(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009941
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】耐久性のある底部分配容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65D83/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100926
(22)【出願日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】23181974.9
(32)【優先日】2023-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】24155430.2
(32)【優先日】2024-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・ユベール・モニーク・ド・ウィルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウィリアム・ロウ・マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・マックス・パームバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エドワード・アレクサンダー・スタージェス
(72)【発明者】
【氏名】エステル・サボ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ポール・ダーク・ジェニー・マリア・ファン・デン・ベルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト・マリヌス・フェルブルグ
(72)【発明者】
【氏名】マン・シュン・ヤウ
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PC12
3E014PD30
3E014PE05
3E014PE09
3E014PE14
3E014PE16
3E014PF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分配が容易であり、分配後に元の形状に戻るのに十分な弾性を有し、洗浄も容易であり、使用中の漏れがない、耐久性のある底部分配パッケージを提供する。
【解決手段】パッケージの容器をエラストマーから作製し、容器の内部表面に少なくとも1つの周方向に配向された溝80を設けることによって満たされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物のための底部分配パッケージ(1)であって、
a.前記液体組成物を収容するための弾性的に絞り出し可能な容器(10)であって、前記弾性的に絞り出し可能な容器は、容器壁(11)を備え、前記容器壁(11)は、少なくとも部分的にエラストマーから作製され、
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)の前記容器壁(11)は、内部表面(15)及び外部表面(14)を備え、前記内部表面(15)は、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)を備え、前記少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の高さは、0.1mm~6.0mmであり、前記高さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、溝底部(83)と溝頂部(82)との間の距離として測定される、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、
b.前記容器(10)に動作可能に接続された基部(20)であって、前記基部は、オリフィス(30)を備える、基部(20)と、を備える、底部分配パッケージ(1)。
【請求項2】
前記容器(10)の前記内部表面(15)は、前記容器(10)の高さの少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%にわたって延在する溝ゾーン(4)にわたって複数の周方向に配向された溝(80)を備える、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項3】
前記容器壁(11)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、幅広部分(2)を有し、前記少なくとも1つの溝(80)は、前記容器壁(11)の前記幅広部分(2)に少なくとも部分的に位置付けられる、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の前記高さは、0.5mm~5.0mm、好ましくは1.0mm~3.0mmであり、前記高さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、前記溝底部(83)と前記溝頂部(82)との間の前記距離として測定される、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項5】
前記内部表面(15)は、少なくとも2つの周方向に配向された溝(80)を備え、前記周方向に配向された溝(80)が存在する場合、前記溝(80)は、ピッチ(81)が1mm未満~15mm、好ましくは2mm~12mm、より好ましくは2.5~10mmであるように離間されることができ、前記ピッチ(81)は、前記弾性的に絞り出し可能な容器の前記内部表面(15)上の前記周方向に配向された溝(80)の2つの隣接するピーク間の距離として定義される、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項6】
前記溝(80)が位置付けられる場合、前記容器壁(11)は、0.25mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~6.0mm、より好ましくは1.0~4.0mmの壁厚さを有し、前記厚さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、前記外部表面(14)と前記溝底部(83)との間の距離として測定される、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項7】
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)を作製するために使用される前記エラストマーは、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ゴム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項8】
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)を作製するために使用される前記エラストマーは、
a.0~80、好ましくは5~60、より好ましくは10~40のショアA(タイプA)硬度であって、前記ショアA硬度は、ISO868:2003に記載の方法を使用して測定される、ショアA(タイプA)硬度と、
b.200%~1000%、好ましくは250%~750%、より好ましくは300%~700%の、ISO37:2017に記載されている方法を使用して23℃において200mm/分の延伸速度で流れ方向において測定される引張伸び(破断)と、
c.ISO815-1:2019に記載の方法を使用して23℃で72時間にわたって測定された、50%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは20%未満の圧縮永久歪みと、を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項9】
前記容器(10)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、幅広部分(2)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項10】
前記容器壁(11)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凹形状を有するように、幅狭部分(3)を有し、好ましくは、前記容器壁(11)は、幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方を有し、前記幅狭部分(3)は、前記幅広部分(2)の上方にある、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項11】
前記容器(10)は、一方向通気口(70)を備え、前記一方向通気口(70)は、前記容器(10)からの空気の退出を防止しながら、前記容器(10)の中への空気の進入を可能にし、好ましくは、前記一方向通気口は、前記パッケージの高さの90%の高さを上回って、前記容器(10)上部及び/又は前記容器壁(11)内に位置付けられる、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項12】
前記オリフィス(30)は、スリットバルブ(40)を備え、好ましくは、前記スリットバルブ(40)は、20℃で測定して、10~250mbar、好ましくは15~150mbar、より好ましくは25~75mbarの圧力差で開く、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項13】
前記基部(20)は、キャップを含まないか、又は
前記基部(20)は、完全に取り外し可能であって、最初の使用前に取り外して廃棄することができるキャップを含み、好ましくは、前記基部(20)は、キャップを含まない、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項14】
前記底部分配パッケージ(1)は、液体洗剤組成物を備え、前記液体洗剤組成物は、10s-1の剪断速度で測定して、100mPa・s~3,000mPa・s、好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・sの粘度を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の底部分配パッケージ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性のある底部分配容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体消費者製品は、多種多様な容器内に収容されている。食品、パーソナルケア製品、及び洗浄製品などのますます多くの製品が、倒立容器で提供されているが、これは、これらの製品は、容器内での製品の滞留が少なく、容易な分配を可能にするからである。加えて、消費者製品に対する環境負荷低減への要望も高まっている。しかし、環境負荷の大部分はパッケージに起因しており、たとえパッケージがリサイクル可能であったり、リサイクル材料から作製されていたりするときであっても、その影響は大きい。したがって、使い捨てプラスチック製品から、繰り返し再使用することができるより耐久性のある容器に移行することが望まれている。
【0003】
底部分配パッケージの場合、容器は、その中に収容された組成物を容易に分配することができるように十分に柔軟性がある必要がある。しかしながら、容器が過度に柔軟性がある場合、容器は、分配後にその元の形状に戻らなくなる。したがって、容器は、容器がその元の形状に戻ることができるように十分に剛性である必要があり、これは、典型的には、底部分配オリフィスを通して空気を押し戻すのに十分な圧力を発生させるのに十分な弾性スプリングバックを有することを意味する。形状が素早く反発することの更なる利点は、その中に含まれる液体がより迅速に吸い戻され、漏出及び糸引きが減少することである。更に、耐久性のある底部分配容器の場合、容器は、繰り返し使用しても応力クラックが生じないような十分な耐久性が必要である。典型的なポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terepthalate)及びポリオレフィン容器は、繰り返し使用するとひび割れしやすいため、耐久性のある容器としての使用には特に適していない。
