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  • 特開-光ビームのためのビーム制御 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009952
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】光ビームのためのビーム制御
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/09 20060101AFI20250109BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20250109BHJP
   B23K 26/064 20140101ALN20250109BHJP
【FI】
G02B27/09
G02B5/04 F
B23K26/064 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024101817
(22)【出願日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】63/511,475
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/478,620
(32)【優先日】2023-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー ファウルハーバー
【テーマコード(参考)】
2H042
4E168
【Fターム(参考)】
2H042CA00
2H042CA17
4E168AD07
4E168BA00
4E168DA29
4E168DA36
4E168EA14
4E168EA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光ビームのビームプロファイル(輪郭)を、当該ビームを使用するシステムに合わせて変更する。
【解決手段】幾つかの実施態様において、光学デバイスは第1光学素子を含むものとすることができ、該第1光学素子は第1プリズムである。光学デバイスは、第2光学素子を含むものとすることができ、該第2光学素子は第2プリズムであり、該光学デバイスは、ビームを受光し、またビームを出射するように構成されている。第1光学素子及び第2光学素子は、ビームが第1の位置で第1形状を有し、第2の位置で第2形状を有するように、ビームのビーム形状を変更するように構成され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
第1プリズムである第1光学素子と、及び、
第2プリズムである第2光学素子と、
を備え、
前記光学デバイスは、ビームを受光し、また前記ビームを出力するように構成され、前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、前記ビームが第1の位置で第1形状を有し、第2の位置で第2形状を有するように、前記ビームのビーム形状を変更するように構成されている、光学デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、前記第1プリズム及び前記第2プリズムは、ピラミッド型プリズムである、光学デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、前記第2形状は、閾値レベルのエッジの鋭さを有する環状ビーム形状である、光学デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、前記第1光学素子又は前記第2光学素子の少なくとも一方は、前記第2形状を調整するために移動可能である、光学デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、前記第1光学素子又は前記第2光学素子の少なくとも一方は、前記第1光学素子と前記第2光学素子との間の前記ビームによって形成されるビーム経路の軸線の周りに回転可能である、光学デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の光学デバイスにおいて、前記光学デバイスは、前記第1の位置で前記ビームを複数の成分に分割するように構成されている、光学デバイス。
【請求項7】
光学システムであって、
ビームをコリメートするためのコリメートレンズと、
前記ビームを集光するための集光レンズと、及び、
前記コリメートレンズと前記集光レンズとの間に配置され、前記ビームを整形するための光学デバイスであって、
第1ピラミッド型プリズム、及び、
第2ピラミッド型プリズム、
を含み、
