(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099414
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/34 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
H01R4/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216057
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA12
(57)【要約】
【課題】トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現する。
【解決手段】コネクタ1Aは、ナット22Yと、皿バネ23と、第1端子24と、第2端子112とを有する。皿バネ23は、端部221aからナット部221Yを第1穴部232に挿通させてフランジ部222上に搭載される。第1端子24は、端部221aからナット部221Yを第2穴部243に挿通させて皿バネ23上に搭載される。第2端子112は、ナット部221Yの外形形状よりも小さく、かつ、ナット22Yのネジ穴形状よりも大きな穴形状の第3穴部112dを有し、第3穴部112dを第2穴部243に対向させて第1端子24上に搭載される。ナット部221Yがネジ部32Yに嵌合される前であって、第2端子112が第1端子24上に搭載された場合には、端部221aと第2端子112との間には間隙Vが設けられるように構成されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と、前記一端と反対側の他端とを有し、所定のボルトと嵌合可能なナット部と、前記他端側に設けられたフランジ部と、を有するナットと、
前記ナット部が挿通可能な第1穴部を有し、前記一端側から前記ナット部を前記第1穴部に挿通させて前記フランジ部上に搭載されるバネと、
前記ナット部が挿通可能な第2穴部を有し、前記一端側から前記ナット部を前記第2穴部に挿通させて前記バネ上に搭載される第1端子と、
前記ナット部の外形形状よりも小さく、かつ、前記ナットのネジ穴形状よりも大きな穴形状を有する第3穴部を有し、該第3穴部を前記第2穴部に対向させて前記第1端子上に搭載される第2端子と、
を備え、
前記ナット部が前記所定のボルトに嵌合される前であって、前記第2端子が前記第1端子上に搭載された場合には、前記ナット部の前記一端と、前記第2端子との間には所定の間隙が設けられるように構成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記所定の間隙の大きさは、前記所定の間隙がなくなるまで前記ナット部を前記ボルトに嵌合させた場合に、前記バネにより、前記第1端子と前記第2端子との間に、予め定めた所定の接触力が生じる大きさである、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記所定のボルトは、前記第3穴部を挿通可能であって、前記一端側から前記ナット部と嵌合するネジ部と、前記ネジ部の一端に設けられ、前記第3穴部の形状よりも大きな形状の頭部と、を有する、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ナット部における前記所定のボルトと嵌合する方向の長さは、前記第1端子の厚さより長い、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記バネは、皿バネで構成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ナット部が挿通可能な第4穴部を有し、前記一端側から前記ナット部を前記第4穴部に挿通させて前記第1端子と前記第2端子との間に搭載される環状部と、前記環状部から前記第1端子側、または前記第2端子側の少なくとも一方に突出する複数の突起部と、を有する突起部材と、を更に有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記突起部材は、歯付き座金で構成されている、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1端子は、前記第2端子と対向する領域に、前記第2端子に向けて突出する複数のダボを有する、請求項1から5のいずれか1の請求項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2端子は、前記第1端子と対向する領域に、前記第1端子に向けて突出する複数のダボを有する、請求項1から5のいずれか1の請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコネクタの端子の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタ端子の接続構造として、締結対象物である端子同士をボルトとナットを用いて締め付けることによって電気的導通を図ることが考えられる。ボルト締結構造の従来技術として、簡易な構成でボルト軸力のばらつきを抑えることのできるものがある(例えば、特許文献1参照)。
図15は、従来技術のボルト締結構造を示した図である。