【0004】
したがって、エラストマーなどの材料を使用することができる。十分な弾性を持たせるためには、一般的に高い壁厚さが必要となる。しかし、壁が厚いと、特に少量の場合、中に入っている組成物を投与するのが難しくなる可能性がある。
【0005】
更なる課題は、耐久性のあるパッケージの外装は洗浄が容易でなければならないということである。
【0006】
したがって、分配が容易であり、分配後にその元の形状に戻るのに十分な弾性を有し、洗浄も容易であり、使用中の漏出が低減されているか、又は全くない、耐久性のある底部分配容器が依然として必要とされている。
【0007】
欧州特許出願第3686118(A1)号は、スリットバルブを備えるオリフィスを有する基部を備え、容器内により低い粘度の製品が含まれているときであっても漏出する傾向が少ない底部分配パッケージに関し、これは、より弾性がある弾性的に絞り出し可能な容器を有する容器を提供することによって達成される。米国特許第5,213,236号は、液体石鹸、シャンプー及びコンディショナー、家庭用洗剤、洗浄剤、研磨剤、保湿クリームなどの流体製品のための分配パッケージに関するものであり、自己封止分配バルブがその中に載置された容器を含む。当該バルブは、末端フランジと、その中に吐出オリフィスを有するバルブヘッドと、バルブフランジと接続された一方の端部及びその末端縁部に隣接してバルブヘッドと接続された対向端部を有するコネクタスリーブと、を含む。コネクタスリーブは、弾性的柔軟性構造を有し、よって、容器内の圧力が所定量を超えて上昇したときに、コネクタスリーブを折り曲げさせ、かつ転動的に延在させる様態で、バルブヘッドが外向きにシフトする。ドイツ特許第10122557(A1)号は、手による壁圧が解放された後に製品が液垂れするのを防止する、抜き孔上のデバイスに関する。当該デバイスは、一方の平面内のスリットセグメントと、第2の平面内の多数のスリットセグメントと、を含み、それぞれの平面セグメントは、いずれの場合においても、第1のセグメントの底縁部が第2のセグメントの頂縁部と接触するように位置付けられる。2つ又は4つのセグメントが好ましく、容器封止は、ねじ又はスナップアクションによるものである。容器蓋及び封止は、一緒にヒンジ連結され、好適なセグメント厚さは、0.25mmであり、デバイスの直径は、10~20mmである。中国実用新案第2784322(Y)号は、倒立ボトルに関し、当該倒立ボトルは、ボトル本体と、ボトルキャップと、外側パッキングキャップと、を含み、ボトル本体の開口部は、下方へ開かれ、ボトルキャップは、ねじを通してボトル本体の下端部に固定的に接続され、かつ液体出口を備え、シリカゲル内側キャップ及び内側仕切り板が、ボトルキャップの開口部とボトル本体の開口部との間の位置に順番に固定される。当該実用新案は、ボトル本体の下方へ開いた開口部を有し、シリカゲル内側キャップ及び仕切り板を採用しているので、必然的に、倒立配置された液体ボトル内の液体は、流出することができない。当該実用新案は、単純な構造、好都合な使用及び開口部の衛生及び清潔さ、液体が殆ど充填されていないボトルの自然で、好都合な、かつ清潔な液体の注入用途、並びに、液体シャンプー、クレンザーエッセンスなどの、様々な粘度の液体を充填するための特別な用途、といった利点を有する。中国特許第1507827(A)号は、洗面所のための壁用液体石鹸分注器に関する。当該分注器は、特定の弾性を有するボトルを採用しており、当該ボトルは、倒立させて使用することができ、その液体出口は、一般のボトルの口よりも小さく、ボトル口の位置にはプラットフォーム面が形成され、プラットフォーム面には弾性薄シートが配置され、弾性薄シートには複数の開口及び閉鎖シームが配置され、ボトルキャップは、その内壁がねじを有し、その中央部が円形の孔を有し、ボトル本体上にきつくねじ込むことができ、かつ開口及び閉鎖シームをしっかりと加圧するために使用することができる。当該発明は、構造が単純で、コストが低く、また、その適用方法も提供する。米国特許出願公開第2008/029548(A1)号は、流動性組成物のための底部分配パッケージなどの布地処理組成物のための分配パッケージに関する。米国特許出願公開第2016/244222(A1)号は、分配システムに関し、当該分配システムは、ボトルと、バルブキャップと、投与キャップと、を含み、当該ボトルは、柔軟性である少なくとも一部分を有する側壁を含み、バルブキャップは、ボトルから投与キャップの中への流動性製品の分配を制御する。欧州特許出願第3321199(A)号は、ボトル及びキャップを含み、5Pa・s~500Pa・sの粘度を有する調味料を収容する液体調味料容器に関し、ボトルは、口部、本体、及び底部を含み、本体は、選択された状態で水平横断面において平坦な形状を有し、ボトルは、主成分として低密度ポリエチレンから作製され、ボトルは、内容物が高粘度液体調味料である場合であっても、その内容物を容易に排出するように柔軟に変形され、容器の元の美的外観は、内容物が低減される場合であっても損なわれる可能性が低い。欧州特許出願第3492400(A)号は、倒立容器から液体を分配するための液体ディスペンサに関する。当該分配器は、本体と、バルブと、一時的な液体圧力の上昇(例えば、流体ハンマー圧力)を吸収して、バルブの望ましくない開口及び液体の漏出を大幅に低減/防止するためにように特に適合された、耐衝撃システムを備える。欧州特許出願第3784578(A)号は、容器の容器本体部分の周りに周方向に配置された補強リブの構造に関し、当該補強リブの構造は、ボトル本体の周りに配置された一対の外部リブを備え、各外部リブは、容器本体の周りに所与のパターンを備え、当該パターンは、2つの弓形部分の間に頂点が介在する一連の少なくとも2つの弓形部分である。一対の外部リブは、上部外部リブと下部外部リブとを有し、当該外部リブは、それらの頂点が互いに対向し、最大距離5mmだけシフトされ、上部外部リブは、3~6.5mmの最大振幅と、容器外周の半分の円弧部分長と、を有し、下部外部リブは、2~5mmの最大振幅と、容器外周の半分の円弧部分長と、を有する。米国特許第3241727A号は、柔軟な壁の歪みに応答し、容器内に閉じ込められた空気と大気との間の圧力差を制限するために、容器の内部を大気に自動的に通気する液体ディスペンサに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願第3686118(A1)号
【特許文献2】米国特許第5,213,236号
【特許文献3】ドイツ特許第10122557(A1)号
【特許文献4】中国実用新案第2784322(Y)号
【特許文献5】中国特許第1507827(A)号
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/029548(A1)号
【特許文献7】米国特許出願公開第2016/244222(A1)号
【特許文献8】欧州特許出願第3321199(A)号
【特許文献9】欧州特許出願第3492400(A)号
【特許文献10】欧州特許出願第3784578(A)号
【特許文献11】米国特許第3241727(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体組成物のための底部分配パッケージ(1)に関し、液体組成物を収容するための弾性的に絞り出し可能な容器(10)であって、弾性的に絞り出し可能な容器は、容器壁(11)を備え、容器壁(11)は、少なくとも部分的にエラストマーから作製され、弾性的に絞り出し可能な容器(10)の容器壁(11)は、内部表面(15)及び外部表面(14)を備え、内部表面(15)は、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)を備え、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の高さは、0.1mm~6.0mmであり、高さは、容器壁(11)の外部表面(14)に対して垂直に測定された、溝底部(83)と溝頂部(82)との間の距離として測定される、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、当該容器(10)に動作可能に接続された基部(20)であって、基部は、オリフィス(30)を備える、基部(20)と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による耐久性のある底部分配パッケージ(1)の正面図である。パッケージ(1)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、基部(20)と、を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、少なくとも1つの容器壁(11)を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、幅広部分(3)及び幅狭部分(2)を備える。基部(20)は、パッケージ(1)を平坦な表面上に逆さ位置で静置するように適合された基部壁リム(22)を備える。容器(10)の上部は、一方向通気口(70)を備える。
【
図2】本発明の別の実施形態の断面図である。パッケージ(1)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、基部(20)と、を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、少なくとも1つの容器壁(11)を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、幅広部分(3)を備える。容器壁(11)の内部表面(15)は、溝(80)を有するゾーン(4)を備える。容器壁(11)の外壁(14)は滑らかである。容器(10)は、スリットバルブ(40)を含むオリフィス(30)を備える。パッケージ(1)の基部(20)は、底面(21)の周囲に接続され、底面(21)の当該周囲から基部壁リム(22)まで延在する基部壁(23)を備え、底部分配パッケージ(1)が基部壁リム(22)上に静置されることができるようになっている。基部壁(23)は、外側基部壁面(24)を内側基部壁面(25)に接続する孔(26)を備える。
【
図3】本発明の別の実施形態の断面図である。パッケージ(1)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、基部(20)と、を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、少なくとも1つの容器壁(11)を備える。容器壁(11)は、幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方を有し、幅狭部分(3)は幅広部分(2)の上にある。容器壁(11)の内部表面(15)は、溝(80)を有するゾーン(4)を備える。容器壁(11)の外壁(14)は滑らかである。容器(10)の上部は、一方向通気口(70)を備える。パッケージ(1)の基部(20)は、底面(21)の周囲に接続され、底面(21)の当該周囲から基部壁リム(22)まで延在する基部壁(23)を備え、底部分配パッケージ(1)が基部壁リム(22)上に静置されることができるようになっている。基部(20)は、オリフィス(30)の上流に配置された耐衝撃システム(50)を備える。耐衝撃システム(50)は、内部に空洞(52)を有し、基部(20)から長手方向及び半径方向内向きに延在するハウジング(51)を備え、ハウジング(51)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)からハウジング(51)内への液体の流路を提供する少なくとも1つの入口開口部(53a)と、オリフィス(30)が開かれたときにハウジング(51)から外部大気への液体の退出路を提供する少なくとも1つの出口開口部(53b)と、を備える。空洞(52)は、圧縮可能な物質(54)によって部分的に占有される。
