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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099514
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/04 20060101AFI20250626BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
F01P11/04 D
F01P7/16 507Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216219
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】井奥 康之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 淳
(57)【要約】
【課題】冷却液の分岐を一か所に集約して、構成が簡素化するエンジンを提供する。
【解決手段】本開示のエンジンEは、エンジン本体EBの内部に冷却液Wが循環する内部通路32が形成されたエンジンであって、内部通路32の入口36に装着されて外部の冷却液通路42が接続される接続具46を備えている。接続具46は、内部通路32の出口38から導出された冷却液Wが流入する出口側冷却液導入口48と、冷却液Wを循環通路30の入口36に導出する第1分岐口64と、冷却液WをラジエータRaに導出する第2分岐口52とを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体の内部に冷却液が循環する循環通路が形成されたエンジンであって、
前記循環通路の入口に装着されて外部の冷却液通路が接続される接続具を備え、
前記接続具は、前記循環通路の出口から導出された冷却液が流入する出口側冷却液導入口と、該冷却液を前記循環通路の入口に導出する第1分岐口と、該冷却液をラジエータに導出する第2分岐口とを有しているエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンにおいて、さらに、前記循環通路の出口から導出された冷却液の温度調節を行うサーモスタットを備え、
前記サーモスタットは、前記循環通路の出口から導出された冷却液の温度に基づいて前記第2分岐口の開閉を切り替え可能に構成され、
前記サーモケースが前記接続具の内部に配置されているエンジン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエンジンにおいて、ピストンの往復方向とクランクシャフトが延びるエンジン幅方向の両方に直交する直交方向を向く取付面に、前記循環通路の入口が形成されているエンジン。
【請求項4】
請求項3に記載のエンジンにおいて、エンジンの冷却液を前記冷却液通路に圧送する冷却液ポンプが、前記取付面に設けられているエンジン。
【請求項5】
請求項3に記載のエンジンにおいて、エンジンの潤滑液を冷却するオイルクーラが、前記取付面に設けられているエンジン。
【請求項6】
請求項5に記載のエンジンにおいて、さらに、前記第1分岐口から前記オイルクーラを介して前記冷却液ポンプに冷却液を戻すバイパス通路を備えたエンジン。
【請求項7】
請求項1または2に記載のエンジンにおいて、前記接続具は、前記冷却液通路が接続される冷却液通路接続口を有しているエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却液で冷却される液冷エンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗物の駆動源として用いられるエンジンにおいて、水のような冷却液で冷却される液冷エンジンがある(例えば、特許文献1)。液冷エンジンでは、冷却液は循環しており、規定値よりも高温の冷却液はラジエータに供給されて放熱され、規定値よりも低温の冷却液はエンジンの冷却液入口に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-162084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラジエータへ向かう通路とエンジンの冷却液入口に向かう通路との分岐がエンジンの冷却液出口に設けられる場合、冷却液入口にも冷却液出口からの通路とラジエータで放熱後の冷却液体の通路の分岐が必要となる。
【0005】
