(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099443
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20250626BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20250626BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250626BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/86
A61K8/37
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216112
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 根生
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD492
4C083AD661
4C083BB11
4C083CC04
4C083DD32
4C083EE03
4C083EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塗布中のなじみの早さに優れる化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明に係る化粧料の一態様は、(aピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩と、(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤と、(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤と、(d)油分と、を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩と、
【化1】
(前記一般式(1)において、R
1、R
3、R
4、及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を示し、R
2及びR
5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。)
(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤と、
(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤と、
(d)油分と、
を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
水中油型エマルションである、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩におけるR2及びR5が水素原子である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基である、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項5】
前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩の含有量が0.1質量%~5質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項6】
前記(b)親水性界面活性剤の含有量が0.01質量%~3質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項7】
前記(c)親油性界面活性剤の含有量が0.01質量%~2質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項8】
前記(d)油分の含有量が0.01質量%~3質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項9】
前記(d)油分が、イソステアリン酸、水添ポリデセン、トコフェロール、及びイソステアリルアルコールからなる群より選択される少なくともいずれかである、請求項1に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油分を微粒子化して配合した化粧料は、肌に優しい感触を与え、塗布中のなめらかさに優れることから、嗜好に応じた使用感触と肌改善効果を幅広く実現できるという利点を有している。
【0003】
例えば、油分と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールから選択される親水性界面活性剤と、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから選択される親油性界面活性剤とを含有し、L値が60以上である透明から半透明の液状化粧料であって、イソステアリルアルコールが油分の60質量%以上を占める化粧料は、べたつきがなくやわらかな使用感触を有することが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧料は、塗布中のなじみの早さが十分満足できるものではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、本発明の一実施形態は、塗布中のなじみの早さに優れる化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る化粧料の一実施形態は、(a)下記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩と、
【0008】
【化1】
(前記一般式(1)において、R
1、R
3、R
4、及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を示し、R
2及びR
5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。)
(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤と、
(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤と、
(d)油分と、
を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、塗布中のなじみの早さに優れる化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断りがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
(化粧料)
一実施形態に係る化粧料は、(a)下記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩と、(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤と、(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤と、(d)油分と、を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0012】
【化2】
(前記一般式(1)において、R
1、R
3、R
4、及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を示し、R
2及びR
5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。)
【0013】
<(a)一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩>
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩(以下、「(a)成分」と称することがある)は、細胞毒性が非常に低いものである。
【0014】
一般式(1)において、R1、R3、R4、及びR6はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を示す。一実施形態において、R1、R3、R4、及びR6が示す「炭素数1~3のアルキル基」とは、炭素数1~3の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の飽和炭化水素基である。また、一実施形態において、「それぞれ独立して」とは、R1、R3、R4、及びR6が、それぞれ異なる炭素数1~3のアルキル基であってもよく、同一の炭素数1~3のアルキル基であってもよいことを意味する。