図15のボルト締結構造は、被締結物(3a、3b)に挿入されるボルト(1)と、このボルトの頭部(1a)と前記被締結物との間に設けられる2枚の座金(4)と、これら2枚の座金の間に設けられる円環状のスペーサ(5)と、前記2枚の座金の間かつ前記スペーサの径方向における外側または内側に設けられ、常態において前記スペーサの厚さを超える高さの皿バネ(6)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術のボルト締結構造をそのままコネクタ端子の接続構造に適用してしまうと、ある場合には、締め付け力が弱すぎて所望の反力が得られず、適切な電気的な接合に至らない場合が生じうるという問題があった。また、他の場合には、必要以上に締め付けてしまう場合が生じ、インシュレータ等の周囲の部品に余計な負荷を加えてしまう場合が生じ得るという問題があった。
【0005】
ここで、ボルト締結者による締め付け力の差をなくし、適正な締め付け力を実現するために、トルクレンチ等など器具を用いることも考えられる。しかし、この場合には、別途トルクレンチ等の器具を用意するばかりでなく、当該器具が適正なトルクが発揮されているかなどをチェックする等、煩雑な管理が必要となってしまう。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑み、トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現可能とするコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本実施形態に係るコネクタは、一端と、一端と反対側の他端とを有し、所定のボルトと嵌合可能なナット部と、他端側に設けられたフランジ部と、を有するナットと、ナット部が挿通可能な第1穴部を有し、一端側からナット部を第1穴部に挿通させてフランジ部上に搭載されるバネと、ナット部が挿通可能な第2穴部を有し、一端側からナット部を第2穴部に挿通させてバネ上に搭載される第1端子と、ナット部の外形形状よりも小さく、かつ、ナットのネジ穴形状よりも大きな穴形状を有する第3穴部を有し、該第3穴部を第2穴部に対向させて第1端子上に搭載される第2端子と、を備える。ナット部が所定のボルトに嵌合される前であって、第2端子が第1端子上に搭載された場合には、ナット部の一端と、第2端子との間には所定の間隙が設けられるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態のコネクタによれば、第2端子112とナット22との間の所定の間隙Vにより、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力が管理されていることから、トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態におけるコネクタの一実施例を示した図である。
図1(a)は、斜視図であり、
図1(b)は天面図であり、
図1(c)は側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したコネクタ1Aを、ハーネスコネクタ10と、本体コネクタ20に分解した場合の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、ハーネスコネクタ10の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、ハーネスカバー12の斜視図である。
図4(a)は、上面カバー121aの外面側から見た斜視図であり、
図4(b)は上面カバー121aの内面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、本体コネクタ20の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、基台21の斜視図である。
図6(a)は、フランジ収容部213b側から見た斜視図であり、
図6(b)は底部211側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1(b)のA-A断面図における、本体コネクタ20側周辺の拡大図である。
【
図8】
図8は、
図7に示したボルト30とナット22との締結の様子を説明するための模式図である。
図8(a)はボルト締結前の状態であり、
図8(b)は、ボルト締結後の状態である。
【
図9】
図9は、第1端子24と第2端子112との間における接触力Fと接触抵抗Rとの関係を示した図である。
【
図10】
図10は、第1変形例に係るコネクタ1Aにおいて、ボルト30とナット22との締結を説明するための模式図である。
図10(a)はボルト締結前の状態であり、
図10(b)は、ボルト締結後の状態である。
【
図11】
図11は、第1変形例に係る本体コネクタ20の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、他の部品の一例として、片持ちバネ部品27を示した模式図である。
図12(a)は斜視図であり、
図12(b)は側面図である。
【
図13】
図13は、第2変形例に係るコネクタ1Aにおいて、ボルト30Yとナット22Yとの締結を説明するための模式図である。
図13(a)はボルト締結前の状態であり、
図13(b)は、ボルト締結後の状態である。
【
図14】
図14は、第2変形例に係る本体コネクタ20の分解斜視図である。
【
図15】
図15は、従来技術のボルト締結構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<<第1の実施の形態>>
以下、本開示の第1の実施の形態に係るコネクタについて図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるコネクタの一実施例を示した図である。
図1(a)は、斜視図であり、
