前記旋回軸の軸心に対して前記車軸の軸心に交差する水平方向にずれて配置する、
請求項1に記載の駆動輪。
【請求項5】
駆動輪と、
前記駆動輪が取付けられる台車本体と、
を備え、
前記駆動輪は、
同軸上に配置される第一入力軸及び第二入力軸と、
別軸上に配置される第一出力軸及び第二出力軸と、
車輪に接続される車軸と、
前記第一入力軸の回転力を前記第一出力軸に伝達する第一伝達機構と、
前記第二入力軸の回転力を前記第二出力軸に伝達する第二伝達機構と、
前記車輪と共に設けられた変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第一出力軸に設けられる第一変換駆動歯車を含む第一動力変換機構と、
前記変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第二出力軸に設けられる第二変換駆動歯車を含む第二動力変換機構と、
前記車軸を介して前記車輪を旋回可能に支持する旋回軸と、
を含み、
前記変換従動歯車は、前記車軸の一方の側にのみ設けられ、
前記第一変換駆動歯車及び前記第二変換駆動歯車は、前記車軸の軸心を含む平面を境にした一側で前記変換従動歯車に噛み合う、
台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪及び台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に駆動輪及び駆動輪を用いた台車について開示されている。この駆動輪は、同軸上に配置される第一入力軸及び第二入力軸と、別軸上に配置される第一出力軸及び第二出力軸と、第一入力軸の回転力を第一出力軸に伝達する第一平歯車機構と、第二入力軸の回転力を第二出力軸に伝達する第二平歯車機構と、車軸に連結される車輪と、車軸を介して車輪を旋回可能に支持する旋回軸と、第一出力軸の回転力を車軸の一端部に伝達する第一動力変換機構と、第二出力軸の回転力を車軸の他端部に伝達する第二動力変換機構と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の駆動輪は、差動式の全方向移動機構を備える。そして、このような差動式の全方向移動機構を備えつつ、その基本構成を極力簡素化することが望まれる。具体的には、特許文献1に記載の駆動輪は、第一動力変換機構によって第一出力軸の回転力を車軸の一端部に伝達し、第二動力変換機構によって第二出力軸の回転力を車軸の他端部に伝達しており、車輪の両側に動力変換機構が存在している。よって、差動式の全方向移動機構を備える駆動輪において、より小型化のため、車輪の周囲の伝達系の容積を減らすことが望まれている。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、差動式の全方向移動機構を備え、車輪の周囲の伝達系の容積を減らすことのできる駆動輪及び台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の一態様の駆動輪は、同軸上に配置される第一入力軸及び第二入力軸と、別軸上に配置される第一出力軸及び第二出力軸と、車輪に接続される車軸と、前記第一入力軸の回転力を前記第一出力軸に伝達する第一伝達機構と、前記第二入力軸の回転力を前記第二出力軸に伝達する第二伝達機構と、前記車輪と共に設けられた変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第一出力軸に設けられる第一変換駆動歯車を含む第一動力変換機構と、前記変換従動歯車及び当該変換従動歯車に噛み合い前記第二出力軸に設けられる第二変換駆動歯車を含む第二動力変換機構と、前記車軸を介して前記車輪を旋回可能に支持する旋回軸と、を含み、前記変換従動歯車は、前記車軸の一方の側にのみ設けられ、前記第一変換駆動歯車及び前記第二変換駆動歯車は、前記車軸の軸心を含む平面を境にした一側で前記変換従動歯車に噛み合う。
【0007】
上記駆動輪の望ましい態様として、前記第一出力軸と前記第二出力軸は、少なくとも一方の軸心が自在継手を介して前記第一入力軸及び前記第二入力軸の軸心に対して傾いて設けられる。
【0008】
上記駆動輪の望ましい態様として、前記第一出力軸と前記第二出力軸は、少なくとも一方の軸心が傾斜軸を介して前記第一入力軸及び前記第二入力軸の軸心に対して傾いて設けられる。