本出願の開示は、冷却液の分岐を一か所に集約して、構成が簡素化するエンジンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のエンジンは、エンジン本体の内部に冷却液が循環する循環通路が形成されたエンジンであって、前記循環通路の入口に装着されて外部の冷却液通路が接続される接続具を備え、前記接続具は、前記循環通路の出口から導出された冷却液が流入する出口側冷却液導入口と、該冷却液を前記循環通路の入口に導出する第1分岐口と、該冷却液をラジエータに導出する第2分岐口とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のエンジンによれば、入口側の接続具に、冷却液の分岐が集約されている。これにより、入口側および出口側の分岐を入口側および出口側の接続具にそれぞれ別々に設けるのに比べて、構成が簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係るエンジンを示す側面図である。
図2】同エンジンを示す正面図である。
図3】同エンジンの冷却液の流れを示す簡略図である。
図4】同エンジンの循環通路の入口部ユニットを示す斜視図である。
図5】同入口部ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好ましい実施形態について図1~5を参照しながら説明する。図1において、本実施形態のエンジンEは、レシプロエンジンであり、例えば、胴体の先端にプロペラが配置される飛行機に用いられる。この場合、胴体内にエンジンEが収容されて、エンジン動力がプロペラに伝達される。エンジンEの用途は、これに限定されず、例えば、船舶の駆動源としても適用可能であり、二輪車や四輪車などの車両の駆動源としても適用可能である。
【0010】
以下の説明において、「幅方向WD」とは、エンジンEのクランクシャフト2の延びる方向をいう。幅方向WDにおいて、幅方向中心に向かう方向を「幅方向内側」といい、幅方向中心から離れる方向を「幅方向外側」という。エンジンEのピストン3が往復動する方向を「ピストン往復方向」という。「幅方向WD」と「ピストン往復方向」の両方に直交する方向を「直交方向PD」という。本実施形態では、ピストン往復方向が、「鉛直方向VD」すなわち「上下方向VD」を向いた状態で、且つ、幅方向WDが水平方向を向いた状態でエンジンEが搭載されている。
【0011】
本実施形態のエンジンEは、クランクシャフト2が延びる方向に6つの気筒(シリンダ6)が並んだ6気筒エンジンである。ただし、気筒の数はこれに限定されず、例えば、4気筒であってもよい。また、本実施形態のエンジンEは、ガソリンエンジンであるが、燃料はガソリンに限定されない。
【0012】
エンジンEは、クランクシャフト2を支持するクランクケース4と、クランクケース4からピストン3の往復方向に突出するシリンダ6と、シリンダ6の突出端に連結されたシリンダヘッド8とを有している。クランクシャフト2は、ピストン3の往復運動を回転運動に変える。以下の説明において、上下方向VD(ピストンの往復動方向)において、クランクケース4からシリンダ6が突出する方向を「上方」といい、その反対側を「下方」という。
【0013】
クランクケース4は、上下2つ割であり、クランクケースロア4aと、クランクケースアッパ4bとを有している。本実施形態では、クランクケースアッパ4bとシリンダ6は、型成形により一体に形成されている。ただし、クランクケースアッパ4bとシリンダ6が別体であってもよい。以下の説明において、クランクケースアッパ4bとシリンダ6が一体となったものをシリンダブロック10という。
【0014】
エンジンEは、さらに、シリンダヘッド8の上端に連結されたヘッドカバー12と、クランクケース4の下端に連結されたオイルパン14とを有している。シリンダヘッド8とシリンダヘッドカバー12とでカム室を形成する。オイルパン14には、エンジン潤滑液の一種であるオイルが貯留される。クランクケース4、シリンダ6、シリンダヘッド8、ヘッドカバー12およびオイルパン14により、エンジン本体EBが構成されている。
【0015】
シリンダヘッド8における直交方向PDの一端側(図1の右側)の面に吸気ポート16が開口し、直交方向PDの他端側(図1の左側)の面に排気ポート18が開口している。以下の説明において、直交方向PDにおける吸気ポート側を「吸気側」といい、排気ポート側を「排気側」という。
【0016】
