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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099540
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20250626BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20250626BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
H02P29/024
B65H37/00
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216259
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山方 もも
(72)【発明者】
【氏名】小林 正之
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲二
【テーマコード(参考)】
2H270
3F108
5H501
【Fターム(参考)】
2H270KA57
2H270LD03
2H270PA83
2H270RA15
2H270RA17
2H270RB04
2H270RB09
2H270ZC03
2H270ZC04
3F108GA01
3F108GB00
5H501AA18
5H501AA19
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL52
5H501LL54
5H501MM02
5H501MM05
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】駆動用のドライバが複数ある場合であってもCPUの大型化を必要とせず、かつ駆動用のドライバにより生成された異常検知信号を1つにまとめ上げCPUの大型化を抑制する場合であってもどの機構部と接続に不良があるかの特定が可能であるシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供する。
【解決手段】複数の異常検知信号をまとめた単一の集約信号により複数の機構部のうちどの機構部との接続に不良があるか特定する。これによりCPUの大型化を必要とせず異常がユニット、制御基板(ドライバ)、または制御基板とユニットとの接続かを特定することが可能になる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に後処理を施すために駆動部とセンサを有する第一のユニットと、
前記第一のユニットと異なる駆動部とセンサを有する第二のユニットと、
前記第一のユニットの駆動部を駆動可能であり、かつ自己の過電流および過熱状態を検出し、検出状況を異常信号として出力可能な第一のドライバと、
前記第二のユニットの駆動部を駆動可能であり、かつ自己の過電流および過熱状態を検出し、検出状況を異常信号として出力可能な第二のドライバと、
前記第一のドライバ、および前記第二のドライバから出力された異常信号のいずれか一つでも検出された場合に1つの異常信号として出力する異常信号集約回路と、
前記第一のドライバ、および前記第二のドライバを制御する制御部と、
前記第一のユニットのセンサ状態と、前記第二のユニットのセンサ状態と、前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が入力される判断部とで構成され、
前記判断部は、
前記第一のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が正常の場合に前記第一のユニットの異常、
また、前記第一のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が異常の場合に前記第一のドライバの異常、
また、前記第二のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が正常の場合に前記第二のユニットの異常、
また、前記第二のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が異常の場合に前記第二のドライバの異常、
を判断することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記第一のユニット、および前記第二のユニットを駆動する前に前記異常信号集約回路からの異常信号が検出された場合に前記第一のドライバと前記第一のユニットの接続、または前記第二のドライバと前記第二のユニットの接続に異常があると判断することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記判断部は、