【0009】
上記駆動輪の望ましい態様として、前記車軸の軸心に交差して鉛直方向に沿う前記車輪の回転軸心を、前記旋回軸の軸心に対して前記車軸の軸心に交差する水平方向にずれて配置する。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の一態様の台車は、上述のいずれか1つの駆動輪と、前記駆動輪が取付けられる台車本体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、差動式の全方向移動機構を備え、車輪の周囲の伝達系の容積を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の駆動輪の駆動力伝達経路を表す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の駆動輪の駆動系を表す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態2の駆動輪の駆動力伝達経路を表す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態の台車の構成例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示に係る駆動輪及び台車の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
図10は、実施形態の台車の構成例を表す概略図である。
【0015】
台車100は、台車本体101と、取手部102と、4個の駆動輪110(120)と、電源部104と、制御装置105と、を含む。
【0016】
台車本体101は、例えば、平板材であり、平面視が矩形形状をなしている。台車本体101は、長手方向の一方側に取手部102が固定されている。台車本体101は、裏面側に4個の駆動輪110が四隅に装着される。4個の駆動輪110は、回転可能であると共に操舵可能となっている。また、台車本体101は、前後の駆動輪110の間の裏面に電源部104と制御装置105が装着されている。制御装置105は、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、CPUのようなプロセッサ、及びROMまたはRAMのようなメモリを含む。従って、台車100は、制御装置105が駆動輪110を制御する。
【0017】
台車本体101は、平坦な面を構成することで、当該平坦な面に被運搬物を載せることができる。即ち、台車100は、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)として構成することができる。また、台車100は、台車本体101の平坦な面に沿って機材を配置することで走行する機器として構成することができる。機器としては、例えば、ハンドリフタや、フォークリフトや、ピッキングロボットや、医療機材等様々なものがある。
【0018】
なお、台車100及び機器は、駆動輪110の数や配置について上述した構成に限定されるものではない。例えば、台車100及び機器は、上述した4輪の形態において、台車100の後方側に1対の駆動輪110を取り付け、台車100の前方側に1対の従動輪を取り付けてもよい。また、図には明示しないが、台車100及び機器は、3輪以上の形態において、駆動輪110が1つであって他の車輪が全て従動輪であってもよい。また、図には明示しないが、台車100及び機器は、3輪以上の形態において、従動輪を有さず全ての車輪が駆動輪110であってよい。即ち、台車100及び機器は、3輪以上の形態において、駆動輪110が少なくとも1つあればよい。
【0019】
[駆動輪の実施形態1]
図1は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す斜視図である。
図2は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す正面図である。
図3は、実施形態1の駆動輪の基本構成を表す側面図である。
図4は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す斜視図である。
図5は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す断面図(
