(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099470
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置および表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20250626BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20250626BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
G09G5/00 530M
G09G5/00 555D
G09G5/377 100
G09G5/00 550X
G09G5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216150
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋治
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC13
5C182AC35
5C182BC01
5C182BC32
5C182CA21
5C182CB41
5C182CB54
5C182DA44
5C182DA53
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するためのデータを提供できる半導体装置および表示システムを提供する。
【解決手段】半導体装置10は、ビデオデータを受信する入力インタフェース100と、OSDキャラクタを含むOSDデータに基づいて、ビデオデータにOSDキャラクタを重畳した出力画像データを生成するOSD制御部120と、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データを取得するための処理を実行する取得部140と、判定用データを記憶する記憶部180と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデータを受信する入力インタフェースと、
OSD(On Screen Display)キャラクタを含むOSDデータに基づいて、前記ビデオデータに前記OSDキャラクタを重畳した出力画像データを生成するOSD制御部と、
前記出力画像データに前記OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データを取得するための処理を実行する取得部と、
前記判定用データを記憶する記憶部と、を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記出力画像データのうちの前記OSDキャラクタが描画されるターゲット領域を構成するピクセルにCRC(Cyclic Redundancy Check)の計算を実施し、その計算結果を前記判定用データとして取得する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記ターゲット領域のうちの前記OSDキャラクタを構成するピクセルのピクセル値を前記OSDキャラクタのカラー値とし、前記ターゲット領域のうちの背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値として、前記CRCの計算を実施する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記背景領域を構成するピクセルのピクセル値を前記背景領域のカラー値の平均値として、前記CRCの計算を実施する、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記判定用データに基づいて、前記出力画像データに前記OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定する判定部をさらに備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記OSD制御部は、前記ビデオデータに複数のOSDキャラクタを重畳して前記出力画像データを生成し、
前記取得部は、前記複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、前記判定用データを取得し、
前記記憶部は、前記複数のOSDキャラクタのそれぞれの判定用データを記憶する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記出力画像データに基づく画像を表示する表示装置と、を備える、
表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイなどの画面上に外部から入力された映像に重ねてアイコンなどのOSDキャラクタを表示するOSD(On Screen Display)機能が利用されている。たとえば、特許文献1には、入力画像データにOSD用の図形データを重ねて、OSD表示のための出力画像データを出力するタイミングコントローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
[概要]
しかしながら、本発明者は、以下の課題を認識するに至った。OSD機能には、ディスプレイにOSDキャラクタが正常に表示されているか否かを判定できることが求められている。そこで、特許文献1に記載のOSD用の図形データと出力画像データとを比較して、出力画像データにOSD用の図形データが正常に重ねられているか否かを判定し、その判定結果を出力する機能を実装することが考えられる。このとき、その判定結果が正しいものであること示す客観的な根拠をユーザに提供できることが望ましい。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するためのデータを提供できる半導体装置および表示システムを提供することにある。