図1(b)は天面図であり、
図1(c)は側面図である。
図2は、
図1に示したコネクタ1Aを、ハーネスコネクタ10と、本体コネクタ20に分解した場合の分解斜視図である。
【0011】
本実施形態におけるコネクタ1Aは、例えば、数百アンペアの大電流向けのコネクタである。但し、本開示のコネクタにおける端子の締結の構造は、電流の大きさに制限はなく、更に大きな電流、あるいはこれよりも小さな電流での適用を妨げない。本実施形態におけるコネクタ1Aは、
図1,2に示すように、ハーネスコネクタ10と、本体コネクタ20と、1組のボルト30を主たる要素として構成されている。コネクタ1Aは、ハーネスカバー12に設けられた2つの穴部121cと、第2端子112に設けられた2つの第3穴部112dとの夫々に、ボルト30を挿通し、本体コネクタ20内の突起部材26、蓋25、第1端子24、皿バネ23を介して、ボルト30とナット22と嵌合させることにより組み立てられる。なお、後述するように、本実施形態では、突起部材26の一例として、歯付き座金26aを用いている(
図5参照)。以下、コネクタ1Aを構成する各要素について説明する。
【0012】
<ハーネスコネクタ10>
図3は、ハーネスコネクタ10の分解斜視図である。
図4は、ハーネスカバー12の斜視図である。
図4(a)は、上面カバー121aの外面側から見た斜視図であり、
図4(b)は上面カバー121aの内面側から見た斜視図である。ハーネスコネクタ10は、
図3に示すように、ハーネス11と、ハーネスカバー12とから構成されている。
図3のハーネスコネクタ10は、ハーネス11を2つ有しているが、本開示のコネクタは、2つに限らず、単一のハーネス11で構成してもよいし、3つ以上で構成してもよい。
【0013】
(ハーネス11)
ハーネス11は、
図3に示すように、ケーブル111と、第2端子112とから構成されている。ケーブル111は、銅合金で構成された銅線111aと、銅線111aを被覆する絶縁材111bとから構成されている。ケーブル111の一端は、銅線111aが露出しており、露出している部分の銅線111aは、この例では、先端が半円筒形の形状を有している。但し、この例の銅線111aは、第2端子112への溶着前に円筒形状を有していたものが、溶着によって半円筒形の形状となったものである。したがって、銅線111aは半円筒形の形状に限らず他の形状でもよい。第2端子112は、略長方形の薄型金属板であり、長手側両端に、端部112a,112bを有する。第2端子112の薄型金属板は厚さh1を有する(
図8参照)。
図3における端部112a側の下面に当たる面112fには、銅線111aが溶着されている。端部112bの中央部には、ハーネスカバー12の溝部121e(
図4)に挿入される突部112cが設けられている。第2端子112は、その中央部からやや端部112b側に、ボルト30のネジ部32(
図2)が挿通可能な第3穴部112dが設けられている。第3穴部112dは、後述するナット部221(
図5参照)の外形形状(円筒形状の円形の形状)よりも小さく、かつ、ナット部221のネジ穴形状よりも大きな穴形状を有する。後述するように、第2端子112は、第3穴部112dを第1端子24の第2穴部243(
図5参照)に対向させて歯付き座金26a上に搭載される(
図8参照)。
【0014】
(ハーネスカバー12)
ハーネスカバー12は、ケーブル111の一部と、第2端子112とを収容する。ハーネスカバー12は、第2端子112と第1端子24(
図5参照)とを締結するために両者を適切な位置に配置する、位置合わせの役割を担う。この位置合わせのために、ハーネスカバー12の締結部121は、その内面に、本体コネクタ20の一部(上部)を収容する。ハーネスカバー12は、例えば、PBT等の熱可塑性樹脂で構成されており、絶縁部材としての役割も担う。ハーネスカバー12は、
図4に示すように、ガイド部122と、締結部121とから構成されている。
【0015】
ガイド部122は、ハーネス11の第2端子112側を覆うカバーであり、1組の筒状部122aと、各筒状部122aを連結する板状の連結部122bとから構成されている。1組の筒状部122aは、夫々、断面外形が略角丸四角形の筒型形状を有する。各筒状部122aは、第2端子112の一部と、銅線111aと絶縁材111bの一部とを収容する。
【0016】
ガイド部122は、第2端子112の幅方向の断面形状とケーブル111の断面形状とが結合した形状をわずかに大きくした形状の貫通穴である、穴部122a1を有する。但し、穴部122a1は、ガイド部122の締結部121側の端部では、その穴形状は、ケーブル111が挿通する形状は有さず、第2端子112の幅方向の断面形状のみの形状を有して貫通している。即ち、ガイド部122の締結部121側端部は、第2端子112が挿通する開口を有した立壁となっている。この構成は、ハーネス11が、ハーネスカバー12内に、必要以上に挿入されてしまうことを防止している。穴部122a1に、第2端子112を挿通することにより、穴部122a1は挿入ガイドの役割を果たし、後述する溝部121eと共に、ハーネスコネクタ10と本体コネクタ20との相対的な位置関係が決定される。
【0017】
締結部121は、絶縁部材としての役割に加え、ガイド部122と共に、第2端子112と第1端子24とを締結するための位置合わせの役割を担う。締結部121は、略長方形の平板形状を有する上面カバー121aと、上面カバー121aの長手方向の両端部と、短手方向の1端との夫々からボルト30が挿入していく方向(