図3のA-A断面図)である。
図6は、実施形態1の駆動輪の駆動系を表す断面図(
図3のB-B断面図)である。
図7は、実施形態1の駆動輪の駆動力伝達経路を表す模式図である。
【0020】
なお、以下の説明では、互いに交差する第一方向、第二方向、及び第三方向のうち、第一方向を「前後方向X」といい、第二方向を「幅方向Y」といい、第三方向を「上下方向Z」という。前後方向Xと幅方向Yと上下方向Zとは、相互に直交する。前後方向Xは、典型的には、駆動輪110が直進する方向に沿う方向に相当する。
【0021】
駆動輪110は、上述したような台車100の台車本体101に固定される本体10を有し、この本体10を基に、駆動機構11と、旋回部12と、伝達機構13と、動力変換機構14と、車輪15と、が設けられる。
【0022】
本体10は、上下に板面を向けた板状に形成される。駆動機構11は、回転力を入力するもので主に本体10の上方に設けられる。旋回部12は、主に本体10の下方に配置される。伝達機構13は、駆動機構11によって入力された回転力を伝達する。動力変換機構14は、伝達機構13の回転力を車輪15に伝達する。車輪15は、単輪であり、駆動機構11、伝達機構13、及び動力変換機構14を介して入力された回転力によって回転自在であると共に、旋回部12によって操舵可能となっている。
【0023】
駆動機構11は、第一駆動機構としての第一ベルト駆動機構22Aと、第二駆動機構としての第二ベルト駆動機構22Bと、を有する。第一ベルト駆動機構22Aは、第一駆動部23A、第一駆動プーリ24A、第一入力軸25A、第一従動プーリ26A、及び第一駆動ベルト27Aを含む。第一駆動部23Aは、モータで構成される。第一駆動部23Aは、本体10に固定される。第一駆動部23Aは、本体10の上方に突出して上下方向に延びる駆動軸23Aaを有する。第一駆動プーリ24Aは、駆動軸23Aaに固定される。第一入力軸25Aは、駆動軸23Aaと平行となるように上下方向に延びて設けられ、軸心O1を中心として回転自在に支持される。第一従動プーリ26Aは、第一入力軸25Aの本体10の上方に突出した部分に固定される。第一従動プーリ26A及び第一駆動プーリ24Aは、第一入力軸25A及び駆動軸23Aaに直交する方向で並んで設けられる。第一駆動ベルト27Aは、環状に形成され、第一従動プーリ26A及び第一駆動プーリ24Aに掛け回される。従って、第一ベルト駆動機構22Aは、第一駆動部23Aの駆動により、第一駆動プーリ24Aが回転し、この回転が第一駆動プーリ24Aから第一駆動ベルト27Aを介して第一従動プーリ26Aに伝達されて第一入力軸25Aが回転する。
【0024】
第二ベルト駆動機構22Bは、第二駆動部23B、第二駆動プーリ24B、第二入力軸25B、第二従動プーリ26B、及び第二駆動ベルト27Bを含む。第二駆動部23Bは、モータで構成される。第二駆動部23Bは、本体10に固定される。第二駆動部23Bは、本体10の上方に突出して上下方向に延びる駆動軸23Baを有する。第二駆動プーリ24Bは、駆動軸23Baに固定される。第二駆動プーリ24Bは、第一駆動プーリ24Aと同径に形成される。第二入力軸25Bは、駆動軸23Baと平行となるように上下方向に延びて設けられ、軸心O1を中心として回転自在に支持される。第二入力軸25Bは、円筒形状をなして第一入力軸25Aを挿通し、第一入力軸25Aとは独立して回転するように第一入力軸25Aの外側に配置される。第二従動プーリ26Bは、第二入力軸25Bの本体10の上方に突出した部分に固定される。第二従動プーリ26Bは、第一従動プーリ26Aと同径に形成され、第一従動プーリ26Aの下方に位置する。第二従動プーリ26B及び第二駆動プーリ24Bは、第二入力軸25B及び駆動軸23Baに直交する方向で並んで設けられる。第二駆動ベルト27Bは、環状に形成され、第二従動プーリ26B及び第二駆動プーリ24Bに掛け回される。従って、第二ベルト駆動機構22Bは、第二駆動部23Bを駆動することで、第二駆動プーリ24Bが回転し、この回転が第二駆動プーリ24Bから第二駆動ベルト27Bを介して第二従動プーリ26Bに伝達されて第二入力軸25Bが回転する。
【0025】
旋回部12は、旋回軸35と、支持部36と、を含む。旋回軸35は、円板形状の中心を軸心O1とし、本体10との間に設けられた軸受45(