【
図4】本発明の別の実施形態の断面図である。パッケージ(1)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、基部(20)と、を備える。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、少なくとも1つの容器壁(11)を備える。容器壁(11)は、幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方を有し、幅狭部分(3)は幅広部分(2)の上にある。容器壁(11)の内部表面(15)は、溝(80)を有するゾーン(4)を備える。容器壁(11)の外壁(14)は滑らかである。容器(10)の上部は、一方向通気口(70)を含むキャップ(90)を備える。パッケージ(1)の基部(20)は、底面(21)の周囲に接続され、底面(21)の当該周囲から基部壁リム(22)まで延在する基部壁(23)を備え、底部分配パッケージ(1)が基部壁リム(22)上に静置されることができるようになっている。基部(20)は、オリフィス(30)の上流に配置された耐衝撃システム(50)を備える。耐衝撃システム(50)は、内部に空洞(52)を有し、基部(20)から長手方向及び半径方向内向きに延在するハウジング(51)を備え、ハウジング(51)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)からハウジング(51)内への液体の流路を提供する少なくとも1つの入口開口部(53a)と、オリフィス(30)が開かれたときにハウジング(51)から外部大気への液体の退出路を提供する少なくとも1つの出口開口部(53b)と、を備える。空洞(52)は、圧縮可能な物質(54)によって部分的に占有される。基部壁(23)は、4つのチャネル(27)を備え、4つのチャネル(27)は、等距離に離間され、外部基部壁面(24)を内部基部壁面(25)に接続する。
【
図5】
図4の実施形態の容器壁(11)の一部の断面図であり、溝(80)、溝頂部(82)及び溝底部(83)、並びに外部表面(14)を示す。
図5は又、隣り合う溝相互間のピッチ(81)を示している。
【
図6】耐久性のある液体分配パッケージの断面図である。パッケージは、明示的に除外されるか又は明らかに不適合でない限り、前の図の一部又は全てに関連して本明細書に詳述されるものと同じ特性及び特徴を有することができる。同様に、
図6に関して説明した特徴の一部又は全部は、前の図で説明した例に実装され得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載されるように、耐久性のある容器を形成すること、及び内部表面上に周方向に配向された溝を有することは、より柔軟性がありながらも、絞り出し後の容器の改善された反発をもたらし、また、より耐久性があり、かつ洗浄することもより容易であることが見出された。
【0012】
弾性的に絞り出し可能とは、容器壁(11)が、容器壁(11)の外面に加えられた手の力に応じて変形することを可能にするのに十分な程度の柔軟性と、当該手の力が容器壁(11)の外面から除去されたときにその変形していない状態に自動的に戻るのに十分な程度の弾性とを示すことを意味する。
【0013】
特定の要素を説明する場合の「a」及び「an」という用語は、本明細書においては、「少なくとも1つの」その特定の要素を意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合の「投与量」という用語は、パッケージによって送達される測定された液体量として定義される。投与量は、液体が最初にキャップオリフィス(30)を出たときに始まり、当該液体の流れが止まったときに終了する。
【0015】
本明細書で使用される場合の「圧力と実質的に無関係に」は、圧力が、目標測定投与量から10%未満の変動が生じることを意味する。
【0016】
本明細書で用いられる場合の「実質的に一定の液体出力又は投与量」は、目標測定投与量から10%未満の変動を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合の「剪断減粘性」は、参照される液体が非ニュートン流体であり、好ましくは剪断速度の変化と共に変化する粘度を有することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合の「液垂れのない」は、投与後にいかなる視認可能な残留物もキャップのノズルの近位に残っていないこと、及び/又は絞り出さなければいかなる液体も弾性容器を出ないことを意味する。
【0019】
好ましい使用分野は、家庭又は家事用途のための投与デバイスの分野であり、典型的に比較的低い低剪断粘度を有する、硬質表面洗浄組成物、液体洗濯洗剤組成物、又は他の洗浄調整物、布地コンディショナーなどの洗剤を収容する。特に好ましい使用分野は、硬質表面の洗浄、特に手動食器洗浄である。このような用途の場合、弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、本明細書で説明される方法を使用して測定したときに、0.1リットル~5リットル、好ましくは0.2リットル~1.5リットル、より好ましくは0.25リットル~0.75リットルの排出容積を有することができる。パッケージ(1)の各絞り出しに対して投与される液体の容積は、典型的に、1mL~50mL、好ましくは2mL~30mL、より好ましくは3mL~20mLである。
【0020】
底部分配パッケージ:
本発明は、ある量の液体を繰り返し投与するためのパッケージ(1)に関する。パッケージ(1)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、当該容器(10)に動作可能に接続された基部(20)と、を備える。基部は、オリフィス(30)を備える。
【0021】
底部分配パッケージ(1)は、他のパッケージングタイプに対して複数の利点を有する。パッケージ(1)は倒立させる必要がなく、パッケージの上部のオリフィスから分配するパッケージよりも、分配のために必要なユーザの動きが少なく、より優れた位置付け及び分配制御を提供する。加えて、特にパッケージ内に残っている組成物の量が少ないとき、分配前に内部に収容された液体がオリフィスに到達するのを待つ必要がない。したがって、底部分配パッケージは、洗剤組成物の繰り返し投与が必要とされる食器洗浄などの作業を単純化する。
【0022】
底部分配パッケージ(1)は、硬質表面洗浄組成物、液体洗濯洗剤組成物、又は他の洗浄調製物、布地コンディショナーなどの洗剤を収容する、家庭用又は家庭で使用するための投与デバイスとして使用することができる。他の使用分野としては、手動及び自動用食器洗浄用洗剤、ヘアケア製品及びマウスウォッシュなどの口腔ケア用途、飲料(シロップ、酒のショット、液体コーヒー濃縮物など)、食品塗布物(食品ペースト及び液体食品成分など)、殺虫剤、などのための投与デバイスが挙げられる。好ましくは、底部分配容器(1)は、硬表面洗浄組成物、より好ましくは手動食器洗浄用組成物を備える。
【0023】
底部分配パッケージ(1)は、その中に収容される液体のために、0.1リットル~5.0リットル、好ましくは0.2リットル~1.5リットル、より好ましくは0.25リットル~0.75リットルの内部容積を有することができる。
【0024】
弾性的に絞り出し可能な容器:
弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、好ましくはボトルである。弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、少なくとも1つの容器壁(11)を備える。
【0025】
基部(20)から遠位の容器(10)の上部は、閉鎖することができる。代替的に、好ましくは、容器はキャップ(90)を含むことができ、キャップ(90)は好ましくは取り外し可能である。好ましくは、キャップ(90)は、基部(20)から遠位の容器の上部に含まれる。キャップ(90)は、基部(20)を除去する必要なく、容器(10)の容易な再充填を提供する。キャップ(90)は、ねじ込み式キャップ、又は押し込み式キャップ、又は容器(10)と封止係合する他の形態のキャップとすることができる。容器壁(11)は少なくとも部分的にエラストマーから作製されるので、容器壁(11)は高い柔軟性を有する。したがって、必要に応じて、キャップ(90)は、例えば接着又は溶接によって容器壁(11)に固定して取り付けられた取り付けリングを備えることができる。代替的に、容器壁(11)は、キャップ(90)上に成形されてもよく、又はその逆であってもよい。キャップ(90)は、例えば、ひも又はプラスチックコードを介して、筐体に恒久的に取り付けられることができるか、又は完全に着脱可能であり得る。キャップ(90)、及び存在する場合にはその取り付けリングは、好ましくは剛性である。
【0026】
従来、底部分配用途のための容器は、使用後にそれらの形態を維持するために、可能な限り剛性であるように設計されていた。従来技術の容器が過度に弾性である場合、容器は、使用中に絞り出された後にその元の形態に容易に戻らないか、又はそれらの元の形状にゆっくりと戻る。後者の場合、ユーザは、更なる量の組成物を投与することができるようになる前に、許容できない時間待たなければならないことになる。
【0027】
本発明のパッケージ(1)は、繰り返し再充填して再使用することができるように、耐久性があることが期待される。対照的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料は、特に使用後に所望のスプリングバックを提供する厚さである場合、繰り返し使用後に歪み硬化及びクラックを生じやすい。
【0028】
したがって、本発明で使用される容器壁(11)は、少なくとも部分的にエラストマーから作製され、好ましくは、エラストマーは、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ゴム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、熱可塑性エラストマー及び/又はシリコーンゴムが好ましく、熱可塑性エラストマーが特に好ましい。容器壁(11)は、好ましくは、任意のキャップ(90)及び/又は基部(20)を接続するために必要な任意の構成要素を除いて、完全にエラストマーから作製される。
【0029】
エラストマーは、粘弾性を有するポリマーであり、一般に、他の材料と比較して低いヤング率及び高い降伏歪みを有する。エラストマーは、それらのガラス転移温度を超えて存在する非晶質ポリマーであり、その結果、かなりのセグメント運動が可能である。したがって、それらは比較的柔らかく、周囲温度、例えば21℃で変形可能である。
【0030】
熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic elastomer)は、熱可塑性及びエラストマー特性の両方を有する材料を含む、プラスチック及びゴムなどのポリマーのコポリマー又は物理的混合物である。熱可塑性エラストマーは、例えば射出成形によって製造するのが比較的容易である。熱可塑性エラストマーは、ゴム状材料及びプラスチック材料の両方に典型的な利点を示す。熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーとの主な違いは、それらの構造における架橋結合のタイプである。熱硬化性ポリマー中の架橋は、加硫プロセス中に形成されるような共有結合である。対照的に、熱可塑性エラストマーポリマーにおける架橋は、物理的で可逆的であり、典型的には、絡み合い、より弱い双極子若しくは水素結合、又は結晶領域などの材料相の差を含む。例えば、構成ポリマーの1つ、又は構成ポリマーのセグメントは、室温よりも十分に高い融点又はガラス遷移温度を有する。好適な熱可塑性エラストマー、それらの製造方法、及び加工方法の例は、「Handbook of Thermoplastic Elastomers」、2007年12月、Drobny、ISBN 9780815515494に見出すことができる。