前記第一のユニット、および前記第二のユニットを駆動する前に前記異常信号集約回路からの異常信号が検出された場合に前記第一のドライバと前記第一のユニットの接続、または前記第二のドライバと前記第二のユニットの接続に異常があると判断した後に、前記第一のユニット、および前記第二のユニットを1つずつ駆動させ、駆動不能な場所を特定する異常検出モードを実行することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記第一のドライバ、および前記第二のドライバに電力を供給する電源と、前記電源の電圧を検出する電圧検出回路とを備え、
前記判断部は、前記電圧検出回路からの電圧が入力され、電圧値が所定の電圧値以下であるときに異常であると判断することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記判断部は、
いずれかの異常が判断された時点ですべてのユニットを停止することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートに所定の処理を施すシート処理装置に関し、さらには被駆動部材を動作させる機構部および検出部の異常を単独で特定する自己診断が可能なシート処理装置及び、これを備えた画像形成システムに関する技術分野である。
【背景技術】
【0002】
近年では画像形成装置によって画像形成したシートをそのまま排出するだけでなく、画像形成されたシートに対し、ステープル処理や折り処理等を実行するシート処理装置を画像形成装置と一体的に組み付けて用いられるようになっている。
【0003】
このようなシート処理装置にあっては、動作異常が生じた場合にその異常箇所を迅速に特定することが困難となっている。このため、各種の装置においては、内部又は外部に通常の動作機構とは別に動作異常箇所を検知するためのセンサや回路等の異常診断機能を備えたものがある。
【0004】
また、これらを動かすための制御基板には1枚の基板上に複数の駆動用のドライバが実装され、制御されている。このような装置にあっては、各駆動部材をホーム位置から動作位置への移動を行うときに、予め設定された所定時間以上経過しても、移動先のホーム位置を検出しない場合には、エラー通知をする制御を行っている。前記エラーが通知されると、ジャム等が発生するのを防止するため、シートの搬送動作も停止するように設定される場合が多い。画像形成装置やシート処理装置を保守する保守員は、エラー通知で通知されたエラーコードに基づいて修理を行う。このように、市場で発生する不具合に対し、保守員が装置の動作を正常状態に復帰させるサービスサポートが運用されている。
【0005】
保守員は、エラーコードに基づいてシート処理装置を修理する場合に、現場でエラーコードに関連した構成部品が故障していないかを逐次確認して、修理が必要な故障箇所の特定を行うが、故障箇所の特定が迅速にされないと修理に多大な時間が必要となり、修理の間、ユーザは不便を強いられることになる。よって、すばやく装置を復帰させるために、装置内の故障箇所を詳細に特定する技術が重要となる。
【0006】
特許文献1では、通常の駆動制御を行うための第1のモードに加えて、第1のモードでの駆動や制御に異常が生じた場合に異常箇所を抽出する機能を有し、異常箇所を確認及び回復するといった対応を迅速且つ的確に行うことができる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-072092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような自己診断システムを用いた場合、機構部および検出部の異常を単独で特定することは可能であるが、制御基板に異常検知を持たない場合には制御基板または制御基板と機構部との接続を単独で特定することはできない。
【0009】
また、制御基板の異常を検知する場合は、駆動用のドライバに異常検知機能を実装し、生成された異常検知信号を制御CPUに入力する方法があるが、駆動用のドライバが複数ある場合は生成する信号数もそれと同数となり、CPUに要求されるポート数が増加しCPUの大型化、さらには制御基板の大型化も必要になる可能性がある。これに対して、生成される信号を1つにまとめ上げ、CPUの大型化を抑制する方法もあるが、この場合は制御基板と機構部との接続不良があった場合にどの機構部との接続に不良があるかの特定ができない。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動用のドライバが複数ある場合であってもCPUの大型化を必要とせず、かつ駆動用のドライバにより生成された異常検知信号を1つにまとめ上げCPUの大型化を抑制する場合であってもどの機構部と接続に不良があるかの特定が可能であるシート処理装置及び、これを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、用紙に後処理を施すために駆動部とセンサを有する第一のユニットと、前記第一のユニットと異なる駆動部とセンサを有する第二のユニットと、前記第一のユニットの駆動部を駆動可能であり、かつ自己の過電流および過熱状態を検出し、検出状況を異常信号として出力可能な第一のドライバと、前記第二のユニットの駆動部を駆動可能であり、かつ自己の過電流および過熱状態を検出し、検出状況を異常信号として出力可能な第二のドライバと、前記第一のドライバ、および前記第二のドライバから出力された異常信号のいずれか一つでも検出された場合に1つの異常信号として出力する異常信号集約回路と、前記第一のドライバおよび、前記第二のドライバを制御する制御部と、前記第一のユニットのセンサ状態と、前記第二のユニットのセンサ状態と、前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が入力される判断部とを有し、前記判断部は、前記第一のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が正常の場合に前記第一のユニットの異常、また、前記第一のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が異常の場合に前記第一のドライバの異常、また、前記第二のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が正常の場合に前記第二のユニットの異常、また、前記第二のユニットを駆動したときのセンサ状態が異常、かつ前記異常信号集約回路からの異常信号の出力状態が異常の場合に前記第二のドライバの異常、を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、複数の異常検知信号をまとめた単一の集約信号とユニットのセンサ状態による異常判定の組み合わせで異常状態の判断を実施することにより、CPUの大型化を必要とせず異常がユニット、制御基板(ドライバ)、または制御基板とユニットとの接続かを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係わる画像形成システムの全体構成の説明図。
図2図1の画像形成システムに於けるシート処理装置の全体構成を示す斜視説明図。
図3図2の装置の構成説明図。
図4】画像形成システムの制御構成ブロック図。
図5】異常箇所を自己診断する制御動作のフローチャート。
図6】異常箇所を自己診断するための制御ブロック図。
図7】異常箇所を自己診断する制御動作の詳細フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システムCは、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0015】
<画像形成装置>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給送部2と画像形成部3と排出部4とを備えている。
【0016】
給送部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、本体制御部から指定されたサイズのシートを給送経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給送部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給送機構とが内蔵されている。給送経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレイションローラ対とが設けられている。
【0017】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、帯電ローラ3b、露光器3c、現像器3d、クリーナ(図示せず)とを備えている。図示のものはカラー印刷機構であり、前記画像形成機構がイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各色に応じて設けられている。
【0018】
画像形成に際しては、回転する感光ドラム3aの周面を帯電ローラ3bにより一様に帯電させ、露光器3cによって画信号に応じた光照射をして静電潜像を形成し、この潜像に現像器3dで現像してトナー像を形成する。このようにして形成した各色のトナー像を回転する中間転写ベルト3eに一次転写してカラー画像を形成し、この画像形成するタイミングに合わせて給送経路2fからシートを二次転写部に送り、二次転写ローラ3fから転写バイアスの印加することによって中間転写ベルト3dに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器5を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排出ローラ4aにより排出口4bから排出され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0019】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン6aと、このプラテン6aに沿って往復動するキャリッジ6bと、光電変換素子6cと、前記キャリッジ6bによるプラテン6a上の原稿からの反射光を光電変換素子6cに案内する縮小光学系6dとを備える。光電変換素子6cは、縮小光学系6dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。また、スキャナユニットA2は、フィーダーユニットA3から原稿シートが送られてくる原稿シートを読み取ることも可能となっている。