図5参照)を介して回転自在に支持される。これにより、旋回軸35は、本体10に対して軸心O1を中心として相対的に回転可能に支持される。
【0026】
旋回軸35は、
図5に示すように、第一ベルト駆動機構22Aの第一入力軸25Aを軸心O1に沿って上下方向に貫通して配置し、軸受43を介して回転自在に支持する。従って、第一入力軸25Aは、旋回軸35に対して軸心O1を中心として相対的に回転可能に支持され、かつ本体10に対しても軸心O1を中心として相対的に回転可能に支持される。即ち、旋回軸35は、第一入力軸25Aの回転に関わらず、本体10に対して回転可能に設けられる。このため、実施形態の駆動輪110は、車輪15の旋回軸心である軸心O1上の第一入力軸25Aに回転力を入力することができる。
【0027】
旋回軸35は、第二ベルト駆動機構22Bの第二入力軸25Bを上方に向けて配置し、軸受46を介して回転自在に支持する。第二入力軸25Bは、第一入力軸25Aを挿通し、第一入力軸25Aの外側に軸受44を介して回転自在に配置される。従って、第二入力軸25Bは、第一入力軸25Aを介し、旋回軸35に対して軸心O1を中心として相対的に回転可能に支持され、かつ本体10に対しても軸心O1を中心として相対的に回転可能に支持される。即ち、旋回軸35は、第二入力軸25Bの回転に関わらず、本体10に対して回転可能に設けられる。このため、実施形態の駆動輪110は、車輪15の旋回軸心である軸心O1上の第二入力軸25Bに回転力を入力することができる。このような構成により、第一入力軸25Aと第二入力軸25Bと旋回軸35とは、軸心O1に沿う同軸上に回転可能に配置される。
【0028】
旋回部12において、旋回軸35の下部に支持部36が下方に延出するように設けられる。支持部36は、
図5及び
図6に示すように、車輪15の幅方向Yの両側に配置される支持部材36a,36bと、支持部材36bの幅方向Yの外側に配置される支持部材36cと、支持部材36b,36cを連結する連結部材36dと、を有する。車輪15は、軸心O1が延びる方向(上下方向Z)に直交する軸心O2に沿って幅方向Yに沿って延びる車軸37に設けられる。実施形態では、車輪15は、車軸37に固定される。車軸37は、軸心O2に沿う各端部が支持部材36a,36bに対してそれぞれ軸受48(
図6参照)を介して回転自在に支持される。
【0029】
旋回部12において、支持部36は、
図2から
図6に示すように、第一出力軸40A、第二出力軸40B、及び中間軸30Bが支持される。
【0030】
第一出力軸40Aは、
図2から
図4に示すように、第一駆動出力軸40Aaと、第一従動出力軸40Abと、自在出力軸40Acと、を含む。第一駆動出力軸40Aaは、軸心O1が延びる方向(上下方向Z)に平行に延びる軸心O3a(
図2及び
図3参照)に沿って設けられる。第一駆動出力軸40Aaは、旋回軸35に対して軸受(図示せず)を介して軸心O3aを中心として回転自在に支持される。第一従動出力軸40Abは、軸心O3aが延びる方向(上下方向Z)に交差して前後方向Xに向けて傾斜する軸心O3b(
図2及び
図3参照)に沿って設けられる。第一従動出力軸40Abは、支持部36の連結部材36dに対して軸受(図示せず)を介して軸心O3bを中心として回転自在に支持される。自在出力軸40Acは、自在継手(フレキシブルジョイント)にて構成される。自在出力軸40Acは、第一駆動出力軸40Aaと第一従動出力軸40Abを連結する。従って、第一出力軸40Aは、自在出力軸40Acによって、第一駆動出力軸40Aa及び第一従動出力軸40Abの相互の回転力が伝達される。
【0031】
第二出力軸40Bは、
図3から
図4に示すように、軸心O1が延びる方向(上下方向Z)に平行に延びる軸心O4(
図3、
図5及び
図6参照)に沿って直線状に設けられる。第二出力軸40Bは、
図6に示すように、旋回軸35及び支持部36の連結部材36dに対して軸受47を介して軸心O4を中心として回転自在に設けられる。
【0032】
実施形態の駆動輪110では、第一出力軸40A(第一従動出力軸40Ab)と第二出力軸40Bは、第一変換駆動歯車41Aと第二変換駆動歯車41Bとが互いに干渉しない範囲で、車軸37の軸心O2を中心として0°を超え90°未満で相互の軸心O3b,O4が配置される。また、駆動力の伝達力の容量上、第一出力軸40A(第一従動出力軸40Ab)と第二出力軸40Bは、車軸37の軸心O2を中心として45°以上90°未満で相互の軸心O3b,O4を配置することが好ましい。