前記第1ピラミッド型プリズム及び前記第2ピラミッド型プリズムは、前記ビームが近視野で第1ビーム形状を有し、遠視野で第2ビーム形状を有するように配置される、該光学デバイスと
を備える、光学システム。
【請求項8】
請求項7に記載の光学システムであって、さらに、コリメートレンズに向けてビームを放射する光エミッタを備える、光学システム。
【請求項9】
請求項7に記載の光学システムであって、さらに、前記集光レンズから前記ビームを受光し、前記ビームをターゲットに向けるプロセスケーブルを備える、光学システム。
【請求項10】
請求項9に記載の光学システムにおいて、前記近視野は前記プロセスケーブルの入力箇所にあり、前記遠視野は前記プロセスケーブルの出力箇所にある、光学システム。
【請求項11】
請求項9に記載の光学システムにおいて、前記近視野は前記プロセスケーブルの入力箇所にあり、前記遠視野は前記プロセスケーブルの外側のターゲットにあり、前記プロセスケーブルの出力箇所に配置されている、光学システム。
【請求項12】
請求項9に記載の光学システムにおいて、前記第1ピラミッド型プリズム及び前記第2ピラミッド型プリズムの第1相対位置において、前記第1ビーム形状は点ビーム形状であり、前記第2ビーム形状は環状ビーム形状であり、前記第1ピラミッド型プリズム及び第2ピラミッド型プリズムの第2相対位置において、前記第1ビーム形状はスプリットビーム形状であり、前記第2ビーム形状は渦状モードビーム形状である、光学システム。
【請求項13】
請求項9に記載の光学システムにおいて、前記光学システムは、出力ビームプロファイル全体に沿って延びる環状ビーム形状を出力するように構成されている、光学システム。
【請求項14】
請求項9に記載の光学システムにおいて、前記光学システムは、環状ビーム形状と、閾値エッジ峻度を超える前記環状ビーム形状のエッジ峻度を有する前記ビームを出力するように構成されている、光学システム。
【請求項15】
請求項9に記載の光学システムであって、さらに、前記第1ピラミッド型プリズム又は前記第2ピラミッド型プリズムの少なくとも一方を、前記ビームによって形成されるビーム経路に対して直線的に移動させるように構成された作動コンポーネントを備える、光学システム。
【請求項16】
請求項9に記載の光学システムであって、さらに、前記第1ピラミッド型プリズム又は前記第2ピラミッド型プリズムの少なくとも一方を、前記ビームによって形成されるビーム経路の軸を中心に回転移動させるように構成された作動コンポーネントを備える、光学システム。
【請求項17】
方法であって、
コントローラによって光学システム内の光学デバイス内の第1光学素子及び第2光学素子の相対位置を第1相対位置に設定するステップであり、
前記第1光学素子及び前記第2光学素子は、1対のピラミッド型プリズムであり、
前記光学システムは、相対位置を前記第1相対位置に設定した状態で、第1ビーム形状を有するビームを出力するものである、該設定するステップと、及び
前記コントローラによって前記光学システム内の前記光学デバイス内の前記第1光学素子及び前記第2光学素子との前記相対位置を第2の相対位置に調整するステップであり、
前記光学システムは、前記相対位置が前記第2相対位置に設定された第2ビーム形状を有するビームを出力するものである、該調整するステップと、
を備える、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、前記第1ビーム形状を特定するフィードバックを受信するステップであり、
前記相対位置を前記第2相対位置に調整するステップは、フィードバックに関連する制御信号に関連して、前記相対位置を前記第2相対位置に調整するステップを含むものである、該受信するステップを備える、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、前記相対位置を前記第2相対位置に調製するステップは、前記第1光学素子又は前記第2光学素子の少なくとも一方を平行移動又は回転させるステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、さらに、前記光学デバイスを前記光学システム内の光ファイバに結合するステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本特許出願は、2023年6月30日に出願され、「光学コンポーネント結合用プリズム(PRISM FOR OPTICAL COMPONENT COUPLING)」と題された米国仮特許出願第63/511,475号の優先権を主張するものである。先行出願の開示は本特許出願の一部とみなされ、参照により本特許出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、光学デバイス及び光ビームを制御する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光ビームのビームプロファイル(輪郭)は、当該ビームを使用するシステムのシステム性能に大きな影響を与える。