図1(c)における下方向)に突出する周カバー121bとから構成されている。短手方向の他端は、ガイド部122の端部と連接している。上面カバー121aには、ボルト30の頭部31が挿通可能な形状の1組の穴部121cが設けられている。穴部121cは、第2端子112が穴部122a1に挿入され、突部112cが溝部121eと嵌合した際に、第2端子112の第3穴部112dと対向する位置に設けられている。上面カバー121aのガイド部122とは反対側の端部には、1組の溝部121dが設けられている。溝部121dは、上面カバー121aからボルト30が挿入していく方向(
図1(c)における下方向)に凹状の溝となっている。また、周カバー121bの内面であって、ガイド部122と対向する部分には、第2端子112が挿入していく方向(
図1(c)における左方向)には、凹状の溝である1組の溝部121eが設けられている。溝部121dと溝部121eとは、一部が連接しており、締結部121は、上面カバー121aから周カバー121bにかけて外部から内部に通じる穴として形成されている。溝部121eは、突部112cの断面形状よりも僅かに大きな断面形状を有する。したがって、第2端子112が、穴部122a1を挿通し、突部112cが、溝部121eと嵌合することにより、ハーネス11とハーネスカバー12との間の相対位置が決定する。この位置決定により、穴部121cの中心軸と、第3穴部112dの中心軸とが、同一軸上の位置関係となる。
【0018】
<本体コネクタ20>
図5は、本体コネクタ20の分解斜視図である。本体コネクタ20は、
図5に示すように、基台21と、ナット22と、皿バネ23と、第1端子24と、蓋25と、突起部材26の一例である歯付き座金26aとから構成されている。
図5の本体コネクタ20は、ハーネスコネクタ10がハーネス11を2つ有することから(
図3)、これに合わせて、ナット22と、皿バネ23と、第1端子24と、蓋25と、歯付き座金26aとを各2つ有している。
【0019】
(基台21)
図6は、基台21の斜視図である。
図6(a)は、フランジ収容部213b側から見た斜視図であり、
図6(b)は底部211側から見た斜視図である。
【0020】
図6に示した基台21は、ナット22と、皿バネ23と、第1端子24と、蓋25と、歯付き座金26aとを各2つ収容できるように構成されている。基台21は、第1端子24を収容する絶縁部材であり、1組の収容部213と、各収容部213を連結する連結部214とから構成されている。基台21は、例えば、PBT等の熱可塑性樹脂で形成されている。
【0021】
各収容部213は、略直方体の形状に対して、穴部213aと、フランジ収容部213bと、端子収容部213c,213dと、蓋収容部213eと、6つの嵌合穴213fとが夫々設けられている。穴部213aの中心軸は、本体コネクタ20の一部がハーネスコネクタ10の締結部121内に収容された際に、穴部121cの中心軸と同一軸上となる位置に設けられている。穴部213aは、想定より長軸のネジ部を有するボルト30がナット22に挿通された場合であっても、ネジ部32の先端がナット22から突出して基台21を傷つけないように、ネジ部32が挿通可能な貫通穴として形成されている。フランジ収容部213bは、中央に、穴部213aの領域を含み、上方からナット22のフランジ部222を搭載して収容可能な溝形状を有する。フランジ収容部213bの溝形状は、フランジ部222が収容できるように、フランジ部222よりも僅かに大きな形状を有する。端子収容部213cは、中央に、穴部213a及びフランジ収容部213bの領域を含み、上方から第1端子24の接続部241の一部を搭載して収容可能な溝形状を有する。端子収容部213cは、接続部241の殆どの部分を収容できるように、接続部241の外形形状よりも僅かに大きな形状を有する。端子収容部213dは、収容部213の内、穴部213a及びフランジ収容部213bの双方の領域から外れた位置に設けられ、上方から第1端子24の連接部242を挿入した場合に、連接部242の殆どの部分を収容可能な貫通穴を有する。端子収容部213dは、連接部242を収容できるように、連接部242の断面形状よりも僅かに大きな穴形状を有する。端子収容部213cと端子収容部213dとは連接しており、その連接部分は、第1端子24のL字状に曲げられている部分に対応するように傾斜面を有している。蓋収容部213eは、蓋25の上面カバー251の縁部周辺を搭載できるように、端子収容部213cと端子収容部213dの上方から、端子収容部213cと端子収容部213dよりも僅かに広い形状を上面カバー251の板厚相当の深さで掘り下げる溝形状を有する。6つの嵌合穴213fは、蓋25が接続部241上に搭載された際に、嵌合突起253が挿入可能となる位置に設けられた貫通穴である。
【0022】
(ナット22)
本実施形態のナット22は、
図5に示すように、ナット部221と、フランジ部222とから構成されている。ナット部221は、ボルト30と嵌合する部分であり、内部にネジ穴が設けられている鉄製部材である。ナット部221は、この例では円筒の外形形状を有するが、これに限定されない。例えば断面外形が多角形を有する等、他の外形形状でもよい。ナット部221は、端部221a,221bを有する。この例では、ナット部221におけるボルト30と嵌合する方向の長さh4は、第1端子24の厚さh3よりも長く設けられている(
図8参照)。フランジ部222は、この例では、端部221b側の円筒形状の周囲から外側に突出するように設けられた鉄製薄板である。フランジ部222の形状は、円形の一部を平行に切り欠いて平行部分を有し、全体として略横長円形形状となっている。ナット22は、フランジ部222をフランジ収容部213bに対向させて、基台21のフランジ収容部213bに収容される。
【0023】