【0006】
本開示のある態様は、半導体装置である。半導体装置は、ビデオデータを受信する入力インタフェースと、OSDキャラクタを含むOSDデータに基づいて、ビデオデータにOSDキャラクタを重畳した出力画像データを生成するOSD制御部と、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データを取得するための処理を実行する取得部と、判定用データを記憶する記憶部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、表示システムである。表示システムは、上記半導体装置と、出力画像データに基づく画像を表示する表示装置と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る取得部のブロック図である。
【
図4】
図4は、OSDキャラクタを含むOSDデータの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、OSDキャラクタが重畳された出力画像データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、参考技術に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
[詳細な説明]
(概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0011】
一実施形態に係る半導体装置は、ビデオデータを受信する入力インタフェースと、OSDキャラクタを含むOSDデータに基づいて、ビデオデータにOSDキャラクタを重畳した出力画像データを生成するOSD制御部と、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データを取得するための処理を実行する取得部と、判定用データを記憶する記憶部と、を備える。
【0012】
この構成によれば、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するためのデータを提供できる。
【0013】
一実施形態において、取得部は、出力画像データのうちのOSDキャラクタが描画されるターゲット領域を構成するピクセルにCRC(Cyclic Redundancy Check)の計算を実施し、その計算結果を判定用データとして取得してよい。
【0014】
一実施形態において、取得部は、ターゲット領域のうちのOSDキャラクタを構成するピクセルのピクセル値をOSDキャラクタのカラー値とし、ターゲット領域のうちの背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値として、CRCの計算を実施してよい。
【0015】
一実施形態において、取得部は、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を背景領域のカラー値の平均値として、CRCの計算を実施してよい。
【0016】
一実施形態において、上記半導体装置は、判定用データに基づいて、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定する判定部をさらに備えてよい。
【0017】
一実施形態において、OSD制御部は、ビデオデータに複数のOSDキャラクタを重畳して出力画像データを生成してよい。取得部は、複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、判定用データを取得してよい。記憶部は、複数のOSDキャラクタのそれぞれの判定用データを記憶してよい。
【0018】
他の一実施形態に係る表示システムは、上記半導体装置と、出力画像データに基づく画像を表示する表示装置と、を備える。
【0019】
この構成によれば、出力画像データにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するためのデータを提供できる。
【0020】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る表示システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態では、表示システム1が自動車に搭載される例を説明する。表示システム1は、半導体装置10、マイコン12(マイクロコンピュータ)、外部メモリ14、グラフィックコントローラ16および表示装置20を備える。グラフィックコントローラ16は、画像処理ボードB1に搭載される。半導体装置10、マイコン12および外部メモリ14は、クラスターボードB2に搭載される。
【0024】
グラフィックコントローラ16は、GPU(Graphics Processing Unit)などを備えてよい。グラフィックコントローラ16は、ビデオ伝送ラインL1を介して半導体装置10と接続される。グラフィックコントローラ16は、半導体装置10に伝送されるビデオデータD1を生成する。
【0025】
半導体装置10は、タイミングコントローラ、ブリッジ回路、リピータ回路、シリアライザ/デシリアライザ、スプリッタ、リプリケータ、セレクタ、スイッチ、ハブなどを備えてよい。本実施形態では、半導体装置10は、タイミングコントローラである。
【0026】