例えば、環状ビームプロファイル又は環状ビームを有する光ビームは、製造システムの優れた切断性能を可能にすることができる。しかしながら、ほとんどのファイバ伝送光ビームのビームプロファイルは比較的単純である。例えば、ビームパラメータは、密に収束するビームを用いて薄いシートメタル(例えば、約3mm未満又はそれにほぼ等しい厚さのシートメタル)の加工に使用できる、低ビームパラメータ積(BPP:beam-parameter-product)レーザ(例えば、約3ミリメートル-ミリラジアン(mm-mrad)未満又はそれにほぼ等しいBPP)のガウシアン又は近ガウシアンプロファイルであってもよい。別の例として、ビームプロファイルは、より大きなビームを使用して厚いシートメタルの加工に使用できる高BPPレーザ(例えば、約3mm-mrad以上のBPP)用のトップハット(フラットトップと称されることもある)プロファイルであってもよい。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの実施態様において、光学デバイスは、第1プリズムである第1光学素子と、第2プリズムである第2光学素子とを含み、該光学デバイスはビームを受光及び出力するように構成され、該第1光学素子及び該第2光学素子は、ビームが第1の位置で第1形状を有し、第2の位置で第2形状を有するように、ビームのビーム形状を修正するように構成されている。
【0005】
幾つかの実施態様において、光学システム(系)は、ビームをコリメートするためのコリメートレンズと、ビームを集光させるための集光レンズと、ビームを整形するための光学デバイスと、を含み、該光学デバイスはコリメートレンズと集光レンズとの間に配置されており、該光学デバイスは、第1ピラミッド型プリズムと第2ピラミッド型プリズムと、を備え、該第1ピラミッド型プリズム及び該第2ピラミッド型プリズムは、ビームが近視野では第1ビーム形状を有し、遠視野では第2ビーム形状を有するように配置されている。
【0006】
幾つかの実施態様において、方法は、コントローラによって、光学システム内で光学デバイスにおける第1光学素子及び第2光学素子の相対位置を第1相対位置に設定するステップであり、該第1光学素子及び該第2光学素子は一対のピラミッド型プリズムであり、該光学システムは、該相対位置が該第1相対位置に設定された状態で、第1ビーム形状を出力するものである、該設定するステップと、及び、コントローラによって、該光学システム内の該光学デバイス内の該第1光学素子及び該第2光学素子の該相対位置を第2相対位置に調整するステップであり、該光学システムは、該相対位置が該第2相対位置に設定された状態で、第2ビーム形状を有するビームを出力するものである、該調整するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】光ビームのビーム制御に関連する実施例の図である。
図1B】光ビームのビーム制御に関連する実施例の図である。
図2A】光ビームのビーム制御に関連する実施例の図である。
図2B】光ビームのビーム制御に関連する実施例の図である。
図3】光ビームのビーム制御に関連するプロセス例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以降、実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同一の参照番号は、同一又は類似の要素を示す場合がある。
【0009】
光学システムは、特定の光学特性を有するビームを放射するために、光エミッタ、プロセスケーブル、光学素子(例えば、他の例の中でも、レンズ、フィルタ又はミラー)などの光学デバイスを含んでもよい。このような光学システムの例としては、他の例の中でも、通信システム、測定システム、検知システム、製造システム、測距システム、又は三次元(3D)ジェスチャ検知システム等が挙げられる。異なるタイプの光学システム又は光学システムのユースケースは、異なる所望の光学特性に関連し得る。例えば、光通信システムでは、高い精度で中心波長を維持することができ、高いスループットレートで情報を伝達するために変調することができるビームを有することが所望され得る。別の例として、光学製造システムでは、一貫したエネルギーレベルを維持し、特定のビーム形状を有し、及び/又はエネルギー効率の高いビームが所望され得る。
【0010】
異なる光学特性を得るために、異なる光学素子を使用することができる。例えば、レンズを含む光カプラを光エミッタとプロセスケーブルとの間に配置し、プロセスケーブルから出力されるビームを形成してもよい。言い換えれば、光エミッタは光カプラに向けてビームを放射し得る。光カプラはビームをプロセスケーブルの入力に向け、それを通ってビームはプロセスケーブルの出力に伝搬し得る。プロセスケーブルの出力は、例えば、製造関連では、切断、エッチング、ろう付け、クラッド、焼き入れ、又は溶接される対象物等のようなターゲットにビームを向けることができる。