【0031】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレンブロックコポリマー(SBC:styrene block copolymer)、熱可塑性ポリエーテルブロックアミド(TPA:thermoplastic polyether block amide)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU:thermoplastic polyurethane elastomer)及び熱可塑性コポリエステルエラストマー(TCA:thermoplastic copolyester elastomer)などの反応器で作製された熱可塑性エラストマーが挙げられる。反応器で作製された熱可塑性エラストマーは、熱可塑性特性を提供するポリマーセグメント及びエラストマー特性を提供するポリマーセグメントをもたらす反応プロセスを通して形成される1つのポリマーで実装される。他の熱可塑性エラストマーとしては、ホモポリマー及び/又はコポリマーなどのポリマーの配合物が挙げられ、これは、ポリマーからのブロックがコポリエステルゴム中などの隣接する鎖中のブロックと共結晶化する結晶性ドメインを生じる。ブロックの長さに依存して、ドメインは、一般に、より高い結晶融点のために後者よりも安定である。その結晶融点は、材料を成形するのに必要な加工温度、並びに得られる熱可塑性エラストマーの最終サービス使用温度を決定する。このような材料としては、Hytrel(登録商標)(ポリエステル-ポリエーテルコポリマー)及びPebax(登録商標)(ナイロン又はポリアミド-ポリエーテルコポリマー)が挙げられる。反応器で作製された熱可塑性エラストマー、特に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)が好ましい。
【0032】
「熱可塑性オレフィン」と称されることが多い熱可塑性エラストマーは、典型的にはポリオレフィンから誘導され、それらの改善されたリサイクル性のためにも好ましい。熱可塑性エラストマーは、可塑剤、充填剤、相溶化剤などの更なる成分を含有することができる。
【0033】
シリコーンゴムは、シリコーンからなるエラストマーである。シリコーンゴムは、多くの場合、一成分又は二成分ポリマーであり、特性を改善するか又はコストを低減するために充填剤を含むことができる。シリコーンゴムは、一般に、非反応性であり、安定であり、極端な環境及び広範囲の温度に対して耐性であるが、依然としてそれらの特性を維持している。これらの特性並びに製造及び成形の容易さのために、シリコーンゴムは、電圧線絶縁体、自動車用途、調理、焼成、及び食品保存製品、下着、スポーツウェア、及び履物などの衣服、電子機器、医療用デバイス及びインプラント、並びにシリコーンシーラントなどの製品における、家庭での修理及びハードウェアを含む多種多様な製品に見出すことができる。シリコーンは、典型的には高度に接着性のゲル又は液体であり、加硫(縮合硬化)、触媒硬化、又は過酸化物硬化などの硬化によってシリコーンゴムに変換される。これは、通常、所望の形状に製造する時点で2段階プロセスで行われ、次いで、長時間にわたる後硬化プロセスで行われる。硬化プロセスは、熱又は圧力を加えることによって加速することができる。
【0034】
好適なゴムは、天然由来又は合成由来のいずれであってもよい。天然由来のゴムは、天然源に由来する好適なポリマーを含み、ほとんどの場合、他の有機化合物の少量の不純物を含むイソプレンである。天然ゴムは、典型的にはラテックスの形態で採取される。次に、ラテックスを精製して、商業的加工の準備ができたゴムにする。合成的に誘導されたゴムは、石油副産物から誘導された人工エラストマーであり、加硫によって架橋される。ゴムは、単独で又は他の材料と組み合わせて使用することができる。
【0035】
エラストマーは、0~80、好ましくは5~60、より好ましくは10~40のショアA(タイプA)硬度を有することができる。ショアA硬度は、ISO 868:2003(2018年に最後にレビューされ、確認された)に記載される方法を使用して測定することができる。エラストマーは、ISO 37:2017(2022年に最後にレビューされ、確認された)に記載される方法を使用して、23℃、200mm/分の延伸速度で流れ方向に測定される、200%~1000%、好ましくは250%~750%、より好ましくは300%~700%の引張伸び(破断)を有することができる。破断点伸びは、引張試験片が破断の瞬間に経験する最大伸び率を表す特性値である。したがって、それは、引張荷重下での材料の変形性を表す。エラストマーは、ISO 815-1:2019に記載されている方法を用いて23℃で72時間にわたって測定して、50%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは20%未満の圧縮永久歪みを有することができる。圧縮永久歪みは、硬化に耐え、長時間の圧縮後に周囲温度でそれらの弾性特性を保持するエラストマーの能力を測定する。そのようなものとして、圧縮永久歪みは、変形力の解放後にエラストマーがその元の寸法に戻ること、又はその弾性を過度に失うことを防止する物理的又は化学的変化に耐えるエラストマーの能力の指標を提供する。
【0036】
容器壁(11)は、容器(10)の外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、幅広部分(3)を有することができる。幅広部分(2)は、好ましくは、容器(10)が典型的に把持されて絞り出しされる容器壁(11)上に位置する。良好な把持及び分配のために、幅広部分(2)は、好ましくは、25mm~120mm、好ましくは40mm~100mm、より好ましくは50mm~80mmの半径を有する。容器壁(11)の幅広部分(2)の断面が楕円形などの非円形である場合、半径は、同じ断面積を有する円形断面に基づいて計算される。幅広部分(2)の半径は、断面積が最大である場所で計算される。
【0037】
容器壁(11)は、容器壁(11)の外部表面の少なくとも一部が容器(10)の隣接する部分よりも狭い凹形状を有するように、幅狭部分(3)を有することができる。
【0038】
幅狭部分(3)は、好ましくは、容器壁(11)の幅広部分(2)に隣接して、特に、容器壁(11)が典型的に把持され、絞り出しされる場所に隣接して位置する。幅狭部分(3)は、好ましくは10mm~80mm、好ましくは20mm~70mm、より好ましくは30mm~60mmの半径を有する。容器壁(11)の幅狭部分(3)の断面が楕円形などの非円形である場合、半径は、同じ断面積を有する円形断面に基づいて計算される。幅狭部分(3)の半径は、断面積が最小である場所で計算される。
【0039】
少なくとも1つの溝(80)は、好ましくは、容器壁(11)の幅広部分(2)に少なくとも部分的に位置付けられる。
【0040】
容器壁(11)は、好ましくは、幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方を有し、より好ましくは、幅狭部分(3)は、幅広部分(2)の上にある。そのような容器(10)は、絞り出し圧力が除去されると、元の形状への改善されたスプリングバックを提供する。
【0041】
幅広部分(2)、好ましくは幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方は、円形又は楕円形のいずれかの断面を有しており、円形断面であることが好ましい。そのような断面は、絞り出し圧力が除去された後に、元の形状に戻る容器壁(11)の改善されたスプリングバックをもたらすことが分かっている。これは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどから作製されるものなどのより剛性の底部分配容器とは対照的であり、本質的に平坦な前側パネル及び好ましくは後側パネルもより望ましい。
【0042】
この容器(10)は、75mm~300mm、好ましくは100mL~270mL、より好ましくは150mm~225mmの高さを有することができ、容器の高さは、底部分配パッケージ(1)内にあるオリフィス(30)の内面から、容器(10)の上部まで、又は存在する場合にはキャップ(90)の上部まで測定される。
【0043】
容器壁(11)は、0.25mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~6.0mm、より好ましくは1.0~4.0mmの厚さを有することができる。溝(80)が存在する場合、壁厚さは、外部表面(14)と溝頂部(82)との間の距離として測定され、容器壁(11)の外部表面(14)に対して垂直に測定される。
【0044】
弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、射出成形、回転成形、又は圧縮成形などの任意の好適な成形プロセスを使用して作製することができる。
【0045】
射出成形は、熱により溶融したプラスチック材料を金型内に射出した後、冷却固化して成形品を得る方法である。この方法は、複雑な形状を有する製品の大量生産に適している。射出成形では、まずエラストマーを溶融し、射出ユニットに入れることができるようにする。射出ユニットは、プランジャ、押出機などであり得る。射出ユニットは、典型的には、エラストマーの溶融温度を超えて加熱される。次いで、溶融したエラストマーを金型に注入する。射出されると、エラストマーは加硫又は冷却されて、金型の形状を形成し、エラストマー成形部品を作り出すことができる。熱可塑性エラストマーの場合、典型的には冷却で十分である。
【0046】
トランスファー成形では、エラストマーが加熱され、金型は加熱されない。液体エラストマーは、成形プロセスが開始するまで溶融状態のままである。プランジャのような注入器がエラストマーを閉じた金型内に押し込み、ここでエラストマーは冷却又は加硫された後に形状を形成する。冷却されると、金型を開いて容器を解放することができる。
【0047】
圧縮成形は、一般に予熱された成形材料が、最初に、開いた加熱された金型空洞内に配置される成形方法である。金型を上型又はプラグ部材で閉じ、圧力を加えて材料を全ての金型表面と接触させ、その間、成形材料が硬化するまで熱及び圧力を維持する。プロセスが、例えば、部分的に硬化された段階で、顆粒、パテ様塊、又はプリフォームのいずれかの形態の熱硬化性樹脂を使用する場合、プロセスは本質的に加硫プロセスである。強度又は弾性を改善するために、成形材料に繊維を添加することができる。先進複合熱可塑性樹脂は、一方向テープ、織布、ランダム配向繊維マット又はチョップドストランドと共に圧縮成形することもできる。エラストマーは、ペレット又はシートのいずれかの形態で金型に充填されてもよく、又は金型は、可塑化押出機から充填されてもよい。材料は、それらの融点を超えて加熱され、成形され、冷却される。供給材料が金型表面上に均一に分注されればされるほど、圧縮段階中に生じる流れの配向は少なくなる。ハニカム又はポリマー発泡体などのコア材料を弾性的に絞り出し可能な容器(10)に組み込むサンドイッチ構造を製造するために、圧縮成形を使用することもできる。
【0048】
少なくとも1つの溝:
弾性的に絞り出し可能な容器(10)の内部表面(15)は、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)を備える。内部表面上に少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)を提供することは、容器のより優れた柔軟性及びスプリングバックをもたらす一方で、外部表面(14)が、例えば、ロゴ又は商標の追加によって、所望に応じて平滑であるか、又はテクスチャ加工されたままであり得ることを確実にする。加えて、容器(10)の外部表面(14)は、洗浄が容易なままである。少なくとも1つの溝(80)は、好ましくは本質的に水平に配向される。したがって、溝(80)は、螺旋形態を有することができるか、又は1つ以上の水平溝(80)であり得る。複数の水平溝(80)が好ましい。
【0049】