【0020】
<シート処理装置>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0021】
図2は本実施形態に係るシート処理装置の斜視図、図3はシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための受入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、受入口10を画像形成装置Aの排出口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0022】
本実施形態の画像形成装置Aの排出部4は、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2との間に形成された空間部(胴内空間)に形成され、シート処理装置Bは前記空間部に配置されている。
【0023】
シート処理装置Bは、装置本体を構成する装置フレーム11と、この装置フレーム11に配置されたシート搬送経路12と、その搬送経路出口13の下流側に配置された処理トレイ14と、さらにその下流側に配置されたスタックトレイ15で構成されている。なお、図2に示すように、装置フレーム11の前側にはステープル針のカートリッジ装着開口16と、手差しセット部17と、マニュアル操作釦18が装備される。ここで、装置本体の前側とはユーザが画像形成システムを操作するときに装置本体に対して対向する側である。また、後側とは前記前側の反対側であって設置された装置本体の奥側である。
【0024】
また、処理トレイ14にはシートを後端ストッパ21に掻き込むゴム板で構成された掻き込みパドル19と、外周面にローレット加工を施したゴム製のローレットベルト20が設けられ、さらにシートを束状に集積するシート後端ストッパ21とシート幅方向の両側を規制する整合板22が配置されている。これと共に処理トレイ14にはシート束をステープル綴じ処理をするステープル綴じユニット23と、シート束を針なし綴じする針なし綴じユニット24が配置されている。
【0025】
画像形成装置Aによって画像が形成されたシートは画像形成装置の排出口4bからシート処理装置Bの受入口10へ送り込まれる。そのシートは、シート搬送経路12に設けられたシート搬送部材である搬送ローラ30aによって搬送され、搬送経路出口13の近傍に設けられたシート搬送部材としての搬送ローラ30bによって処理トレイ14へと搬送される。
【0026】
搬送経路出口13から処理トレイ14へ搬送されるシートは、図3の反時計回りに回転する掻き込みパドル19によって掻き落とされるとともに、図3の反時計回りに回転するローレットベルト20によってシート後端がシート後端ストッパ21に突き当たるように搬送され、前側整合板と後側整合板22をシート幅方向にスライドさせることでシートの幅方向両側が揃えられる。
【0027】
上記のようにして処理トレイ14に所定枚数のシートを搬送した後、処理部であるステープル綴じユニット23を動作させて処理トレイ14上のシート束に対して綴じ処理を実行する。シートに綴じ処理が施されると、図3の実線に示すように離間していた排出ローラ対31,31の一方のローラが、図3の破線に示すように移動して処理トレイ14上のシートをニップする。そして、シートは排出モータの駆動によって回転する排出ローラ31により排出されてスタックトレイ15へと積載収容される。このスタックトレイ15はシートの積載量に応じて順次繰り下がるようにトレイ昇降機構を備えている。
【0028】
<制御部>
次に上記画像形成システムの制御構成について、図4のブロック図を参照して説明する。
【0029】
本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置Aの画像形成制御部200とシート処理装置Bのシート処理装置制御部(CPU:MPUともいう。つまり、演算を行う部分だけではなくCPUの演算機能をチップに集積したものを指す。)100を備えている。画像形成制御部200は、シート給送制御部201と入力部202を備えている。そしてこの入力部202に設けられたコントロールパネル203から「プリントモード」「シート処理モード」の設定を行う。
【0030】
シート処理装置制御部100は、シート処理モードに応じてシート処理装置Bを動作させる。このシート処理装置制御部100は、動作プログラムを記憶したROMと、制御データを記憶するRAMとを備えている。また、このシート処理装置制御部100には、各種センサ入力部101からスタックトレイ15の下限位置を検出するスタックトレイ積載リミットセンサ102や搬送経路12のシートを検出する入口センサ103などの信号が入力される。
【0031】
また、前記シート処理装置制御部100は、搬送ローラ30a,30bに駆動力を付与する搬送モータ40a、排出ローラ31とパドル19を昇降させる昇降モータ40b、パドルを昇降させるパドルモータ40cなどを制御するシート搬送制御部104を有する。さらに前記シート処理装置制御部100は、処理トレイ14でシートの集積動作を行う前後の整合板22をそれぞれ独立して移動させるための前側整合モータ40d及び後側整合モータ40e、排出ローラ31に駆動力を付与する排出モータ40fなどの駆動を制御する処理トレイ制御部105を備えている。