【0033】
中間軸30Bは、
図4及び
図6に示すように、軸心O1が延びる方向(上下方向Z)に平行に延びる軸心O8(
図6参照)に沿って直線状に設けられる。中間軸30Bは、
図6に示すように、旋回軸35に対して軸受49を介して軸心O8を中心として回転自在に設けられる。
【0034】
伝達機構13は、
図4から
図6に示すように、第一伝達機構13Aと、第二伝達機構13Bと、を有する。
【0035】
第一伝達機構13Aは、第一伝達歯車機構とも言う。第一伝達機構13Aは、第一入力軸25Aの回転力を第一出力軸40Aに伝達する。第一伝達機構13Aは、第一駆動歯車31A及び第一従動歯車32Aを含む。実施形態の駆動輪110では、第一駆動歯車31A及び第一従動歯車32Aは、平歯車にて構成される。
【0036】
第一伝達機構13Aにおいて、第一駆動歯車31Aは、第一入力軸25Aに固定される。従って、第一駆動歯車31Aは、第一入力軸25Aの軸心O1を中心として回転する。第一従動歯車32Aは、第一出力軸40Aの第一駆動出力軸40Aaに固定される。従って、第一従動歯車32Aは、第一駆動出力軸40Aaの軸心O3aを中心として回転する。そして、第一駆動歯車31Aは、第一従動歯車32Aが噛み合う。従って、第一伝達機構13Aは、第一入力軸25Aの回転力を第一駆動歯車31Aから第一従動歯車32Aに伝達して第一出力軸40Aの第一駆動出力軸40Aaに回転力を与える。第一駆動出力軸40Aaは、上述したように、自在出力軸40Acによって第一従動出力軸40Abに連結される。従って、第一出力軸40Aでは、第一駆動出力軸40Aaの軸心O3aを中心とした回転が、第一従動出力軸40Abの軸心O3bを中心とした回転として伝達される。
【0037】
第二伝達機構13Bは、第一伝達歯車機構とも言う。第二伝達機構13Bは、第二入力軸25Bの回転力を第二出力軸40Bに伝達する。第二伝達機構13Bは、第二駆動歯車31B、第二従動歯車32B、及び第二接続歯車33Bを含む。実施形態の駆動輪110では、第二駆動歯車31B、第二従動歯車32B、及び第二接続歯車33Bは、平歯車にて構成される。
【0038】
第二伝達機構13Bにおいて、第二駆動歯車31Bは、第二入力軸25Bに固定される。従って、第二駆動歯車31Bは、第二入力軸25Bの軸心O1を中心として回転する。第二従動歯車32Bは、中間軸30Bに固定される。従って、第二従動歯車32Bは、中間軸30Bの軸心O8を中心として回転する。第二接続歯車33Bは、第二出力軸40Bに固定される。従って、第二接続歯車33Bは、第二出力軸40Bの軸心O4を中心として回転する。そして、第二駆動歯車31Bは、第二従動歯車32Bが噛み合う。第二従動歯車32Bは、第二接続歯車33Bが噛み合う。従って、第二伝達機構13Bは、第二入力軸25Bの回転力を第二駆動歯車31Bから第二従動歯車32Bに伝達して中間軸30Bに回転力を与え、さらに中間軸30Bの回転力を第二従動歯車32Bから第二接続歯車33Bに伝達して第二出力軸40Bに回転力を与える。
【0039】
動力変換機構14は、
図3から
図6に示すように、第一動力変換機構14Aと、第二動力変換機構14Bと、を有する。
【0040】
第一動力変換機構14Aは、第一動力変換歯車機構とも言う。第一動力変換機構14Aは、第一出力軸40Aの回転力を車輪15に伝達する。第一動力変換機構14Aは、第一変換駆動歯車41A及び変換従動歯車42を含む。実施形態の駆動輪110では、第一変換駆動歯車41A及び変換従動歯車42は、傘歯車にて構成される。
【0041】
第一動力変換機構14Aにおいて、第一変換駆動歯車41Aは、第一出力軸40Aの第一従動出力軸40Abに固定される。従って、第一変換駆動歯車41Aは、第一従動出力軸40Abと共に軸心O3bの廻りに回転する。また、変換従動歯車42は、単輪である車輪15が固定された車軸37の軸心O2の方向の一方の側にのみ固定される。即ち、変換従動歯車42は、単輪の車輪15の一方の側にのみ配置される。従って、変換従動歯車42は、車軸37及び車輪15と共に軸心O2を中心として回転する。そして、第一変換駆動歯車41Aは、変換従動歯車42が噛み合う。従って、第一動力変換機構14Aは、第一出力軸40Aの回転力を第一変換駆動歯車41Aから変換従動歯車42に伝達して車軸37及び車輪15に回転力を与える。