吸気ポート16および排気ポート18はシリンダヘッド8の内部に形成された通路である。吸気ポート16の上流端は、シリンダヘッド8の直交方向PDの一端側に開口し、下流端はシリンダ6内部の燃焼室20に開口している。排気ポート18の上流端はシリンダ6内部の燃焼室20に開口し、下流端はシリンダヘッド8の直交方向PDの他端側に開口している。吸気ポート16および排気ポート18は気筒毎に形成されている。吸気ポート16は、外部の空気を吸気として燃焼室20に導入する。排気ポート18は、燃焼室20から排気を導出する。
【0017】
吸気ポート16から外部の空気が吸気として燃料室20に供給されるとともに、インジェクタ22から燃料室20に燃料が噴射され、燃料と空気の混合気が形成される。燃焼室20内の混合気は点火プラグ26で点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは、排気ポート18からエンジン外部に導出される。
【0018】
図2に示すように、エンジン幅方向WDの一端側に出力軸25が設けられている。本実施形態では、クランクシャフト2の回転力が減速機構28で減速されて、出力軸25に伝達される。出力軸25には、直接または動力伝達部材を介して航空機のプロペラ、車両の車輪等が連結される。以下の説明において、エンジンEの幅方向外側のうち、出力軸25が配置される側を出力軸側といい、その反対側を反出力軸側という。
【0019】
本開示のエンジンEは、液冷エンジンであり、循環通路30を冷却液が循環することで、エンジンEの冷却部位が冷却される。本実施形態では、冷却液として水が用いられている。ただし、冷却液は水に限定されない。以下の説明において、「上流」および「下流」とはそれぞれ、冷却液の流れ方向の「上流」および「下流」をいう。
【0020】
図3に示すように、本実施形態のエンジンEの冷却液の循環通路30は、内部通路32と外部通路34とを有している。内部通路32は、エンジン本体EBの内部に形成された通路で、入口部36からエンジン内部に導入され、出口部38を介してエンジン外部に導出される。本実施形態では、循環通路30の内部通路32は、シリンダ6およびシリンダヘッド8の内部に形成されている。
【0021】
図2に示す外部通路34は、エンジンEの外部に配置された配管で構成され、上流端が出口部38に接続され、下流端が入口部36に装着されている接続具46に接続されている。本実施形態では、外部通路34を構成する配管は鋼管である。ただし、該配管は、鋼管に限定されない。外部通路34の上流端は、ボルトのような締結部材37により接続金具39を介して出口部38に着脱自在に接続されている。
【0022】
本実施形態では、循環通路30の入口部36が、エンジン本体EBにおける直交方向PDを向く取付面Suに形成されている。詳細には、入口部36は、シリンダブロック10の直交方向PDにおける吸気側の壁面Suに形成されている。より詳細には、入口部36は、シリンダブロック10の吸気側の壁面におけるエンジン幅方向WDの中間部に形成されている。
【0023】
一方、循環通路30の出口部38は、エンジン本体EBにおける幅方向WDを向く面に形成されている。詳細には、出口部38は、シリンダヘッド8におけるエンジン幅方向WDの端部に形成されている。より詳細には、出口部38は、シリンダヘッド8におけるエンジン幅方向WDの出力軸側の端部に設けられている。
【0024】
外部通路34の下流側には、サーモスタット40(図4)が設けられている。サーモスタット40は、エンジンEを循環する冷却液の温度を検知し、冷却液が低温の場合は入口部36から内部通路32に戻し、冷却液の温度が高くなるとラジエータ循環通路42へ冷却液を送る。ラジエータRa(図3)で放熱された冷却液は、ラジエータ循環通路42から入口部36に戻され、内部通路32に供給される。つまり、サーモスタット40は冷却液の温度調節を行う。
【0025】
ラジエータ循環通路42は、サーモスタット40からラジエータRa(図3)に向かう一次側通路42aと、ラジエータRaから入口部36に向かう二次側通路42bとを有している。ラジエータ循環通路42は、例えば、鋼管で構成される。ただし、ラジエータ循環通路42は、鋼管に限定されない。
【0026】
二次側通路42bに冷却液ポンプ44が設けられている。冷却液ポンプ44も、エンジン本体EBにおける直交方向PDを向く取付面Suに設けられている。詳細には、冷却液ポンプ44は、エンジン本体EBの直交方向PDにおける吸気側の取付面Suに設けられている。冷却液ポンプ44は、二次側通路42bの冷却液を加圧する。つまり、二次側通路42bが、冷却液ポンプ44により圧送された冷却液Wが流れる冷却液通路を構成する。本実施形態では、二次側通路42bは、鋼管で構成されている。ただし、二次側通路42bは鋼管に限定されない。