【0032】
また、前記シート処理装置制御部100は、処理トレイ14上のシート束に綴じ処理を行うステープル綴じユニット23を後端ストッパ21に沿って移動するためのステープル綴じユニット移動モータ40gやステープル綴じユニット23を駆動するためのステープルモータ40h、針なし綴じユニット24を駆動するための針なし綴じモータ40iなどを制御するステープル綴じ制御部106と、スタックトレイ15を昇降させるスタックトレイ昇降モータ40j、スタックトレイ15上に排出されたシート束を押さえるために回動可能なシート押え部材を回動させるシート押えモータ40kなどを制御するスタックトレイ昇降制御部107も備えている。
【0033】
[判断部]
次に上記画像形成システムの各制御部による異常判断について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
シート処理動作に関わる異常判断は、動作前に実行されるものと動作中に実行されるものとで構成される。動作前に実行されるものは上位の電源電圧異常判断(S101)と下位のモータドライバ異常判断A(S102)で構成される。電源電圧異常(S103)またはモータドライバ異常(S104)のいずれの判断にも問題がなかった場合に正常と判断され、スタンバイ状態へ移行する(S105)。また、動作中に実行されるものは上位のユニット異常判断(S201)と下位のモータドライバ異常判断B(S202)で構成される。特定のユニット異常が検出された場合にモータドライバ異常判断Bへ移行し(S202)、その結果に応じてユニット異常(S203)かモータドライバ異常(S204)かを判断する。いずれの異常判断にも問題がなかった場合に正常と判断され、動作完了後にスタンバイ状態へ移行する。(S205)
【0035】
次に上記画像形成システムの各制御部による異常判断に関わる構成について、図6のブロック図を参照して説明する。
【0036】
[電源電圧異常判断]
電源電圧異常判断は、電源電圧検出回路304で検出された電圧値iによって実行される。電源電圧検出回路304は各モータドライバ41と各モータドライバ41に電力を供給する電源305との間に備えられる。電源電圧検出回路304で検出した電圧はCPU100で扱える電圧まで変換され、電圧値iとしてCPU100へ伝達する。
【0037】
[モータドライバ異常判断]
モータドライバ異常判断は動作前のパターンAと動作中のパターンBが存在する。いずれのパターンも異常検知信号集約回路303の検出値jを判断に使用する。異常検知信号集約回路303はモータドライバ41から出力された異常検知信号をOR回路で接続し、いずれかのモータドライバ41で異常検知が出力された場合に1本の異常検知信号としてCPU100へ出力する機能を備える。
【0038】
各モータを駆動するモータドライバ41は少なくともドライバ自身の過熱検知、及び出力端子の過電流検知機能と、異常検知時には出力を強制的に停止し、かついずれかの異常を検知したことを通知する機能を備える。
ただし、必ずしもすべてのモータドライバ41が機能を備えている必要はなく、本発明は2個以上のモータドライバが機能を備えている場合に適用可能である。
【0039】
モータドライバ異常判断Aは、動作前に検出値jによって異常が確認された場合にいずれかのモータドライバ41で異常が発生していると判断が可能である。モータドライバ41を特定するためには個々にユニットを動作させる必要がある。
【0040】
モータドライバ異常判断Bは、動作中に検出値jによって異常が確認された場合に、後述のユニット異常判断によって特定されたユニット異常フラグと合わせることで、モータドライバの異常箇所も特定して判断することが可能である。
【0041】
[ユニット異常判断]
次に上記画像形成システムの各制御部によるユニット異常判断について説明する。前記シート搬送制御部104は搬送40aを制御するとともに、搬送ローラ30a、30bによって搬送されるシートが通過したことを検知する搬送センサ43aからの信号を監視する。搬送センサ43aがシート非検知状態時に搬送モータ40aを所定量回転してもシート検知状態にならない、または搬送センサ43aがシート検知状態時に搬送モータ40aを所定量回転してもシート非検知状態にならない場合に搬送異常と判断し、センサエラーフラグl(n)(nはユニット番号、以下説明省略)を立てる(1)。
【0042】
また、前記シート搬送制御部104は昇降モータ40bを制御するとともに、排出ローラ31とパドル19の昇降状態を検知する昇降センサ43bからの信号を監視する。排出ローラ31またはパドル19を昇降するために昇降モータ40bを所定量回転しても昇降センサ43bの昇降検知状態が変化しない場合に昇降異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0043】