【0042】
第二動力変換機構14Bは、第二動力変換歯車機構とも言う。第二動力変換機構14Bは、第二出力軸40Bの回転力を車輪15に伝達する。第二動力変換機構14Bは、第二変換駆動歯車41B及び変換従動歯車42を含む。変換従動歯車42は、第一動力変換機構14Aと共用される。実施形態の駆動輪110では、第二変換駆動歯車41B及び変換従動歯車42は、傘歯車にて構成される。
【0043】
第二動力変換機構14Bにおいて、第二変換駆動歯車41Bは、第二出力軸40Bに固定される。従って、第二変換駆動歯車41Bは、第二出力軸40Bと共に軸心O4の廻りに回転する。そして、第二変換駆動歯車41Bは、変換従動歯車42が噛み合う。従って、第二動力変換機構14Bは、第二出力軸40Bの回転力を第二変換駆動歯車41Bから変換従動歯車42に伝達して車軸37及び車輪15に回転力を与える。
【0044】
ここで、上述したように、第一出力軸40Aと第二出力軸40Bは、第一変換駆動歯車41Aと第二変換駆動歯車41Bとが互いに干渉しない範囲で、車軸37の軸心O2を中心として0°を超え90°未満で相互の軸心O3b,O4が配置される。従って、第一変換駆動歯車41A及び第二変換駆動歯車41Bは、車軸37の軸心O2を含む平面(水平面)を境にした一側(上側)で変換従動歯車42に噛み合う。
【0045】
この動力変換機構14において、第一動力変換機構14Aの第一変換駆動歯車41Aと、第二動力変換機構14Bの第二変換駆動歯車41Bは、ピッチ円直径及び歯数が相互に同じである。
【0046】
また、
図3に示すように、実施形態の駆動輪110は、車軸37の軸心O2に交差する鉛直方向に沿う車輪15の回転軸心O5が、旋回軸35の軸心O1に対して車軸37の軸心O2に交差または直交する水平方向(前後方向X)にずれて(オフセットして)配置される。車輪15の回転軸心O5は、車輪15において、車軸37の軸心O2に沿う方向の中心であって、軸心O2に直交する。
【0047】
この駆動輪110は、駆動機構11によって第一入力軸25Aと第二入力軸25Bを回転することで車輪15の回転と操舵を行うことができる。例えば、第一入力軸25Aを回転し、第二入力軸25Bを第一入力軸25Aと逆方向に回転すると共に、第一入力軸25Aと第二入力軸25Bの回転数(回転速度)を同じにすることで、車輪15を操舵せずに回転することができる。このとき、第一入力軸25Aと第二入力軸25Bの回転数(回転速度)を異ならせることで、車輪15を回転または停止した状態で操舵することができる。
【0048】
ここで、駆動輪110の作動について説明する。
図7に示すように、駆動輪110は、第一入力軸25AをA1方向に回転すると、第一入力軸25Aに設けられた第一駆動歯車31Aが同方向に回転し、第一駆動歯車31Aに噛み合う第一従動歯車32AがA1方向とは逆方向のA2方向に回転する。すると、第一従動歯車32Aと一体に第一出力軸40Aに設けられた第一変換駆動歯車41Aが同方向に回転する。すると、第一変換駆動歯車41Aに噛み合う変換従動歯車42がC方向に回転し、変換従動歯車42と一体の車軸37及び車輪15にC方向の回転力を与える。一方、駆動輪110は、第二入力軸25BをA1方向とは逆方向のB1方向に回転すると、第二入力軸25Bに設けられた第二駆動歯車31Bが同方向に回転し、第二駆動歯車31Bに噛み合う第二従動歯車32Bを介して第二従動歯車32Bに噛み合う第二接続歯車33BがB1方向と同方向のB2方向に回転する。すると、第二接続歯車33Bと一体に第二出力軸40Bに設けられた第二変換駆動歯車41Bが同方向に回転する。すると、第二変換駆動歯車41Bに噛み合う変換従動歯車42がC方向に回転し、変換従動歯車42と一体の車軸37及び車輪15にC方向の回転力を与える。
【0049】
このとき、駆動輪110は、第一入力軸25Aの回転数に対して第二入力軸25Bの回転数を低下させると、第二変換駆動歯車41Bから変換従動歯車42を介して車軸37及び車輪15に入力する回転数が、第一変換駆動歯車41Aから変換従動歯車42を介して車軸37及び車輪15に入力する回転数より低くなる。すると、その回転数差だけ旋回軸35が回転し、車輪15を旋回して操舵する。また、駆動輪110は、第一入力軸25Aまたは第二入力軸25Bの回転を停止すると、第一変換駆動歯車41Aまたは第二変換駆動歯車41Bから変換従動歯車42を介して車軸37及び車輪15に入力する回転数が0となり、車輪15が回転せずに旋回して操舵する。
