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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099467
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/50 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
B60S1/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216146
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】萩山 丈士
(72)【発明者】
【氏名】越智 孝司
(72)【発明者】
【氏名】河本 創
(72)【発明者】
【氏名】土居 一紀
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AB06
3D225AC02
3D225AC03
3D225AD02
3D225AD03
3D225AF03
3D225AF04
3D225AF07
(57)【要約】
【課題】ウォッシャタンク等の部品を適切に配置した作業車両を提供する。
【解決手段】運転者が出入りするキャビン16に後輪5を覆うフェンダ25を設けた作業車両において、ウォッシャ液を収容するウォッシャタンク33を、左フェンダ25の後部内側壁面25aに、かつキャビン後面32に接近する位置に配置した。そしてウォッシャ液を加温するヒータタンク37を、側面視において、キャビン16後面とウォッシャタンク33の間に配置した。
【選択図】 図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が出入りするキャビン(16)に後輪(5)を覆うフェンダ(25)を設けた作業車両において、ウォッシャ液を収容するウォッシャタンク(33)を、フェンダ(25)の後部内側壁面(25a)に、かつキャビン(16)の後面(32)に接近する位置に配置したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
ウォッシャ液を加温するヒータタンク(37)を、側面視において、キャビン(16)の後面(32)とウォッシャタンク(33)の間に配置した請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記ウォッシャタンク(33)を保持するウォッシャタンクブラケット(35)に、ウォッシャタンク(33)の下面を覆うように下面カバー部(35c)を設け、前記ヒータタンク(37)を保持するヒータタンクブラケット(38)に、ヒータタンク(37)の下面を覆うように下面カバー部(38c)を設けてなる請求項2に記載の作業車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用トラクタのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
後輪を覆うフェンダの裏側と後輪の間にウォッシャタンクを内装した作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3984882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成によると、ウォッシャタンクの設置は、フェンダの裏側と後輪の間の空間を有効利用できるものの、この部分にある程度の大きさを持った部品を配置すると、後輪に付着した泥等が後輪の回転方向に沿って飛散しウォッシャタンクの側面に堆積してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、ウォッシャタンク等の部品を適切に配置した作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、運転者が出入りするキャビン16に後輪5を覆うフェンダ25を設けた作業車両において、ウォッシャ液を収容するウォッシャタンク33を、左フェンダ25の後部内側壁面25aに、かつキャビン16の後面32に接近する位置に配置した。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ウォッシャ液を加温するヒータタンク37を、側面視において、キャビン16の後面32とウォッシャタンク33の間に配置する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ウォッシャタンク33を保持するウォッシャタンクブラケット35に、ウォッシャタンク33の下面を覆うように下面カバー部35cを設け、前記ヒータタンク37を保持するヒータタンクブラケット38に、ヒータタンク37の下面を覆うように下面カバー部38cを設けてなる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ウォッシャタンク33は、キャビン16後方空間において、左フェンダ25の後部内側壁面25aに、かつキャビン16の後面32に接近する位置に配置されるものであるから、車幅の拡大を回避しつつ、走行中の泥土が侵入し難い。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、ヒータタンク37の危険防止のため破損防止が必須となるが、ヒータタンク37は、側面視において、キャビン16の後面32とウォッシャタンク33の間に配置されるものであるから、後方からの泥土飛散を防止できる。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の効果に加え、ウォッシャタンクブラケット35に下面カバー部35cを備えることによって、ウォッシャタンク33の下側を保護できる。また、ヒータタンクブラケット38に下面カバー部38cを備え、この下面カバー部38cとヒータタンクブラケット38によって、ヒータタンク37の下側及び車体進行方向前側を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態にかかる農用トラクタの側面図である。