そのような溝の存在は、容器がエラストマーなどの柔軟性材料から作製される場合であっても、特に、容器(10)の外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、少なくとも1つの溝(80)が、容器(10)が幅広部分(2)を有する場所に位置付けられる場合、特に、幅広部分(2)が、容器(10)が典型的に把持及び絞り出しされるであろう容器(10)上に位置する場合、その元の形状に戻る弾性的に絞り出し可能な容器(10)の再膨張を改善することが見出されている。
【0050】
少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)は、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)が位置付けられる容器壁(11)の内部表面(15)の周方向長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%にわたって延在することができる。
【0051】
容器壁(11)の内部表面(15)は、好ましくは、複数の周方向に配向された溝(80)を備える。周方向に配向された溝(80)は、容器壁(11)の高さの少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%にわたって延在する溝ゾーン(4)にわたって存在することができる。
【0052】
周方向に配向された溝(80)が存在する場合、溝(80)は、ピッチ(81)が1mm未満~15mm、好ましくは2mm~12mm、より好ましくは2.5mm~10mmであるように離間されることができ、ピッチ(81)は、弾性的に絞り出し可能な容器の内部表面(15)上の周方向に配向された溝(80)の2つの隣接するピーク間の距離として定義される。
【0053】
ピッチ(81)は一定であってもよいが、より好ましくは、容器壁(11)の内部表面(15)にわたって変化する。ピッチ(81)は、溝(80)が容器壁(11)の内部表面(15)を上って進むにつれて増加し、次いで再び減少することができ、その結果、ピッチ(81)は、容器壁(11)が典型的に把持されて絞り出しされる場所で最も広くなる。ピッチ(81)のそのような分布は、容器(10)が把持されて絞り出される容器壁(11)の柔軟性を増加させ、この位置から更に離れた容器壁(11)の剛性を増加させ、したがって、その剛性を増加させることなく容器(10)のスプリングバックを改善する。
【0054】
先に述べたように、溝(80)が存在する場合、容器壁(11)は、容器壁(11)の外部表面(14)に対して垂直に測定した外部表面(14)と溝頂部(82)との間の距離として測定して、0.25mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~6.0mm、より好ましくは1.0~4.0mmの厚さを有することができる。
【0055】
溝底部(83)と容器壁(11)の外部表面(14)との間の距離は、0.1mm~6.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、最も好ましくは1.0mm~3.0mmとすることができる。
【0056】
少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の高さは、0.1mm~6.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、好ましくは1.0mm~3.0mmであり、高さは、溝底部(83)と溝頂部(82)との間の距離として測定され、両方とも容器壁(11)の外部表面(14)に対して垂直に測定される。
【0057】
溝(80)が存在しない場合、容器壁(11)は、容器壁(11)の外部表面(14)に対して垂直に測定して、0.25mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~6.0mm、より好ましくは1.0~4.0mmの厚さを有することができる。したがって、溝(80)が存在しない容器壁(11)は、溝(80)が存在する壁(11)の厚さよりも厚くても薄くてもよい。好ましい実施形態では、溝(80)が存在しない壁(11)は、溝が存在する壁(11)の厚さよりも厚い。そのような実施形態では、容器壁(11)の柔軟性は、溝(80)が存在する場所で最も高い。
【0058】
上記の特徴は全て、容易な絞り出しと、絞り出し圧力が除去された後の改善されたスプリングバックとの両方をもたらす。
【0059】
容器壁(11)の外部表面(14)は、更なる溝又はリブを備えることができる。しかしながら、外部表面は、好ましくは、商標、成分などのマークの一部を形成するそのような更なる溝及びリブを除いて、そのような更なる溝又はリブを本質的に含まない。そのような更なる溝又はリブが容器壁(11)の外部表面(14)上に存在する場合、容器壁(11)の厚さ及び溝底部(83)と容器壁(11)の外部表面(14)との間の距離は、そのような更なる溝、リブ及び他のマーキングが容器壁(11)の外部表面(14)上に存在しないと仮定して測定される。すなわち、外部表面(14)が平滑であると仮定した場合である。
【0060】
一方向通気口:
弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、一方向通気口(70)を備えることができる。一方向通気口(70)は、容器(10)からの空気又は他の内容物の退出を防止しながら、容器(10)の中への空気の進入を可能にする。一方向通気口(70)は、好ましくは、容器(10)の上部に、及び/又はパッケージの高さの90%の高さより上の容器壁(11)に位置付けられ、容器(10)の上部が好ましい。容器(10)がキャップ(90)を備える場合、一方向通気口(70)は、好ましくはキャップ(90)内に配置され、より好ましくはキャップ(90)の中心に位置付けられる。
【0061】
一方向通気口を含むキャップは、Dow Corning及びNalgeneによって販売されている通気口付きキャップなどが市販されている。しかしながら、そのようなキャップは、典型的には、容器内への空気の進入を防止しながら、容器内の圧力上昇を防止するように、容器内から外側へガスを通気するために設計される。対照的に、本発明で使用するための一方向通気口(70)を備える好適なキャップ(90)は、一方向通気口(70)を通って容器(10)の内容物の退出を防止しながら、一方向通気口(70)を通って空気が容器に入ることを可能にする必要がある。
【0062】
典型的な底部分配パッケージ(1)に関して、分配のための絞り出し力が除去された後の容器(10)のスプリングバックは、オリフィス(30)を通して空気を引き込む圧力差を提供し、その結果、容器(10)は、容器(10)の絞り出し後にその元の形状に戻ることができる。したがって、典型的な従来技術の弾性的に絞り出し可能な容器では、容器は、オリフィス(30)を通して空気を引き込み、容器(10)がその元の形状に戻ることを可能にするのに十分なスプリングバック力を提供することができるように、十分に剛性でなければならない。弾性的に絞り出し可能な容器(10)が、本明細書に記載されるような一方向通気口(70)を備える場合、容器(10)は、分配のための絞り出し力が除去された後、依然としてその元の形状に戻ることが可能でありながら、より可鍛性にすることができる。
【0063】
したがって、容器(10)が一方向通気口(70)を備える場合、弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、本明細書に記載される弾性指数方法を使用して測定されるとき、0.75%~1.75%、好ましくは0.85%~1.4%の弾性指数を有することができる。
【0064】
弾性的に絞り出し可能な容器(10)の所望の弾性は、容器(10)を形成するために使用される材料の選択を通して、容器(10)を作製するためにより少ない樹脂材料を使用することによって壁厚さを制限することを通して、又は本明細書に説明されるような溝(80)及びそれらの形態の使用を通してを含む、任意の好適な手段を使用して達成されることができる。
【0065】
先に述べたように、一方向通気口(70)は、容器(10)がその元の形状に回復することを可能にする一方で、空気がオリフィス(30)を通って吸引されることを必要としない。したがって、オリフィス(30)は、パッケージ(1)内に収容された組成物の漏出に対してより弾性的にすることができる。一方向通気口(70)は、好ましくは、基部(20のオリフィス(30)を通して空気を引き戻すのに必要な圧力よりも低い開放圧力を有する。
【0066】
一方向通気口(70)は、20℃で測定して、10mbar~250mbar、好ましくは15mbar~150mbar、より好ましくは25mbar~75mbarの外側(45)から内側(46)への開放圧力差を有することができる。
【0067】
開放圧力差(mbar)は、典型的には、バルブが水柱の底部に封止的に取り付けられた水柱を使用して測定され、次いで、目標温度でバルブを開くために必要な水の高さを測定する。開放圧力は、典型的には、バルブのために提供される技術文献を含む、バルブ製造業者から入手可能である。
【0068】
好適な一方向バルブとしては、ダックビルバルブ、アンブレラバルブ、フラッパバルブ、ボールバルブ、脱気バルブ、及びバネ荷重バルブが挙げられる。
【0069】
ダックビルバルブは、典型的には、逆流防止デバイス又は一方向バルブ若しくは逆止バルブとして作用する、一体型のエラストマー構成要素である。それらは、逆流を防止し、順流を可能にするダックビルの形状のエラストマーリップを有する。他のタイプの一方向バルブに勝るダックビルバルブの主な利点は、ダックビルバルブが自己完結型であることであり、重要な封止機能は、封止要素が封止を形成するために滑らかな座面と係合しなければならないバルブとは対照的に、一体型エラストマー構成要素の一体部分である。したがって、ダックビルバルブは、嵌合座部の表面仕上げ品質及び/又は複雑な組立プロセスに関連する面倒又は問題を伴わずに、多種多様なデバイスに容易に組み込まれ、組み立てられる。ダックビルバルブは、Minivalve(オランダ)によって供給され得る。
【0070】
アンブレラバルブ及びベルビルバルブは、ダイヤフラム形状の封止ディスク(アンブレラ形状)を有するエラストマーバルブ構成要素である。これらのエラストマー部品は、逆流防止デバイス又は一方向バルブ又は逆止バルブ、通気バルブ又は圧力逃がしバルブ、及び計量バルブにおける封止要素として使用される。弁座に取り付けられたとき、凸状のダイヤフラムは、弁座に対して平らになり、特定の量の弁座の凹凸を吸収し、特定の封止力を生み出す。アンブレラバルブは、頭部圧力が凸状ダイヤフラムを座部から持ち上げるのに十分な力を生成すると、前方への流れを可能にし、したがって、一方向に所定の圧力での流れを可能にし、反対方向への逆流を直ちに防止する。アンブレラバルブは、Minivalve(オランダ)によって供給され得る。
【0071】
脱気バルブは、典型的には、焙煎された豆によって発生するガスをバッグから逃がすことができるコーヒーのバッグ上に見出すことができる。本発明で使用される場合、脱気バルブは、空気が一方向通気口(70)を通ってパッケージ(1)に入ることができるが、パッケージから出ることができないように、逆に取り付けられる。脱気バルブは周知であり、典型的には、キャップと、弾性ディスクと、粘性層と、通常はポリエチレンから作製されるプレートと、紙フィルタと、を備える。ゴムダイヤフラムなどの弾性ディスクは、バルブ内に封入され、容器(10)又はキャップ(70)の外側に位置付けられる側は、バルブに対して表面張力を維持するシーラント液の粘性層を有する。その元の形状に弾性的に戻る弾性的に絞り出し可能な容器(10)からの圧力差が表面張力を超えると、弾性ディスクが解放され、空気が容器(10)内に進入することができる。適切な脱気バルブは、EPAC Flexible(ガーナ)、MTPak(中国)、WIPF Doypak(トルコ)などによって提供される。脱気バルブは、容器(10)又はキャップ(70)に逆に取り付けられるので、バルブは、好ましくは、空気透過性カバーによって保護される。
【0072】