半導体装置10は、通常時において、グラフィックコントローラ16からビデオデータD1を受信し、マイコン12による制御に応じて、ビデオデータD1にOSDキャラクタを重畳できる。重畳されるOSDキャラクタは、表示灯および警告灯などを示すキャラクタであってよい。OSDキャラクタが重畳されたビデオデータを含む出力画像データDoutは、表示装置20に伝送される。なお、出力画像データDoutは、OSDキャラクタが重畳されていなくてもよい。
【0027】
表示装置20に表示される表示灯および警告灯は、ドライバーにとって重要な情報である。このため、本実施形態のように、グラフィックコントローラ16とは独立したコントローラ(半導体装置10)によってOSD表示が制御されることが好ましい。
【0028】
マイコン12は、表示システム1を統合的に制御する。マイコン12と半導体装置10とは、ビデオ伝送ラインL1とは別系統の制御ラインL2を介して接続される。制御ラインL2には、I2CインタフェースまたはSPI(Serial Peripheral Interface)を用いることができる。
【0029】
マイコン12は、表示装置20における表示のため各種の信号を半導体装置10に伝送してよく、たとえばマイコン12の動作状態を示す信号および半導体装置10のOSD機能を制御するための信号などを半導体装置10に伝送してよい。
【0030】
外部メモリ14は、OSD用のキャラクタに関するデータを格納する。外部メモリ14は、特に限定されないが、フラッシュメモリまたはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などであってよい。外部メモリ14のデータは、データ伝送ラインL3を介して、半導体装置10に伝送される。
【0031】
表示装置20は、出力画像データDoutに基づく画像を表示する。表示装置20は、ディスプレイパネル200、ゲートドライバ202およびソースドライバ204を備える。ディスプレイパネル200は、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどで構成されてよい。
【0032】
ディスプレイパネル200は、出力画像データDoutに基づく画像を表示する。具体的には、ディスプレイパネル200は、OSDキャラクタが重畳されたビデオデータに基づく画像を表示できる。なお、ディスプレイパネル200は、OSDキャラクタを含まない画像を表示してもよい。
【0033】
ディスプレイパネル200は、たとえば液晶パネルなどで構成されてよい。本実施形態に係るディスプレイパネル200は、自動車に搭載されるメータクラスターパネルで構成され、自動車の運転に必要な各種の情報を表示できる。ディスプレイパネル200は、たとえば、表示灯および警告灯を表示してよく、また、スピードメータおよび走行距離などを表示してよい。
【0034】
ディスプレイパネル200は、画素アレイを含む。画素アレイは、複数行複数列に配置された複数の画素回路と、複数行に対応してそれぞれ設けられた複数のゲート線GLと、複数列に対応してそれぞれ設けられた複数のソース線SLと、を有する。
【0035】
ゲートドライバ202は、画素アレイの複数のゲート線GLを所定時間ずつ順次選択する。ソースドライバ204は、各ソース線SLを介して、ゲートドライバ202によって選択されたゲート線GLに対応する各画素回路に、半導体装置10から送信されたデータに応じたレベルの電圧を書き込む。順次電圧が書き込まれることにより、画像がディスプレイパネル200に表示される。
【0036】
図2は、本実施形態に係る半導体装置10のブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置10は、入力インタフェース100、OSD制御部120、取得部140、判定部160および記憶部180を備える。
【0037】
入力インタフェース100は、グラフィックコントローラ16からビデオデータD1を受信する。ビデオデータD1を構成するビデオフレームD2は、OSD制御部120に伝送される。
【0038】
OSD制御部120は、OSDキャラクタを含むOSDデータDosdに基づいて、OSDキャラクタをビデオデータD1に重畳した出力画像データDoutを生成する。具体的には、OSD制御部120は、ビデオフレームD2にOSDキャラクタを重畳し、出力画像データDoutを生成する。生成された出力画像データDoutは、表示装置20および取得部140に伝送される。表示装置20では、出力画像データDoutに基づく画像が表示される。
【0039】
OSD制御部120が重畳させるOSDキャラクタの数は、1つであってよいし、2つ以上であってよい。OSD制御部120がビデオデータD1に複数のOSDキャラクタを重畳して出力画像データDoutを生成することにより、複数のOSDキャラクタを含む画像が表示されるようになる。
【0040】
取得部140は、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データDcrcを取得するための処理を実行する。本実施形態に係る取得部140は、出力画像データDoutを構成するピクセルにCRC(Cyclic Redundancy Check)の計算を実施することにより、判定用データDcrcを取得する。
【0041】
取得部140は、出力画像データDoutのうちのOSDキャラクタが描画されるターゲット領域を構成するピクセルにCRCの計算を実施し、その計算結果を判定用データDcrcとして取得してよい。なお、取得部140は、CRCの計算に必要なデータD3(たとえば生成多項式など)を記憶部180から参照してよい。
【0042】