【0011】
このような構成において、いくつかの技術では、ビームがプロセスケーブルの軸上(例えば、プロセスケーブルの中心に向かって、閾値未満の角度で、プロセスケーブル内の反射が閾値未満になる)に向けられるか又は軸外(プロセスケーブルの端部に向かって、閾値よりも大きな角度で、プロセスケーブル内に閾値と等しいか又は閾値以上の反射をもたらす)に向けられるかに少なくとも部分的に基づいて、ビームプロファイルを変化させることができる。前者の場合、ビームは、プロセスケーブルへの入力時にスポットプロファイルを有し、プロセスケーブルからの出力時にスポットプロファイルを有することがあり、これは比較的薄い金属を切断する場合に望ましい。後者の場合、ビームは、プロセスケーブルの入力側でスポットプロファイルを有し、プロセスケーブルの出力側でリングプロファイルを有することがあり、これは比較的厚い金属を切断する場合に望ましい。
【0012】
ペデスタル光学は、ビームプロファイルを変化させるために光カプラ(例えば、光エミッタと光カプラのレンズとの間)に導入することができる。ペデスタルオプティックは、光エミッタから出力されるビームの一部を受光し、ビームの一部を軸外(例えば、一方、残りのビームは軸上に残る)に向けることができる。したがって、プロセスケーブルは、ビームの軸上部分及び軸外部分の両方を受光し、その結果、プロセスケーブルは、ビームのスポットプロファイル部分とビームのリングプロファイル部分の両方を出力する。ペデスタルオプティックでビームを分割する量を制御することにより、ビームのスポットプロファイル部分をリングプロファイル部分よりも大きくすることができ、ペデスタルプロファイル(例えば、純粋なリングプロファイルのようにリング部分の中心に空洞があるのではなく、リング部分の中心にスポットがあるリング部分を含むプロファイル)が得られる。つまり、ペデスタルオプティックを調整することで、ペデスタル形状を調整することができる(例えば、ビームのリング部分とスポット部分の光エネルギーの相対量を変えることができる)。これは、一部の使用例では望ましい。しかし、ほかの使用例では、ビームプロファイル全体に沿って環状ビーム形状を有し、非常にシャープなビームエッジを生成することで、ビームの精密な制御を可能にする、ボルテックス(渦状)ビームプロファイルが望ましい。
【0013】
図1A~1Bは、光ビームのビーム制御に関連する実施例100の図である。図1A~1Bに示すように、実施例100は、光エミッタ110、コリメートレンズ120、光整形器130、集光レンズ140、及びプロセスケーブル150を含む。
【0014】
光エミッタ110は、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:vertical surface emitting laser)を含み得る。例えば、光エミッタ110は、特定のビームプロファイルを有するビームをコリメートレンズ120に向けて出力するように構成され得る。幾つかの実施態様において、光エミッタ110は、閾値より大きいパワーを有するビーム用に構成され得る。例えば、光エミッタ110は、1キロワット(kW)を超える、3kWを超える、5kWを超える、10kWを超える、又はそれ以上の光パワーを有してもよい。コリメートレンズ120は、ビームをコリメートし、ビームを光整形器130に導き得る。光整形器130はビームを整形して集光レンズ140に導き、ビームをプロセスケーブル150に導き得る。他の実施例では、他の組み合わせの光学コンポーネント(構成部材)が光整形器に配置されてもよい。例えば、光整形器130は、光エミッタ110に直接(例えば、コリメートレンズ120なしで)及び/又はプロセスケーブル150に直接(例えば、集光レンズ140なしで)配置されてもよい。付加的に、又は代替的に、光学フィルタが例えば光エミッタ110とコリメートレンズ120との間に配置されるように、追加の光学コンポーネントがビーム経路に含まれてもよい。付加的に、又は代替的に、光整形器130は、異なるコンポーネントの組み合わせに配置されてもよい。例えば、光エミッタ110をプロセスケーブル150に結合するのではなく、光整形器130は、第1プロセスケーブルを第2プロセスケーブルに結合してもよい。幾つかの実施態様では、光整形器130及び1つ以上の他の光学コンポーネント(例えば、他の例の中でも、コリメートレンズ120又は集光レンズ140)は、光カプラとして一緒にパッケージ化され得る。言い換えれば、いくつかの光学システムは、他の光学コンポーネントの中でも、光エミッタ110、光カプラ、及びプロセスケーブル150を含むことができ、光カプラは、他の例の中でも、コリメートレンズ120、光整形器130、又は集光レンズ140のような1組の光学コンポーネントを含み得る。