図2】(A)キャビン後面の概要斜視図、(B)ウォッシャタンクブラケット部の背面図である。
図3】キャビン後面の概要斜視図である。
図4】キャビン後面の概要斜視図である。
図5】(A)キャビン内部の斜視図、(B)その拡大斜視図、(C)グロメット斜視図である。
図6】(A)オーバフェンダ取付状態を示す斜視図、(B)オーバフェンダを取り外した斜視図である。
図7】オーバフェンダの斜視図である。
図8】(A)、(B)、(C)、(D)オーバフェンダ締結部構成を示す斜視図である。
図9】農用トラクタの背面図である。
図10】キャビンの側面図である。
図11】(A)キャビン後部支持構成の斜視図、(B)マウントブラケット上部の斜視図である。
図12】(A)キャビン上フレーム部の斜視図、(B)キャビン上フレーム部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1乃至図4は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にディーゼルエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5に伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース8を備え、このシリンダケース8の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9が回動自在に取り付けられている。リフトアーム9は昇降用油圧シリンダ10の伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク11と左右のロアーリンク12からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機Rを装着し、リフトロッド13を介してロアーリンク12をリフトアーム9に連結することにより、作業機Rを昇降可能に構成している。
【0015】
前記ハンドル6や運転席7等は、キャビン16によって覆われている。キャビン16は、例えば防振ゴム等の弾性部材を介して車体に固定されてあり、車体の振動がキャビン16に伝達されにくくしている。
【0016】
尚キャビン16は、フロア17と、フロア17左右前部に立設した前部支柱18と、運転席7の後部左右に立設した後部支柱19と、前後中間部に立設する中間支柱20と、これら支柱上端同士を接続する上フレーム21とによって一体化した枠組み構成とし、ルーフ22で覆われている。そして、前記運転席7を支持するボックス状のシートフレーム23、運転席7後面を囲う後部プレート24、後輪5の上部を覆う左右フェンダ25等を剛体化して強度を確保し、さらに、前後側面にはガラス窓部を構成し、左右開閉ドア26部から昇降できる。
【0017】
キャビン16の後部において、後面ガラス窓30が設けられ、この後面ガラス窓30は、上部を支点として下方側が大きく後方に開動しキャビン16後面を開閉できる公知の構成としている。後面ガラス窓30の下側窓枠部31は、板金材を適宜に折り曲げ加工成形し前記左右のフェンダ25間に掛け渡す状態として補強を兼ねて設けられる。そしてこの下側窓枠部31の更に下方には前記の後部プレート24に固定後面ガラス32を設けてキャビン16内外を仕切る構成としている。
【0018】
前記左右フェンダ25のうちの一方(図例では左側)に例えば前面ガラス窓や後面ガラス窓30用のウォッシャ液を収容するウォッシャタンク33を配置している。詳細には、樹脂製で上面にキャップ34で施蓋の開口を有し側面視略長方形の上辺を上方湾曲状としたウォッシャタンク本体33aの前後に取付片33b,33bを形成し、ウォッシャタンクブラケット35にボルト36止めする構成である。ウォッシャタンクブラケット35は、平面視コ型にして前後の折曲片35b,35bに上記取付片33b,33bを重合させてボルト36a止めできるよう構成している。またウォッシャタンク33の下部を覆うよう下部ガード片35cを形成する。そして上記ウォッシャタンクブラケット35を、左フェンダ25の後部内側壁面25aに着脱自在に、かつできるだけ固定後面ガラス32に接近する位置として、ボルト36bで締結する構成である。このように、隅部に配置することにより、側面から飛散する泥土の付着を少なくできる。
【0019】
前記ウォッシャタンク33の近傍には、ウォッシャ液を加温するヒータタンク37を設ける。すなわち、ヒータ(図示せず)を内蔵し導入するウォッシャ液を加熱できるヒータタンク37は、ヒータタンクブラケット38によって後面ガラス窓30の下面窓枠部31に装着されるもので、該ヒータタンクブラケット38は、左右中央を平面視コ型凹部38aに形成し左右部には取付平面38b,38bを形成してなり、適宜後面窓枠部31に締結される。そしてヒータタンクブラケット38の上記凹部38aには縦に長い円筒状のヒータタンク37を位置させておき、タンク37に設ける上下左右4か所の取付片37a,37a…をもって上記取付平面38b,38bにボルト39,39…締結される。したがって、ヒータタンク37は、側面視において、キャビン16後面とウォッシャタンク33の間に配置される。