【0050】
なお、実施形態の駆動輪110では、第二伝達機構13Bにおいて、巻掛伝動機構として構成してもよい。例えば、第二駆動歯車31B及び第二接続歯車33Bを一対の巻掛車とし、各巻掛車に無端状の巻掛伝動部材を掛け回すように構成する。各巻掛車は、プーリで構成され、巻掛伝動部材は、タイミングベルトで構成される。または、各巻掛車は、スプロケットで構成され、巻掛伝動部材は、チェーンで構成される。このように構成することで、中間軸30B及び第二従動歯車32Bを無くすことができ部品点数を減らすことができる。
【0051】
上述した実施形態の駆動輪110は、その特徴として、同軸上に配置される第一入力軸25A及び第二入力軸25Bと、別軸上に配置される第一出力軸40A及び第二出力軸40Bと、車輪15に接続される車軸37と、第一入力軸25Aの回転力を第一出力軸40Aに伝達する第一伝達機構13Aと、第二入力軸25Bの回転力を第二出力軸40Bに伝達する第二伝達機構13Bと、車輪15と共に設けられた変換従動歯車42及び当該変換従動歯車42に噛み合い第一出力軸40A(第一従動出力軸40Ab)に設けられる第一変換駆動歯車41Aを含む第一動力変換機構14Aと、変換従動歯車42及び当該変換従動歯車42に噛み合い第二出力軸40Bに設けられる第二変換駆動歯車41Bを含む第二動力変換機構14Bと、車軸37を介して車輪15を旋回可能に支持する旋回軸35と、を含み、変換従動歯車42は、車軸37の一方の側にのみ設けられ、第一変換駆動歯車41A及び第二変換駆動歯車41Bは、車軸37の軸心O2を含む平面を境にした一側で変換従動歯車42に噛み合う。
【0052】
この駆動輪110は、差動式の全方向移動機構を有する。即ち、駆動輪110では、第一入力軸25A及び第二入力軸25Bの回転力は、第一伝達機構13A及び第二伝達機構13Bを介して第一出力軸40A及び第二出力軸40Bに伝達され、第一出力軸40A及び第二出力軸40Bから第一動力変換機構14A及び第二動力変換機構14Bを介して車輪15に伝達される。この駆動輪110は、第一入力軸25A及び第二入力軸25Bの回転数を調整することで、車輪15の回転と車輪15の操舵を切替えることができる。
【0053】
特に、この駆動輪110は、第一動力変換機構14Aと第二動力変換機構14Bとが、回転力を車輪15に伝達する共用の変換従動歯車42を有し、変換従動歯車42は、車軸37の一方の側にのみ設けられ、第一変換駆動歯車41A及び第二変換駆動歯車41Bは、車軸37の軸心O2を含む平面を境にした一側で変換従動歯車42に噛み合う。従って、従来(例えば、特許文献1)では、第一出力軸及び第二出力軸の各回転力は、それぞれ車軸の一端部と他端部に伝達されているが、この駆動輪110では、第一動力変換機構14A及び第二動力変換機構14Bは、第一出力軸40A及び第二出力軸40Bの各回転力を共用の変換従動歯車42にて伝達する。しかも、この駆動輪110では、変換従動歯車42は、車軸37の一方の側にのみ設けられ、第一変換駆動歯車41A及び第二変換駆動歯車41Bは、車軸37の軸心O2を含む平面を境にした一側で変換従動歯車42に噛み合う。このため、この駆動輪110では、共用の変換従動歯車42に対し、第一変換駆動歯車41Aが設けられた第一出力軸40A(第一従動出力軸40Ab)と第二変換駆動歯車41Bが設けられた第二出力軸40Bが共に近い配置となる。この結果、実施形態の駆動輪110は、車輪15の周囲の伝達系の容積を減らすことができる。
【0054】
また、実施形態の駆動輪110は、第一出力軸40Aと第二出力軸40Bは、少なくとも一方の軸心O3bが自在継手(自在出力軸40Ac)を介して旋回軸35、第一入力軸25A及び第二入力軸25Bの軸心O1に対して傾いて設けられる。実施形態の駆動輪110では、第一出力軸40Aが自在出力軸40Acを介して軸心O1に対して傾いて設けられるが、第二出力軸40B(または双方)が自在継手を介して軸心O1に対して傾いて設けられてもよい。
【0055】