【0015】
幾つかの実施態様において、光整形器130は、1組の光学素子を含み得る。例えば、光整形器は、第1光学素子132及び第2光学素子134を含み得る。この場合、第1光学素子132又は第2光学素子134の少なくとも一方は、ビーム整形を可能にするために、他方に対して可動であってもよい。例えば、図1Aでは、光学素子134の回転前に、近視野で第1ビーム形状170aが達成されている。対照的に、図1Bでは、光学素子134の回転後、近視野において第2ビーム形状170bが達成されている。本明細書でより詳細に説明されているように、光学素子132又は134を動かすと、遠視野におけるビーム形状が変化し得る。
【0016】
幾つかの実施態様において、光学素子132/134は、特定の種類の光学素子とすることができる。例えば、光学素子132/134は、1組のプリズムのであってもよい。いくつかの実施態様において、光学素子132/134は、特定の種類の材料で構成され得る。例えば、光学素子132/134は、他の例の中でも、ガラス材料、溶融シリカ材料(例えば、赤外グレードの溶融シリカ)、硫化物材料、結晶材料(例えば、アンドープYAG等のイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)材料)、又はサファイア材料を含み得る。いくつかの実施態様では、光学素子132/134(又は本明細書に記載される別の光学コンポーネント)は、1つ以上の表面に堆積された1つ以上の機能層を有し得る。例えば、光学素子132/134の表面は、誘導ラマン散乱(SRS:stimulated Raman scattering)を低減又は除去することができる、反射防止(AR:anti-reflection)コーティング、ダイクロイックコーティングを含み得る。
【0017】
幾つかの実施態様において、光学素子132/134は特定の形状を有し得る。例えば、光学素子132/134は、図示のように、3つの側面と底面とを有するピラミッド型プリズム(例えば、4角錐)であってもよい。3つの側面を有するピラミッド型プリズムを使用することにより、光整形器130は、本明細書においてより詳細に説明されるように、ビームが再結合されるときのビームのフィールド(場)の形状を維持することができる(例えば、六角形のクローズパック形状として)。光学素子の他の個数、光学素子の他の種類、又は光学素子の他の形状も考えられる。例えば、1組の2つの側面の光学素子は、ビームを操作することができ、ビームが(例えば、2つの背中合わせの半円として)再結合されるときにビームのフィールドの形状を変えることができる。
【0018】
幾つかの実施態様において、光学素子132/134は、光整形器130を通って直進するビームを整形することができる。例えば、第1光学素子132の3つの側面は、ビームを3つの異なる方向を有する3つの部分に分割し得る。ビームの3つの部分は、光学素子132の底面から光学素子134の底面に向かって3つの異なる方向に伝搬し得る。ビームの3つの部分は、光学素子134を通って光学素子134の3つの側面に向かって伝搬し得る。光学素子134の3つの側面は、ビームの3つの部分を集光レンズ140に向かう単一のビームとして単一の方向に再指向することができる。言い換えれば、ビームは、平行ビーム(例えば、六方細密フィールド形状を有する)として光学素子132に入射し、非平行ビームとして光学素子132から光学素子134に伝搬し、平行ビーム(例えば、六方最密フィールド形状が維持された状態)として光学素子134から出射する。
【0019】
幾つかの実施態様において、光学素子132/134間の分離は、光学素子132/134の幾何学的構成配置(ジオメトリ)と関連し得る。例えば、平坦化されたピラミッド形状を有する光学素子132/134は、角張った(例えば、より平坦化されていない又は急勾配の)ピラミッド形状を有する光学素子132/134よりも大きな分離を有し得る。いくつかの実施態様では、光学素子132/134間の回転差は、出力ビーム(例えば、光整形器130及び/又はプロセスケーブル150から)の光学特性に関連する。例えば、光学素子132/134は、ビームのフィールドの六方最密配置を維持し、ビームの輝度を維持するために、図示されるように、互いから180度回転され得る。
【0020】