【0027】
本実施形態の冷却液ポンプ44は、クランクシャフト2の回転力で駆動されている。詳細には、ドライブチェーン47を介してクランクシャフト2の回転力が冷却液ポンプ44に伝達されている。ただし、動力伝達手段は、ドライブチェーン47に限定されない。
【0028】
循環通路30の入口部36に接続具46が装着されている。接続具46は、エンジン本体EBに装着された状態で循環通路30の入口部36に連通する開口69(図4)を有している。
【0029】
本実施形態では、接続具46が入口部ユニットUNを構成している。入口部ユニットUNは、シリンダブロック10に着脱自在に取り付けられ、内部にサーモスタット40が収納されており、別体としてサーモケースを設ける必要がなく、部品点数を削減できる。ただし、サーモスタット40は、入口部ユニットUNとは別体として設けたサーモケース内に設けてもよい。入口部ユニットUNには、外部通路34およびラジエータ循環通路42の一次側通路42aと二次側通路42bが接続されている。
【0030】
図4に示すように、入口部ユニットUNは、外部通路34が接続される出口側冷却液導入口48を有している。本実施形態では、外部通路34を構成する配管は、Oリングのような弾性部材を介して出口側冷却液導入口48に差し込まれている。出口側冷却液導入口48には、循環通路30の出口部38から導出された冷却液Wが流入する。
【0031】
入口部ユニットUNは、さらに、ラジエータ循環通路42の一次側通路42aが接続される一次側通路接続部52(図2)と、ラジエータ循環通路42の二次側通路42bが接続される冷却液通路接続口53とを有している。本実施形態では、二次側通路42bを構成する配管の下流端は、Oリングのような弾性部材を介して冷却液通路接続口53に差し込まれている。
【0032】
図2に示す二次側通路42bのうち冷却液ポンプ44と接続具46との間の通路を構成する配管の上流端は、Oリングのような弾性部材を介して冷却液ポンプ44の出口44oに差し込まれている。また、二次側通路42bのうちラジエータRa(図3)と冷却液ポンプ44との間の通路を構成する配管の下流端は、Oリングのような弾性部材を介して冷却液ポンプ44の入口44iに差し込まれている。同様に、一次側通路42aを構成する配管も、Oリングのような弾性部材を介して一次側通路接続部52に差し込まれている。
【0033】
図3に示すように、サーモスタット40は、出口側冷却液導入口48から導出された冷却液Wの温度により、冷却液WをラジエータRa導出するか否かを切り替える。
【0034】
換言すれば、サーモスタット40は、循環通路30の出口部38から導出された冷却液Wの温度により、冷却液Wを、ラジエータRaに導出するか否かを切り替える。本実施形態では、一次側通路接続部52が、冷却液WをラジエータRaに導出する第2分岐口を構成する。
【0035】
図5に示すように、入口部ユニットUNは、その内部に仕切り壁55を有している。仕切り壁55により入口部ユニットUNの内部空間が区画され、出口部38から外部通路34を介して導入される冷却液W1と、ラジエータ循環通路42の二次側通路42bから流入する冷却液W2とが混ざらないように構成されている。
【0036】
図4に示すように、外部通路34とラジエータ循環通路42の一次側通路42aとの間にサーモスタット40のバルブ40aが装着されている。冷却液が低温のときバルブ40aは閉状態で、外部通路34からの冷却液Wはバイパス通路接続口64から二次側通路42bを介して循環通路30の入口部36に向かって流れる。つまり、バイパス通路接続口64が、冷却液Wを循環通路30の入口36に導出する第1分岐口を構成する。冷却液の温度が上がってくると、バルブ40aが少しずつ開いて、一次側通路接続部52に接続されたラジエータ循環通路42の一次側通路42aに冷却液が流れるようになる。
【0037】
図2に示すように、オイルクーラ60が、エンジン本体EBにおける直交方向PDを向く取付面Suに設けられている。詳細には、オイルクーラ60は、シリンダブロック10の直交方向PDにおける吸気側の壁面Suに設けられている。オイルクーラ60は、熱交換によりエンジンの潤滑液を冷却する。本実施形態では、オイルクーラ60は、冷却液との熱交換により、エンジンの潤滑液を冷却している。
【0038】