【0020】
ところで、ウォッシャ液はウォッシャタンク33からホース40を通ってヒータタンク37の内部空間に送り込まれ、ここで図外ヒータにより加温される。加温されたウォッシャ液はホース(図示せず)を通ってウォッシャノズル(図示せず)に供給されて、前面ガラス窓、後面ガラス窓30等におけるワイパー拭き取り範囲に向けて噴射される。
【0021】
前記のように、ウォッシャタンク33は、キャビン16後方空間において、左フェンダ25の後部内側壁面25aに配置されるものであるから、車幅の拡大を回避しつつ、走行中の泥土が侵入し難いものである。また、キャビン後面の固定後面ガラス32に極力接近させて配置することによって一層効果的に泥土侵入を防止できる。なお、キャビン後面として、上例では固定後面ガラス32としたが、これに代替して板金性仕切壁としてもよい。
【0022】
また、加熱されるヒータタンク37の危険防止のため破損防止が必須となるが、前記のようにヒータタンク37は、側面視において、キャビン16後面とウォッシャタンク33の間に配置されるものであるから、後方からの泥土飛散を抑制する適正な位置となっている。
【0023】
前記ウォッシャタンクブラケット35にはウォッシャタンク33の下面を覆うように下面カバー部35cを備えている。これによって、ウォッシャタンク33の下側を保護できる。
【0024】
また、前記ヒータタンクブラケット38にはヒータタンク37の下面を覆うように下面カバー部38cを備え、この下面カバー部38cとヒータタンクブラケット38の凹部38a及び取付平面38b,38bの主として下半部によって、ヒータタンク37の下側及び車体進行方向前側を保護できる。
【0025】
図5は前記キャビン後面の固定後面ガラス32の装着構成を示す。キャビン16内部からみて、ガラス32は前記後部プレート24の開口部41に着脱可能に設けられる。すなわち後部プレート24の開口部41の上下に着脱可能な保持金具24a,24aをもってガラス32を固定状態としている。そして開口部41を切り欠いて水侵入防止グロメット42を装着している。作業機Rのケーブル配策に際しては、グロメット42の円錐部42a又は先端部42bをカット加工し又はゴムスポンジ材のインシュレータを加工して配策するものである。
【0026】
次いで、図6図8に基づき、所謂オーバフェンダの装着構成について説明する。オーバフェンダ45は、左右フェンダ25の夫々外側に装着され、幅広タイヤに対応させるものである。標準仕様とオーバフェンダ仕様の両方に対応できるように構成するため、オーバフェンダ45は、フェンダ25(以下、標準フェンダ25)に対して着脱自在の構成が必要となる。オーバフェンダ46には適宜間隔に取付片46,46…を配置する。この取付片46を標準のフェンダ25の固定片47,47…に合わせてボルト等で締結する構成である。
【0027】
取付片46は、固定片47の形態に応じて複数のタイプを設定している。具体例を示せば、オーバフェンダ45側の取付片46aは側面視矩形構造で補強構造を呈し標準フェンダ25側固定片47aにボルト締結する第一タイプ(図8(A))、オーバフェンダ45に適宜一端を固定し帯状取付片46bを適宜折曲形成して標準フェンダ25側固定片47bにボルト締結する第二タイプ(同図(B))、帯状取付片46bと同形態の帯状取付片46cと標準フェンダ25側から帯状で適宜折曲形成した固定片47cをボルト締結する第三タイプ(同図(B)(C))、オーバフェンダ45の端部に設けられL型折曲で補強構造とされた取付片46dと標準フェンダ25側のL型固定片47dをボルト締結する第四タイプ(同図(D))としている。第一タイプと第四タイプは補強構造を採用しオーバフェンダ45の端部の構成を担うものとなっている。なお、取付片46及び固定片47の夫々はオーバフェンダ45及び標準フェンダ25に対して溶着等の手段で固定している。
【0028】
次いで、図9図11に基づき、キャビン16の支持部構成について説明する。キャビン16の後部は、車体の左右後車軸ケース50に、左右のマウントブラケット51を固定し、このマウントブラケット51にキャビン後部支持枠52の下端ブラケット53を重合状として固定ボルト54によって固定する構成である。この下端ブラケット53を受けるためにマウントブラケット51面に前後左右4か所で凸条に形成したマウントゴム55を介在している。前後に配置する凸条55aよりも左右に配置する凸条55bの方が高く設定している。
【0029】
次いで、図12に基づき、キャビンのエアコン配置用フレーム構成について説明する。キャビン16の後部支柱19の上部において、上フレーム21のうちサイドに設ける上フレーム21sよりも左右の後部支柱19間を連結する上フレーム21rの位置を低位に構成している。この上フレーム21rよりも後方にエアコンユニット56を格納する板金パネル57を配置している。この板金パネル57の上縁を上記サイドの上フレーム21s高さにほぼ一致させて構成する。
【符号の説明】
【0030】
5 後輪
16 キャビン
25 フェンダ
33 ウォッシャタンク
25a 後部内側壁面
32 固定後面ガラス(キャビン後面)
37 ヒータタンク
35 ウォッシャタンクブラケット
35c 下面カバー部
38 ヒータタンクブラケット
38c 下面カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12