幾つかの実施態様において、光学素子132/134の相対位置は、ビームの特性(例えば、遠視野において、近視野のビームを維持しつつ)を変えるために変更され得る。例えば、光学素子134は、光学素子132(又はその逆)に対して相対的に平行移動又は回転され、ビームの特性を変更することができる。幾つかの実施態様において、光学素子134は、光学素子132(又はその逆)に対して相対的に移動されるように、回転モータ又は並進モータ等の移動部材に取り付けられてもよい。付加的に、又は代替的に、光学素子132/134は、手動調整を可能にするプラットフォーム又はハウジングに取り付けられてもよい。光学素子132に対する光学素子134の相対的な平行移動は、(例えば、ビームの各部分の近視野を広げる又は収縮させることによって)近視野に変化を生じさせ得る。
【0021】
同様に、光学素子132に対する光学素子134の回転は、(例えば、ビームの部分を収束又は発散させることによって)近視野に変化を生じさせ得る。例えば、図1Aに示すように、光学素子132/134の第1相対位置において、プロセスケーブル150への入力におけるビーム形状は、ビームの3つの部分がほぼ重なっている。対照的に、図1Bに示すように、光学素子132/134の第2相対位置(例えば、ビームの光軸に対する光学素子134の回転)では、ビームの3つの部分は、ビームのフィールドのエッジに向かって広がっている。
【0022】
上に示したように、図1A~1Bは一例として提示されている。他の実施例は、図1A~1Bに関して説明されているものとは異なっていてもよい。図1A~1Bに示されたデバイスの個数及び配置は、一例として提示されている。実際には、図1A~1Bに示したデバイスとは別のデバイスが追加されたり、デバイスの個数が減ったり、デバイスが異なったり、デバイスの配置が異なったりすることがある。さらに、図1A~1Bに示される2つ以上のデバイスが単一のデバイス内に実装されてもよく、或いは、図1A~1Bに示される単一のデバイスが複数の分散デバイスとして実装されてもよい。付加的に、又は代替的に、図1A~1Bに示された1組のデバイス(例えば、1つ以上のデバイス)は、図1A~1Bに示された別の1組のデバイスによって実行されるものとして説明された1つ以上の機能を実行し得る。
【0023】
図2A~2Bは、光ビームのビーム制御に関連する実施例200の図である。図2A~2Bに示すように、光整形器130のような光カプラを通して導かれるビームは、近視野において第1ビームプロファイルを有し、ビームが伝搬するプロセスケーブルの外部(又は端部)のポイントであり得る遠視野において第2ビームプロフファイルを有し得る。図2Aに示すように、光カプラ内のピラミッド型プリズムの第1相対位置において、ビームは、近視野において点プロファイルを有し、遠視野において第1形状を有し得る。例えば、第1形状のビームプロファイルは、約1.4ミリメートル×ミリラジアン(mm-mrad)のビームパラメータ積(BPP)を有し得る。幾つかの実施態様において、第1ビーム形状は、光カプラの光学素子の相対位置に関連して、点ビーム形状又はスプリットビーム形状となり得る。
【0024】
図2Bに示すように、ピラミッド型プリズムの少なくとも1つが光カプラ内でピラミッド型プリズムの別の1つに対して相対的に移動すると、ビームプロファイルは、近視野では角運動量を持つ複数の点に変化し、遠視野では第2形状(例えば、渦状プロファイル又は環状ビーム)に変化する。例えば、第2形状のビームプロファイルは、約12mm-mradの最大BPPを有し得る。幾つかの実施態様において、第2形状はらせん状構造を有し得る。例えば、第2形状は、環状ビーム形状(例えば、出力ビームプロファイル全体に沿って延びる)又は渦状モードビーム形状であってもよい。付加的に、又は代替的に、第2形状は、第1形状と比較して、中心点(例えば、ビームの移動軸)において光パワーが低減し得る。付加的に、又は代替的に、第2形状は、第1形状よりも急峻度が大きい場合がある。言い換えれば、第1光パワーレベル(例えば、極小値)と第2光パワーレベル(例えば、極大値)との間の遷移は、第1形状と比較して、第2形状におけるビームプロファイルを横切る短い物理的距離にわたって起こり得る。
【0025】
このようにして、1対のピラミッド型プリズムを使用することにより、環状ビームのエッジの鋭さを向上させることができる。例えば、1対のピラミッド型プリズムは、エッジの鋭さの閾値レベルを達成し得る。付加的に、又は代替的に、1対のピラミッド型プリズムは、近視野及び遠視野の両方における環状ビームの生成(例えば、渦ビームの生成)をもたらす。付加的に、又は代替的に、1対のピラミッド型プリズムは、ビームパラメータ積のダイナミックレンジを改善し、ビーム調整の回転ベースのデカップリング(例えば、並進軸に沿った振動からの回転ベースのビーム調整のデカップリング)をもたらす。
【0026】
上に示したように、図2A~2Bは一例として提供されている。他の実施例は、図2A~2Bに関して説明されているものとは異なっていてもよい。
【0027】