ばね式バルブは、ボール又はピンなどの閉鎖手段を所定の位置に保持するばねを備える。したがって、バルブを開くために反対の圧力差が必要とされる。ばねは、金属、又は適切なプラスチック若しくはゴムなどの別の弾性材料とすることができる。
【0073】
基部:
パッケージは、容器(10)に動作可能に接続された基部(20)を備える。基部は、任意にスリットバルブ(40)を含むオリフィス(30)を備える。
【0074】
基部(20)は、基部(20)から少なくとも部分的に取り外し可能な、より好ましくは完全に取り外し可能なキャップ(図示せず)を備えることができる。パッケージが、使用、輸送及び保管中の圧力の変化による漏出に対してより耐性がある場合、キャップは、好ましくは、オリフィス(30)に封止係合されない。好ましくは、基部(20)はキャップを含まないか、又は基部(20)は、完全に取り外し可能であって、最初の使用前に取り外して廃棄することができるキャップを備える。代替的に、基部(20)はまた、輸送中の漏出に対する追加の保護として、オリフィス(30)を覆うステッカーを備えることができる。
【0075】
適切なスリットバルブ(40)は、オリフィス(30)内に取り付けられた、柔軟性、エラストマー性、弾性、双方向、自己閉鎖性のスリットタイプのバルブであり得る。スリットバルブ(40)は、スリット(42)をその中に有する柔軟性の中央部分(41)を備える。スリット(42)は、典型的に、遠位端部(43)に向かって半径方向外方へ延在する。例えば、オリフィス(30)は、1つのスリット(42)又は2つ以上の交差スリット(42)から形成されたスリットバルブ(40)を含むことができ、当該スリットは、弾性的に絞り出し可能な容器(10)を絞り出すときなどの、弾性的に絞り出し可能な容器(10)の内部の圧力の上昇に応答して、オリフィス(30)を通して液体を分配することを可能にするように開くことができる。スリットバルブ(40)は、好ましくは、少なくとも2つの一致スリット(42)を備え、好ましくは、スリットは、星形パターンを形成し、フラップ(44)を画定する。より好ましくは、スリットバルブは、投与の容易さと漏出の防止とのバランスをとるために、2つの一致スリット(42)を備える。
【0076】
スリットバルブ(40)は、典型的に、スリットバルブ(40)にわたる圧力差の低減に応じて、オリフィス(30)を閉じて、オリフィス(30)を通って液体が流れるのを止めるように設計される。スリットバルブ(40)を開くために必要とされる圧力の量は、スリットバルブ(40)の内部抵抗力に部分的に依存する。「内部抵抗力」(すなわち、クラッキング圧力)は、スリットバルブ(40)の変形/開口に対する所定の抵抗閾値を指す。換言すれば、スリットバルブ(40)は、オリフィス(30)の内側(45)を圧迫する定常状態の液体の圧力下で閉じたままであるように、変形/開放に抵抗する傾向がある。バルブを変形させる/開くために必要とされる圧力の量は、この内部抵抗力に打ち勝つものでなければならない。この内部抵抗力は、液体の漏出を引き起こすほどに低くするべきでない。したがって、スリットバルブ(40)は、好ましくは、20℃で測定して、少なくとも10mbar、好ましくは少なくとも15mbar、より好ましくは少なくとも25mbarの、オリフィス(30)の内側(45)から外側(46)までの開放圧力差を有する。内部抵抗力は、液体の投与量を分配することを困難にするほどに高くするべきでない。
【0077】
特に底部分配パッケージ(1)が低粘度の液体を含む場合、比較的低い圧力差で開くスリットバルブ(40)の使用は、オリフィス(30)から組成物が噴出することを回避するのを補助する。したがって、特に、底部分配パッケージ(1)が、10s-1の剪断速度で測定して、100mPa・s~3,000mPa・s、好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・sの粘度を有する液体洗剤組成物を備える場合、スリットバルブ(40)は、好ましくは、20℃で測定して、10~250mbar、好ましくは15~150mbar、より好ましくは25~75mbarの圧力差で開く。
【0078】
更に、このような低い圧力差でも開くスリットバルブ(40)の使用はまた、絞り出しを除去したことにより、容器(10)がその元の形状を戻ることができる時点で、スリットバルブ(40)を通して空気を吸い込むためにより小さい圧力差が必要なことも意味する。スリットバルブ(40)にわたる圧力差が不十分であることは、容器がその変形のない形状に戻るための十分な空気がバルブ(40)を通って容器(10)に吸い込まれないことを意味するので、これは、より弾性がある容器(10)を備えるパッケージ(1)に特に重要である。
【0079】
開放圧力差(mbar)は、典型的に、スリットバルブを水柱の底部に封止的に取り付けた水柱を使用して測定し、次いで、目標温度でスリットバルブを開くために必要とされる水の高さを測定する。開放圧力は、典型的には、バルブのために提供される技術文献を含む、バルブ製造業者から入手可能である。
【0080】
好ましくは、スリットバルブ(40)は、0.1cm2~10cm2、より好ましくは0.3cm2~5cm2、最も好ましくは0.5cm2~2cm2の表面積を有する。好ましくは、スリットバルブ(40)は、1mm~10mm、より好ましくは2mm~5mmの高さを有する。静置状態においてスリットバルブ(40)が完全に閉じた位置のままであることを可能にする限りは、他の寸法を使用することができる。
【0081】
スリットバルブ(40)は、熱可塑性エラストマー、シリコーン、及びこれらの混合物、好ましくはシリコーンから作製することができ、また、例えばバルブの耐久性及び柔軟性を最適化するなどのために、当該技術において既知の添加物を含むことができる。
【0082】
弾性的に絞り出し可能な容器は、エラストマーから作製されるので、本発明の底部分配パッケージ(1)は、貯蔵及び輸送の間の圧力変化(例えば、温度の変化)に起因する漏出の傾向が少ない。しかしながら、漏出はまた、パッケージを落とした場合、又は十分な力を表面に印加した場合などの、衝撃による一時的な液体圧力の上昇にも起因することがあり得る。このような、流体ハンマー圧力とも称される容器内部の一時的な液体圧力の上昇は、液体にバルブを瞬間的にこじ開けて、液体を漏出させることがあり得る。
【0083】
したがって、底部分配パッケージ(1)の基部(20)は、欧州特許出願公開第3492400(A1)号に記載されるように、オリフィス(30)の上流に位置する耐衝撃システム(50)を更に含むことができる。システム(50)は、空洞(52)をその中に有し、かつ基部(20)から長手方向かつ半径方向内方へ延在するハウジング(51)を備え、ハウジング(51)は、弾性的に絞り出し可能な容器(10)からハウジング(51)の中への液体のための流路を提供する少なくとも1つの入口開口部(53a)と、オリフィス(30)が開かれたときに、ハウジング(51)から外部雰囲気への液体のための退出路を提供する少なくとも1つの出口開口部(53b)と、を備え、空洞(52)は、圧縮可能な物質(54)によって部分的に占有されるように適合される。
【0084】
好適な圧縮可能な物質(54)は、ガス、発泡体、スポンジ、又はバルーンから選択することができ、好ましくはガスであり、より好ましくは空気である。定常状態でのハウジング(51)内部のガス、好ましくは空気の容積と、弾性的に絞り出し可能な容器(10)の容積との比率は、0.001超、好ましくは0.005~0.05、より好ましくは0.01~0.02とすることができる。
【0085】
ハウジング(51)は、200mm3~250,000mm3、好ましくは1,500mm3~75,000mm3の内部容積を有することができる。入口開口部(53a)は、1mm2~250mm2、好ましくは15mm2~150mm2の合計表面積を有することができる。ハウジング(51)は、典型的に、プラスチック材料、好ましくは熱可塑性材料、好ましくはポリプロピレンを含むか、又は作製される。
【0086】
底部分配パッケージ(1)は、オリフィス(30)の内側(45)と耐衝撃システム(50)との間に位置するバッフル(60)を更に備えることができ、好ましくは、バッフル(60)は、少なくとも1つの支持部材(62)によって支持される閉塞部材(61)を含み、当該支持部材は、バッフル(60)が上流で流体ハンマー圧力を受けたときに液体の流れを遮断する閉鎖位置の間の閉塞部材(61)の移動に適応する。
【0087】
基部(20)は、パッケージ(1)を平坦な表面上に静置するように任意選択的に適合され得る底面(21)を備えることができる。代替的に、基部(20)は、少なくとも部分的に、好ましくは底面(21)の周囲に対してフルコネクトで、底面(21)の当該周囲から基部壁リム(22)まで延在する基部壁(23)を備えることができ、その結果、底部分配パッケージ(1)は、基部壁リム(22)上に静置することができる。そのような基部壁(23)は、外部基部壁面(24)及び内部基部壁面(25)を更に備えることができる。
【0088】
代替的に、又は更に、基部(20)の少なくとも一部は、衝撃からの一時的な液体圧力の増加に起因する漏出を減少させるために、エラストマーから作製することができる。基部(20)の少なくとも一部をエラストマーから作製することによって、上述の過渡的な液体圧力の増加(液圧ハンマー圧力)の少なくとも一部が吸収される。基部(20)の本体は、好ましくは、少なくとも部分的にエラストマーから作製される。基部の本体は、基部(20)の成形中に一緒に形成される基部(20)の特徴を指す。すなわち、典型的には、別個に形成され、基部(20)の本体に機械的に接続される、随意のスリットバルブ(40)、耐衝撃システム(50)、及び同等物などの要素を除外する。その結果、そのような衝撃からの過渡的な液体圧力の増加による漏出が低減されるか、更には回避される。好ましくは、底壁(23)はエラストマーを含む。例えば、基部壁(23)は、ポリプロピレンなどの硬質プラスチックから成形することができ、基部壁リム(22)を含むエラストマーリップは、基部壁(23)上にオーバーモールドすることができる。より好ましくは、底壁(23)はエラストマーから作製される。
【0089】
しかしながら、基部壁(23)が少なくとも部分的にエラストマーから作製されるとき、基部(20)は、特に基部壁リム(22)が湿っているときに、基部壁(23)によって境界付けられた内部空間内に発生する負圧に起因して表面に張り付く可能性がある。したがって、基部壁(23)は、少なくとも1つの孔(26)を備えることができ、及び/又は基部リム(22)は、少なくとも1つのチャネル(27)を備えることができる。そのような孔(26)及びチャネル(27)は、外部基部壁面(24)と内部基部壁面(25)とを接続するので、基部壁(23)の内部の領域内の負の「吸引」圧力の発生が回避される。底壁(23)は、1~8個の孔(26)、好ましくは1~4個の孔(26)を含むことができる。基部リム(22)は、1~8つのチャネル(27)、好ましくは1~4つのチャネル(27)、より好ましくは4つのチャネル(27)を含むことができる。底壁リム(22)内のチャネル(27)が好ましい。
【0090】
基部(20)に使用されるエラストマーは、0~80、好ましくは5~60、より好ましくは10~40のショアA(タイプA)硬度を有することができる。ショアA硬度は、ISO 868:2003(2018年に最後にレビューされ、確認された)に記載されている方法を用いて測定することができる。エラストマーは、ISO 37:2017(2022年に最後にレビューされ、確認された)に記載される方法を使用して、23℃、200mm/分の延伸速度で流れ方向に測定される、200%~1000%、好ましくは250%~750%、より好ましくは300%~700%の引張伸び(破断)を有することができる。破断点伸びは、引張試験片が破断の瞬間に経験する最大伸び率を表す特性値である。したがって、それは、引張荷重下での材料の変形性を表す。エラストマーは、ISO 815-1:2019に記載されている方法を用いて23℃で72時間にわたって測定して、50%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは20%未満の圧縮永久歪みを有することができる。圧縮永久歪みは、硬化に耐え、長時間の圧縮後に周囲温度でそれらの弾性特性を保持するエラストマーの能力を測定する。そのようなものとして、圧縮永久歪みは、変形力の解放後にエラストマーがその元の寸法に戻ること、又はその弾性を過度に失うことを防止する物理的又は化学的変化に耐えるエラストマーの能力の指標を提供する。