【0015】
R1、R3、R4、及びR6が示す炭素数1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、R1、R3、R4、及びR6が示す炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0016】
一般式(1)において、R2及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。一実施形態において、R2及びR5が示す「炭素数1~3のアルキル基」とは、炭素数1~3の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の飽和炭化水素基である。また、一実施形態において、「それぞれ独立して」とは、R2及びR5が、それぞれ異なる水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であってもよく、同一の水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であってもよいことを意味する。
【0017】
R2及びR5が示す炭素数1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基などが挙げられる。R2及びR5としては、水素原子が好ましい。
【0018】
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。
【0019】
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物は、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
【0020】
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物の代表的な合成例について、以下に説明するが、これらに限定されるものではない。一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物の合成例としては、下記スキーム1に示す反応により合成する方法が挙げられる。下記スキーム1に示す反応は、例えば、特開昭62-000404号公報、Dharmpal S Dodd et al., Tetrahedron Letters, Volume 45, Issue 22, 2004, p.4265-4267、Gazzetta Chemica Italiana, Vol. 93, Parte I, 1963, p. 100などに記載された方法に準じて行うことができる。
【0021】
【0022】
スキーム1において、一般式(2)で示されるヒドラジン化合物と、一般式(3a)で示される1,3-ジカルボニル化合物又は一般式(3b)で示される1-スルホニル-3-カルボニル化合物との反応は、例えば、メタノール等の適当な溶媒中で、塩酸、酢酸等の酸触媒下にて、必要に応じて加熱しながら行うことができる。
【0023】
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物の薬理学的に許容される塩は、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物の薬理学的に許容される塩の合成例としては、一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物に、公知の方法の中から適宜選択した酸付加塩に変換する方法が挙げられる。酸付加塩に変換する方法で使用される酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。
【0024】
スキーム1の出発原料として用いる一般式(2)で示されるヒドラジン化合物は、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。一般式(2)で示されるヒドラジン化合物の合成例としては、下記スキーム2に示す反応により合成する方法が挙げられる。下記スキーム2に示す反応は、例えば、特開平8-208620号公報に記載された方法に準じて行うことができる。
【0025】
【0026】
また、スキーム1の出発原料として用いる一般式(2)で示されるヒドラジン化合物は、下記スキーム3に示す反応により、脱離基Zを有する一般式(5)で示されるピリミジン化合物から合成することもできる。一般式(5)で示されるピリミジン化合物における脱離基Zとしては、例えば、ハロゲンが挙げられる。下記スキーム3に示す反応は、例えば、内藤 武男ら, Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 1969年, 17巻, 7号, p.1467-1478、高木 要ら, Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 1963年, 11巻, 11号, p.1382-1388、白川 研蔵, 薬学雑誌, 1953年, 73巻, 6号, p.635-639などに記載された方法に準じて行うことができる。
【0027】
【0028】
スキーム1~3の反応で用いられるその他の化合物についても、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
【0029】
スキーム1~3の反応において、官能基が分子内に存在し、この官能基が反応の妨害となる又はその恐れのある場合には、適切な保護基を用いて効率的に反応を進行させることが好ましい。保護基の利用は、例えば、Theodora W. Greene、Peter G. M. WutsによるGREENE'S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS等に記載された方法に準じて行うことができる。
【0030】
なお、スキーム1~3の反応において、配座異性体、幾何異性体、光学異性体等の異性体が存在する場合は、原料及び反応条件の適切な選択及び分離操作を行うことで、純粋な異性体又は幾何異性体として得ることができる。一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩には、純粋な異性体又はその混合物も包含される。
【0031】
一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩としては、R1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつR2及びR5が水素原子である2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン塩酸塩(「ジメチルピラゾリルジメチルピリミジン塩酸塩」とも称する)が特に好ましい。
【0032】
一実施形態に係る化粧料において、(a)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、化粧料の全質量に対して、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.1質量%~3質量%がより好ましく、0.5質量%~2質量%が更に好ましい。(a)成分の含有量が、0.1質量%以上であると、なじみの早さを好適に向上することができる。また、(a)成分の含有量は、過剰に配合しても増量に見合った顕著な効果が得られないことがあり、製剤設計や使用性などにおいて影響を及ぼす場合があることから、5質量%以下であることが好ましい。
【0033】
<(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤>
一実施形態に係る化粧料が含有する親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記することがある)硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤(以下、「(b)成分」と称することがある)である。
【0034】
<<ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油>>
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20モル~100モルが好ましく、60モル~100モルがより好ましい。
【0035】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の具体例としては、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油などが挙げられる。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を示す。