本実施形態のナット22は、フランジ部222を有することから、別途ワッシャーを設ける必要がなく、組み立て工数の削減効果があるだけでなく、ナット部221からフランジ部222にかけて座面が大きくなるため、締付け強度が増す。したがって、ナット22が基台21に陥没してしまうことで発生しうるボルト30とナット22との間の締結のゆるみを防ぐ。なお、フランジ部222は、ボルト30をナット22に締結する際に、ナット22が一緒に回転しないように、略横長円形形状を有してフランジ収容部213bに収容されている。したがって、ボルト30の空回りが防止され、この点でも締め付け強度が増す。
【0024】
(皿バネ23)
皿バネ23は、第1端子24と第2端子112との間の接触力Fを生じさせる部品である。皿バネ23は、
図5に示すように、環状部231と、環状部231の中央に設けられた第1穴部232とから構成されている。皿バネ23は、例えば、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、銅合金などで形成されている。環状部231は、この例では、外形が円形で深さが浅い皿形状を有している。第1穴部232は、ナット部221が挿通可能な穴形状を有し、第1穴部232の面231b側を端部221aに対向させて、端部221a側からナット部221を第1穴部232に挿通させることにより、皿バネ23はフランジ部222上(面222a上)に搭載される。皿バネ23は、その厚さ(高さ)として、高さh2を有する(
図8参照)。
【0025】
(第1端子24)
第1端子24は、例えば電子機器など、電気により駆動する本体に接続される側の端子である。第1端子24は、この例では、長方形の平板を曲げ加工によりL字状に成形した薄板金属平板である。第1端子24の金属平板は、厚さh3を有する(
図8参照)。第1端子24は、接続部241と連接部242から構成されている。接続部241は、基台21の端子収容部213cに収容され、第2端子112と電気的に接続する。連接部242は、接続部241と連接し、例えば曲げ加工により、接続部241の端部から90度に曲げられて形成されており、基台21の端子収容部213dに収容される。接続部241には第2穴部243が設けられている。第2穴部243は、接続部241が端子収容部213cに収容された際に、ナット22のネジ部223の中心軸と、皿バネ23の第1穴部232の中心軸とが、第2穴部243の中心軸と同一軸上になるように構成されている。第2穴部243は、ボルト30の頭部31(
図2)の外形形状よりは小さいものの、ナット22のナット部221が挿通可能な穴形状を有する。第1端子24は、第2穴部243の面241b側を第1穴部232に対向させ、端部221a側からナット部221を第2穴部243に挿通させて皿バネ23上に搭載される。
【0026】
(蓋25)
蓋25は、感電のおそれを低減させるために、接続部241の面241a側から接続部241を覆う絶縁部材である。蓋25は、例えば、PBT等の熱可塑性樹脂で形成されている。蓋25は、上面カバー251と、穴部252と、6つの嵌合突起253とを夫々有する。上面カバー251は、略長方形の薄板形状を有している。穴部252は、上面カバー251に設けられている。穴部252は、上面カバー251が面241a側から接続部241上に搭載された際に、穴部252の中心軸が、ネジ部223、第1穴部232、第2穴部243の夫々の中心軸と同一軸上となる位置に設けられている。穴部252は、第2穴部243の穴形状よりも大きく、かつ、突起部材26の一例である歯付き座金26aの外形形状よりもやや大きな穴形状を有する。嵌合突起253は、上面カバー251の周縁部において、ボルト30が挿入されていく方向(
図1(c)における下方向)に突出するように設けられている。この例では、嵌合突起253は、上面カバー251の短手方向の両端部に夫々2つ、長手方向の両端部の中央付近に夫々1つ設けられている。嵌合突起253は、蓋25が接続部241上に搭載された際に、基台21に設けられた嵌合穴213fに挿入可能な位置に設けられている。各嵌合突起253には、突出側の先端に上面カバー251の縁部内側に向けて突出する凸部253aが設けられている。凸部253aは、嵌合突起253が、嵌合穴213fに挿入されることにより、基台21と係合する。これにより基台21は蓋25により蓋される。凸部253aと基台21との係合により、ナット22、皿バネ23、第1端子24が、基台21内の収容から外れてしまうことを防止する。
【0027】
(突起部材26)
突起部材26は、第2端子112と、第1端子24との間に設けられ、これらに突起部材26を組み込ませて接触面の酸化膜等の不導体物質を突き破ることにより、接触面の不導体物質の除去の役割を担う。本実施形態では、突起部材26の一例として、
図5に示すように、環状部261と、複数の突起部262と、第4穴部263とを有する歯付き座金26aを用いている。歯付き座金26aは、例えば鉄製あるいはステンレス製である。
【0028】
環状部261は、環状の薄板部であり、この例では、突起部262を含めた外形形状が、蓋25の穴部252よりやや小さな形状を有している。複数の突起部262は、環状部261から第1端子24側、または第2端子112側の少なくとも一方に突出する突起部である。突起部262は、第2端子112または第1端子24の一方、あるいは、第2端子112及び第1端子24の双方の表面に食い込むための歯としての役割を担う。第4穴部263は、接続部241の第2穴部243よりも大きく、かつ、ナット部221が挿通可能な穴形状を有する。突起部材26としての歯付き座金26aは、接続部241上に搭載された蓋25の穴部252内に挿入されることにより、接続部241上に搭載される。