図3は、光ビームのビーム制御に関連する例示的なプロセス300のフローチャートである。幾つかの実施態様では、図3の1つ以上のプロセスブロックはコントローラによって実行される。例えば、図3の1つ以上のプロセスブロックは、リニアモータ(又はその電気コントローラ)、回転モータ(又はその電気コントローラ)、作動コンポーネント(例えば、直線的に又は回転的に作動させるための)、又は別のタイプの制御デバイスによって実行され得る。幾つかの実施態様において、図3の1つ以上のプロセスブロックは、コントローラとは別のデバイス又はデバイスを含むデバイス群によって実行される。
【0028】
図3に示すように、プロセス300は、光学デバイスの1組の光学素子を第1の位置に配置するステップを含み得る(ブロック310)。例えば、コントローラは、上述のように、光学システム内で光学デバイスにおける第1光学素子及び第2光学素子の相対位置を第1相対位置に設定してもよい。幾つかの実施態様では、第1光学素子及び第2光学素子は、1対のピラミッド型プリズムである。幾つかの実施態様では、上述のように、光学システムは、相対位置が第1相対位置に設定された第1ビーム形状を有するビームを出力する。
【0029】
図3に示すように、幾つかの実施態様において、プロセス300は、第1の位置における光学デバイスの1組の光学素子の出力を決定するステップを含み得る(ブロック320)。例えば、上述のように、コントローラは、光学デバイスから出力されているビームのビーム形状を示すフィードバックを受信し得る。この場合、コントローラは、ビーム形状の変更を決定することができる。付加的に、又は代替的に、コントローラは、フィードバック信号を受信することなく、ビーム形状を変更するようにトリガされてもよい。
【0030】
図3にさらに示されるように、プロセス300は、出力を変更するために、光学デバイスの1組の光学素子の向きを第2の位置に調整するステップを含み得る(ブロック330)。例えば、上述のように、コントローラは、光学システム内で光学デバイスにおける第1光学素子及び第2光学素子の相対位置を第2相対位置に調整してもよい。幾つかの実施態様では、光学システムは、相対位置が第2相対位置に設定された第2ビーム形状を有するビームを出力する。
【0031】
プロセス300は、任意の単一の実施態様、又は以下に記載される実施態様の任意の組み合わせ、及び/又は本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の他のプロセスとの関連など、追加の実施態様を含み得る。
【0032】
第1の実施態様では、プロセス300は、第1ビーム形状を識別するフィードバックを受信するステップを含み、また第2相対位置への相対位置の調節するステップは、フィードバックに関連する制御信号に関連して第2相対位置への相対位置を調節するステップを含む。
【0033】
第2の実施態様では、単独又は第1の実施態様と組み合わせて、相対位置を第2相対位置に調整するステップは、第1光学素子又は第2光学素子の少なくとも一方を並進又は回転させるステップを含む。
【0034】
第3の実施態様では、単独で又は第1及び第2の実施態様の1つ以上と組み合わせて、プロセス300は、光学デバイスを光学システム内の光ファイバに結合するステップを含む。
【0035】
図3は、プロセス300の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施態様では、プロセス300は、図3に図示されるブロックよりも追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含む。付加的に、又は代替的に、プロセス300のブロックのうちの2つ以上が並行して実行されてもよい。
【0036】
前述の開示は、例示及び説明を提供するものであるが、網羅的であること、又は実施態様を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。修正及び変形は、上記開示に照らしてなされてもよく、又は実施態様の実践から得られてもよい。さらに、本明細書に記載された実施態様は、前述の開示が1つ以上の実施態様を組み合わせることができない理由を明示的に提供しない限り、組み合わせることができる。
【0037】
本明細書において、閾値を満たすとは、文脈に応じて、値が閾値より大きいこと、閾値以上であること、閾値未満であること、閾値以下であること、閾値と等しいこと、閾値と等しくないこと等を称し得る。