【0036】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の市販品としては、例えば、NIKKOL HCO-40(POE(40)硬化ヒマシ油)、NIKKOL HCO-60(POE(60)硬化ヒマシ油)、NIKKOL HCO-100(POE(100)硬化ヒマシ油)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、EMALEX HC-40(POE(40)硬化ヒマシ油)、EMALEX HC-60(POE(60)硬化ヒマシ油)、EMALEX HC-100(POE(100)硬化ヒマシ油)(以上、日本エマルジョン株式会社製)、ユニオックスHC-40(POE(40)硬化ヒマシ油)、ユニオックスHC-60(POE(60)硬化ヒマシ油)、ユニオックスHC-100(POE(100)硬化ヒマシ油)(以上、日油株式会社製)などが挙げられる。
【0037】
<<ポリオキシエチレンフィトステロール>>
ポリオキシエチレンフィトステロールにおける酸化エチレンの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10モル~50モルが好ましく、10モル~30モルがより好ましい。
【0038】
ポリオキシエチレンフィトステロールの具体例としては、POE(10)フィトステロール、POE(20)フィトステロール、POE(30)フィトステロールなどが挙げられる。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を示す。
【0039】
ポリオキシエチレンフィトステロールは、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。ポリオキシエチレンフィトステロールの市販品としては、例えば、NIKKOL BPS-10(POE(10)フィトステロール)、NIKKOL BPS-20(POE(20)フィトステロール)、NIKKOL BPS-30(POE(30)フィトステロール)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0040】
一実施形態に係る化粧料において、(b)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、化粧料の全質量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましく、0.1質量%~0.2質量%が更に好ましい。(b)成分の含有量が0.01質量%以上であると、化粧料を安定に乳化することができる。また、(b)成分の含有量が3質量%以下であると、べたつきが生じにくくなる。
【0041】
<(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤>
一実施形態に係る化粧料が含有する親油性界面活性剤は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤(以下、「(c)成分」と称することがある)である。
【0042】
<<ジイソステアリン酸ポリグリセリル>>
ジイソステアリン酸ポリグリセリルとしては、親油性界面活性剤として作用し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸トリグリセリルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ジイソステアリン酸ポリグリセリルは、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。ジイソステアリン酸ポリグリセリルの市販品としては、例えば、WOGEL-18DV(ジイソステアリン酸ジグリセリル、マツモトファインケミカル株式会社製)、コスモール42V(ジイソステアリン酸ジグリセリル、日清オイリオグループ株式会社製)、EMALEX DISG-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、EMALEX DISG-3(ジイソステアリン酸トリグリセリル)(以上、日本エマルジョン株式会社製)、リソレックス PGIS22(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、リソレックス PGIS32(ジイソステアリン酸トリグリセリル)(以上、高級アルコール工業株式会社製)などが挙げられる。
【0044】
<<セスキイソステアリン酸ソルビタン>>
セスキイソステアリン酸ソルビタンは、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。セスキイソステアリン酸ソルビタンの市販品としては、例えば、コスモール182V(日清オイリオグループ株式会社製)、EMALEX SPIS-150(日本エマルジョン株式会社製)、NIKKOL SI-15RV(日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0045】
<<セスキオレイン酸ソルビタン>>
セスキオレイン酸ソルビタンは、公知の方法により適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。セスキオレイン酸ソルビタンの市販品としては、例えば、EMALEX SPO-150(日本エマルジョン株式会社製)、NIKKOL SO-15V(日光ケミカルズ株式会社製)、NOFABLE(登録商標) SO-852S(日油株式会社製)、コスモール82(日清オイリオグループ株式会社製)などが挙げられる。
【0046】
一実施形態に係る化粧料において、(c)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、化粧料の全質量に対して、0.01質量%~2質量%が好ましく、0.01質量%~1.5質量%がより好ましく、0.05質量%~1質量%が更に好ましい。(c)成分の含有量が0.01質量%以上であると、化粧料を安定に乳化することができる。また、(c)成分の含有量が2質量%以下であると、べたつきが生じにくくなる。
【0047】
<(d)油分>
油分(以下、「(d)成分」と称することがある)としては、特に制限はなく、化粧料に使用さる公知の油分の中から適宜選択することができ、例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、油溶性薬剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
油脂類としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油等の植物性油脂;卵黄油、馬脂、牛脂、羊脂、硬化牛脂、豚脂、牛骨脂、牛脚脂等の動物性油脂などが挙げられる。
【0049】
ロウ類としては、例えば、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウなどが挙げられる。
【0050】
炭化水素油としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状、又は揮発性の炭化水素油が挙げられる。炭化水素油の具体例としては、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリデセン、硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0051】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸などが挙げられる。
【0052】
高級アルコールとしては、例えば、炭素数6以上のアルコールが挙げられる。高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、2-オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の直鎖又は分岐鎖の高級アルコールなどが挙げられる。
【0053】
エステル油としては、例えば、トリイソオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オレイル、エルカ酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジオクチル、12-ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、メトキシケイ皮酸オクチル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