【0029】
<ボルト30>
ボルト30は、
図2に示すように、ネジ部32と、頭部31とから構成されている。ボルト30は、例えば鉄製である。ネジ部32は、第2端子112の第3穴部112dに挿通可能であって、ナット22の端部221a側からナット部221と嵌合する。頭部31は、ネジ部32の一端に設けられ、ハーネスカバー12の穴部121cよりも小さく、第3穴部112dよりも大きな外形形状を有する。
【0030】
<コネクタ1Aの組み立て方法>
ハーネスコネクタ10の組み立ては、
図3,4に示すように、ハーネス11の第2端子112をハーネスカバー12の穴部122a1に挿入し、突部112cを溝部121eに嵌合させることにより組み立てられる。穴部122a1の締結部121側は、第2端子112は挿通できるが、銅線111aは挿通できないように構成されている(
図7参照)。
【0031】
本体コネクタ20の組み立ては、次のように行われる(
図5,6)。ナット22のフランジ部222を、基台21のフランジ収容部213bに向けて搭載する。次に、皿バネ23の第1穴部232の面231b側を面222aに対向させ、第1穴部232を、端部221a側からナット部に挿通させることにより、フランジ部222上(面222a上)に搭載する。次に、第1端子24の第2穴部243の面241b側を端部221aに対向させ、第2穴部243に、端部221a側からナット部221を挿通させ、皿バネ23の面231a上に搭載する。次に、蓋25の穴部252の面251b側を端部221aに対向させ、穴部252を、ネジ部223、第1穴部232、第2穴部243と対向する位置になるようにして接続部241上に搭載する。この際、凸部253aを備えた嵌合突起253を、嵌合穴213fに嵌合させる。突起部材26は、蓋25の穴部252内に挿入して、第1端子24の接続部241上に搭載する。
【0032】
コネクタ1Aは、
図2に示すように、本体コネクタ20をハーネスコネクタ10の締結部121内に挿入して嵌合させる。この状態において、ハーネスカバー12の上方から穴部121cと、第3穴部112dと、穴部252と、第4穴部263と、第2穴部243と、第1穴部232を介して、ボルト30をナット22のネジ部223に向けてネジ締めにより挿通する。これによりボルト30とナット22とが嵌合され、コネクタ1Aの組み立てが完了する。
【0033】
図7は、
図1(b)のA-A断面図における、本体コネクタ20側周辺の拡大図である。ハーネスコネクタ10と本体コネクタ20とを嵌合させた状態で、ボルト30をナット22に嵌合させていくと、
図7に示すように、皿バネ23が、押しつぶされた状態となる。この状態により皿バネに反力が生じ、第2端子112と第1端子24との間には接触力が生じることとなる。皿バネ23が所望の反力を生じるように、ボルト30が締結される前の状態において、本実施形態のコネクタ1Aは、第2端子112とナット22との間の間隙が、事前に調整された間隙(間隙V)になるように構成されている。
【0034】
<間隙V>
図8は、
図7に示したボルト30とナット22との締結の様子を説明するための模式図である。
図8(a)はボルト締結前の状態であり、
図8(b)は、ボルト締結後の状態である。
図8では、間隙Vの作用の理解を促進させるために、ボルト30、第2端子112、突起部材26、第1端子24、皿バネ23、ナット22のみを表示し、他は非表示としている。
図8では、突起部材26や皿バネ23の形状や高さは誇張して表現し、ナット22のナット部221内のネジ形状は割愛している。また、模式図であることを識別するために、
図7のハッチングと異なるハッチング模様を用いている。
【0035】
本実施形態のコネクタ1Aは、
図8(a)に示したように、ボルト30の頭部31が、第2端子112を押さえつけていない状態(ボルト締結前)の状態では、ナット22の端部221aと、第2端子112の面112fとの間には、間隙Vが設けられるように構成されている。換言すれば、ナット部221がネジ部32に嵌合される前であって、第2端子112が突起部材26上に搭載された場合には、ナット部221の端部221aと、第2端子112(面112f)との間には予め定めた間隙Vが設けられるように構成されている。
【0036】
間隙Vの大きさは、ボルト30を、間隙Vがなくなるまで(間隙Vがゼロになるまで)ナット部221をネジ部32に嵌合させた場合に、第1端子24と第2端子112との間には、予め定めた所定の接触力が生じる大きさとなるように調整されている。
【0037】
ボルト30をナット部221に対して締め付けていくと、ネジ部32とナット部221との嵌合が進む。
図8(b)に示したように、間隙Vがなくなる位置まで嵌合が進むと、
面112fが、端部221aと接触することから、それ以上の嵌合は、直前までの締め付け力(トルク)よりもはるかに大きなトルクが必要になり、実質上、それ以上の挿入ができなくなる。別の視点で言えば、
図8(b)に示すように、皿バネ23は、その高さが、h2からh2’へと押しつぶされてはいるものの、まだ、押しつぶされる余裕がある。しかし、面112fと端部221aとが接触することにより、実質上、それ以上の挿入ができなくなる。これにより、皿バネ23の高さはh2’で維持されることとなる。したがって、ボルト締結作業を実施している者は、事前に調整された適切な締め付け力による締め付けが完了したものと認識することが可能となり、締結作業を終了(完了)することができる。
【0038】
図9は、第1端子24と第2端子112との間における接触力Fと接触抵抗Rとの関係を示した図である。