本実施形態では、取得部140は、ターゲット領域を構成する各ピクセルについて8ビットのCRCの計算を実施し、その計算結果を加算して得られる8ビットのCRC値を判定用データDcrcとして取得する。これにより、比較的小さな容量(本実施形態では8ビット)のデータを判定用データとして保存できる。なお、取得部140は、8ビットに限らず、16ビットまたは32ビットなどのCRCの計算を実施してよい。
【0043】
取得部140は、ターゲット領域のうちのOSDキャラクタを構成するピクセルのピクセル値をOSDキャラクタのカラー値とし、ターゲット領域のうちの背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値として、CRCの計算を実施してよい。背景領域は動的に変化するため、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値とすることにより、より簡便な処理で判定用データを取得することが可能となる。
【0044】
取得部140は、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を背景領域のカラー値の平均値として、CRCの計算を実施してよい。これにより、背景領域の情報を含めた判定用データDcrcを生成することが可能となる。
【0045】
取得部140は、出力画像データDoutに複数のOSDキャラクタが重畳される場合には、複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、判定用データを取得してよい。これらの複数のOSDキャラクタのそれぞれの判定用データは、記憶部180に記憶されてよいし、判定部160に伝送されてよい。これにより、複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、ユーザに判定用データを提供できるようになる。
【0046】
判定部160は、判定用データDcrcに基づいて、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定する。判定結果を示すデータDdetは、記憶部180に記憶されてよい。本実施形態では、判定部160は、判定用データDcrcに含まれる8ビットのCRC値と、出力画像データDoutに重畳されるべきOSDキャラクタに対応する、8ビットの基準のCRC値とを比較する。判定部160は、これらのCRC値が一致している場合には、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されていると判定し、これらのCRC値が一致していない場合には、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されてないと判定する。
【0047】
なお、CRCの計算を実施するに際して、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値とする場合には、基準のCRC値は所定の値となる。一方、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を背景領域のカラー値の平均値とする場合には、たとえば背景計算部(図示しない)によって背景領域のカラー値の平均値を計算し、その計算結果に応じて基準のCRC値を動的に変化させてよい。
【0048】
記憶部180は、各種の情報を記憶する内部メモリである。記憶部180は、たとえば、OSD制御部120がOSDキャラクタを重畳するためのOSDデータDosdを記憶してよい。このOSDデータDosdは、外部メモリ14から記憶部180に格納されたものであってよい。
【0049】
記憶部180は、たとえば、取得部140および判定部160が各種の処理を実行するためのプログラムを記憶してよい。また、記憶部180は、取得部140が判定用データDcrcを取得するためのデータD3(具体的にはCRCの計算に必要なデータ)を記憶してよい。また、記憶部180は、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための情報を記憶する。具体的には、記憶部180は、判定用データDcrcおよび基準のCRC値などを記憶する。
【0050】
図3は、本実施形態に係る取得部140のブロック図である。
図3に示すように、取得部140は、カラー抽出部142およびCRC計算部144を有する。
【0051】
カラー抽出部142は、出力画像データDoutのOSDキャラクタが描画されるターゲット領域からOSDキャラクタを構成するピクセルのカラー値を抽出する。ここで、出力画像データDoutのフレームを構成する各ピクセルのカラー値を(R1,G1,B1)と称する。また、各ピクセルには、透明度を示すα値であるOSD_αが付与されている。カラー抽出部142は、OSD_αに基づいて、OSDキャラクタに対応する描画領域とOSDキャラクタの周囲の背景領域とを判別する。具体的には、カラー抽出部142は、OSD_αが所定値以上の領域を描画領域と判別し、OSD_αが所定値未満の領域を背景領域と判別する。
【0052】
カラー抽出部142は、描画領域を構成するピクセルのカラー値(R2,G2,B2)を抽出する。抽出されたカラー値(R2,G2,B2)は、CRC計算部144に伝送される。一方、カラー抽出部142は、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値(たとえば、ゼロなど)に設定する。カラー抽出部142は、背景領域を構成するピクセル値をターゲット領域における背景領域のカラー値の平均に設定してよい。この結果、CRC計算部144は、描画領域を構成するピクセルが抽出されたカラー値(R2,G2,B2)、背景領域を構成するピクセルが一定値に設定されたターゲット領域のデータを取得する。背景領域を構成するピクセルのピクセル値を含むデータDbackは、カラー値(R2,G2,B2)とともにCRC計算部144に伝送される。