この駆動輪110によれば、第一変換駆動歯車41A及び第二変換駆動歯車41Bが、車軸37の軸心O2を含む平面を境にした一側で変換従動歯車42に噛み合う構成を実施でき、車輪15の周囲の伝達系の容積を減らす効果を得られる。
【0056】
また、実施形態の駆動輪110は、車軸37の軸心O2に交差して鉛直方向に沿う車輪15の回転軸心O5を、旋回軸35の軸心O1に対して車軸37の軸心O2に交差する水平方向にずれて配置する。
【0057】
この駆動輪110によれば、車輪15を駆動しないとき、車輪15は水平方向から作用する外力により受動的に旋回することができる。即ち、台車100を自動走行及び自動操舵することができ、かつ作業者が手動走行及び手動操舵することができる。
【0058】
また、実施形態の台車100は、上述した駆動輪110と、駆動輪110が取り付けられる台車本体101とを備える。そのため、台車100は、基本構造の簡素化を図ることができる。
【0059】
上述した駆動輪110において、平歯車として説明した歯車は、例えば、はすば歯車で構成されていてもよい。また、上述した駆動輪110において、傘歯車として説明した歯車は、例えば、冠歯車で構成されていてもよい。
【0060】
[駆動輪の実施形態2]
図8は、実施形態2の駆動輪の駆動系を表す斜視図である。
図9は、実施形態2の駆動輪の駆動力伝達経路を表す模式図である。
【0061】
実施形態2の駆動輪120は、上述した実施形態1の駆動輪110に対し、主に第一出力軸40Aの構成が異なり、他の構成は同等である。以下の実施形態2の駆動輪120の説明では、実施形態1の駆動輪110と同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
第一出力軸40Aは、
図8に示すように、直線状に形成され、その軸心O3が、旋回軸35、第一入力軸25A及び第二入力軸25Bの軸心O1に対して傾いて設けられる。第一出力軸40Aは、軸心O1に対して傾く傾斜軸として構成される。第一出力軸40Aは、旋回軸35及び支持部36の連結部材36dに対して軸受(図示せず)を介して軸心O3を中心として回転自在に支持される。第一出力軸40Aは、第一動力変換機構14Aであって、車軸37に設けられる変換従動歯車42に噛み合う第一変換駆動歯車41Aが固定される。従って、第一動力変換機構14Aは、第一出力軸40Aの回転力を第一変換駆動歯車41Aから変換従動歯車42に伝達して車軸37及び車輪15に回転力を与える。
【0063】
駆動輪120は、第一出力軸40Aを傾斜軸として構成するにあたり、第一伝達機構13Aの構成を変更している。第一伝達機構13Aは、駆動輪110と同様に、第一駆動歯車31A及び第一従動歯車32Aを含むが、平歯車ではなくはすば歯車にて構成される。従って、第一伝達機構13Aは、第一入力軸25Aの回転力を第一出力軸40Aに伝達する。
【0064】
このように構成された実施形態2の駆動輪120及び当該駆動輪120が用いられる台車100は、上述した実施形態1の駆動輪110及び台車100と同様の作用効果を奏する。
【0065】
なお、実施形態の駆動輪120では、第一出力軸40Aが傾斜軸として軸心O1に対して傾いて設けられるが、第二出力軸40B(または双方)が傾斜軸として軸心O1に対して傾いて設けられてもよい。即ち、実施形態の駆動輪120では、第一出力軸40Aと第二出力軸40Bは、少なくとも一方の軸心O3、O4が傾斜軸を介して第一入力軸25A及び第二入力軸25Bの軸心O1に対して傾いて設けられる。また、第二出力軸40Bが傾斜軸として構成される場合、第二伝達機構13Bは、駆動輪110と同様に、第二駆動歯車31B、第二従動歯車32B、及び第二接続歯車33Bを含むが、平歯車ではなくはすば歯車にて構成される。また、実施形態の駆動輪120では、傘歯車として説明した歯車は、例えば、冠歯車で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
13A 第一伝達機構
13B 第二伝達機構
14A 第一動力変換機構
14B 第二動力変換機構
15 車輪
25A 第一入力軸
25B 第二入力軸
37 車軸
40Ac 自在出力軸(自在継手)
40A 第一出力軸
40B 第二出力軸
41A 第一変換駆動歯車
41B 第二変換駆動歯車
42 変換従動歯車
100 台車
101 台車本体
110,120 駆動輪