図9に示すように、接触力Fの増加に伴って接触抵抗Rが減少している。但し、接触力Fが、一定以上の範囲になると、それ以前の接触力Fと比して、接触力Fの増加量に対する接触抵抗Rの低下量には、大きな変化が生じなくなる。実際の作業では、適切な接触力を超えて更に接触力Fを大きく取り過ぎれば、コネクタ1Aを構成する他の部品(例えば、基台21等)への負荷が大きくなってしまう。
【0039】
本開示のコネクタ1Aは、第2端子112と第1端子24との間の接触力が、予め定めた所定の範囲内で収まるように、間隙Vが調整されている。所定の範囲とは、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力が生じる範囲である。例えば、
図9で示した領域x内、あるいは領域xの近傍をターゲットにコネクタ1Aの間隙Vを構成することが考えられる。
【0040】
コネクタ1Aを上述のような構成にすることにより、ナット22と締結すべく、上部から所定の間隙Vがなくなるまで、ネジ部32を挿入して嵌合した場合、第2端子112の面112fが、ナット部221の端部221aと接触することにより、実質上、それ以上の挿入ができなくなる。したがって、トルクレンチ等による器具を用いてトルク管理を行うことなく、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力でコネクタの端子同士の締結が可能となる。
【0041】
換言すれば、コネクタ1Aは、第2端子112とナット22との間の所定の間隙Vにより、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力が管理されていることから、トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現できる。
【0042】
<<第1変形例>>
以下、本開示の第1変形例に係るコネクタについて図面を参照して説明する。以降の説明において、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
図10は、第1変形例に係るコネクタ1Aにおいて、ボルト30とナット22との締結を説明するための模式図である。
図10(a)はボルト締結前の状態であり、
図10(b)は、ボルト締結後の状態である。
【0043】
本変形例では、突起部材26は使用せず、第2端子112が、接触面の不導体物質の除去の役割を備えた第2端子112Xへと代わっている。具体的には、第2端子112は、
図10に示すように、面112f側の突起部材26が位置していた場所に、複数の突起部である、ダボ112gを有した第2端子112Xへと変わっている。第2端子112Xは、第1端子24と対向する領域に、第1端子24に向けて突出する複数のダボ112gを有する。
図10では、ダボ112gをダボ出し加工により成形した例を示しており、面112f側にダボ112gが形成され、この位置に合わせて、面112e側には、溝112hが形成されている。上述したダボ112gによっても、接触面の不導体物質の除去の役割を担うことができる。また、突起部材26が不要となることから部品点数を少なくすることができ、組み立て効率の向上など部品管理の面でも有益である。
【0044】
第1変形例のコネクタ1Aが第2端子112Xを用いることにより、本体コネクタ20もこれに合わせた形状となる。
図11は、第1変形例に係る本体コネクタ20の分解斜視図である。本変形例の本体コネクタ20は、
図11に示すように、蓋25が蓋25Xへと変わり、基台21が基台21Xへと変わっている。
【0045】
蓋25Xも、蓋25と同様に、感電のおそれを低減させるために、接続部241の上から覆う絶縁部材である。蓋25Xは、上面カバー251Xと、穴部252Xと、1組の穴部254Xと、6つの嵌合突起253Xとを有する。上面カバー251Xは、上面カバー251と同じ大きさであるが、厚さが上面カバー251よりも僅かに厚く形成されている。穴部252Xの中心軸は、穴部252と同じ位置である。穴部252Xは、ネジ部32が挿通可能となるようにネジ部32の形状よりも大きく、かつ、頭部31よりも小さな穴形状を有する。嵌合突起253Xは、上面カバー251Xの周縁部に、周縁部を拡げる方向に僅かに突出して設けられている。この例では、嵌合突起253Xが設けられる位置は、嵌合突起253と同一の位置に設けられている。嵌合突起253Xは、蓋25Xが第1端子24上に搭載された際に、基台21Xの嵌合穴213f’に挿入される。1組の穴部254Xは、穴部252Xを挟んで、上面カバー251Xの長手方向に並んで設けられている。穴部254Xの穴形状は、ダボ112gが挿入可能なようにダボ112gの断面形状よりもやや大きな形状を有している。穴部254Xは、この例では横長円形形状の穴形状を有している。
【0046】
基台21Xは、基本形状は基台21と同じであるが、蓋収容部213eが、上面カバー251Xの厚さに合わせて、溝の深さが深くなった蓋収容部213e’へと変わっている。基台21Xは、嵌合突起253Xの形状に合わせて、嵌合穴213fが嵌合穴213f’へと変わっている。
【0047】
なお、ダボ112gと同等の役割を担うダボを、第1端子24の面241a側に設けてもよい。即ち、ダボ112gと同等の役割を担うダボは、面112f側に設けてもよいし、面241a側に設けてもよい。あるいは、ダボの位置をずらして面112f側と面241a側の双方に設けてもよい。
【0048】
ダボ112gは、突起部材26の代わりに、接触面の不導体物質の除去の役割を担うことができるものであるから、突起部材26と同様の機能を果たすものであれば、突起部材26やダボ112gではなく、他の部品に置き換えてもよい。他の部品とは、例えば、片持ちバネ部品や、ウエーブスプリングのような部品であってもよい。