【0038】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲及び/又は明細書に開示されているとしても、これらの組み合わせは、様々な実施態様の開示を制限することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲及び/又は明細書に具体的に記載されていない方法で組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は、1つの請求項のみに直接依存し得るが、様々な実施態様の開示は、各従属請求項を請求項セット内の他の全ての請求項と組み合わせて含む。本明細書で使用される場合、項目のリストの「少なくとも1つ」に関する文言は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを称する。一例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに同一の項目の複数との任意の組み合わせをカバーすることを意図している。
【0039】
1つの要素又は1つ以上の要素(例えば、レーザーエミッタ又は1つ以上のレーザーエミッタ)が、複数のオペレーションを実行する、又は複数のオペレーションを実行するように構成されていると(単一のクレーム内又は複数のクレームにわたって)記載又は特許請求の範囲に記載されている場合、この文言は、様々な構成及び環境を広くカバーすることを意図している。例えば、(例えば、特許請求の範囲において「第1構成要素」及び「第2構成要素」又は構成要素を区別する他の文言を使用することにより)明示的に別段の主張がなされない限り、この文言は、全ての動作を実行する又は実行するように構成された単一の構成要素、全ての動作を実行する又は実行するように構成された構成要素の集合体、第1の動作を実行する又は実行するように構成された第1構成要素及び第2の動作を実行する又は実行するように構成された第2構成要素、又は動作を実行する又は実行するように構成された構成要素の任意の組み合わせを対象とすることを意図している。例えば、クレームが「Xを実行し、Yを実行し、Zを実行するように構成された1つ以上の構成要素」という形式を有する場合、そのクレームは、「Xを実行するように構成された1つ以上の構成要素、Yを実行するように構成された1つ以上の(場合によっては異なる)構成要素、及びZを実行するように構成された1つ以上の(同じく場合によっては異なる)構成要素」を意味すると解釈されるべきである。
【0040】
本明細書で使用されるいかなる要素、行為、又は指示も、そのように明示的に記述されない限り、重要又は不可欠と解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、1つ以上の項目を含むことを意図しており、「1つ以上(“one or more”)」と互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「the」は、冠詞「the」に関連して参照される1つ以上の項目を含むことを意図しており、「1つ以上(“the one or more”)」と互換的に使用されてもよい。さらに、本明細書で使用される場合、用語「組(“set”)」は、1つ以上の項目(例えば、関連する項目、関連しない項目、又は関連する項目と関連しない項目との組み合わせ)を含むことを意図しており、「1つ以上(“one or more”)」と互換的に使用され得る。1つの項目のみが意図される場合、「1つのみ(“only one”)」又は類似の文言が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(“has”)」、「有する(“have”)」、「有する(“having”)」等の用語は、オープンエンドな用語であることを意図している。さらに、「に基づく(“based on”)」という文言は、明示的に別段の記載がない限り、「少なくとも部分的に、に基づく(“based, at least in part, on”)」という意味を意図している。また、本明細書で使用される場合、「又は(“or”)」という用語は、一連の中で使用される場合、包括的であることを意図しており、明示的に別段の記載がない限り(例えば、「いずれか(“either”)」又は「いずれか一方のみ(“only one of”)」と組み合わせて使用される場合)、「及び/又は(“and/or”)」と互換的に使用され得る。さらに、「下方(“below”)」、「下側(“lower”)」、「上方(“above”)」、「上側(upper)」等の空間的に相対的な用語は、本明細書において、説明を容易にするために、図に示されるように、1つの要素又は特徴の他の要素(単数又は複数)又は特徴(単数又は複数)に対する関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図示されている向きに付加的に、使用時又は動作時における装置、デバイス、及び/又は要素の異なる向きを包含することを意図している。装置は他の向き(90度回転又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子も同様にそれに応じて解釈され得る。

図1A
図1B
図2
図3
【外国語明細書】