【0054】
シリコーン油としては、例えば、揮発性環状シリコーン、揮発性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンなどが挙げられる。
【0055】
油溶性薬剤としては、例えば、ビタミンA、レチノール、パルミチン酸レチノール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ビタミンD2、トコフェロール等の脂溶性ビタミン類が挙げられる。
【0056】
(d)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、25℃で液状の液状油分が好ましく、イソステアリン酸、水添ポリデセン、トコフェロール、及びイソステアリルアルコールからなる群より選択される少なくともいずれかを含有することが、べたつきが生じにくく、酸化安定性、エモリエント効果、さっぱり感などが得られる点でより好ましい。
【0057】
一実施形態に係る化粧料において、(d)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、化粧料の全質量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.1質量%~1質量%がより好ましく、0.2質量%~0.8質量%が更に好ましい。(d)成分の含有量が0.01質量%以上であると、化粧料を安定に乳化することができる。また、(d)成分の含有量が3質量%以下であると、べたつきが生じにくくなる。
【0058】
<その他の成分>
一実施形態に係る化粧料は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、化粧料に使用さる公知の成分の中から適宜選択することができ、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコール類、糖類、粉末、顔料、色素、高分子、溶剤、pH調整剤、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤、香料、(a)成分以外の薬剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
一実施形態に係る化粧料におけるその他の成分の含有量としては、一実施形態に係る化粧料の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
<<グリコール類>>
グリコール類としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0061】
<<グリセリン類>>
グリセリン類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
【0062】
<<糖アルコール類>>
糖アルコール類としては、例えば、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールなどが挙げられる。
【0063】
<<糖類>>
糖類としては、例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、トレハロースなどが挙げられる。
【0064】
<<粉末>>
粉末は、無機粉末であってもよく、有機粉末であってもよい。
【0065】
無機粉末としては、例えば、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト(絹雲母)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、合成雲母、無水ケイ酸(シリカ)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素などが挙げられる。
【0066】
有機粉末としては、例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、炭酸カルシウム粉末、炭酸マグネシウム粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、セルロース粉末などが挙げられる。
【0067】
<<顔料>>
顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、パール顔料、金属粉末顔料などが挙げられる。
【0068】
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)等の無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料などが挙げられる。
【0069】
有機顔料としては、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、青色1号、青色404号、緑色3号、これらのジルコニウムレーキ、バリウムレーキ、又はアルミニウムレーキなどが挙げられる。
【0070】
パール顔料としては、例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔などが挙げられる。
【0071】
金属粉末顔料としては、例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどが挙げられる。
【0072】
<<色素>>
色素としては、例えば、クロロフィル、β-カロチン等の天然色素が挙げられる。
【0073】
<<高分子類>>
高分子類としては、例えば、植物系高分子、動物系高分子、微生物系高分子、デンプン系高分子、セルロース系高分子、アルギン酸系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高子、無機系水溶性高分子などが挙げられる。これらの高分子類は、増粘剤として作用することがある。
【0074】
植物系高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、寒天などが挙げられる。
【0075】
動物系高分子としては、例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチンなどが挙げられる。
【0076】
微生物系高分子としては、例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルランなどが挙げられる。
【0077】
デンプン系高分子としては、例えば、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、コメ等の植物性デンプン;カルボキシメチルデンプン;メチルヒドロキシプロピルデンプンなどが挙げられる。
【0078】
セルロース系高分子としては、例えば、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロースなどが挙げられる。
【0079】
アルギン酸系高分子としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0080】
ビニル系高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。
【0081】
アクリル系高子としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0082】
無機系水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸などが挙げられる。
【0083】
<<溶剤>>
溶剤としては、例えば、水、低級アルコールなどが挙げられる。低級アルコールとしては、例えば、炭素数5以下のアルコールが挙げられる。低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
【0084】
<<pH調整剤>>
pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、乳酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
【0085】
<<界面活性剤>>
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0086】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸;N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸;POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;モノラウロイルモノエタノールアミドPOEスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ロート油等の硫酸化油;POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;カゼインナトリウムなどが挙げられる。