【0049】
図12は、他の部品の一例として、片持ちバネ部品27を示した模式図である。
図12(a)は斜視図であり、
図12(b)は側面図である。片持ちバネ部品27は、
図5に示した歯付き座金26aの環状部261に相当する環状の環状部27aと、環状部27aの周囲に配置され、突起部262に相当する複数の片持ちバネ27bと、第4穴部263に相当する穴部27cとから構成されている。この例では、片持ちバネ部品27は、3つの片持ちバネ27bを備えている。各片持ちバネ27bは、端部27b1,27b2を有した細長板形状を有している。片持ちバネ27bは、端部27b1が環状部27aと連接し、端部27b2が自由端となっており、全体として環状部27aの環状形状に沿うように湾曲している。片持ちバネ27bは、端部27b1を起点に、端部27b2に向かうにつれて、
図12(b)でいうと、やや上方に向けて延設している。片持ちバネ27bは、端部27b2の近傍から端部27b2にかけては、端部27b2に向かうにつれて、
図12(b)でいうと、やや下方に向けて延設している。片持ちバネ27bが上述のような構成を有することにより、各片持ちバネ27bは、全体として片持ちバネとしてのバネの機能を有する。上述した他の部品の一例としては、
図12のような構成の部品でもよい。
【0050】
上述した第1変形例のコネクタ1Aにおいても、第2端子112(あるいは第2端子112X)とナット22との間の所定の間隙Vにより、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力が管理されていることから、トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現できる。
【0051】
<<第2変形例>>
以下、本開示の第2変形例に係るコネクタについて図面を参照して説明する。以降の説明において、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
図13は、第2変形例に係るコネクタ1Aにおいて、ボルト30Yとナット22Yとの締結を説明するための模式図である。
図13(a)はボルト締結前の状態であり、
図13(b)は、ボルト締結後の状態である。
【0052】
本変形例のコネクタ1Aは、接触面の不導体物質の除去の問題が、第1の実施の形態や第1変形例ではなく、他の手法で解決できる場合には、
図13に示したように、第2端子112と第1端子24とが直接接触するような構成としてもよい。
図13では、第2端子112と第1端子24と皿バネ23をそのまま用いていることから、第1の実施の形態の間隙Vと同じ間隙が設けられるように、ナット22におけるナット部221の長さがナット部221Yへと短くなったナット22Yへと変わっている。ボルト30におけるネジ部32の長さがネジ部32Yへと短くなったボルト30Yへと変わっている。
【0053】
図14は、第2変形例に係る本体コネクタ20の分解斜視図である。本変形例の本体コネクタ20は、
図14に示すように、第1の実施の形態で有していた蓋25や突起部材26を使用しないことから、基台21が、蓋収容部213eや嵌合穴213fを備えていない基台21Yへと変わっている。
【0054】
上述した第2変形例のコネクタ1Aにおいても、第2端子112とナット22Yとの間の所定の間隙Vにより、電気的導通に十分で、かつ周囲部品への大きな負荷を加えない接触力が管理されていることから、トルクレンチ等による器具を使用せずに、適切な接触力で端子間の接続を実現できる。
【0055】
以上、第1の実施の形態、及び第1変形例、第2変形例について説明した。これらの実施形態で示した、皿バネ23は、これと同等の機能を有するものであれば、他の種類のバネを用いてもよい。その他、上述したコネクタ1Aは、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
1A コネクタ 10 ハーネスコネクタ
11 ハーネス 111 ケーブル
111a 銅線 111b 絶縁材
112,112X 第2端子 112a,112b 端部
112c 突部 112d 第3穴部
112e,112f 面 112g ダボ
112h 溝 12 ハーネスカバー
121 締結部 121a 上面カバー
121b 周カバー 121c 穴部
121d,121e 溝部 122 ガイド部
122a 筒状部 122a1 穴部
122b 連結部 20 本体コネクタ
21,21X,21Y 基台 211 底部
213 収容部 214 連結部
213a 穴部 213b フランジ収容部
213c,213d 端子収容部 213e 蓋収容部
213f,213f’ 嵌合穴 22,22Y ナット
221,221Y ナット部 221a,221b 端部
222 フランジ部 222a,222b 面
223 ネジ部 23 皿バネ
231 環状部 231a,231b 面
232 第1穴部 24 第1端子
241,241b 面 241 接続部
242 連接部 243 第2穴部
25,25X 蓋 251,251X 上面カバー
251a,251b 面 252,252X 穴部
253,253X 嵌合突起 253a 凸部
254X 穴部 26 突起部材
26a 突起部材26の一例である歯付き座金
261 環状部 262 突起部
263 第4穴部 27 片持ちバネ部品
27a 環状部 27b 片持ちバネ
27b1,27b2 端部 27c 穴部
30,30Y ボルト 31 頭部
32,32Y ネジ部 F 接触力
h1,h3, 厚さ h2,h2’ 高さ
h4 嵌合する方向の長さ R 接触抵抗
V 間隙 x 領域