【0053】
CRC計算部144は、出力画像データDoutのうちのOSDキャラクタが描画されるターゲット領域を構成するピクセルにCRCの計算を実施し、その計算結果を判定用データDcrcとして取得する。具体的には、CRC計算部144は、カラー抽出部142から伝送されたターゲット領域を構成する各ピクセルのピクセル値にCRCの計算を実施する。CRC計算部144は、各ピクセル値にCRCの計算を実施する度に、8ビットのCRC値を算出し、算出したCRC値を次々に加算する。このとき、加算後のCRC値は、8ビットに維持されるように、ビット数が適宜調整される。CRC計算部144は、ターゲット領域のすべてのピクセルについてCRC値を計算して得られた結果(8ビットの値)を判定用データDcrcとして取得する。
【0054】
図4および
図5を参照して、取得部140が判定用データDcrcを取得する流れの一例を説明する。
図4は、OSDキャラクタ302を含むOSDデータ300の一例を示す図である。
図5は、OSDキャラクタ332が重畳された出力画像データ320の一例を示す図である。
【0055】
図4に示すように、OSDデータ300は、OSDキャラクタ302およびその周囲の背景領域304を含む。OSDキャラクタ302は、OSDキャラクタ毎の固有の色を有する不透明の領域である。
図4に示す例では、OSDキャラクタ302は、赤色の一色であり、すなわち、OSDキャラクタ302を構成する各ピクセルのピクセル値は、赤色のカラー値である。背景領域304は、無色で透明な領域であり、すなわち、背景領域304を構成する各ピクセルは、無色透明である。
【0056】
図5に示す出力画像データ320は、OSDキャラクタ332が描画されるターゲット領域330を含む。ターゲット領域330のうちのOSDキャラクタ332を除く領域が背景領域334である。
図5に示す出力画像データ320の例では、カーナビナビゲーションの画像上にOSDキャラクタ332が描画される。なお、
図5では、ターゲット領域330を出力画像データ320のフレームの一部として示しているが、ターゲット領域330はフレーム全体であってよい。また、
図5には、1つのOSDキャラクタ332が重畳される例を示すが、複数のOSDキャラクタが重畳されてよい。
【0057】
カラー抽出部142は、OSDキャラクタ332を構成する各ピクセルのカラー値を抽出する。OSDキャラクタ332が正常に重畳されている場合、OSDデータ300のOSDキャラクタ302に対応するピクセルから赤色のカラー値が抽出される。一方、OSDキャラクタ332が正常に重畳されていない場合、OSDデータ300のOSDキャラクタ302に対応するピクセルのうちの少なくとも一部から赤色以外のカラー値が抽出される。カラー抽出部142は、背景領域334を構成する各ピクセルのピクセル値を一定値(たとえばゼロ)とする。
【0058】
CRC計算部144は、ターゲット領域330の各ピクセルについて、OSDキャラクタ332から抽出されたカラー値および背景領域334について設定された値に基づいて、CRCの計算を実施する。これにより、OSDキャラクタ332について判定用データDcrcが取得される。複数のOSDキャラクタが重畳される場合には、CRC計算部144は、複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、判定用データを取得してよい。具体的には、CRC計算部144は、複数のOSDキャラクタがそれぞれ描画される複数のターゲット領域のそれぞれについて、CRCの計算を実施してよい。
【0059】
図6は、参考技術に係る半導体装置90の構成を示すブロック図である。参考技術に係る半導体装置90は、入力インタフェース100、OSD制御部120および判定部92を備える。
図6では、上記実施形態に係る半導体装置10と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0060】
参考技術に係る判定部92は、OSDキャラクタが重畳された出力画像データDoutとOSDデータDosdとを比較して、OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定し、その判定結果を示す判定結果データD4を出力する。具体的には、判定部92は、出力画像データDoutとOSDデータDosdとについて、OSDキャラクタを構成する各ピクセルのカラー値を比較する。判定部92は、すべてのピクセルについてカラー値が一致している場合には、OSDキャラクタが正常に重畳されていると判定し、カラー値が一致していないピクセルが1つでも存在する場合には、OSDキャラクタが正常に重畳されていないと判定する。
【0061】
ユーザは、判定結果データD4を参照して、OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを確認できる。しかしながら、判定部92が正常に動作していない場合には、OSDキャラクタが正常に重畳されていないにもかかわらず、OSDキャラクタが正常に重畳されていることを示す判定結果データD4が出力される可能性がある。このため、ユーザは、判定結果データD4のみを参照しても、その判定結果の妥当性を確認することができない。
【0062】