オイルクーラ60は、冷却液Wが導入される冷却液入口60aと、熱交換後の冷却液Wが導出される冷却液出口60bとを有している。本実施形態では、バイパス通路62を介して接続具46からオイルクーラ60に冷却液Wが供給されている。バイパス通路62は、一端部がオイルクーラ60の冷却液入口60aに接続される一次側通路62aと、一端部がオイルクーラ60の冷却液出口60bに接続される二次側通路62bとを有している。
【0039】
バイパス通路62の一次側通路62aの他端部は接続具46に接続され、二次側通路62bの他端部は冷却ポンプ44に接続されている。つまり、接続具46とオイルクーラ60がバイパス通路62の一次側通路62aを介して接続され、オイルクーラ60と冷却液ポンプ44が二次側通路62bを介して接続されている。本実施形態では、バイパス通路62を構成する配管はゴムチューブで構成されている。ただし、バイパス通路62を構成する配管は、ゴムチューブに限定されず、例えば、鋼管であってもよい。
【0040】
図4に示すように、接続具46は、バイパス通路62の一次側通路62aが接続されるバイパス通路接続口64を有している。バイパス通路接続口64は、仕切り壁55により区画された入口部ユニットUNの内部空間における出口側冷却液導入口48側に開口している。つまり、バイパス通路接続口64には、外部通路34から流入する冷却液W1が供給される。
【0041】
つぎに、図3を用いて、本実施形態のエンジンEの冷却液Wの流れを説明する。エンジンEが始動すると、これに連動して冷却液ポンプ44が起動する。冷却液ポンプ44が起動すると、ラジエータ循環通路42の二次側通路42bの冷却液Wが加圧され、接続具46に圧送される。
【0042】
冷却液通路接続口53から接続具46に流入した冷却液Wは、接続具46の開口69から循環通路30の入口部36を介して、エンジン本体EBの内部の内部通路32に供給される。
【0043】
内部通路32に流入した冷却液Wは、内部通路32を流れてエンジンEの被冷却部を冷却した後、出口部38からエンジン本体EBの外部の外部通路34に流出する。外部通路34に流入した冷却液Wは、出口側冷却液導入口48から接続具46に流入する。
【0044】
出口側冷却液導入口48から接続具46に流入した冷却液Wの温度が、サーモスタット40で検知される。冷却液Wが低温の場合は、第1分岐口であるバイパス通路接続口64からバイパス通路62および二次側通路42bを介して入口部36から内部通路32に冷却液Wが戻される。
【0045】
冷却液Wの温度が高くなると、第2分岐口である一次側通路接続部52からラジエータ循環通路42の一次側通路42aに冷却液Wが送られる。ラジエータ循環通路42の一次側通路42aを流れた冷却液WはラジエータRaに流入する。ラジエータRaで放熱された冷却液Wは、ラジエータ循環通路42の二次側通路42bから冷却液ポンプ44に戻される。以降、同様の動作が繰り返される。
【0046】
上記構成によれば、図2に示す入口側の接続具46に、冷却液Wの分岐が集約されている。具体的には、冷却液通路接続口53から接続具46に流入した冷却液Wは、開口69へと導出され、出口側冷却液導入口48から接続具46に流入した冷却液Wは、バイパス通路接続口64または一次側通路接続部52に分岐される。これにより、入口側の接続具および出口側の接続具を1つにまとめることができ、構成が簡素化する。
【0047】
本実施形態において、サーモスタット40は接続具46の内部に配置されている。つまり、接続具46が、サーモスタット40を収納するサーモケースを兼用している。この構成によれば、サーモケースを別体で設ける必要がなくなるので、部品点数を少なくできる。
【0048】
本実施形態において、エンジン本体EBにおける直交方向PDを向く取付面Suに循環通路30の入口部36が形成され、エンジン幅方向WDを向く面に循環通路30の出口部38が形成されている。この構成によれば、シリンダヘッド8におけるエンジン幅方向WDを向く面に循環通路30の出口部38が形成されているので、幅方向WDの一方から他方に向けて淀みのない冷却液Wの流れを作り出すことができる。これにより、例えば、幅方向に並んだ点火プラグ26の周囲を効果的に冷却することができる。
【0049】
循環通路30の入口部36がエンジン本体EBにおける吸気側の取付面Suに形成されているので、内部通路32の流入する前の冷却液Wが排気側の高温の影響を受けにくい。ただし、入口部36は排気側の壁面に設けられてもよい。また、入口部36は、直交方向PDを向く取付面Suにおけるエンジン幅方向WDの中央部に設けられている。したがって、入口部36とエンジン幅方向WDの端面の出口部38との間の外部通路34を短くできる。その結果、外部通路34を鋼管で構成することが可能となり、鋼管の支持も省略できる。特に、航空用のエンジンでは、耐火性や、高度上昇時の変形に対する耐性から、鋼管が好ましい。