【0087】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。
【0088】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、(c)成分以外の親油性非イオン性界面活性剤、(b)成分以外の親水性非イオン性界面活性剤などが挙げられる。(c)成分以外の親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸塩等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンアルキルエーテル;POE・メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。(b)成分以外の親水性非イオン性界面活性剤としては、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリンジステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEコレスタノールエステル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;POE・ポリオキシプロピレン(以下、「POP」と略記することがある)モノブチルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POE脂肪酸アミド、POEアルキルアミン;ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
【0089】
両性界面活性剤としては、例えば、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキシド-1-カルボキシエチロキシ二ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤などが挙げられる。
【0090】
<<薬剤>>
薬剤としては、例えば、塩型薬剤、ビタミン類、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、植物抽出液、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、清涼剤、アミノ酸、酸化防止剤、殺菌剤などが挙げられる。
【0091】
-塩型薬剤-
塩型薬剤は、塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味する。塩型薬剤としては、化粧料に通常配合されうる水溶性薬剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、L-アスコルビン酸又はその誘導体の塩、トラネキサム酸又はその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸又はその誘導体の塩、グルタチオン又はその誘導体の塩などが挙げられる。
【0092】
L-アスコルビン酸は、一般的にビタミンCと言われ、強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L-アスコルビン酸誘導体としては、例えば、L-アスコルビン酸モノリン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステル等のL-アスコルビン酸モノエステル類;L-アスコルビン酸トリリン酸エステル等のL-アスコルビン酸トリエステル類;L-アスコルビン酸-2-グルコシド等のL-アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。
【0093】
トラネキサム酸誘導体としては、例えば、塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等のトラネキサム酸の二量体;4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4'-ヒドロキシフェニルエステル等のトラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体;2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸等のトラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体;トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸等のトラネキサム酸のアミド体などが挙げられる。
【0094】
アルコキシサリチル酸としては、例えば、サリチル酸の3位、4位、又は5位の水素原子がアルコキシ基にて置換されたものである。置換基であるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基のいずれかが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシサリチル酸の具体例としては、3-メトキシサリチル酸、3-エトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸、4-エトキシサリチル酸、4-プロポキシサリチル酸、4-イソプロポキシサリチル酸、4-ブトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、5-エトキシサリチル酸、5-プロポキシサリチル酸などが挙げられる。
【0095】
薬剤の塩としては、特に制限はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;アミノ酸塩などが挙げられる。
【0096】
-ビタミン類-
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB6塩酸塩、パントテニルエチルエーテル、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸、ビオチン等の水溶性ビタミン類が挙げられる。
【0097】
-紫外線吸収剤-
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸オクチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等の紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸などが挙げられる。
【0098】
-キレート剤-
キレート剤としては、例えば、シトラマル酸、アガル酸、グリセリン酸、シキミ酸、ヒノキチオール、没食子酸、タンニン酸、コーヒー酸、エチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸三ナトリウム塩三水和物(EDTA-3Na)、エチレングリコールジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、フィチン酸、ポリリン酸、メタリン酸、これらの類似体、これらのアルカリ金属塩、これらのカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0099】
-防腐剤-
防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等)、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0100】
-植物抽出液-
植物抽出液としては、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ヤグルマギクエキス、海藻エキス、タイムエキスなどが挙げられる。
【0101】
-保湿剤-
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEG)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキストリン、PEG/ポリプロピレングリコール(PPG)-17/4ジメチルエーテルなどが挙げられる。また、前記グリコール類、前記グリセリン類、前記糖アルコール類、及び前記糖類も、保湿剤として使用し得る。