これに対し、上記実施形態に係る半導体装置10によれば、取得部140は、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されていることを判定するための判定用データDcrcを取得するための処理を実行する。この判定用データDcrcは、記憶部180によって記憶される。このため、本実施形態に係る半導体装置10によれば、出力画像データDoutにOSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するためのデータを提供できる。ユーザは、記憶部180に記憶された判定用データDcrcを参照することにより、判定部160による判定結果の客観的な根拠を確認できる。
【0063】
(変形例)
上記実施形態では、主として、取得部140は、出力画像データDoutにCRCの計算を実施した結果を判定用データとして取得する例を説明した。これに限らず、取得部140は、チェックサムまたはパリティチェックなどに処理を実行して得られたデータを判定用データとして取得してよい。
【0064】
取得部140は、出力画像データDoutのOSDキャラクタを構成するピクセルとOSDデータに含まれるOSDキャラクタを構成するピクセルとの色差を判定用データとして取得してよい。具体的には、取得部140は、出力画像データDoutのOSDキャラクタを構成する各ピクセルと、OSDデータに含まれるOSDキャラクタを構成する各ピクセルとの色差を算出し、各ピクセルの色差を示すデータを判定用データとして取得してよい。
【0065】
上記実施形態では、主として、取得部140は、出力画像データDoutにCRCの計算などの各種の処理を実施したデータを判定用データとして取得する例を説明した。これに限らず、取得部140は、出力画像データDout自体を判定用データとして取得し、出力画像データDoutを記憶部180に記憶させてよい。ユーザは、出力画像データDoutを参照することにより、OSDキャラクタが正常に重畳されているかを確認できる。
【0066】
上記実施形態では、取得部140は、主として出力画像データDoutのピクセルのカラー値に基づいて判定用データを取得する例を説明した。これに限らず、取得部140は、輝度または明度をピクセル値に用いてよい。この場合、背景領域を構成するピクセル値には、輝度または明度の平均値を用いてよい。
【0067】
上記実施形態では、主として、背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値とする例を説明した。これに限らず、そのピクセル値を、背景領域を構成する実際のカラー値としてよい。
【0068】
上記実施形態では、主として、液晶クラスタパネルに表示される画像を制御する例を説明したが、これに限らず、HUD(Head Up Display)および電子ミラーなどにも本開示の技術は適用できる。
【0069】
(補足)
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0070】
(付記)
本明細書に開示される技術は、一側面において以下のように把握できる。
【0071】
(項目1)
ビデオデータを受信する入力インタフェースと、
OSD(On Screen Display)キャラクタを含むOSDデータに基づいて、前記ビデオデータに前記OSDキャラクタを重畳した出力画像データを生成するOSD制御部と、
前記出力画像データに前記OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定するための判定用データを取得するための処理を実行する取得部と、
前記判定用データを記憶する記憶部と、を備える、
半導体装置。
【0072】
(項目2)
前記取得部は、前記出力画像データのうちの前記OSDキャラクタが描画されるターゲット領域を構成するピクセルにCRC(Cyclic Redundancy Check)の計算を実施し、その計算結果を前記判定用データとして取得する、
項目1に記載の半導体装置。
【0073】
(項目3)
前記取得部は、前記ターゲット領域のうちの前記OSDキャラクタを構成するピクセルのピクセル値を前記OSDキャラクタのカラー値とし、前記ターゲット領域のうちの背景領域を構成するピクセルのピクセル値を一定値として、前記CRCの計算を実施する、
項目2に記載の半導体装置。
【0074】
(項目4)
前記取得部は、前記背景領域を構成するピクセルのピクセル値を前記背景領域のカラー値の平均値として、前記CRCの計算を実施する、
項目3に記載の半導体装置。
【0075】
(項目5)
前記判定用データに基づいて、前記出力画像データに前記OSDキャラクタが正常に重畳されているか否かを判定する判定部をさらに備える、
項目1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0076】
(項目6)
前記OSD制御部は、前記ビデオデータに複数のOSDキャラクタを重畳して前記出力画像データを生成し、
前記取得部は、前記複数のOSDキャラクタのそれぞれについて、前記判定用データを取得し、
前記記憶部は、前記複数のOSDキャラクタのそれぞれの判定用データを記憶する、
項目1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0077】
(項目7)
項目1から6のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記出力画像データに基づく画像を表示する表示装置と、を備える、
表示システム。
【符号の説明】
【0078】
1 表示システム、10 半導体装置、12 マイコン、14 外部メモリ、16 グラフィックコントローラ、20 表示装置、100 入力インタフェース、120 OSD制御部、140 取得部、142 カラー抽出部、144 CRC計算部、160 判定部、180 記憶部。