【0091】
基部(20)の本体及び弾性的に絞り出し可能な容器(10)は、特にそれらが同じエラストマーから作製される場合、一緒に共成形することができる。そのような実施形態では、弾性的に絞り出し可能な容器(10)及び基部(20)は、本質的に単一の要素である。
【0092】
液体組成物:
底部分配容器(1)は、漏出する傾向が少ないので、底部分配容器(1)は、本明細書で説明される粘度試験方法に従って10s-1の剪断速度で測定して、100mPa・s~3,000mPa・s、好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・sの粘度を有する液体組成物、特に液体洗浄剤組成物を収容するのに特に適している。組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体とすることができ、好ましくはニュートン流体である。
【0093】
組成物は、好ましくは0.5g/mL~2g/mL、より好ましくは0.8g/mL~1.5g/mL、最も好ましくは1g/mL~1.2g/mLの密度を有する。
【0094】
洗剤組成物は、特に手動食器洗浄組成物として配合されたときに、組成物全体の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~45重量%、最も好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含むことができる。
【0095】
手動食器洗浄用途の場合、界面活性剤系は、好ましくは、アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤と、補助界面活性剤と、を含む。補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を8:1~1:1、好ましくは4:1~2:1、より好ましくは3.5:1~2.5:1の重量比で含むことができる。
【0096】
界面活性剤系は、界面活性剤系の40重量%~90重量%、好ましくは65重量%~85重量%、より好ましくは70重量%~80重量%の、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、より好ましくはアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。好ましいアルキルアルコキシサルフェートは、アルキルエトキシサルフェートである。より好ましいアニオン性界面活性剤は、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満、かつ0.5超のモル平均エトキシル化度を有する、アルキルエトキシサルフェート、又は混合アルキルサルフェート-アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤系である。モル平均エトキシル化度は、アルキルエトキシサルフェート配合物について、又は、アルキルサルフェートが存在する場合、混合アルキルサルフェート-アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤系について、エトキシル化のモル平均度として計算される。
【0097】
好ましくは、アルキルエトキシサルフェート、又は混合アルキルサルフェート-アルキルエトキシサルフェート、アニオン性界面活性剤は、5%~約60%、好ましくは10%~50%、より好ましくは20%~40%の重量平均分枝レベルを有する。重量平均分枝度は、アルキルエトキシサルフェート配合物について、又は、アルキルサルフェートが存在する場合、混合アルキルサルフェート-アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤系について、重量平均分枝度として計算される。
【0098】
市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商標名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商標名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。
【0099】
界面活性剤系は、HLASなどのスルホネート、又はスルホコハク酸アニオン性界面活性剤を含む更なるアニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。しかしながら、本組成物は、好ましくは、界面活性剤系の30重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の更なるアニオン性界面活性剤を含む。最も好ましくは、界面活性剤系は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外の更なるアニオン性界面活性剤を含まない。
【0100】
当該組成物は、界面活性剤系の一部として、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤を更に含むことができる。組成物は、好ましくは、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。
【0101】
本発明の洗浄組成物の界面活性剤系は、好ましくは、当該界面活性剤系の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の補助界面活性剤を含む。
【0102】
補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0103】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤が挙げられる。このようなベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、並びにホスホベタインが挙げられる。最も好ましい双性イオン性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタインである。
【0104】
好ましくは、界面活性剤系は、当該界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~20重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%のアルコキシル化非イオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0105】
好ましくは、当該アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、そのアルキル鎖において平均で9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子、及びアルコール1モル当たり平均で5~12、好ましくは6~10、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含む、直鎖又は分枝状の一級又は二級のアルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤である。
【0106】
代替として、又は加えて、組成物は、アルキルポリグルコシド(「APG」)界面活性剤を含むことができ、アルキルエトキシレート化界面活性剤などの比較の非イオン性界面活性剤を超えて泡立ちを改善することができる。存在する場合、アルキルポリグルコシドは、界面活性剤組成物の0.5重量%~20重量%、好ましくは0.75重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の濃度で界面活性剤系中に存在し得る。
【0107】
洗浄組成物は、20℃で、蒸留水で10%に希釈して測定して、5~12、より好ましくは7.5~10のpHを有することができる。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができる。
【0108】
好適な洗浄組成物は、欧州特許出願第3511402号に記載されている。
【0109】
試験方法:
浸漬容積、オーバーフロー容積及び弾性指数
試験は、作製後の容器の収縮の影響を回避するために、少なくとも3日経過した容器で行う。試験は、20℃の室温及び1013±1Paの室内気圧で行う。
【0110】
20℃で測定したときに1.000±0.002g/mLの密度を有する蒸留水を、少なくとも5Lの容積のビーカーに加える。所望に応じて、目標密度が達成される限りは、染料を加えて可視性を向上させることができる。
【0111】
容器を、0.001gの精度を有する実験室用天秤を使用して計量する。
【0112】
次いで、容器をビーカー内に完全に浸漬し、開口部を上に向け、20℃の蒸留水をビーカーに入れて、穏やかに振盪することによって容器内のあらゆる残りの空気を排出する。首部の最も硬い部品によって容器を保持し、容器を絞り出すことを回避し、かつ溶液を少しも漏出させないようにしながら、容器をビーカーの外へ慎重に持ち上げる。充填した容器を拭いて乾燥し、天秤上で再計量して、容器を浸漬したときに容器内に収容されている溶液の重量を計量する。蒸留水の重量から、浸漬容積(mL)を演繹することができる。次いで、容器に、20℃の追加的な蒸留水を淵まで補給し、容器を再計量して、淵まで補給した後に容器内に収容されている蒸留水の重量を計量する。この界面活性剤溶液の重量から、排出容積を演繹することができる。排出容積は、補給後に容器内に収容されている蒸留水の合計容積である。水槽内の浸漬と計量との間の時間は、2分未満でなければならない。
【0113】
弾性指数は、以下の式を使用して計算し、パーセントで表される。
【0114】
【0115】
ピーク圧力
ピーク圧力は、充填温度を超える定義温度での空の容器内の圧力である。温度及び圧力プローブ(好ましくはMSR145B4データロガー)を空の容器内に配置し、容器を、封止係合キャップ(オリフィスなし)でキャップし、容器を20℃の温度及び1013±1Paの気圧に維持し、一方で、キャップする間に周囲の雰囲気圧力を超えるいかなる追加的な圧力も容器に及ぼされないことを確実にする。容器を、恒温炉内に配置し、1013±1Paで4時間にわたって所望の温度に設定し、温度及び圧力プローブによってロギングした最大(ピーク)圧力を記録する。当該方法を、5つの異なる容器を使用して繰り返し、平均ピーク圧力を記録する。
【0116】
漏出
容器を、1,000±200mPa・sの範囲の粘度を有するFairy(登録商標)オリジナルの暗緑色の食器洗浄製品を用いて、20℃で、容器サイズの10%(推奨される充填容積)まで満たし、10s-1の剪断速度で測定し(例えば、Belgian製市場製品、2018)、容器を、(Aptarによって供給される)V21-145のスリットバルブを備えるキャップで封止する。カップを計量した後に、容器を倒立させてカップ内に配置し、容器のキャップをカップの底部からある距離に位置付ける。次いで、容器を配置し、カップを恒温炉内で40℃に保つ。次いで、1時間後に、炉から容器及びカップを取り出し、カップから容器を取り出し、カップを再計量して、容器から漏出した製品の重量を計量する。
【0117】
衝撃時の漏出抵抗
耐漏液試験の目的は、「衝撃」中に倒立容器からの液体の漏出を防止する液体ディスペンサの能力を評価することである。衝撃は、液体ディスペンサ側を下にして、特定の高さから平坦な表面上に倒立容器が落下したときに生じる。落下は、倒立容器内の衝撃で生じる一時的な液体圧力の増加を模擬することを想定している。液体ディスペンサの耐漏液能力は、落下時に液体の容積/重量が漏出しないまでの落下高さの測定によって評価される。より高い漏出のない落下高さは、液体ディスペンサのより良好な耐漏液能力と相関する。方法の工程は、以下のとおりである。
1.