【0050】
本実施形態において、冷却液ポンプ44が、入口部36と同じ取付面Suに設けられている。この構成によれば、冷却液ポンプ44を入口側の接続具46に近接して配置でき、冷却液ポンプ44と接続具46との間の二次側通路42bをコンパクト化できる。その結果、冷却液通路の配管を短くできたり、該配管の支持を省略できたりする。また、冷却液ポンプ44と接続具46との間の二次側通路42bを鋼管で構成しやすくなる。また、ラジエータ循環通路42の一次側通路42aが接続される一次側通路接続部52と、二次側通路42bが接続される冷却液通路接続口53が、同一の平面Suに設けられているので、ラジエータRaに出入りする配管の設置が容易になる。
【0051】
本実施形態において、オイルクーラ60が、入口部36と同じ取付面Suに設けられている。この構成によれば、オイルクーラ60を入口側の接続具46に近接して配置でき、接続具46からオイルクーラ60を通って冷却液ポンプ44に戻されるバイパス通路62をコンパクト化できる。その結果、バイパス通路62の配管を短くできたり、該配管の支持を省略できたりする。
【0052】
本開示のエンジンは、以下の態様1~7を含む。
[態様1]
エンジン本体の内部に冷却液が循環する循環通路が形成されたエンジンであって、
前記循環通路の入口に装着されて外部の冷却液通路が接続される接続具を備え、
前記接続具は、前記循環通路の出口から導出された冷却液が流入する出口側冷却液導入口と、該冷却液を前記循環通路の入口に導出する第1分岐口と、該冷却液をラジエータに導出する第2分岐口とを有しているエンジン。
[態様2]
態様1に記載のエンジンにおいて、さらに、前記循環通路の出口から導出された冷却液の温度調節を行うサーモスタットを備え、
前記サーモスタットは、前記循環通路の出口から導出された冷却液の温度に基づいて前記第2分岐口の開閉を切り替え可能に構成され、
前記サーモケースが前記接続具の内部に配置されているエンジン。
[態様3]
態様1または2に記載のエンジンにおいて、前記接続具は、前記冷却液通路が接続される冷却液通路接続口を有しているエンジン。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載のエンジンにおいて、ピストンの往復方向とクランクシャフトが延びるエンジン幅方向の両方に直交する直交方向を向く取付面に、前記循環通路の入口が形成されているエンジン。
[態様5]
態様4に記載のエンジンにおいて、エンジンの冷却液を前記冷却液通路に圧送する冷却液ポンプが、前記取付面に設けられているエンジン。
[態様6]
態様4または5に記載のエンジンにおいて、エンジンの潤滑液を冷却するオイルクーラが、前記取付面に設けられているエンジン。
[態様7]
態様6に記載のエンジンにおいて、さらに、前記第1分岐口から前記オイルクーラを介して前記冷却液ポンプに冷却液を戻すバイパス通路を備えたエンジン。
【0053】
本開示は、以上の形態に限定されるものでなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態のエンジンEは、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(全地形型車両)等の鞍乗型車両にも適用できる。エンジンEは、船外機に用いられてもよいし、航空機の推進源として用いられてもよい。そのほか、エンジンEは、四輪車両や小型滑走艇の推進源として用いられてもよい。気筒数は、6気筒に限定されず、6気筒未満でも、7気筒以上でもよい。エンジンEには、ターボチャージャまたはスーパーチャージャなどの過給機が付与されてもよい。したがって、そのようなものも本開示の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
30 循環通路
32 内部通路
36 入口部(内部通路の入口)
38 出口部(内部通路の出口)
40 サーモスタット
42b 二次側通路
44 冷却液ポンプ
46 接続具
48 出口側冷却液導入口
52 一次側通路接続部(第2分岐口)
53 冷却液通路接続口
60 オイルクーラ
62 バイパス通路
64 バイパス通路接続口(第1分岐口)
E エンジン
EB エンジン本体
Su 取付面
図1
図2
図3
図4
図5