また、前記シート搬送制御部104はパドルモータ40cを制御するとともに、パドルの昇降状態を検知する昇降センサ43cからの信号を監視する。パドルを昇降するために昇降モータ40bを所定量回転しても昇降センサ43cの昇降検知状態が変化しない場合にパドル異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0044】
前記処理トレイ制御部105は前側整合モータ40dを制御するとともに、前側整合板22がホームポジション(以降HP)にいることを検知する前側整合板センサ43dからの信号を監視する。前側整合板センサ43dがHP検知状態時に前側整合モータ40dを所定量回転してもHP非検知状態にならない、または前側整合板センサ43dがHP非検知状態時に前側整合モータ40dを所定量回転してもHP検知状態にならない場合に前側整合板異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0045】
また、前記処理トレイ制御部105は後側整合モータ40eを制御するとともに、後側整合板22がHPにいることを検知する後側整合板センサ43eからの信号を監視する。後側整合板センサ43eがHP検知状態時に後側整合モータ40dを所定量回転してもHP非検知状態にならない、または後側整合板センサ43eがHP非検知状態時に後側整合モータ40dを所定量回転してもHP検知状態にならない場合に後側整合板異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0046】
また、前記処理トレイ制御部105は排出モータ40fを制御するとともに、排出ローラ31によって排出されるシートが通過したことを検知する排出センサ43fからの信号を監視する。排出センサ43fがシート検知状態時に排出モータ40fを所定量回転してもシート非検知状態にならない場合に排出異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。なお、処理トレイへのシートの搬送は前記シート搬送制御部104で実行されるため、排出センサ43fへシートが搬送されない場合の判断は前記処理トレイ制御部105では実施しないが、前記搬送制御104にて判断してもよい。
【0047】
前記ステープル綴じ制御部106はステープル綴じユニット移動モータ40gを制御するとともに、ステープル綴じユニット23が移動方向に対してHPにいることを検知するステープル綴じユニット移動センサ43gからの信号を監視する。ステープル綴じユニット移動センサ43gがHP検知状態時にステープル綴じユニット移動モータ40gを所定量回転してもHP非検知状態にならない、またはステープル綴じユニット移動センサ43gがHP非検知状態時にステープル綴じユニット移動モータ40gを所定量回転してもHP検知状態にならない場合にステープル綴じユニット移動異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0048】
また、前記ステープル綴じ制御部106はステープルモータ40hを制御するとともに、ステープル綴じユニット23の駆動部がHPにいることを検知するステープルセンサ43hからの信号を監視する。ステープルセンサ43hがHP検知状態時にステープルモータ40hを所定量回転してもHP非検知状態にならない、またはステープルセンサ43hがHP非検知状態時にステープルモータ40hを所定量回転してもHP検知状態にならない場合にステープル異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0049】
また、前記ステープル綴じ制御部106は針なし綴じモータ40iを制御するとともに、針なし綴じユニット24の駆動部がHPにいることを検知する針なし綴じセンサ43iからの信号を監視する。針なし綴じセンサ43iがHP検知状態時に針なし綴じモータ40iを所定量回転してもHP非検知状態にならない、または針なし綴じセンサ43iがHP非検知状態時に針なし綴じモータ40iを所定量回転してもHP検知状態にならない場合に針なし綴じ異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0050】
前記スタックトレイ昇降制御部107はスタックトレイ昇降モータ40jを制御するとともに、スタックトレイがHPにいることを検知するスタックトレイ昇降センサ43jからの信号を監視する。スタックトレイ昇降センサ43jがHP検知状態時にスタックトレイ昇降モータ40jを所定量回転してもHP非検知状態にならない、またはスタックトレイ昇降センサ43jがHP非検知状態時にスタックトレイ昇降モータ40jを所定量回転してもHP検知状態にならない場合にスタックトレイ昇降異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0051】
また、前記スタックトレイ昇降制御部107はシート押えモータ40kを制御するとともに、シート押え部材がHPにいることを検知するシート押えモータセンサ43kからの信号を監視する。シート押えモータセンサ43kがHP検知状態時にシート押えモータ40kを所定量回転してもHP非検知状態にならない、またはシート押えモータセンサ43kがHP非検知状態時にシート押えモータ40kを所定量回転してもHP検知状態にならない場合にシート押え異常と判断し、センサエラーフラグl(n)を立てる(1)。