図10に示すような、落下試験装置を使用する。本装置は、およそ12cmの直径を有する2つの上部及び底部開放端円筒管からなり、すなわち、外側管は、外側管の中へ垂直方向に移動可能な内側管をきつく取り囲み、外側管は、外側管上に適用された評価尺度によって外側管内の内側管の相対的高さの視覚的評価を可能にするカットアウトセクションを有する。取り外し可能なレバーを内側管の底部に適用し、内側管内で倒立容器(2)をその開口部を下向きに位置付けてレバー上に静置するようにする。レバーが手動で取り外されると、倒立容器が落下し、曝露後の漏出した液体の量が計量される。そのため、漏出した液体を捕らえるために、紙片が開放端外側容器の底部の硬質表面上に位置付けられる。落下試験の前後に秤で紙の重量を測定して、漏出した液体の量を画定する。手動による取り外しの前にレバーが位置付けられた高さは、落下高さとして測定される。
2.回転速度12RPMのスピンドル31を備えたBrookfieldタイプDV-IIで測定した場合、密度が1.03g/mLで、ニュートン流体粘度が20℃で1000cpsの標準的な液体食器洗浄用洗剤で、定義された容積(例えば、400mL又は650mL)を有する倒立容器(2)を、倒立容器内の定義された充填レベルまで充填する。例えば、400mLの倒立容器を400mLの液体食器洗浄用洗剤で充填し、650mLの倒立容器を650mLの液体食器洗浄用洗剤で充填した。液体充填レベル、倒立容器の容積、及び液体組成物は、異なる閉鎖システムをクロス比較する際に一定に保たれている。
3.
図4に示すように、バルブ(Aptar Group、Inc.から入手可能なSimplicity 21-200「Simplisqueeze(登録商標)」バルブ)を備える液体ディスペンサを倒立容器(2)と組み立てる。液体ディスペンサは、平坦面上に静置するための円錐台形状の外部部分(例えば、底部直径65mm、上部直径34mm、及び高さ30mm)を有し、任意に、内部に展開されたバッフル(例えば、直径7mm、4mmの中央ボールから外側に出ている5つのリブ)、本発明による耐衝撃システム(30)、又はその両方を装備している。
4.落下試験機の落下の高さ(2cm~15cm)を設定する。
5.外側管の下端部の開口部に合わせて、約7cm×7cmの紙片を切り取る。
6.Mettler Toledo PR1203天秤を使用して紙片を秤量し、その重量を記録する。
7.紙片を外側管の下部端の開口部の下に置く。
8.組み立てられた液体ディスペンサ及び倒立容器(2)を、液体ディスペンサ側を下にして、落下試験機の内側管内に置く。
9.迅速かつ滑らかな動きで、落下試験機内のレバーを引き戻す。
10.管並びに組み立てられた液体ディスペンサ及び倒立容器を落下試験機から取り出す。
11.紙片をもう一度秤量し、重量を記録する。紙の重量差を計算する。デルタは液体ディスペンサから漏出した液体の量に対応する。
12.各試験条件について合計5回繰り返すために、工程5~11を更に4回繰り返す。
13.液体が漏出しない平均最大落下高さを計算する。
【0118】
粘度
液体洗浄剤組成物の粘度を、TA instrument製のDHR-1回転流量計を使用し、直径40mm、2.008°の角度、56μmの切頭ギャップを有する円錐-プレートジオメトリを使用して測定する。特に言及しない限り、粘度は、10s-1の剪断速度で測定する。
【0119】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定のない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物のための底部分配パッケージ(1)であって、
a.前記液体組成物を収容するための弾性的に絞り出し可能な容器(10)であって、前記弾性的に絞り出し可能な容器は、容器壁(11)を備え、前記容器壁(11)は、少なくとも部分的にエラストマーから作製され、
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)の前記容器壁(11)は、内部表面(15)及び外部表面(14)を備え、前記内部表面(15)は、少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)を備え、前記少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の高さは、0.1mm~6.0mmであり、前記高さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、溝底部(83)と溝頂部(82)との間の距離として測定される、弾性的に絞り出し可能な容器(10)と、
b.前記容器(10)に動作可能に接続された基部(20)であって、前記基部は、オリフィス(30)を備える、基部(20)と、を備える、底部分配パッケージ(1)。
【請求項2】
前記容器(10)の前記内部表面(15)は、前記容器(10)の高さの少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%にわたって延在する溝ゾーン(4)にわたって複数の周方向に配向された溝(80)を備える、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項3】
前記容器壁(11)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、幅広部分(2)を有し、前記少なくとも1つの溝(80)は、前記容器壁(11)の前記幅広部分(2)に少なくとも部分的に位置付けられる、請求項1又は2に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの周方向に配向された溝(80)の前記高さは、0.5mm~5.0mm、好ましくは1.0mm~3.0mmであり、前記高さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、前記溝底部(83)と前記溝頂部(82)との間の前記距離として測定される、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項5】
前記内部表面(15)は、少なくとも2つの周方向に配向された溝(80)を備え、前記周方向に配向された溝(80)が存在する場合、前記溝(80)は、ピッチ(81)が1mm未満~15mm、好ましくは2mm~12mm、より好ましくは2.5~10mmであるように離間されることができ、前記ピッチ(81)は、前記弾性的に絞り出し可能な容器の前記内部表面(15)上の前記周方向に配向された溝(80)の2つの隣接するピーク間の距離として定義される、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項6】
前記溝(80)が位置付けられる場合、前記容器壁(11)は、0.25mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~6.0mm、より好ましくは1.0~4.0mmの壁厚さを有し、前記厚さは、前記容器壁(11)の前記外部表面(14)に対して垂直に測定された、前記外部表面(14)と前記溝底部(83)との間の距離として測定される、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項7】
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)を作製するために使用される前記エラストマーは、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ゴム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項8】
前記弾性的に絞り出し可能な容器(10)を作製するために使用される前記エラストマーは、
a.0~80、好ましくは5~60、より好ましくは10~40のショアA(タイプA)硬度であって、前記ショアA硬度は、ISO868:2003に記載の方法を使用して測定される、ショアA(タイプA)硬度と、
b.200%~1000%、好ましくは250%~750%、より好ましくは300%~700%の、ISO37:2017に記載されている方法を使用して23℃において200mm/分の延伸速度で流れ方向において測定される引張伸び(破断)と、
c.ISO815-1:2019に記載の方法を使用して23℃で72時間にわたって測定された、50%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは20%未満の圧縮永久歪みと、を有する、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項9】
前記容器(10)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凸形状を有するように、幅広部分(2)を有する、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項10】
前記容器壁(11)は、前記容器(10)の前記外部表面の少なくとも一部が凹形状を有するように、幅狭部分(3)を有し、好ましくは、前記容器壁(11)は、幅広部分(2)及び幅狭部分(3)の両方を有し、前記幅狭部分(3)は、前記幅広部分(2)の上方にある、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項11】
前記容器(10)は、一方向通気口(70)を備え、前記一方向通気口(70)は、前記容器(10)からの空気の退出を防止しながら、前記容器(10)の中への空気の進入を可能にし、好ましくは、前記一方向通気口は、前記パッケージの高さの90%の高さを上回って、前記容器(10)上部及び/又は前記容器壁(11)内に位置付けられる、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項12】
前記オリフィス(30)は、スリットバルブ(40)を備え、好ましくは、前記スリットバルブ(40)は、20℃で測定して、10~250mbar、好ましくは15~150mbar、より好ましくは25~75mbarの圧力差で開く、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項13】
前記基部(20)は、キャップを含まないか、又は
前記基部(20)は、完全に取り外し可能であって、最初の使用前に取り外して廃棄することができるキャップを含み、好ましくは、前記基部(20)は、キャップを含まない、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【請求項14】
前記底部分配パッケージ(1)は、液体洗剤組成物を備え、前記液体洗剤組成物は、10s-1の剪断速度で測定して、100mPa・s~3,000mPa・s、好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・sの粘度を有する、請求項1に記載の底部分配パッケージ(1)。
【外国語明細書】