【0102】
-抗炎症剤-
抗炎症剤としては、例えば、アズレン、グリチルリチン、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、イオウなどが挙げられる。
【0103】
-美白剤-
美白剤としては、例えば、アルブチン、4-メトキシサリチル酸、トラネキサム酸、エチルビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウムなどが挙げられる。また、前記塩型薬剤も美白剤として使用し得る。
【0104】
-清涼剤-
清涼剤としては、例えば、L-メントール、カンフルなどが挙げられる。
【0105】
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸、α-トコフェロール、カロチノイドなどが挙げられる。
【0106】
<剤形>
一実施形態に係る化粧料の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液状化粧料であることが好ましく、液状の乳化化粧料であることがより好ましく、水中油型エマルションであることが更に好ましい。
【0107】
一実施形態に係る化粧料の製品形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化粧水、乳液、美容液、クリーム等のフェーシャル又はボディのスキンケア、又はヘアケアを目的とした化粧料;サンスクリーン化粧料;サンタン化粧料;メイク落とし等の皮膚洗浄用化粧料;軟膏などが挙げられる。また、一実施形態に係る化粧料の製品形態としては、パック等の基材に含浸させた形態であってもよい。これらの中でも、一実施形態に係る化粧料の製品形態としては、塗布中のなじみの早さに優れるものであるため、スキンケア化粧料が好ましく、化粧水がより好ましい。
【0108】
<製造方法>
一実施形態に係る化粧料の製造方法としては、特に制限はなく、化粧料、好ましくは、液状化粧料に通常用いられる方法に従って製造することができる。一実施形態に係る化粧料の製造方法の具体例としては、まず、(a)成分及び(b)成分、更に必要に応じて、その他の成分の中から適宜選択した水溶性成分を水に溶解して水相を調製する。次に、(c)成分及び(d)成分、更に必要に応じて、その他の成分の中から適宜選択した水不溶性成分を混合し、油相を調製する。なお、油相を調製する際、両親媒性成分を更に添加することが好ましい。両親媒性成分としては、例えば、前記両性界面活性剤が挙げられる。最後に、油相を水相に添加し、攪拌することにより一実施形態に係る化粧料を製造する方法が挙げられる。
【実施例0109】
以下に実施例及び比較例を挙げて実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの合成例、実施例、及び比較例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、下記表1及び表2に示す各成分の含有量は、特に断りのない限り、化粧料の全質量に対する「質量%」を示し、全て純分換算した値である。
【0110】
(実施例1~5)
下記表1及び表2に示す組成及び含有量(質量%)で各成分を混合し、実施例1~5の化粧水をそれぞれ調製した。具体的には、まず、(a)成分及び(b)成分、並びにその他の成分の中の水溶性成分を水に溶解して水相を調製した。次に、(c)成分及び(d)成分、並びにその他の成分の中の水不溶性成分を混合し、油相を調製した。最後に、油相を水相に添加し、撹拌して実施例1~5の水中油型の化粧水を得た。
【0111】
実施例1~5の化粧水を調製した直後に、pHメータ(HORIBA LAQUA pH METER F-71、株式会社堀場製作所製)で各化粧水のpHを測定した。評価結果は、下記表1及び表2に示した。
【0112】
(比較例1)
実施例1~5の化粧水の調製において、下記表1に示す組成及び含有量(質量%)の通り、(a)成分を添加しなかったこと以外は、実施例1~5と同様の方法で、比較例1の化粧水を得た。また、実施例1~5と同様の方法で、pHを測定した。
【0113】
(比較例2)
実施例1~5の化粧水の調製において、下記表2に示す組成及び含有量(質量%)の通り、(a)成分を添加せず、(a)成分の比較成分として、塩型薬剤であるL-アスコルビン酸-2-グルコシドを添加したこと以外は、実施例1~5と同様の方法で、比較例2の化粧水を得た。また、実施例1~5と同様の方法で、pHを測定した。
【0114】
<なじみの早さの評価>
実施例1~5及び比較例2の各化粧水のなじみの早さを、以下の方法で評価した。
専門評価者10名が、実施例1~5、並びに、比較例1及び2の各化粧水をそれぞれ肌に塗布したときのなじみの早さを確認し、比較例1の化粧料をコントロールとし、下記評価基準に基づき評価した。評価結果は、下記表1及び表2に示した。なお、この評価でコントロールと比較してなじみが悪く(遅く)なったとの回答はなかった。
[なじみの早さの評価基準]
A:10名中7名以上が、コントロールと比較してなじみが早いと回答した
B:10名中3名以上6名以下が、コントロールと比較してなじみが早いと回答した
C:10名中2名以下が、コントロールと比較してなじみが早いと回答した
【0115】
【0116】
【0117】
なお、実施例で使用した 2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン塩酸塩(ジメチルピラゾリルジメチルピリミジン塩酸塩)は特許第4586108号に記載の方法で製造した、下記構造式(1)で表わされる化合物である。
【0118】
【0119】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> (a)下記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩と、
【0120】
【化7】
(前記一般式(1)において、R
1、R
3、R
4、及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基を示し、R
2及びR
5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。)
(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールからなる群より選択される少なくともいずれかの親水性界面活性剤と、
(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される少なくともいずれかの親油性界面活性剤と、
(d)油分と、
を含有することを特徴とする化粧料である。
<2> 水中油型エマルションである、前記<1>に記載の化粧料である。
<3> 前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩におけるR
2及びR
5が水素原子である、前記<1>又は<2>に記載の化粧料である。
<4> 前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の化粧料である。
<5> 前記(a)前記一般式(1)で示されるピリミジルピラゾール化合物又はその薬理学的に許容される塩の含有量が0.1質量%~5質量%である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の化粧料である。
<6> 前記(b)親水性界面活性剤の含有量が0.01質量%~3質量%である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の化粧料である。
<7> 前記(c)親油性界面活性剤の含有量が0.01質量%~2質量%である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の化粧料である。
<8> 前記(d)油分の含有量が0.01質量%~3質量%である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の化粧料である。
<9> 前記(d)油分が、イソステアリン酸、水添ポリデセン、トコフェロール、及びイソステアリルアルコールからなる群より選択される少なくともいずれかである、前記<1>から<8>のいずれかに記載の化粧料である。
【0121】
以上の通り、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例により限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、付加、変更等を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。