【0052】
なお、各制御部に対し、2個以上のセンサを用いる場合において、それぞれのセンサにて異常判断をしてもよい。
【0053】
[異常判断フローチャート]
次に上記画像形成システムの各制御部による異常判断について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
シート処理装置に電源305が投入されたのち、電圧検出回路304で電圧値iを検出する(S001)。電圧値iと基準値i1を比較し(S002)、電圧値iが基準値i1以上の場合は正常と判断し、モータドライバ41を出力可能な状態へ起動し(S003)、異常信号集約値jの検出へ移行する(S004)。また、基準値i1より小さい場合は電源異常と判断し(S005)し、全ユニットの出力を停止する(S006)。
【0055】
異常信号集約値jを検出し(S004)、異常信号集約値jがHighかLowかを判断する(S007)。Highであった場合はスタンバイへ移行し(S015)、Lowであった場合は前述のとおりモータドライバ異常と判断する。なお、モータドライバ41の異常検出機能に過熱検知がある場合は、動作前の発熱であるためモータドライバ自体の異常またはモータドライバの実装不良である可能性が考えられる。また、過電流検知がある場合は出力段のショート(モータドライバ41とモータをつなぐ接続不良)の可能性が考えらえる。モータドライバ41の異常検出機能に電圧異常検知も備わっている場合もあるが、本実施形態においては前述の電源電圧異常判断があるため、要因から除外することが可能である。
【0056】
異常信号集約値jがLowであった場合はモータドライバ異常の判断になるが、さらにどこのモータドライバ自体の異常またはモータドライバの実装不良を特定するための制御を説明する。
【0057】
シート処理装置を構成するユニットを1つずつ駆動し(S009)、駆動しているユニットのユニット異常判断を実施する(S010)。応答がなかった場合にのみそのユニットを駆動するためのモータドライバ41のドライバ異常フラグk(n)を立て(1)(S011)、ユニットを停止する(S012)。さらに、次のユニットを駆動に移行するよう順次制御し、(S013)、これをすべてのユニットに対し実行が完了したのち(S013)、動作終了とする。この場合の動作終了はモータドライバ異常によるエラー停止となるが、ユニット動作前から異常が検出されているため、モータドライバ41とユニットとの接続している間に不良がある可能性が高い。
【0058】
なお、本実施例の変形として、モータドライバ異常判断によってすべてのドライバ異常フラグk(n)が立った(1)場合に、電源電圧に異常があると判断可能である。ドライバ異常は偶発的な故障によって発生すると考えられ、すべてが同時に故障することは考えにくいためである。
【0059】
異常信号集約値jが正常であり、スタンバイ状態である場合にシート処理するJOBを受け付ける(S016)。JOB中は前述のユニット異常判断によって監視し(S017)、センサエラーフラグl(n)が立たなかった(0)場合はJOB終了し(S018)、スタンバイ状態へ移行する。センサエラーフラグl(n)が立った(1)場合は、全ユニットを停止し(S019)、異常信号集約値jを検出する(S020)。その結果によって異常フラグを分け(S021)、Highであった場合はユニット異常フラグp(n)を立て(1)(S022)、ユニット異常によるエラーとして動作を終了する。また、Lowであった場合はドライバ異常フラグk(n)を立て(1)(S023)、ドライバ異常によるエラーとして動作を終了する。動作中に発生するドライバ異常は直前まで動作していたことを鑑みると、モータドライバ41とユニットとの接続異常の可能性は低く、ドライバ自体の異常である可能性が高い。
【0060】
上記のように複数の異常検知信号をまとめた単一の集約信号とユニットのセンサ状態による異常判定の組み合わせで異常状態の判断を実施することにより、CPUの大型化を必要とせず異常がユニット、制御基板(ドライバ)、または制御基板とユニットとの接続かを特定することが可能になる。
【符号の説明】
【0061】
A …画像形成装置
B …シート処理装置
C …データサーバ
D …端末
1 …装置ハウジング
2 …給送部
3 …画像形成部
4 …排出部
5 …定着器
30a,30b …搬送ローラ
31 …排出ローラ
40a …搬送モータ
40b …昇降モータ
40c …パドルモータ
40d …前側整合モータ
40e …後側整合モータ
40f …排出モータ
40g …ステープル綴じユニット移動モータ
40h …ステープルモータ
40i …針なし綴じモータ
40j …スタックトレイ昇降モータ
40k …シート押えモータ
41a~41k …モータドライバ
100 …シート処理装置制御部
204 …表示部
301 …制御部
302 …判断部
303 …異常検知信号集約回路
304 …電源電圧検出回路
305 …電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7